JP5966115B1 - 熱可塑性樹脂用帯電防止剤および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂用帯電防止剤および熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても、優れた帯電防止性を付与することが可能で、水洗等の操作に対する耐水性も高く、かつ、安価な帯電防止剤を提供する。【解決手段】下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を、熱可塑性樹脂用帯電防止剤として用いる。前記化学式(1)中、R1は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、nは0〜50の整数であり、Q1+は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである、前記化学式(2)中、R2は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、Q2+は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤および熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、雑貨から、家電製品、OA機器、自動車部品まで幅広く用いられている材料の一つである。この熱可塑性樹脂のなかでもABS樹脂等は表面抵抗率が高く、接触や摩擦等で誘起された静電気が逃散、消失しにくいため、使用中に成形品表面にほこり等が付着しやすく、美しい外観を損ねるという欠点を有している。
従来、このような静電気による問題を改良するため、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂に種々の帯電防止剤を練り込み等によって添加する技術が提案されている。例えば、特開平10−36629号公報には、アルカンスルホン酸塩またはアルキルベンゼンスルホン酸塩を帯電防止剤としてABS樹脂に添加する技術が開示されている。また、特開2009−249407号公報には、イオン性液体を帯電防止剤としてABS樹脂等の透明スチレン系熱可塑性樹脂に添加する技術が開示されている。なお、特開2009−249407号公報には、帯電防止剤として添加されるイオン性液体を構成するアニオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸などのアニオンが開示されている。また、上記イオン性液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムが開示されており、これらのうちアンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム等の第四級アンモニウムカチオンのみが開示されている。
一方、上述したもの以外の帯電防止剤として、高分子型帯電防止剤や、金属またはカーボン等の導電性材料を用いたものが知られている。例えば特開2013−253225号公報には、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド等のポリエーテル鎖を有するポリマーからなる高分子型帯電防止剤が開示されている。
本発明者らは、上述したような従来技術の有効性について検討を行った。その結果、特開平10−36629号公報に開示されているようなアルキルベンゼンスルホン酸塩や、特開2009−249407号公報に開示されているような第四級アンモニウムカチオンを含むイオン性液体を帯電防止剤としてABS樹脂等の熱可塑性樹脂に添加しても、必ずしも十分な帯電防止性能が得られない場合があることが判明した。
また、従来の高分子型帯電防止剤の帯電防止性能も十分ではないことも判明した。具体的には、従来の高分子型帯電防止剤を熱可塑性樹脂に添加して帯電防止性能を発揮させるには、樹脂100重量部に対して10〜20重量部程度の添加量が必要とされ、しかもそれによって得られる帯電防止効果にも限りがあることを知得した。特に、従来の高分子型帯電防止剤を用いた場合には、初期の帯電防止性能には優れていたとしても、その性能が経時的に低下したり、水洗等の操作に対する耐水性が低いといった問題があることが判明した。
一方、金属やカーボン等の導電性材料を帯電防止剤として用いると非常に優れた帯電防止効果が得られるが、これらの導電性材料は非常に高価であり、特にカーボンを用いた場合には樹脂が黒色を呈してしまうという問題もある。
そこで本発明は、熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても、優れた帯電防止性を付与することが可能で、水洗等の操作に対する耐水性も高く、かつ、安価な帯電防止剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を積み重ねた。その結果、特定の化学構造を有するイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を熱可塑性樹脂用の帯電防止剤として用いることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を含む、熱可塑性樹脂用帯電防止剤が提供される:
前記化学式(1)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
nは0〜50の整数であり、
Q1は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである、
前記化学式(2)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
Q2は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。
また、本発明の他の形態によれば、熱可塑性樹脂と、上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤とを含む、熱可塑性樹脂組成物もまた、提供される。
本発明の一形態は、下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を含む、熱可塑性樹脂用帯電防止剤である。本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤によれば、熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても優れた帯電防止性を付与することが可能で、水洗等の操作に対する耐水性も高く、かつ、安価な帯電防止剤が提供される。例えば、従来の高分子型帯電防止剤を樹脂との合計量に対して10重量%程度添加しても、1011〜1012Ω/sq.程度の表面抵抗率しか達成できないが、これに上記所定のイオン結合性塩を上記合計量に対して2重量%程度添加するだけで、10〜10Ω/sq.という極めて小さい表面抵抗率が達成できることが確認されたのである。このように、本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、少量の添加でも十分な帯電防止効果を発揮することができる。よって、十分な効果の発現には多量の添加が必要とされていた従来の高分子型帯電防止剤と比較して、熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量を高めることができ、当該樹脂が持つ本来の性能を損なう虞が最小限に抑えられるという利点も得られる。なお、このような効果が発現するメカニズムについては完全には明らかではないが、以下のようなメカニズムが推定されている。すなわち、高分子型帯電防止剤の分子鎖は樹脂の内部においてネットワーク構造を形成しているが、上記所定のイオン結合性塩がこの分子鎖間の導電パスとして機能することにより、高分子型帯電防止剤または上記所定のイオン結合性塩のそれぞれ単独の添加では達成されえない相乗的に優れた帯電防止効果と、水洗等の操作に対する高い耐水性が発揮されているものと考えられる。ただし、当該メカニズムは推定に基づくものであり、これによって本発明の技術的範囲が影響を受けることはない。
以下、本形態に係る帯電防止剤を構成する各成分について、詳細に説明する。
[イオン結合性塩]
本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤において、当該イオン結合性塩は、化学式(1)のものを1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよいし、化学式(2)のものを1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよいし、化学式(1)のものの1種または2種以上と、化学式(2)のものの1種または2種以上とを組み合わせて用いてもよい。ただし、化学式(2)で表されるイオン結合性塩を少なくとも1種用いることが好ましい。
前記化学式(1)および(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基である。
前記化学式(1)および(2)中のRおよびRとして用いられる、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、1,2−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。帯電防止性能の観点から、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましく、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、トリデシル基、1,2−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基がより好ましく、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
前記化学式(1)および(2)中のRおよびRとして用いられる、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基の例としては、例えば、フェニル基、ジメチルフェニル基(2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基等)、イソプロピルフェニル基(2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基)、ドデシルフェニル基(2−ドデシルフェニル基、3−ドデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基)、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などが挙げられる。帯電防止性能の観点から、置換されているかもしくは非置換の炭素数8〜18のアリール基が好ましく、ジメチルフェニル基(2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基等)、イソプロピルフェニル基(2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基)、ドデシルフェニル基(2−ドデシルフェニル基、3−ドデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基)がより好ましく、イソプロピルフェニル基が特に好ましい。
前記化学式(1)および(2)中のRおよびRとして用いられる、置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基の例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、3−(1−ナフチル)プロピル基、または3−(2−ナフチル)プロピル基などが挙げられる。
前記化学式(1)中のアニオンの好ましい例としては、下記化学式(3)〜(6)で表される化学構造を有するものが挙げられる。
また、前記化学式(2)中のアニオンの好ましい例としては、下記化学式(7)〜(10)の化学構造を有するものが挙げられ、なかでも下記化学式(9)の化学構造を有するものが好ましい。
前記化学式(1)中、Aは、炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基である。前記化学式(1)中のAとして用いられる、炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基の例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。入手容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
前述した炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数7〜31のアリールアルキル基、および炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基中の水素原子は、他の置換基で置換されていてもよい。
そのような置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基などのアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基などのアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基などのアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基などのアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基などのジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基などの他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基などが挙げられる。
前記化学式(1)中のnは0〜50の整数である。粘度の低下などによる取扱い易さ、あるいは界面特性の観点から、nは1〜50の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、1〜10の整数が特に好ましい。
前記化学式(1)および(2)中、Q1およびQ2は、それぞれ独立して、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。ここで、Q1およびQ2を表す第2級アンモニウムイオンおよび第3級アンモニウムイオンは、まとめて以下の化学式で表すことができる。
式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基である。また、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基である。ここで、Rが水素原子である場合、上記化学式で表されるアンモニウムイオンは第2級であり、Rが上記所定のアルキル基である場合、上記化学式で表されるアンモニウムイオンは第3級である。なかでも、Rは水素原子である(すなわち、Q1およびQ2は第2級アンモニウムイオンである)ことが好ましい。また、RおよびRのいずれか一方のみがヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換された炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基であることが好ましく、この際、置換されたアルキル基はヒドロキシ基で置換されたアルキル基であることがより好ましく、ヒドロキシエチル基であることが特に好ましい。なお、「炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基」の具体例については、上記で列挙したものが同様に用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、Rおよび/またはRがアルコキシ基で置換されたアルキル基である場合、当該置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシトキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
上述したようなQ1およびQ2の具体例を挙げると、第2級アンモニウムイオン(R=水素原子)としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジ−2−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−2−ブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジ−2−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジ−2−ヘキシルアミン、ジ−3−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンなどが挙げられる。第3級アンモニウムイオン(R=アルキル基)としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−1−プロピルアミン、トリ−2−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−2−ブチルアミン、トリ−1−ペンチルアミン、トリ−2−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ−1−ヘキシルアミン、トリ−2−ヘキシルアミン、トリ−3−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)メチルアミンがプロトン化されたイオンなどが挙げられる。なかでも、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、またはラウリルジエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることがさらに好ましく、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、またはラウリルジエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることがいっそう好ましく、メチルエタノールアミンまたはエチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが特に好ましく、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが最も好ましい。
前記化学式(1)で表されるイオン結合性塩のより好ましい化合物としては、下記化学式(11)〜(19)で表されるイオン結合性塩が挙げられる。
また、前記化学式(2)で表されるイオン結合性塩のより好ましい化合物としては、下記化学式(20)〜(26)で表されるイオン結合性塩が挙げられる。なかでも、下記化学式(23)〜(26)で表されるイオン結合性塩が特に帯電防止性能が高い点で好ましく、下記化学式(23)で表されるイオン結合性塩が最も好ましい。
前記イオン結合性塩の製造方法は、特に制限されず、例えば、アニオン交換法、中和法、酸エステル法などが挙げられる。また、硫酸エステルのアンモニウム塩またはスルホン酸エステルのアンモニウム塩と、窒素含有化合物とを反応させアンモニアを留去してイオン結合性塩を得る脱アンモニア法なども好適に用いられる。なお、前記化学式(4)、(6)、(7)および(10)、並びに前記化学式(15)、(16)、(19)、(20)、(25)および(26)に記載のC17−、C1225−およびC1327−は、それぞれ、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、C17−は、2−エチルヘキシルでありうる。
[高分子型帯電防止剤]
本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤において、高分子型帯電防止剤としては、従来公知の高分子型帯電防止剤(高分子構造を有する帯電防止剤)がいずれも好適に用いられうる。ただし、上述した「化学式(1)または化学式(2)で表されるイオン結合性塩」は、高分子構造を有していたとしても本発明における「高分子型帯電防止剤」の概念には含めないものとする。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、親水基を有しブロック共重合されているポリエーテル類(ポリエーテルエステルアミド類、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン類、ポリエーテルエステル類等の非イオン型;ポリスチレンスルホン酸類のアニオン型;第4級アンモニウム含有ポリ(メタ)アクリレート類等のカチオン型など)が挙げられ、なかでも、ポリエーテルブロックとポリオレフィンブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロック共重合体が好ましい。一例として、体積抵抗率が10〜1011Ω・cmの親水性ブロックであるポリエーテルブロックと、ポリオレフィンのブロックとが繰り返し交互に結合した構造のブロック共重合体が挙げられる。当該ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は2000〜60000であることが好まし
い。
なお、市場で入手できる高分子型帯電防止剤として、例えば、三洋化成工業社製の商品名「ペレスタット(登録商標)」(「ペレスタット300」、「ペレスタット230」、「ペレスタットNC6321」、「ペレスタットNC6322」、「ペレスタットNC7350」、「ペレスタットHC250」など)、「ペレクトロン(登録商標)」(「ペレクトロンPVH」、「ペレクトロンPVL」、「ペレクトロンHS」など)、三光化学工業社製の商品名「サンコノール(登録商標)」(「サンコノールTBX−65」など)、三井・デュポン社製の商品名「エンティラ(登録商標)AS」、アルケマ社製の商品名「ペバックス(登録商標)」、ルーブリゾール社製の商品名「スタットライト(登録商標)」、IonPhasE社製の「IonPhasE(登録商標)IPE(登録商標) U2」が挙げられる。
上記高分子型帯電防止剤は、単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、上述したイオン結合性塩および高分子型帯電防止剤をそれぞれそのまま用いてもよいし、使用濃度以上の上記帯電防止剤を熱可塑性樹脂に配合したマスターバッチの形態であってもよい。
本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、上述したイオン結合性塩および高分子型帯電防止剤を必須の構成成分として含有するが、これらの成分の含有量の比率について特に制限はなく、後述する熱可塑性樹脂の重量を基準とした好ましい添加量を参照して、適宜決定することが可能である。
また、本形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、必要に応じて各種の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤としては、本発明に係る帯電防止剤以外の帯電防止性向上剤(例えば、金属塩または第4級アンモニウム塩、界面活性剤、イオン性液体など);相溶化剤;ガラス繊維、金属繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、炭素繊維のような繊維状強化剤;タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤;リン酸エステル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤あるいは触媒失活剤;酸化安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;滑剤;顔料;染料;核剤;難燃剤;可塑剤;離型剤;紫外線吸収剤;抗菌剤などの添加剤が挙げられる。これらの添加剤の含有量に特に制限はないが、通常は熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して0.1〜20重量%程度である。
ここで、金属塩または第4級アンモニウム塩としては、金属[アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)]または第4級アンモニウム[アミジニウム(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等)もしくはグアニジウム(2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム等)]の、有機酸(C1〜7のモノ−およびジ−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸;C1〜7のスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸;チオシアン酸)の塩、および無機酸(ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸;過塩素酸;硫酸;硝酸;リン酸)の塩が使用できる。また、その具体例としては、ハライド[フッ化物(フッ化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム、−カルシウムおよび−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等)(以下の例示において塩を構成するカチオン部分は同じ。)、塩化物、臭化物およびヨウ化物等]、過塩素酸塩、フッ化スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩、ノナフルオロブタンスルホン酸塩、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸塩、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホンイミド塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられる。これらのうち帯電防止性の観点から好ましいのは、ハライド、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホンイミド塩、酢酸塩、さらに好ましいのは塩化リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、過塩素酸リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、−カリウムおよび−ナトリウム、酢酸カリウム、並びに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムの、ハライド、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホンイミド塩および酢酸塩である。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばEO付加型非イオン性界面活性剤[例えば高級アルコール(C8〜18、以下同じ)、高級脂肪酸(C8〜24、以下同じ)または高級アルキルアミン(C8〜24)のEO付加物(分子量158以上かつMn200,000以下);グリコールのEO付加物であるポリアルキレングリコール(分子量150以上かつMn6,000以下)の高級脂肪酸エステル;多価アルコール(C2〜18の2価〜8価またはそれ以上、例えばEG、PG、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビタン)高級脂肪酸エステルのEO付加物(分子量250以上かつMn30,000以下);高級脂肪酸アミドのEO付加物(分子量200以上かつMn30,000以下);および多価アルコール(上記のもの)アルキル(C3〜60)エーテルのEO付加物(分子量120以上かつMn30,000以下)]、および多価アルコ−ル(上記のもの)(C3〜60)型非イオン性界面活性剤[例えば多価アルコールの脂肪酸(C3〜60)エステル、多価アルコールのアルキル(C3〜60)エーテルおよび脂肪酸(C3〜60)アルカノールアミド]が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、(C11)を除くもので、アニオン基部分がC8〜30のもの、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の(C11)を除く第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;アミン塩[アルキルアミン(C1〜720)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩等];アミジニウム塩(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩等)、グアニジウム塩(2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム塩等)等の第4級アンモニウム塩;並びに、該第4級アンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩が含まれる。
イオン性液体は、上述した金属塩または第4級アンモニウム塩および界面活性剤を除く化合物で、室温以下の融点を有し、自身を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンで、初期電導度が1〜200mS/cm(好ましくは10〜200mS/cm)である常温溶融塩であって、例えばWO95/15572公報に記載の常温溶融塩が挙げられる。
相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体等が使用でき、例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体が挙げられる。また、例えば、特開平6−345927号公報に記載のスルホン酸基を有する変性ビニル重合体、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等も使用できる。
顔料としては、無機顔料[白色顔料(酸化チタン、リトポン、鉛白、亜鉛華等)、コバルト化合物(オーレオリン、コバルトグリーン等)、鉄化合物(酸化鉄、紺青等)、クロム化合物(酸化クロム、クロム酸鉛等)および硫化物(硫化カドミウム、ウルトラマリン等)等]、有機顔料[アゾ顔料(アゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等)、多環式顔料(ベンゾイミダゾロン系、フタロシアニン系、イソインドリノン系、アンスラキノン系等);染料としては、アゾ系、インジゴイド系、硫化系、アリザリン系、アクリジン系、チアゾール系、ニトロ系、アニリン系等;核剤としては、有機核剤[1,3,2,4−ジ−ベンジリデン−ソルビトール、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート、安息香酸ナトリウム等]および無機核剤[グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸カルシウム等]、が挙げられる。
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等)、高級脂肪酸(C8〜24、例えばステアリン酸、オレイン酸)、高級アルコール(C8〜18、例えばステアリルアルコール、ラウリルアルコール)および高級脂肪酸アミド(C8〜24、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド)等、が挙げられる。
難燃剤には、ハロゲン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、珪素含有難燃剤およびリン含有難燃剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の難燃剤が含まれる。ハロゲン含有難燃剤としては、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブルモフタルイミド、ヘキサブロモブテン、ヘキサブロモシクロドデカン等;窒素含有難燃剤としては、尿素化合物、グアニジン化合物またはトリアジン化合物(メラミン、グアナミン等)と、シアヌール酸またはイソシアヌル酸との塩等;硫黄含有難燃剤としては、硫酸エステル、有機スルホン酸、スルファミン酸、有機スルファミン酸、およびそれらの、塩、エステルおよびアミド等;珪素含有難燃剤としては、ポリオルガノシロキサン等;リン含有難燃剤としては、リン含有の酸およびそのエステル(C2〜20)、例えばリン酸、ホスフェート、ハロゲン含有ホスフェート、亜リン酸、ホスホネート、およびリン酸アンモニウム塩等が挙げられる。これらの難燃剤は、必要に応じて難燃助剤[ドリップ防止剤(例えばポリテトラフルオロエチレン)、金属酸化物(例えば酸化亜鉛)等]を併用してもよい。これらの難燃剤のうち難燃性、および焼却時におけるダイオキシン発生等の環境汚染がないとの観点から好ましいのは窒素含有難燃剤である。
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル[フタル酸エステル(ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等)等]、脂肪族モノカルボン酸エステル[メチルアセチルリシノレート、トリエチレングリコールジベンゾエート等]、脂肪族ジカルボン酸エステル[ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル(Mn200〜2,000)等]、脂肪族トリカルボン酸エステル[クエン酸エステル(クエン酸トリエチル等)]、リン酸トリエステル[トリフェニルホスフェート等]および石油樹脂等;離型剤としては、高級脂肪酸(上記のもの)の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C2〜18)の多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸(C2〜18)のグリコール(C2〜8)エステル(エチレングリコールモノステアレート等)および流動パラフィン等;酸化防止剤としては、フェノール系〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄系(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン系(トリフェニルホスファイト等)、アミン系(オクチル化ジフェニルアミン等)等;紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、ベンゾフェノン系[2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、サリチレート系[フェニルサリチレート等]、アクリレート系[2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’1−ジフェニルアクリレート等]等;抗菌剤としては、安息香酸、ソルビン酸、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素、ニトリル(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等)、チオシアノ(メチレンビスチアノシアネート)、N−ハロアルキルチオイミド、銅剤(8−オキシキノリン銅等)、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物(スラオフ39等)、4級アンモニウム化合物、ピリジン系化合物等、が挙げられる。
[熱可塑性樹脂]
本発明の他の形態によれば、熱可塑性樹脂と、上述した形態に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤とを含む、熱可塑性樹脂組成物もまた、提供される。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂(環状オレフィン樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂など)、ポリスルホン樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂およびこれらの誘導体樹脂、ゴムまたはエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。これらの樹脂の具体例は、例えば、国際公開第2013/129489号パンフレットに記載されている。
なお、上記熱可塑性樹脂が共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれでもよい。また、熱可塑性樹脂としては、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂を合成するための重合方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、高圧ラジカル重合法、中低圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、乳化重合法、気相重合法等を挙げることができる。また、重合に使用する触媒も特に制限はなく、例えば、過酸化物触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。
ここで、上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくはABS樹脂である。
なお、「ABS樹脂」とは、一般にアクリロニトリル(AN)とスチレン(ST)との共重合体である「AS樹脂」中に「ポリブタジエン」(PBD)を均一に分散させた樹脂をいう。樹脂の構成としては、要求される性能により適宜変更されるが、その一般的な共重合組成比として、AS樹脂相のモノマー組成の重量比は、ST/AN=90/10〜50/50であるが、一般的にはST/AN=75/25の重量比で製造されることが好ましい。また、性能向上のため、AS樹脂相の共重合成分としてメチルメタアクリレート(MMA)、α−メチルスチレン(AMS)またはN−フェニルマレイミド(PMI)などのモノマーを製造時に添加してもよい。一方、ポリブタジエン成分としての構成量は、ABS樹脂100重量部に対して、10〜80%であるが、一般的には10〜30%で用いられることが好ましい。さらには、性能向上のため、ポリブタジエン成分の他に、スチレンとブタジエンとの共重合体ゴム(SBR)、アクリルゴム(AR)、エチレンとプロピレンの共重合体(EPR)、塩素化ポリエチレン(CPE)などを必要に応じ製造時に加えてもよい。これらの構成比も公知である。
熱可塑性樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して、好ましくは0.1〜50重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。また、より好ましい含有量の比率の一例として、熱可塑性樹脂:高分子型帯電防止剤の重量比は、好ましくは99:1〜70:30であり、より好ましくは98:2〜80:20であり、さらに好ましくは97:3〜85:15である。また、イオン結合性塩の含有量は、上述した高分子型帯電防止剤と熱可塑性樹脂との合計重量100重量%に対し、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%であり、さらに好ましくは1〜3重量%である。
本発明によれば、長期間にわたって十分な帯電防止性能を安定して発揮することが可能な帯電防止剤と、当該帯電防止剤を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。したがって、本形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、OA機器、電子部材、自動車のハウジング、医療用部材、各種容器、カバー、フィルム、シート等に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
[イオン結合性塩]
本実施例では、下記化学式(明細書中の化学式(23))で表されるクメンスルホン酸N−エチルアミノエタノール([MEM][Cum−SO])を、熱可塑性樹脂用帯電防止剤を構成するイオン結合性塩として準備した。
[他の帯電防止剤]
本実施例では、上記イオン結合性塩以外の帯電防止剤として、以下のものを準備した。〈高分子型帯電防止剤〉
・「IonPhasE(登録商標) IPE(登録商標) U2」(IonPhasE社製)
・「ペレスタット(登録商標)NC6321」(三洋化成工業社製)
・「ペレスタット(登録商標)230」(三洋化成工業社製)
・「ペレクトロン(登録商標)AS」(三洋化成工業社製)
[熱可塑性樹脂組成物の評価例1]
ABS樹脂(PA−758;Chi Mei社製)に、上述した「他の帯電防止剤」のいずれかを、混合後の含有量が2重量%、5重量%または10重量%のいずれかとなるように添加して、ABS樹脂と他の帯電防止剤との混合物を得た。続いて、実施例(本発明の実験例)では、得られた混合物に、上述したイオン結合性塩([MEM][Cum−SO])を、当該混合物の重量に対する添加量が2重量%となるように添加した。一方、比較例(本発明を外れる実験例)では、上記イオン結合性塩を添加しなかった(添加した帯電防止剤の種類および添加量については、下記の表1〜3を参照)。
次いで、上記で得られた混合物に対し、二軸セグメント押出機を使用して混練・押出(ペレット化)を行い、射出成型により試験片を作製した。このようにして得られた各試験片について、表面抵抗率(JISK6911:2006「熱硬化性プラスチック一般試験方法」による)を測定した。
また、表面抵抗率を測定した試験片を、中性洗剤を三滴たらしたスポンジで10回擦り、泡を流水で洗い流し、水滴を拭き取った後に110℃にて5分間乾燥させた。これらの工程を5回行った後の試験片の表面抵抗率を測定したことを除いては、上記と同様にして水洗後の表面抵抗率を測定した。測定結果を下記の表1〜3に示す。
表1〜3の結果を参照して、比較例1と実施例1との対比、比較例2と実施例2との対比、比較例3と実施例3との対比、比較例4と実施例4との対比、および比較例5と実施例5との対比から、本発明によれば、高分子型帯電防止剤に所定の構造を有するイオン結合性塩を併用して帯電防止剤として用いることで、熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても優れた帯電防止性を付与することが可能で、水洗等の操作に対する耐水性も高く、かつ、安価な帯電防止剤が提供されることがわかる。
[ABS樹脂組成物の評価例2]
ABS樹脂(スタイラック(登録商標)−ABS190F;旭化成ケミカルズ株式会社製)100重量部に、上述した「他の帯電防止剤」(高分子型帯電防止剤)である「ペレスタットNC6321」を、混合後の含有量が10重量%となるように添加して、ABS樹脂と高分子型帯電防止剤との混合物を得た。続いて、実施例(本発明の実験例)では、得られた混合物に、上述したイオン結合性塩([MEM][Cum−SO])を、当該混合物の重量に対する添加量が2重量%となるように添加した。一方、比較例(本発明を外れる実験例)では、上記イオン結合性塩を添加しなかった(添加した帯電防止剤の種類および添加量については、下記の表4を参照)。
次いで、上記で得られた混合物に対し、上記評価例1と同様にして混練・押出(ペレット化)を行い、射出成型により試験片を作製した。このようにして得られた各試験片について、上記評価例1と同様にして表面抵抗率および水洗後の表面抵抗率を測定した。測定結果を下記の表4に示す。
表4の結果を参照して、本発明によれば、樹脂の種類が変わった場合であっても、表1〜3の結果と同様に、高分子型帯電防止剤に所定の構造を有するイオン結合性塩を併用して帯電防止剤として用いることで、熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても優れた帯電防止性を付与することが可能で、水洗等の操作に対する耐水性も高く、かつ、安価な帯電防止剤が提供されることがわかる。
一方、所定のイオン結合性塩のみを単独で熱可塑性樹脂(ABS樹脂)に添加した場合には、樹脂に対して2重量%の添加でも初期の表面抵抗率については優れた性能を示したが、本発明における耐水性試験では十分な帯電防止性能が維持されないことが確認された(比較例6)。また、高分子型帯電防止剤のみを単独で熱可塑性樹脂(ABS樹脂)に添加した場合には、樹脂に対して約11重量%を添加したとしても、初期および耐水性試験後のいずれにも十分な帯電防止性能は発揮されなかった(比較例7)。
[熱可塑性樹脂組成物の評価例3]
アクリル樹脂(ACRYREX(登録商標);Chi Mei社製)に、上述した「他の帯電防止剤」である「ペレスタット230」を、最終組成物における含有量が10重量%となるように添加して、アクリル樹脂と他の帯電防止剤との混合物を得た。続いて、実施例(本発明の実験例)では、得られた混合物に、上述したイオン結合性塩([MEM][Cum−SO])を、最終組成物における含有量が2重量%(樹脂と他の帯電防止剤との合計重量に対する添加量として2.04重量%)となるように添加した。一方、比較例(本発明を外れる実験例)では、上記イオン結合性塩を添加せず、アクリル樹脂とペレスタット230との混合比を80:20(重量比)とした。
次いで、上記で得られた混合物に対し、二軸セグメント押出機を使用して混練・押出(ペレット化)を行い、射出成型により試験片を作製した。このようにして得られた各試験片について、表面抵抗率(JISK6911:2006「熱硬化性プラスチック一般試験方法」による)を測定した。測定結果を下記の表5に示す。
[熱可塑性樹脂組成物の評価例4]
アクリル樹脂に代えて、ポリプロピレン樹脂であるサンアロマー(登録商標)(サンアロマー株式会社製)を用いたこと以外は、上述した「熱可塑性樹脂組成物の評価例3」と同様にして、比較例9および実施例11を実施した。表面抵抗率の測定結果を下記の表6に示す。
表5および表6の結果を参照して、本発明によれば、樹脂の種類がさらにアクリル樹脂やポリプロピレン樹脂に変わった場合であっても、表1〜4の結果と同様に、高分子型帯電防止剤に所定の構造を有するイオン結合性塩を併用して帯電防止剤として用いることで、熱可塑性樹脂に少量で添加された場合であっても優れた帯電防止性を付与することが可能で、かつ、安価な帯電防止剤が提供されることがわかる。
一方、高分子型帯電防止剤のみを単独で熱可塑性樹脂(アクリル樹脂やポリプロピレン樹脂)に添加した場合には、樹脂に対して約25重量%を添加したとしても、十分な帯電防止性能は発揮されなかった(比較例8および比較例9)。
なお、本実施例で用いたイオン結合性塩は、構造中にハロゲンを有するものではない。また、本発明に係るイオン結合性塩については、合成法を選択すれば、その原料中にも一切ハロゲンを使用せずに製造することができる。かような場合(すなわち、イオン結合性塩としてハロゲンを含まないものを用いた場合)には、ハロゲンの使用が敬遠される用途、例えば電子部材等の粘着シート・テープ等にも好適に用いられうるため、好ましい。すなわち、本発明の好ましい実施形態において、上記所定のイオン結合性塩は、ハロゲンを含有しないものである。
本出願は、2014年11月28日に出願された日本国特許出願第2014−242101号に基づくものであり、その内容は参照によりその全体が引用されている。

Claims (12)

  1. 下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を含む、熱可塑性樹脂用帯電防止剤:
    前記化学式(1)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、 が置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
    nは0〜50の整数であり、
    Q1は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである、
    前記化学式(2)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、 が置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Q2は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。
  2. 前記化学式(2)で表されるイオン結合性塩を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  3. Q1およびQ2が第2級アンモニウムイオンである、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  4. Q1およびQ2がヒドロキシ基を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  5. Q1およびQ2は、ヒドロキシエチル基が窒素原子に結合した構造を有する、請求項4に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  6. 前記イオン結合性塩が、下記化学式(23)〜(26)のいずれかで表されるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  7. 前記高分子型帯電防止剤が、親水基を有しブロック共重合されているポリエーテル類からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、ABS樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。
  9. 熱可塑性樹脂と、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤と、
    を含む、熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記熱可塑性樹脂が、ABS樹脂である、請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物の、熱可塑性樹脂用帯電防止剤としての使用:
    前記化学式(1)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Rが置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
    nは0〜50の整数であり、
    Q1は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである、
    前記化学式(2)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Rが置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Q2は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。
  12. 下記化学式(1)または下記化学式(2)で表されるイオン結合性塩と、高分子型帯電防止剤との混合物を熱可塑性樹脂へ添加する工程を含む、熱可塑性樹脂の帯電防止性を向上させる方法:
    前記化学式(1)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Rが置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
    nは0〜50の整数であり、
    Q1は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである、
    前記化学式(2)中、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Rが置換されている場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、またはホスホノ基で置換されており、
    Q2は、第2級アンモニウムイオンまたは第3級アンモニウムイオンである。
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