JP6001433B2 - アリールアミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の製造方法により得られるアリールアミン化合物は、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物である。
(上記式(1)〜(3)中、Ar1〜Ar4はアリール基を示す。また、Ar1〜Ar4の中から選ばれる任意の2つのアリール基は、結合して環を形成していてもよい。Ar5は2価の芳香族炭化水素基を示す。)
前記アリールアミン化合物は、ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。より具体的には、ハロゲン化アリール化合物とアリールアミン化合物とを縮合(カップリング)させることにより得られる。
ハロゲン化アリール化合物は、前記アリール基または前記2価の芳香族炭化水素基とハロゲン原子が結合した化合物である。
本発明で使用するアミン化合物は、前記アリール基または前記2価の芳香族炭化水素基にアミノ基が結合した構造のアリールアミン化合物であり、例えば、第一級アリールアミン化合物や、第二級アリールアミン化合物等を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを、パラジウム触媒と、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基の存在下で、副生成する水を留去しながら反応させる。
パラジウム触媒の種類は特に限定されない。例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム塩を用いることができる。
塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基を用いる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これらの中でも、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。水酸化ナトリウムは安価であり、容易に入手できる点において好ましい。添加する塩基の形態は、例えば、ペレット状、顆粒状、粉末状のものや、水溶液として添加してもよく、特に限定されない。
前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物との反応は、基質および反応物(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)以外の物質を反応溶媒として添加して、或いはアミン化合物を基質とした場合には、基質に対して反応に必要な等量より過剰量の反応物(ハロゲン化アリール化合物)を反応溶媒として行うことができる。
基質および反応物(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)以外の物質を反応溶媒として添加する形態では、反応で副生成する水と混和しない溶媒を用いることが好ましい。水と混和しない溶媒を使用することで、例えばディーン・スターク管等を用いて反応中に還流させた溶媒から水のみを分離・除去することができる。従って、高温で反応を行っても反応系内で突沸を生じることなく反応を進行させることができる。
ハロゲン化アリール化合物が反応温度で液体である場合には、別途、反応溶媒を加えることなく、ハロゲン化アリール化合物を反応溶媒として用いてもよい。
本発明の製造方法は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で反応を行うことにより、酸素によるパラジウム触媒の不活性化を防止することができる。なお、不活性ガス雰囲気下であれば、常圧条件下でも、加圧条件下でも反応を行うことができる。
反応温度は、50〜300℃の範囲とすることが好ましく、100〜250℃の範囲とすることが更に好ましい。この範囲であれば、溶媒を還流させながら、副生成する水を除去することができる。
水の留去量は、原料の仕込量、反応温度、触媒の種類によって変動するため、特に限定されない。但し、基質に対して一時間当たり8〜29mol%留去することが好ましい。8mol未満であると、反応の進行が遅くなり、経済的に好ましくない。一方、29molを超えると、反応が暴走的に進行し、不純物の副生成を招くおそれがある。
本発明の製造方法は固液反応を利用して行われるため、前記条件の他、例えば、反応時間、攪拌数、反応釜形状、攪拌翼形状等も反応に影響を与える。但し、これらの条件は特に限定されない。基質の種類、他の条件に応じて適宜定めればよい。
副生成する水を留去しながら反応させるための反応設備としては、例えば、反応釜と、前記反応釜から蒸発した反応溶媒(反応溶媒として用いられる基質も含む。)を冷却するコンデンサーと、前記コンデンサーで凝縮された液体を受けるタンクと、前記タンクと前記反応釜を繋ぐ配管と、を有する反応設備等を挙げることができる。
実施例1〜4および比較例1においては、過剰量の反応物(ハロゲン化アリール化合物)を反応溶媒とする形態について評価を行った。
アミン化合物としてm−トルイジンを、ハロゲン化アリール化合物としてブロモベンゼンを、触媒としてビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドを、塩基として水酸化ナトリウムを用いた。
実施例1において、ブロモベンゼン173.3gを使用し、100g(m−トルイジンに対して2質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
実施例1において、ブロモベンゼン223.3gを使用し、150g(m−トルイジンに対して3質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
実施例1において、ブロモベンゼン248.3gを使用し、175g(m−トルイジンに対して3.5質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
実施例1において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド112.1g(1.17mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
反応中に激しい発泡または突沸がない場合を良好、反応中に激しい発泡または突沸があり、反応を中止した場合を不良とした。
収率95%以上を非常に良好、収率90%以上を良好、収率90%未満を不良とした。
HPLCで測定した純度が85%以上の場合を非常に良好、80%以上の場合を良好、80%未満の場合を不良とした。なお、HPLC測定は、高速液体クロマトグラフ装置(日立ハイテクノロジーズ社製)、カラム(商品名:EclipseXDB-C18、アジレント社製)、検出器(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて行った。移動相としては実施例1〜4、比較例1ではメタノール/水=8/2、実施例5〜8、比較例2〜5ではメタノール100%を用い、流量1mL/分、注入量1μm、カラム温度40℃、検出波長は実施例1〜4、比較例1では254nm、実施例5〜8、比較例2〜5では309nmの条件で測定を行った。
前記純度測定において、1%以上の不純物ピークがない場合を非常に良好、1%以上の不純物ピークがある場合を不良とした。
実施例5〜8および比較例2〜5においては、基質および反応物以外の物質を反応溶媒として添加する形態について評価を行った。
アミン化合物としてジ−p−トリルアミンを、ハロゲン化アリール化合物として4、4’−ジブロモビフェニルを、触媒としてビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドを、塩基として水酸化ナトリウムを、溶媒としてo−キシレンを用いた。
実施例5において、o−キシレンの量を20g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して1質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例5において、o−キシレンに代えてトルエンを用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例5において、o−キシレンに代えてo−ジクロロベンゼンを用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例8において、o−ジクロロベンゼンの量を60g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3質量倍)に変更したこと以外は、実施例8と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例8において、o−ジクロロベンゼンの量を70g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3.5質量倍)に変更したこと以外は、実施例8と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、湯浴温度を120℃とし、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡した。反応終了後、実施例5と同様にして後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、o−キシレンの量を60g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、o−キシレンの量を120g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して6質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡した。反応終了後、実施例5と同様にして後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
収率90%以上を非常に良好、収率80%以上を良好、収率80%未満を不良とした。
HPLCで測定した純度が90%以上の場合を非常に良好、80%以上の場合を良好、80%未満の場合を不良とした。
Claims (2)
- ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物とを、
パラジウム触媒と、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基の存在下で反応させるアリールアミン化合物の製造方法において、
前記アミン化合物との反応に必要な当量より過剰量のハロゲン化アリール化合物を反応溶媒とし、
前記アミン化合物に対して1〜3質量倍の前記反応溶媒中で副生成する水を留去しながら反応させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。 - 前記塩基が水酸化ナトリウムである請求項1に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
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