JP5950155B2 - ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ケイ素化合物の製造方法であり、更に詳しくは電子材料などの原料として有用な、多環式炭化水素基を含むケイ素化合物の製造方法に関する。
近年、液晶表示素子や半導体素子等の電子部品の絶縁膜材料として有用な縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物が利用されている。例えば縮合多環式炭化水素基を側鎖に有するシリコーン共重合体は、半導体素子製造時におけるリソグラフィー工程においてArF露光(193nm)のような200nm以下の遠紫外線領域での短波長の露光波長で透過性が良く、遠紫外線領域で使用するのに適した材料であることが知られている(特許文献1参照)。また、ナフタレン環を有するケイ素化合物を利用することで、優れた平滑性を持ち、かつ、高クラック耐性、高透過性、高耐熱性、高耐溶剤性の特性を有する膜を形成できる新規シリコーン重合体を得ることができる事が知られている(特許文献2参照)。
これら縮合多環式炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、一般的に縮合多環式炭化水素基を有するグリニャール試薬とハロシラン、またはアルコキシシランとのカップリング反応を用いることで製造される。しかし、合成過程において縮合多環式炭化水素基を有するグリニャール試薬は溶媒中に水分や空気中の水分などで還元されることにより縮合多環式炭化水素化合物である固体化合物が副生する。これら固体不純物の除去の簡易な手法としてクロマトグラフィーなどで除去可能である。しかし工業化においては、クロマトグラフィーによる精製法では生産性が悪く安価な材料の供給は難しく量産化は困難である。工業化での固体不純物の除去は減圧下での濃縮、蒸留での除去が好ましいが、特にナフタレン環を含む縮合多環式炭化水素基は昇華性が高く、融点が高いので濃縮、蒸留管中や冷却管内で固化しやすく、管内で閉塞するので濃縮、蒸留での除去は困難である。さらに昇華性も高いため、冷却管でトラップできずに減圧のポンプまで昇華し、最悪系外に排出され環境汚染につながる可能性があった。
一方、グリニャール反応は有機合成上特に重要な反応であり、様々は合成で使用されている。縮合多環式炭化水素基を持つハロゲン化物からエーテル溶媒下、マグネシウムと反応させることでグリニャール試薬を容易に得ることができる。しかし、縮合多環式炭化水素基を有するグリニャール試薬は、グリニャール試薬精製で一般的なテトラヒドロフラン(THFと略す)などの溶媒に溶解性が悪くグリニャール試薬が析出して撹拌できないという問題があった。
よって、電子材料の原料として有用な多環式炭化水素基を有するケイ素化合物の簡便で工業化も容易な製造法が求められていた。
特開2008−195908号公報 特開2009−280666号公報
本発明は、コンデンサーに付着するなど、製造の妨げとなる副生成物をより簡便な方法で除去する多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法を提供する。
本発明は、下記一般式
MgY
(式中、R1は縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で表されるグリニャール試薬と下記一般式
4−nSiX
(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基、nは1から4の整数を示す。)
で表される有機シラン化合物とのカップリング反応で得られる下記一般式
3−mSiX
(式中、R縮合多環式炭化水素基、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基を示す。mは0から3の整数を示す。)
で表される縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物を製造する時に副生する下記副生物
−H
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示す)
を、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒を使用して、副生物と溶媒を同時に留去により除去した後、縮合多環式炭化水素基を持つ有機ケイ素化合物を蒸留で得る縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法である。
本発明の縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法では、副生物である固体不純物のコンデンサー析出を防ぎ、さらに昇華性が伴う不純物の場合は大気中放出を防ぐと同時に数L以上のスケールでも製造が可能となる。また、本発明の縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法では、副生物である昇華物が設備の系外に留出することがないので、環境汚染がない。
本発明の縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法で製造された縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物は、電子分野を含めあらゆる分野に有効に使用することができる。
本発明の製造方法は、グリニャール試薬と有機シラン化合物以外の反応でも、副生する固体不純物が発生する場合に適応することができる。例えばグリニャール試薬とホウ素やスズモノマーなどのカップリング反応でも同様に固体不純物に対して溶媒を挟み込むことで製造が可能となる。
本発明は、下記一般式
MgY
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で表されるグリニャール試薬と下記一般式
4−nSiX
(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基、nは1から4の整数を示す。)
で表される有機シラン化合物とのカップリング反応で得られる下記一般式
3−mSiX
(式中、R縮合多環式炭化水素基、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基を示す。mは0から3の整数を示す。)
で表される縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物を製造する時に副生する下記副生物
−H
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示す)
を、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒を使用して、副生物と溶媒を同時に留去により除去した後、縮合多環式炭化水素基を持つ有機ケイ素化合物を蒸留で得る縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法である。
本発明では、下記一般式
MgY
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で表されるグリニャール試薬と下記一般式
4−nSiX
(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基、nは1から4の整数を示す。)
で表される有機シラン化合物とカップリング反応させる。
本発明では、下記一般式
MgY
で表されるグリニャール試薬のRは、縮合多環式炭化水素基を示す。ここで使用する縮合多環式炭化水素基は、ナフタレン環を含む炭化水素基、アントラセン環を含む炭化水素基、フェナントレン環を含む炭化水素基、ペンタセン環を含む炭化水素基、ヘキタセン環を含む炭化水素基、トリフェニレン環を含む炭化水素基、ピレン環を含む炭化水素基等が好ましい。得られた縮合多環式炭化水素基を有する有機シラン化合物の沸点を考慮すると、1−ナフチル基、1−(2−メチル)ナフチル基、1−(6−メチル)ナフチル基、1−アセナフテニル基、1−アセナフタレニル基が特に好ましい。
グリニャール試薬のYはハロゲン原子を示し、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示し、反応性が良い塩素、臭素が特に好ましい。
下記一般式
4−nSiX
で表される有機シラン化合物において、Rは、炭化水素基を示し、炭素数1から20の直鎖状、分枝状、環状、架橋状炭化水素基が挙げられる。その中でグリニャール試薬とのカップリング反応のし易さから炭素数1〜5の直鎖状炭化水素基であるメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、分枝状炭化水素基であるiso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基等が好ましい。原料入手の観点から、Rは、メチル基、エチル基が特に好ましい。
有機シラン化合物のXは、ハロゲン原子、または炭素数1から5のアルコキシ基が挙げられる。ハロゲン原子の中では、原料が容易に入手できる塩素原子が特に好ましく、アルコキシ基ではメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
カップリング反応で使用する有機シラン化合物のnは1から4の整数を示す。
本発明では、下記一般式
3−mSiX
で表される縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物のRは、縮合多環式炭化水素基を示す。ここで使用する縮合多環式炭化水素基は、ナフタレン環を含む炭化水素基、アントラセン環を含む炭化水素基、フェナントレン環を含む炭化水素基、ペンタセン環を含む炭化水素基、ヘキタセン環を含む炭化水素基、トリフェニレン環を含む炭化水素基、ピレン環を含む炭化水素基等が好ましい。得られた縮合多環式炭化水素基を有する有機シラン化合物の沸点を考慮すると、1−ナフチル基、1−(2−メチル)ナフチル基、1−(6−メチル)ナフチル基、1−アセナフテニル基、1−アセナフタレニル基が特に好ましい。
本発明では、縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物のRは、炭化水素基を示し、炭素数1から20の直鎖状、分枝状、環状、架橋状炭化水素基が挙げられる。その中でグリニャール試薬とのカップリング反応のし易さから炭素数1〜5の直鎖状炭化水素基であるメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、分枝状炭化水素基であるiso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基等が好ましい。原料入手の観点から、R2は、メチル基、エチル基が特に好ましい。
縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物のmは0から3の整数を示す。mが0から2のときはRが2置換以上存在することになるが、置換基が同一でも異なっていても良い。
縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物のXは、ハロゲン原子、または炭素数1から5のアルコキシ基が挙げられる。ハロゲン原子の中では、原料が容易に入手できる塩素原子が特に好ましく、アルコキシ基では、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
一般式
4−nSiX
で表される有機シラン化合物において、nが1のときはケイ素原子に炭化水素基が3つ結合した有機シラン化合物を示すが、この場合は、ハロゲン原子、または炭素数1から5のアルコキシ基が1つしかないため、得られる縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物は下記一般式
Si
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Rは炭化水素基を示す。)
で示される縮合多環式炭化水素基を1つ有する有機シラン化合物である。
また、nが2の場合は、縮合多環式炭化水素基が一つ置換した下記一般式
SiX
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Rは炭化水素基を示す。)
の場合と2つ置換した下記一般式
Si
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Rは炭化水素基を示す。)
の場合が考えられるが、縮合多環式炭化水素基が1つ置換した場合は目的物の沸点が低く、蒸留が容易であるため、1つ置換した場合が好ましい。
同様にnが3の場合は、下記一般式
SiX
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Rは炭化水素基を、Xは、ハロゲン原子、または炭素数1から5のアルコキシ基を示す。)
に示すように1つ置換した場合が好ましい。
nが4の場合も、下記一般式
SiX
(式中、R1は縮合多環式炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン原子、または炭素数1から5のアルコキシ基を示す。)
に示すように1つ置換した場合が好ましい。
下記一般式
MgY
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で示すグリニャール試薬は、反応で使用する溶媒に含まれる水分、実験中や製造中に混入する空気中に存在する水分、カップリング試薬である有機シラン化合物に含まれる水分などと反応して縮合多環式炭化水素化合物が副生する。副生物は、
−H
(式中、R縮合多環式炭化水素基を示す)
で示される。例えばブロモナフタレンから得られるグリニャール試薬は下記一般式
Figure 0005950155
のとおり水と反応してナフタレンが副生する。溶媒中の水の管理、水、空気が混入しない製造設備等の対応で副生成物を抑制することはできるが、すべてなくすことは難しく高価な設備対応が必要である。一般に多環式炭化水素化合物は昇華性が高く、濃縮中に昇華性物質が留出することでコンデンサーに付着するなど、製造の妨げとなるばかりではなく、昇華物が設備の系外に留出することで環境汚染につながる危険性が高い。
本発明では、副生物である縮合多環式炭化水素化合物を濃縮で除去する際、副生物の沸点に対して、沸点の低い溶媒と高い溶媒を2種類以上使用して副生物と溶媒を同時に留去により除去した後、縮合多環式炭化水素基を持つ有機ケイ素化合物を蒸留で得る。
本発明では、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒を使用する。副生物の沸点より高い沸点の溶媒は、副生物の沸点より、100℃以内であることが好ましく、より好ましくは、副生物の沸点より、50℃以内である。副生物の沸点より低い沸点の溶媒は、副生物の沸点より、100℃以内であることが好ましく、より好ましくは、副生物の沸点より、50℃以内である。副生物の沸点より高い沸点の溶媒の沸点と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の沸点の差は、10〜150℃が好ましく、より好ましくは、10〜80℃である。
本発明では、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の少なくとも一つがグリニャール試薬合成時に使用する溶媒であると効率的であり、好ましい。本発明で使用する多環式炭化水素基を有するグリニャール試薬は、一般的なグリニャール試薬合成で使用されるTHFやジエチルエーテルの溶解性が悪く、反応途中でグリニャール試薬が析出して撹拌が困難な状況になる。よってグリニャール試薬を溶解させるため、多価アルコール誘導体を添加することが効果的であり、かつ副生物である固体不純物を除去するときに使用する溶媒と兼用できればより効果的である。固体不純物除去工程前に、もう一種類以上の溶媒を加えて固体不純物の沸点を挟み込んだ状態で濃縮することにより副生物である固体不純物、特に昇華性の高いナフタレンなどの不純物のコンデンサーでの析出と系外放出を防ぐことができる。
本発明では、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の少なくとも一つが、下記一般式
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物であることが好ましい。
ここでR、Rは、脂肪族炭化水素基を示し、RとRは同一でも異なっていても良い。R、Rは、炭素数1から10の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状、分枝状、環状または架橋炭化水素基が挙げられる。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物は、好ましくは、蒸留で除去される。R、Rは、炭素数1から6の直鎖状、分枝状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
また、Rは、脂肪族炭化水素基を示し、炭素数1から10の直鎖状、分枝状脂肪族炭化水素基が好ましく、またRは酸素原子を含む脂肪族炭化水素基でも良い。このエーテル化合物は、好ましくは、蒸留で除去される。Rは、炭素数1から6の直鎖状、分枝状脂肪族炭化水素基をより好ましく、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基、トリプロピレングリコール基が最も好ましい。
一般式
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物は、具体的には、除去したい縮合多環式炭化水素化合物の沸点からジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテルが特に好ましい。
一般式
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物は、グリニャール試薬合成時に添加し、固体不純物を除去する溶媒と兼用できるので、好ましい。
本発明では、
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物の量は、反応で使用するTHF等のエーテル溶媒と同量以下が好ましく、コスト面を考慮するとエーテル溶媒に対して1/4以下が好ましい。ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物のみでグリニャール試薬合成も可能であるが、コストを下げ、グリニャール試薬の収率を上げるためには、THF等のエーテル溶媒と同量以下が好ましい。
副生する固体不純物を濃縮により除去する工程では、1種の溶媒だけでは固体不純物析出により製造が不可能になる。よって、もう1種類以上の溶媒を使用して固体不純物の沸点に対して溶媒を挟み込み、固体不純物の析出を防ぐ必要がある。追加して使用する溶媒は、グリニャール反応以降に添加することが好ましく、好ましくは、副生物である固体不純物除去工程の直前に加えることが好ましい。追加して使用する溶媒は、アルコール系溶媒も使用可能である。
本発明では、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の少なくとも一つが、炭化水素化合物であるであることが好ましい。
炭化水素系溶媒は、反応性置換基がなく、耐熱性が高いアミルベンゼン、ジエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジペンテン、1−メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、テトラリン等が好ましい。
本発明では、溶媒として、
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物や、炭化水素化合物のほかに、エーテル系溶媒や、アルコール系溶媒が使用可能である。
エーテル系溶媒では、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジブチルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等が挙げられる。
アルコール系溶媒として、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、n−ヘプタノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールが挙げられる。また多価アルコール類でも良くエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。
本発明では、高温での濃縮が可能な炭化水素系溶媒であるアミルベンゼン、ジエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、フェネトール、1−メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、テトラリンと、エーテル系化合物であるエチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジブチルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ジベンジルエーテルの組み合わせが特に好ましい。
本発明では、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の総量は、副生物に対して同量以上が好ましく、2倍以上が特に好ましい。
縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の好ましい製造方法を下記に記載する。
まず金属マグネシウムとTHFを仕込み、ヨウ素やジブロモエタンを加えて金属マグネシウムを活性させて後、下記一般式

(式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で示されるハロゲン化炭化水素化合物を滴下してグリニャール試薬を合成する。
本発明の縮合多環式炭化水素基を有するグリニャール試薬は一般的に反応に使用されるTHFなどの低級エーテルに対して溶解性が悪いため反応途中でグリニャール試薬の塩が析出し撹拌ができなくなる。
そこで、グリニャール試薬析出を防ぐため目的で下記一般式
O−R−OR
(式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物をグリニャール塩析出前に添加して塩の析出を抑制する。
このグリニャール試薬合成において、反応温度は通常の室温20から60℃の範囲で行うことが好ましく、より反応収率を上げるために30から50℃で行うことが好ましい。
次に、カップリング反応の好ましい例を次に記載する。
まず反応装置にシリコンモノマーを仕込み、次に生成したグリニャール試薬を滴下する。目的の多環式炭化水素基が結合したケイ素化合物(ここでは目的物と略す)は、カップリング反応で一つ置換した化合物であることから、まず始めに仕込むシリコンモノマーはグリニャール試薬に対して過剰であることか好ましく、2当量以上がより好ましく、3当量以上がさらに好ましい。カップリング反応の反応温度は、反応がより簡便に進行させるため、20から100℃の間が好ましく、30〜80℃がより好ましい。
反応終了後、発生するマグネシウム塩をろ過により除去する。
ここで、固体不純物除去工程前に、もう一種類以上の溶媒を加えて固体不純物の沸点を挟み込んだ状態で濃縮することにより副生物である固体不純物、特に昇華性の高いナフタレンなどの不純物のコンデンサーでの析出と系外放出を防ぐ。ここで添加する溶媒の特に好ましい例としては、エーテル系溶媒と炭化水素系溶媒との組み合わせである。
溶媒を添加して固体不純物を濃縮で除去した後に、目的の多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物を蒸留で得ることで、大量スケールでの製造なプロセスで目標の化合物を提供できる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
以下の実施例において、測定には下記装置を使用し、原料は試薬メーカー(東京化成品、和光純薬品、ナカライテスク品、アズマックス品、信越化学品)から購入した一般的な試薬を用いた。
測定装置
NMR測定
日本電子製500MHz NMR測定器を使用した。合成した化合物を約20〜30mgを和光純薬製CDCl3(テトラメチルシラン(TMSと略す)内部標準0.5%w/w入り)約1gに溶解させその溶液をNMRチューブに全量移液した。測定はオートロックで測定し積算回数は16回で測定した。TMSのピークを基準の0ppmとして解析した。
IR測定
島津製IR Prestige-21を使用した。KBr板に合成品を少量塗布し、別のKBr板に挟んで赤外を透過させて測定した。
GC測定
島津製GC-2010シリーズを使用した。島津社製GC-2010シリーズでカラムはJ&W社製DB-5(長さ30m×膜厚0.5mmI.D.)を使用した。測定条件は、注入口温度:250℃、検出器温度:300℃、カラム温度:50℃(2min Hold)、その後、10℃/minアップ、さらにその後、300℃(2min Hold)で直接0.1μm打ち込みArea比で純度を算出した。
実施例1
1−ナフチルトリメトキシシランの合成例
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた3L4つ口フラスコに、マグネシウム98.6g(4.06モル)とテトラヒドロフラン1200mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、1−ブロモナフタレン800g(3.86モル)を40〜45℃の範囲で滴下した。滴下半分までにトルエン850mLとジエチレングリコールジエチルエーテル250mLを投入した後、引き続き滴下を行い、グリニャール試薬を合成した。グリニャール試薬には塩の析出はなく、未反応のマグネシウムが僅かに残った黒色の透明溶液であった。
次に撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた5000mL4つ口フラスコに、正珪酸メチル1,764g(11.6モル)仕込み缶内温度を80℃まで昇温し、グリニャール試薬を50〜60℃の温度で2時間かけて滴下した。滴下終了後、冷却しマグネシウム塩をろ過した後、ろ液中のテトラヒドロフラン、正珪酸メチルなどの溶媒を減圧で留去した。その後、1−メチルナフタレンを300mL追加して減圧下、副生するナフタレン(沸点:218℃/760mmHg、融点:80−82℃/760mmHg)とグリニャール試薬調整で使用したジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:180−190℃/760mmHg)と追加した1−メチルナフタレン(沸点:240−243℃/760mmHg、融点:−22℃/760mmHg)を減圧条件下、濃縮により除去した。除去中、コンデンサーへの昇華物であるナフタレンの付着はなく、操作上問題はなかった。溶媒の除去が終了後、120−125℃/0.3mmHgの留分を593.5g回収した。GC分析の結果、純度は98.5%でNMRとIRの結果から、1−ナフチルトリメトキシシランであった。
得られた化合物のスペクトルデータを下記に示す。
外線吸収スペクトル(IR)データ
FT-IR(KBr):ν=1504、1587、3055(-C10H7)、1458、2839、2941(-CH3)、1080(Si-O)cm-1
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ
1H-NMR(CDCl3,500MHz):δ=3.65(s、3H、-SiOCH3)、7.47-7.56(m、3H、NAP-H)、7.84-7.86(d、J=7.5Hz、1H、NAP-H)、7.93-7.98(dt、J=1.0、6.0Hz、2H、NAP-H)、8.27-8.29(d、J=8.5Hz、1H、NAP-H)ppm。
13C-NMR(CDCl3,500MHz):δ=51.15、125.32、126.05、126.94、127.90、128.57、129.03、131.71、133.58、136.53、137.31ppm
実施例2
1−(2−メチルナフチル)トリメトキシシランの合成例
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、マグネシウム11.5g(0.475モル)とテトラヒドロフラン150mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、2−メチル−1−ブロモナフタレン100.0g(0.452モル)を40−45℃で6時間かけて滴下した。滴下半分までにトルエン100mLとジエチレングリコールジエチルエーテル70mLを加えて、1−ナフチルトリメトキシシランの実施例1に操作と同様にグリニャール試薬を調整した。得られたグリニャール試薬の塩の析出はなく、未反応マグネシウムが残った真っ黒な溶液でグリニャール試薬の析出はなかった。
次に撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた1000mL4つ口フラスコに、正珪酸メチル206.5g(1.36モル)仕込み実施例1記載どおりの操作でカップリング反応を行った。マグネシウム塩をろ過し、溶媒を留去後1−フェニルシクロヘキサンを70mL追加して減圧下、副生する2−メチルナフタレン(沸点:241−242℃/760mmHg、融点:34−36℃/760mmHg)とグリニャール試薬調整で使用したジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:180−190℃/760mmHg)と追加した1−フェニルシクロヘキサン(沸点:251−253℃/760mmHg、融点:−11℃/760mmHg)を減圧条件下、濃縮により除去した。除去中、コンデンサーへの昇華物であるナフタレンの付着はなく、操作上問題はなかった。溶媒の除去が終了後、124−127℃/0.3mmHgの留分を46.4g回収した。GC分析の結果、純度は98.7%でNMRとIRの結果から、1−(2−メチルナフチル)トリメトキシシランであった。
得られた化合物のスペクトルデータを下記に示す。
外線吸収スペクトル(IR)データ
FT-IR(KBr):1508,1593,3042(-C10H6)、1545,2839,2941(-CH3)、1078(-Si-O) cm-1
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ
1H-NMR(CDCl3,500MHz):δ=2.73(s、3H、NAP-CH3)、3.64(s、9H、SiOCH3) 、7.30-7.32(d、J=8.5Hz、1H、NAP-H )、7.39-7.42(td、J=7.0,1.0Hz、1H、NAP-H)、7.47-7.51(td、J=8.0、2.0Hz、1H、NAP-H)、7.76-7.81(m、2H、NAP-H)、8.62-8.64(d、J=8.5Hz、1H、NAP-H)ppm。
13C-NMR(CDCl3,500MHz):δ=24.21、50.67、124.93、124.99、126.68、128.38、128.74、129.87、131.45、131.92、138.49、146.33ppm
参考例1
4−トリメトキシシリルビフェニルの合成例
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、マグネシウム11.5g(0.475モル)とテトラヒドロフラン150mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、105.4g(0.452モル)を40−45℃で6時間かけて滴下した。滴下半分までにトルエン100mLとジエチレングリコールジブチルエーテル70mLを加えて、1−ナフチルトリメトキシシランの実施例1に操作と同様にグリニャール試薬を調整した。得られたグリニャール試薬の塩の析出はなく、未反応マグネシウムが残った真っ黒な溶液でグリニャール試薬の析出はなかった。
次に撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた1000mL4つ口フラスコに、正珪酸メチル206.5g(1.36モル)仕込み実施例1記載どおりの操作でカップリング反応を行った。マグネシウム塩をろ過し、溶媒を留去後1−メチルナフタレンを70mL追加して減圧下、副生するビフェニル(沸点:255℃/760mmHg、融点:68−70℃/760mmHg)とグリニャール試薬調整で使用したジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃/760mmHg)と追加した1−メチルナフタレン(沸点:240−243℃/760mmHg、融点:−22℃/760mmHg)を減圧条件下、濃縮により除去した。除去中、コンデンサーへの昇華物であるナフタレンの付着はなく、操作上問題はなかった。溶媒の除去が終了後、130−135℃/0.3mmHgの留分を71.7g回収した。GC分析の結果、純度は98.5%でNMRとIRの結果から、1−(2−メチルナフチル)トリメトキシシランであった。
得られた化合物のスペクトルデータを下記に示す。
外線吸収スペクトル(IR)データ
1468,823,755(-Biphenyl)、1078(-Si-O) cm-1
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ
1H-NMR(CDCl3,500MHz):δ=3.64(s、9H、SiOCH3) 、7.25-7.58(m、9H、Biphenyl-H ) ppm。
実施例
(1−(6−メトキシ)ナフチル)トリメトキシシラン(下記一般式)の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、マグネシウム11.5g(0.475モル)とテトラヒドロフラン150mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、107.2g(0.452モル)を40−45℃で6時間かけて滴下した。滴下半分までにトルエン100mLとジエチレングリコールジブチルエーテル70mLを加えて、1−ナフチルトリメトキシシランの実施例1に操作と同様にグリニャール試薬を調整した。得られたグリニャール試薬の塩の析出はなく、未反応マグネシウムが残った真っ黒な溶液でグリニャール試薬の析出はなかった。
次に撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた1000mL4つ口フラスコに、正珪酸メチル206.5g(1.36モル)仕込み実施例1記載どおりの操作でカップリング反応を行った。マグネシウム塩をろ過し、溶媒を留去後ジベンジルエーテルを70mL追加して減圧下、副生する2−メトキシナフタレン(沸点:274℃/760mmHg、融点:70−73℃/760mmHg)とグリニャール試薬調整で使用したジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃/760mmHg)と追加したジベンジルエーテル(沸点:298℃/760mmHg、融点:2−4℃/760mmHg)を減圧条件下、濃縮により除去した。除去中、コンデンサーへの昇華物であるナフタレンの付着はなく、操作上問題はなかった。溶媒の除去が終了後、165−170℃/0.3mmHgの留分を56.9g回収した。GC分析の結果、純度は97.8%でNMRとIRの結果から、1−(6−メトキシナフチル)トリメトキシシランであった。
得られた化合物のスペクトルデータを下記に示す。
外線吸収スペクトル(IR)データ
FT-IR(KBr):1508,1593,3042(-C10H6)、1545,2839,2941(-CH3)、1078(-Si-O) cm-1
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ
1H-NMR(CDCl3,500MHz):δ=3.64(s、9H、SiOCH3) 、3.91(s、3H、NAP-OCH3)、7.25-7.58(m、9H、NAP-H ) ppm。
比較例1
1−ナフチルトリメトキシシランの製造法
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた3L4つ口フラスコに、マグネシウム98.6g(4.06モル)とテトラヒドロフラン1200mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、1−ブロモナフタレン800g(3.86モル)を40〜45℃の範囲で滴下した。1−ブロモナフタレンを約半分程度滴下したところ、グリニャール試薬が析出し撹拌が出来なくなった。よって反応液にテトラヒドロフラン500mLやトルエンを500mL追加したが、グリニャール試薬は析出したままで撹拌が困難でグリニャール試薬調整ができなかった。
比較例2
1−ナフチルトリメトキシシランの製造法
撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた3L4つ口フラスコに、マグネシウム98.6g(4.06モル)とテトラヒドロフラン1200mLを加え40℃に温度を昇温した。次いで開始剤として1,2−ジブロモエタンを少量加えた後、1−ブロモナフタレン800g(3.86モル)を40〜45℃の範囲で滴下した。滴下半分までにトルエン850mLとジエチレングリコールジエチルエーテル250mLを投入した後、引き続き滴下を行い、グリニャール試薬を合成した。グリニャール試薬には塩の析出はなく、未反応のマグネシウムが僅かに残った黒色の透明溶液であった。
次に撹拌機、還流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた5000mL4つ口フラスコに、正珪酸メチル1,764g(11.6モル)仕込み缶内温度を80℃まで昇温し、グリニャール試薬を50〜60℃の温度で2時間かけて滴下した。滴下終了後、冷却しマグネシウム塩をろ過した後、ろ液中のテトラヒドロフラン、正珪酸メチルなどの溶媒を減圧で留去した。引き続き温度をかけて濃縮を実施したところ、昇華物であるナフタレンがコンデンサーに析出しコンデンサー内で固化した。固化物を無理矢理ドライヤーなどで結晶を溶解させたところ、結晶は液体窒素で冷却したトラップで固化した状態になった。大量スケールでの製造を考慮すると、コンデンサー内の固化物を溶解させることは難しく、コンデンサーが閉塞すると大災害につながる可能性があり危険であるため、濃縮作業を中断した。
このように、グリニャール試薬と有機シラン化合物との反応工程中に副生する固体不純物を、それより高い沸点の溶媒と低い沸点の溶媒を2種類以上使用して溶媒と一緒に留去して除去しないと固体不純物が析出して目的物が蒸留で得られない上、グリニャール試薬の析出などにより製造が困難になる。

Claims (5)

  1. 下記一般式
    MgY
    (式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
    で表されるグリニャール試薬と下記一般式
    4−nSiX
    (式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基、nは1から4の整数を示す。)
    で表される有機シラン化合物とのカップリング反応で得られる下記一般式
    3−mSiX
    (式中、R縮合多環式炭化水素基、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子、または、炭素数1から5のアルコキシ基を示す。mは0から3の整数を示す。)
    で表される縮合多環式炭化水素基を持つ有機シラン化合物を製造する時に副生する下記副生物
    −H
    (式中、R縮合多環式炭化水素基を示す)
    を、副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒を使用して、副生物と溶媒を同時に留去により除去した後、縮合多環式炭化水素基を持つ有機ケイ素化合物を蒸留で得る縮合多環式炭化水素基を持つケイ素化合物の製造方法。
  2. 副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の少なくとも一つがグリニャール試薬合成時に使用する溶媒である請求項1に記載のケイ素化合物の製造方法。
  3. 下記一般式
    MgY
    (式中、R縮合多環式炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
    で表されるグリニャール試薬のRがナフタレン環を含む炭化水素基である請求項1または2に記載のケイ素化合物の製造方法。
  4. 副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の少なくとも一つが、下記一般式
    O−R−OR
    (式中、R、Rは、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、Rは脂肪族炭化水素で酸素原子を有していても良い。)
    で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテル化合物である請求項1から3のいずれかに記載のケイ素化合物の製造方法。
  5. 副生物の沸点より高い沸点の溶媒と、副生物の沸点より低い沸点の溶媒の一つが炭化水素化合物である請求項1から4のいずれかに記載のケイ素化合物の製造方法。
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