JP6001433B2 - アリールアミン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス材料など有機電子デバイス用材料として有用なアリールアミン化合物の製造方法に関するものである。
アリールアミン化合物は、電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンスなど有機電子デバイス用材料として利用され、様々な構造を有する化合物が開発されている。
アリールアミン化合物は、一般に、ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物を、銅触媒またはパラジウム触媒と塩基の存在下で反応させて製造される。中でも、リン成分を配位させたパラジウム触媒を用いた方法が、様々なアリールアミン化合物を高収率および高純度で製造する方法として多数報告されている。
これらパラジウム触媒を用いた方法で併用される塩基としては、酸解離度(pKa値)が10以上である強塩基が好ましいとされており、さらに、反応溶媒に溶解または分散させ易いものが有利であることから、殆どの場合、ナトリウムターシャリーブトキシドに代表される金属アルコキシドが用いられてきた。
しかしながら、金属アルコキシドは反応中にアルコール類を副生成し、それが反応溶媒であるトルエンやキシレン等と混和して沸点を下げるため、反応温度が制限され、アリールアミン化合物の収率が低下するという問題があった。また、アルコール類と混和した反応溶媒は容易に回収・再利用することが困難であった。
前記アリールアミン化合物の収率が低下する問題に対し、副生成したアルコール類を反応系から除去する方法が提案されている。例えば、臭化アリール化合物等と、アミン化合物とを、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒中、パラジウム触媒およびアルカリ金属アルコキシド等の存在下で、副生するアルコールを留去しながら反応させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法が提案されている(特許文献1)。
特開2002−275130号公報
しかしながら、前記方法では温度制御が不可欠な分留装置が必要であった。また、副生成するアルコール類に起因する反応系内での突沸を抑えるため、反応溶媒を基質に対して多量に用いる必要があった。このため、1バッチ当たりの得量が少なくなり、生産効率が悪く製造コストが高くなるという問題があった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは反応溶媒の量を減らしても反応中に突沸することがなく、1バッチ当たりの得量を増やすことができ、生産効率が高く、低コストで高品質のアリールアミン化合物を製造することにある。
本発明者らはこのような状況を鑑みて検討した結果、アリールアミン化合物を製造する際に、塩基としてアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を使用し、反応の副生成物をアルコールではなく水にすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物とを、パラジウム触媒と、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基の存在下で、副生成する水を留去しながら反応させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法である。
本発明においては、前記ハロゲン化アリール化合物に対して1〜3質量倍の反応溶媒中で、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを反応させることが好ましい。また、本発明においては、前記アミン化合物との反応に必要な当量より過剰量のハロゲン化アリール化合物を反応溶媒とし、前記アミン化合物に対して1〜3質量倍の前記反応溶媒中で、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを反応させることが好ましい。更に、本発明においては、前記塩基が水酸化ナトリウムであることが好ましい。
本発明のアリールアミン化合物の製造方法では、副生成物である水がトルエン等の反応溶媒と混和しないため、水分受取器を用いて容易に分離、除去することができる。このため、反応溶媒が基質に対して1〜3質量倍の範囲でも反応系内で突沸が起こらず、1バッチで多くの基質および反応物を仕込むことが可能である。また、反応終了後に反応溶媒を濃縮留去することで簡便に溶媒が回収でき、再利用が可能なことから、環境保全の観点からみても非常に有益な量産手法となり得る。さらに、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物は金属アルコキシドに比べて非常に安価であり、コスト面において有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。但し、本発明は下記の実施形態に限定されず、その発明特定事項を有する全ての対象を含むものである。なお、以下の説明において、「基質」とは、ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物のうち、反応溶媒が還流中でも反応系内に常時存在する化合物である。
[1]目的物:
本発明の製造方法により得られるアリールアミン化合物は、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物である。
Figure 0006001433
(上記式(1)〜(3)中、Ar1〜Ar4はアリール基を示す。また、Ar1〜Ar4の中から選ばれる任意の2つのアリール基は、結合して環を形成していてもよい。Ar5は2価の芳香族炭化水素基を示す。)
上記一般式(1)〜(3)において、Ar1〜Ar4で示されるアリール基は、芳香族化合物から芳香環上の水素原子を1個取り除いた基であり、芳香環上の水素原子がアルキル基等の置換基によって置換されていてもよい。例えば、フェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ビフェニル−4−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基等を挙げることができる。
Ar5で示される2価の芳香族炭化水素基は、芳香族化合物から芳香環上の水素原子を2個取り除いた基であり、例えば、フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基等を挙げることができる。また、2つのアリール基が結合して環を形成している構造としては、Ar1〜Ar4で示されるアリール基のうち2つのアリール基と、上記式中のN原子によって、カルバゾール骨格やイミノジベンジル骨格を形成したものが挙げられる。
[2]原料:
前記アリールアミン化合物は、ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。より具体的には、ハロゲン化アリール化合物とアリールアミン化合物とを縮合(カップリング)させることにより得られる。
[2−1]ハロゲン化アリール化合物:
ハロゲン化アリール化合物は、前記アリール基または前記2価の芳香族炭化水素基とハロゲン原子が結合した化合物である。
ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等を挙げることができる。即ち、ハロゲン化アリール化合物としては、塩化アリール化合物、臭化アリール化合物、ヨウ化アリール化合物等を用いることができる。中でも、臭化アリール化合物、ヨウ化アリール化合物は、塩化アリール化合物に比べて反応性が高く、目的物であるアリールアミン化合物の収率が著しく高いため好ましい。
臭化アリール化合物としては、具体的には、ブロモベンゼン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、4−ブロモビフェニル、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ジブロモビフェニル等を挙げることができる。また、ヨウ化アリール化合物としては、具体的には、ヨードベンゼン、3−ヨードトルエン、4−ヨードトルエン、4−ヨードビフェニル、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ジヨードビフェニル等を挙げることができる。
[2−2]アミン化合物:
本発明で使用するアミン化合物は、前記アリール基または前記2価の芳香族炭化水素基にアミノ基が結合した構造のアリールアミン化合物であり、例えば、第一級アリールアミン化合物や、第二級アリールアミン化合物等を挙げることができる。
前記第一級アリールアミン化合物としては、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−キシリジン、m−キシリジン、p−キシリジン、フェニレンジアミン、ベンジジン等を挙げることができる。
前記第二級アリールアミン化合物としては、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ジキシリルアミン、フェニルトリルアミン、ジフェニルフェニレンジアミン、ジフェニルベンジジン等を挙げることができる。環状の第二級アリールアミンとしては、カルバゾール、イミノジベンジル等を挙げることができる。
[3]反応条件:
本発明の製造方法においては、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを、パラジウム触媒と、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基の存在下で、副生成する水を留去しながら反応させる。
[3−1]パラジウム触媒:
パラジウム触媒の種類は特に限定されない。例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム塩を用いることができる。
但し、配位子を有するパラジウム触媒を用いることが好ましい。配位子の種類は特に限定されない。例えばトリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のアルキルホスフィンやジベンジリデンアセトン等を挙げることができる。
配位子を有するパラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。
配位子の使用量は、パラジウム触媒に対して0.01〜1000モル%とすることが好ましく、0.1〜100モル%とすることが更に好ましい。配位子の使用量が0.01モル%未満では触媒効果が低い。一方、1000モル%超であると、コスト面で不利になる。
パラジウム触媒の使用量は、基質(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)1モルに対して、パラジウム換算で0.000001〜10モル%とすることが好ましく、0.00001〜10モル%とすることが更に好ましい。パラジウム触媒の使用量が0.000001モル%未満では触媒効果が低い。一方、10モル%超であると、コスト面で不利になる。
[3−2]塩基:
塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基を用いる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これらの中でも、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。水酸化ナトリウムは安価であり、容易に入手できる点において好ましい。添加する塩基の形態は、例えば、ペレット状、顆粒状、粉末状のものや、水溶液として添加してもよく、特に限定されない。
塩基の使用量は、基質(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)1モルに対して、1〜10モルの範囲で使用することが好ましく、1〜5モルの範囲で使用することが更に好ましい。塩基の使用量が1モル未満では塩基としての効果が低い。一方、10モル超であると、反応液の粘性が高くなり、攪拌効率が著しく低下する場合がある。
[3−3]反応溶媒:
前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物との反応は、基質および反応物(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)以外の物質を反応溶媒として添加して、或いはアミン化合物を基質とした場合には、基質に対して反応に必要な等量より過剰量の反応物(ハロゲン化アリール化合物)を反応溶媒として行うことができる。
[3−3A]基質および反応物以外の物質を反応溶媒として添加する形態:
基質および反応物(ハロゲン化アリール化合物またはアミン化合物)以外の物質を反応溶媒として添加する形態では、反応で副生成する水と混和しない溶媒を用いることが好ましい。水と混和しない溶媒を使用することで、例えばディーン・スターク管等を用いて反応中に還流させた溶媒から水のみを分離・除去することができる。従って、高温で反応を行っても反応系内で突沸を生じることなく反応を進行させることができる。
水と混和しない溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、オルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;デカリン等の脂環式炭化水素系溶媒;等を挙げることができる。
上記の反応溶媒を添加する形態においては、例えば、前記ハロゲン化アリール化合物に対して1〜4質量倍の反応溶媒中で、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを反応させることが好ましい。
また、上記の反応溶媒を使用した場合、前述した塩基(アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物)が溶解しないことから、不均一反応となる。従って、反応効率が低下しないように可能な限り高濃度で反応を行う必要があり、使用する反応溶媒の量を、ハロゲン化アリール化合物に対して1〜3質量倍の範囲とすることが更に好ましく、1〜2質量倍の範囲とすることが特に好ましい。
[3−3B]過剰量のハロゲン化アリール化合物を反応溶媒とする形態:
ハロゲン化アリール化合物が反応温度で液体である場合には、別途、反応溶媒を加えることなく、ハロゲン化アリール化合物を反応溶媒として用いてもよい。
例えば、前記ハロゲン化アリール化合物が反応温度で液体である場合には、前記アミン化合物との反応に必要な当量より過剰量の前記ハロゲン化アリール化合物を反応溶媒とし、前記アミン化合物に対して1〜4質量倍の前記反応溶媒中で、前記ハロゲン化アリール化合物と前記アミン化合物とを反応させてもよい。
但し、本発明においては、反応効率の低下を防止し、収率・品質を向上させる観点から、前記アミン化合物に対して1〜3質量倍の前記反応溶媒中で反応させることが更に好ましく、1〜2質量倍の前記反応溶媒中で反応させることが特に好ましい。
前記ハロゲン化アリール化合物としてブロモベンゼンを、アミン化合物としてm−トルイジンを用いた例で説明すると、m−トルイジンに対して1当量のブロモベンゼンが反応する。従って、m−トルイジンに対して1当量を超える分のブロモベンゼンを反応溶媒とする。そして、その反応溶媒としたブロモベンゼンをm−トルイジンの質量に対して1〜3質量倍添加し、反応を行う。
[3−4]反応雰囲気:
本発明の製造方法は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で反応を行うことにより、酸素によるパラジウム触媒の不活性化を防止することができる。なお、不活性ガス雰囲気下であれば、常圧条件下でも、加圧条件下でも反応を行うことができる。
[3−5]反応温度:
反応温度は、50〜300℃の範囲とすることが好ましく、100〜250℃の範囲とすることが更に好ましい。この範囲であれば、溶媒を還流させながら、副生成する水を除去することができる。
[3−6]水の留去:
水の留去量は、原料の仕込量、反応温度、触媒の種類によって変動するため、特に限定されない。但し、基質に対して一時間当たり8〜29mol%留去することが好ましい。8mol未満であると、反応の進行が遅くなり、経済的に好ましくない。一方、29molを超えると、反応が暴走的に進行し、不純物の副生成を招くおそれがある。
水を留去する際の、気化した反応溶媒の温度は70〜210℃の範囲であることが好ましい。これは冷却管の冷却温度が−25〜10℃であり、範囲外の高温だと十分な冷却効果が得られないためである。
[3−7]その他:
本発明の製造方法は固液反応を利用して行われるため、前記条件の他、例えば、反応時間、攪拌数、反応釜形状、攪拌翼形状等も反応に影響を与える。但し、これらの条件は特に限定されない。基質の種類、他の条件に応じて適宜定めればよい。
[4]反応設備、反応装置:
副生成する水を留去しながら反応させるための反応設備としては、例えば、反応釜と、前記反応釜から蒸発した反応溶媒(反応溶媒として用いられる基質も含む。)を冷却するコンデンサーと、前記コンデンサーで凝縮された液体を受けるタンクと、前記タンクと前記反応釜を繋ぐ配管と、を有する反応設備等を挙げることができる。
前記反応設備においては、前記反応釜から蒸発した反応溶媒と副生成する水が前記コンデンサーで冷却されて液体となり、前記タンク内において反応溶媒と水の二層に分離する。従って、副生成した水については反応系外に除去し、反応溶媒については前記配管を経由させて前記反応釜に戻し、循環させることができる。
実験室スケール(10〜1000mL反応釜スケール)の反応装置においては、ディーン・スターク管を用いることにより、副生成する水を留去しながら反応させることができる。
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例の構成のみに限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」、「%」は特に断らない限り質量基準である。
(実施例1〜4、比較例1)
実施例1〜4および比較例1においては、過剰量の反応物(ハロゲン化アリール化合物)を反応溶媒とする形態について評価を行った。
<実施例1>
アミン化合物としてm−トルイジンを、ハロゲン化アリール化合物としてブロモベンゼンを、触媒としてビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドを、塩基として水酸化ナトリウムを用いた。
m−トルイジン50g(0.47mol)に対し、ブロモベンゼン146.6gを使用した。ブロモベンゼン146.6gのうち、m−トルイジンとの反応に必要な73.3g(0.47mol)を基質とし、これより過剰量の73.3gを反応溶媒とした(m−トルイジンに対して1.5質量倍)。
前記量のm−トルイジンおよびブロモベンゼンに、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド0.33g(0.47mmol)と水酸化ナトリウム46.7g(1.17mol)を加え、系内を十分に窒素置換した。その後、湯浴温度を230℃まで上げて8時間反応を行った。この反応は、ディーン・スターク管を用い、副生成する水を系外へ留去しながら行った。この反応中、激しく突沸することはなかった。
反応終了後、冷却し、過剰のブロモベンゼンを減圧留去した。その後、反応生成物にヘプタンと水を加えて分液操作を行い、反応生成物をヘプタン層に抽出した。水層を分離後にヘプタンを減圧留去し、蒸留処理を行うことにより3−メチルジフェニルアミンを得た。
<実施例2>
実施例1において、ブロモベンゼン173.3gを使用し、100g(m−トルイジンに対して2質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
<実施例3>
実施例1において、ブロモベンゼン223.3gを使用し、150g(m−トルイジンに対して3質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
<実施例4>
実施例1において、ブロモベンゼン248.3gを使用し、175g(m−トルイジンに対して3.5質量倍)を反応溶媒としたこと以外は、実施例1と同様にして反応および後処理を行い、3−メチルジフェニルアミンを得た。
<比較例1>
実施例1において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド112.1g(1.17mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
実施例1〜4および比較例1について、仕込み量および反応条件を表1に、評価結果を表2に示す。評価は、反応中の発泡の有無、収率、純度および不純物ピークについて行った。なお、評価基準は以下の通りとした。
(1)反応中の発泡の有無:
反応中に激しい発泡または突沸がない場合を良好、反応中に激しい発泡または突沸があり、反応を中止した場合を不良とした。
(2)収率:
収率95%以上を非常に良好、収率90%以上を良好、収率90%未満を不良とした。
(3)純度:
HPLCで測定した純度が85%以上の場合を非常に良好、80%以上の場合を良好、80%未満の場合を不良とした。なお、HPLC測定は、高速液体クロマトグラフ装置(日立ハイテクノロジーズ社製)、カラム(商品名:EclipseXDB-C18、アジレント社製)、検出器(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて行った。移動相としては実施例1〜4、比較例1ではメタノール/水=8/2、実施例5〜8、比較例2〜5ではメタノール100%を用い、流量1mL/分、注入量1μm、カラム温度40℃、検出波長は実施例1〜4、比較例1では254nm、実施例5〜8、比較例2〜5では309nmの条件で測定を行った。
(4)不純物ピーク:
前記純度測定において、1%以上の不純物ピークがない場合を非常に良好、1%以上の不純物ピークがある場合を不良とした。
Figure 0006001433
Figure 0006001433
表1および表2に示すように、実施例1〜4の方法は、反応中に発泡がなく、純度、不純物ピークとも良好な結果であった。中でも、反応溶媒のブロモベンゼン量を1.5〜3倍とした実施例1〜3の方法は、収率、純度の面で特に良好な結果であった。比較例1の方法は、反応中の発泡が激しく、反応を進行させることができなかった。
(実施例5〜8、比較例2〜5)
実施例5〜8および比較例2〜5においては、基質および反応物以外の物質を反応溶媒として添加する形態について評価を行った。
<実施例5>
アミン化合物としてジ−p−トリルアミンを、ハロゲン化アリール化合物として4、4’−ジブロモビフェニルを、触媒としてビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドを、塩基として水酸化ナトリウムを、溶媒としてo−キシレンを用いた。
4、4’−ジブロモビフェニル20g(0.06mol)に対し、ジ−p−トリルアミン27.8g(0.14mol)を使用した。
前記量の4、4’−ジブロモビフェニルおよびジ−p−トリルアミンに、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド0.9g(0.13mmol)、水酸化ナトリウム12.8g(0.32mol)およびo−キシレン40g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して2質量倍)を加え、系内を十分に窒素置換した。その後、湯浴温度を200℃まで上げて2時間反応を行った。この反応は、ディーン・スターク管を用い、副生成する水を系外へ留去しながら行った。この反応中、激しく突沸することはなかった。
反応終了後、冷却し、水100gを加え、析出した結晶を濾取し、濾取した結晶をトルエン/メタノール(1:1)で再結晶させることにより、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<実施例6>
実施例5において、o−キシレンの量を20g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して1質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<実施例7>
実施例5において、o−キシレンに代えてトルエンを用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<実施例8>
実施例5において、o−キシレンに代えてo−ジクロロベンゼンを用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<実施例9>
実施例8において、o−ジクロロベンゼンの量を60g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3質量倍)に変更したこと以外は、実施例8と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<実施例10>
実施例8において、o−ジクロロベンゼンの量を70g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3.5質量倍)に変更したこと以外は、実施例8と同様にして反応および後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<比較例2>
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
<比較例3>
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、湯浴温度を120℃とし、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡した。反応終了後、実施例5と同様にして後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
<比較例4>
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、o−キシレンの量を60g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して3質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡し、反応液が容器から溢れ出たため、実験を中止した。
<比較例5>
実施例5において、水酸化ナトリウムに代えてナトリウムターシャリーブトキシド30.8g(0.32mol)を用い、o−キシレンの量を120g(4、4’−ジブロモビフェニルに対して6質量倍)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして反応を行った。反応中、激しく発泡した。反応終了後、実施例5と同様にして後処理を行い、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンを得た。
実施例5〜10および比較例2〜5について、仕込み量および反応条件を表3に、評価結果を表4に示す。評価は、反応中の発泡の有無、収率、純度および不純物ピークについて行った。なお、反応中の発泡の有無、不純物ピークについては、実施例1等と同様の評価基準とし、収率および純度の評価基準は以下の通りとした。
(1)収率:
収率90%以上を非常に良好、収率80%以上を良好、収率80%未満を不良とした。
(2)純度:
HPLCで測定した純度が90%以上の場合を非常に良好、80%以上の場合を良好、80%未満の場合を不良とした。
Figure 0006001433
Figure 0006001433
表3および表4に示すように、実施例5〜10の方法は、反応中に発泡がなく、収率、純度、不純物ピークとも良好な結果であった。中でも、反応溶媒の量を1〜3倍とした実施例5〜9の方法は、収率の面で特に良好な結果であった。比較例2および4の方法は、反応中の発泡が激しく、反応を進行させることができなかった。
比較例3および5の方法は、反応を中止する程ではないものの、反応中に激しい発泡が認められた。また、実施例5〜10の生成物にはない不純物ピークが現れた(1.8%、1.7%)。更に、純度も実施例5〜10の方法より低い結果となった。
本発明に係る製造方法は、電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス材料等の有機電子デバイス用材料として有用なアリールアミン化合物の製造に利用することができる。本発明に係る製造方法は、反応溶媒の量を減らしても反応中に突沸することがなく、1バッチ当たりの得量を増やすことができる。従って、生産効率が高く、低コストで高品質のアリールアミン化合物を製造することが可能である。

Claims (2)

  1. ハロゲン化アリール化合物とアミン化合物とを、
    パラジウム触媒と、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つの塩基の存在下で反応させるアリールアミン化合物の製造方法において
    前記アミン化合物との反応に必要な当量より過剰量のハロゲン化アリール化合物を反応溶媒とし、
    前記アミン化合物に対して1〜3質量倍の前記反応溶媒中で副生成する水を留去しながら反応させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。
  2. 前記塩基が水酸化ナトリウムである請求項1に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
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