以下、本発明に係る商品収納装置について、この装置を備えた自動販売機との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
1. 自動販売機の構成の説明
先ず、本実施形態に係る商品収納装置10の説明に先立ち、この商品収納装置10を適用した自動販売機12の構成例について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る商品収納装置10を備えた自動販売機12の正面図であり、図2は、図1に示す自動販売機12の外扉13を開放し、その内部構造を示した斜視図である。
自動販売機12は、箱入り商品等の定形な商品や袋入り商品等の不定形な商品を収納し、販売する汎用の自動販売機である。図1及び図2に示すように、自動販売機12は、外部から本体内部を視認可能な構造であり、前面が開口した箱状の断熱筐体である本体キャビネット14を備える。本体キャビネット14は、複数の鋼板を適宜組み合わせて形成される。
図2に示すように、本体キャビネット14の内部は、機械室15と、商品収容室16とに画成されている。機械室15は、本体キャビネット14の下側略三分の一を占めており、電源ボックス17、本体スレーブボックス18、漏電遮断器19、凝縮器20等の構成部品が配設されている。商品収容室16は、本体キャビネット14の上側略三分の二を占めており、商品収納装置10が配設されている。
商品収容室16の前面開口は、本体キャビネット14の内側左側縁部に開閉可能に支承された内扉21によって閉塞される。内扉21には、透明なガラス板22が嵌め込んであり、商品収容室16の内部は透明なガラス板22を通して視認される。内扉21の中程右側には、内扉ロック23が設けてあり、商品の補充時等を除いて内扉21の閉塞状態が維持される。
図1に示すように、本体キャビネット14の前面開口は、本体キャビネット14の左側縁部に開閉可能に支承された外扉13によって閉塞される。外扉の上側略三分の二となる部位には、透明なガラス板24が嵌め込んであり、自動販売機12の外部から、外扉13に嵌め込んだ透明なガラス板24、内扉21に嵌め込んだ透明なガラス板22を通して商品収容室16の内部が視認される。
外扉13の前面右側中程には、外扉ロック25が設けてあり、外扉13を閉塞した状態で施錠される。外扉ロック25の上方となる部位には、操作入力部26が設けてある。操作入力部26には、テンキー、一体表示器、準備中ランプ、売切ランプが設けてある。テンキーは、購入する商品が収納してある商品ラック(商品収納ラック)28を特定するラック番号を入力するためのもので、例えば、0〜9までの数字キー、決定キー、訂正キーを備える。一体表示器は、例えば、テンキーから入力されたラック番号を表示するデジタル表示器、販売中ランプ、釣り銭切ランプ、お札中止表示のほか、投入金額等の各種情報が表示される。
外扉ロック25の下方となる部位には、硬貨投入口29と返却レバー30とが設けてある。硬貨投入口29は、硬貨を受け付けるための開口であって、硬貨投入口29から投入された硬貨は、外扉13の背面に配設したコインメカニズム(硬貨処理装置)31(図2参照)に収容される。コインメカニズム31は、各種硬貨の投入枚数を整理し、メインコントローラ(制御装置)32に送信する一方、メインコントローラ32からの指令に従い、各種硬貨を払い出す。返却レバー30は、取引の中断を指示するためのもので、返却レバー30が操作されると、取引が中断され、釣り銭等が返却口33に放出される。
操作入力部26の上方となる位置には、紙幣挿入口34が設けてある。紙幣挿入口34は、紙幣を受け付けるための開口であって、紙幣挿入口34から挿入された紙幣は、外扉13の背面に配設したビルバリデータ(紙幣処理装置)35に収容される。ビルバリデータ35は、紙幣の挿入枚数を整理し、メインコントローラ32に送信する一方、メインコントローラ32からの指令に従い、紙幣を払い出す。
外扉13の下側となる位置には、商品取出口36が設けてある。商品取出口36は、商品収納装置10を構成する商品ラック28から払い出された商品を取り出すための開口である。
図2に示すように、商品収容室16には、上下方向に複数段、左右方向に複数列並べられた商品ラック28から払い出された商品を商品取出口36へと搬送するバケット搬送機構38が搭載してある。
図3は、バケット搬送機構38の構成例を示す一部省略斜視図であり、商品ラック28との関係で図示している。図4は、商品ラック28からバケット搬送機構38への商品の受け渡しを説明するための図である。
図3に示すように、バケット搬送機構38は、商品ラック28から外部に払い出された商品を受け取って商品取出口36へと搬送するものであり、商品収納トレイ39と、Y軸搬送部40とを備えている。
商品収納トレイ39は、商品を払い出す商品ラック28に臨む位置で商品を受け取り(図4参照)、商品取出口36に臨む位置で商品を受け渡すもので、ここで例示する商品収納トレイ39は、左右方向に設けられた商品ラック28の全てから商品を受け取ることが可能である(図3参照)。すなわち、商品収納トレイ39は上下方向にのみ移動可能に構成され、左右方向には移動しない。商品収納トレイ39の両側縁部には、側壁板39aが取り付けてある。側壁板39aは、商品収納トレイ39の収納域を画成するもので、前後方向中程から手前側に向けて漸次幅狭となるように傾斜している。
Y軸搬送部40は、商品を払い出す商品ラック28が含まれる段に臨む位置に商品収納トレイ39を移動させる一方、その位置から商品取出口36に臨む位置に商品収納トレイ39を移動させるためのもので、商品収納トレイ39を上下方向に移動させるYモータ40aを備えている。
商品を払い出す商品ラック28が特定されると、図3に示すように、その商品ラック28が含まれる段に臨む位置に商品収納トレイ39を移動させ、図4に示すように、商品ラック28から払い出された商品Gを商品収納トレイ39が受け取ることになる。そこで、商品収納トレイ39に設けられた図示しないセンサによって商品Gを正常に受け取ったことが検知されると、商品収納トレイ39が商品取出口36に臨む位置に移動し、商品Gが商品取出口36へと投入される。
2. 商品収納装置の構成の説明
次に、本実施形態に係る商品収納装置10について、先ず、全体構成を説明し、続いて、商品収納装置10の各構成要素の具体的な構成を順に説明する。
図2に示すように、商品収納装置10は、上下方向に複数段、左右方向に複数列が並べられた商品ラック28を備え、操作入力部26から購入する商品が収納してある商品ラック28を特定するラック番号が入力されると、この商品ラック28に収納した商品を商品収納トレイ39へと払い出す装置であり、メインコントローラ32によって駆動制御される。
各商品ラック28は、手前側から奥側に整列させた状態で商品を内部に収納し、収納した商品を奥側から手前側に向けて順次送り出すことにより、手前側から外部に商品を払い出すものであり、ラック毎に同一品目の商品を収納するコラムを構成する。各商品ラック28には、モータ44を筐体46内に有し、商品搬送路48の上流側(最奥部)に設けられる駆動ユニット(モータユニット)50と、該駆動ユニット50によって動作して商品を搬送方向Aに沿って商品搬送路48上で搬送する搬送機構52とが備えられる。
以下、商品ラック28における搬送方向Aの下流側を手前側又は前方側(先端側)と呼び、上流側を奥側又は後方側(基端側)と呼ぶものとする。つまり、自動販売機12の前面から背面に向かう方向を手前側から奥側と呼ぶものとし、商品ラック28では、商品が奥側から手前側への搬送方向Aに沿って払い出される。
当該商品収納装置10では、搬送機構52として、図5に示すように、細い金属棒を螺旋状に形成したスパイラル54を用いて該スパイラル54のピッチ間に商品を収納し、払い出すスパイラル機構(スパイラルラック)52aと、図7に示すように、ベルト56の上面(搬送面56a)に商品を収納し、払い出すコンベア機構(コンベアラック)52bとを選択的に用いることができる構成を採用している。
スパイラル機構52aは、図5及び図6に示すように、搬送方向Aに沿って延在し、その上面に幅方向中央部が多少窪んだ商品搬送路48を設けたベース部材(ベースモジュール)58の上面(商品搬送路48)に着脱可能に構成されている。略同様に、コンベア機構52bは、図7及び図8に示すように、スパイラル機構52aと共用するベース部材58の上面(商品搬送路48)に着脱可能に構成されている。コンベア機構52bは、ベース部材58に対して合成樹脂で形成された爪部材等によって着脱固定される。
ベース部材58の奥部に設けられた駆動ユニット50についても、スパイラル機構52a及びコンベア機構52bと着脱可能に構成されており、これらスパイラル機構52a及びコンベア機構52bで同一の駆動ユニット50を共用できる。駆動ユニット50は、ベース部材58の奥部に形成され、矩形凹状で上方に開口した装着スロット58aに対して、表裏を変更して着脱可能に構成されている(図14(A)及び図14(B)も参照)。つまり、搬送機構52では、ベース部材58及びこれに装着される駆動ユニット50に対して、スパイラル機構52aとコンベア機構52bとを容易に着脱・交換可能である。勿論、ベース部材58に対して交換可能な搬送機構52には、スパイラル機構52a及びコンベア機構52b以外の機構、例えば、最後尾の商品の背後に設けた可動板によって整列された缶飲料等を順に押し出す飲料搬送機構等の各種機構を適用できる。
このような商品ラック28は、図2及び図9に示すように、商品収納室16の上下方向の各段の棚の側壁60、60の内側に画成された収納域に、その搬送方向Aが相互に平行するように左右に複数台並列して配置される。商品収納装置10では、例えば、1台の商品ラック28を1つの商品の収納、払い出しに使用する態様(図9中の商品ラック28A参照)と、隣接する2台の商品ラック28、28を適宜の間隔で配置し、それぞれに設けられる搬送機構52を1つの商品の搬送用に使用することにより、2台一組を1つの商品の収納、払い出しに使用する態様(図9中の商品ラック28B、28C参照)とを構築可能である。
図9に示すように、1台の商品ラック28で1つの商品G1を収納する商品ラック28Aは、その左右両側が仕切板62(及び側壁60)によって仕切られ、2台の商品ラック28で1つの商品G2、G3を収納する商品ラック(ダブルラック)28B、28Cは、並列された2台の商品ラック28の外側部が仕切板62(及び側壁60)によって仕切られており、その前面と上面が開放されている(図2も参照)。
2.1 スパイラル機構の説明
次に、商品収納装置10の各構成要素について順に説明する。先ず、スパイラル機構52aの具体的な構成について説明する。
図5及び図6に示すように、スパイラル機構52aは、駆動ユニット50からの回転駆動力によって回転することにより、螺旋のピッチ間に拘束した商品Gを搬送方向Aに搬送可能なスパイラル54を有する。スパイラル54の奥側端部(基端)には、該スパイラル54を駆動ユニット50の回転体62に対して、回転不能に且つ着脱可能に連結するための連結具(連結部品)64が取り付けられている。
また、スパイラル54には、後述する売切検知機構66を構成する検知部材(売切検知部材)68が設けられている。検知部材68は、整列された商品Gのうち、最も後方(最後尾)の商品Gの背後に設けられ(例えば、図5中に2点鎖線で示す検知部材68参照)、商品Gの搬送と共に移動して、最終的には図5中に実線で示すように、商品ラック28の最前まで移動して、リンク部材70を前方に押圧移動させる。リンク部材70は、ベース部材58の側部にその長手方向に沿ってスライド可能に設けられた長尺な棒体であり、スライドすることで駆動ユニット50に設けられた揺動部材72を揺動させるものであり、検知部材68等と共に売切検知機構66を構成するものであるが、詳細は後述する。
図10は、スパイラル機構52aの基端部周辺を拡大した斜視図である。図11は、スパイラル54の基端部に取り付けられる連結具64を前方側から見た斜視図であり、図12は、図11に示す連結具64を後方側から見た斜視図であり、図13は、図11に示す連結具64を搬送方向Aに沿って切断した縦断面を示す断面斜視図である。
図10〜図13に示すように、連結具64は、スパイラル54の一端(基端)を内側に屈曲形成した直線部54aを挿入するために、回転体62の軸方向(回転軸心)Oに直交する方向に形成された孔部74と、スパイラル54の螺旋を形成する基端側の環状体(リング体)54bと係合可能であり、且つ環状体54bを内側から外径方向へと弾性的に押圧する係合部76とを有する。連結具64は、軸方向Oに延びた円筒部78aを有する連結部78により、駆動ユニット50の回転体62に設けられる装着部80に対して回転不能な状態で着脱可能(係脱可能)となっている。連結具64は、例えば合成樹脂によって形成される。
孔部74は、円筒部78aの先端側に形成されており、該円筒部78aの直径方向で反対側に形成された円弧状の凹部75とにより、スパイラル54の直線部54aを位置決め支持し、スパイラル54が搬送方向Aへと連結具64から抜けること、及び位置ずれを生じることを防止する。
係合部76は、円筒部78aの外周面の先端寄り位置から外径方向に突出形成された円板部77の外周面77aによって、スパイラル54の環状体54bの内周面を支持するものである。係合部76は、スパイラル54の環状体54bの内面の一部(図10では下部)に係合するフック部76aと、フック部76aに内面の一部が係合された環状体54bの内面の他部(図10では上部の左右2箇所)を、フック部76aとの間で引張する方向に弾性的に押圧する一対のばね部76b、76bと、フック部76aに係合された環状体54bの後面側を支持する一対の支持片76c、76cとを有する。
フック部76aは、円板部77の一部を前方側に多少突出させた後、外径方向に屈曲させた断面略L字状の引っ掛け部である。ばね部76bは、円板部77における軸方向Oを挟んでフック部76aとは反対側に設けられ、円板部77の一部を切欠き77bによって切り欠くことにより、環状体54bの内面を外径方向に弾性的に付勢する弾性片である。
従って、スパイラル54は、直線部54aが孔部74及び凹部75によって支持され、さらに、環状体54bの一部がフック部76aに引っ掛けられると共に支持片76cによって支持された状態でばね部76bによって外径方向に弾性的に押圧されることで、連結具64に対して回転不能な状態でガタツキなく安定して取り付けられ、スパイラル54の軸心出しもできる。また、係合部76は、左右対称形状となっているため、スパイラル54の螺旋の巻き方向に関わらず取り付けることができる。
連結部78は、図10〜図13に示すように、軸方向Oと同軸上に延在する前記円筒部78aと、円板部77の背面に接する位置で、円筒部78aの外周面に周方向に沿って複数形成された半円柱形状の突部78bと、円筒部78aの後方側の上下部分をそれぞれ切欠くことで弾性変形可能に形成された上下一対の係合突部78c、78cとを備える。
係合突部78cは、円筒部78aの外周面基端側から内側に向かって円弧状に屈曲し、さらに前方へと延在することでばね状に形成された弾性部である。各係合突部78cの基端部には、円筒部78aの周面よりも外径方向に突出したストッパ片78dがそれぞれ設けられる。ストッパ片78dは、駆動ユニット50の装着部80の内周面を通過した際、弾性的に復元して該装着部80の基端縁部に引っ掛かり、連結具64の回転体62からの抜け止めを果たすものである(図18参照)。
図13に示すように、各係合突部78c、78c同士は、側面断面視で略U字状に形成されることで弾性変形可能となっており、軸方向Oに沿って延在するピン形状部78eの根元部分で互いに連結されている。ピン形状部78eの先端側には、左右一対の摘み部78f、78fが突出形成されている(図11も参照)。
従って、図13から明らかなように、連結具64が駆動ユニット50の回転体62に装着された状態において、奥側に上下一対で設けられた係合突部78c、78cを互いに近接する内径方向に押圧するか、又は、手前側に左右一対で設けられた摘み部78f、78fを手前側に引き寄せて変形させることにより、ストッパ片78dが内径方向に移動し、連結具64と回転体62との係合状態を解除することができる。つまり、係合突部78c及び摘み部78fが、連結具64の連結部78と回転体64の装着部80との装着状態を解除する解除操作部82を構成し、この解除操作部82は、連結部78の奥側及び手前側の両側に設けられていることになる。
2.2 駆動ユニットの説明
次に、駆動ユニット50の具体的な構成について説明する。
図14は、駆動ユニット50をベース部材58の装着スロット58aに装着する状態を示す一部省略分解斜視図であり、図14(A)は、表面50aを手前側とした第1姿勢で駆動ユニット50をベース部材58の装着スロット58aに装着する状態を示す図であり、図14(B)は、裏面50bを手前側とした第2姿勢で駆動ユニット50をベース部材58の装着スロット58aに装着する状態を示す図である。また、図15は、筐体46の表面50aを形成する表カバー46aを取り外した状態での駆動ユニット50の正面図である。
図14及び図15に示すように、駆動ユニット50は、表面50aを形成する表カバー46aと裏面50bを形成する裏カバー46bとによって矩形箱状に構成される筐体46を備え、この筐体46の内部に、モータ44、ギア機構84、回転体62、検知スイッチ(検知器)86を収容して構成されている。
モータ44は、筐体46の外部へと延在する図示しない配線によって自動販売機12の電源に接続されており、メインコントローラ32によって回転制御され、その回転軸には、ウォーム(ねじ歯車)44aが固着されている。ギア機構84は、モータ44の回転を回転体62に伝達するための伝達機構(減速機構)であり、ウォーム44aに噛み合うウォームホイール(はす歯歯車)84aと、ウォームホイール84aによって従動回転されると共に、回転体62を回転駆動する伝達ギア84bとから構成されている。検知スイッチ86は、検知レバー86aが押圧され揺動されることで、側面に突出された押ボタン86bを押下するヒンジ・レバー型のマイクロスイッチである。
図16は、回転体62を前方側から見た斜視図であり、図17は、図16に示す回転体62を後方側から見た斜視図である。
図15〜図17に示すように、回転体62は、伝達ギア84bの図示しない小径ギアと噛み合う大径のギア部88と、ギア部88より小径の円筒状に形成されて前後方向に延びた装着部80とを有する。
ギア部88の前面の周縁部には、周方向で180°間隔に配置された一対の薄板状のカム部88a、88bが前方側に突出するように設けられている。図15から明らかなように、カム部88a、88bは、回転体62が半回転する毎に、順に検知スイッチ86の検知レバー86aを押圧・揺動させ、押ボタン86bを押下させる。つまり、カム部88a、88bは、回転体62の自走検知用の検知部材(検知カム)として機能するものであり、カム部88a、88bによって押ボタン86bが2度オンされると、メインコントローラ32は回転体62が1回転したものと判定する。カム部88a、88bは、一対ではなく1個のみ設けてもよく、又は周方向に均等に3個以上設けてもよい。
装着部80は、当該駆動ユニット50に対して搬送機構52を着脱し、モータ44からの回転駆動力を回転体62から搬送機構52へと伝達するためのものである。図14〜図17に示すように、装着部80は、駆動ユニット50の表面50aに露出した装着部80aと、裏面50bに露出した装着部80bとを有する。つまり、回転体62は、その軸方向Oの一端に装着部80aを有し、他端に装着部80bを有することで、表面50a及び裏面50bの両面に装着部80をそれぞれ露出させており、これにより、該両面からスパイラル機構52aを構成する連結具64の連結部78(又は、後述するコンベア機構52bを構成する連結ギア90の連結部92。図20参照)を着脱可能となっている。
装着部80(80a、80b)は、その内周面に連結具64の連結部78(又は連結ギア90の連結部92)を嵌挿可能に構成され、各装着部80a、80bの内周縁部には、周方向に沿って複数の溝部81が形成されている。溝部81は、連結具64(連結ギア90)の突部78b、ストッパ片78dと係合可能である。連結具64(連結ギア90)に溝部を形成し、回転体62に突部やストッパ片を形成してもよい。
このような駆動ユニット50は、上記のように、ベース部材58の奥部に設けられる装着スロット58aに対して表裏を変更して着脱することができ、図14(A)に示すように、筐体46の一面となる表面50aを搬送方向Aに向けて配置する第1姿勢(正回転姿勢)と、図14(B)に示すように、筐体46の他面となる裏面50bを搬送方向Aに向けて配置する第2姿勢(逆回転姿勢)とに設定することができる。
図14(A)から明らかなように、第1姿勢では、表面50a側に露出する回転体62の装着部80aに対して、スパイラル機構52aを構成する連結具64の連結部78(又は、コンベア機構52bを構成する連結ギア90の連結部92)が装着される。一方、図14(B)から明らかなように、第2姿勢では、裏面50b側に露出する回転体62の装着部80bに対して、スパイラル機構52aを構成する連結具64の連結部78(又は、コンベア機構52bを構成する連結ギア90の連結部92)が装着される。
このように、当該商品収納装置10の商品ラック28では、駆動ユニット50を表面50a及び裏面50bの両面側で使用可能とすることにより、回転体62によるスパイラル機構52aの回転方向を、配線の変更やスイッチ等によってモータ44を正逆回転させることなく、構造的方法によって、正逆回転させることが可能となっている。例えば、表面50aを利用する第1姿勢では、回転体62が正面視で時計方向のθ1方向(図14(A)参照)に回転し、裏面50bを利用する第2姿勢では、回転体52が正面視で反時計方向のθ2方向(図14(B)参照)に回転する。つまり、駆動ユニット50はその両面をそれぞれ利用可能なリバーシブルモータ(リバーシブル駆動ユニット)として構成されている。
従って、図9中の商品ラック28B、28Cのように、2台の商品ラック28で1つの商品G2、G3を収納し搬送するダブルラックを構成する場合に、駆動ユニット50の表面50aを利用する第1姿勢の駆動ユニット50と、駆動ユニット50の裏面50bを利用する第2姿勢の駆動ユニット50とを2台一組で組み合わせ、スパイラル54の螺旋の向きを互いに逆方向とすることにより、商品G2、G3に作用するスパイラル54の回転力を相殺し、2台の商品ラック28で1つの商品G2、G3をより安定して収納及び搬送することができる。
しかも、このようなダブルラックを構成する2台の商品ラック28、28は、共に駆動源となる駆動ユニット50を備えている。このため、例えば、商品収納室16の各段の棚上に左右方向に延在する一対の位置決めレール94、94に沿って、2台の商品ラック28、28間の間隔を適宜変更した場合であっても、両商品ラック28、28がそれぞれ駆動ユニット50を備えていることから、両商品ラック28、28間に動力伝達機構等を追加することなく所望の幅を持ったダブルラックを容易に形成することができる。図9中の商品ラック28Bは、幅広の商品G2を収納するように、広い間隔を介して2台の商品ラック28、28を配設し、商品ラック28Cは、商品G2より狭幅の商品G3を収納するように、2台の商品ラック28、28の間隔を詰めて配設している。
2.3 スパイラル機構と駆動ユニットの着脱構造の説明
次に、スパイラル機構52aと駆動ユニット50の具体的な着脱構造について説明する。
図18は、スパイラル機構52aの連結具64と駆動ユニット50の回転体62とを装着させた状態での斜視図であり、連結具64の連結部78を駆動ユニット50の表面50a側に露出した装着部80aに装着した状態を後方側から見た斜視図である。
本実施形態に係る商品収納装置10において、図5及び図6に示されるスパイラル機構52aと駆動ユニット50との着脱構造は、連結具64の連結部78と回転体62の装着部80との係脱動作によって構成される。
例えば、連結具64を駆動ユニット50の表面50a側の装着部80aに装着する際には、図18に示すように、連結具64を構成する連結部78の円筒部78aを回転体62の装着部80a側からその内周面に挿通させる。そうすると、連結部78の各突部78b(図12参照)が装着部80aの各溝部81に係合することにより、連結部78が装着部80に対して回転不能な状態で且つ所望の角度位置(回転位相)で連結される。この連結時、連結部78の係合突部78cは、その基端部から外径方向に突出する一対のストッパ片78d、78dが、装着部80の内周面によって内径方向に押圧されることで弾性的に収縮変形して装着部80に挿入され、該装着部80を通過することで再び一対のストッパ片78d、78dが弾性的に復元変形して(図13参照)、裏面50b側の装着部80bの溝部(ストッパ用溝部)81に係合し(図18参照)、連結部78の装着部80からの軸方向Oへの抜け止めとガタツキ防止とが達成される。
一方、連結具64を駆動ユニット50の表面50a側の装着部80aから取り外す際には、装着部80bの溝部81と連結部78のストッパ片78dとの係合状態(図18参照)を解除した後、連結具64を軸方向O(搬送方向A)に向かって引き抜けばよい。すなわち、図18に示すように、連結具64と装着部80とが互いに装着されている状態から、連結具64の奥側又は手前側の解除操作部82を操作する。奥側から解除操作部82を操作する場合には、図13及び図18から明らかなように、連結部78の一対の係合突部78c、78cを互いに近接する方向に変形させ、ストッパ片78dを溝部81から取り外した後、装着部80から連結具64を手前側へと引き抜けばよい。また、手前側から解除操作部82を操作する場合には、図13から明らかなように、連結部78の一対の摘み部78f、78fを手前側へと引き寄せることにより、一対の係合突部78c、78cを互いに近接する方向に変形させ、ストッパ片78dを溝部81から取り外した後、装着部80から連結具64を手前側へと引き抜けばよい。なお、連結具64を駆動ユニット50の裏面50b側の装着部80bに着脱する構造も、上記の装着部80aに対する手順と略同様である。
このように、スパイラル機構52aと駆動ユニット50とは、連結具64の連結部78に設けられた突部78bと、回転体62の装着部80に設けられた溝部81とを互いに係合させ、さらに、連結具64の連結部78に設けられたストッパ片78dと、回転体62の装着部80に設けられた溝部(ストッパ用溝部)81とを互いに係合させることにより、互いに回転不能な状態で、且つ溝部81の条数に応じた複数の回転角度位置で装着可能であり、軸方向への抜け止めも確実になされる。
従って、当該商品収納装置10では、スパイラル54の先端の角度位置を所望の角度位置に合わせた状態でスパイラル機構52aを駆動ユニット50に装着することができるため、収納する商品の形状や大きさ等に応じた最適な角度位置へのスパイラル54の先端の設定を構造的に容易に行うことができる。このため、装着後にモータ44を駆動させてスパイラル54の先端の位置調整を行う作業(送り量制御)が不要となる。なお、突部78bは1つ又は複数設けられればよく、係合突部78c(ストッパ片78d)も1つ又は複数設けられればよく、また、連結具64側に溝部を設け、回転体62側に突部を設けてもよい。
商品収納装置10では、スパイラル54の一端に、回転体62の装着部80に対して着脱可能な連結具64を取り付けたことにより、スパイラル54を駆動ユニット50に対して容易に着脱することができるようになるため、螺旋のピッチの異なるスパイラル54等への交換が容易となる。しかも、駆動ユニット50からスパイラル機構52aを簡単に取り外すことができるため、駆動ユニット50やベース部材58の汎用性が高まり、これら駆動ユニット50及びベース部材58をコンベア機構52b等の他の搬送機構と共に容易に共用できる。
また、上記のように、連結具64において、解除操作部82は、連結部78の軸方向両端側にそれぞれ設けられると共に、連結具64が回転体62に装着された状態で該回転体62の軸方向両端側から操作可能であり、高い操作性が得られ、搬送機構52の交換作業も一層容易なものとなる。
2.4 コンベア機構の説明
次に、コンベア機構52bの具体的な構成について説明する。
図7及び図8に示すように、コンベア機構52bは、駆動ユニット50からの回転駆動力を受けて走行することにより、その搬送面56a上に載置した商品Gを搬送方向Aに搬送可能なベルト56を有する。ベルト56は、搬送方向Aで上流側に設けられる駆動ローラ96と、下流側に設けられる従動ローラ98との間に無端状に巻き掛けられ、駆動ローラ96の回転駆動力によって走行する。すなわち、ベルト56は、搬送方向Aで最も上流側となる位置が駆動ローラ96によって支持される一方、最も下流側となる位置が従動ローラ98によって支持されている。
駆動ローラ96は、ベース部材58の商品搬送路48を覆うように該ベース部材58に対して装着されるコンベアベース100の基端側に立設された左右の側壁100a、100a間に軸支され、従動ローラ98は、コンベアベース100の先端側の左右の側壁間に軸支されている。コンベア機構52bの奥側端部(基端)には、駆動ユニット50の回転体62に対して、回転不能に且つ着脱可能に連結される連結ギア90が設けられている。
また、コンベア機構52bの搬送面56a上には、後述する売切検知機構66を構成する検知部材102が設けられている。検知部材102は、整列された商品Gのうち、最も後方(最後尾)の商品Gの背後に設けられ(例えば、図7中に2点鎖線で示す検知部材102参照)、スパイラル機構52aの検知部材68と同様、商品Gの搬送と共に移動して、最終的には図7中に実線で示すように、商品ラック28の最前まで移動して、リンク部材70を前方に押圧移動させる。
図19は、コンベア機構52bの基端部周辺を拡大した斜視図であり、図20は、コンベア機構52bの基端部周辺を搬送方向Aに沿って切断した縦断面図である。
図19及び図20に示すように、コンベア機構52bの基端側には、駆動ユニット50の回転体62に回転不能に連結される連結部92を有する連結ギア90と、連結ギア90と噛み合うことで従動回転されると共に、回転体62の回転駆動力の方向を軸方向Oに直交する方向に変換する従動ギア104と、従動ギア104の側面に同心で連結された駆動ローラ96と、駆動ローラ96より前方且つ下方に配設され、ベルト56に張力を付与するテンションローラ106と、駆動ローラ104の下方でベルト56の走行方向を上方へと屈曲させる補助ローラ108とが備えられる。
図21は、連結ギア90を前方側から見た斜視図であり、図22は、図21に示す連結ギア90を後方側から見た斜視図である。図23は、図21に示す連結ギア90を搬送方向Aに沿って切断した縦断面を示す断面斜視図である。なお、連結ギア90の回転体62への着脱構造は、スパイラル機構52aの連結具64の着脱構造と略同様であるため、連結具64と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
図21〜図23に示すように、連結ギア90は、従動ギア104と噛み合う大径のかさ歯車であるギア部110と、ギア部110より小径であると共に同心に設けられ、回転体62の軸方向Oと同軸上を奥側に向かって突出した円筒状の連結部92とを備え、連結部92により、駆動ユニット50の回転体62に設けられる装着部80(80a、80b)に対して回転不能な状態で係脱可能となっている。つまり、連結ギア90は、駆動ユニット50(回転体62)からの回転駆動力を従動ギア104や駆動ローラ96に伝達する駆動ギアである。
連結部92は、スパイラル機構52aを構成する連結具64の連結部78(図10〜図13参照)と略同一構造であり、円筒部78aと、ギア部110の背面に接するように円筒部78aの外周面に周方向に沿って複数形成された半円柱形状の突部78bと、弾性変形可能な上下一対の係合突部78c、78cと、ストッパ片78dと、ピン形状部78eと、左右一対の摘み部78f、78fとを備え、係合突部78c及び摘み部78fが、連結ギア90の連結部92と回転体64の装着部80との装着状態を解除する解除操作部82を構成している。
このように、連結ギア90が、スパイラル機構52aの連結具64の連結部78と略同一構造の連結部92を備えるため、コンベア機構52bと駆動ユニット50とは、図18によって説明した上記スパイラル機構52aの場合と同様な着脱構造を備え、その装着動作及び取り外し動作も同様となっている。
図19及び図20に示すように、従動ギア104は、連結ギア90のギア部110と噛み合うかさ歯車のギア部104aを有し、コンベアベース100の左右の側壁100a、100a間に軸支された駆動ローラ96の一端側に同軸上に嵌合されることで、駆動ローラ96に対して回転不能である。従って、駆動ユニット50によって連結ギア90が軸方向Oを軸心として回転駆動されると、従動ギア104は軸方向Oを含む水平面上で該軸方向Oと直交する軸方向O1を回転軸心として従動回転され、これにより、駆動ローラ96を軸方向O1を軸心として回転させる。この際、ベルト56には、ベルト56の走行方向に沿って複数並列されると共に、幅方向両端側にそれぞれ位置決め孔部56bが形成されている。このため、位置決め孔部56bが、駆動ローラ96の外周面の幅方向両端側に周方向に沿って複数形成された位置決め突部96aと係合することにより、駆動ローラ96の外周面上でベルト56が滑ることがなく、安定した走行が可能となっている。
図24は、テンションローラ106及び該テンションローラ106を支持する可動ベース112を示す斜視図である。
図19、図20及び図24に示すように、テンションローラ106は、駆動ローラ96より搬送方向Aで下流側となり且つ駆動ローラ96より下方となる位置で可動ベース112によって軸支され、コンベアベース100の上面100bと駆動ローラ96との間となる位置でベルト56を後方斜め下に向かって押圧することにより、ベルト56に所望の張力を付与するためのテンション機構を構成する。
可動ベース112は、ベルト56の搬送面56aを支持するコンベアベース100の上面100bの内面に対して、搬送方向Aに沿って前後にスライド可能に設けられている。テンションローラ106は、可動ベース112の基端側から後方斜め上に向かって突出した左右一対の支持アーム112a、112aの間に回転可能に軸支されることで、該可動ベース112によって前後にスライド可能である。図20から明らかなように、テンションローラ106は、先端側の従動ローラ98よりも基端側の駆動ローラ96に近接した位置に設けられ、換言すれば、ベルト56の搬送面56aを上方から見た平面視で、テンションローラ106は、その一部が駆動ローラ96と重なる位置に配置されている。これにより、ベルト56の搬送面56a上で商品Gの収納に寄与しない最奥部付近にテンションローラ106を設けることができ、コンベア機構52bの商品収納量を十分に確保することができる。
可動ベース112は、基端側に支持アーム112aが突出し、前後面及び下面が開口した断面略コの字形状である。可動ベース112は、幅方向中央後方寄りに前後方向の長孔112bが形成され、長孔112bの周囲に略L字状のL孔112cが複数(図24では4個)形成されている。長孔112bに、コンベアベース100の上面100bから鉛直可能に突出した突出支持片100cが挿通され、各L孔112cにコンベアベース100の上面100bから鉛直可能に突出した各突出片100dがそれぞれ挿通される(図20及び図24参照)。これにより、可動ベース112は、長孔112b及びL孔112cと、孔部突出支持片100c及び突出片100dとの案内作用下に、前後方向にスライド可能となっている。
さらに、可動ベース112の先端側に設けられた支持片112dと、長孔112bを挿通したコンベアベース100の突出支持片100cとの間には、コイルばね114が取り付けられている。コイルばね114は、コンベアベース100に対して可動ベース112を相対的に後方(搬送方向Aの逆方向)へと付勢する引張ばねである。このコイルばね114の付勢力により、可動ベース112は後方へと弾性的に付勢された状態でコンベアベース100に対して取り付けられ、つまり、テンションローラ106が、ベルト56の搬送面56aをコンベアベース100の上面100bと駆動ローラ96との間で後方斜め下に向かって弾性的に押圧し、該ベルト56に所望の張力を付与している。
図20に示すように、補助ローラ108は、駆動ローラ96の下方に設けられ、コンベアベース100の下面側で搬送方向Aに平行して奥側へと走行し、商品Gを送り出した後のベルト56を駆動ローラ96に向かって上方へと屈曲させて戻すためのものであり、コンベアベース100の左右の側壁100a、100a間に軸支されている。補助ローラ108をさらに後方側に配置し、ベルト56の最も上流側となる位置に補助ローラ108が配置されるように構成してもよい。
このように、当該商品収納装置10のコンベア機構52bでは、搬送方向Aで上流側に設けられて駆動ユニット50の回転体62によって回転駆動される駆動ローラ96と、搬送方向Aで下流側に設けられる従動ローラ98との間にベルト56を無端状に巻き掛け、さらに、従動ローラ98より駆動ローラ96に近接する位置にベルト56に張力を付与するテンションローラ106を設けている。すなわち、コンベア機構52bでは、駆動ユニット50に近接する商品ラック28の奥側に駆動ローラ96及びテンションローラ106を設け、商品Gを外部へと払い出す商品ラック28の手前側に前後位置が移動しない従動ローラ98を設けたため、手前側からの商品Gの払い出し位置を安定させ、商品Gを安定して外部に払い出すことができる。しかも、駆動ユニット50からの動力伝達機構を商品ラック28の奥側のみに配置することができるため、奥側から手前側への動力伝達機構等が不要となり、簡素でコンパクトな構成を実現しつつ、ベルト56に必要な張力を確実に付与することができ、商品Gを一層安定して搬送することができる。
また、コンベア機構52bでは、図20に示すように、ベルト56の搬送面56aが回転体62の中心軸となる軸方向Oよりも下方となる位置に設けられ、駆動ローラ96の中心軸となる軸方向O1が回転体62の軸方向Oを含む水平面上に設けられ、テンションローラ106が駆動ローラ96より搬送方向Aで下流側となり且つ駆動ローラ96より下方となる位置に設けられ、さらに、駆動ローラ96の下方に、従動ローラ98から搬送方向Aに平行して延在するベルト56を駆動ローラ96に向かって上方へと屈曲させる補助ローラ108を設けることにより、ベルト56を側面視略L字状に走行させるように構成している。
従って、駆動ユニット50の回転体62からベルト56を走行させる駆動ローラ96への動力伝達は、該回転体62の軸方向Oと水平な高さ位置での連結ギア90から従動ギア104への動力伝達のみで行うことができ、これら連結ギア90、従動ギア104及び駆動ローラ96の配置や歯車噛合構造を簡素に構成することができる。さらに、駆動ローラ96、テンションローラ106、コンベアベース100及び補助ローラ108により、コンベア機構52bの基端側ではベルト56を側面視略L字状の立体構造とし、搬送面56aを駆動ローラ96の軸方向O1よりも下方に配置したことにより、当該コンベア機構52bの全高での搬送面56aの高さ位置を可及的に低位置とすることができ、全体としての高さ方向寸法を押さえつつ、搬送面56a上の商品Gの配置空間を最大限に確保することが可能となっている。
換言すれば、コンベア機構52bを装着した商品ラック28では、商品Gの収納空間を最大限に確保するためにベルト56の搬送面56aを可能な限り低い位置に配設したいが、それに合わせて駆動ユニット50の位置も低くすると、商品ラック28自体が下方に大型化することになるため、駆動ユニット50はコンベア機構52bに対してある程度上方に配置したいという要望がある。そこで、コンベア機構52bでは、コンベアベース100に対して駆動ローラ96の位置を上げ、上記した側面視略L字状の立体構造でベルト56を巻き掛けたことにより、搬送面56aの位置を下げることができ、しかも回転体62から駆動ローラ96への動力伝達構造を簡素なものとし、商品ラック28の全高を抑えている。
2.5 売切検知機構の説明
次に、売切検知機構66の具体的な構成について説明する。
図5及び図7に示すように、売切検知機構66は、搬送機構52によって商品Gと共に移動する検知部材68、102と、ベース部材58から駆動ユニット50に渡って設けられるリンク部材70とにより、検知スイッチ86(図15参照)をオン操作することで、最後尾の商品Gが払い出され、その商品ラック28から商品Gがなくなったこと、つまり商品Gが売り切れたことを検知するための機構である。なお、搬送機構52として、スパイラル機構52aを用いた場合とコンベア機構52bを用いた場合では、最後尾の商品Gが払い出された際にリンク部材70をスライド移動させる検知部材68と検知部材102の形状が異なる以外は略同構造であるため、以下では、スパイラル機構52aの検知部材68を適用した場合を例として売切検知機構66を説明する。
図25は、売切検知機構66の構成を説明するための一部省略斜視図であり、図26は、売切検知機構66を構成する揺動部材72及びリンク部材70を示す斜視図である。また、図27は、揺動部材72を背面側から見た斜視図である。
図5、図7、図25及び図26に示すように、売切検知機構66は、搬送機構52に設けられる検知部材68(102)と、ベース部材58の側面に搬送方向Aに沿って延在し、検知部材68(102)によってスライドされる長尺棒状のリンク部材70と、駆動ユニット50に設けられる揺動部材72及び検知スイッチ86とから構成される。すなわち、売切検知機構66では、駆動ユニット50の回転体62の回転数、つまりスパイラル機構52aのスパイラル54やコンベア機構52bのベルト56による商品Gの搬送動作(搬送状態)を検知する自走検知用のスイッチである検知スイッチ86を、売切検知用のスイッチとして兼用している。
図5及び図7に示すように、検知部材68(102)は、商品ラック28に整列された商品Gのうち、最後尾の商品Gの背後に設けられ、商品Gと共に搬送方向Aに移動可能である。そして、最後尾の商品Gが商品ラック28から払い出されると、その一側面下部に形成された押圧部68a(102a)が、商品ラック28の最前位置でリンク部材70の先端面70aの背面側を前方(手前側)へと押圧してスライドさせる。
図26に示すように、リンク部材70は、先端面70aと、先端面70aの後方に設けられてベース部材58の内側に向かって水平方向に突出する第1突出片70bと、長手方向略中央に設けられてベース部材58の内側に向かって水平方向に突出する第2突出片70cと、基端側に設けられてベース部材58の内側に向かって水平方向に突出する第3突出片70dと、基端に設けられて上方に屈曲した後に後方へと突出することで側面視略L字状に形成された押圧片70eとを有する。
第1突出片70b、第2突出片70c及び第3突出片70dは、ベース部材58の側面に開口形成され、搬送方向Aに沿って延びた図示しないスライド長孔に移動可能な状態で係合し、当該リンク部材70のスライド動作を案内する。この際、第2突出片70cには、ベース部材58との間に図示しないコイルばねが取り付けられることにより、リンク部材70は、ベース部材58に対して相対的に後方(搬送方向Aの逆方向)に向かって付勢されている。押圧片70eの基端には、揺動部材72の傾斜面72aと摺接可能な傾斜面70fが形成されている。
図14(A)及び図25〜図27に示すように、揺動部材72は、正面視略三角形状に構成され板状部材であり、三角形の上部頂点近傍に形成された軸孔72bに、筐体46の表カバー46aから突出する軸ピン47が挿通される(図14参照)。従って、揺動部材72は、軸ピン47の軸方向O2を回動中心として駆動ユニット50の表面50a上でθ3方向及びθ4方向(図25参照)に揺動可能となっている。
揺動部材72は、その表面下部に突設された支持片72cと、表カバー46aに突設されたピン49との間に、コイルばね116が取り付けられることにより(図14(A)参照)、軸方向O2を回動中心として回転体62から離間するθ4方向(オン方向)に向かって付勢されている(図28(B)も参照)。但し、リンク部材70が検知部材68によって前方へと強制的にスライドされていない通常時(非売切時)、揺動部材72は、その一側部に形成された傾斜面72aがリンク部材70の傾斜面70fによって後方へと押圧された状態で互いに係合しているため、回転体62に近接するθ3方向(オフ方向)に揺動された状態で保持されている(図28(A)も参照)。
図25及び図27に示すように、揺動部材72の側面からは奥側に向かって押圧レバー72dが突出している。押圧レバー72dは、揺動部材72がコイルばね116の付勢力によってオン方向に揺動された際に、その側面で検知スイッチ86の検知レバー86aを押圧して揺動させ、押ボタン86bを押下するためのアームである。
次に、売切検知機構66による売切検知動作について、主に図28を参照しながら説明する。
図28は、売切検知機構66による商品Gの売切検知動作を回転体62の自走検知動作との関係で説明する平面説明図であり、図28(A)は、商品Gが売り切れていない状態を示す図であり、図28(B)は、商品Gの売り切れを検知した状態を示す図であり、図28(C)は、検知スイッチ86によって回転体62の自走を検知した状態を示す図である。
先ず、図28(A)に示すように、商品ラック28に商品Gが残っており、リンク部材70が検知部材68(102)によって前方にスライドされていない通常時(非売切時)、揺動部材72は、その傾斜面72aが、後方へと付勢されたリンク部材70の傾斜面70fによって後方へと押圧された状態で互いに係合しているため(図26中の実線矢印も参照)、傾斜面70fからθ3方向への押圧力を受け、コイルばね116の付勢力に抗してオフ方向に揺動された位置で保持されている。この状態では、揺動部材72の押圧レバー72dが、検知スイッチ86の検知レバー86aから離間した位置、又は検知レバー86aが押ボタン86bを押下して検知スイッチ86をオン操作させる位置までは該検知レバー86aを押圧できない位置にあるため、検知スイッチ86はオフになっている。
この状態から、商品ラック28の最後尾の商品Gが払い出され、検知部材68(102)によってリンク部材70が前方へとスライドされると(売切時)、図28(B)に示すように、揺動部材72の傾斜面72aとリンク部材70の傾斜面70fとの係合状態が解除され、傾斜面70fからのθ3方向への押圧力がなくなるため、傾斜面72aが傾斜面70fに摺接しつつ、揺動部材72は、コイルばね116の付勢力によってオン方向(θ4方向)に揺動する。これにより、揺動部材72の押圧レバー72dが検知スイッチ86の検知レバー86aを押圧して内側に揺動させ、該検知レバー86aによって押ボタン86bが押下されるため、検知スイッチ86はオンとなり、このオン操作は、メインコントローラ32によって検出される。従って、メインコントローラ32は、商品Gの売り切れが検知された当該商品ラック28について、そのラック番号が売り切れであると判断し、操作入力部26の売切ランプ等によって購入者に通知する。
なお、売り切れが検知された商品ラック28については、自動販売機12の作業者が商品Gを補充する際に、検知部材68(102)を再び奥側に移動させて最後尾の商品Gの背後に設置することにより、リンク部材70と揺動部材72が図28(A)に示す非売切時の状態に復帰する。
一方、売切検知機構66を構成する検知スイッチ86は、回転体62のカム部88a、88bによって検知レバー86a及び押ボタン86bが操作されることにより、回転体62の回転数、つまり搬送機構52による商品Gの搬送制御(払い出し制御)にも利用される。
すなわち、図28(C)に示すように、モータ44によって回転体62が回転されると、その周縁部に設けられた一対のカム部88a、88bが該回転体62の半回転毎に、順に検知スイッチ86の検知レバー86aを押圧して揺動させ、押ボタン86bを押下して検知スイッチ86をオン操作する。そこで、メインコントローラ32は、所定のタイムチャートでモータ44を駆動し、検知スイッチ86が2回オン操作される都度、回転体62が1回転したことを検出し、この回転体62の回転数検出に基づいて、搬送機構52による商品Gの1つずつの払い出し動作を制御する。
ここで、図28(A)及び図28(C)から明らかなように、商品ラック28に商品Gが残っており、揺動部材72がコイルばね116の付勢力に抗してθ3方向(オフ方向)に揺動された位置で保持されている状態では、揺動部材72の押圧レバー72dと検知スイッチ86の検知レバー86a(押ボタン86b)との間には十分な隙間が形成されている。つまり、回転体62のカム部88a、88bは、この隙間を通過しながら検知レバー86aを押圧操作するため、カム部88a、88bによる回転体62の回転数検知の際に、売切検知機構66を構成する揺動部材72の押圧レバー72dが邪魔になることがない。つまり、カム部88a、88bと揺動部材72の押圧レバー72dとは互いに干渉しない位置に配置されている。
一方、図28(B)に示すように、商品Gが売り切れ、揺動部材72の押圧レバー72dによって検知スイッチ86がオン操作される際、仮にカム部88a、88bが検知スイッチ86をオン操作する位置にあると、両者が干渉し、正常な検知動作ができなくなる可能性がある。
そこで、次に、図29を参照して、制御装置であるメインコントローラ32によるモータ44(回転体62)の回転制御について説明する。図29は、モータ44による回転体62の回転量(回転数)と検知スイッチ86との関係を示すタイムチャートであり、回転体62の回転量と検知スイッチ86のオン操作との関係を示している。
図29に示すように、本実施形態に係る商品収納装置10において、メインコントローラ32は、例えば、時刻t1〜t3や時刻t3〜t5で示される回転体62の1回転を、検知d1〜d3や検知d3〜d5で示されるカム部88a、88bによる検知スイッチ86のオン操作によって検出する。例えば、時刻t1〜t2までが、回転体62の半回転であり、検知d1がカム部88aによるオン操作とすると、検知d2はカム部88bによるオン操作を示すものとなる。
ここで、図29から明らかなように、本実施形態では、カム部88a、88bによるオン操作の間に、回転体62の半回転又は1回転の切り替えタイミングがある。例えば、カム部88bによって検知d3でオン操作がなされた後、所定時間T(例えば、500msec)経過した後にモータ44を停止することで、回転体62の1回転(又は半回転でも同様)の切り替えタイミングとなる時刻t3は、検知d3から所定時間Tだけ遅れて終了している。ここでは、カム部88a、88bが一対設けられているため、この所定時間Tは、回転体62の半回転未満の範囲に設定されているが、例えば、カム部が1個のみの場合には回転体62の1回転未満の範囲に設定されればよく、カム部が3個の場合には回転体62の1/3回転未満の範囲に設定されればよい。
すなわち、商品収納装置10では、カム部88a、88bによるオン操作の合間の時間に、所定時間Tだけ回転体62をさらに回転させるタイミング制御(過回転動作)を行っている。このため、例えば、カム部88bによって検知スイッチ86がオン操作された検知d3のタイミングで商品Gが払い出される設定となっている場合に、該検知d3と次のカム部88aによる検知d4との間のタイミングにおいて未だ回転している回転体62により、搬送機構52が駆動されている。従って、検知d3のタイミングで払い出される商品Gが最後尾の商品の場合には、該検知d3と次の検知d4との合間のタイミングで検知部材68(102)がリンク部材70を前方にスライドさせるため、揺動部材72のオン方向への揺動により検知スイッチ86がオン操作され、商品Gの売り切れが検知される(図29中に破線で示す検知d0参照)。すなわち、商品収納装置10では、このようなタイミング制御によって、カム部88a、88bと押圧レバー72dとの干渉を確実に防ぎつつ、回転体62の回転量と商品Gの売り切れとを正確に且つ安定して検知することが可能となっている。
このように、当該商品収納装置10では、少なくとも回転体62が1回転する毎にオン操作されることにより、搬送機構52による商品Gの搬送動作を検知可能な検知スイッチ86を備え、さらに、商品搬送路48上で最も後方に収納された商品Gが外部に払い出された場合に、検知スイッチ86をオン操作する売切検知機構66とを備える。これにより、1つの検知スイッチ86を用いてモータ44の自走検知と商品Gの売切検知とを行うことができるため、当該商品収納装置10のコストを低減しつつ、商品Gの売り切れを確実に検知することができる。
この際、売切検知機構66では、制御装置であるメインコントローラ32の制御下に、カム部88a、88bによる自走検知の間のタイミングで所定時間Tだけ回転体62をさらに回転させる過回転動作を実行することにより、回転体62のカム部88a、88bと揺動部材72の押圧レバー72dの干渉を確実に防止できるタイミングで売切検知を行うことができるため、1つの検知スイッチ86を自走検知と売切検知とに容易に兼用することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。