ウエハリング交換のために、マガジン110をエレベータ手段にて昇降させるものでは、マガジン110の重量が大であるので、エレベータ手段の昇降力を大きなものとする必要があり、大型化するとともに、コスト高となっていた。
また、図13に示す装置では、ウエハリング保持部102において、ピックアップするものであるため、エジェクタピンと、エキスパンドリング等を配置することになる。すなわち、ピックアップ動作中に、エキスパンドリングにてウエハシート106に張力を付与し、この状態で、エジェクタピンでピックアップすべきチップを押し上げるようにする。
このため、図13に示すように、ウエハリング交換位置とピックアップ位置とを同一位置とすれば、ウエハリング交換動作時にはピックアップ動作を行うことができず、ピックアップ動作時には、ウエハリング交換動作を行うことができない。従って、全体としての作業時間が大となっていた。
そこで、図14に示すように、ウエハリング交換位置とピックアップ位置とを相違させることを提案できる。すなわち、図14に示すチップ実装装置では、ウエハリング交換ステージ120と、ウエハリング121を複数段に保持するマガジン122の昇降用のリングエレベータ123と、ウエハリング交換手段124とを備える。ウエハリング交換手段124としては、前記図13に示す移送アーム111を用いることができる。
この場合、ウエハリング交換位置に関してエレベータ123とウエハリング交換手段124とが180度反対位置に配設される。エレベータ123にてマガジン122を昇降させて、ピックアップすべきチップを有するウエハリング121(使用前ウエハリング)を移送アーム111にてチャックして、マガジン122から引き出してウエハリング交換ステージ120上に配置する。また、チップのピックアップが完了したウエハリング121(使用後ウエハリング)をウエハリング交換ステージ120に戻し、この交換ステージ120上で移送アーム111にてチャックして、マガジン122に収容する。
なお、この装置では、ウエハリング121がピックアップ位置と交換ステージ120との間を矢印Cのように往復動する。また、ウエハリング121は、エレベータ123と交換ステージ120との間を矢印Bのように往復動する。
また、ピックアップ位置はウエハリング交換位置の斜め後方に配置される。すなわち、ピックアップ位置とウエハリング交換位置との間を往復動するエキスパンダ機構125を有し、エキスパンダ機構125がウエハリング交換位置に位置した際に、ウエハリング121の交換作業が行われ、エキスパンダ機構125がピックアップ位置に位置した際に、エキスパンダ機構125にて、ウエハシートに張力を付与し、この状態で、エジェクタピンでピックアップすべきチップを押し上げるようにする。
しかしながら、図14に示すような実装装置では、マガジン122と、リング交換位置と、ウエハリング交換手段待機位置とが、直線上に配置されることになり、装置全体の幅寸法が大となる。
各部材の構成を考慮すれば、ピックアップ位置での中心位置POが、リング交換位置での中心位置COよりも装置外方に配置する必要があった。そのため、装置全体の幅寸法が大となっていた。
ところで、このような実施装置には、基板のアイランドに接着剤を塗布するプリフォーム手段と、基板のアイランドにチップを実装するボンディング手段とが設けられる。このため、プリフォーム手段によるプリフォーム動作の調整、ボンディング手段によるボンディング動作の調整等を必要とする。ボンディング動作は、ウエハシートからチップをピックアップするピックアップ動作と、ピックアップしたチップを基板のアイランドにボンディングするボンディング動作とがあり、各動作の調整を必要とする。
従って、全体のコンパクト化を図ることができない図14に示す装置では、各種の調整作業を行う部位が作業し難い位置に配置されることになって、各種の作業を行い難い欠点がある。また、マガジンを載置する載置台が比較的高位に配置される。このため、重量物であるマガジンを高位の載置台に載置する作業が作業者にとって重労働になっていた。
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、ウエハリングの交換動作を安定して行うことができるウエハリング交換装置およびこのようなウエハリング交換装置を用いて小型化が可能なチップ実装装置を提供する。
本発明のウエハリング交換装置は、ウエハシートを保持しているウエハリングを複数段備えたリングマガジンと、このリングマガジンの使用前ウエハリングを交換ステージに供給するとともに、交換ステージの使用後ウエハリングをリングマガジンに戻すリングチェンジャとを備えたウエハリング交換装置であって、リングチェンジャは、上下2段にウエハリングを保持するリング保持体と、このリング保持体を上下動させる上下動機構と、リング保持体のウエハリングを交換ステージに供給するとともに、交換ステージのウエハリングをリング保持体に戻す一機の供給・戻し機構と、前記供給・戻し機構におけるリング保持体の上段のウエハリングに対応する上供給・戻し位置とリング保持体の下段のウエハリングに対応する下供給・戻し位置との切換を行う切換機構とを備え、前記リング保持体は、交換ステージの側方に位置するとともに、ピックアップ位置は、リング保持体と交換ステージとが配設される配設直線ラインに対して直交する配設ライン上に配置され、リング交換時においてリングマガジンは交換ステージの下方に配置されるとともに、交換ステージの下方の収納と前方への引き出しとが可能な引き出しステージを備え、このステージに前記リングマガジンが載置されるものである。
本発明のウエハリング交換装置によれば、上下動機構による昇降動作によって、上下2段にウエハリングを昇降させることができる。また、供給・戻し機構を上段のウエハリングに対応させれば、上段のウエハリングをこの供給・戻し機構にて、交換ステージへのウエハリング供給動作と交換ステージからのウエハリングの取り出しが可能となる。供給・戻し機構を下段のウエハリングに対応させれば、下段のウエハリングをこの供給・戻し機構にて、交換ステージへのウエハリング供給動作と交換ステージからのウエハリングの取り出しが可能となる。このように、各段のウエハリングの交換動作を安定して行うことができる。また、上下動機構を備えているので、ウエハリング交換作業時以外において、リング保持体を下降させておくことができる。また、マガジンを交換ステージの下方位置に位置されることができる。このため、引き出しステージを前方へ引き出した状態では、このステージは低位置に位置していることになる。しかも、この引き出し状態では、引き出しステージの上方に他の部材が無い状態である。
供給・戻し機構は、下供給・戻し位置で交換ステージの使用後ウエハリングをリング保持体に戻し、上供給・戻し位置でリング保持体の使用前ウエハリングを交換ステージに供給するようにできる。
供給・戻し機構は、ウエハリングのチャックを可能とする開閉機能付きチャック部と、チャック部にてチャックしているウエハリングを水平方向に沿って搬送する搬送機構とを備えたもので構成できる。
このように設定することによって、マガジンを交換ステージの下方位置に位置されることができる。このため、引き出しステージを前方へ引き出した状態では、このステージは低位置に位置していることになる。しかも、この引き出し状態では、引き出しステージの上方に他の部材が無い状態である。
本発明のチップ実装装置は、前記ウエハリング交換装置と、前記交換ステージの後方側に配置されるボンディング装置を備えたチップ実装装置であって、前記ボンディング装置は、基板をその搬送方向に沿って上流側から下流側に向かってピッチ送りする搬送手段と、接着剤を塗布すべき基板のアイランドがプリフォーム位置に搬送された際に、このアイランドに接着剤を塗布するプリフォーム手段と、接着剤が塗布されたアイランドがボンディング位置に搬送された際に、このアイランドにチップをボンディングするボンディング手段とを備えるものである。
前記チップ実装装置によれば、プリフォーム手段とボンディング手段とを備えているので、接着剤を塗布すべき基板のアイランドがプリフォーム位置に搬送された状態でこのアイランドに接着剤を塗布することができる。また、接着剤が塗布されたアイランドがボンディング位置に搬送された状態でこのアイランドにチップをボンディングできる。
本発明のリングチェンジャでは、リングチェンジャの上下動機構による昇降動作では、上下2段にウエハリングのみを昇降させればよいので、上下動機構の小型化を図ることができる。しかも、各段のウエハリングの交換動作を安定して行うことができる。また、ウエハリング交換作業時以外において、リング保持体を下降させておくことができ、装置に対する各種の調整やメンテナンス性の一層の向上を図ることができる。
供給・戻し機構として、開閉機能付きチャック部と搬送機構とを備えたものでは、ウエハリングの交換作業を確実に行うことができる。ウエハリングのリングマガジンからのリング保持体への供給と、ウエハリングのリング保持体からのリングマガジンへの戻しが可能であれば、リングマガジンと交換ステージとの間で、ウエハリングの交換作業を行うことができ、作業性の向上および装置のコンパクト化に一層寄与する。
リングチェンジャを、交換ステージと交換ステージの下方位置に収納されたリングマガジンとの側方に配置するようにすれば、装置全体のコンパクト化及び交換作業時間の短縮化を図ることができる。
引き出しステージを有するものでは、引き出しステージを前方へ引き出した状態で、このステージが低位置に位置することになって、このステージへのマガジン載置作業の軽減を図ることができる。しかも、引き出しステージを収納すれば、マガジンが交換ステージの下方に収納された状態となり、コンパクト化を達成できる。このため、装置に対する各種の調整やメンテナンス性の向上を図ることが可能である。また、引き出しステージの引き出し状態では、引き出しステージの上方に他の部材が無い状態であるので、マガジンの載置作業及び取り出し作業の容易化を図ることができる。
本発明のチップ実装装置は、プリフォーム手段とボンディング手段とを備えているので、プリフォーム動作とボンディング動作とを行うことができ、ウエハリングに収容されたマガジンを、引き出しステージにセットすれば、マガジンに収容されたウエハリングのチップを順次基板に実装することができ、作業性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1は本発明のチップ実装装置の簡略平面図を示す。このチップ実装装置は、リードフレームなどの基板1(図10参照)に半導体チップなどのチップ(ダイ)3をボンディングするためのものである。リードフレームとは、半導体パッケージの内部配線として使われる薄板の金属である。このため、本発明においては、基板1には、一般的にリードフレームと呼ばれるもの、及び種々の電子部品等が配置される基板(例えば、プリント基板等)を含むものとする。
このチップ実装装置は、長手方向に沿って所定ピッチで複数個のアイランドが形成された基板1(図10参照)を、その長手方向に沿って複数枚を順次図2に示す基板搬送手段14を介して搬送して、上流側のプリフォーム位置で、基板1のアイランドに接着剤4(図11参照)を塗布した後、下流側のボンディング位置で前記基板1のアイランドにチップ3をボンディングするものである。
チップ実装装置の全体構成は、図2に示すように、基板1のアイランドに接着剤4を塗布するプリフォーム手段12と、プリフォーム手段12にて接着剤4が塗布されたアイランドにチップ3をボンディングするボンディング手段13と、基板1を搬送する基板搬送手段14と、後述する図12に示すウエハシート27を保持しているウエハリング28を交換するリングチェンジャ15と、ウエハリング28を図1に示す交換ステージ30からピックアップ位置に搬送する往復動手段16とを備える。
プリフォーム手段12、ボンディング手段13、基板搬送手段14、リングチェンジャ15、及び往復動手段16は、制御手段17にて制御される。制御手段17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。制御手段17には、記憶手段としての記憶装置が付設される。記憶装置は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD−R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等からなる。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
搬送手段14は、例えば、基板1をクランプするクランプ機構と、このクランプ機構のクランプ部を上流側から下流側に向かって移動させる駆動機構とを備える。駆動機構には、例えば、サーボモータ等を使用することができ、制御手段17の制御によって、基板1を任意のピッチ(設定したピッチ)で下流側へ送ることができる。すなわち、基板1のアイランドをプリフォーム位置とボンディング位置とに、順次、送ることができる。
搬送手段14として、駆動輪と、従動輪と、これらに掛け回されるベルトとを備えたベルトフィーダ等のフィーダと、このフィーダを駆動するための駆動機構とを備えたものであってもよい。この場合、基板1がフィーダに供給されれば、位置決め手段(例えば、基板の形成される貫孔に嵌合するピン等)によって位置決めされた状態でフィーダ上に配置される。駆動機構としては、例えばサーボモータ等を使用することができ、制御手段17の制御によって、設定した任意の回転角度にフィーダの駆動輪を駆動させて、基板1を任意のピッチ(設定したピッチ)で下流側へ送ることができる。
プリフォーム位置では、基板1のアイランドに接着剤4を塗布するプリフォーム工程(ディスペンス工程)が行われる。このため、プリフォーム手段12は、図10に示すように、例えば接着剤4(図11参照)を吐出するノズル20を有する接着剤塗布用シリンジ21と、このシリンジ21をX軸方向(図1に示す矢印X1、X2方向)とY軸方向(図1に示すY1、Y2方向)とZ軸方向(上下方向)とに駆動させてXYZステージ22とを備える。すなわち、XYZステージ22は、X軸方向に駆動するXステージ22aと、Y軸方向に駆動するYステージ22bと、Z軸方向に駆動するXステージ22cとを備える。
このため、シリンジ21は、X軸方向に沿った移動と、Y軸方向に沿った移動と、Z軸方向に沿った移動とが可能である。これによって、プリフォーム時にアイランドの位置にこのノズル20が対応して、このノズル20から吐出量(塗布量)が制御された状態で、接着剤4がアイランドに吐出されることになる。なお、XYZステージ22には、アイランドの検出用のカメラ23が付設されている。
また、ボンディング位置では、接着剤4が塗布されたアイランドにチップ(ダイ)3を搬送して、この接着剤4上に配置するボンディングが行われることになる。このため、ボンディング手段13は、ピックアップ位置25に配置されるウエハリング28のチップ3を吸着するコレット26を有するボンディングアーム(図示省略)と、ウエハリング28のチップ3を観察する確認用カメラ(図示省略)と、ボンディング位置でリードフレーム(基板)1のアイランドを観察する確認用カメラ(図示省略)とを備える。
ウエハシート27は多数のチップ3に分割されている。すなわち、ウエハシート27は粘着シート(ダイシングシート)に貼り付けられ、このダイシングシートが環状のフレームに保持される。そして、このダイシングシート上のウエハシート27に対して、円形刃(ダイシング・ソー)等を用いて、個片化してチップ3を形成する。また、コレット26を保持しているボンディングアームは搬送手段(図示省略)を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。
また、このコレット26は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ3が真空吸引され、このコレット26の下端面にチップ3が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット26からチップ3が外れる。
次にこのボンディング手段を使用したボンディング方法を説明する。まず、供給部25の上方に配置される確認用カメラにてピックアップすべきチップ3を観察して、コレット26をこのピックアップすべきチップ3の上方に位置させた後、矢印Z1のようにコレット26を下降させてこのチップ3をピックアップする。その後、矢印Z2のようにコレット26を上昇させる。
次に、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラにて、ボンディングすべきリードフレーム1のアイランドを観察して、コレット26を矢印Y3方向へ移動させて、このアイランドの上方に位置させた後、コレット26を矢印Z3のように下降移動させて、このアイランドにチップ3を供給する。また、アイランドにチップ3を供給した後は、コレット26を矢印Z4のように上昇させた後、矢印Y4のように、ピップアップ位置の上方の待機位置に戻す。
すなわち、コレット26を、順次、矢印Z1、Z2、Y3、Z3、Z4、Y4のように移動させることによって、ピックアップ確認用カメラの観察に基づいて位置決めされたチップ3をコレット26でピックアップし、このチップ3をアイランドに実装することになる。
ところで、ウエハリング28は、往復動手段16にて、交換ステージ30とピップアップ位置との間を矢印Cのように往復動することになる。往復動手段16として例えば、XYテーブル等で構成することができる。また、XYテーブル上には、加圧リング18を有するエキスパンダ19(図3参照)が配設される。
交換ステージ30の下方には、ウエハリング28が複数段に収容されるリングマガジン31(図3等参照)が載置される引き出しステージ32が配置される。引き出しステージ32は、リングマガジン31が載置固定される基板台33と、この基板台33の引き出し・収納をガイドするガイド機構とを備える。
ガイド機構は、例えば、基板台33の側面に設けられる左右一対のガイド用長凹部と、この装置の枠体側に設けられて相対面する一対のガイドローラとを備えたもので構成できる。この場合、各ガイド用長凹部は基板台33の前後方向に延び、各ガイド用長凹部に各ガイドローラが嵌合する。なお、ガイド機構として、ガイドレールを備えたものであってもよい。
このため、基板台33を、図1の実線で示すように、交換ステージ30の下方位置に収納される収納状態から、基板台33を手前に引き出せば、図1の仮想線で示すように、交換ステージ30よりも前方に引き出すことができる。また、この引き出した状態から、基板台33を後方へ押し込めば、図1の実線で示すように、基板台33が交換ステージ30の下方位置に収納される収納状態となる。
交換ステージ30の側方にはリングチェンジャ15を備えたリング交換装置が配設されている。図3に示すように、リングチェンジャ15は、上下2段にウエハリング28を保持するリング保持体41と、このリング保持体41を上下動させる上下動機構42と、リング保持体41のウエハリング28をチャックして交換ステージ30に供給するとともに、交換ステージ30のウエハリング28をチャックしてリング保持体に戻す供給・戻し機構43と、供給・戻し機構におけるリング保持体41の上段のウエハリング28に対応する上供給・戻し位置とリング保持体41の下段のウエハリング28に対応する下供給・戻し位置との切換を行う切換機構44とを備える。
リング保持体41は、上方に配置される第1受け台41aと、下方に配置される第2受け台41bとを有し、上下一対の受け台41a、41bが前記切換機構44にて上下動する。このため、切換機構44としては、シリンダ機構、ボール・ナット機構、リニアガイド機構等の既存の往復動機構にて構成できる。
この場合、切換機構44としての往復動機構が前記上下動機構42に付設され、上下動機構42の駆動によって切換機構44とリング保持体41とが上下動(昇降)する。なお、上下動機構42としても、シリンダ機構、ボール・ナット機構、リニアガイド機構等の既存の往復動機構にて構成できる。
供給・戻し機構43は、ウエハリング28のチャックを可能とする開閉機能付きチャック部43aと、チャック部43aにてチャックしているウエハリング28を水平方向に沿って矢印Bのように搬送する搬送機構43bとで構成できる。チャック部43aは、その基部側を中心に揺動する一対の揺動片45、45と、この揺動片45,45を揺動させる揺動機構(図示省略)とを有する。揺動機構としては、歯車機構、リンク機構、トグル機構等の各種の既存の機構を用いることができる。そして、図示省略の駆動源(モータ)の駆動によって、揺動機構を介して、揺動片45、45が揺動して開閉動作を行う。
搬送機構43bは、チャック部43aに連結される往復動機構によって構成できる。この場合も、シリンダ機構、ボール・ナット機構、リニアガイド機構等の既存の往復動機構にて構成できる。
ところで、この装置においては、図1に示すように、ピックアップ位置でのウエハリング28の中心位置POは、交換ステージ30上のウエハリング28の中心位置COよりも装置内側に配置される。すなわち、ピックアップ位置での中心位置POが、交換ステージ30の中心位置COよりもリングチェンジャ15側に位置するように設定している。
これに対して、図14に示す従来の装置では、各部材の構成を考慮すれば、ピックアップ位置での中心位置POが、リング交換位置での中心位置COよりも装置外方に配置する必要があった。そのため、装置全体の幅寸法が大となっていた。
次に前記のように構成されたリングチェンジャ15を用いて、交換ステージ30上でのウエハリング28の交換動作を図3〜図9を用いて説明する。図3(a)に示す状態は、マガジン31の最上段のウエハリング28(28a)が、ピックアップ位置に位置した状態で、マガジン31の上から2段目のウエハリング28(28b)が、リングチェンジャ15のリング保持体41の第1受け台41aに載置されている状態である。この状態では、リング保持体41の第1受け台41bにはウエハリング28が載置されていない状態である。
この図3(a)に示す状態から図3(b)に示すように、ピックアップ位置に位置しているウエハリング28aを、往復動手段16、つまりXYテーブルを駆動させることによって、交換ステージ30上に位置させる。この状態で、図3(c)に示すように、XYテーブル上の加圧リング18を矢印E1方向に上昇させるとともに、リング保持体41を上下動機構42にて矢印D1のように上昇させる。
その後は、図4(a)に示すように、第1受け台41aに受けられているウエハリング28bから供給・戻し機構43にチャックを解除するとともに、この供給・戻し機構43のチャック部43aを矢印A2のように後退させる。この後退は、供給・戻し機構43をリミット位置(最大後退位置)まで退避させる。次に図4(b)に示すように、切換機構44によって、保持体41を矢印D2のように上昇させて、第1受け台41aと第2受け台41bとの間に供給・戻し機構43が介在される状態とする。その後、図4(c)に示すように、供給・戻し機構43を矢印A1のように前進させてリミット位置から脱出させる。
次に、図5(a)の矢印B1に示すように、供給・戻し機構43のチャック部43aを交換ステージ30上に位置させる。そして、このチャック部43aにて、交換ステージ30上のウエハリング28aをチャックする。その後、チャックしたままチャック部43aを後退させて、図5(b)の矢印B2に示すように、リングチェンジャ15側に戻して、切換機構44を調整して、第2受け台41b上のウエハリング28aを、図5(c)の矢印D3に示すように、交換ステージ30の交換可能高さ位置に調整する。
その後、図6(a)に示すように、供給・戻し機構43のチャック部43aを開状態として矢印A2方向にリミット位置まで退避させる。その後、リング保持体41を矢印D4のように下降させて、図6(b)に示すように、第1受け台41a上のウエハリング28bの高さ位置を交換ステージ30の交換可能高さ位置に調整する。その後、図6(c)の矢印A1に示すように、チャック部43aを前進させて原点に復帰させる。
次に、図7(a)の矢印A1に示すように、チャック部43aを前進させて、第1受け台41a上のウエハリング28bをチャックする。その後、図7(b)の矢印B1に示すように、チャック部43aを前進させて、このウエハリング28bをXYステージ上に搬送した後、チャック部43aを開状態として、図7(c)の矢印B2に示すように、後退させる。
その後、図8(a)に示すように、チャック部43aを矢印A2方向にリミット位置まで退避させるとともに、加圧リング18を矢印E2のように下降させて、図8(b)に示す状態として、リング保持体41を矢印D5に示すように上昇させる。次に、図8(c)の矢印A1に示すように、チャック部43aを前進させて原点に復帰させる。
その後、図9(a)の矢印A1に示すように、チャック部43aを前進させて、リング保持体41の第2受け台41b上のウエハリング28aをチャックした後、図9(b)の矢印D6に示すように、リング保持体41を下降させる。そして、図9(c)に示すように、XYテーブルにてこのXYテーブル上のウエハリング28bを矢印C2方向に移送させてピックアップ位置まで搬送する。
このように、交換ステージ30上で、ピップアップが完了したウエハリング28(使用後ウエハリング28a)と、ピップアップが完了していないウエハリング28(使用前ウエハリング28b)との交換作業が終了する。
本発明では、引き出しステージ32を前方へ引き出した状態で、このステージ32が低位置に位置することになって、このステージ32へのマガジン載置作業の軽減を図ることができる。しかも、引き出しステージ32を収納すれば、マガジン31が交換ステージ30の下方に収納された状態となり、コンパクト化を達成できる。このため、装置に対する各種の調整やメンテナンス性の向上を図ることが可能である。また、引き出しステージ32の引き出し状態では、引き出しステージ32の上方に他の部材が無い状態であるので、マガジン31の載置作業及び取り出し作業の容易化を図ることができる。
ピックアップ位置でのウエハリング28の中心位置POを、交換ステージ30上のウエハリング28の中心位置COよりも装置内側に配置することによって、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
リングチェンジャ15の上下動機構42による昇降動作では、上下2段にウエハリング28,28のみを昇降させればよいので、上下動機構42の小型化を図ることができる。リングチェンジャ15を備えたものでは、各段のウエハリング28,28の交換動作を安定して行うことができる。しかも、ウエハリング交換作業時以外において、リング保持体41を下降させておくことができ、装置に対する各種の調整やメンテナンス性の一層の向上を図ることができる。
供給・戻し機構43として、開閉機能付きチャック部43aと搬送機構43bとを備えているので、ウエハリング28の交換作業を確実に行うことができる。ウエハリング28のリングマガジン31からのリング保持体41への供給と、ウエハリング28のリング保持体41からのリングマガジン31への戻しが可能であるので、リングマガジン31と交換ステージ30との間で、ウエハリング28の交換作業を行うことができ、作業性の向上および装置のコンパクト化に一層寄与する。
リングチェンジャ15を、交換ステージ30と交換ステージ30の下方位置に収納されたリングマガジン31との側方に配置するようにすれば、装置全体のコンパクト化及び交換作業時間の短縮化を図ることができる。
プリフォーム手段12とボンディング手段13とを備えているので、プリフォーム動作とボンディング動作とを行うことができ、ウエハリング28に収容されたマガジン31を、引き出しステージ32にセットすれば、マガジン31に収容されたウエハリング28のチップ3を順次基板に実装することができ、作業性に優れる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、使用後のウエハリング28を第2受け台41bに戻し、第1受け台41aのウエハリング28を交換ステージ上に搬送するようにしていたが、逆に、使用後のウエハリング28を第1受け台41aに戻し、第2受け台41bのウエハリング28を交換ステージ上に搬送するようにしてもよい。また、前記実施形態では、リングチェンジャ41を正面から見て左側に配置していたが、リングチェンジャ41を正面から見て右側に配置するものであってもよい。供給・戻し機構43としては、前記実施形態では、チャック機構を用いたが、このようなチャック機構を用いることなく、ウエハリングを押圧するような機構であってもよい。