<写真シール作成装置の外観構成>
図1および図2は、写真シール作成装置1の外観の構成例を示す斜視図である。
写真シール作成装置1は、撮影画像や編集画像を提供するゲーム機である。写真シール作成装置1は、画像をシール紙に印刷したり、画像を利用者の携帯端末上で閲覧可能にするためにその画像をサーバに送信したりすることで利用者に画像を提供する。写真シール作成装置1は、アミューズメント施設や店舗に設置される。
写真シール作成装置1の利用者は、主に女子高生や若い女性が中心となる。写真シール作成装置1において、1組あたり主に2人や3人などの複数人の利用者がゲームを楽しむことができる。もちろん、写真シール作成装置1において、1人の利用者がゲームを楽しむこともできる。
写真シール作成装置1において、利用者は、自身が被写体となって撮影作業を行う。利用者は、編集作業により、撮影によって得られた撮影画像の中から選択した画像に、手書きの文字やスタンプ画像などの合成用画像を合成させる。これにより、撮影画像が彩り豊かな画像に編集される。利用者は、編集済みの画像である編集画像が印刷されたシール紙を受け取って一連のゲームを終了させる。
図1に示すように、写真シール作成装置1は、基本的に、撮影ユニット11と編集ユニット12が接した状態で設置されることによって構成される。撮影ユニット11と編集ユニット12は電気的に接続される。
撮影ユニット11は、事前選択部20、撮影部21、および背景部22から構成される。事前選択部20は、撮影部21の側面に設置される。事前選択部20の前方の空間が、事前選択処理が行われる事前選択空間となる。また、撮影部21と背景部22は所定の距離だけ離して設置される。撮影部21と背景部22の間に形成される空間が、撮影処理が行われる撮影空間となる。
事前選択部20は、事前選択処理として、写真シール作成装置1によって提供されるゲームを紹介するガイダンスを行ったり、撮影空間で行われる撮影処理における各種の設定を行ったりする。事前選択部20には、利用者が代金を投入する硬貨投入口や、各種の操作に用いられるタッチパネルモニタなどが設けられる。事前選択部20は、撮影空間の空き状況に応じて、適宜、事前選択空間にいる利用者を撮影空間へと案内する。
撮影部21は、利用者を被写体として撮影するための装置である。撮影部21は、撮影空間に入った利用者の正面に位置する。撮影空間に臨む撮影部21の正面には、カメラや、各種の操作に用いられるタッチパネルモニタなどが設けられる。撮影空間において正面を向いている利用者からみて左側の面を左側面、右側の面を右側面とすると、撮影部21の左側面が側面パネル41Aにより構成され、右側面が側面パネル41Bにより構成される。さらに、撮影部21の正面が正面パネル42により構成される。側面パネル41Aには、上述した事前選択部20が設置される。なお、事前選択部20が側面パネル41Bに設置されるようにしてもよいし、側面パネル41A,41Bの両方に設置されるようにしてもよい。
背景部22は、背面パネル51、側面パネル52A、および側面パネル52Bから構成される。背面パネル51は、正面を向いている利用者の背面側に位置する板状の部材である。側面パネル52Aは、背面パネル51の左端に取り付けられ、側面パネル41Aより横幅の狭い板状の部材である。側面パネル52Bは、背面パネル51の右端に取り付けられ、側面パネル41Bより横幅の狭い板状の部材である。
側面パネル41Aと側面パネル52Aは、ほぼ同一平面に設けられる。側面パネル41Aと側面パネル52Aの上部は、板状の部材である連結部23Aによって連結される。側面パネル41Aと側面パネル52Aの下部は、床面に設けた例えば金属製の部材である連結部23A’によって連結される。側面パネル41Bと側面パネル52Bも同様に、ほぼ同一平面に設けられる。側面パネル41Bと側面パネル52Bの上部は、連結部23Bによって連結される。側面パネル41Bと側面パネル52Bの下部は、連結部23B’によって連結される。
なお、背面パネル51の撮影空間側の面には、例えば緑色のクロマキー用のシートが貼り付けられる。写真シール作成装置1は、クロマキー用のシートを背景として撮影することで、撮影処理や編集処理においてクロマキー合成を行う。これにより、利用者が所望する背景画像がシートの部分に合成される。
側面パネル41A、連結部23A、および側面パネル52Aに囲まれることによって形成される開口が撮影空間の出入り口となる。また、側面パネル41B、連結部23B、および側面パネル52Bに囲まれることによって形成される開口も撮影空間の出入り口となる。
撮影空間の上方には、撮影部21の正面、連結部23A、および連結部23Bに囲まれた天井が形成される。その天井の一部に天井ストロボユニット24が設けられる。天井ストロボユニット24の一端が連結部23Aに固定され、他端が連結部23Bに固定される。天井ストロボユニット24は、撮影に合わせて撮影空間内に向けて光を照射するストロボを内蔵する。天井ストロボユニット24の内部には、ストロボの他に蛍光灯が設けられる。天井ストロボユニット24は、撮影空間の照明としても機能する。
編集ユニット12は、撮影画像に編集を施すための装置である。編集ユニット12は、一方の側面が撮影部21の正面パネル42に接するようにして撮影ユニット11に連結している。
図1に示される編集ユニット12の構成を正面側の構成とすると、編集ユニット12の正面側と背面側のそれぞれに、編集作業で用いられる構成が設けられる。この構成により、2組の利用者が同時に編集作業を行うことができる。
編集ユニット12の正面側は、面61と、面61の上方に形成された斜面62から構成される。面61は、床面に対して垂直で、撮影部21の側面パネル41Aとほぼ平行な面である。斜面62には、編集作業に用いられる構成として、タブレット内蔵モニタやタッチペンが設けられる。斜面62の左側には、照明装置64の一端を支持する柱状の支持部63Aが設けられる。斜面62の右側には、照明装置64の他端を支持する柱状の支持部63Bが設けられる。支持部63Aの上面にはカーテンレール26を支持する支持部65が設けられる。
編集ユニット12の上方にはカーテンレール26が取り付けられる。カーテンレール26は、3本のレール26A乃至26Cを組み合わせて構成される。3本のレール26A乃至26Cは、上から見たときの形状がコの字状となるように組み合わせられる。平行に設けられるレール26Aとレール26Bの一端は、連結部23Aと連結部23Bにそれぞれ固定され、レール26Aとレール26Bの他端は、レール26Cの両端にそれぞれ接合される。
カーテンレール26には、編集ユニット12の正面前方の空間と背面前方の空間が外から見えないようにカーテンが取り付けられる。そのカーテンにより囲まれる編集ユニット12の正面前方の空間と背面後方の空間が、利用者が編集作業を行う編集空間となる。
また、編集ユニット12の左側面には、印刷済みのシール紙が排出される排出口が設けられる。編集ユニット12の左側面前方の空間が、利用者が印刷済みのシール紙が排出されるのを待つ印刷待ち空間となる。
<利用者の移動について>
ここで、写真シール作成ゲームの流れと、それに伴う利用者の移動について説明する。図3は、写真シール作成装置1を上から見た平面図である。
はじめに、利用者は、事前選択部20の前方の空間である事前選択空間A0において硬貨投入口に代金を投入する。次に、利用者は、タッチパネルモニタに表示される画面に従って各種の設定を行う。利用者は、例えば、撮影空間で行われる撮影に関するコースの選択などを事前選択作業として行う。
事前選択作業を終えた利用者は、白抜き矢印#1で示すように、側面パネル41Aと側面パネル52Aの間の出入り口G1から、撮影部21と背景部22の間に形成された撮影空間A1に入る。利用者は、撮影部21に設けられたカメラやタッチパネルモニタなど利用して撮影作業を行う。
撮影作業を終えた利用者は、白抜き矢印#2で示すように出入り口G1から撮影空間A1を出て編集空間A2−1に移動するか、または、白抜き矢印#3で示すように出入り口G2から撮影空間A1を出て編集空間A2−2に移動する。
編集空間A2−1は、編集ユニット12の正面側の編集空間である。一方、編集空間A2−2は、編集ユニット12の背面側の編集空間である。利用者が編集空間A2−1と編集空間A2−2のいずれの空間に移動するのかは、撮影部21のタッチパネルモニタの画面表示などによって案内される。例えば2つの編集空間のうちの空いている方が移動先として案内される。編集空間A2−1または編集空間A2−2に移動した利用者は、編集作業を開始する。編集空間A2−1の利用者と、編集空間A2−2の利用者は同時に編集作業を行うことができる。
編集作業が終了した後、編集画像の印刷が開始される。印刷が開始されると、編集空間A2−1での編集作業を終えた利用者は、白抜き矢印#4で示すように編集空間A2−1から印刷待ち空間A3に移動する。また、編集空間A2−2での編集作業を終えた利用者は、白抜き矢印#5で示すように編集空間A2−2から印刷待ち空間A3に移動する。
印刷待ち空間A3に移動した利用者は、画像の印刷の終了を待つ。印刷が終了すると、利用者は、編集ユニット12の右側面に設けられた排出口から排出されたシール紙を受け取り、一連の写真シール作成ゲームを終える。
次に、各装置の構成について説明する。
<事前選択部の構成>
図4は、事前選択部20の構成例を示す図である。
事前選択部20の上側にはタッチパネルモニタ71が設けられる。タッチパネルモニタ71は、LCD(Liquid Crystal Display)などのモニタと、それに積層されたタッチパネルにより構成される。タッチパネルモニタ71は、各種のGUI(Graphical User Interface)を表示し、利用者の選択操作を受け付ける機能を備えている。タッチパネルモニタ71には、撮影に関するコースの選択などを含む事前選択処理に用いられる画面が表示される。
タッチパネルモニタ71の下方にはスピーカ72が設けられる。スピーカ72は、事前選択処理の案内音声、BGM(Back Ground Music)、効果音などを出力する。スピーカ72に隣接する位置に、利用者が硬貨を入れる硬貨投入返却口73が設けられる。
<撮影部の構成>
図5は、撮影部21の正面の構成例を示す図である。撮影部21は、側面パネル41A、側面パネル41B、および正面パネル42に囲まれるようにして構成される。
正面パネル42の略中央には、撮影・表示ユニット81が設けられる。撮影・表示ユニット81の上方には、撮影・表示ユニット81に内部に取り付けられたカメラのズームレンズ91が設けられる。ズームレンズ91の周りにはレンズフード92が設けられる。撮影・表示ユニット81の下方にはタッチパネルモニタ93が設けられる。
撮影・表示ユニット81に内部に取り付けられたカメラは一眼レフカメラである。カメラは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を有し、撮影空間A1にいる利用者を撮影する。カメラにより取り込まれた動画像(以下、ライブビュー画像ともいう)は、タッチパネルモニタ93にリアルタイムで表示される。撮影が指示されたときなどの所定のタイミングでカメラにより取り込まれた静止画像は撮影画像として保存される。撮影・表示ユニット81の構成については後に詳述する。
タッチパネルモニタ93は、LCDなどのモニタと、それに積層されたタッチパネルにより構成される。タッチパネルモニタ93は、カメラにより取り込まれた動画像を表示するライブビューモニタとしての機能と、各種のGUIを表示して利用者の選択操作を受け付ける機能を備えている。タッチパネルモニタ93には、カメラにより取り込まれた動画像(ライブビュー画像)や静止画像(撮影画像)が表示される。
撮影・表示ユニット81の上方には、曲面の発光面を利用者に向けた上ストロボ82が設置される。上ストロボ82は、正面上方から利用者の顔および上半身に光を照射する。
撮影・表示ユニット81の左方には、平面の発光面を利用者に向けた左ストロボ83が設置される。左ストロボ83は、正面左方から利用者の顔および上半身に光を照射する。撮影・表示ユニット81の右方には、平面の発光面を利用者に向けた右ストロボ84が設置される。右ストロボ84は、正面右方から利用者の顔および上半身に光を照射する。
また、撮影・表示ユニット81の下方には、利用者の下半身および足元に光を照射する足元ストロボ85が設けられる。
なお、図示はしないが、正面パネル42の例えば天井付近にはスピーカが設けられる。スピーカは、撮影処理の案内音声、BGM、効果音などを出力する。
<背景部の構成>
図6は、背景部22の撮影空間A1側の構成例を示す図である。
背面パネル51の上方には背面上ストロボ101が設置される。背面上ストロボ101は、背面上方から利用者に光を照射する。
背面パネル51の左方には背面左ストロボ102が設置される。背面左ストロボ102は、背面右方から利用者を照射する。背面パネル51の右方には背面右ストロボ103が設置される。背面右ストロボ103は、背面左方から利用者を照射する。
背面パネル51の撮影空間A1側の面にはクロマキーシート121が貼り付けられる。クロマキーシート121の色は、例えば緑色である。
なお、図示はしないが、側面パネル52A,52Bの撮影空間A1側の面にも、クロマキーシート121と同様に例えば緑色のクロマキーシートが貼り付けられる。
<編集ユニットの構成>
図7は、編集ユニット12の正面側(編集空間A2−1側)の構成例を示す図である。
斜面62のほぼ中央にはタブレット内蔵モニタ131が設けられる。タブレット内蔵モニタ131の左側にはタッチペン132Aが設けられる。タブレット内蔵モニタ131の右側にはタッチペン132Bが設けられる。
タブレット内蔵モニタ131は、タッチペン132Aまたはタッチペン132Bを用いた操作入力を可能とする。タブレット内蔵モニタ131には、例えば編集作業に用いられる編集画面が表示される。2人の利用者が同時に編集作業を行う場合、タッチペン132Aはタブレット内蔵モニタ131に向かって左側にいる利用者により用いられ、タッチペン132Bはタブレット内蔵モニタ131に向かって右側にいる利用者により用いられる。
図8は、編集ユニット12の左側面の構成例を示す図である。
編集ユニット12の左側面の下側にはシール紙排出口161が設けられる。編集ユニット12の内部にはプリンタが設けられる。利用者が写る複数の画像が所定のレイアウトでプリンタによりシール紙に印刷され、シール紙排出口161から排出される。
<写真シール作成装置の内部構成>
図9は、写真シール作成装置1の内部の電気的な構成例を示すブロック図である。図9において、上述した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
制御部201はCPU(Central Processing Unit)などにより構成される。制御部201は、ROM(Read Only Memory)206や記憶部202に記憶されているプログラムを実行し、写真シール作成装置1の全体の動作を制御する。制御部201には、記憶部202、通信部203、ドライブ204、ROM206、RAM(Random Access Memory)207が接続される。制御部201には、事前選択部208、撮影部209、編集部210A,210B、および印刷部211の各構成も接続される。
記憶部202は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部202は、制御部201から供給された各種の設定情報などを記憶する。記憶部202に記憶されている情報は制御部201により適宜読み出される。
通信部203は、インターネットなどのネットワークのインタフェースである。通信部203は、制御部201による制御に従って外部の装置と通信を行う。通信部203は、例えば、利用者に選択された撮影画像や編集画像をサーバに送信する。通信部203から送信された画像は、サーバにおいて所定の記憶領域が割り当てられて保存され、サーバにアクセスしてきた携帯端末に表示されたり、ダウンロードされたりする。
ドライブ204には、光ディスクや半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア205が適宜装着される。ドライブ204によりリムーバブルメディア205から読み出されたプログラムやデータは、制御部201に供給され、記憶部202に記憶されたり、インストールされたりする。
ROM206は、制御部201において実行されるプログラムやデータを記憶する。RAM207は、制御部201が処理するデータやプログラムを一時的に記憶する。
事前選択部208は、事前選択空間A0にいる利用者を対象とした事前選択処理を実現する構成を有する。事前選択部208は、タッチパネルモニタ71、スピーカ72、および硬貨処理部221から構成される。
タッチパネルモニタ71は、制御部201による制御に従って各種の選択画面を表示し、選択画面に対する利用者の操作を受け付ける。利用者の操作の内容を表す入力信号は制御部201に供給される。
硬貨処理部221は、硬貨投入返却口73への硬貨の投入を検出する。硬貨処理部221は、所定の金額分の硬貨が投入されたことを検出した場合、ゲームの開始を指示する起動信号を制御部201に出力する。
撮影部209は、撮影空間A1にいる利用者を対象とした撮影処理を実現する構成を有する。撮影部209は、照明装置231、カメラユニット制御部232、カメラユニット233、タッチパネルモニタ93、およびスピーカ234から構成される。
照明装置231は、撮影空間A1内の各ストロボであり、制御部201から供給される照明制御信号に従って発光する。
カメラユニット制御部232は、制御部201による制御に従ってカメラユニット233を制御する。カメラユニット233には、カメラ233Aとレンズ駆動用モーター233Bが含まれる。
カメラユニット制御部232は、カメラ233Aを制御することによって撮影を行い、撮影によって得られた撮影画像を制御部201に出力する。
また、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを制御することによって、カメラ233Aに装着されたズームレンズの鏡筒に設けられたズームリングを回転させ、焦点距離を調整する。以下、適宜、焦点距離の調整を、ズーム位置の移動ともいう。
利用者は、自身の全身が写る画像である全身画像と、顔部分を中心として、自身の略胸から上の範囲が大きく写る画像であるアップ画像を撮影することができる。
全身画像は、焦点距離を短くした状態で撮影を行うことによって得られた画像から、利用者の全身が写る一部の範囲をトリミングにより切り出すことによって生成される。一方、アップ画像は、全身画像の撮影時より焦点距離を長くした状態で撮影を行うことによって得られた画像から、利用者の上半身が大きく写る一部の範囲をトリミングにより切り出すことによって生成される。
後述するように、アップ画像の撮影にはテレ端の焦点距離が用いられ、全身画像の撮影には、ワイド端より所定の距離だけ長い焦点距離が用いられる。具体的には、ズームレンズの焦点距離が10-22mmであるとすると、アップ画像の撮影にはズーム端である22mmの焦点距離が用いられ、全身画像の撮影には、ワイド端である10mmではなく、それより長い13mmの焦点距離が用いられる。
全身画像の撮影時の焦点距離の調整は、ズームリングの回転を、物理的に停止させることによって行われる。焦点距離の調整機構については後述する。
編集部210Aは、編集空間A2−1にいる利用者を対象とした編集処理を実現する構成を有する。編集部210Aは、タブレット内蔵モニタ131、タッチペン132A,132B、およびスピーカ241から構成される。編集部210Bは、編集空間A2−2にいる利用者を対象とした編集処理を実現する、編集部210Aと同一の構成を有する。なお、以下、編集部210A,210Bを特に区別しない場合には、単に、編集部210という。
タブレット内蔵モニタ131は、制御部201による制御に従って編集画面を表示し、編集画面に対する利用者の操作を受け付ける。利用者の操作の内容を表す入力信号は制御部201に供給され、編集対象となる撮影画像が編集される。
印刷部211は、印刷待ち空間A3にいる利用者に対して、印刷済みのシール紙を提供する印刷処理を実現する構成を有する。印刷部211は、プリンタ251を含むように構成される。プリンタ251にはシール紙ユニット252が装着される。
プリンタ251は、制御部201から供給された印刷データに基づいて、シール紙ユニット252に収納されているシール紙に編集画像を印刷し、シール紙排出口161に排出する。
<制御部の構成>
図10は、制御部201の機能構成例を示すブロック図である。図10に示す機能部のうちの少なくとも一部は、制御部201内のCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。
制御部201は、事前選択処理部261、撮影処理部262、編集処理部263、および印刷処理部264から構成される。
事前選択処理部261は、事前選択部208の各部を制御することによって事前選択処理を行う。
撮影処理部262は、シーケンス管理部262A、画像処理部262B、および表示制御部262Cから構成される。
シーケンス管理部262Aは、タッチパネルモニタ93に対する利用者の操作入力を受け付け、アップ画像と全身画像を含む複数の画像の撮影を所定の順に行わせる。アップ画像と全身画像の撮影前、シーケンス管理部262Aは、レンズ駆動用モーター233Bを制御し、ズームレンズ91の焦点距離を調整する。
画像処理部262Bは、カメラ233Aにより撮影された画像を取得し、取得した画像から、一部の領域をトリミングにより切り出すことによってアップ画像と全身画像を生成する。画像処理部262Bは、カメラ233Aにより取り込まれた動画像の各フレームに対してもトリミングを行い、ライブビュー表示用の動画像を生成する。
表示制御部262Cは、タッチパネルモニタ93の表示を制御する。例えば、表示制御部262Cは、画像処理部262Bにより生成された動画像をライブビュー表示させたり、アップ画像や全身画像の撮影結果を表示させたりする。
編集処理部263は、編集部210の各部を制御することによって編集処理を行う。印刷処理部264は、印刷部211のプリンタ251を制御することによって印刷処理を行う。
<写真シール作成装置の動作>
ここで、図11のフローチャートを参照して、写真シール作成ゲームを提供する写真シール作成装置1の動作について説明する。
ステップS1において、事前選択処理部261は、所定の金額分の硬貨が投入されたか否かを、硬貨処理部221から供給される起動信号に基づいて判定し、硬貨が投入されたと判定するまで待機する。
硬貨が投入されたとステップS1において判定された場合、処理はステップS2に進む。ステップS2において、事前選択処理部261は、事前選択部208を制御することによって事前選択処理を行う。具体的には、事前選択処理部261は、撮影空間で行われる撮影に関するコースの選択などを利用者に行わせる。事前選択処理において選択されたコースに従って撮影処理が行われる。
ステップS3において、撮影処理部262は、撮影部209を制御することによって撮影処理を行う。具体的には、撮影処理部262は、カメラ233Aに取り込まれた被写体の動画像をタッチパネルモニタ93にライブビュー表示させるとともに、所定のタイミングで撮影して得られた静止画像に基づいて、撮影画像を生成する。
上述したように、撮影処理においては、ズームレンズの焦点距離を変えてアップ画像と全身画像の撮影が行われる。以下においては、カメラ233Aに装着されたズームレンズの焦点距離の範囲が10-22mmである場合について説明するが、当然、他の範囲のズームレンズを用いることも可能である。アップ画像の撮影時にはテレ端である22mmの焦点距離が用いられ、全身画像の撮影時には13mmの焦点距離が用いられる。
図12は、アップ画像の撮影時に行われるトリミングの例を示す図である。
図12Aに示す画像P1は、焦点距離をテレ端として撮影された画像である。画像P1は縦長の画像であり、撮影空間A1にいる2人の利用者の頭の上から腰のあたりまでが大きく写っている。後述するように、カメラ233Aは縦向きに取り付けられる。
枠F1で示す矩形領域がトリミングによって切り出される領域である。撮影処理部262の画像処理部262Bは、枠F1で示す矩形領域をトリミングによって画像P1から切り出し、図12Bに示すアップ画像を生成する。
アップ画像の撮影前(アップ画像の生成に用いられる静止画像の撮影前)、タッチパネルモニタ93には、カメラ233Aにより撮影された動画の各フレームから、図12に示すのと同様にして切り出された画像を用いてライブビューが表示される。
図13は、全身画像の撮影時に行われるトリミングの例を示す図である。
図13Aに示す画像P2は、焦点距離を、ワイド端より所定の距離だけテレ端側の距離である13mmとして撮影された画像である。画像P2は縦長の画像であり、2人の利用者の全身を含む撮影空間A1の内部が写っている。
枠F2で示す矩形領域がトリミングによって切り出される領域である。撮影処理部262の画像処理部262Bは、枠F2で示す矩形領域をトリミングによって画像P2から切り出し、図13Bに示す全身画像を生成する。
全身画像の撮影前(全身画像の生成に用いられる静止画像の撮影前)、タッチパネルモニタ93には、カメラ233Aにより撮影された動画の各フレームから、図13に示すのと同様にして切り出された画像を用いてライブビューが表示される。
撮影処理部262は、このように焦点距離を変えて複数回の撮影を行い、例えばアップ画像と全身画像を含む5枚の撮影画像を生成する。アップ画像と全身画像のそれぞれの枚数が、例えば事前選択処理により選択された撮影コースによって決まる。
図11の説明に戻り、ステップS4において、編集処理部263は、編集空間A2−1と編集空間A2−2のうち、撮影処理を終えた利用者の移動先とした方の編集空間に対応する編集部210を制御することで、編集処理を行う。具体的には、編集処理部263は、タブレット内蔵モニタ131に編集画面を表示し、撮影処理により得られた撮影画像(アップ画像と全身画像)に対して利用者に編集作業を行わせることで、編集が施された編集画像を生成する。
ステップS5において、印刷処理部264は、プリンタ251を制御することで、印刷処理を行う。具体的には、印刷処理部264は、編集処理により得られた編集画像をプリンタ251に出力してシール紙に印刷する。
印刷が終了した場合、ステップS6において、プリンタ251は、画像が印刷されたシール紙をシール紙排出口161に排出し、処理を終了させる。
図14は、シール紙の例を示す図である。
シール紙271には、編集画像272−1乃至272−5が横に並べて印刷されている。編集画像272−1乃至272−3は、アップ画像に対して編集が施されることによって生成された画像であり、編集画像272−4,272−5は、全身画像に対して編集が施されることによって生成された画像である。なお、図14の例においては、編集によって撮影画像に合成された手書きの文字、スタンプ画像などを省略して各画像を示している。
シール紙271の余白には、写真シール作成装置1の機種名、撮影日時などの情報が印刷される。利用者は、このようなシール紙を受け取って、写真シール作成装置1の利用を終えることになる。
<カメラユニットの構成>
図15は、撮影・表示ユニット81の外観を示す斜視図である。
撮影・表示ユニット81は略箱形状のユニットである。撮影・表示ユニット81は、正面パネル301、右側面パネル302R、左側面パネル302L(図16)、および箱状の部材である箱部材303の各面で囲まれることによって構成される。
撮影・表示ユニット81は、正面パネル301、右側面パネル302R、左側面パネル302Lが正面パネル42の面から撮影空間A1側に突出する形で取り付けられる。箱部材303は撮影空間A1からは見えない。
正面パネル301には、上から順に、前下がりの斜面301A、垂直に対して僅かに前傾した斜面301B、および略垂直な面である垂直面301Cが形成される。
斜面301Bの略中央には円形の開口部が形成され、開口部の周りに、樹脂などよりなるレンズフード92が突出して設けられる。レンズフード92の周りには、波状に縁取りされた化粧板92Aが設けられる。レンズフード92の奥には、カメラ233Aのズームレンズ91のレンズ面が設けられる。
斜面301Cには横長長方形の開口部が形成され、その開口部の内側にタッチパネルモニタ93が設けられる。
図16は、正面パネル301を取り外した状態の撮影・表示ユニット81の外観を示す斜視図である。
撮影・表示ユニット81の内部の、タッチパネルモニタ93の上方の位置には、薄板状の間仕切り部材311が略水平に取り付けられる。間仕切り部材311の上にはカメラユニット233が固定される。上述したように、カメラユニット233には、カメラ233Aとレンズ駆動用モーター233Bが設けられる。
図17は、カメラユニット233を拡大して示す斜視図である。
化粧板92Aの内側には、略正方形の板状の部材からなるカバー部材321が設けられる。カバー部材321の略中央には円形の開口部が形成され、カメラ233Aのズームレンズ91が設置される。円形の開口部にはガラスなどの透明のカバーが設けられる。
図17以降において、一眼レフカメラのボディーであるカメラ233Aには色を付して示している。図17に示すように、カメラ233Aは、その底面がカメラユニット233の右側面に向くように縦向きに取り付けられる。これにより、カメラ233Aにより撮影された画像は、図12および図13を参照して説明したように縦長の画像になる。ここではカメラ233Aが縦向きに取り付けられるものとしたが、横向きに取り付けられるようにしてもよい。カメラ233Aが横向きに取り付けられる場合、例えばアップ画像に適した撮影画角が設定される。アップ画像に適した撮影画角の範囲で有効な画角を利用して全身画像をトリミングによって生成し、画質がよい全身画像を得る。
図18は、カメラユニット233を拡大して示す他の斜視図である。
図18のカメラユニット233は、レンズフード92、化粧板92A、およびカバー部材321を外した状態を示している。
カメラユニット233の正面下方には、横長であり、側面視の形状が略L字状の固定部材331−1が設けられる。固定部材331−1により、間仕切り部材311(図16)にカメラユニット233が固定される。
カメラユニット233の右側面が右側面カバー331−2により形成され、左側面が左側面カバー331−3により形成される。右側面カバー331−2と左側面カバー331−3が、カメラ233Aの上方に配置された連結部材331−4により連結される。
カメラユニット233の背面が背面カバー331−5(図24)により形成され、底面が底面カバー331−6により形成される。
固定部材331−1、右側面カバー331−2、左側面カバー331−3、連結部材331−4、背面カバー331−5、および底面カバー331−6は、例えば金属の板を所定の形状に成形し、折り曲げるなどして構成される。このように、カメラ233Aは、金属の板に囲まれる形でカメラユニット233に取り付けられる。
右側面カバー331−2の上方にはレンズ駆動用モーター233Bが設けられる。レンズ駆動用モーター233Bの出力軸にはトルクリミッタ335が取り付けられる。
トルクリミッタ335は、所定値以上のトルクを検出することに応じて、レンズ駆動用モーター233Bが発生するトルクの伝達を遮断する。すなわち、所定値α(kgf-cm)以上のトルクが検出された場合、トルクリミッタ335を構成する部材同士が外れたり、滑ったりすることで入力と出力が分断される。所定値α(kgf-cm)以下のトルクが検出された場合、部材が自動的に連結し、再度、同じトルクの伝達が行われる。
後述するようにズームリング側プーリー351(図19)が樹脂成型品であることから、その熱膨張により、タイミングベルト352のテンションが変化することがある。このテンションの変更に起因してトルクが所定値以上になることがあるため、過負荷を防止するためにトルクリミッタ335が設置される。
トルクリミッタ335の正面側には、取り付け部材333を挟んでモーター側プーリー336が設けられる。モーター側プーリー336は、回転可能な状態で取り付け部材334に取り付けられ、レンズ駆動用モーター233Bが発生するトルクによって回転する。取り付け部材334は取り付け部材333に固定される。
図19は、図18に示すカメラユニット233の正面図である。
・レンズスタンド341について
カメラ233Aを縦向きに立設させる部材であるレンズスタンド341は、板部材341−1と立ち上がり部材341−2により構成される。板部材341−1は所定の厚みを有する、略正方形の板状の部材であり、略垂直に右側面カバー331−2に固定される。板部材341−1の一方の面は右側面カバー331−2に接面し、他方の面はカメラ233Aの底面に接面する。
板部材341−1上の正面側の位置には、ズームレンズ側に立ち上がり部材341−2が取り付けられる。立ち上がり部材341−2は、板部材341−1に対して平面視において略直角に取り付けられる。
図20乃至図22は、立ち上がり部材341−2を示す図である。
図20乃至図22は、それぞれ、立ち上がり部材341−2の正面、右側面、左側面を示す。立ち上がり部材341−2の幅(厚さ方向)は、板部材341−1の幅と略同一幅である。
図20に示すように、立ち上がり部材341−2には、半円状の切欠き341−2Aが形成される。ズームレンズ91が切欠き341−2Aに沿って設置される。切欠き341−2Aの内周面と、ズームレンズ91の鏡筒の外周面の間には所定のクリアランス(隙間)が設けられる。切欠き341−2Aの内周面とズームレンズ91の鏡筒の外周面の間にクリアランスを設けることにより、カメラ233Aの設置時、動作時の妄動を防止することができる。立ち上がり部材341−2の右側面は、板部材341−1に固定される。
図21、図22に示すように、立ち上がり部材341−2の下方には、正面側に突出するレンズスタンド側ストッパー341−2Cが形成される。
レンズスタンド341を構成する板部材341−1と立ち上がり部材341−2は樹脂の成型品である。樹脂の成型品は、熱膨張により形状変更を起こす虞があるため、例えば立ち上がり部材341−2の切欠き341−2Aの内周面には、立ち上がり部材341−2の材質よりも熱膨張率が低い材質(例、硫化ゴム)の部材が接着して設けられる。
板部材341−1と立ち上がり部材341−2自体を、フェノール樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ABS等の熱膨張率の低い材質の成型品とすることも可能である。
・ズームリング側プーリー351について
図19の説明に戻り、ズームリングが設けられるズームレンズ91の位置には、ズームリングの外周面を囲むようにズームリング側プーリー351が設けられる。ズームリング側プーリー351の径は、モーター側プーリー336の径よりも大きい。
ズームリング側プーリー351は、半円弧状の部材である固定部材351−1と固定部材351−2により構成される。固定部材351−1,351−2は、それぞれ、異なる色の顔料を材料に混入することによって成型された樹脂部材である。部材毎に色を変更することにより、部品の取り付け位置等を明確にすることが可能になる。
固定部材351−1,351−2は、図23に示すようにズームレンズ91のズームリングを挟持した状態で螺子止めすることによってズームリングに固定される。なお、固定部材351−1,351−2の内周面とズームリングの外周面との間には、カメラ233Aの設置時や動作時の妄動を防止するために所定のクリアランスが設けられる。
固定部材351−1と固定部材351−2のうちの例えば固定部材351−1の内周面には突起が形成される。固定部材351−1の内周面に形成された突起は、ズームリングに形成された孔に係合し、これにより、ズームリング側プーリー351がズームリングに固定する構造になっている。
ズームリングに形成された孔に係合する突起は固定部材351−1と固定部材351−2のうちのいずれかに設けられる。固定部材351−1と固定部材351−2はそれぞれ形状が異なることから、それぞれの色を変えることにより、誤って取り付けてしまうこと防ぐことが可能になる。
なお、突起の数は複数であってもよいし、固定部材351−1と固定部材351−2の両方の内周面に突起が設けられるようにしてもよい。この場合、ズームリング側には対応する数の孔が形成される。
また、固定部材351−1と固定部材351−2の内周面に孔を形成するようにしてもよい。この場合、ズームリング側には対応する数の突起が形成される。
・タイミングベルト352について
ズームリング側プーリー351とモーター側プーリー336の外周に吊架してタイミングベルト352が設けられる。タイミングベルト352は一定の幅を有し、例えばその材質はゴムである。レンズ駆動用モーター233Bに軸支されたモーター側プーリー336が、圧縮負荷が加わる側(スラックサイド)のプーリーとなり、ズームリング側プーリー351が、引っ張り負荷がかかる側(テンションサイド)のプーリーとなる。
レンズ駆動用モーター233Bを駆動し、モーター側プーリー336が回転することによってタイミングベルト352が摺動する。タイミングベルト352の摺動に応じて、ズームリング側プーリー351とともに、ズームレンズ91のズームリングが円周方向に回転する。焦点距離の調整はこのような機構を用いて実現される。
このように、タイミングベルト352を用いてズームリングを回転させることにより、ギアを用いてズームリングを回転させる場合に比べて、各部材のレイアウトの自由度を高めることが可能になる。すなわち、ズームレンズ91とレンズ駆動用モーター233Bの間の距離を自由に変更できるため、他の部品の位置の変更などに容易に対応することが可能になる。
ズームリングに動力を伝達する機構として他の機構を用いることも可能である。例えば、平ベルトやVベルトを用いることが可能である。動力の伝達効率が高い平ベルトを用いることにより、プーリーの径を小さくすることが可能になる。また、Vベルトは、過負荷になった場合に滑ることによって負荷を逃がすものである。例えば過負荷がかかる構造のときにVベルトを採用することができる。
・ズームリング側ストッパー353について
ズームリング側プーリー351の背面側には、薄板状のズームリング側ストッパー353が設けられる。ズームリング側ストッパー353は、ズームリング側プーリー351に固定してあり、ズームリング側プーリー351とともにズームリングの円周方向に回転する回転体である。
後述するように、ズームリング側ストッパー353と上述したレンズスタンド側ストッパー341−2Cにより、ズームレンズ91のズームリングの回転が物理的に停止する。
ズームリング側ストッパー353の背面側には取り付け部材361が設けられる。取り付け部材361は、レンズスタンド341の立ち上がり部材341−2に固定される。取り付け部材361には、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2が取り付けられる。ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2は光センサであり、それぞれの位置において、透光状態または遮光状態を検出する。
ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2は、側面視において略コの字状の形状を有し、凹部が形成される。ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2は、ズームリング側ストッパー353の回転面がその凹部の内側の位置にくるように取り付けられる。ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の凹部の内側の位置が光の検出対象の位置になる。
ズームリング側ストッパー353には2つの切欠きが形成される。ズームリング側ストッパー353の切欠きがズームセンサの検出範囲にある場合には透光状態が検出される。一方、ズームリング側ストッパー353の板状の部材そのものがズームセンサの検出範囲にある場合には遮光状態が検出される。後述するように、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の検出結果を用いて、ズームレンズ91のズームの状態が正常であるか否かが判定される。
図24乃至図27は、それぞれ、図18に示すカメラユニット233の平面、右側面、左側面、および背面を示す図である。図18、図19等を参照して説明した部分と対応する部分には同じ符号を付してある。
図24、図27に示すように、背面カバー331−5の、レンズスタンド341を構成する板部材341−1の延長上の位置には小孔331−5Aが形成される。後述するように、小孔331−5Aは、カメラ233Aの取り付け位置の調整に用いられる。
図28は、カメラユニット233の一部の部材を外した状態を示す斜視図である。
図28の例においては、固定部材331−1、右側面カバー331−2、左側面カバー331−3、連結部材331−4、背面カバー331−5、および底面カバー331−6が外されている。また、ズームレンズ91がカメラ233Aから外されている。以下においては、この状態のカメラユニット233を参照して、ズームリングの回転動作について説明する。
図29は、ズームリング側ストッパー353の正面図である。
図29に示すように、ズームリング側ストッパー353は、略一定幅の板状体が円弧状に湾曲した形状を有する。凸弧状の外周縁の右端寄りの位置には凹状の切欠き353Aが形成される。また、外周縁の略中央の位置には凹状の切欠き353Bが形成される。切欠き353Aと切欠き353Bの間隔は、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の間隔と略同じ間隔である。
ズームリング側ストッパー353の下端の縁が当接部353Cになる。当接部353Cは、レンズスタンド341のレンズスタンド側ストッパー341−2Cに当接することによって、正面視において、ズームリング側プーリー351が反時計方向にそれ以上回転するのを停止させる機能を有する。
図30は、図28に示すカメラユニット233の正面図である。
図30のズームリング側ストッパー353の状態は、ズームセンサ362−1の位置に切欠き353Aがあり、ズームセンサ362−2の位置に切欠き353Bがある状態である。この場合、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2においては、いずれも透光状態であることが検出される。また、当接部353Cは、レンズスタンド側ストッパー341−2Cに当接していない。
図31乃至図33は、それぞれ、図28に示すカメラユニット233の平面、右側面、および左側面を示す図である。図30、図33に示すように、レンズスタンド341のレンズスタンド側ストッパー341−2Cの、ズームリング側ストッパー353が当接する左側面には、金属などの板状の部材342が設けられる。
このように、レンズスタンド側ストッパー341−2Cの左側面には部材342が設けられ、実際にはズームリング側ストッパー353は部材342に当接するものであるが、ズームリング側ストッパー353がレンズスタンド側ストッパー341−2Cに当接するものとして説明する。
・ズームリングの回転動作について
図34は、ズームリングの回転時の各部の動作を説明する図である。
例えば、図34に示すように、ズームセンサ362−1の位置にズームリング側ストッパー353の切欠き353Aがあり、ズームセンサ362−2の位置に切欠き353Bがある状態において、アップ画像を撮影する場合、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動し、モーター側プーリー336を時計方向に回転させる。
モーター側プーリー336が回転することに応じてタイミングベルト352が摺動し、白抜き矢印#11で示すように、ズームリング側プーリー351とズームリング側ストッパー353が時計方向に回転する。ズームリング側プーリー351の回転によってズームリングが時計方向に回転し、これにより、ズームレンズ91の焦点距離が、テレ端方向に徐々に長くなるように調整される。
焦点距離がテレ端の22mmに調整された場合、ズームレンズ91自体の機構により、ズームリングの回転は停止する。レンズ駆動用モーター233Bの駆動が続き、ズームリングを時計方向に回転させる負荷がかけられた場合であっても、その負荷は、トルクリミッタ335によって逃がされる。すなわち、ズームレンズ91のズームリングは、その可動範囲において最大の位置まで時計方向に回転することになる。
図35は、ズームレンズ91の焦点距離がテレ端の22mmに調整されたときの状態を示す図である。
カメラユニット制御部232は、図35に示す状態でカメラ233Aを制御し、アップ画像の生成の元になる、図12Aに示す画像の撮影を行う。
一方、図34の状態において、全身画像を撮影する場合、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動し、モーター側プーリー336を反時計方向に回転させる。
モーター側プーリー336が回転することに応じてタイミングベルト352が摺動し、白抜き矢印#12で示すように、ズームリング側プーリー351とズームリング側ストッパー353が反時計方向に回転する。ズームリング側プーリー351の回転によってズームリングが反時計方向に回転し、これにより、ズームレンズ91の焦点距離が、ワイド端方向に徐々に短くなるように調整される。
焦点距離がワイド端である10mmの手前の13mmに調整された場合、ズームリング側ストッパー353の当接部353Cがレンズスタンド側ストッパー341−2Cに当接し、ズームリングの回転は停止する。レンズ駆動用モーター233Bの駆動が続き、ズームリングを反時計方向に回転させる負荷がかけられた場合であっても、その負荷は、トルクリミッタ335によって逃がされる。
すなわち、ズームレンズ91のズームリングの反時計方向の回転は、ズームリング側ストッパー353の当接部353Cがレンズスタンド側ストッパー341−2Cに当接することによって停止し、ズームリングの可動範囲において最大の位置より手前の位置までしか、反時計方向には回転しないことになる。
図36は、ズームレンズ91の焦点距離が13mmに調整されたときのカメラユニット233の状態を示す図である。
カメラユニット制御部232は、図36に示す状態でカメラ233Aを制御し、全身画像の生成の元になる、図13Aに示す画像の撮影を行う。
図37は、全身画像の撮影に13mmの焦点距離を用いた場合の効果について説明する図である。
図37Aに示す画像P2は、図13Aを参照して説明した画像と同じ画像である。すなわち、画像P2は、焦点距離を13mmとして撮影された画像である。画像P2には、2人の利用者の全身を含む撮影空間A1の内部が写っている。
制御部201の撮影処理部262(画像処理部262B)は、枠F2で示す矩形領域をトリミングによって切り出すことによって全身画像を生成する。
図37Bに示す画像P3は、焦点距離を10mmとして、画像P2の被写体と同じ被写体を撮影した画像である。画像P3には、撮影空間A1の内部の、画像P2に写る範囲より広い範囲が写っている。画像P2の写り方と較べて、2人の全身は小さく写っている。
このような画像P3を元にして、画像P2を元にして生成した全身画像と同じ範囲が写る全身画像を生成する場合、トリミングにより切り出す領域は枠F3で示す領域となり、画像P3全体に対する、切り出し領域の比が小さくなる。撮影した画像全体に対する切り出し領域の比が小さいことにより、画素の有効利用が図れない。
図37Aに示すように、ワイド端ではなく、ワイド端の手前の焦点距離を用いて撮影した画像を元にして全身画像を生成することにより、撮影した画像全体に対する切り出し領域の比を大きく確保することができ、画素の有効利用を図ることが可能になる。
<異常検知について>
ここで、ズーム位置の移動時(焦点距離の調整時)における異常検知について説明する。発生し得る異常には、例えばズームタイマ異常とズームセンサ異常がある。
ズームタイマ異常は、ズーム位置の移動が規定時間内に正常に完了しない場合に検出される。数秒間などの時間が規定時間として設定される。
例えば、レンズ駆動用モーター233Bへの電源供給不足、モータロックなどがあったときに、ズーム位置の移動が規定時間内に正常に完了せず、ズームタイマ異常が検出される。電源供給不足が発生したときの対応には、原因が断線である場合には配線の見直しがあり、原因が電源の不具合である場合には電源の交換がある。また、モータロックが発生したときの対応には、原因がトルクリミッタ335の不具合である場合にはトルクリミッタ335の交換があり、原因がレンズ駆動用モーター233B内のギアの不具合である場合にはレンズ駆動用モーター233Bの交換がある。
規定時間は、写真シール作成装置1を利用する利用者の回転率などを考慮して設定される。ズーム位置の移動に時間がかかりすぎてしまい、回転率が悪くなると、収益性に影響が出てしまう。規定時間は、このような影響がない範囲で設定される。
例えばレンズ駆動用モーター233Bの出力は、ズーム位置の移動が規定時間内に終わるように設定される。レンズ駆動用モーター233Bの出力を固定とする場合、規定時間が長く設定される。
規定時間を長く確保するために、撮影毎に、背景画像や画角等を選択させるようにしてもよい。また、アップ画像と2種類の全身画像といったように撮影画角が3種類ある場合、ズーム位置の移動に要する全体の時間が短くて済む順番でそれらの撮影を行うようにしてもよい。規定時間を例えば4秒前後とすることができる。
ズームタイマ異常は、例えばレンズ駆動用モーター233Bがエンコーダ式のモーターではない場合に検出される。エンコーダ式のモーターは、回転の機械的変位量を電気信号に変換して出力する機能を有するモーターである。その電気信号に基づいて、モーターの回転数を特定することが可能になる。
ズームセンサ異常は、ズームセンサ362−1,362−2の検出結果が、異常状態を表すものとして予め設定された結果を表している場合に検出される。以下、適宜、ズームセンサ362−1を13mm側センサといい、ズームセンサ362−2を22mm側センサという。
例えば、以下の場合にズームセンサ異常が検出される。
(1)ズーム位置の移動開始時に、13mm側センサ、22mm側センサが、ともに透光状態を検出している場合。
(2)ズーム位置の移動停止時に、以下の条件に合致していない場合。
13mmへの移動停止時:13mm側センサが透光状態、22mm側センサが遮光状態を検出している。
22mmへの移動停止時:22mm側センサが透光状態、13mm側センサが遮光状態を検出している。
このように、ズームセンサ異常の有無は、ズーム位置の移動開始前と停止後のそれぞれのタイミングで判定される。
異常が検知された場合、レンズ駆動用モーター233Bの駆動が停止される。異常の検知は、制御部201の撮影処理部262とカメラユニット制御部232との間で各種の情報を送受信することによって実現される。
図38は、撮影処理部262とカメラユニット制御部232との間で送受信される情報の例を示す図である。
図38に示すように、撮影処理部262からカメラユニット制御部232に対して動作指令が送信される。カメラユニット制御部232は、動作指令が撮影処理部262から出力されることに応じて、指示された動作を実行する。
また、カメラユニット制御部232から撮影処理部262に対して状態応答が出力される。状態応答は、動作の結果の通知に用いられる情報である。
例えば、ズーム位置の移動が指示された場合、カメラユニット制御部232は、ズームセンサの状態を確認した後、動作を開始し、規定時間経過後に各機構を停止する。カメラユニット制御部232は、機構停止後のズームセンサの状態を確認し、応答状態によって、動作の状態を撮影処理部262に通知する。
撮影処理部262が出力する動作指令の種類には例えば以下のものがある。
・動作指令なし
・ズーム位置22mmへ移動
・ズーム位置13mmへ移動
・リセット(ズームリセット)
・ズームセンサ状態読出
・エラー復旧
「動作指令なし」の動作指令は、撮影処理部262が動作指令を出力した後、後述する「動作中」の状態応答がカメラユニット制御部232から出力された場合に、撮影処理部262からカメラユニット制御部232に対して出力される。
「ズーム位置22mmへ移動」の動作指令は、ズーム位置をテレ端である22mmに移動させることを表す。「ズーム位置22mmへ移動」の動作指令が出力された場合、カメラユニット制御部232は、移動前にズームセンサの状態を検出し、移動の要否を確認する。移動の必要がある場合、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動してズーム位置を22mmに移動させ、駆動を停止する。カメラユニット制御部232は、駆動の停止後、ズームセンサの状態を確認する。
「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令は、ズーム位置を、ワイド端の手前の位置である13mmに調整することを表す。「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令が出力された場合、カメラユニット制御部232は、移動前にズームセンサの状態を検出し、移動の要否を確認する。移動の必要がある場合、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動してズーム位置を13mmに移動させ、駆動を停止する。カメラユニット制御部232は、駆動の停止後、ズームセンサの状態を確認する。
具体例として、アップ画像の撮影を行った後に全身画像の撮影を行う場合について説明する。この場合、撮影処理部262は、カメラユニット制御部232に対して、「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令を出力する。
「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令を受信したカメラユニット制御部232は、13mm側センサと22mm側センサの両方のズームセンサの状態に基づいて、ズーム位置がどの位置にあるかを検出する。ズーム位置が13mmの位置にある場合(焦点距離が13mmである場合)、カメラユニット制御部232は、撮影処理部262に対して、13mmの位置にあることを表す信号を出力する。一方、ズーム位置が22mmの位置にある場合(焦点距離が22mmである場合)、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動し、22mmになるようにズームの位置を移動させる。
その後、カメラユニット制御部232は、13mm側センサと22mm側センサの両方のズームセンサの状態に基づいて、ズーム位置が22mmの位置にあるか否かを検出する。ズーム位置が22mmの位置にある場合、カメラユニット制御部232は、撮影処理部262に対してその旨の状態応答を出力する。このとき、後述する「動作正常完了」の状態応答が用いられる。
一方、ズーム位置が22mm以外の位置にある場合、上述した異常があれば、異常信号を撮影処理部262に対して出力する。このとき、後述する「ズームタイマ異常」または「ズームセンサ異常」の状態応答が用いられる。
また、カメラユニット制御部232は、動作開始時からの時間を計測する。カメラユニット制御部232は、規定時間が経過したときに動作が正常に完了していない場合は、タイムアウトエラーとして、撮影処理部262にその旨の状態応答を出力する。このとき、後述する「ズームタイマ異常」の状態応答が用いられる。
「リセット」の動作指令は、ズーム位置を予め設定されたホームポジションに戻すことを表す。写真シール作成装置1の電源投入後、撮影処理部262は、初期動作として「リセット」の動作指令をカメラユニット制御部232に出力する。リセット動作は、撮影処理部262からの制御によってのみ行われ、カメラユニット制御部232単独では行われない。
電源投入時、カメラユニット制御部232は、撮影処理部262から出力された「リセット」の動作指令を受信し、ズームセンサの状態を確認した後、ズーム位置をホームポジションに移動させる。
22mmの位置がホームポジションである場合、カメラユニット制御部232は、ズーム位置が13mmにあるときには、22mm→13mm→22mmと移動させ、ズーム位置が22mmにあるときには、13mm→22mmと移動させる。カメラユニット制御部232は、ズーム位置が13mmと22mm以外の位置にあるときには、22mm→13mm→22mmと移動させる。
一方、13mmの位置がホームポジションである場合、カメラユニット制御部232は、ズーム位置が22mmにあるときには、13mm→22mm→13mmと移動させ、ズーム位置が13mmにあるときには、22mm→13mmと移動させる。カメラユニット制御部232は、ズーム位置が13mmと22mm以外の位置にあるときには、13mm→22mm→13mmと移動させる。
「ズームセンサ状態読出」の動作指令は、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の各ズームセンサの状態を検出することを表す。カメラユニット制御部232は、「ズームセンサ状態読出」の動作指令が撮影処理部262から出力された場合、状態応答として各ズームセンサの状態(透光状態/遮光状態)を通知する。
「エラー復旧」の動作指令は、例えばズームセンサ異常などの特定の異常から復旧することを表す。カメラユニット制御部232は、「エラー復旧」の動作指令が撮影処理部262から出力された場合、復旧処理を行い、異常の状態応答を出力していた状態から、「動作正常完了」の状態応答を出力する状態に移行する。
一方、カメラユニット制御部232が出力する状態応答の種類には例えば以下のものがある。
・動作中
・動作正常完了
・オフラインモード中
・ズームタイマ異常
・ズームセンサ異常
「動作中」の状態応答は、動作指令を受信した後、指示された動作が正常完了するまでの間、カメラユニット制御部232から撮影処理部262に対して継続的に出力される。ただし、動作指令を受信した後、1秒以内に異常検知が行なわれた場合は、「動作中」の状態応答が1秒間出力された後に「異常」の状態応答が出力される。また、「リセット」以外の動作指令で、現在の状態において不必要な動作指令が出力された場合、「動作中」の状態応答が1秒間出力された後に「動作正常完了」の状態応答が出力される。
「動作正常完了」の状態応答は、動作が正常に完了した場合に、カメラユニット制御部232から撮影処理部262に対して出力される。
「オフラインモード中」の状態応答は、カメラユニット制御部232の基板のモードが通常モードと検査モード以外の時に出力される。
「ズームタイマ異常」の状態応答は、上述したズームタイマ異常が検出された場合にカメラユニット制御部232から撮影処理部262に対して出力される。
「ズームセンサ異常」の状態応答は、上述したズームセンサ異常が検出された場合にカメラユニット制御部232から撮影処理部262に対して出力される。
ここで、以上のような動作指令と状態応答を用いて撮影処理部262とカメラユニット制御部232により行われる処理について説明する。
はじめに、図39のフローチャートを参照して、電源投入時の処理について説明する。
ステップS21において、制御部201の撮影処理部262は、「リセット」の動作指令を発行(出力)する。
ステップS22において、カメラユニット制御部232は、「リセット」の動作指令を受け付けたか否かを判定する。「リセット」の動作指令を受け付けていないとステップS22において判定した場合、ステップS23において、カメラユニット制御部232は、「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けたか否かを判定する。
「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けたとステップS23において判定した場合、ステップS24において、カメラユニット制御部232は、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の各ズームセンサの状態を検出する。また、カメラユニット制御部232は、各ズームセンサの状態を表す情報を状態応答として撮影処理部262に対して出力する。
ステップS24において状態応答が出力された後、または「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けていないとステップS23において判定された場合、ステップS22以降の処理が行われる。
一方、「リセット」の動作指令を受け付けたとステップS22において判定した場合、ステップS25において、カメラユニット制御部232は、上述したリセット動作を行い、ズーム位置を移動させる。また、カメラユニット制御部232は、「動作中」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。
ステップS26において、カメラユニット制御部232は、リセット動作が正常に完了したか否かを判定し、正常に完了したと判定した場合、ステップS27において、「動作正常完了」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。このとき、カメラユニット233の状態が正常であるとしてそれ以降の処理が行われる。
一方、リセット動作が正常に完了していないとステップS26において判定された場合、処理は終了し、カメラユニット233の状態が異常であるとしてそれ以降の処理が行われる。例えば、異常が発生したことを通知するエラー画面の表示が撮影処理部262により行われる。
次に、図40のフローチャートを参照して、「ズーム位置22mmへ移動」、「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令があった場合の処理について説明する。「ズーム位置22mmへ移動」の動作指令はアップ画像の撮影前に出力される。また、「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令は全身画像の撮影前に出力される。
ステップS31において、カメラユニット制御部232は、動作指令を受け付けたか否かを判定し、受け付けたと判定するまで待機する。
「ズーム位置22mmへ移動」または「ズーム位置13mmへ移動」の動作指令を受け付けたとステップS31において判定した場合、ステップS32において、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動させることによってズーム位置を移動させる。また、カメラユニット制御部232は、「動作中」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。
ステップS33において、カメラユニット制御部232は、動作が正常に完了したか否かを判定し、正常に完了したと判定した場合、ステップS34において、「動作正常完了」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。このとき、カメラユニット233の状態が正常であるとしてそれ以降の処理が行われる。
一方、動作が正常に完了していないとステップS33において判定された場合、処理は終了し、カメラユニット233の状態が異常であるとしてそれ以降の処理が行われる。例えば、異常が発生したことを通知するエラー画面の表示が撮影処理部262により行われる。
次に、図41のフローチャートを参照して、ズームタイマ異常またはセンサ異常が生じた場合の処理について説明する。
ステップS41において、カメラユニット制御部232は、「ズームタイマ異常」の状態応答、または「センサ異常」の状態応答を出力する。また、カメラユニット制御部232は、レンズ駆動用モーター233Bの動作を停止させる。
ステップS42において、カメラユニット制御部232は、「リセット」の動作指令を受け付けたか否かを判定する。「リセット」の動作指令を受け付けていないとステップS42において判定した場合、ステップS43において、カメラユニット制御部232は、「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けたか否かを判定する。
「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けたとステップS43において判定した場合、ステップS44において、カメラユニット制御部232は、ズームセンサ362−1とズームセンサ362−2の各ズームセンサの状態を検出する。また、カメラユニット制御部232は、各ズームセンサの状態を表す情報を状態応答として撮影処理部262に対して出力する。
ステップS44において状態応答が出力された後、または「ズームセンサ状態読出」の動作指令を受け付けていないとステップS43において判定された場合、ステップS42以降の処理が行われる。
一方、「リセット」の動作指令を受け付けたとステップS42において判定した場合、ステップS45において、カメラユニット制御部232は、上述したリセット動作を行い、ズーム位置を移動させる。また、カメラユニット制御部232は、「動作中」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。
ステップS46において、カメラユニット制御部232は、リセット動作が正常に完了したか否かを判定し、正常に完了したと判定した場合、ステップS47において、「動作正常完了」の状態応答を撮影処理部262に対して出力する。このとき、カメラユニット233の状態が正常であるとしてそれ以降の処理が行われる。
一方、リセット動作が正常に完了していないとステップS46において判定された場合、処理は終了し、カメラユニット233の状態が異常であるとしてそれ以降の処理が行われる。例えば、異常が発生したことを通知するエラー画面が撮影処理部262により表示される。
図42は、エラー画面の表示例を示す図である。
カメラユニット制御部232から出力された「ズームタイマ異常」の状態応答を受信した撮影処理部262の表示制御部262Cは、図42Aに示すようなエラー画面をタッチパネルモニタ93に表示させる。図42Aのエラー画面には、ズームタイマ異常が発生したことを通知するメッセージが表示されている。
また、カメラユニット制御部232から出力された「ズームセンサ異常」の状態応答を受信した撮影処理部262の表示制御部262Cは、図42Bに示すようなエラー画面をタッチパネルモニタ93に表示させる。図42Bのエラー画面には、ズームセンサ異常が発生したことを通知するメッセージが表示されている。
なお、ズームセンサ異常の検出時のエラー画面の表示について、ズームセンサが反応してからエラー表示を行うまでにα秒の所定時間が確保される。これは、組み立て時のばらつきによりズームセンサが反応せず、特に全身画像の撮影時に上述したストッパーにより回転が停止することが考えられるためである。
図43は、異常が発生した場合の各処理の進行について説明するタイムチャートである。
事前選択空間A0での事前選択処理、撮影空間A1での撮影処理、編集空間A2−1,A2−2での編集処理は、異なる利用者(利用者のグループ)を対象として並行して行うことが可能である。ここでは、説明の便宜上、事前選択処理、撮影処理、編集処理が、それぞれ同時刻に開始されるものとする。
例えば、時刻t1において各処理が開始された場合、上述したように、事前選択空間A0にいる利用者は撮影コースなどの選択を行う。また、事前選択処理をすでに終え、撮影空間A1にいる利用者は、アップ画像と全身画像の撮影を行う。撮影処理をすでに終え、例えば編集空間A2−1にいる利用者は、撮影処理によって生成された撮影画像の編集を行う。
「ズームタイマ異常」または「ズームセンサ異常」が時刻t2において発生したものとする。この場合、撮影処理部262は上述したようなエラー画面をタッチパネルモニタ93に表示させる。撮影空間A1にいて撮影作業を行っていた利用者は、エラー画面を見て、異常が発生したことを写真シール作成装置1の管理者に伝えるなどの対応をとる。
一方、事前選択処理と編集処理は、撮影処理において異常が発生した後も、それぞれの処理を続行される。すなわち、撮影処理において「ズームタイマ異常」、「ズームセンサ異常」が発生した場合であっても、事前選択処理と編集処理は、その影響を受けずに続けられる。
例えば、時刻t3において事前選択作業を終えた利用者は、タッチパネルモニタ71に表示される画面に従って、撮影空間A1に移動せずに、事前選択空間A0で待機する。タッチパネルモニタ71には、例えば異常状態が解消されるまで事前選択空間A0で待機することを通知するメッセージが表示される。
また、時刻t4において編集作業を終えた利用者は、タブレット内蔵モニタ131に表示される画面に従って、印刷待ち空間A3に移動し、印刷が終わるまで待機する。印刷が終わり、編集済みのアップ画像と全身画像が印刷されたシール紙が排出された場合、利用者は、それを受け取り、写真シール作成装置1の利用を終える。
写真シール作成装置1が、撮影空間と編集空間が同一空間のシール機である場合、一連のゲームの流れは、その同一空間での撮影後、編集を行うものになるが、撮影作業の最中に異常が発生したときは、ゲームを中断し、編集作業の最中に異常が発生したときは、そのまま編集作業を継続できるようにしてもよい。
このように、撮影処理において生じた異常の影響を受けることなく、事前選択処理と編集処理を続行させることが可能である。当然、撮影処理において異常が発生したことに応じて、事前選択処理と編集処理を中断させるようにしてもよい。また、撮影処理において異常が発生したことに応じて、撮影処理以後の処理である編集処理と事後選択処理を行わせるようにしてもよい。
以上においては、レンズ駆動用モーター233Bがエンコーダ式のモーターでないことから、制限時間を設け、ズーム位置の移動開始からその制限時間(規定時間)が経過したとしても動作が完了していない場合にズームタイマ異常が生じたものとして処理を行うとしたが、エンコーダ式のモーターを採用し、モーターが出力する信号に基づいて異常の発生を検出するようにしてもよい。エンコーダ式のモーターには、光学式や磁気式等の構造を有するものがある。
レンズ駆動用モーター233Bがエンコーダ式のモーターである場合、レンズ駆動用モーター233Bからカメラユニット制御部232に対しては、モーターの回転数を表す電気信号が供給される。カメラユニット制御部232は、電気信号に基づいて、レンズ駆動用モーター233Bが発生するトルクの量を検出し、トルク量を管理する。
例えば、カメラユニット制御部232は、ズーム位置の移動を開始させた後のトルク量が予め設定された所定の範囲になった場合、ズーム位置の移動が完了したとしてレンズ駆動用モーター233Bの駆動を停止させる。
このように、ズームリングの停止位置をレンズ駆動用モーター233Bが出力する信号に基づいて制御することが可能である。
ズームリングの停止位置をレンズ駆動用モーター233Bが出力する信号に基づいて制御する場合、トルク量がばらつく虞があり、この場合、停止位置の誤差が大きくなる。レンズ駆動用モーター233Bとしてエンコーダ式のモーターを用いる場合においても、上述したストッパー等の機構を併用し、ズームリングの回転を物理的に停止させることにより、停止位置の誤差を軽減させることが可能になる。
<カメラ233Aの設置について>
カメラ233Aの組み付け時、カメラ233Aは、所定の角度でレンズスタンド341に設置される。この角度に応じて撮影範囲が変わってしまうことから、設計通りにカメラ233Aを設置する必要がある。なお、角度の調整は水平器などを使用して行われる。
図44は、カメラユニット233の右側面を示す図である。図44においては、図32に示した構成の一部を省略して示している。
図44に示すように、板部材341−1には、孔341−1Aと、孔341−1Aより小さい孔341−1B乃至341−1Dが形成される。孔341−1Bはカメラユニット233の正面寄りの位置に形成され、孔341−1Cと孔341−1Dはカメラユニット233の背面寄りの位置に形成される。
孔341−1Aはカメラ233Aを固定するための孔である。孔341−1Aを挿通する螺子は、カメラ233Aの底面に設けられた三脚固定用の螺子穴に固定される。
一方、孔341−1B乃至341−1Dはカメラ233Aの角度を調整するための孔である。孔341−1B乃至341−1Dの径は、孔341−1Aを挿通する螺子の径よりも若干長く、螺子を挿通させたときに、各孔の内周と螺子の間には若干の隙間が設けられる。孔341−1B乃至341−1Dの位置に対応するカメラ233Aの底面の位置には螺子穴が形成される。
カメラ233Aの底面に設けられた三脚固定用の螺子穴は、孔341−1B乃至341−1Dに対応して設けられた螺子穴より深い。図45に示すように、深い螺子穴を用いてカメラ233Aを固定し、浅い3つの螺子穴を用いてカメラ233Aの角度を調整することができるようになされている。
カメラ233Aの取り付け時に角度を容易に調整することができるようにすることにより、装置毎に撮影範囲のばらつきが生じるのを防ぎ、安定した撮影範囲の画像を利用者に提供することが可能になる。
なお、図44において、取り付け部材333には孔333Aと孔333Bが形成される。孔333A,333Bは、立ち上がり部材341−2を板部材341−1に螺子止めするために用いられる。
<角度調整機構(出荷時の組み付け)について>
写真シール作成装置1の出荷時には、上述したようにしてカメラユニット233内に取り付けたカメラ233Aの角度の微調整が行われる。角度の微調整には、背面カバー331−5に形成された小孔331−5A(図24、図27)が用いられる。上述したように、小孔331−5Aの軸方向には、レンズスタンド341を構成する板部材341−1が配置される。
図46は、カメラ233Aの角度の微調整時の様子を示す図である。
調整を行う者は、図46に示すように、六角レンチW等の細い棒状のものを小孔331−5Aに差し込む。六角レンチWの先端が板部材341−1の背面に当接した状態で六角レンチWを押し回すことにより、板部材341−1の角度を変え、これにより、板部材341−1に固定されたカメラ233Aの角度を調整することができるようになされている。
複数の小孔を設け、それにより板部材341−1の角度を変えることができるようにしてもよい。また、レンズスタンド341またはカメラ233Aに棒状のものを直接押し当てることができる位置であれば、小孔を設ける位置は任意である。
このように、調整を行う者は、写真シール作成装置1の出荷時にカメラ233Aの角度の微調整を容易に行うことができる。これにより、安定した撮影範囲の画像を利用者に提供することが可能になる。
<異物混入防止機構>
カメラユニット233内にはカメラ233Aのズームリングを回転させるための機構があり、それらの摩擦や摩耗を低減させるために潤滑油やグリース等の潤滑剤が用いられる。潤滑材は、レンズ駆動用モーター233Bを駆動させたときに生じる熱によって気化する。気化した成分が空気中の水分とカメラユニット233内において結合し、カメラ233Aのレンズ面・ガラス面が結露する。
このような状態で温度が下がると白色の物質がレンズ面・ガラス面に付着し、全体が白っぽくなるなどの影響が撮影画像に現れてしまう。写真シール作成装置1においては、カメラ233Aのレンズ面・ガラス面に潤滑剤の成分などの異物の混入を防止するための機構が設けられる。
図47は、レンズ面近傍のズームレンズ91の構成を示す図である。
図47に示すように、ズームレンズ91の先端は、カバー部材321に固定されるが、カバー部材321とズームレンズ91との間には密閉部材401が押し込まれる。密閉部材401は、色を付して示すレンズフィットクッション401−1と、ハッチを付して示すスペーサークッション401−2から構成される。レンズフィットクッション401−1とスペーサークッション401−2は例えばオーリングである。
ここで、オーリングは、断面がO形(円形)の密封用の機械部品である。ゴム製、断面が中空O型をした金属中空Oリング(メタル中空Oリング)、樹脂製のオーリングが存在する。オーリングは、液体や気体などの物質の進入を防止するとともに、内部の物質が外に漏れないように密封することを目的とする。詳細な目的は、2つの部品のどちらかに溝部を設け、溝部にOリングを装着して適度に圧縮することによって、油、水、空気、ガス等の多様な物質の漏れを防止することができる。
O形以外の形状の部材によって密閉部材401を構成してもよい。半円形状の部材をつなぎ合わせるなど、1つの部材ではなく、複数の部材を用いて密閉部材401を構成することも可能である。気密性を確保できる構造であれば、密閉部材401の構造は、ズームレンズ91とレンズフード92との位置関係などに応じて自由に変更可能である。
密閉部材401の断面形状についても、図48A乃至Cに示すように各種の形状を採用することができる。
レンズフィットクッション401−1とスペーサークッション401−2の材質としては、ゴム製、樹脂製以外にも、その用途を生じさせるものであればどのような材質であってもよい。
樹脂の材料としては、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、硬質塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム、フェノールフォーム、アクリルフォーム、酢酸セルロースフォーム、その他の発泡性合成樹脂を採用することができる。
また、発泡性合成樹脂に限らず、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、硬質ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、酢酸セルロース樹脂、その他の非発泡性の合成樹脂を採用することもできる。
ズームレンズ91のレンズ面・ガラス面を密閉部材401を用いて密閉することにより、画質の劣化を抑えることができる。
また、レンズ駆動用モーター233B等が駆動することによって生じる熱により、熱可塑性樹脂で成型されているズームレンズ等の樹脂製の構造に変形が生じ、ズームレンズ91のレンズ面の周りに間隙が生じることがある。密閉部材401を用いることにより、間隙が生じた場合であってもレンズ面の周りに異物が入ることを防止することが可能になる。
<変形例>
以上においては、全身画像の撮影時に、ワイド端の手前の焦点距離でズームリングの回転を停止させるものとしたが、アップ画像の撮影時に、テレ端の手前の焦点距離でズームリングの回転を停止させるようにしてもよい。すなわち、ズームリングの可動範囲内で回転を物理的に停止させる箇所を1箇所ではなく、2箇所とすることも可能である。
さらに、アップ画像と全身画像といったように、撮影画角の種類が2種類であるものとしたが、さらに多くの種類の画角を有する画像の撮影が行われるようにしてもよい。
例えば3種類の画像を撮影する場合、最も広い画角の画像と最も狭い画角の画像の撮影時には、それぞれワイド端/テレ端の手前の焦点距離でズームリングの回転を物理的に停止させて撮影が行われ、中間の画角の画像の撮影時には、所定の焦点距離でズームリングの回転を停止させて撮影が行われる。ズームリングの回転を物理的に停止させる位置を1箇所とし、所定の2箇所の位置でズームリングの回転を停止させて撮影が行われるようにしてもよい。
以上においては、プーリーとタイミングベルトを用いてズームリングを回転させるものとしたが、ギアやカムを用いてズームリングを回転させるようにしてもよい。
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。