JP2019509974A - 2,2,3,3−テトラシリルテトラシランの適切な製造 - Google Patents
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Abstract
本発明の対象は、オクタシランである2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1、2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1以外に1ではない1つ以上のさらなる成分を含む組成物、2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1および1を含む高級ヒドリドシランの混合物の製造方法である。本発明のさらなる対象は、1および1を含む高級ヒドリドシランの混合物の、ケイ素含有材料の析出のための使用である。
Description
本発明の対象は、オクタシランである2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1、2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1以外に1ではない1つ以上のさらなる成分を含む組成物、2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1および1を含む高級ヒドリドシランの混合物の製造方法である。本発明のさらなる対象は、1および1を含む高級ヒドリドシランの混合物の、ケイ素含有材料の析出のための使用である。
ケイ素含有材料、例えば担体上のケイ素含有層または膜は、半導体、絶縁体または犠牲層として例えば電子回路の製造において、および光から電流を生成するための光起電セルの製造において使用される。
高級水素化ケイ素SinH(2n+m)(式中、m=0、2、およびn≧3)は、シランまたはヒドリドシランとも呼ばれ、ケイ素と水素のみで構成されており、様々な用途で使用するために、液相からSiまたはSiO2を析出するための重要な出発材料である。従来、高級なSinH(2n+m)(式中、m=0、2およびn≧6)は、金属ケイ化物の加水分解またはSiH4もしくはSi2H6のエネルギー作用および後続のオリゴマー化での分解から得られたその他のヒドリドシランとの混合物中で少量しか検出されなかった。
しかし、1のような個々の種の単離は、ヒドリドシランの固有の物質特性、例えば同じような沸点または化学不安定性のため不成功に終わっている。例えば、国際公開第2015/034855号(WO2015/034855A1)では、ネオペンタシラン3の熱反応により製造され、Si(SiH3)4または2,2−ジシリルトリシランとも呼ばれるノナシラン2,2,4,4−テトラシリルペンタシラン4が開示されている。粗生成物の形態の4の、ケイ素系材料のさらなる製造のための使用も開示されている。しかし、純粋な4や純粋な4の分析データは開示されていない。
Gmelin Handbook of Inorganic Chemistry, 15(B1), Springer Verlag (1982), 204〜206では、構造異性体のオクタシランのうち、1H−NMRデータおよびラマンデータを元に2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1が仮定されている。
Lobreyer、SundermeyerおよびOberhammerは、Chem. Ber. 1994, 127, 2111〜2115において、モノシランSiH4のナトリウムおよびカリウムからの分散液での反応を開示しており、ここで、合成反応またはオリゴマー反応において、アルカリ金属シラニド(M)SiH3-n(SiH3)n(式中、n=0〜3、M=カリウムまたはナトリウム)が得られる。ただし、好適な試薬によるプロトン化またはシリル化によって、相応のシラン、例えばジシランH3SiSiH3、トリシランH2Si(SiH3)2、イソテトラシランHSi(SiH3)3およびネオペンタシランSi(SiH3)4(本願の範囲では3と略記される)は、混合物中でしか得られない。
AmbergerおよびMuehlhoferは、J. Organometal. Chem. 12 (1968), 55〜62において、カリウムモノシラニドKSiH3と元素周期表の第4主族のハロゲン化合物との反応を開示しており、ヨウ化メチルまたはトリメチルクロロシランによる塩脱離反応またはメタセシス反応において以下のカップリング生成物が得られる:
HaaseおよびKlingenbielは、Z. anorg. allg. Chem. 524 (1985), 106〜110において、リチウムトリス(トリメチルシリル)シランとハロゲンシラン、例えばSiCl4との類似の塩脱離反応またはメタセシス反応を開示している:
Tyler、SommerおよびWhitmoreは、J. Am. Chem. Soc. 1948, 70, 2876〜2878において、以下に記載の塩脱離反応またはメタセシス反応におけるt−ブチル−リチウムとSiCl4との反応をすでに開示している:
Stuegerらは、Chem. Eur. J. 2012, 18, 7662〜7664において、以下に記載の塩脱離反応またはメタセシス反応のさらなる形態におけるイソテトラシランのアルカリ金属シラニド(M)Si(SiH3)3(式中、M=リチウム、ナトリウム、カリウム)とオルガノクロロシランとの反応を開示している:
例えば少なくとも8個のケイ素原子を有するヒドリドシランのような高級シランは、空気との接触においてもはや自発発火性がないことは公知である。したがって、高級シランには、例えばモノシラン、ジシランまたはトリシランのような低級シランと比べて、工業的に使用する場合、安全上の利点がある。
ケイ素含有材料、例えば担体上のケイ素含有層または膜の形成に関しては、冒頭に記載の通り、それぞれの沸点を下回る分解温度を有するヒドリドシランが望ましい。それによって、熱分解中の蒸発損失が最小限に抑えられる。さらに、所望のヒドリドシランは、減圧下で25℃の沸点を有するため、例えば蒸留後処理によってヒドリドシランを可能な限り分解することなく精製することができる。2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1が、これらの両方の特性をほぼ理想的に示すことが望ましい。本発明の課題は、オクタシランである2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1を純粋な形態で、かつ分取して使用可能な量で適切に製造することである。
本課題は、本願の実験部分に開示される通り、質量分析法により測定された分子量が242g/molであり、29Si−NMRスペクトルが2つの共鳴シグナルを有し、ここで、第一のシグナルは、δ=−92.71ppmの化学シフト、1JSi-H=201Hz(SiH3)の異核カップリングの四重項パターンを示し、第二のシグナルは、δ=−150.42ppmの化学シフト、2JSi-H=3Hz(Siq)の異核カップリングの多重項パターンを示し;1H−NMRスペクトルが、SiH3−基に典型的なシグナルおよび3ppm〜4ppmの範囲の化学シフトを有し、ここで、これらのシグナルの積分は、合計18個のプロトンに相当し、29Si−NMRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルの化学シフトは、標準物質であるテトラメチルシランを基準としていることを特徴とする式1のヒドリドシランによって解決される。
本発明の対象は、本願の実験部分に開示される通り、質量分析法により測定された分子量が332g/molであり、29Si−NMRスペクトルが4つの共鳴シグナルを有し、ここで、第一のシグナルは、δ=−146.50ppmの化学シフト、2JSi-H=2.7Hz(Si(SiH3)3)の異核カップリングの多重項パターンを示し、第二のシグナルは、δ=−135.26ppmの化学シフト、2JSi-H=3.0Hz(Si(SiH3)2)の異核カップリングの多重項パターンを示し、第三のシグナルは、δ=−93.65ppmの化学シフト、1JSi-H=201.4Hzおよび3JSi-H=3.2Hz(Si(SiH3)2)の異核カップリング定数の四重項パターンを示し、第四のシグナルは、δ=−90.11ppmの化学シフト、1JSi-H=201.6Hz、および3JSi-H=3.6Hz(Si(SiH3)3)の異核カップリング定数の四重項パターンを示し;1H−NMRスペクトルが、SiH3−基に典型的なシグナルおよび3ppm〜4ppmの範囲の化学シフトを有し、ここで、1H−NMRスペクトルの化学シフトは、標準物質であるテトラメチルシランを基準としていることを特徴とする式2のヒドリドシランである。
本発明のさらなる対象は、式1の2,2,3,3−テトラシリルテトラシランと、2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1ではない1つ以上のさらなる成分とを含む組成物である。本発明の範囲におけるさらなる成分とは、化学化合物以外に、詳細に特性化されていない混合物、例えば分解生成物でもあると理解される。
本発明の対象は、1と1ではない1つ以上のさらなる成分とを含み、少なくとも30面積%の1、最大10面積%、好ましくは0.01面積%〜10面積%、好ましくは0.1面積%〜9面積%の2、最大30面積%の3、好ましくは0.01面積%〜30面積%、好ましくは0.1面積%〜25面積%の3を含む組成物であり、ここで、100面積%との差分には、式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシラン、未反応の出発材料およびヒドリドシランではない反応の副生成物が含まれ、かつここで、示された面積%は、ガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている。反応の副生成物とは、本発明の範囲では、例えば形成されたリチウムハロゲン化物であると理解される。
好ましい本発明による組成物は、式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランとを、好ましくはそれぞれの種の面積%の比が2:1〜20:1、好ましくは3:1〜10:1で有する。特に好ましい組成物は、式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランと、式3のネオペンタシランとを、好ましくは式1および2の化合物の合計の面積%対式3の面積%の比が2:1〜20:1、好ましくは4:1〜10:1で有する。殊に好ましい組成物は、式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランと、式3のネオペンタシランと、式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn>11、好ましくはm=2)の化合物とを、好ましくは式1〜3の化合物の合計の面積%対式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn>11、好ましくはm=2)の面積%の比が1:1〜20:1、好ましくは3:1〜6:1で有する。示された面積%は、以下に記載の通りに実施されたガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている。
本発明のさらなる対象は、未反応の出発材料および反応の副生成物を含まず、液相中に標準条件/SATP下で存在しており、50面積%〜70面積%の1と2と式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn>5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランとを含む組成物であり、ここで、100面積%との差分には、難揮発性の高級ヒドリドシランが含まれ、かつここで、示された面積%は、ガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている。難揮発性の高級ヒドリドシランとは、本発明の範囲では、式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn>11、好ましくはm=2)のヒドリドシランであると理解される。
本発明の対象は、式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランの製造方法であって、以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはm=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはm=1、M=Li)の金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のヒドリドシランの混合物を得る工程
であることを特徴とする方法である。
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはm=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはm=1、M=Li)の金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のヒドリドシランの混合物を得る工程
であることを特徴とする方法である。
元素周期表の第4主族のアリール元素ハロゲン化物とは、本発明の範囲では、例えばC6H5SiCl3、C6H5GeCl3または(C6H5)2GeCl2であると理解される。
有利には、本発明による方法の工程b)において、ネオペンタシラン3とメチルリチウムから生成されたイソテトラシラニルリチウムが、アルカリ金属シラニドとして、以下の反応図(I)に記載の通りジブロモエタンと反応するか(経路Aに相当)、またはSiCl4と反応して(経路Bに相当)、1とさらなるヒドリドシラン、例えばウンデカシラン2、および部分的に再生されたネオペンタシラン3が生じる。
先行技術に基づいて、(H3Si)3SiLiとSiCl4との反応では、例えば以下の反応図に示されるように塩脱離生成物Cl3SiSi(SiH3)3が生じることは想定できた。それゆえ、オクタシラン(H3Si)3SiSi(SiH3)3 1が、この方法で塩脱離生成物Cl3SiSi(SiH3)3の代わりに形成されることは、きわめて予期されないことであり、驚くべきことである。
本発明による方法の工程b)において、この反応を温度勾配で、反応混合物を常に均質化しながら実施することが有利であり、ここで、−80℃と50℃の間、とりわけ0℃と25℃の間の温度範囲が選択される。
さらに、本発明による方法の工程b)において、この反応を溶媒中または溶媒混合物中で実施することが有利である。好適な溶媒または溶媒混合物としては、エーテル、例えばジエチルエーテルが挙げられる。使用される求電子剤が温度勾配内で液体である場合、この求電子剤は、溶媒混合物の一部としてか、または溶媒として作用することができる。
本発明による方法において、金属シラニドに転化される使用されるヒドリドシランのモル量を基準として少なくとも0.03当量の求電子剤が添加される。有利には、金属シラニドに転化される使用されるヒドリドシランのモル量を基準として0.55当量、等モル量または最大10倍の過剰量の求電子剤が添加される。アルカリ金属シラニドを用いる場合、そのつど使用される求電子剤を基準として1:10〜1:100,000のモル比を調節することが可能である。後者の場合、求電子剤は、前述の通り、溶媒の一部として用いられるか、または溶媒である。
金属シラニドは、有利にはin−situでヒドリドシランと金属オルガニル化合物から溶媒中または溶媒混合物中であらかじめ生成され、ここで、この反応は、−30℃〜+30℃の温度範囲で、有利には室温で行われる。本発明による方法において、in−situで金属シラニドに転化される使用されるヒドリドシランのモル量を基準として等モル量の金属オルガニル化合物が添加され、ここで、等モル量の金属オルガニル化合物という用語は、本発明の範囲では、0.95当量または1.05当量のモル量であるとも理解される。有利には、in−situで金属シラニドに転化される使用されるヒドリドシランのモル量を基準として少なくとも0.01当量〜0.05当量の金属オルガニル化合物が添加される。
好適な金属オルガニルは、アルキルリチウム化合物、例えばメチルリウムであり;好適な溶媒または溶媒混合物としては、エーテル、例えばジエチルエーテルが挙げられる。本発明による方法において、この反応は、湿分および酸素を可能な限り排除して行われる。これは、最大30質量ppmの水の残留物含有量を有する無水溶媒または無水溶媒混合物の使用および不活性ガス雰囲気の使用によって達成される。不活性ガスとは、本発明の範囲では、1や1の反応性前駆体やさらなる高級ヒドリドシランの収率が低下するという意味において出発材料および/または生成物と反応しないガスまたは混合ガスであると理解される。好適な不活性ガスまたは不活性混合ガスは、酸素をほとんど含まないものであり、乾燥窒素、乾燥アルゴンまたはその混合物が挙げられる。
本発明による方法の工程c)における反応混合物の後処理は、形成されたヒドリドシランの好適な物理化学的特性を利用して行われる。それには、例えば、非極性溶媒または非極性溶媒混合物へのその優れた溶解度およびその分圧が含まれる。好適な非極性溶媒または非極性溶媒混合物は、例えばアルカン、とりわけ20℃〜25℃および1.013bar=1013hPaの標準気圧で液相中に存在しているアルカンを含む。好適な非極性溶媒混合物は、例えばペンタンを含む。
まず、形成されたヒドリドシランを反応混合物から抽出分離し、それに続いて、蒸留による後処理、とりわけ減圧下での蒸留または昇華による収率一定の後処理が行われることが有利である。
本発明の対象は、以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)この金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、本願の実験部分に開示される質量分析法、29Si−NMR分光法および1H−NMR分光法による特徴を有するシランを得る工程
によって得られる2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1である。
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)この金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、本願の実験部分に開示される質量分析法、29Si−NMR分光法および1H−NMR分光法による特徴を有するシランを得る工程
によって得られる2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1である。
工程b)は、温度勾配で、反応混合物を常に均質化しながら行われることが有利であり、ここで、−80℃と50℃の間、とりわけ0℃と25℃の間の温度範囲が選択される。
工程b)は、求電子剤の等モル量〜最大10倍の過剰量を適用して、それに代わってアルカリ金属シラニド対求電子剤のモル比1:10〜1:100,000を適用して行われることが有利である。選択された求電子剤が、温度勾配内で液体である場合、この求電子剤は、後者の場合、溶媒または溶媒混合物の一部として作用することができる。
工程c)は、形成されたヒドリドシラン1および2の好適な物理化学的特性、例えば非極性溶媒または非極性溶媒混合物へのその優れた溶解度またはその分圧を利用して行われ、ここで、1および2は、抽出によって反応混合物から分離されることが有利である。好適な非極性溶媒または非極性溶媒混合物は、例えば、アルカン、とりわけ20℃〜25℃および1.013bar=1013hPaの標準気圧で液相中に存在しているアルカンを含む。好適な非極性溶媒混合物は、例えばペンタンを含む。純粋な1を得るためには、抽出に続いて蒸留による後処理を行うことが有利であり、ここで、蒸留による後処理は、減圧下で、例えば真空〜最大0.05mbar=5Paおよび≦50℃の温度、とりわけ≦40℃の温度で行われる。純粋な2を得るためには、蒸留に続いて、昇華を減圧下で、例えば真空〜最大1×10-3mbar=0.1Paおよび≦100℃の温度、とりわけ≦70℃の温度で行うことが有利である。
本発明のさらなる対象は、以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)この金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のヒドリドシランの混合物を得る工程
によって得られる式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランである。
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)この金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のヒドリドシランの混合物を得る工程
によって得られる式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランである。
工程b)は、温度勾配で反応混合物を常に均質化して行われることが有利であり、ここで、−80℃と50℃の間、とりわけ0℃と25℃の間の温度範囲が選択される。
工程b)は、求電子剤の等モル量〜最大10倍の過剰量を適用して、それに代わってアルカリ金属シラニド対求電子剤のモル比1:10〜1:100,000を適用して行われることが有利である。選択された求電子剤が温度勾配内で液体である場合、この求電子剤は、後者の場合、溶媒または溶媒混合物の一部として作用することができる。
工程c)は、形成されたシラン1および2の好適な物理化学的特性、例えば非極性溶媒または非極性溶媒混合物へのその優れた溶解度またはその蒸気圧を利用して行われ、ここで、1および2は、抽出により反応混合物から分離されることが有利である。好適な非極性溶媒または非極性溶媒混合物は、例えばアルカン、とりわけ20℃〜25℃および1.013bar=1013hPaの標準気圧で液相中に存在しているアルカンを含む。好適な非極性溶媒混合物は、例えばペンタンを含む。
本発明の対象は、式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させることを特徴とする方法で製造され、好ましくは、未反応の出発材料および反応の副生成物を含まず、液相中に標準条件/SATP下で存在しており、50面積%〜70面積%の1と2と式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn>5、好ましくは、m=2)の高級ヒドリドシランとを含む組成物中に2,2,3,3−テトラシリルシラン1を含む式SinH2n+m(式中、m=0、2およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランの、基材上にケイ素含有層を析出するための使用であり、ここで、オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択され、ここで、100面積%との差分には、難揮発性の高級ヒドリドシランが含まれ、かつここで、示された面積%は、本願の実験部分に開示される通り、ガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている。
以下の例および実験部分で開示されたデータは、本発明を説明するために用いられるものであり、これらの例および開示されたデータをなんら制限するものではない。
実験部分
M. Braun Inertgas−Systeme GmbH製のグローブボックス内で、または先行のシュレンク技術の手法(D. F. Shriver, M. A. Drezdzon, The manipulation of air sensitive compounds, 1986, Wiley VCH, New York, USA)を用いて、乾燥窒素(N2、純度5.0;O2含有量<0.1ppm;H2O含有量<10ppm)の不活性雰囲気下ですべての作業を実施した。M. Braun Inertgas−Systeme GmbH製の型式MB−SPS−800−Autoの溶媒乾燥装置を用いて、酸素を含まない無水溶媒(ジエチルエーテル、ペンタン)を準備した。重水素化ベンゼン(C6D6)をSigma−Aldrich Coorp.より調達し、使用前に乾燥のために少なくとも2日間モルシーブ(4Å)で貯蔵した。メチルリチウム(ジエチルエーテル中の1.6モル溶液)をSigma−Aldrich Coorp.より調達し、さらに後処理することなく使用した。四塩化ケイ素および1,2−ジブロモエタンを同じくSigma−Aldrich Coorp.より調達し、使用前に脱気した。化合物3を公知の文献の方法によって製造した(Stueger, H.; Mitterfellner, T.; Fischer, R.; Walkner, C.; Patz, M.; Wieber, S. Chem. Eur. J. 2012, 18, 7662〜7664)。
M. Braun Inertgas−Systeme GmbH製のグローブボックス内で、または先行のシュレンク技術の手法(D. F. Shriver, M. A. Drezdzon, The manipulation of air sensitive compounds, 1986, Wiley VCH, New York, USA)を用いて、乾燥窒素(N2、純度5.0;O2含有量<0.1ppm;H2O含有量<10ppm)の不活性雰囲気下ですべての作業を実施した。M. Braun Inertgas−Systeme GmbH製の型式MB−SPS−800−Autoの溶媒乾燥装置を用いて、酸素を含まない無水溶媒(ジエチルエーテル、ペンタン)を準備した。重水素化ベンゼン(C6D6)をSigma−Aldrich Coorp.より調達し、使用前に乾燥のために少なくとも2日間モルシーブ(4Å)で貯蔵した。メチルリチウム(ジエチルエーテル中の1.6モル溶液)をSigma−Aldrich Coorp.より調達し、さらに後処理することなく使用した。四塩化ケイ素および1,2−ジブロモエタンを同じくSigma−Aldrich Coorp.より調達し、使用前に脱気した。化合物3を公知の文献の方法によって製造した(Stueger, H.; Mitterfellner, T.; Fischer, R.; Walkner, C.; Patz, M.; Wieber, S. Chem. Eur. J. 2012, 18, 7662〜7664)。
UV−Visスペクトルを、Perkin Elmer社のUV−Vis分光計Lambda 5で記録した。そのために、1×10-2mol/Lの濃度を有する1と2の倍液をグローブボックスで製造して、さらに希釈した。溶媒は、n−ヘキサンであった。NMRスペクトルを、溶媒C6D6中で、Varian, Inc.社の型式Varian INOVA 300(1H:300.0MHz、29Si:59.6MHz)の分光計で室温にて測定した。化学シフトは、外部参照(1Hおよび29Si:TMS、テトラメチルシランに相当、δ=0ppmの場合)に対して示される。NMRスペクトルを、MestreLab Research(Chemistry Software Solutions)社のソフトウェアMest−ReNovaを用いて評価した。HP 5890 Serie IIガスクロマトグラフにHP 5971/A質量分析計(どちらもAgilent Technologies,Inc.社製)が連結された構成のガスクロマトグラフィー質量分析の組み合わせを用いて混合生成物を試験した。長さ25mおよび直径0.2mmの、ポリ(ジメチルシロキサン)が100%充填されたHP−1毛管カラムでガスクロマトグラフィーによる分離を行った。質量分析計におけるイオン化を、電子衝撃イオン化法によって70eVで実施した。イオンクロマトグラムにおける個々の成分の識別を、参照化合物のSi5H10(シクロペンタシランに相当)、Si6H12(シクロヘキサシランに相当)との比較によるGC保持時間、および電子衝撃イオン化法質量スペクトルにおける特性化されたフラグメントパターンで行った。ヒドリドシランの定量化を、面積%として、およびイオンクロマトグラムの全面積を基準として示される個々のフラクションの積分によって行い、ここで、GC−MSシグナルの積分は、ヒドリドシラン混合物、例えばSi5H10(シクロペンタシランに相当)およびSi6H12(シクロヘキサシランに相当)に相応する1H−NMRスペクトルにおける共鳴の積分値との比較によってあらかじめ較正した。GC/MSデータの評価を、Agilent Technologies, Inc.社のソフトウェアGC/MSD ChemStationで行った。
使用される略語:
SATP=標準環境温度および圧力;25℃=298.15K;1.013bar=1013hPa
NPS=ネオペンタシラン=2,2−ジシリルトリシラン=Si(SiH3)4=3
TMS=テトラメチルシラン
MeLi=メチルリチウム
NMR=核磁気共鳴
IR=赤外線
MS=質量分光法
GC=ガスクロマトグラフィー
UV=紫外線
Vis=可視。
SATP=標準環境温度および圧力;25℃=298.15K;1.013bar=1013hPa
NPS=ネオペンタシラン=2,2−ジシリルトリシラン=Si(SiH3)4=3
TMS=テトラメチルシラン
MeLi=メチルリチウム
NMR=核磁気共鳴
IR=赤外線
MS=質量分光法
GC=ガスクロマトグラフィー
UV=紫外線
Vis=可視。
例1
6mlのジエチルエーテル中の1.00gのNPS(6.6mmol、1当量)の溶液を、ジエチルエーテル(6.2mmol、0.95当量)中のMeLiの1.6M溶液3.95mlに−30℃でゆっくりと加え、その後、室温で1時間撹拌する。このようにして得られたイソテトラシラニルリチウムの溶液を、12mlのジエチルエーテル中の0.28mlのジブロモエタン(3.3mmol、0.55当量)の溶液に0℃で滴加して、この混合物を室温で45分撹拌する。ここで、この溶媒を減圧下で0℃にて除去し、残った残留物を1回につき15mlのペンタンで3回抽出して、フィルターカニューレでろ別する。可溶性画分からペンタンを0℃にて真空で蒸留により除去して、残った油性の混合生成物を38℃〜40℃にて0.05mbar=5Paで再凝縮させる。ここで、0.21g(28%)の純粋な1が、酸化感受性の高い澄明な液体の形態で得られる。
例2
6mlのジエチルエーテル中の1.00gのNPS(6.6mmol、1当量)の溶液を、ジエチルエーテル(6.2mmol、0.95当量)中のMeLiの1.6M溶液3.95mlに−30℃でゆっくりと加え、その後、室温で1時間撹拌する。このようにして得られたイソテトラシラニルリチウムの溶液を、12mlのジエチルエーテル中の0.61gのテトラクロロシラン(3.6mmol、0.55当量)の溶液に0℃で滴加して、この混合物を室温で45分撹拌する。ここで、この溶媒を減圧下で0℃にて除去し、残った残留物を1回につき15mlのペンタンで3回抽出して、フィルターカニューレでろ別する。可溶性画分からペンタンを0℃にて真空で蒸留により除去して、残った油性の混合生成物を38℃〜40℃にて0.05mbar=5Paで再凝縮させる。ここで、0.21g(28%)の純粋な1が、酸化感受性の高い澄明な液体の形態で得られる。蒸留の残留物を昇華装置に移して、40℃〜60℃にて1×10-3mbarで昇華させる。ここで、40mg(5%)の純粋な2が、酸化感受性の高い無色の固体の形態で得られる。
例3
1.00gのNPS(6.6mmol、1当量)を、ジエチルエーテル(0.3mmol、0.05当量)中のMeLiの1.6M溶液0.20mlに−30℃で加え、その後、−30℃で10分撹拌する。次いで、この反応溶液に0.03gのテトラクロロシラン(0.1mmol、0.03当量)を滴加して、この混合物を室温で45分撹拌する。ここで、この溶媒を減圧下で0℃にて除去し、残った油性の混合生成物を38℃〜40℃にて0.05mbar=5Paで再凝縮させる。ここで、0.16g(20%)の純粋な1が、酸化感受性の高い澄明な液体の形態で得られる。
図2は、本発明による方法から得られた抽出された混合生成物の1H−NMRスペクトルを示している。3ppm〜4ppmの範囲内の記録された共鳴シグナルは、SiH3基に典型的であり、少なくとも3種の式SimH2m+2(式中、m>5)のヒドリドシランを明らかにしている。
高分子量のヒドリドシランに典型的な、この範囲内の幅広いシグナルは、記録されていない。
蒸留による後処理前の粗混合生成物の主成分は、ガスクロマトグラフィー測定における面積%として求めたところ、1(少なくとも30%)、2(最大10%)および3(最大30%)である。
この知見は、連結されたガスクロマトグラフィーと質量分析による試験の結果によって裏付けられている;図3参照。
固体で易揮発性の成分(実質的に3)の分離の後、液中にSATP下で50面積%〜70面積%の可溶性の高級シランが残留しており、ここで、100面積%との差分には、式SinH2n+m(式中、m=0、2、とりわけm=2、およびn>11)の難揮発性の高級ヒドリドシランが含まれる。
1を純粋な形態で約25%の収率で単離することができる。
固体残留物は、形成されたLiX(X=Br、Cl)以外にさらに比較的少量の不溶性の高分子量のヒドリドシランを含む。このことは、図1に示されたIR分光法によるデータで明らかになる。約2100cm-1および約800cm-1の範囲の記録された帯域は、Si−H結合を有する化合物に典型的である。湿分と接触する場合、IRスペクトルにおいて、3400cm-1の範囲と1600cm-1の範囲にさらなる帯域が現れ、これらは、吸着された水に起因するものであり、湿分と継続的に接触する場合、強度が増している;図1中の下方のIRスペクトル参照。
さらなる帯域は、湿分と継続的に接触する場合、1200cm-1の範囲に現れており、これらの帯域は、シロキサンに典型的である。それらの帯域は、難揮発性の高分子量のヒドリドシランの、分解生成物としての相応の高分子量のシロキサンへの酸化を示唆している。
本発明による方法において選択された求電子剤にかかわらず、得られた固体残留物に関して、IR分光法によるデータにおいては同じ結果が得られる。したがって、この残留物は、LiX(式中、X=BrまたはCl)と高分子量のヒドリドシランからの混合物であり、このヒドリドシランは、低い蒸気圧以外に、さらに非極性溶媒または非極性溶媒混合物への難溶性を特徴としている。
化合物1および2の図4および5に示されたUV−Visスペクトルの濃度は、それぞれ1×10-4mol/Lである。
Claims (12)
- 質量分析法により測定された分子量が242g/molであり、29Si−NMRスペクトルが2つの共鳴シグナルを有し、ここで、第一のシグナルは、δ=−92.71ppmの化学シフト、1JSi-H=201Hz(SiH3)の異核カップリングの四重項パターンを示し、第二のシグナルは、δ=−150.42ppmの化学シフト、2JSi-H=3Hz(Siq)の異核カップリングの多重項パターンを示し;1H−NMRスペクトルが、SiH3−基に典型的なシグナルおよび3ppm〜4ppmの範囲の化学シフトを有し、ここで、これらのシグナルの積分は、合計18個のプロトンに相当し、29Si−NMRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルの化学シフトは、標準物質であるテトラメチルシランを基準としていることを特徴とする式1の2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン。
- 質量分析法により測定された分子量が332g/molであり;29Si−NMRスペクトルが4つの共鳴シグナルを有し、ここで、第一のシグナルは、δ=−146.50ppmの化学シフト、2JSi-H=2.7Hz(Si(SiH3)3)の異核カップリングの多重項パターンを示し、第二のシグナルは、δ=−135.26ppmの化学シフト、2JSi-H=3.0Hz(Si(SiH3)2)の異核カップリングの多重項パターンを示し、第三のシグナルは、δ=−93.65ppmの化学シフト、1JSi-H=201.4Hzおよび3JSi-H=3.2Hz(Si(SiH3)2)の異核カップリング定数の四重項パターンを示し、第四のシグナルは、δ=−90.11ppmの化学シフト、1JSi-H=201.6Hz、および3JSi-H=3.6Hz(Si(SiH3)3)の異核カップリング定数の四重項パターンを示し;1H−NMRスペクトルが、SiH3−基に典型的なシグナルおよび3ppm〜4ppmの範囲の化学シフトを有し、ここで、1H−NMRスペクトルの化学シフトは、標準物質であるテトラメチルシランを基準としていることを特徴とする、式2の2,2,3,3,4,4−ヘキサシリルペンタシラン。
- 式1の2,2,3,3−テトラシリルテトラシランと、式1の2,2,3,3−テトラシリルテトラシランではない1つ以上のさらなる成分とを含む組成物。
- 少なくとも30面積%の1、最大10面積%の2、最大30面積%の3を含み、ここで、100面積%との差分には、式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシラン、未反応の出発材料およびヒドリドシランではない反応の副生成物が含まれ、かつここで、示された面積%は、ガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている、請求項3記載の組成物。
- 未反応の出発材料および反応の副生成物を含まず、50面積%〜70面積%の1と2と式SinH(2n+m)(式中、m=0、2、およびn>5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランとを含み、ここで、100面積%との差分には、式SinH(2n+m)(式中、m=0、2、およびn>11、好ましくはm=2)の難揮発性の高級ヒドリドシランが含まれ、かつここで、示された面積%は、ガスクロマトグラフィー測定の全面積を基準としている、液相中に標準条件/SATP下で存在している請求項4記載の組成物。
- 式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランとを含むことを特徴とする、請求項3記載の組成物。
- 式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランと、式3のネオペンタシランとを含むことを特徴とする、請求項6記載の組成物。
- 式1のテトラシリルテトラシランと、式2のヒドリドシランと、式3のネオペンタシランと、式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn>11、好ましくはm=2)の化合物とを含むことを特徴とする、請求項3記載の組成物。
- 以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはm=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)前記式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、前記オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のヒドリドシランの混合物を得る工程
であることを特徴とする、式SinH2n+m(式中、m=0または2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランの製造方法。 - 以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)前記金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、前記オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、請求項1記載のシランを得る工程
によって得られる2,2,3,3−テトラシリルテトラシラン1。 - 以下の工程の順序:
a)式M(SinH2n+m)o(式中、1≦n≦12、m=1、−1、o=1、2、およびM=アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはM=Li、n=4、m=1、M=Li)の金属シラニドを準備する工程;
b)前記金属シラニドと、元素ハロゲン化物、オルガノ元素ハロゲン化物の群から選択される求電子剤を反応させる工程、ここで、前記オルガノ元素ハロゲン化物の下位群には、それぞれ元素周期表の第4主族のアルキル元素ハロゲン化物またはアリール元素ハロゲン化物が含まれ、好ましくは式SiyX2y+2(式中、1≦y≦3)のハロゲンシラン、および/または式CpHqXr(式中、p=1〜6、ここで、qは0〜2p+1の値であり、かつここで、rは、1〜2p+2の値であるとみなすことができ、特に好ましくはハロゲンX=塩素、臭素、とりわけSiCl4および/またはジブロモエタン)のアルキルハロゲン化物から選択される;
c)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SimH2m+2(式中、m≧5)のシランの混合物を得る工程;
d)工程b)から得られた反応混合物を後処理して、式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5、好ましくはm=2)のシランの混合物を得る工程
によって得られる式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5)の高級ヒドリドシラン。 - 請求項9記載の方法で製造され、好ましくは請求項3から8までのいずれか1項記載の組成物中に2,2,3,3−テトラシリルシラン1を含む式SinH2n+m(式中、m=0、2、およびn≧5、好ましくはm=2)の高級ヒドリドシランの、基材上にケイ素含有層を析出するための使用。
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