以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る駐車支援装置の概略構成図である。図2は、実施形態に係る駐車支援装置における路面検出可能範囲が狭すぎて目標駐車位置までの駐車経路が生成できない状況を説明するための模式図である。図3は、実施形態に係る駐車支援装置における路面検出可能範囲に対応する領域を対象領域とする場合について説明する模式図である。図4は、実施形態に係る駐車支援装置における路面検出可能範囲に対応する領域及び路面未検出領域の両方を対象領域とする場合について説明する模式図である。図5は、実施形態に係る駐車支援装置における駐車経路の生成について説明する模式図である。図6は、実施形態に係る駐車支援装置における駐車経路の再生成について説明する模式図である。図7は、実施形態に係る駐車支援装置における対象領域の遠方に障害物が存在する状況を説明する模式図である。図8は、図7の状況で実施形態に係る駐車支援装置が実行する駐車経路の生成について説明する模式図である。図9は、実施形態に係る駐車支援装置におけるECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態の駐車支援装置1は、図1に示すように、自車両としての車両2に搭載される。駐車支援装置1は、車両2の駐車を支援するための駐車支援を行う駐車支援システムである。この駐車支援装置1は、例えば、車両2の駆動力、ブレーキ、シフト等を制御し、駐車行為を自動化するシステムである。本実施形態の駐車支援装置1は、図1に示す構成要素を車両2に搭載することで実現させる。
具体的には、駐車支援装置1は、図1に示すように、検出装置としてのレーザセンサ3と、車両情報取得装置4と、システムスイッチ5と、支援装置6と、制御装置としてのECU7と、を備える。
レーザセンサ3は、車両2の周囲の物体を検出するものである。本実施形態のレーザセンサ3は、例えば、レーザ光を用いた広角レーザレーダ等を用いることができる。レーザセンサ3は、照射部から所定範囲にレーザ光を照射して車両2の周囲を走査し、当該レーザ光の物体からの反射光を受光部で受光することで、車両2の周囲の物体を検出する。レーザセンサ3は、レーザ光によって走査された領域内に存在する物体で反射した反射光を受光部で受光することで、物体の位置、物体までの距離、物体の形状等を検出することができる。本実施形態において、物体は、例えば、車両2の周辺の駐車枠、障害物、路面などを含むが、これに限定されず、レーザセンサ3により検出可能なあらゆる物体を含む。このように、レーザセンサ3は、レーザレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)としての機能を有する。レーザセンサ3は、車両2の周囲の物体を検出可能なように、車両2の前方、側方、後方に設置される。
車両情報取得装置4は、駐車支援装置1が搭載される車両(自車両)2の状態を検出するものである。車両情報取得装置4は、例えば、車速センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、加速度センサ、GPS受信機、ウインカスイッチ、シフトポジションセンサ等のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。車速センサは、車両情報として、当該車両2の車速を検出する。ヨーレートセンサは、車両情報として、当該車両2のヨーレートを検出する。舵角センサは、当該車両2の舵角を検出する。加速度センサは、車両情報として、当該車両2の車体に生じる加速度を検出する。GPS受信機は、車両情報として、当該車両2のGPS情報(緯度経度座標)を受信する。例えば、ECU7は、この車両情報取得装置4のGPS受信機が受信したGPS情報と、データベースに記憶された道路情報等の地図情報とに基づいて、車両2の走行地点(現在位置)や走行方向を演算できる。ウインカスイッチは、車両情報として、運転者による車両2のウインカ(方向指示器)の操作(ウインカ操作)の有無、及び、指示方向を検出するものである。シフトポジションセンサは、車両情報として、運転者がシフトレンジ操作を行うシフトレバーの位置、すなわち、シフトポジションを検出する。シフトポジションセンサが検出するシフトポジションは、例えば、車両2をパーキング状態とするパーキングレンジ、車両2をニュートラル状態とするニュートラルレンジ、車両2を前進走行させるドライブレンジ、車両2を後進走行させるリバースレンジ等を含む。このように、車両情報取得装置4は、自車両状態検出装置としての機能を有する。
システムスイッチ5は、運転者の操作により駐車支援装置1による駐車支援をオン/オフするためのスイッチである。駐車支援装置1は、例えば、システムスイッチ5を介した運転者の切り替え操作に応じて、運転者の意思に応じて任意に駐車支援機能のオンとオフとを切り替えることができる。なお、駐車支援装置1は、これに限らず、車両2の状態(例えば、車速や現在位置等)に応じて駐車支援のオンとオフとを自動で切り替える構成であってもよい。
支援装置6は、車両2に搭載され、当該車両2の駐車を支援可能なものである。支援装置6は、駐車支援を行う。ここで、駐車支援とは、車両2を目標の駐車位置(以下、「目標駐車位置」という場合がある。)に安全に駐車させるための運転支援である。駐車支援は、例えば、車両2を目標駐車位置に駐車させるための車両2の自動運転、補助運転、駐車案内情報の提供等の少なくとも1つを含んでもよい。車両2の目標駐車位置は、言い換えれば、車両2が目標とする目標駐車枠に相当する。
支援装置6は、例えば、車両2の操舵輪を自動で操舵可能である操舵装置、内燃機関や電動機などの車両2の走行用の動力源、動力源が発生させた動力を変速する変速機、車両2を自動で制動可能である制動装置等の少なくとも1つを含んでもよい。この場合、支援装置6は、操舵輪の舵角の自動調節(ステア制御)、車両2の駆動力の自動調節(アクセル(駆動)制御)、走行変速段(変速比)の自動調節(シフト調節)、車両2の制動力の自動調節(ブレーキ(制動)調節)等を行うことで、自動運転で車両2を目標駐車位置に駐車させる自動駐車支援を行うことができる。この場合、支援装置6は、運転者による操作の介入なく、車両2を目標駐車位置まで移動させるようにしてもよいし、運転者による操作の介入をある程度許容した上で、運転者による駐車操作をアシストするようにして車両2を目標駐車位置まで移動させるようにしてもよい。
また、支援装置6は、例えば、車両2に搭載され、運転者に対して種々の情報を提供する情報提供装置を含んでもよい。つまり、支援装置6は、車両2を目標駐車位置に安全に駐車させるために、運転者に対して駐車案内情報を出力することで、運転者による駐車操作を支援してもよい。この場合、支援装置6は、運転者に対して駐車案内情報の提供を行うことで、情報提供運転支援を行う。支援装置6は、例えば、情報提供装置として、車両2の車室内に設けられたディスプレイ、スピーカ等のうちの少なくとも1つを含んで構成されてもよい。ディスプレイは、視覚情報(図形情報、文字情報)を出力する視覚情報表示装置である。スピーカは、聴覚情報(音声情報、音情報)を出力する聴覚情報(音声)出力装置である。支援装置6は、情報提供装置として、車両2の車室内の既設の装置、例えば、ナビゲーションシステムのディスプレイやスピーカ等が流用されてもよい。支援装置6は、視覚情報、聴覚情報等を出力することによって情報提供を行い、運転者の駐車運転操作を誘導する。なお、支援装置6は、情報提供装置として、ディスプレイ、スピーカ以外にも、例えば、ハンドル振動、座席振動、ペダル反力などの触覚情報等を出力する触覚情報出力装置等を含んで構成されてもよい。
ECU7は、車両2の各部の駆動を制御するものであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。ECU7は、例えば、上述のレーザセンサ3、車両情報取得装置4、システムスイッチ5等の種々のセンサ、検出器類が電気的に接続され、検出結果に対応した電気信号が入力される。また、ECU7は、支援装置6などの車両2の各部に電気的に接続され、これらに駆動信号を出力する。ECU7は、各種センサ、検出器類等から入力された各種電気信号や各種マップに基づいて、格納されている制御プログラムを実行することにより、車両2の各部に駆動信号を出力しこれらの駆動を制御する。
本実施形態のECU7は、レーザセンサ3による検出結果に基づいて支援装置6を制御し車両2の駐車支援を実行可能な制御装置である。ここでは、ECU7は、レーザセンサ3による検出結果に基づいて目標駐車位置を設定する。そして、ECU7は、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成し、これに基づいて支援装置6を制御して、自動駐車支援、情報提供運転支援等の駐車支援を実行する。
具体的には、ECU7は、図1に示すように、機能概念的に、データ取得部71と、路面状態判定部72と、目標駐車位置設定部73と、駐車経路生成部74と、支援制御部75とを含んで構成される。
データ取得部71は、レーザセンサ3、車両情報取得装置4による検出結果に応じた情報(データ)を取得するものである。データ取得部71は、例えば、運転者によってシステムスイッチ5がオン(ON)され、駐車支援の開始の意図があることを検知した場合に駐車支援システムの作動を開始し、これに応じてレーザセンサ3、車両情報取得装置4による検出結果に応じた情報の取得を開始する。
なお、データ取得部71は、例えば、車両2が駐車場内に位置しかつ車速が予め設定される支援開始車速以下であるか否かを判定すること、或いは、車両2が駐車空間に隣接した位置に一時停止したか否かを判定すること等によって、運転者に駐車支援の開始の意図があるか否かを判定し、情報の取得を開始するようにしてもよい。
路面状態判定部72は、データ取得部71から出力される情報に基づいて、路面状態を判定するものである。路面状態判定部72は、データ取得部71が取得したレーザセンサ3の検出結果に基づいて路面状態を判定できた領域を、車両2が移動可能な領域として、駐車経路を生成するための対象領域として設定する。対象領域は、例えば、車両2の現在位置から目標駐車位置までの最短の駐車経路が生成可能な大きさに予め設定された所定範囲の領域である。
目標駐車位置設定部73は、データ取得部71から出力される情報に基づいて、目標駐車位置を設定するものである。目標駐車位置設定部73は、データ取得部71が取得したレーザセンサ3による検出結果に基づいて、車両2の周辺の駐車可能な駐車枠等を目標駐車位置として設定する。
駐車経路生成部74は、路面状態判定部72及び目標駐車位置設定部73から出力される情報に基づいて、駐車経路を生成するものである。駐車経路生成部74は、データ取得部71が取得した車両2の現在位置と、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置とに基づいて、路面状態判定部72が設定した対象領域内で、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。
支援制御部75は、支援装置6に実際に駐車支援を実施させるものである。支援制御部75は、駐車経路生成部74が生成した駐車経路に基づいて支援装置6を制御し、自動駐車支援、情報提供運転支援等の駐車支援を実行する。
なお、駐車支援装置1の制御装置は、上記ECU7によって兼用されるものとして説明したがこれに限らない。駐車支援装置1の制御装置は、ECU7とは別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。また、ECU7は、車両2の走行全般を制御する走行制御ECU、車両2の駐車支援を実行する駐車支援制御ECU、車両2の操舵装置を制御する操舵制御ECU、車両2のパワートレーンを制御する駆動制御ECU、車両2の制動装置を制御する制動制御ECU等がそれぞれ別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
ところで、駐車支援装置1は、上述したように、レーザセンサ3による検出結果に基づいて駐車支援を行う場合、雨天などにより路面に水溜りが存在すると、検出装置としてのレーザセンサ3のレーザ光の特性上鏡面反射し、路面検出(路面判定)ができない場合がある。なお、レーザ光の入射角度が反射面に対して水平に近づくほど、鏡面反射するため、車両2の直近では路面検出可能である。よって、駐車支援装置1では、検出装置で路面検出ができていない車両2の直近以外の路面未検出領域は、車両2が移動できない溝、穴、崖などの移動不可領域である可能性があるため、路面検出できた領域でのみ自動制御をする必要がある。
しかし、路面検出できても目標駐車位置に駐車可能な駐車経路を生成できない状況がある。例えば、図2に示すように、検出装置で路面検出できる車両2の直近の路面検出可能範囲が狭すぎる場合、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成できない状況が考えられる。つまり、図3に示すように、車両2の駐車支援装置1は、検出装置で路面検出できていない路面未検出領域を除いた路面検出可能範囲に対応する領域のみを、駐車経路を生成する際の対象領域とする場合、当該対象領域が狭すぎて、目標駐車位置までの駐車経路を生成できない状況となる。図3において、路面検出可能範囲は、検出装置により路面判定できた範囲である。また、図3において、路面未検出領域は、レーザ光の走査範囲であるものの、水溜りなどにより鏡面反射することで検出装置により路面判定が不可能な領域である。このように、駐車支援装置1は、路面検出可能範囲内で駐車経路を生成する必要があるが、図2及び図3に示す状況では、路面検出可能範囲が狭すぎるため、駐車経路を生成することができない。
ここで、図3に示した路面未検出領域は、車両2が移動できない溝、穴、崖などの移動不可領域である可能性がある一方で、路面上に水溜りが存在するのみで車両2が移動できる移動可能領域である可能性も考えられる。つまり、路面未検出領域は、水溜り、溝、穴、または、崖のうちいずれかに該当する可能性がある領域であるといえる。この場合、移動可能領域は、路面未検出領域のうち水溜りに該当する領域である。また、移動不可領域は、路面未検出領域のうち、溝、穴、または、崖のうちいずれかに該当する領域である。
そこで、本実施形態の駐車支援装置1は、路面判定が不可であり、かつ、障害物が未検出である範囲も対象領域として用いて、駐車経路を生成するように構成されている。つまり、駐車支援装置1は、検出装置で路面検出できる車両2の直近の路面検出可能範囲だけでなく、検出装置で路面検出できていない路面検出可能範囲に隣接する路面未検出領域も含めて駐車経路を生成する。具体的には、図4に示すように、駐車支援装置1は、検出装置で路面検出できる車両2の直近の路面検出可能範囲、及び、検出装置で路面検出できていない路面検出可能範囲に隣接する路面未検出領域を含む所定範囲の対象領域を設定する。例えば、車両支援装置1は、図4に示すように、路面検出可能範囲が狭すぎる場合は、車両2の現在位置から目標駐車位置までの最短の駐車経路が生成可能な大きさになるように、路面検出可能範囲に適切な範囲の路面未検出領域を加えることで、対象領域を設定する。そして、図5に示すように、駐車支援装置1は、当該対象領域内で、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。そして、駐車支援装置1は、生成した駐車経路に従って、車両2が走行するように支援装置6を制御して、車両2の駐車支援を実行させる。
ここで、駐車支援装置1は、路面検出可能範囲、及び、路面検出可能範囲に隣接する路面未検出領域を含むように設定された所定範囲の対象領域内で駐車経路を生成するので、対象領域内の路面未検出領域内に、溝、穴、崖などの移動不可領域が存在する場合であっても、移動不可領域上に駐車経路を生成することになる。そこで、本実施形態の駐車支援装置1は、駐車支援の実行中に移動不可領域を判定する機能を有するように構成されている。例えば、駐車支援装置1は、生成した駐車経路に沿って車両2を自動制御し、駐車経路の生成時における路面未検出領域の直近になっても路面判定が不可である場合、車両2を停止し、その範囲を除いて駐車経路を生成する。これは、直近で路面判定が不可の場合、その範囲は、溝、穴、崖などの移動不可領域である可能性があるためである。
具体的には、図6に示すように、駐車支援装置1は、駐車支援により駐車経路に従って車両2が走行中に、対象領域内の路面未検出領域を検出装置で路面検出できないか再判定する。そして、駐車支援装置1は、生成した駐車経路が、検出装置で路面検出できなかったと再判定された領域である移動不可領域内にあるか否かを判定する。ここで、駐車支援装置1は、車両2が移動不可領域の直前に移動した場合に、生成した駐車経路が移動不可領域内にあるか否かを判定する。そして、駐車経路が移動不可領域内にあると判定した場合、駐車支援を中断し、当該移動不可領域を対象領域から除いて、駐車経路を再生成する。
このように、本実施形態の駐車支援装置1は、まず、車載のレーザセンサ3により車両2の周辺の駐車枠、障害物、路面などを認識する。そして、駐車支援装置1は、路面検出できた範囲だけでなく、路面未検出領域も含めた所定範囲の対象領域内で駐車経路を生成する。そして、駐車支援装置1は、駐車支援として、駐車経路に従って車両2を移動させる。このとき、駐車支援装置1は、車両2が路面未検出領域に接近しても路面判定できないと再判定された移動不可領域上に駐車経路が存在するときは、車両2の停止や切返しを行い、駐車経路を再生成する。
これにより、駐車支援装置1は、レーザセンサ3の特性上、雨などの水溜りがある状況では、溝、穴、崖などと同様のセンサ出力を示すため路面検出が困難であり駐車経路を生成できない場合であっても、上述の方法で対処することで、通常では駐車支援できない多くの状況において駐車支援を可能としている。つまり、アクセル・ブレーキを自動化した駐車支援システムにおいて、路面検出できない場合、溝、穴、崖などが存在する可能性があり、駐車支援ができない状況が発生するが、本実施形態の駐車支援装置1では、センサ特性、障害物情報に基づき、路面情報が得られている範囲、及び、補完可能な範囲で、駐車支援を可能としている。
ところで、駐車支援装置1は、図6等で上述したように、車両2の接近後に崖などの移動不可領域を判定できる構成となっているため、場合によっては切返し回数が多くなり、操作性が悪くなる可能性が考えられる。そこで、本実施形態の駐車支援装置1は、以下に図7及び図8を参照して説明するように、車両2に対して路面判定ができていない路面未検出領域の延長上に障害物が認識された場合、その領域を優先的に用いて、駐車支援している。つまり、本実施形態の駐車支援装置1は、路面が存在する可能性が高い領域を優先して使用することで操作性の低下を防ぐように構成されている。
具体的には、図7に示すように、駐車支援装置1は、検出装置が上述の図4に示すように設定された対象領域より遠方に障害物を検出した場合は、当該対象領域の境界から障害物までの一定領域を対象領域に加える。そして、図8に示すように、駐車支援装置1は、当該対象領域内で障害物を検出した方向の一定領域を通る駐車経路を生成する。そして、駐車支援装置1は、上述の図6のように移動不可領域上に生成された駐車経路よりも、図8のように障害物が存在する方向に生成された駐車経路を採用して、この採用した駐車経路に従って車両2が走行するように支援装置6を制御して、車両2の駐車支援を実行させる。
このように、本実施形態の駐車支援装置1は、検出装置が対象領域より遠方に障害物を検出した場合は、障害物を検出した方向の一定領域を通る駐車経路を生成する。これは、検出装置で路面検出できていない路面未検出領域であっても、当該対象領域の遠方に障害物を検出できる場合、障害物が検出された方向の領域には路面が続いており、水溜りができている可能性が高いと考えられるからである。これにより、駐車支援装置1は、障害物を検出できた方向を経路に含む駐車経路を生成することで、駐車支援中に車両2が路面未検出領域を再判定した結果、当該路面未検出領域が崖などの移動不可領域であると判明した場合に、駐車経路を再生成する状況が発生する可能性を前もって低くしておくことができる。
次に、図9のフローチャートと参照してECU7による制御の一例を説明する。なお、以下の図9に示す制御は、予めECU7によりシステムスイッチ5がオン(ON)であり、運転者に駐車支援の開始の意図があると判定されていることを前提とする。なお、ECU7は、例えば、車両2が駐車場内に位置しかつ車速が予め設定される支援開始車速以下であるか否かを判定すること、或いは、車両2が駐車空間に隣接した位置に一時停止したか否かを判定すること等によって、運転者に駐車支援の開始の意図があるか否かを判定してもよい。
まず、データ取得部71は、運転者の駐車支援の開始の意図があると判定された場合、車両情報取得装置4から出力される車両2の現在位置等の車両情報を取得する(ステップST1)。
そして、データ取得部71は、レーザセンサ3から出力される車両2の周囲に関するデータを取得する(ステップST2)。レーザセンサ3のデータとしては、例えば、車両2の周辺の駐車枠、障害物、路面などの情報を含む。
そして、路面状態判定部72は、データ取得部71で取得した車両2の現在位置や、車両2の周囲に関するデータに基づいて、路面判定を実行し、対象領域を設定する(ステップST3)。例えば、路面状態判定部72は、データ取得部71が取得したレーザセンサ3の検出結果に基づいて路面状態を判定できた領域を、車両2が移動可能な領域として、駐車経路を生成するための対象領域として設定する。
ここで、ステップST3において、路面判定及び対象領域設定の他に、目標駐車位置設定部73は、データ取得部71で取得した車両2の現在位置や、車両2の周囲に関するデータに基づいて、車両2の周辺の駐車可能な駐車枠等を目標駐車位置として設定するものとする。
そして、駐車経路生成部74は、路面状態判定部72が設定した対象領域で、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置までの駐車経路が生成可能であるか否かを判定する(ステップST4)。例えば、駐車経路生成部74は、路面状態判定部72が設定した対象領域内に、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置が含まれているか否かを判定することで、駐車経路が生成可能であるか否かを判定してもよい。この場合、駐車経路生成部74は、対象領域内に目標駐車位置が含まれていれば、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成可能であると判定する。一方、駐車経路生成部74は、対象領域内に目標駐車位置が含まれていなければ、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成できないと判定する。
ここで、駐車経路生成部74は、ステップST4において、対象領域で駐車経路が生成可能であると判定した場合(ステップST4:Yes)、データ取得部71により取得されたレーザセンサ3による検出結果に基づいて、対象領域内で障害物を検出したか否かを判定する(ステップST5)。
そして、駐車経路生成部74は、ステップST5において、対象領域内で障害物を検出しなかったと判定した場合(ステップST5:No)、ステップST15へ移行し、データ取得部71が取得した車両2の現在位置と、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置とに基づいて、路面状態判定部72が設定した対象領域内で、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する(ステップST15)。
また、駐車経路生成部74は、ステップST5において、対象領域内で障害物を検出したと判定した場合(ステップST5:Yes)、障害物を検出した方向を含む範囲の対象領域内で駐車経路を生成可能であるか否かを判定する(ステップST6)。例えば、駐車経路生成部74は、障害物を検出した方向を含む範囲の対象領域内に障害物が存在することで、現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成可能か否かを判定する。一例として、駐車経路生成部74は、目標駐車位置の直前に障害物が存在する場合などは、車両2を目標駐車位置へ移動させるための駐車経路を生成できないと判定する。一方、駐車経路生成部74は、目標駐車位置から離れた位置に障害物が存在する場合などは、車両2を目標駐車位置へ移動させるための駐車経路を生成できると判定する。
そして、駐車経路生成部74は、ステップST6において、障害物を検出した方向を含む範囲の対象領域内で駐車経路を生成可能であると判定した場合(ステップST6:Yes)、ステップS15で障害物を検出した方向へ駐車経路を生成するために、障害物を検出した方向を含む範囲を対象領域として設定し(ステップST7)、その後ステップST15へ移行する。この場合、駐車経路生成部74は、ステップST15において、障害物を検出した方向を含む範囲を通る駐車経路を生成する。
また、駐車経路生成部74は、ステップST6において、障害物を検出した方向を含む範囲の対象領域内で駐車経路を生成可能ではないと判定した場合(ステップST6:No)、ステップS15で障害物を回避して駐車経路を生成するために、障害物以外の領域を対象領域として設定し(ステップST8)、その後ステップST15へ移行する。この場合、駐車経路生成部74は、ステップST15において、障害物以外の対象領域内で障害物を回避しつつ現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。
ステップST4に戻り、ECU7による制御の説明を続ける。
ここで、駐車経路生成部74は、ステップST4において、対象領域で駐車経路が生成できないと判定した場合(ステップST4:No)、データ取得部71により取得されたレーザセンサ3による検出結果に基づいて、対象領域以外で障害物を検出したか否かを判定する(ステップST9)。ステップST4において、対象領域で駐車経路が生成できないと判定した場合とは、例えば、上述の図2及び図3に示すように、検出装置で路面検出できる車両2の直近の路面検出可能範囲が狭すぎる場合であって、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成できない状況などを含む。
ここで、駐車経路生成部74は、対象領域以外で障害物を検出したと判定した場合(ステップST9:Yes)、対象領域以外でレーザセンサ3の中心から障害物までの領域を対象領域に加える(ステップST10)。つまり、駐車経路生成部74は、上述の図7に示すように、検出装置が対象領域より遠方に障害物を検出した場合は、当該対象領域の境界から障害物までの一定領域を対象領域に加える。
そして、駐車経路生成部74は、ステップST10で一定領域を加えた対象領域で、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置までの駐車経路が生成可能であるか否かを判定する(ステップST11)。
ここで、駐車経路生成部74は、ステップST11において、対象領域で駐車経路が生成可能であると判定した場合(ステップST11:Yes)、ステップST15において一定領域を通る駐車経路を生成するために、当該一定領域を含む範囲を対象領域として設定し(ステップST12)、その後ステップST15へ移行する。この場合、データ取得部71が取得した車両2の現在位置と、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置とに基づいて、上述の図8に示すように、ステップST10で一定領域を加えた対象領域内で、障害物を検出した方向の一定領域を通る車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。
ここで、ステップST11に戻り、駐車経路生成部74は、対象領域で駐車経路が生成できないと判定した場合(ステップST11:No)、ステップST13へ移行する。
なお、ステップST11において対象領域で駐車経路が生成できないと判定した場合(ステップST11:No)と同様に、駐車経路生成部74は、ステップST9において、対象領域以外で障害物を検出しなかったと判定した場合(ステップST9:No)、ステップST13へ移行する。
そして、駐車経路生成部74は、障害物以外の領域を対象領域として設定する(ステップST13)。例えば、駐車経路生成部74は、上述の図4に示すように、検出装置で路面検出できる車両2の直近の路面検出可能範囲、及び、検出装置で路面検出できていない路面検出可能範囲に隣接する路面未検出領域を含む所定範囲の対象領域を設定する。
そして、駐車経路生成部74は、ステップST13で設定した障害物以外の領域の対象領域で、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置までの駐車経路が生成可能であるか否かを判定する(ステップST14)。
ここで、駐車経路生成部74は、ステップST14において、対象領域で駐車経路が生成可能であると判定した場合(ステップST14:Yes)、ステップST15へ移行し、データ取得部71が取得した車両2の現在位置と、目標駐車位置設定部73が設定した目標駐車位置とに基づいて、ステップST13で設定した障害物以外の領域の対象領域内で、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。例えば、駐車経路生成部74は、上述の図5に示すように、ステップST13で設定した路面検出可能範囲及び路面未検出領域を含めて設定された所定範囲の対象領域内で、車両2の現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する。
一方、駐車経路生成部74は、ステップST14において、ステップST13で設定した対象領域で駐車経路が生成できないと判定した場合(ステップST14:No)、駐車支援が不可であると判定し、本処理を終了して、駐車支援を停止する。
そして、支援制御部75は、ステップST15において駐車経路生成部74が生成した駐車経路に基づいて支援装置6を制御し、自動制御により現在位置から目標駐車位置までの車両移動を実行する自動駐車支援や、情報提供による運転支援等を含む駐車支援を実行する(ステップST16)。
そして、支援制御部75は、駐車支援による駐車が完了したか否かを判定する(ステップST17)。例えば、支援制御部75は、車両2の駐車支援の実行中(つまり、車両2が移動中に)にデータ取得部71により取得された車両2の現在位置と、目標駐車位置設定部73により設定された目標駐車位置とが一致するか否かを判定することで、駐車支援による駐車が完了したか否かを判定する。この場合、支援制御部75は、現在位置と目標駐車位置が一致すれば、駐車が完了したと判定する。一方、支援制御部75は、現在位置と目標駐車位置が一致しなければ、駐車は完了していないと判定する。
ここで、支援制御部75は、駐車支援による駐車が完了したと判定した場合(ステップST17:Yes)、本処理を終了して、駐車支援を停止する。
一方、支援制御部75は、駐車支援による駐車は完了していないと判定した場合(ステップST17:No)、更に、車両2の直近かつ路面判定不可な領域に駐車経路が存在しないか否かを判定する(ステップST18)。つまり、支援制御部75は、上述の図6に示すように、駐車支援により駐車経路に従って車両2が走行中に、対象領域内の路面未検出領域を検出装置で路面検出できないか再判定し、生成した駐車経路が、検出装置で路面検出できなかったと再判定された領域である移動不可領域内にあるか否かを判定する。ここで、支援制御部75は、車両2が移動不可領域の直前に移動した場合に、生成した駐車経路が移動不可領域内にあるか否かを判定する。本実施形態において、車両2が移動不可領域の直前に移動した場合とは、例えば、車両2の先端が移動不可領域の境界から数メートルの位置にある場合などを含む。
ここで、支援制御部75は、車両2の直近かつ路面判定不可な領域に駐車経路が存在しない場合(ステップST18:No)、つまり、生成した駐車経路が移動不可領域内にないと判定した場合、ステップST16へ移行し、駐車支援を継続する。
一方、支援制御部75は、車両2の直近かつ路面判定不可な領域に駐車経路が存在する場合(ステップST18:Yes)、つまり、生成した駐車経路が移動不可領域内にあると判定した場合、上述の図6に示すように、駐車支援を中断し、移動不可領域を対象領域から除く(ステップST19)。その後、ステップST4の処理へ戻る。つまり、この場合、ECU7は、上述の図6に示すように、当該移動不可領域を除いた対象領域内で、駐車経路を再生成する。
以上で説明した実施形態に係る駐車支援装置1によれば、自動駐車支援に適用した場合、検出不能領域に近づくまで路面未検出領域が水溜りか崖かわからず、設定した駐車経路で駐車が完了できるかわからないため、駐車経路が何回も再設定される可能性があったが、この可能性を予め低くしておくことで、操作性を向上させて、適切に駐車支援を行うことができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る駐車支援装置及び駐車支援方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、駐車経路生成部74が設定された対象領域内で現在位置から目標駐車位置までの駐車経路を生成する例を説明したが、これに限定されない。本発明の駐車支援装置1において、駐車経路生成部74は、対象領域が設定されない場合であっても、路面検出可能範囲に加えて、路面未検出領域を含む範囲で駐車経路を生成してもよい。例えば、駐車経路生成部74は、車両2の現在位置から目標駐車位置までの最短経路となる駐車経路だけでなく、現在位置から目標駐車位置まで経路を複数パターン生成してもよい。ここで、駐車経路生成部74は、検出装置が路面未検出領域内で障害物を検出した場合は、当該障害物を検出した方向の路面未検出領域を含む範囲で駐車経路を生成する。例えば、駐車経路生成部74は、生成した複数パターンの駐車経路から、障害物を検出した方向の路面未検出領域を含む範囲で生成された駐車経路を、車両2が実際に使用する駐車経路として決定してもよい。更に、駐車経路生成部74は、駐車経路が移動不可領域内にあると判定した場合、駐車支援を中断し、当該移動不可領域以外の路面未検出領域を含む範囲で駐車経路を再生成する。この駐車経路が移動不可領域内にあるか否かの判定は、車両2が停止している状況で判定してもよいし、車両2が最初に設定された駐車経路に沿って移動している状況で判定してもよい。例えば、駐車経路生成部74は、最初に設定された駐車経路に沿って移動している状況で、当該駐車経路が移動不可領域内にあると判定した場合、その位置における車両2の路面検出可能範囲に隣接する路面未検出領域に基づいて、移動不可領域以外の当該路面未検出領域を含む範囲で駐車経路を再生成してもよい。