JP5952563B2 - 鋼管矢板圧入方法および圧入装置 - Google Patents
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また、従来、ケーシング内に掘削ヘッドを挿入し、この掘削ヘッドによりケーシング内を掘削排土し、このケーシングの外周の鋼管矢板を地盤に静圧圧入する中掘圧入工法は、公知である(特許文献2)。
前記公知例のうち中掘静圧圧入工法では、打設に際する圧入圧力には限界があるので、硬質地盤では鋼管矢板を圧入できないという課題がある。
また、公知の中掘圧入工法では、ケーシング内を掘削により発生した残土の排出処理が必要となるという課題がある。
残土の処理は、大変であり、費用が嵩み、鋼管矢板の設置コストを上昇させる。
本願は、鋼管矢板を圧入する方法を工夫し、掘削残土を発生させずに、硬質地盤での鋼管矢板の圧入作業も可能にするようにしたものである。
請求項2の発明は、ケーシングの下部周縁の所定位置に、該ケーシングの放射方向に出入り自在に設けられた掘削体と、前記ケーシングの上部内周にチャックするチャック装置と、該チャック装置に接続して前記ケーシングを前記掘削体と共に駆動回転する回転駆動装置と、前記ケーシングの外周に嵌合させる、外周に継ぎ手を有する鋼管矢板と、該鋼管矢板の下部をチャックする鋼管用チャック装置および鋼管矢板を圧入する鋼管圧入用シリンダを有する圧入装置とからなる鋼管矢板圧入装置としたものである。
請求項3の発明は、前記回転駆動装置は、前記ケーシング内に挿入しうる外径で構成すると共に、前記チャック装置と一体状の構成とした鋼管矢板圧入装置としたものである。
請求項4の発明は、前記回転駆動装置は、前記ケーシングの上部に装着し、回転駆動装置の回転出力軸により前記ケーシングの上部内周にチャックしたチャック装置ごと前記ケーシングを駆動回転させる構成とした鋼管矢板圧入装置としたものである。
請求項5の発明は、前記掘削体は、前記ケーシングの下部内周に設けた取付部に軸により回動自在に取付けると共に、前記ケーシングに設けた出入り用シリンダにより前記ケーシングの周縁内側下方から前記継ぎ手の下方まで進退させる構成とした鋼管矢板圧入装置としたものである。
請求項6の発明は、前記出入り用シリンダおよび前記回転駆動装置は、前記掘削体を前記継ぎ手の下方部分でだけ放射方向に進退させて地盤を掘緩める構成とした鋼管矢板圧入装置としたものである。
請求項2の発明では、ケーシング4内の土砂を残したまま鋼管矢板2の周縁下方を掘削体3で掘緩めているので、掘削残土を発生させずに鋼管矢板2を圧入でき、しかも、鋼管矢板2の周縁下方は掘削体3で掘緩められているから、硬質地盤の作業も従来に比し硬い地盤での作業も可能となり、作業可能範囲を広げることができる。
請求項3の発明では、ケーシング4内に回転駆動装置20とチャック装置22を設けているので、周辺作業スペースを広くでき、狭い作業現場での作業も可能にできる。
請求項4の発明では、ケーシング4の上部に汎用的に普及している回転駆動装置20を配置して、ケーシング4を駆動回転させることもできるので、ケーシング4の内径の制限を受けずに回転駆動装置20を選択装着でき、装置コストを低減できる。
請求項5の発明では、掘削体3の進退機構を簡単に構成でき、故障あるいは破損を防止でき、作業効率を向上させることができる。
請求項6の発明では、継ぎ手1の下方部分のみを掘緩めるので、周辺の地盤強度を低下させず、鋼管矢板2の水平方向の荷重に対する支持剛性を低下させることがない。
前記継ぎ手1は前記鋼管矢板2を相互に連結するものであればよく、図2に一例を示すが、継ぎ手1の形状および数等は本願の要件ではない。
鋼管矢板2の内側には下部に掘削体(掘削ビット)3を有するケーシング4を上方から挿入する。ケーシング4は、鋼管矢板2内に上方から挿入しうる外径に形成する。
即ち、単に、ケーシング4を圧入すると、土砂抵抗が発生して相当の圧入圧力を必要とするが、予め、掘削体3によりケーシング4の周縁下方の地盤を掘緩めているので、圧入圧力を軽減させて圧入作業を行える。
例えば、継ぎ手1の下方手前位置から鋼管矢板2の外径を越えて継ぎ手1の下方まで突出拡大して地盤を掘緩め、継ぎ手1の下方の部分を通過すると、鋼管矢板2の外径周縁下方位置に一旦退避して掘緩め、次の、継ぎ手1の下方で突出拡大して地盤を掘緩め、これを反復する。
即ち、掘削体3は、継ぎ手1と鋼管矢板2とケーシング4のそれぞれの周縁下方だけを掘緩め、ケーシング4内の土砂を排出させないでケーシング4内に残したまま、鋼管矢板2を圧入させて、鋼管矢板2内を土砂で充填することにより、鋼管矢板2の起立姿勢の耐力を向上させ、さらに、鋼管矢板2の周囲の地盤を必要以上に掘緩めずにすみ、この点でも、起立姿勢の保持強度を向上させられる。
以下、具体的に実施例を説明すると、図1において、10は地上走行車であり、走行装置(クローラ)11の上方にテーブル12を設ける。テーブル12に設けたステー14の先端にはリーダー15を装着する。リーダー15には上下動自在に上下支持部16を取付け、上下支持部16には吊設体17の上部を取付け、吊設体17の下部には回転駆動装置20を設ける。
即ち、掘削体3が、不必要に鋼管矢板2の周辺の地盤を崩さないようにすると共に、鋼管矢板2内に土砂を残して排土工程を省略するために、小型に形成する。
55は鋼管用チャック装置50を上下させる鋼管圧入用シリンダであり、シリンダフレーム56に吊設している。
60はペンダントロープであり、リーダー15を水平状態から起立させるときに使用する。61は回転駆動部吊りワイヤーである。
また、リーダー15の下部には鋼管矢板2を圧入する圧入装置40を設けている。
地上走行車10あるいは作業船65により圧入装置40を鋼管矢板2の設置現場に運搬し、この圧入装置40の鋼管用チャック装置50に別途用意したクレーン(図示省略)により鋼管矢板2を吊設しながら装着してチャック固定する。
次に、鋼管矢板2の上方から回転駆動装置20を装着したケーシング4を挿入する。
ケーシング4の下部には掘削体3を設けているので、回転駆動装置20によりケーシング4を回転させると、掘削体3が回転してケーシング4の周縁下方の地盤を掘緩め(掘崩し)る。
即ち、予め、掘削体3によりケーシング4の周縁下方の地盤を掘緩めているので、通常の静圧圧入作業に比し、ケーシング4を容易に圧入させられる。
即ち、従来の中掘圧入工法では、ケーシング4の内周内側部分だけを掘削しているから、ケーシング4の内周内側部分には地盤は存在しないが、ケーシング4の周縁下方には地盤が存在し、このケーシング4の周縁下方の地盤の存在により圧入抵抗が増大して圧入できないことがあるが、このような作業現場でも、本願では、予め、掘削体3によりケーシング4の下端周縁下方の地盤を掘緩めることにより、ケーシング4(鋼管矢板2)の圧入作業を可能にする。
このとき、例えば、地盤がそれほど硬くないときには、ケーシング4の周縁下方を掘削体3で地盤を掘緩めた後に、圧入装置40で鋼管矢板2を圧入する。
この場合、継ぎ手1の位置を予め設定し、鋼管矢板2の全周の地盤を掘緩めずに、継ぎ手1の下方部分手前にて、放射方向の外側に掘削体3を突出移動させて駆動回転させて、継ぎ手1の下方の地盤だけを掘緩め、一旦、鋼管矢板2の内周内側に退避させ、次の継ぎ手1の下方までケーシング4を回転させ、継ぎ手1の下方部分手前にて、放射方向の外側に掘削体3を突出移動させて掘緩め、これを反復して、鋼管矢板2を圧入すると、不必要な掘緩め作業を不要とし、地盤強度を低下させず、好適である。
したがって、鋼管矢板2および/または継ぎ手1の周縁下方を掘削体3を一回転のみならず複数回回転させたり、あるいは、鋼管矢板2および/または継ぎ手1の周縁下方で掘削体3を正逆回転させて、掘緩めてもよい。
この場合、鋼管矢板2の下端位置と掘削体3との上下関係は任意であるが、継ぎ手1の下方に掘削体3が位置するときには、鋼管矢板2を掘削体3の深さまで圧入せず、継ぎ手1と掘削体3との当接は回避して、破損を防止するように、出入り用シリンダ30および鋼管圧入用シリンダ55を制御する。
そのため、ケーシング4の上部に汎用的に普及している回転駆動装置20を配置して、ケーシング4を駆動回転させることもでき、ケーシング4の内径の制限を受けずに回転駆動装置20を選択装着でき、装置コストを低減できる。
Claims (6)
- 外周に継ぎ手を有する鋼管矢板を圧入装置のチャック装置によりチャック状態とし、鋼管矢板の内側に、下部周縁に位置する掘削体を設けたケーシングを上方から挿入し、ケーシングの上部の回転駆動装置によりケーシングを駆動回転させ、ケーシング内に土砂を残したままケーシングの掘削体により地盤を掘緩め、掘緩めた地盤に前記圧入装置により前記鋼管矢板を圧入し、前記掘削体はケーシングの周縁下方と鋼管矢板の継ぎ手下方との間を、放射方向に、掘削体に取付けたシリンダのロッドの伸縮駆動により横軸回動させて地盤を掘緩めると共に、前記鋼管矢板の周縁下方に位置する前記掘削体を、前記継ぎ手の下方部分にて、放射方向の外側へ突出移動させて、継ぎ手の下方のみの地盤を掘緩め、継ぎ手の下方の地盤を掘緩めた後、次の継ぎ手の下方に至る間、鋼管矢板の周縁下方に掘削体を退避させて、鋼管矢板および継ぎ手の下方の地盤だけを掘緩めて行う前記鋼管矢板の圧入を可能とした鋼管矢板圧入方法。
- ケーシングの下部周縁の所定位置に、該ケーシングの放射方向に出入り自在に設けられた掘削体と、前記ケーシングの上部内周にチャックするチャック装置と、該チャック装置に接続して前記ケーシングを前記掘削体と共に駆動回転する回転駆動装置と、前記ケーシングの外周に嵌合させる、外周に継ぎ手を有する鋼管矢板と、該鋼管矢板の下部をチャックする鋼管用チャック装置および鋼管矢板を圧入する鋼管圧入用シリンダを有する圧入装置とからなる鋼管矢板圧入装置。
- 請求項2において、前記回転駆動装置は、前記ケーシング内に挿入しうる外径で構成すると共に、前記チャック装置と一体状の構成とした鋼管矢板圧入装置。
- 請求項2または請求項3において、前記回転駆動装置は、前記ケーシングの上部に装着し、回転駆動装置の回転出力軸により前記ケーシングの上部内周にチャックしたチャック装置ごと前記ケーシングを駆動回転させる構成とした鋼管矢板圧入装置。
- 請求項2または請求項3または請求項4において、前記掘削体は、前記ケーシングの下部内周に設けた取付部に軸により回動自在に取付けると共に、前記ケーシングに設けた出入り用シリンダにより前記ケーシングの周縁内側下方から前記継ぎ手の下方まで進退させる構成とした鋼管矢板圧入装置。
- 請求項5において、前記出入り用シリンダおよび前記回転駆動装置は、前記掘削体を前記継ぎ手の下方部分でだけ放射方向に進退させて地盤を掘緩める構成とした鋼管矢板圧入装置。
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