[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける写真自動販売機の外観の具体例を示す図である。
写真自動販売機は、筐体を含んで構成され、筐体に対して大きくわけて、撮影操作を行なう側の面と、撮影後の画像にいわゆるお絵描きや落書きと言われる、タッチペンによる画像やテキストなどの入力である編集操作を行なう側の面とを対にして備えている。図1は、撮影操作を行なう側の面を斜めから見た図である。
筐体は、コンピュータ装置101a,101b、プリンタ12、および制御部102(基板)などの各種機器類を収める。これらの詳細は、後に図3を用いて説明される。
また、写真自動販売機には、筐体の他に、筐体の撮影操作を行なう側の面と共に撮影空間を形成するパネルとフレーム材とが含まれる。これらで形成される撮影空間内には、被写体であるユーザの背後に、撮影時の背景を形成する背景部5が配備される。背景部5については後に詳細を説明する。
かかる写真自動販売機を用いる際、被写体であるユーザは筐体の撮影操作側の撮影空間に入り、筐体に相対する向きで撮影を行なう。そして、撮影の後、編集操作側の編集空間に入り、撮影した画像に、いわゆるお絵描きと呼ばれるスタンプ画像やテキストなどをペン入力する操作を筐体に相対する向きで行なう。なお、以降の説明において、便宜上、筐体の撮影操作側の面を正面とし、編集操作側の面を背面とする。
図1を参照して、筐体の正面には、被写体を撮像するためのカメラ21と、カメラ21から撮像される映像をリアルタイムで表示してユーザに撮像される映像を視覚確認させるためのライブモニタ24と、BGM、操作方法などのアナウンスを出力するスピーカ23(不図示)と、デモ画面や撮影中の操作手順などを表示し、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルディスプレイ22と、対価である硬貨を投入するためのコイン投入口と、前面のメンテナンスなどを行なうためのフロントドアとが備えられる。
カメラ21は、一般的にデジタルカメラが用いられる。一般的なデジタルカメラで設定できる項目(たとえばシャッタースピード、絞り値、露出補正、ホワイトバランスなど)の変更や、撮影タイミングは、コンピュータ装置101aから指示される。
カメラ21の周囲には、蛍光灯やフラッシュなどを内蔵し、被写体の照明を行なうための照明ボックス(前面照明)18a〜18dが備えられている。
さらに、筐体には、筐体の内部の熱を逃がすためのファンや、外部装置への画像の配信、リモートメンテナンスなどの、外部装置との通信を行なうときにケーブルを差込むためのLAN(Local Area Network)ケーブル差込口などが備えられていることが好ましい。
また、撮影空間内に配備される背景部5には、モータなどにより駆動される、様々な色や柄の背景カーテン1a,1b,2a,2bが含まれ、それらを用いて撮影時の背景を形成する。背景カーテンは、巻き上げ式、引き出し式など、ユーザの手動操作によりセットされてもよいし、タッチパネルディスプレイ22を操作することで自動的にセットされてもよい。
さらに、ユーザが撮影空間内に出入りできるように本装置の側面は開放されているが、利用者のプライバシーに配慮するため、または外部光を遮断するためなどの目的で、周囲と撮影空間とを区分するサイドカーテン(不図示)が備えらえてもよい。
また、本装置の側面には、ユーザに側面から光を照射する側面照明(図4、符号18h)が備えられており、天井部分には、ユーザに上部から光を照射する天井照明(1)18f、および天井照明(2)18gが設けられている。
また、プリント取出口9付近には、印刷LED(Light Emitting Diode)10および印刷エラーLED11が備えられる。それらが点灯あるいは点滅することによって、印刷中、あるいは印刷中に用紙切れ、インク切れ、用紙詰り、メカニカルエラーなどのエラーが発生していることが通知される。
図2に、かかる写真自動販売機を背面である編集操作側から見た斜視図を示す。
図2を参照して、筐体の背面には、撮影により得られた画像を表示して画像の編集を受付ける1つまたは複数のタブレットディスプレイ13と、画像入力を行なうための1つまたは複数のタッチペン14と、ユーザに対し音楽や操作方法の説明などを音声で出力するスピーカ(不図示)とが備えられる。
次に、かかる写真自動販売機の機能構成の具体例を図3に示す。
図3を参照して、本実施の形態にかかる写真自動販売機は、本写真自動販売機を動作させるための、主に撮影処理などを実行するコンピュータ装置101aと、主に編集処理などを実行するコンピュータ装置101bと(これらを代表してコンピュータ装置101という)、基板から構成され、動作中のコンピュータ装置101からの指示を受付けて、接続されている各種装置を制御する制御部102とを備える。
コンピュータ装置101aは、カメラ21、ライブモニタ24、タッチパネルディスプレイ22、筐体1の内部にあるプリンタ12、および制御部102と接続され、それらを制御する。コンピュータ装置101bは、編集部401に備えられるタブレットディスプレイ13、タッチペン14、外部と通信するための通信端末110、および筐体の内部にある制御部102と接続され、それらを制御する。さらに、コンピュータ装置101aとコンピュータ装置101bとは互いに接続され、画像データや情報データなどの授受をピアツーピアで行なう。
なお、各コンピュータ装置101a,101bに各々接続される構成要素はこのような形態に限定されず、機能ごとに分かれていたり、位置ごとに分かれていたりしてもよい。さらに、コンピュータ装置101は本実施形態のような2台で構成されていなくてもよく、1台で構成されてもよいし、2台以上で構成されてもよい。
コンピュータ装置101は、コンピュータ装置101の制御を行なう演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、装置を動作させるためのプログラムおよびプログ
ラムで必要なグラフィックデータ、音声データ、撮影された画像や撮影画像に対して入力した編集画像その他の各種画像などを記憶する記憶部と、プログラムの一時的な作業領域ともなるメモリと、カメラ21、プリンタ12、タブレットディスプレイ13などの周辺機器を制御するためのソフトウェアであるドライバ(不図示)とを含む。また、コンピュータ装置101はLANケーブルを介して外部機器と接続された場合に通信を行なう通信部を備えていてもよい。
プリンタ12は、撮影された画像を紙やシールや金属やプラスチックなどの印刷媒体に印刷するためのプリンタであって、昇華型プリンタやサーモオートクローム方式(光定着型直接感熱記録方式)等のプリンタが一般的に用いられる。なお、本実施の形態においてはプリンタ12でシールが印刷されるものとして説明を行なうが、印刷媒体はシールに限定されず、他の印刷媒体であっても同様の処理が実行される。プリンタ12は、上述の用紙切れなどの状態をコンピュータ装置101aに通知する。コンピュータ装置101aは、その状態に応じて制御部102に制御信号を送信する。
通信端末110は、本写真自動販売機で使用するために外部で用意された画像を外部装置から受信したり、本写真自動販売機で作成される画像を外部の端末やサーバなどに送信したりするための無線通信可能な端末であって、PHS(Personal Handyphone System)などが用いられる。PHSはカード型のものを用いてもよい。また、外部の端末やサーバなどとインターネット網などのネットワーク網を通じて送受信可能なものであれば、通信端末110はPHSに限定されない。
電源スイッチ31が押され、本写真自動販売機に電源プラグより電源が投入されると、上記プログラムが起動されて、コンピュータ装置101aは、接続されるカメラ21のシャッタタイミングや、ライブモニタ24での表示や、タッチパネルディスプレイ22での表示やプリンタ12での出力を制御する。コンピュータ装置101bは、接続されるタブレットディスプレイ13での表示を制御する。
コンピュータ装置101aは、上記プログラムの実行や撮影部のタッチパネルディスプレイ22から受信した、ユーザの指などでタッチされることによって行なわれる入力操作にしたがった指示信号に基づいて、制御部102に対して制御信号を送信する。
また、コンピュータ装置101aは、カメラ21で撮影された画像を受信し該画像データを記憶部へ記憶する。
コンピュータ装置101bは、上記プログラムの実行や、編集部401のタブレットディスプレイ13から受信した、タッチペン14などでタッチされることによって行なわれる入力操作にしたがった指示信号に基づいて、制御部102に対して制御信号を送信する。
また、コンピュータ装置101bは、携帯端末やPCなどの外部端末から送信されてくる画像データ等を、通信端末110を介して受信する。これとは逆に、コンピュータ装置101bはコンピュータ装置101bに記憶されている画像データ等を通信端末110から所定のネットワークおよびサーバを介して携帯端末やPCなどの外部端末へ送信することもできる。
また、本写真自動販売機は、電源を必要とするコンピュータ装置101、照明装置18
、制御部102などの電源系統を制御する電源制御部103を備え、外部からそれらの装置に対する電源の電圧を安定させるよう制御する。さらに、そのような電源の投入および切断は、電源スイッチ31を押すことで行なわれる。しかし、電源切断によりコンピュータ装置101で動作しているプログラムを強制的に終了させることは、動作を不安定にさせる原因となる。そのため、電源が落とされても、しばらくはUPS(Uninterrupted Power Supply)104が電源をバックアップし、コンピュータ装置101に停電信号を送信する。その間に、コンピュータ装置101はプログラムの終了の手続を行ない、プログラムを正常に終了させる。一方、コンピュータ装置101を正規の手順で終了した場合は、その旨の信号がUPS104に送信される。
制御部102は、コンピュータ装置101および電源制御部103の他に、レリーズスイッチ20、フラッシュ制御部106、スピーカ23、サービスパネル105、コイン制御部107、印刷ランプ10、エラーランプ11、および背景部5に接続される。
レリーズスイッチ20は、ユーザが撮影する時にユーザ所望の撮影するタイミングを指示するためのカメラ21のシャッタ動作を遠隔操作するスイッチである。ユーザが、レリーズスイッチ20を押下すると制御部102を介して該制御信号がコンピュータ装置101aに送信され、さらにコンピュータ装置101aから該制御信号がカメラ21に送信されることによって、カメラ21は撮影を行なう。
また、シャッタ動作を遠隔操作するものであれば、フットスイッチ、専用ボタンなどを備えても良い。
フラッシュ制御部106は、カメラ21に接続され、カメラ21におけるシャッタタイミングに応じた同期信号を取得する。そして、カメラ21のシャッタタイミングに同期させて、フラッシュを発光させるように制御する。なお、フラッシュ制御部106は制御部102と接続され、発光させるフラッシュ29の選定や、フラッシュ29の発光度の設定がなされる。照明装置18も同様に制御部102と接続され、その照明度合いなどの設定がなされる。
スピーカ23は、コンピュータ装置101からの指示に従って、制御部102を介して指示信号を受信し、写真自動販売機のプレイにおける操作などの案内や、撮影時のBGMなどを出力する。なお、スピーカ23から出力する音声のボリュームを調整する音量調整つまみは、サービスパネル105に備えられる。
サービスパネル105は、投入されたコインの枚数をカウントするコインカウンタ、印刷されたプリントの枚数をカウントするプリントカウンタ、スピーカ23から出力する音声のボリュームを調整する音量調整つまみ、テストモードを行なうためのテストボタン、およびコインを投入しなくても装置が利用できるようにするためのサービスボタン等を備えるパネルであって、当該写真自動販売機の設置者が各種設定やメンテナンスの操作を行なう際に用いられる。サービスパネル105は、サービスボタンの操作などの制御操作が行なわれると、その操作にしたがった制御信号を制御部102に対して送信する。
制御部102は、コンピュータ装置101から受信した制御信号(指示コマンドなど)にしたがって、サービスパネル105に対して制御信号を送信する。サービスパネル105は、該制御信号に従って、コインカウンタやプリントカウンタを動作させる(たとえばカウンタを1インクリメントする)。
コイン制御部107は、コイン投入口26に投入されたコインの正当性を検出し、制御部102にコインが投入されたことを示す検出信号を送信する。
制御部102はコンピュータ装置101から受信した制御信号(指示コマンドなど)にしたがって、コイン制御部107に対して制御信号を送信する。コイン制御部107は、該制御信号にしたがって、コインが投入されないようにコイン投入口をブロックすることができる。このことで、たとえば、プレイ中にコイン投入を禁止することができる。
さらに、制御部102は、コンピュータ装置101aから、プリンタ12の状態に応じた制御信号を受信し、該制御信号にしたがって、印刷中ランプ10、およびエラーランプ11を制御する。かかる制御信号によって、印刷中ランプ10、およびエラーランプ11が点灯または点滅する。
また、制御部102は、コンピュータ装置101aから、タッチパネルディスプレイ22に対してユーザが所望の背景を選択する入力操作にしたがった指示信号を受信し、該指示信号にしたがって背景部5の背景カーテン(ロールスクリーン)の巻取装置を駆動するモータの動作を制御する。このようにモータの動作を制御することによって、ユーザが選択した背景画像が施されたロールスクリーンが背景部5にセットされる。
なお、言うまでもなく、写真自動販売機の形態は図1〜図3に示される具体例に限定されるものではない。すなわち、図1〜図3に記載されない他の機能が備えられていてもよいし、図1〜図3に記載されている機能の必ずしもすべてが備えられていなくても構わない。たとえば、プリンタ12は写真自動販売機本体に含まれていなくてもよく、その場合、写真自動販売機は、LAN等の専用回線や無線通信等を介して印刷制御信号をプリンタ12に出力するものとする。
図4は、図1に示される写真自動販売機の撮影空間内の構成をその側部より見た図である。
図を参照して、写真自動販売機の前面にはカメラ21、および前面照明18a〜18dが設置されている。また、写真自動販売機の天井部分には、カメラ21に近い側に天井照明(1)18fが設置されており、カメラ21から遠い側に天井照明(2)18gが設置されている。
また、写真自動販売機の側面やや後部よりには側面照明18hが設置されている。側面照明18hおよび天井照明(2)18gは、カメラ21から離れた位置にある被写体を明るく照らすための照明であり、天井照明(1)18fはカメラ21に比較的近い被写体を照射するための照明である。
また、図4に示されるように天井照明(1)18fと天井照明(2)18gとの間には、被写体がカメラ21に近づいた位置に存在する場合において、その背景となるロールスクリーンからなる背景カーテン1a,1bが設置されている。
また、天井照明(2)18gおよび側面照明18hの後部には、被写体がカメラ21から離れた位置に存在するときに背景となるロールスクリーンからなる背景カーテン2a,2bが設置されている。
以下、背景カーテン1a,1bと、その他背景に関する必要な部材とを総称して背景(1)(または前面背景)と呼び、背景カーテン2a,2bと、その他背景に関する必要な部材とを背景(2)(後面背景)と呼ぶ。背景(1)は撮影空間の略中央付近にあることが好ましい。
カメラ21と背景(1)との間に被写体は位置することができ、そこに位置することによって顔アップ撮影になる程度の距離がある(顔だけが写るのでなくてもよい。被写体がアップで写っていればよい)。
背景(1)と背景(2)との間にも被写体が位置することができ、そこに位置することによって全身撮影になる程度の距離がある(全身が写らなくても、被写体が小さめに写っていればよい)。
背景(1)の背景カーテンを使用する場合は、被写体は背景(1)より前に位置しないと撮影できないため、自然に撮影部に近づいた位置どりで撮影することとなり、顔アップ撮影になる。背景(1)の背景カーテンを使用しない場合、全身撮影になる。
本実施の形態における写真自動販売機は、背景(1)が用いられるか背景(2)が用いられるかにより照明の制御を変え、被写体がどの位置に存在してもカメラ21により写りのよい写真を撮影することができるものである。すなわち、撮影空間の略中央付近に設置した背景(1)の背景カーテンを背景画像として撮影を行なう場合と、背景(2)の背景カーテンを背景画像として撮影を行なう場合とでは異なる照明方法を適用する。
なお、ここでは被写体の背景となる背景媒体はカーテンとしているが、これに代えて、板状のもの、ドア、LED背景などを用いるようにしても良い。
図5は、選択された背景と、照明の制御との関係を示す図である。
図を参照して、前面にある背景(1)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量を弱くすることで、被写体への照明が明るくなり過ぎないように制御が行なわれる。
また、背景(1)が選択されたときには、天井照明(1)18fをオンとし、天井照明(2)18gはオフとする。また、側面照明18hもオフとする。
これは、背景(1)が用いられているときには、その後ろにある天井照明(2)18gおよび側面照明18hをオンとしておいても撮影とは関係がないためである。このような場合に天井照明(2)および側面照明18hをオフとすることで、無駄な照明がなされることがなくなり、電気代などの装置の運営コストが安くなるというメリットがある。
また、背景(2)が選択されたときには、前面照明18a〜18dの光量を強くする。これにより、カメラ21から離れた位置にある被写体を明るく照らすことが可能となる。
また、天井照明(1)18fをオフとし、天井照明(2)18gおよび側面照明18hをオンとする。
これにより、写真自動販売機の比較的後ろの位置に存在する被写体を明るく照らすことができ、かつ天井照明(1)という効果の少ない照明をオフとすることができ、無駄な照明をなくすことで装置の運営コストを下げることができる。
なお、天井照明は1個だけでもよく、背景(1)を利用しない場合のみ発光するようにしてもよい。
図6は、本実施の形態における写真自動販売機の動作を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示される処理は、コンピュータ装置101aのCPUが、記憶装置に記憶されるプログラムをメモリに読出して実行することによって実現される。
まず、当該写真自動販売機に備わる電源スイッチ31が投入されると、各種装置の電源が投入される。すると、コンピュータ装置101の記憶装置に格納された動作プログラムが起動する。コンピュータ装置101は、各種装置が正常に接続されているかチェックし、初期化が必要な装置に対しては初期化を行なう(S1)。その後、当該写真自動販売機の利用を促すタイトルデモをタッチパネルディスプレイ22に表示し、同時に音声をスピーカ23から出力する(S2)。
タイトルデモが表示されている状態で、コイン投入口において、当該写真自動販売機を利用するためのコインの投入を受付ける(S5)。なお、上述のコインの受付けに代えて、タイトルデモ表示中にテストボタンを押下することによって(S3)、当該写真自動販売機のメンテナンスを行なうためのテストモードが起動する(S4)。
テストモードは、写真自動販売機の設置者が写真自動販売機を操作するためのモードであり、このモードにおいては当該写真自動販売機の利用状況(たとえばコイン投入数など)の確認や、カメラ21、プリンタ12など周辺機器の調整ができる。
ここで写真自動販売機の設置者とは、当該写真自動販売機を設置し営業を行なっている店舗などの経営者、管理者、および従業員であり、営業中に、利用者に対応できるものである。
ステップS5で受付けたコインは、コイン制御部107において正当性や枚数等が検知される。そして、正常にコインを受付けるとプレイが開始される。
まず、当該写真自動販売機における処理(プレイ)は、撮影から始まる。はじめに、カメラ21が取得する画像を、ライブモニタ24にリアルタイムに表示する。ユーザは、ライブモニタ24に表示される画像を見ながら、好みの表情やポーズをとることができる。なお、ここではカメラ21が取得した画像をそのままライブモニタ24に表示してもかまわないし、左右に反転処理して表示してもかまわない。左右に反転処理して表示した場合、ユーザの姿を鏡に写す方向と同じ方向でライブモニタ24に表示することができる。そのため、ユーザは、ライブモニタ24を見ながら好みの表情やポーズをとることが容易になる。
ユーザは、撮影時の背景となる背景画像(背景カーテン)の選択を含む利用者設定を行なう(S6)。写真自動販売機では、撮影に先だってディスプレイ22に、撮影方法の選択画面を表示して背景に施される模様または色彩を各々提示し、タッチパネルディスプレイ22で背景画像選択操作を受付ける。
CPUは、背景画像の選択操作を受付けると、選択された背景画像が被写体の背景となるように制御部102に信号を送信し、制御部102は、選択した背景画像が被写体の背景となるよう背景部5を制御する。さらに、背景画像に対応して、照明、カメラ設定などを変更し、撮影を開始する(S7)。
またここでは、背景画像の選択だけでなく、ディスプレイ22に表示される操作画面およびスピーカ23から流れる音声に従って、カメラ21を好みの位置に移動させたり、カメラ21を回転、または向きを調整したりすることができる。これらの指示は、タッチパネルディスプレイ22などで受付ける。さらに、カメラ21の近傍などにカメラ21の向きやズーム等の指示を行なうボタンなどが備えられる場合には、それによってカメラ21の向きやズーム等の指示を受付ける。そして、受付けた撮影モードや背景媒体などで撮影が行なわれる。
ここで図7を用いて、ユーザ所望の背景の色彩や柄を選択する処理について説明する。
図7は、図6の利用者設定(S6)の内容を示すフローチャートである。
図を参照して、ステップS101において、撮影方法選択画面をディスプレイ22に表示し、ユーザからの入力を受付ける。
ステップS102において、顔アップ撮影が選択されたのであれば、ステップS103において背景(1)のカーテンの選択画面を表示する。また、ステップS104において、ステップS103で選択されたカーテンを自動的にセットする。そして、図5に示されるテーブルに従い、背景(1)が選択された場合の照明方法(顔アップ撮影用の照明方法)を設定し、図6のフローチャートへ戻る。
一方、ステップS102においてNOであれば、ステップS106で、背景(2)のカーテンの選択画面を表示し、ステップS107において、ステップS106で選択されたカーテンをセットする。また、図5のテーブルに従い、ステップS108で背景(2)が選択された場合の照明方法(全身撮影用の照明設定)を設定し、図6のフローチャートへ戻る。
図8は、図7のステップS101で表示される撮影方法選択画面の具体例を示す図である。
図を参照して、本画面において、ユーザは顔をアップとする撮影を行なうか、全身の撮影を行なうかを選択することができる。
図9は、図7のステップS103で表示される背景(1)のカーテン選択画面を示す図である。
図を参照して、この画面においてはユーザは顔をアップとする場合の背景(1)のうち所望の背景(ここでは図4における背景カーテン1aまたは1b)を選択することができる。
図10は、図7のステップS106で表示される背景(2)のカーテン選択画面の具体例を示す図である。
図を参照して、この画面においてはユーザは全身の撮影を行なう場合の背景(2)のうち所望の背景(ここでは図4における背景カーテン2aまたは2b)を選択することができる。
図11は、図7のステップS104でカーテンをセットするときに表示される画面の具体例を示す図である。
図を参照して、当該画面においては次の撮影がアップ撮影であることを示し、また、装置の前部にある背景カーテン1a,1bであるロールカーテンが下りてくることを示している。これにより、ユーザに撮影における立ち位置を示すことが可能となる。また、このとき音声やLEDなどの発光により、どのカーテンが展開されるかを案内し、立ち位置誘導を行なってもよい。このような案内を行なうことで、ユーザの立ち位置誘導がよりスムーズにできるという効果がある。
図12は、図7のステップS107でカーテンをセットするときに表示される画面の具体例を示す図である。
図を参照して、当該画面においては次の撮影が全身撮影であることを示し、また、装置の後部にある背景カーテン2a,2bであるロールカーテンが下りてくることを示している。これにより、ユーザに撮影における立ち位置を示すことが可能となる。
また、CPUは、背景画像がユーザによって選択されると、選択された背景画像の識別子をメモリまたは記憶装置に保持するよう指示する(図6のステップS8)。CPUは、選択された背景画像の識別子を判別して、各々の処理において、各種構成要素の設定を行なう。背景媒体の設定は予め設定されている所定時間内に行なうものであって、所定時間内に行なわれない場合、または選択操作が行なわれない場合には、デフォルトとしてたとえば模様なしの背景などに自動的に設定されるものとする。
撮影は、時間経過とともに「3、2、1」などのカウントダウンをタッチパネルディスプレイ22あるいはスピーカ23に出力して自動で行なうことができる。また、それぞれの背景の近傍に設けられた遠隔撮影ボタン(図示せず)やレリーズスイッチ20やフットスイッチなどを押下することで行なってもよい。
撮影は、コンピュータ装置101からカメラ21に撮影信号が送信されることでシャッタが切られ、実行される。ステップS7では、このような撮影を所定回数繰返し行なう(S9)。
次に、撮影した画像をディスプレイ22に全て表示し、その中からユーザが気に入った画像(キープ画像)の選択を受付ける(S10)。
選択が終了すると、ユーザに対して、編集空間へ移動するように促す案内がディスプレイ22に表示される。案内に従って、ユーザは編集空間へ移動する。そして、以降のユーザの操作は、編集空間で行なわれる。画像データなどは編集側のコンピュータ装置101bへ送信される(S11)。
なお、この実施の形態においては、背景(1)、(2)としてそれぞれ2つの背景カーテンを用いることとしたが、それぞれ1以上の背景カーテンを用いるのであれば、本発明を実施することができる。
[変形例1]
図13は、図7の利用者設定フローの変形例を示すフローチャートである。
このフローチャートにおいては、1つの画面においてユーザが顔アップ撮影および全身撮影の背景を選択することができるものとしている。
図13を参照して、ステップS101において背景選択画面が表示される。ステップS102において背景が選択されたかが判定され、YESであれば、ステップS103で選択された背景をセットする。
また、ステップS104で、選択した背景に対応した照明の設定を図5のテーブルに基づいて行ない、図6のメインフローへ戻る。
図14は、図13のステップS101で表示される背景選択画面の具体例を示す図である。
図を参照して、この変形例においては1つの画面においてユーザが用いる背景カーテン1a,1b,2a,2bの中から好きなものを選択することが可能である。
[実施の形態における効果]
図15は、顔アップ撮影時の照明設定の具体例を示す図である。
ここでは、背景カーテン1aが用いられるものとして、説明を行なっている。このとき、図5のテーブルに示されるように前面照明の光量は弱くされ、天井照明(1)はオンとされるが、天井照明(2)および側面照明はオフとなる。これにより、ユーザはカメラ21と背景カーテン1aと、前面照明と、天井照明(1)と床とで区画される撮影空間内に留まり、適切な光量で撮影を行なうことが可能である。また、天井照明(2)および側面照明をオフとすることで、無駄な照明がなされることが防止される。
図16は、全身撮影時の照明設定の具体例を示す図である。
ここでは、背景カーテン2bが用いられるものとして、説明を行なっている。このとき、図5のテーブルに示されるように前面照明の光量は強くされ、天井照明(2)および側面照明はオンとされるが、天井照明(1)はオフとなる。これにより、ユーザはカメラ21と背景カーテン2bと、前面照明と、天井照明(2)および側面照明と床とで区画される撮影空間内に留まり、適切な光量で撮影を行なうことが可能である。また、天井照明(1)をオフとすることで、無駄な照明がなされることが防止される。
[変形例2]
上述の実施の形態においては、ユーザの設定に伴い背景カーテン(ロールスクリーン)をモータなどの制御により自動的に設定することとしたが、ユーザが手動で背景カーテンを下ろすことにより、背景の設定を行なうことにしてもよい。
図17は、本変形例における利用者設定処理(図6のS6)の内容を示すフローチャートである。
図を参照して、ステップS101で図8に示される撮影方法選択画面を表示する。
ステップS102で顔アップ撮影が選択されたかが判定され、YESであればステップS103で背景(1)のカーテンの中からいずれかをセットする案内を音声や画面などに出力する。そして、ステップS104で、図5のテーブルに従い顔アップ撮影用の照明設定を行なう。
一方、ステップS102でNOであれば、ステップS105で背景(1)のカーテンを収納し、背景(2)のカーテンの中からいずれかをセットする案内を出力し、ステップS106で全身撮影用の照明設定を行なう。
図18は、図17のステップS103でディスプレイに表示される画面の具体例を示す図である。
図を参照して、ユーザに対し顔アップで撮影が行なわれる旨が提示され、また、背景カーテン1aまたは1bのいずれかを下ろす旨の指示がなされる。
図19は、図17のステップS105でディスプレイに表示される画面の具体例を示す図である。
図を参照して、ユーザに対し全身撮影が行なわれる旨が提示され、また、背景カーテン2aまたは2bのいずれかを下ろす旨の指示がなされる。
また、背景を手動で設定する場合、背景カーテンの先端にセンサをつけておき、降下している背景カーテンの中で最前列のものを判定してそれに基づきアップ撮影が行なわれるか、全身撮影が行なわれるかを検知し、照明を設定するようにしてもよい。
[変形例3]
図20は、写真自動販売機の変形例を示す図である。
カメラから遠距離に存在する背景カーテン2a,2bは、広い範囲がカメラに写り込むため、大きなものが必要であるが、比較的カメラに近い位置にある背景カーテン1a,1bはカメラに写り込む範囲が狭いため、小さなものを用いることができる。具体的には、撮影範囲内の大きさであればよく、背景カーテン1a,1bを床まで届くようなロールスクリーンにする必要はない。
このように、背景カーテンの位置(カメラから背景までの距離)によって、背景媒体の大きさを変更し、撮影範囲内のものとすることで、前方の背景の大きさを小さくすることができ、低コストで装置を構成することができる。また、アップの撮影時には、ユーザの足元は写らないので、背景を小さくしても特に問題は生じない。
[第2の実施の形態]
図21は、本発明の第2の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第1の実施の形態における装置の構成と比較して、背景カーテン2a,2bが用いられていない。本実施の形態においては、撮影空間の中央付近に固定的に設けられた背景カーテン1a,1bを用いるか否かにより、照明の制御を行なう。背景カーテン1a,1bを用いない場合には、カメラに対向する壁が実質的な背景となる。
図22は、第2の実施の形態における照明の制御を示す図である。
図を参照して、背景(1)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量を弱くすることで、被写体への照明が明るくなり過ぎないように制御が行なわれる。
また、背景(1)が選択されたときには、天井照明(1)18fをオンとし、天井照明(2)18gはオフとする。また、側面照明18hもオフとする。
これは、背景(1)が用いられているときには、その後ろにある天井照明(2)18gおよび側面照明18hをオンとしておいても撮影とは関係がないためである。このような場合に天井照明(2)および側面照明18hをオフとすることで、無駄な照明がなされることがなくなり、電気代などの装置の運営コストが安くなるというメリットがある。
また、背景(1)が用いられないときには、前面照明18a〜18dの光量を強くする。これにより、カメラ21から離れた位置にある被写体を明るく照らすことが可能となる。
また、背景(1)が用いられないときには、天井照明(1)18fをオフとし、天井照明(2)18gおよび側面照明18hをオンとする。
これにより、写真自動販売機の比較的後ろの位置に存在する被写体を明るく照らすことができ、かつ天井照明(1)という効果の少ない照明をオフとすることができ、無駄な照明をなくすことで装置の運営コストを下げることができる。
図23は、第2の実施の形態における利用者設定の内容を示すフローチャートである。
図を参照して、ステップS101において、撮影方法選択画面をタッチパネルディスプレイ22に表示し、ユーザからの入力を受付ける。
ステップS102において、顔アップ撮影が選択されたのであれば、ステップS103において背景(1)のカーテンの選択画面を表示する。また、ステップS104において、選択されたカーテンを自動的にセットする。そして、図22に示されるテーブルに従い、背景(1)が選択された場合の照明方法(顔アップ撮影用の照明方法)を設定し、図6のフローチャートへ戻る。
一方、ステップS102においてNOであれば、ステップS106で、背景(1)のカーテンを収納し、ステップS107で、図22のテーブルに従い、背景(1)を用いない場合の照明方法(全身撮影用の照明設定)を設定し、図6のフローチャートへ戻る。
[第3の実施の形態]
図24は、本発明の第3の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第1の実施の形態における装置の構成と比較して、背景(1)〜(4)が略等間隔に4つ設置されており、それぞれの背景(1)〜(4)の前方に天井照明(1)〜(4)が設置されている。
本実施の形態においては、用いられた背景カーテンの手前(カメラ21に接近する側)にある天井照明をオンとする。
図25は、第3の実施の形態における照明の制御を示す図である。
図を参照して、前面にある背景(1)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量をもっとも弱くする(光量=1とする)ことで、被写体への照明が明るくなり過ぎないように制御が行なわれる。
また、背景(1)が選択されたときには、天井照明(1)をオンとし、残りの天井照明(2)〜(4)はオフとする。
背景(2)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量を若干強くする(光量=2とする)。また、背景(2)が選択されたときには、天井照明(2)をオンとし、残りの天井照明(1)、(3)、(4)はオフとする。
背景(3)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量をさらに強くする(光量=3とする)。また、背景(3)が選択されたときには、天井照明(3)をオンとし、残りの天井照明(1)、(2)、(4)はオフとする。
背景カーテン(4)が選択された場合には、前面照明18a〜18dの光量を最も強くする(光量=4とする)。また、背景(4)が選択されたときには、天井照明(4)をオンとし、残りの天井照明(1)〜(3)はオフとする。
これにより、写真自動販売機の比較的後ろの位置に存在する被写体を明るく照らすことができ、かつ効果の少ない照明をオフとすることができ、無駄な照明をなくすことで装置の運営コストを下げることができる。
図26は、背景(1)が用いられる時の照明設定の具体例を示す図である。
このとき、図25のテーブルに示されるように前面照明の光量は弱くされ、天井照明(1)はオンとされるが、天井照明(2)〜(4)はオフとなる。これにより、ユーザはカメラ21と背景(1)と、前面照明と、天井照明(1)と床とで区画される撮影空間内に留まり、適切な光量で撮影を行なうことが可能である。また、天井照明(2)〜(4)をオフとすることで、無駄な照明がなされることが防止される。
図27は、背景(4)が用いられる時の照明設定の具体例を示す図である。
このとき、図25のテーブルに示されるように前面照明の光量は強くされ、天井照明(4)はオンとされるが、天井照明(1)〜(3)はオフとなる。これにより、ユーザはカメラ21と背景(4)と、前面照明と、天井照明(4)と床とで区画される撮影空間内に留まり、適切な光量で撮影を行なうことが可能である。また、天井照明(1)〜(3)をオフとすることで、無駄な照明がなされることが防止される。
図28は、第3の実施の形態における利用者設定の内容を示すフローチャートである。
図を参照して、ステップS101において、撮影位置選択画面をディスプレイ22に表示し、ユーザからの入力を受付ける。
ステップS102において、位置が選択されたのであれば、ステップS103において選択された位置に対応する背景カーテンを自動的にセットする。そして、図25に示されるテーブルに従い、対応する照明方法を設定し(S104)、図6のフローチャートへ戻る。
図29は、図28のステップS101で表示される位置選択画面の具体例を示す図である。
図を参照して、ユーザは用いる背景(1)〜(4)のそれぞれに対応した撮影位置(前、少し前、少し後ろ、後ろ)の中から好きなものを選択することが可能である。
このようにして本実施の形態では、カメラからの距離が異なる複数の背景カーテンを設置し、使用している背景カーテンに対応して異なる照明方法を適用することができる。より具体的には、カメラから離れた背景部の背景カーテンを使用しているときほど前面照明を強くすることができ、また使用している背景部によって発光する天井照明を変えることができる。
なお、カーテンが降下する順番を制御し、前のカーテンあるいは後ろのカーテンから順番にカーテンを下し、撮影を行なうと、ユーザがカーテンとカーテンの間に挟まれることや、カーテンの後ろにユーザが入り込むことを防止することができる。すなわち例えば、背景(4)を用いた後に、背景カーテン(1)を用いる時には、背景(3)→(2)→(1)の順にカーテンを下ろしていくことで、ユーザが前に行くように促すことができる。
[第4の実施の形態]
図30は、本発明の第4の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第1の実施の形態における装置の構成と比較して、背景カーテン2a,2bは用いられておらず、レール上をモータなどにより(あるいは手動で)移動する背景カーテン1a,1bが設けられている。また、天井照明も、背景カーテンの移動と共に一体的に移動するように構成されている。
本実施の形態においては、背景カーテン1a,1bおよび天井照明の位置によって、前面照明の光量と側面照明のオン/オフを制御する。
図31は、第4の実施の形態における照明の制御を示す図である。
図を参照して、背景カーテン1a,1bおよび天井照明の位置が前方(図30の範囲A)にある場合には、前面照明18a〜18dの光量を弱くすることで、被写体への照明が明るくなり過ぎないように制御が行なわれる。また、側面照明をオフとする。
また、背景カーテン1a,1bおよび天井照明の位置が後方(図30の範囲B)にある場合には、前面照明18a〜18dの光量を強くすることで、被写体への照明が明るくなるように制御が行なわれる。また、側面照明をオンとする。
また、センサなどを用いて被写体の位置検出を行なうことによって自動的に背景と天井照明が移動するように写真自動販売機が制御されてもよい。また、フットスイッチや遠隔撮影ボタンなどシャッタ動作を行なう遠隔操作手段を撮影空間内に設置し、どの遠隔操作手段が操作されたかを判定することによって、被写体の位置を特定し、背景と天井照明が移動するよう制御されてもよい。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態における写真自動販売機は、図6のステップS8で設定された撮影画像ごとに設定されたフラグを利用して、アップ撮影、全身撮影に対応して編集用画面を変更する。すなわち、編集のデフォルト画面では、その画像に最適な大きさのスタンプの選択画面などが表示される。撮影方法に対応して編集画面が切替えられ、アップの画像用では大きめのスタンプや顔関連のスタンプを充実させる。
これにより、仕上がりのよい写真シールシートを提供できる。また、編集がスムーズになるという効果がある。
図32は、編集用のコンピュータ装置101bでの処理を示すフローチャートである。
撮影が終了すると、ユーザに対して、編集空間へ移動するように促す案内がディスプレイ22に表示される。案内に従って、ユーザは編集空間へ移動する。以降のユーザの操作は、編集空間で行なわれる。
図32を参照して、電源投入に合わせてステップS21で初期化が行なわれる。ステップS22で待機画面をタブレットディスプレイ13に表示する。
ステップS23で、撮影側のコンピュータ装置101aから画像データの受信が開始されたかが判定され、YESであれば、ステップS24で編集待機画面を表示する。
ステップS25でデータの受信が完了したかが判定され、NOであれば、ステップS24の処理を繰り返す。ステップS25でYESとなれば、ステップS26で編集画面をタブレットディスプレイ13に表示し、ユーザから編集の入力を受け付ける。
ステップS27で編集時間が終了したか、または終了ボタンが押下されたかが判定され、NOであればステップS26に戻り、YESであればステップS28で印刷レイアウトの選択をユーザから受付け、ステップS29でそのレイアウトで印刷を行なう。
図33は、図32の編集処理(S26)の内容を示すフローチャートである。
この処理においては、キープ画像をタブレットディスプレイ13に全て表示し、その中からユーザが気に入った画像をタッチペン14のタッチによって受付ける(S201)。
ユーザからの選択を受付けると、その画像に対して設定されたフラグを確認し、顔アップ撮影で得られた画像であることを示すフラグがオンとなっているかがステップS202で判定される。
ステップS202でYESであれば、ステップS203で、タブレットディスプレイ13に顔アップ撮影用編集画面を表示し、その中に選択された画像を表示する。
図34は、顔アップ撮影用編集画面の具体例を示す図である。ここでは、撮影画像自体の画像編集などの画像処理を行なうことができ、ユーザの好みにより撮影した画像を調整または加工することができる。
編集入力中、タブレットディスプレイ13に、編集入力対象とするキープ画像を切換えるためのボタンや、編集を行なうための編集ツールである「ペン」「スタンプ」「フレーム」「スペシャル」、編集入力した画像を消すための「けしごむ」、入力操作を1つ前の状態に戻すための「ひとつもどる」、編集用画像入力を最初からやり直すための「はじめから」、などのボタンを表示する。ユーザは、これらのボタンをタッチペン14で押すことで使用するツールを選択する。
ユーザは、色、柄などを選択した後、表示された画像上で編集入力を行なう。編集中には、撮影された画像と編集入力された画像とをそれぞれ別の画層(レイヤ)に展開し、タブレットディスプレイ13上にそれら画層を重ねて表示する。それぞれの画層のどちらを上に表示するかは、用途により設定されている。例えば、編集入力された画像を撮影された画像の前景画像とする場合には、編集入力された画像が上の画層となる。
さらに編集入力された画像は、スタンプ画像の層、フレーム画像の層など、それぞれ複数の画層で構成されていてもよい。
図34に示されるように、顔アップ撮影用編集画面では、たとえばスタンプとして、アップの顔にサイズが一致する王冠、リボン、めがね、サングラス、眉毛などを表示する。また、デフォルトでスタンプのサイズを大きくする。これにより、ユーザは顔アップに対応したスタンプ画像の入力が可能である。
ステップS202でNOであれば、ステップS204でタブレットディスプレイ13に全身撮影用編集画面を表示し、その中に選択された画像を表示し、編集を受付ける。
図35は、全身撮影用編集画面の具体例を示す図である。
ここでは、たとえばスタンプとして、全身の画像にサイズが一致する模様、キャラクタなどを表示する。また、デフォルトでスタンプのサイズを小さくする。これにより、ユーザは全身画像に対応したスタンプ画像の入力が可能である。
本実施の形態において、編集入力するための編集画面および編集ツール(フレーム、スタンプ、ペンなど)は、前述の撮影時にユーザが選択した背景媒体の位置に対応して変更される。より詳しくは、入力可能なスタンプ画像、フレーム画像など(または、最初に表示されるデフォルト画面)が、背景媒体の位置に応じて変更される。
このようにすることにより、ユーザは撮影距離に調和した編集をすることが簡単に可能になり、更に編集ツールを選択する際に撮影距離を意識しなくても、自然に統一感のとれた編集が行える。このことにより、顧客満足度が向上する。
以上の処理が、1組のユーザが本実施の形態の写真自動販売機で行なうプレイである。そして、上述の処理を終了すると、次にコインが投入されるまで、再度タイトルデモをスピーカ23およびタブレットディスプレイ13から出力する。
なお、上述の実施の形態では、1組のユーザが利用する形態を説明したが、図1に示すとおり、撮影を行なう撮影空間と撮影された画像に編集を行なう編集空間とが異なる場所に設置されていることから、2組の利用者が写真自動販売機を同時に利用することもできる。この場合、先の利用者が撮影を終了し編集空間に移動すると、ディスプレイ22にはデモ画像が表示され、次の利用者のコイン投入を受付ける。そして、コインが投入されると、次の利用者の撮影が開始される。
なお、本装置においては、撮影空間と編集空間とを異なる位置に設けるように説明したが、これに限定されるものではなく、1つの空間において、撮影および編集が行われるようにしてもよい。また、撮影空間が複数あっても良いし、編集空間が複数あっても良い。
[第6の実施の形態]
図36は、本発明の第6の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第1の実施の形態における装置の構成と比較して、固定して備えられる背景(1)の背景カーテン1a,1bと、同じく固定して備えられる背景(2)の背景カーテン2a,2bと、レール上をモータなどにより(あるいは手動で)移動する天井照明とが設けられている。背景(1)を撮影時の背景として使用するときは、カメラ21に近接する方向へ天井照明が移動し、背景(2)を撮影時の背景として使用するときは、カメラ21に離反する方向へ天井照明が移動するよう制御が行われる。
図37は、第6の実施の形態における天井照明の移動機構を斜めから見た図であり、図38は第6の実施の形態における天井照明の移動機構を正面から見た図である。
図を参照して、天井照明303の両側面にはローラなどの回転機構が備えられている。撮影空間の上側面を走るレール304a,304b上をローラが回転して移動することによって天井照明303は撮影方向に向かって前後に移動する。この移動はモータなどを用いて自動で移動するよう制御してもよいし、あるいは手動で移動できるようにしてもよい。
背景カーテン1a,1bを収納する収納部301は、レール304a,304bに固定されている。本実施の形態においては、天井照明303は移動する時に、背景(1)のカーテンを収納する収納部301の下を通過する機構になっている。
本実施の形態においては、背景カーテン1a,1bおよび天井照明の位置によって、前面照明の光量と側面照明のオン/オフを制御する。第6の実施の形態における照明の制御は、第4の実施の形態における照明の制御と同様であり詳細な説明は繰返さない。
[第7の実施の形態]
図39は、第7の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第6の実施の形態における装置の構成と比較して、背景カーテン2a,2bが用いられていない。固定的に備えられる背景(1)の背景カーテン1a,1bと、レール上をモータなどにより(あるいは手動で)移動する天井照明が設けられている。背景(1)を撮影時の背景として使用するときは、カメラ21に近接する方向へ天井照明が移動し、背景(1)を撮影時の背景として使用しないときは、カメラ21に離反する方向へ天井照明が移動するよう制御が行なわれる。
本実施の形態においては、天井照明の移動機構は第6の実施の形態と同様であるため詳細な説明は繰返さない。また、背景カーテン1a,1bおよび天井照明の位置によって、前面照明の光量と側面照明のオン/オフが制御される。第7の実施の形態における照明の制御は、第4の実施の形態における照明の制御と同様であり詳細な説明は繰返さない。
[第8の実施の形態]
図40は、第8の実施の形態における写真自動販売機の構成を示す図であり、図4に対応する図である。
図を参照して、本実施の形態においては第6の実施の形態における装置の構成と比較して、背景(1)〜(4)が略等間隔に4つ固定的に設置されており、レール上をモータなどにより(あるいは手動で)移動する天井照明が設けられている。
本実施の形態においては、用いられる背景の手前側(カメラ21に接近する側)に天井照明を移動させる。本実施の形態においては、天井照明の移動機構は第6の実施の形態と同様であるため詳細な説明は繰返さない。
図41は、第8の実施の形態における照明の制御を示す図である。
図を参照して、前面にある背景(1)が選択された場合(位置範囲A)には、前面照明18a〜18bの光量を最も弱くする(光量=1とする)ことで、被写体への照明が明るくなり過ぎないように制御が行なわれる。背景(2)が選択された場合(位置範囲B)には、前面照明18a〜18bの光量を若干強くする(光量=2とする)。背景(3)が選択された場合(位置範囲C)には、前面照明18a〜18bの光量をさらに強くする(光量=3とする)。背景(4)が選択された場合(位置範囲D)には、前面照明18a〜18bの光量をさらに強くする(光量=4とする)。
また、それぞれの背景の近傍の側面に側面照明をそれぞれ設け、使用される背景に基づいて近傍の側面照明のみオンにするようにしてもよい。
第4の実施の形態、第6から第8の実施形態のように装置が構成されている場合、天井照明の数を少なくすることができるとともに、どの立ち位置で撮影したとしても最適な照明効果が得られる。
[その他]
なお、上述の実施の形態においては、背景の位置に応じて照明を切り替えることとしたが、背景の位置に応じて、カメラの絞り値(F値)を制御するようにしてもよい。すなわち、アップ撮影の場合絞りを絞り(F値=大)、全身撮影の場合には絞りを開放する(F値=小)ように制御するものである。
また、背景部の位置に応じて、背景媒体に表される画像種類を変えるようにしてもよい。例えば、アップ撮影用のカーテンは前面照明に背景が近接するのでやや発色を濃いめにする、などである。また、全身撮影用カーテンには柄を入れ、アップ撮影用カーテンは無地にするなどしてもよい。
さらに、全身撮影用はポーズが写りやすいのでお題撮影などをするためにクロマキーに適した背景にする、などが考えられる。
上記実施の形態のように、従来より多くの数の背景カーテンを備える装置、または略中央付近に降下する背景カーテンを備える装置において、当該背景カーテンを自動で動作するように制御されている場合に、降下する背景カーテンがユーザの身体にぶつかる可能性が高くなる。
従来の背後にまとめて背景カーテンを備える装置においても、上述の可能性があり、装置の床面に、危険防止用に「カーテンが下りてくるので立ち入り禁止だよ」などの注意表示を行ない、利用者が背景カーテンにあたらないようにするなどの対策がなされていた。しかしながら、上記第1〜第8の実施例の場合には、利用者の身体が背景カーテンに触れる可能性が高まる。
そこで、降下する背景カーテンの近傍にセンサなどのユーザの有無を検出する装置を設け、ユーザがいない場合に背景カーテンを降下するように制御するのが好ましい。また、背景カーテンを降下する時には、ユーザにタッチパネルディスプレイ22での操作を必要とする画面を表示するなど、ユーザを筐体側に誘導するように、タッチパネルディスプレイ22での表示やスピーカ23での出力で案内するように制御するのが好ましい。
また、上記第6〜第8の実施の形態のように、背景カーテンとは独立して、設置されている背景の直下をくぐるように天井照明が移動する場合において、背景カーテンが降下したまま天井照明が移動すると、背景カーテンを巻き込んでしまい、装置が故障する原因となってしまうことが考えられる。
そこで、背景カーテンの降下状態に応じて、天井照明の移動を制限するように装置を制御することが好ましい。背景カーテンの降下状態は、自動で背景カーテンが降下する場合は背景カーテンの降下を制御部102に指示すると共に、降下させた背景カーテンの位置をメモリなどに保持しておくことで判定が可能であり、手動で背景カーテンを降下させる場合には、センサーなどを設け検知することで判定が可能となる。
上述の制御は、たとえば、天井照明を移動する前に、降下している背景カーテンを収納し(巻上)、収納(巻上)が完了したかを監視し、収納(巻上)が完了すれば、天井照明を移動するように制御し、エラーなどの理由により収納(巻上)が完了しない場合は、天井照明を移動しないように行なわれる。
また、この場合において、天井照明の現在の位置から移動先の位置の間に降下している背景カーテンがあるかを判定し、降下している背景カーテンがある場合に上述の制御をするようにし、降下している背景カーテンがない場合は天井照明を移動するように制御してもよい。
このとき、背景カーテンがエラーなどの理由により収納(巻上)不能の場合は、タッチパネルディスプレイ22に、「店の従業員を呼んでね」などと表示する。そして、図示しない復旧ボタンなどを押下することにより、背景カーテン制御の復旧を行なえるようにする。
このように、背景カーテンの状態によって、天井照明の移動を制御することにより、移動する天井照明が、背景カーテンを巻き込むことを防止し、装置の故障や背景カーテンの破損を防止することができる。
さらに、第1、第3、第6、または第8の実施形態のように、複数の背景カーテンを備え、2つのカーテンの間にユーザが位置する程度のスペースがある場合には、ユーザがカーテンとカーテンとの間に挟まれてしまうことが考えられるという問題がある。
このような問題を解決するために、先の撮影で使用し、降下している背景カーテンの巻上げが完了するのを確認して、次の撮影で使用する背景カーテンを降下するように制御することが好ましい。
また、この場合に、背景カーテンの降下時に、ユーザを前方(筐体側)に誘導するようにタッチパネルディスプレイ22の表示やスピーカ23の出力で案内するように制御することが好ましい。
これにより、利用者が複数のカーテンの間に挟まれることがなく、背景カーテンだけが撮影されてしまうような事態を防ぐことができる。
[実施の形態における効果]
上述の実施の形態によると、背景部の背景媒体が被写体の移動を制限することができるため、撮影時に被写体を最適な位置に誘導して撮影することができ、その立ち位置において最適な照明効果を得やすいという効果がある。これにより、低コストで撮影の自由度は確保しつつ、撮影時の被写体位置を照明効果や撮影効果が十分に得られる位置に自然に誘導して美しい仕上がりの写真シートなどを提供することができるという効果がある。
また、本装置のコンピュータ装置の制御方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカード等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスク等の記録媒体に記録させて、プログラムを提供することもできる。また、電気通信回線や衛星通信回線等のネットワークを通じて、プログラムを提供することもできる。提供されるプログラム製品は、ハードディスク等のプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1a,1b,2a,2b 背景カーテン、5 背景部、12 プリンタ、13 タブレットディスプレイ、14 タッチペン、18 照明装置、18a〜18d 前方照明、18f,18g 天井照明、18h 側面照明、21 カメラ、22 タッチパネルディスプレイ、24 ライブモニタ。