JP5954693B2 - インシュレータ及び回転電機 - Google Patents

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Description

開示の実施形態は、インシュレータ及び回転電機に関する。
特許文献1には、円周方向に分割され電磁鋼板を積層した固定子ピースに巻線を巻装した固定子分割体を所定数環状に接合固着して形成されるモータの固定子において、固定子ピースの少なくとも巻線を施す部位の最外層に設けられるインシュレータが記載されている。
特開2004−201429号公報
モータの固定子においては、コイル線の絶縁や冷却、保護等のために、インシュレータのコイル線部分に樹脂を充填する場合がある。しかしながら、上記従来技術のインシュレータでは、コイル線とインシュレータとの間に隙間が生じにくく、樹脂が十分に充填されないという課題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、コイル線部分に樹脂を十分に充填することが可能なインシュレータ及び回転電機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、回転電機の固定子鉄心のティースに装着されコイル線が巻き付けられるように構成された筒状の胴部と、前記胴部の両端の開口部の少なくとも一方に設けられ、前記胴部の外周側に向けて突出した鍔部と、前記鍔部に備えられ、前記鍔部の厚み方向に凹んだ凹部が前記胴部側の面に形成された第1の辺部と、を有し、前記凹部には、前記胴部の周囲を周回する前記コイル線の一部が収容されているインシュレータが適用される。
また、上記課題を解決するため、本発明の別の観点によれば、固定子鉄心と、前記固定子鉄心のティースに装着された前記インシュレータと、前記固定子鉄心の内周側に回転可能に配置されたシャフトと、前記シャフトに固定された回転子と、を有する回転電機が適用される。
また、上記課題を解決するため、本発明のさらに別の観点によれば、回転電機の固定子鉄心のティースに装着されコイル線が巻き付けられるように構成された筒状の胴部と、前記胴部の両端の開口部の少なくとも一方に設けられ、前記胴部の外周側に向けて突出した鍔部と、前記胴部に巻き付けられた前記コイル線と前記鍔部との間に隙間を形成する手段と、を有するインシュレータが適用される。
本発明によれば、コイル線部分に樹脂を十分に充填することができる。
一実施形態の回転電機の構成を表す縦断面図である。 固定子及びフレームの構成を表す斜視図である。 分割鉄心の構成を表す正面図である。 (a)はインシュレータの2つの部品の構成を表す平面図であり、(b)はインシュレータの構成を表す平面図である。 インシュレータの部品の構成を表す斜視図である。 図4(a)中A−A断面による縦断面図である。 コイル線が巻き付けられたインシュレータの構成を表す正面図である。 図7中B−B断面による縦断面図である。 比較例のインシュレータの構成を表す縦断面図である。 一実施形態の効果を説明するための説明図である。 凹部の形成方法のバリエーションに係る変形例における、インシュレータの部品の縦断面図である。
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
<回転電機の構成>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態の回転電機の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の回転電機1は、略円筒状の固定子2と、固定子2の内周側に配置された回転子3とを有する。つまり、回転電機1は、固定子の内周側に回転子を配置した、いわゆるインナーロータ型の回転電機(電動機又は発電機)である。
固定子2は、複数の分割鉄心50により構成される略円筒状の固定子鉄心5と、複数の分割鉄心50にそれぞれ装着された複数のインシュレータ(「ボビン」ともいう)6と、複数のインシュレータ6にそれぞれ巻き付けられた複数のコイル線(「巻線」ともいう)7とを有する。なお、固定子鉄心5は、複数の分割鉄心50により構成されるものに限定されるものではなく、1つの製品により構成されてもよい。具体的には、固定子2は、分割鉄心50、インシュレータ6、及びコイル線7の組み立て体200を12個有しており、これら12個の組み立て体200が略円環状に並べられて連結されることにより、固定子2が構成される。なお、固定子は、12個よりも少ない又は多い組み立て体が連結されることにより構成されてもよい。
固定子2の反負荷側には、12本のコイル線7それぞれの端部7a(以下適宜「コイル線端部7a」という。図2中では図示省略)を所定の結線パターンで結線処理する略円環状の結線基板100が設けられている。結線基板100には、各コイル線端部7aが接続されて半田Hにより固定されている。また、結線基板11には、リード線(図示省略)を介し外部電源(図示省略)が接続されており、外部電源からリード線及び結線基板100を介し各コイル線7への給電が行われる。
そして、結線基板100及び固定子2の各インシュレータ6や各コイル線7等は、圧入された樹脂による樹脂モールド部15により一体的に覆われてモールド成形されている。
また、固定子2の外周側には、略円筒状のフレーム4が設けられている。フレーム4の負荷側(図1中右側)端部には、当該フレーム4の負荷側の開口部を塞ぐように、負荷側ブラケット11が設けられている。また、フレーム4の反負荷側(図1中左側)端部には、当該フレーム4の反負荷側の開口部を塞ぐように、反負荷側ブラケット13が設けられている。
また、固定子2の内周側には、回転軸心kを備えたシャフト10が設けられている。シャフト10は、負荷側ブラケット11に外輪が嵌合された負荷側軸受12と、反負荷側ブラケット13に外輪が嵌合された反負荷側軸受14とにより、回転軸心kまわりに回転自在に支持されている。
回転子3は、シャフト10の外周に設けられ、固定子2に対しシャフト10の径方向に磁気的空隙を介し対向配置されている。この回転子3は、シャフト10に固定された略円筒状の回転子鉄心8と、回転子鉄心8に設けられた複数の永久磁石9とを有する。
<分割鉄心の構成>
次に、図3を参照しつつ、上記分割鉄心50の構成について説明する。
図3に示すように、分割鉄心50は、略円弧状のヨーク51と、ヨーク51からその内周側に突出したティース52とを有する。
ティース52は、略長方形状のティース基部52aと、ティース基部52aの先端からヨーク51の円弧方向両側に向けて突出したティース端部52bとを備える。
ティース基部52aには、上記インシュレータ6(図3中では一点鎖線で図示)が装着される(詳細は後述)。
<インシュレータの構成>
次に、図4〜図8を参照しつつ、上記インシュレータ6の構成について説明する。なお、図4(a)には、インシュレータ6の2つの部品を連結する前の状態を図示し、図4(b)には、上記2つの部品を連結した後の状態を図示している。また、図5(a)(b)及び図6には、上記2つの部品のうちの1つを図示している。
図4〜図8に示すように、インシュレータ6は、例えば共通の金型を用いて成型された、互いに同一形状の2つの部品60,60により構成されている(図4(b)参照)。なお、インシュレータ6は、互いに形状の異なる2つの部品により構成されてもよいし、3つ以上の部品により構成されてもよい。また、インシュレータ6は、複数の部品により構成(分割構成)されたものに限定されるものではなく、1つの製品により構成されてもよい。
各部品60は、互いに同一方向側に位置する2つの端部60a,60bと、胴部片61と、2つの鍔部片62,63とを有する。
胴部片61は、短辺部61aと、短辺部61aの一端に設けられた(端部60aに対応する側の)長辺部片61bと、短辺部61aの他端に設けられた(端部60bに対応する側の)長辺部片61cとを備える。
鍔部片62は、胴部片61の一端(図4(a)(b)中紙面手前側)の開口部61dの縁に略沿って設けられ、胴部片61の外周側に向けて突出して形成されている。
鍔部片63は、胴部片61の他端(図4(a)(b)中紙面奥側)の開口部61eの縁に略沿って設けられ、胴部片61の外周側に向けて突出して形成されている。この鍔部片63の突出寸法は、鍔部片62の突出寸法よりも小さく形成されている。なお、鍔部片63の突出寸法は、鍔部片62の突出寸法と等しく形成されてもよいし、鍔部片62の突出寸法よりも大きく形成されてもよい。
端部60aにおける鍔部片62に対応する位置には、突起部68が設けられ、端部60bにおける鍔部片62に対応する位置には、突起部68を挿入可能な挿入部69が設けられている。つまり、端部60aは一方側の端部に相当し、端部60bは他方側の端部に相当する。なお、端部60aにおける鍔部片62に対応する位置に代え又は加え、鍔部片63や胴部片61に対応する位置に突起部が設けられ、端部60bにおける鍔部片62に対応する位置に代え又は加え、鍔部片63や胴部片61に対応する位置に挿入部が設けられてもよい。
また、この例では、端部60aに突起部68が設けられ、端部60bに挿入部69が設けられているが、端部60bに突起部が設けられ、端部60aに挿入部が設けられてもよい。この場合、端部60bが一方側の端部に相当し、端部60aが他方側の端部に相当することとなる。
そして、一方の部品60の突起部68が他方の部品60の挿入部69に挿入されるとともに、他方の部品60の突起部68が一方の部品60の挿入部69に挿入されるように、部品60,60が互いに点対称の配置関係で連結されることにより、インシュレータ6が構成される(図4(a)(b)参照)。なお、部品60,60が突起部68及び挿入部69を備えず、部品60,60が接着剤やネジ等により連結されることにより、インシュレータ6が構成されてもよい。
具体的には、特に図示はしないが、部品60,60は、上記配置関係で、胴部片61,61によりティース基部52aを狭持するように分割鉄心50のティース52に装着されつつ、上記のように連結され、インシュレータ6となる。このようなインシュレータ6では、胴部片61,61が合わさることにより筒状の胴部610が形成され、鍔部片62,62が合わさることにより鍔部620が形成され、鍔部片63,63が合わさることにより鍔部630が形成される。
胴部610は、一方の胴部片61の長辺部片61bと他方の胴部片61の長辺部片61cとが合わさることにより形成された2つの長辺部611,611と、胴部片61,61それぞれの2つの短辺部61a,61aとを備えた、略長方形状の筒体である。なお、胴部610は、互いに略同一寸法となる4つの辺部を備えた略正方形状の筒体であってもよい。
この胴部610は、上記のようにして分割鉄心50のティース52に装着され、その周囲には、上記コイル線7が積層しつつ巻き付けられる。なお、図7中では、インシュレータ6の胴部610の周囲に積層しつつ巻き付けされたコイル線7の複数層のうちの1層目及び2層目以外の図示を省略している。この際、胴部610では、長辺部611,611及び短辺部61a,61aのうちいずれか1つの辺部においてコイル線7がクロスして積層される。ここで、コイル線7がクロスして積層された辺部(以下適宜「クロス辺部」という)においては、コイル線7が整列巻きされた他の辺部(以下適宜「非クロス辺部」という)に比べ、コイル寸法が増大する。このため、固定子2において隣り合うインシュレータ6のコイル線7同士が対向する長辺部611ではなく、短辺部61aをクロス辺部とするのが通常である。本実施形態では、一方の短辺部61aがクロス辺部とされている(図7参照)。以下適宜、クロス辺部である短辺部61aを「クロス短辺部61a」というとともに、非クロス辺部である短辺部61aを「非クロス短辺部61a」という。なお、一方の長辺部611がクロス辺部とされてもよい。
鍔部620は、双方の胴部片61,61の開口部61d,61dが合わさることにより形成された開口部612の縁に略沿って設けられ、胴部610の外周側に向けて突出して形成されている。この鍔部620は、胴部610の長辺部611,611に対応する位置にそれぞれ設けられた2つの長辺部621,621と、胴部610の短辺部61a,61aに対応する位置にそれぞれ設けられた2つの短辺部622,222とを備える。
各短辺部622は、突出部64と、突出部64の両側にそれぞれ設けられた2つの側部65,65と、突出部64と側部65,65との間にそれぞれ設けられた2つの切り込み部66,66とを備える。
突出部64は、短辺部622における胴部610の短辺部61aに対応する位置に設けられ、鍔部620の外周側に向けて突出して形成されている。この突出部64の胴部610側の面には、鍔部620の厚み方向に凹んだ凹部67が形成されている。
つまり、凹部67が形成された突出部64を備えた各短辺部622(クロス短辺部61aに対応する短辺部622及び非クロス短辺部61aに対応する短辺部622)は、第1の辺部に相当する。なお、各長辺部621の胴部610側の面には、鍔部620の厚み方向に凹んだ凹部が形成されていない。つまり、各長辺部621は、第2の辺部に相当する。なお、必ずしも短辺部622に凹部67を形成する必要はなく、巻き付けられたコイル線7が回転子3と対向する領域外となる辺部、つまり回転電機1の性能に与える影響が小さい領域に対応する辺部に凹部を設ければよい。また、各短辺部622に代え又は加え各長辺部621に、鍔部620の厚み方向に凹んだ凹部が胴部610側の面に形成されてもよい。この場合、各短辺部622に代え又は加え各長辺部621が、第1の辺部に相当することとなる。
なお、部品60,60を互いに同一形状としない場合(例えば部品60,60を別々の金型を用いて成型する場合等)には、短辺部622,622のうち、クロス短辺部61aに対応する短辺部622のみ(又は、非クロス短辺部61aに対応する短辺部622のみ)に、凹部67が形成されてもよい。この場合、短辺部622,622のうち、凹部67が形成されたクロス短辺部61aに対応する短辺部622のみ(又は、凹部67が形成された非クロス短辺部61aに対応する短辺部622のみ)が、第1の辺部に相当することとなる。
具体的には、突出部64の胴部610側の面は、鍔部620の外周側に向けて厚みが減少するテーパ面641となっており、このテーパ面641により上記凹部67が形成されている。なお、テーパ面641以外の構成により凹部67が形成されてもよい(詳細は後述の(1)の変形例等参照)。そして、凹部67により、胴部610の周囲に巻き付けられたコイル線7と鍔部620との間に隙間Sが形成されている(図8参照)。つまり、凹部67は、胴部に巻き付けられたコイル線と鍔部との間に隙間を形成する手段に相当する。なお、突出部64の胴部610側の面に凹部67を形成する以外の手段により、上記隙間Sを形成してもよい。また、上記隙間Sが形成されるので、コイル線7の張力により、当該コイル線7の凹部67内への移動(逃げ)が生じている(図8参照)。
各側部65は、長辺部621よりも厚みが大きく形成されている。つまり、各側部65は、肉厚部に相当する。なお、各側部65は、長辺部621と厚みが略等しく形成されてもよいし、長辺部621よりも厚みが小さく形成されてもよい。
一方の切り込み部66には、胴部610の周囲に巻き付けられるコイル線7の巻き始め側部分を挿入可能であり、他方の切り込み部66には、当該コイル線7の巻き終わり側部分を挿入可能である。
鍔部630は、双方の胴部片61,61の開口部61e,61eが合わさることにより形成された開口部613の縁に略沿って設けられ、胴部610の外周側に向けて突出して形成されている。
なお、この例では、鍔部620,630のうち一方の鍔部620に凹部67が設けられているが、鍔部620に代え又は加え他方の鍔部630に凹部が設けられてもよい。また、この例では、胴部610の開口部612,613にそれぞれ鍔部620,630が設けられているが、開口部612,613の一方のみに鍔部が設けられてもよい。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態のインシュレータ6は、胴部610と、鍔部620,630とを有する。胴部610は、筒状に形成されており、分割鉄心50のティース52に装着され、コイル線7が巻き付けられる。鍔部620,630は、胴部610の両端の開口部612,613にそれぞれ設けられ、胴部610の外周側に向けて突出して形成されている。
ここで、本実施形態による効果を説明する前に、図9を参照しつつ、本実施形態に対する比較例のインシュレータ6の構成について説明する。
図9に示すように、比較例のインシュレータ6では、鍔部620の胴部610側の面に、鍔部620の厚み方向に凹んだ凹部が形成されていない。したがって、胴部610に巻き付けられたコイル線7が鍔部620に接触し、コイル線7と鍔部620との間に隙間が形成されにくい。このため、インシュレータ6を樹脂でモールド成形する際に、コイル線7が巻き付けられたコイル線7部分に樹脂が充填されにくいという課題がある。
これに対し、本実施形態のインシュレータ6では、鍔部620が、鍔部620の厚み方向に凹んだ凹部67が胴部610側の面に形成された短辺部622を備える。これにより、短辺部622では、凹部67によりコイル線7と鍔部620との間に隙間Sを形成することができる(図8参照)。この隙間Sを介し、モールド成形の際に圧入された樹脂をコイル線7の間に流入させることが可能となるので、コイル線7部分に樹脂を十分に充填することが可能となる。その結果、固定子2の冷却作用や、コイル線7の絶縁、保護作用を高めることができる。
また、本実施形態では特に、インシュレータ6は、胴部610が長辺部611と短辺部61aを備えた略長方形状の筒体である。
ここで、本実施形態では、胴部610の長辺部611に巻き付けられたコイル線7が回転子3と対向する領域内となり、胴部610の短辺部61aに巻き付けられたコイル線7が回転子3と対向する領域外となる。この場合、胴部610の長辺部611におけるコイル線7の整列態様(例えば占積率)は回転電機1の性能に影響するが、胴部610の短辺部61aにおけるコイル線7の整列態様は回転電機1の性能に影響しない。
本実施形態では、鍔部620が、胴部610の短辺部61aに対応する位置に、凹部67が形成された短辺部622を備える。短辺部622では、凹部67によりコイル線7と鍔部620との間に隙間Sが形成されるため、コイル線7の張力により、当該コイル線7の凹部67内への移動が生じる(図8参照)。これにより、胴部610の短辺部61aにおけるコイル線7の整列態様に乱れが生じるが、回転電機1の性能に影響する長辺部611におけるコイル線7の整列態様には影響しない。したがって、回転電機1の性能に影響を与えることなく、コイル線7部分に樹脂を十分に充填可能なインシュレータ6を実現できる。
他方、胴部610の短辺部61aでは、長辺部611に比べ、巻き付けられるコイル線7の膨らみによりコイル寸法が増大しやすい。本実施形態では、鍔部620が胴部610の短辺部61aに対応する位置に凹部67が形成された短辺部622を備えるので、コイル線7の張力により当該コイル線7の凹部67内への移動(逃げ)を生じさせることにより、短辺部61aのコイル寸法を低減することが可能となる。このため、図10に示すように、本実施形態のインシュレータ6における胴部610の短辺部61aでのコイル寸法は、上記図9に示す比較例のインシュレータ6における胴部610の短辺部61aでのコイル寸法よりも小さくなる。
また、本実施形態では特に、鍔部620が、胴部610のクロス辺部(クロス短辺部61a)に対応する位置に、凹部67が形成された短辺部622を備える。これにより、クロス辺部(クロス短辺部61a)のコイル寸法を低減できるので、コイル寸法の低減効果をより有効に発揮させることができる。
また、本実施形態では特に、短辺部622が、鍔部620の外周側に向けて厚みが減少するように構成されたテーパ面641を有しており、このテーパ面641により凹部67が形成される。テーパ面641により、コイル線7と鍔部620との間に隙間Sを形成し易くすることができるので、樹脂をコイル線7部分に充填させる実効性を高めることができる。
また、本実施形態では特に、鍔部620が、凹部67が胴部610側の面に形成された短辺部622と、凹部が形成されていない長辺部621とを備える。短辺部622は、凹部67が形成されることによって強度が低下する。そこで本実施形態では、短辺部622が、長辺部621よりも厚みが大きな側部65を凹部67の両側に有する。この側部65により、短辺部622の強度を増大することが可能となり、インシュレータ6全体の強度が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態では特に、インシュレータ6が同一形状の2つの部品60,60を有する。各部品60は、端部60aに突起部68、端部60bに突起部68を挿入可能な挿入部69を有しており、互いに点対称の配置関係で連結されることにより、インシュレータ6が構成される。このような分割構成とすることにより、本実施形態のように(ティース端部52bの存在により)ティース52をインシュレータ6に差し込むことが不可能な場合でもインシュレータ6をティース52に装着することが可能となり、且つ、金型の共通化によるコストダウンを図ることができる。
<変形例等>
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)凹部の形成方法のバリエーション
上記実施形態では、鍔部620の短辺部622における突出部64の胴部610側の面をテーパ面641とすることにより、凹部67を形成していたが、凹部67の形成方法は、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、鍔部620の短辺部622における突出部64の厚みを略全体的に小さくする(突起部64の胴部610側の部分を欠損させる)ことにより、凹部67を形成してもよい。あるいは、特に図示はしないが、鍔部620の短辺部622における突出部64の胴部610側の面を円弧状や三角形状等にすることにより、凹部67を形成してもよい。これらの場合でも、上記実施形態と同様、コイル線7と鍔部620との間に隙間を形成し易くすることができるので、樹脂をコイル線7部分に充填させる実効性を高めることができる。
(2)その他
上記実施形態等では、回転電機1が固定子の内周側に回転子を配置したインナーロータ型の回転電機(電動機又は発電機)である場合を一例として説明したが、回転電機が、固定子の外周側に回転子を配置した、いわゆるアウターロータ型の回転電機(電動機又は発電機)である場合にも適用可能である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 回転電機
3 回転子
5 固定子鉄心
6 インシュレータ
7 コイル線
10 シャフト
52 ティース
60 部品
60a 端部(一方側の端部)
60b 端部(他方側の端部)
61a 短辺部
65 側部(肉厚部)
67 凹部(胴部に巻き付けられたコイル線と鍔部との間に隙間を形成する手段)
68 突起部
69 挿入部
610 胴部
611 長辺部
612 開口部
613 開口部
620 鍔部
621 長辺部(第2の辺部)
622 短辺部(第1の辺部)
630 鍔部
641 テーパ面

Claims (7)

  1. 回転電機の固定子鉄心のティースに装着されコイル線が巻き付けられるように構成された筒状の胴部と、
    前記胴部の両端の開口部の少なくとも一方に設けられ、前記胴部の外周側に向けて突出した鍔部と、
    前記鍔部に備えられ、前記鍔部の厚み方向に凹んだ凹部が前記胴部側の面に形成された第1の辺部と、
    を有し、
    前記凹部には、
    前記胴部の周囲を周回する前記コイル線の一部が収容されている
    ことを特徴とするインシュレータ。
  2. 前記胴部は、
    長辺部と短辺部を備えた長方形状の筒体であり、
    前記鍔部は、
    前記胴部の前記短辺部に対応する位置に前記第1の辺部を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のインシュレータ。
  3. 前記鍔部は、
    前記胴部において前記コイル線がクロスして積層される前記短辺部に対応する位置に前記第1の辺部を備える
    ことを特徴とする請求項2に記載のインシュレータ。
  4. 前記第1の辺部は、
    前記鍔部の外周側に向けて厚みが減少するように構成されたテーパ面を有し、前記テーパ面により前記凹部が形成される
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインシュレータ。
  5. 前記鍔部は、
    前記凹部が形成されていない第2の辺部を備え、
    前記第1の辺部は、
    前記第2の辺部よりも厚みが大きな肉厚部を前記凹部の両側に有する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインシュレータ。
  6. 一方側の端部に突起部、他方側の端部に前記突起部を挿入可能な挿入部を有し、互いに点対称の配置関係で連結された同一形状の2つの部品を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインシュレータ。
  7. 固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心のティースに装着された請求項1乃至6のいずれか1項記載のインシュレータと、
    前記固定子鉄心の内周側に回転可能に配置されたシャフトと、
    前記シャフトに固定された回転子と、
    を有することを特徴とする回転電機。
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