以下に、本願発明に係るレンズキャップの発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
先ず、本願発明に係るレンズキャップの概念について、図1から図12を用いて説明する。なお、図3では、理解容易のために、外装部32およびベース部材33を二点鎖線で示し、他の部材を断面で模式的に示している。また、図6(b)では、理解容易のために、トーションバネ73を省略して示す。
まず、レンズ鏡胴13を有する撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10を、図1から図4を用いて説明する。デジタルカメラ10は、図1に示すように、カメラ本体11の前面(図1を正面視して手前側の面)側に撮影光学系12を有するレンズ鏡胴13が設けられている。図示の例では、レンズ鏡胴13は、カメラ本体11に対して着脱自在なレンズ鏡胴ユニットとして構成されている。その撮影光学系12は、最も被写体側に配置される第1レンズ群12aや、他のレンズ群12bや、シャッタおよび開口絞りを含むシャッタ/絞りユニット12c等(図3参照)の複数の光学部材を備える。レンズ鏡胴13は、撮影光学系12の光軸(撮影光軸OA)に沿って、所定の収納位置(図1(a)参照)から所定の撮影待機位置(図1(b)参照)へ向けて繰り出すことと、所定の収納位置に繰り入れることと(進退移動)が可能とされている。
カメラ本体11では、上面(図1を正面視して上側の面)に、操作部としての電源スイッチ14、シャッターボタン15、モード切替ダイアル16が設けられている。電源スイッチ14は、デジタルカメラ10を起動するための操作(起動操作)と、デジタルカメラ10を停止するための操作(停止操作)と、をするものである。シャッターボタン15は、被写体を撮影する際に押し下げる押下操作部材である。モード切替ダイアル16は、各種のシーンモード、静止画モード、動画モード等を設定するものである。また、明確な図示は略すが、カメラ本体11の背面には、その他の操作スイッチ17や後述する表示部24(その表示面)が設けられている(図2参照)。その表示部24は、撮像された画像データや記録媒体に記録された画像データに基づき画像を表示する。また、操作スイッチ17は、各メニュー等の設定のための方向指示用スイッチや各種スイッチである。
デジタルカメラ10では、シャッターボタン15の押下操作により、撮影光学系12を通して後述する撮像素子22(図3等参照)の受光面に受光した被写体像の画像データが記録処理される。その撮影光学系12は、複数の光学部材(第1レンズ群12a、他のレンズ群12b、シャッタ/絞りユニット12c等(図3参照))と、撮像素子22(図3等参照)と、を具備している。撮影光学系12は、その複数の光学部材(第1レンズ群12a、他のレンズ群12b、シャッタ/絞りユニット12c等)により、焦点距離可変のズームレンズとして構成されている。この撮影光学系12の結像位置に、後述する撮像素子22が配置される(図3等参照)。この明細書では、撮影光学系12における光学的な軸線(第1レンズ群12aを含む各光学部材の中心軸位置となる回転対称軸)を、撮影光学系12すなわちレンズ鏡胴13の撮影光軸OAとする。
図1(a)に示すデジタルカメラ10は、電源オフ時(電源スイッチ14がOFF状態)であって、撮影光学系12(後述する可動レンズ鏡筒40)が後述する固定筒35(外装部32)内の収納位置とされている。また、図1(b)および図3に示すデジタルカメラ10は、電源オン時(電源スイッチ14がON状態)であって、撮影光学系12(後述する可動レンズ鏡筒40)が後述する固定筒35(外装部32)から撮影光軸OA方向に繰り出された撮影待機位置とされている。
このデジタルカメラ10は、図2に示すように、制御部21と、上述した撮像素子22と、レンズ鏡胴駆動ユニット23と、上述した表示部24と、を有する。制御部21は、操作部としての電源スイッチ14、シャッターボタン15、モード切替ダイアル16および操作スイッチ17に為された操作に基づく駆動処理や、撮像素子22からの信号に基づく画像データの生成処理や、レンズ鏡胴駆動ユニット23および表示部24の駆動等の制御を、記憶部21aに格納されたプログラムにより統括的に行う。制御部21は、撮影光学系12を経て撮像素子22で画像を取得し、その画像をカメラ本体11の後面側に設けられた表示部24に適宜表示させる。
撮像素子22は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮影光学系12を通して受光面上に結像された被写体像(図3参照)を電気信号(画像データ)に変換して出力する。その出力された電気信号(画像データ)は、制御部21へと伝送される。
レンズ鏡胴駆動ユニット23は、レンズ鏡胴13を収納位置(図1(a)参照)と撮影待機位置(図1(b)参照)とで移行すべく、後述するように固定筒35に対して可動レンズ鏡筒40(回転筒37、直進筒38、レンズ保持筒39)を移動させることにより、撮影光学系12の各光学部材を各々支持する光学部材保持枠(図示せず)を移動させる。
そのレンズ鏡胴13は、撮影光学系12の各光学部材(第1レンズ群12a、他のレンズ群12b、シャッタ/絞りユニット12c等)を撮影光軸OA方向に移動可能に保持する(図3参照)。レンズ鏡胴13は、図1に示すように、筐体31と、そこに設けられた外装部32と、を備える。その筐体31は、全体に箱状を呈し、この例では、上述したように、図示は略すがカメラ本体11(図1等参照)への着脱が可能とされている。筐体31の内方には、ベース部材33(図3参照)が収容されている。そのベース部材33は、図示は略すが筐体31に取り付けられており、図3に示すように、図示を略す基板に実装された複数の電子部品(図示せず)および撮像素子22を筐体31に固定している。その各電子部品や撮像素子22は、図示を略す基板とともに電子回路部を構成している。その筐体31には、図示は略すが、後述する回転筒37へと駆動力を付与するレンズ鏡胴駆動ユニット23(図2参照)としての駆動装置が設けられている。その筐体31に設けられたベース部材33に外装部32が設けられている。
その外装部32は、リングキャップ34と固定筒35とを有する。固定筒35は、全体に筒形状を呈し、筐体31の前側(被写体側)に設けられている。この固定筒35の前端(被写体側)には、図4に示すように、鏡胴側連結部36が設けられている。この鏡胴側連結部36は、レンズキャップ50の後述するキャップ側連結部51a(図6等参照)もしくはリングキャップ34の後述するリング側連結部34bとの連結およびその解除により、レンズキャップ50もしくはリングキャップ34の固定筒35(レンズ鏡胴13)への装着および固定筒35(レンズ鏡胴13)からの分離を可能とする。鏡胴側連結部36は、環状凹所36aと3つの連結箇所36bとを有する。その環状凹所36aは、固定筒35の外周が全周に渡り、径方向(撮影光軸OAを中心とする放射方向)へと縮められているとともに、撮影光軸OA方向で筐体31側へと凹まされて形成されている。
また、3つの連結箇所36bは、環状凹所36aにおいて、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て互いに等しい間隔で設けられている(図4では、2つのみ示す)。この各連結箇所36bは、固定筒35における環状凹所36aにより径方向に縮められた箇所の外周が部分的に径方向に沿って外側に突出されつつ撮影光軸OAを中心とする回転方向に沿って湾曲されて形成された爪部分36cを有する。各爪部分36cでは、被写体側から見た時計回り方向を上記回転方向の正側として、負側の端部が回転方向の正側からの進入が可能に開放された開放部分36dとされている。この各連結箇所36bは、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)と、レンズキャップ50もしくはリングキャップ34と、の撮影光軸OA方向への相対的な接近により、後述するキャップ側連結部51aの爪部分51b(図7参照)もしくは後述するリング側連結部34bの爪部分34cを開放部分36dで受け入れるとともに、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)とレンズキャップ50もしくはリングキャップ34との相対的な回転により、その爪部分51bもしくは爪部分34cを爪部分36cへと引っ掛ける所謂バヨネット式の装着機構の一方を構成している。鏡胴側連結部36では、明確な図示は略すが、各連結箇所36b(その爪部分36c)に後述するキャップ側連結部51a(その爪部分51b)もしくは後述するリング側連結部34b(その爪部分34c)を引っ掛けた状態において、その状態を維持すべくそれらに嵌るロックピンが設けられている。このロックピンのキャップ側連結部51aもしくはリング側連結部34bへと嵌った状態を解除するために、筐体31に解除ボタン18が設けられている。この鏡胴側連結部36を介して固定筒35(その前端)にリングキャップ34が装着される。
そのリングキャップ34は、鏡胴側連結部36(その凹凸形状)を隠すために固定筒35に装着される。リングキャップ34は、リング本体部34aの内方に3つのリング側連結部34b(図4では、1つのみ示す)が設けられて構成されている。そのリング本体部34aは、レンズ鏡胴13の固定筒35に設けられた鏡胴側連結部36の環状凹所36aを取り囲むことが可能な大きさ寸法の筒状を呈する。また、リング本体部34aは、固定筒35に等しい外径寸法とされており、撮影光軸OA方向で見て、固定筒35に連続する周壁を形成している(図1および図3参照)。
3つのリング側連結部34bは、明確な図示は略すが、リング本体部34aの軸線を中心とする回転方向で見て互いに等しい間隔で設けられており、固定筒35に設けられた鏡胴側連結部36の3つの連結箇所36bに対応する位置関係とされている。各リング側連結部34bは、リング本体部34aの他方の開放端(レンズ鏡胴13への装着状態において筐体31側)から、径方向(軸線を中心とする放射方向)に沿って内側に突出され、軸線を中心とする回転方向に沿って湾曲されて形成された爪部分34cを有する。この3つの爪部分34cは、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)とリングキャップ34との撮影光軸OA方向への相対的な接近により、固定筒35の鏡胴側連結部36の3つの連結箇所36bの開放部分36dから挿入可能であり、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)とリングキャップ34との相対的な回転により、その連結箇所36bの爪部分36cへと引っ掛かる所謂バヨネット式の装着機構の他方を構成している。
そのリングキャップ34が装着される固定筒35は、図3に示すように、筐体31(そのベース部材33)に固定されている。この固定筒35の内周面には、図示は略すが後述する回転筒37との間で噛み合いが可能とされたヘリコイドと、後述する直進筒38のキー突起部38aを干渉可能に受け入れるキー溝と、が設けられている。そのキー溝は、撮影光軸OA方向へと伸びつつ径方向の外側へと固定筒35の内周面を凹まして形成されている。この固定筒35の内周に回転筒37が嵌め入れられている。
その回転筒37は、全体に円筒形状を呈する。この回転筒37の外周面には、図示は略すが上述したヘリコイドとギア部37aとが設けられている。回転筒37は、図示を略すヘリコイドが固定筒35のヘリコイドに噛み合わされているとともに、ギア部37aにベース部材33に固定的に設けられたレンズ鏡胴駆動ユニット23(図2参照)としての駆動装置(図示せず)の出力軸23aに設けられたギア23bが螺合されている。このような構成により、回転筒37は、後述するように図示は略すがギア部37aに螺合されたギア23bを介してレンズ鏡胴駆動ユニット23(その駆動装置)の駆動力が適宜ギア伝達されると、固定筒35内において撮影光軸OAを中心軸線として回転駆動されるとともに、その固定筒35に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向へと移動される。
回転筒37には、図示は略すが内周面に環状溝とカム溝とが形成されている。その環状溝は、撮影光軸OAに直交する面に沿って円周状に設けられており、後述する直進筒38に設けられた回転突起を干渉可能に受け入れることが可能とされている。また、カム溝は、撮影光軸OAと取り巻きつつその撮影光軸OA方向へと変位して(撮影光軸OA方向に対して傾斜されて)形成されており、後述するレンズ保持筒39のカム突起(図示せず)を干渉可能に受け入ることが可能とされている。この回転筒37の内周に直進筒38が嵌め入れられている。
その直進筒38は、全体に円筒形状を呈する。この直進筒38の基端部(筐体31側の端部)には、キー突起部38aが設けられている。そのキー突起部38aは、回転筒37の基端部(筐体31側の端部)を跨いで、固定筒35の内周面に設けられたキー溝(図示せず)に挿入されている。直進筒38の外周面には、図示は略すが、回転突起が設けられ、その回転突起が回転筒37の環状溝に挿入されている。このため、直進筒38は、回転筒37に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向への移動が防止されているとともに、撮影光軸OA回りの回転が可能とされている。また、直進筒38には、図示は略すが、直進溝が設けられている。この直進溝は、直進筒38を構成する周壁部を径方向に貫通しつつ、撮影光軸OA(撮影光路)方向に伸びて形成されている。この直進筒38の内周にレンズ保持筒39が嵌め入れられている。
そのレンズ保持筒39は、全体に円筒形状を呈する。レンズ保持筒39の外周面には、図示は略すがカム突起が設けられている。このカム突起は、明確な図示は略すが径方向の外側へ向けてレンズ保持筒39から突出して設けられており、直進筒38の直進溝に干渉可能に通されているとともに、そこを経た突出端が回転筒37のカム溝に干渉可能に挿入されている。このため、回転筒37が固定筒35に対して撮影光軸OA(撮影光路)を中心軸線として回転駆動されつつ撮影光軸OA方向に移動されると、カム突起が通された直進筒38の直進溝と回転筒37のカム溝との交差位置が撮影光軸OA方向に移動する。これにより、レンズ保持筒39は、固定筒35に対して回転筒37が回転駆動されると、その回転姿勢に応じて回転筒37のカム溝のカム軌跡に倣うように回転筒37および直進筒38に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向へと直進移動する。このとき、レンズ保持筒39は、直進筒38すなわち筐体31(そのベース部材33)に対して撮影光軸OA回りの回転が防止されている。
そのレンズ保持筒39の内方には、撮影光学系12の第1レンズ群12aが一体的に保持されている。その第1レンズ群12aは、1枚以上のレンズからなり、撮影光学系12における最も被写体側に配置される対物レンズを有する。レンズ保持筒39は、径方向で見て、第1レンズ群12a(その対物レンズ)の前面の周縁部(有効エリアの外側位置)よりも大きな円環状を呈する。このため、レンズ鏡胴13の先端部では、レンズ保持筒39の先端部側の先端面39aが露出されている。
そのレンズ保持筒39を移動可能とする回転筒37および直進筒38の内方には、明確な図示は略すが、撮影光学系12(図1等参照)の他の光学部材(他のレンズ群12b、シャッタ/絞りユニット12c等)を各々保持する光学部材保持枠や、その光学部材保持枠を撮影光軸方向に移動させるための他の回転筒や他のライナー等が適宜設けられる。また、直進筒38および回転筒37の内周面には、図示は略すが、撮影光学系12の他の光学部材を撮影光軸方向に適宜移動させるべく、内方に設けられる各光学部材収容枠(光学部材保持枠や回転筒やライナー等)のキー突起部やヘリコイド等に係合される直進溝やヘリコイド等が設けられている。このため、固定筒35(外装部32)と直進筒38と回転筒37とレンズ保持筒39とは、図示を略す光学部材保持枠や他の回転筒や他のライナー等とともに、撮影光学系12(図1等参照)の各光学部材(図示せず)を収容する光学部材収容枠として機能する。また、レンズ鏡胴駆動ユニット23は、図示を略す駆動装置で回転筒37を適宜回転させることにより、光学部材収容枠を適宜駆動する収容枠駆動手段として機能する。
このレンズ鏡胴13では、回転筒37のギア部37aに螺合されたギア23bを介して、レンズ鏡胴駆動ユニット23(図2参照)(その駆動装置)の駆動力が適宜ギア伝達されて、回転筒37が固定筒35内で回転され、その回転に伴って直進筒38およびレンズ保持筒39が固定筒35に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向へと適宜移動される。これにより、レンズ鏡胴13では、レンズ保持筒39が所定の収納位置(図1(a)参照)から所定の撮影待機位置(図1(b)および図3参照)へ向けて繰り出されるとともに、そこから所定の収納位置に繰り入れられ、撮影光学系12(図1等参照)の各光学部材(図示せず)を所定のごとく移動させる。この例では、レンズ鏡胴13は、電源スイッチ14がOFF状態からON状態とされると、撮影光学系12(後述する可動筒)を固定筒35(収納部)から繰り出す要求があったものとして、撮影光学系12(可動筒)を固定筒35(収納部)から撮影光軸OA方向に繰り出して撮影待機位置(図1(b)参照)とする。
このことから、固定筒35(外装部32)の内方に収容された回転筒37、直進筒38およびレンズ保持筒39は、図示を略す光学部材保持枠や他の回転筒や他のライナー等とともに、レンズ鏡胴13において固定筒35(外装部32)に対して進退自在とされ、撮影光学系12の光学素子(第1レンズ群12aや、図示を略す他の各光学部材)を適宜撮影光軸OA方向に移動させる可動レンズ鏡筒40として機能する。さらに、レンズ鏡胴駆動ユニット23は、図示を略す駆動装置で回転筒37を適宜回転させることにより、光学部材収容枠を適宜駆動する収容枠駆動手段として機能する。
次に、本発明に係るレンズキャップの一例としてのレンズキャップ50について、図4から図12を用いて説明する。
このレンズキャップ50は、図5に示すように、レンズ鏡胴13、特に可動レンズ鏡筒40の先端位置で保持された撮影光学系12の光学素子の第1レンズ群12a(その対物レンズ)の保護のために、レンズ鏡胴13に対して適宜装着されるものである。レンズキャップ50は、基本的にレンズ鏡胴13の固定筒35(外装部32)に装着され、その固定筒35に対して撮影光軸OA方向に移動される可動レンズ鏡筒40を利用して、保護状態の解除と保護状態への復帰との動作を可能とする。このレンズキャップ50は、図5から図7に示すように、環状の装着部51と、その一方の開放端(レンズ鏡胴13への装着状態において被写体側)を塞ぐ3つのバリア52と、を有する。レンズキャップ50は、環状の装着部51が外装部32を取り巻くようにレンズ鏡胴13に装着され、その装着状態においては装着部51の軸線が撮影光軸OAと一致される。このため、以下の説明では、基本的に装着状態における撮影光軸OA方向と、その撮影光軸OAを中心とする放射方向である径方向と、を用いることとする。また、以下の説明では、装着部51において、撮影光軸OA方向の被写体側を先端側とし、その反対側を背面側とする。
その装着部51は、レンズ鏡胴13の外装部32への装着箇所となるものであり、この例では、外装部32の固定筒35に設けられた鏡胴側連結部36(図4参照)への装着が可能とされている。装着部51は、レンズ鏡胴13の固定筒35に設けられた鏡胴側連結部36の環状凹所36aを取り巻くことが可能な大きさ寸法の環状を呈する。その装着部51には、図6(b)および図7に示すように、内方に3つのキャップ側連結部51a(図7では1つのみ示す)が設けられている。
3つのキャップ側連結部51aは、装着部51の軸線すなわち撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て互いに等しい間隔で設けられており、固定筒35に設けられた鏡胴側連結部36の3つの連結箇所36b(図4参照)に対応する位置関係とされている。各キャップ側連結部51aは、装着部51の他方の開放端(レンズ鏡胴13への装着状態において筐体31側)から、径方向に沿って内側に突出され、撮影光軸OAを中心とする回転方向に沿って湾曲されて形成された爪部分51b(図7参照)を有する。この3つの爪部分51bは、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)と装着部51(レンズキャップ50)との撮影光軸OA方向への相対的な接近により、固定筒35の鏡胴側連結部36の3つの連結箇所36bの開放部分36d(図4参照)から挿入可能であり、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)と装着部51との相対的な回転により、その連結箇所36bの爪部分36cへと引っ掛かる所謂バヨネット式の装着機構の他方を構成している。
この装着部51では、3つの支持箇所53(図7では1つのみ示す)が形成されている。この3つの支持箇所53は、それぞれが装着部51におけるバリア52を支持する箇所を構成するものであり、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て互いに等しい間隔で設けられている。この各支持箇所53は、受入凹所54と一対の軸受突起55とを有する。その受入凹所54は、装着部51の上端部(先端側)が部分的に切り欠かれて形成されている。受入凹所54は、径方向に沿って得られる断面で見ると、図8に示すように、内側が撮影光軸OAに略直交する平面とされ、そこから上方(先端側)へ向けて湾曲されており、外側に外縁部分54aが設けられている。この外縁部分54aは、後述するように支持箇所53に取り付けられた(受入凹所54に受け入れられた)バリア52(その取付箇所66)の開き方向への回転範囲を確保すべく、径方向の外側に向かうに連れて撮影光軸OA方向の被写体側へと変位する傾斜を為している。この受入凹所54では、撮影光軸OAに略直交する平面とされた内側に、固定孔54bが設けられている。この固定孔54bは、後述するトーションバネ73の一端73aを受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図10等参照)。
一対の軸受突起55は、図7に示すように、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見た受入凹所54の両端位置に設けられており、その受入凹所54に対して上方(先端側)に突出されている。この一対の軸受突起55には、撮影光軸OAを中心とする円に対する接線方向に伸びる同一の直線上に軸穴55aが設けられている。この軸穴55aは、この例では、軸受突起55を貫通して形成されている。このため、各支持箇所53では、一方の軸受突起55の軸穴55aから軸部材56を挿入することにより、受入凹所54を跨ぎつつ両軸受突起55を掛け渡して当該軸部材56を配することができる。
また、装着部51には、上端部(レンズ鏡胴13への装着状態において先端側(被写体側))に環状の内縁切欠57が形成されている。この内縁切欠57は、装着部51の上端部の内側を、撮影光軸OAを中心とする円周方向に沿ってL字状に切り欠いて形成されている。この例では、上述したように装着部51の上端部に3つの支持箇所53が設けられていることから、内縁切欠57は、各支持箇所53の間を掛け渡すように設けられている。この装着部51の3つの支持箇所53のそれぞれにバリア52が取り付けられる。
この3つのバリア52は、図6に示すように、装着部51の一方の開放端(レンズ鏡胴13への装着状態において被写体側)を3つに分割した形状とされており、それぞれが各支持箇所53に取り付けられた状態で径方向に沿って撮影光軸OAを中心とする円周方向に並列されることにより、装着部51の一方の開放端(装着部51の内方)を塞ぐ構成とされている(図5(a)および図6参照)。以下では、この装着部51の一方の開放端(装着部51の内方)を塞いでいる際の各バリア52の状態を閉状態という。
各バリア52は、各支持箇所53に取り付けられる支持端側(径方向の外側(取付箇所66側))が装着部51を3つに等分割した円弧状(装着部51に沿う形状)を呈している。また、各バリア52は、閉状態とされると径方向で見て撮影光軸OA側となる内方端側が、互いに撮影光軸OAを頂点とする尖端状を呈している。各バリア52は、互いに等しい構成とされていることから、単一のバリア52を用いて説明する。
そのバリア52は、図9に示すように、平面部61と、リブ突起部62と、第1補助突起63と、第2補助突起64と、外側壁部65と、取付箇所66と、区画壁部67と、を有する。その平面部61は、閉状態で装着部51の一方の開放端において撮影光軸OAに直交する面に沿って存在される箇所であり、平坦な板状を呈する。平面部61は、外側壁部65側の外端縁部分61aが装着部51(円環形状)を3つに等分割した円弧状を呈する。また、平面部61は、他のバリア52と隣接する両側方縁部分61bが、撮影光軸OAから径方向の外側へ向かうに連れて、撮影光軸OAを中心とする回転方向の正側へと変位するように(所謂螺旋状に)、湾曲されている(図5および図6等参照)。すなわち、平面部61は、一方の側方縁部分61bが凸状とされるとともに、他方の側方縁部分61bが凹状とされている。その平面部61にリブ突起部62が設けられている。
そのリブ突起部62は、平面部61の裏側(閉状態で可動レンズ鏡筒40と対向される面)から、外端縁部分61aの中心から平面部61の尖端位置(撮影光軸OA)へ向けて延びつつ撮影光軸OA方向へと突出されて形成されている。すなわち、リブ突起部62は、外端縁部分61aの中心と平面部61の尖端位置(撮影光軸OA)との間で径方向に伸びて形成されている。リブ突起部62は、この例では、平面部61(その裏側)からの突出量が一定とされている。このリブ突起部62には、径方向で見た中間位置に当該リブ突起部62を貫通する貫通孔62a(図6(b)参照)が設けられている。この貫通孔62aは、後述するトーションバネ73の他端73bの先端箇所73c(図7参照)を通すことが可能な大きさ寸法とされている。リブ突起部62は、各バリア52において、平面部61と協働して、閉状態で可動レンズ鏡筒40と対向される面となる裏面を構成している。このため、バリア52の裏面では、平面部61におけるリブ突起部62が設けられた箇所に対して他の箇所が凹む構成とされている。
第1補助突起63は、径方向に伸びつつ平面部61(その裏側)から撮影光軸OA方向へと突出されて形成されている。その第1補助突起63は、リブ突起部62における外端縁部分61a側の端部と貫通孔62aが設けられた箇所との間の位置で、そのリブ突起部62と並列して設けられている。第1補助突起63は、リブ突起部62との間に、後述するトーションバネ73の他端73bを受け入れることが可能な間隔を置いて設けられている(図10等参照)。
第2補助突起64は、径方向に直交しつつ平面部61(その裏側)から突出された板状を呈し、径方向で対を為して形成されている。その第2補助突起64は、径方向で見て貫通孔62aを間に介在させる位置関係とされており(図6(b)参照)、後述するトーションバネ73の他端73bの先端箇所73cを受け入れることが可能な間隔を置いて設けられている(図10等参照)。
外側壁部65は、平面部61の外端縁部分61aに連続されており、その外端縁部分61aに沿って湾曲された板状を呈し、平面部61(その裏側)から撮影光軸OA方向の背面側へと突出されて形成されている。この外側壁部65は、各バリア52の閉状態において、装着部51とともにレンズキャップ50の周壁部を構成する(図5(a)および図6等参照)。外側壁部65は、後述するように装着部51に取り付けられた各バリア52が閉状態とされると、後端箇所(閉状態で可動レンズ鏡筒40側に存在する箇所)が装着部51の内縁切欠57に嵌りこむことが可能な大きさ寸法および形状とされている。その外側壁部65に取付箇所66が設けられている。
その取付箇所66は、装着部51の支持箇所53へと取り付ける箇所を構成するものであり、外側壁部65の後端において撮影光軸OAを中心とする回転方向で見た中央に設けられている。取付箇所66は、図9(b)に示すように、受入凹所71と一対の軸受突起72とを有する。その受入凹所71は、外側壁部65(その後端箇所)から径方向の外側に突出され、撮影光軸OAを中心とする円に対する接線方向に伸びる円柱形状部の中央箇所が部分的に円柱形状に切り欠かれて形成されている。このため、受入凹所71では、径方向の外側に外縁部分71aが設けられている。この受入凹所71は、軸部材56、後述するトーションバネ73(図7参照)および押圧機構80(図11等参照)を受け入れる箇所を構成する。
また、上記した円柱形状部の中央箇所が受入凹所71として切り欠かれることにより、その受入凹所71の両端に一対の軸受突起72が形成されている。この受入凹所71および一対の軸受突起72(それらを構成する円柱形状部)は、装着部51の支持箇所53の受入凹所54内に収容可能な大きさ寸法とされている(図7等参照)。また、外縁部分71aは、後述するように装着部51に取り付けられた各バリア52が閉状態とされると、装着部51の支持箇所53の受入凹所54の外縁部分54aと協働して、その支持箇所53(受入凹所54)の内方の露出を大幅に抑制する大きさ寸法とされている(図6(a)等参照)。
一対の軸受突起72は、上述したように、撮影光軸OAを中心とする円に対する接線方向で見た受入凹所71の両端位置に設けられている。この一対の軸受突起72には、上記した接線方向に伸びる同一の直線上に軸穴72aが設けられている。この各軸穴72aは、軸受突起72を貫通して形成されている。このため、取付箇所66では、装着部51の支持箇所53の受入凹所54内に配された状態において、その一方の軸受突起55の軸穴55aから挿入された軸部材56を、両軸受突起72の軸穴72aに通すとともに、その軸部材56を他方の軸受突起55の軸穴55aに挿入させることができる(図7の矢印A3参照)。
区画壁部67は、図9に示すように、平面部61の両側方縁部分61bに連続されており、その側方縁部分61bに沿って湾曲する板状を呈し、平面部61の裏側から撮影光軸OA方向の背面側へと突出されて形成されている。すなわち、区画壁部67は、平面部61の外縁部において外側壁部65が設けられていない箇所に設けられている。この区画壁部67は、互いに隣り合う各バリア52との境界位置を規定しており、この例では、平面部61(その裏側)からの突出量が一定とされている(図9(b)参照)。このため、各区画壁部67では、平面部61の一方の側方縁部分61bに連続するものが凸状とされ、平面部61の他方の側方縁部分61bに連続するものが凹状とされている。このような構成であることから、3つのバリア52では、閉状態とされると、各バリア52が径方向に沿って撮影光軸OAを中心とする円周方向で並列され、各バリア52の両区画壁部67が、それぞれ異なるバリア52の区画壁部67と、後述するように自らが回転可能とされる軸部材56の軸線方向で対向する(図6等参照)。
次に、このレンズキャップ50の組み付けについて説明する。装着部51の3つの支持箇所53に対して、3つのバリア52を各々配置する(図6参照)。そして、図7に示すように、この各バリア52の取付箇所66にトーションバネ73を配置する(矢印A1参照)。そのトーションバネ73を配した各取付箇所66を、対応する支持箇所53の一対の軸受突起55の間で受入凹所54に配する(矢印A2参照)。このとき、トーションバネ73の一端73aを、支持箇所53の受入凹所54に設けられた固定孔54b(図7および図8参照)に差し込む(図10等参照)。
その後、各支持箇所53における一方の軸受突起55の軸穴55aから軸部材56を挿入し、その受入凹所54に配された各バリア52の取付箇所66の一方の軸受突起72の軸穴72a、トーションバネ73の内方、および他方の軸受突起72の軸穴72aを経て、各支持箇所53における他方の軸受突起55の軸穴55aに挿入する(矢印A3参照)。これにより、各バリア52は、装着部51の3つの支持箇所53に、軸部材56を中心として回転可能に支持される。このため、軸部材56は、各バリア52の取付箇所66の一対の軸受突起72および装着部51の各支持箇所53一対の軸受突起55と協働して、撮影光軸OA方向に直交し各バリア52が装着部51に対する回転中心となる開閉軸線を規定している。このことから、軸部材56の軸線方向が、開閉軸線方向となる。以下では、この各バリア52において、装着部51の一方の開放端を塞ぐ閉状態(図5(a)等参照)へ向けた軸部材56を中心とする回転方向を閉じ方向といい、閉状態から被写体側へと変位する軸部材56を中心とする回転方向を開き方向という。
その後、各トーションバネ73の他端73bを、平面部61に沿わせてリブ突起部62と第1補助突起63との間を通し、その他端73bの先端であって折り曲げ加工された箇所(以下、先端箇所73cという)をリブ突起部62の貫通孔62aに挿入して第2補助突起64の間で固定する(図10等参照)。この各トーションバネ73は、各バリア52が閉状態とされた状態において、一端73aと他端73b(その先端箇所73c)とを引き離すことに抗する力を発揮する設定とされている。また、各トーションバネ73は、その発揮する力が、レンズ鏡胴13における固定筒35(外装部32)に対する可動レンズ鏡筒40の撮影光軸OA方向へと移動される力よりも小さく設定されている。この各トーションバネ73は、他端73b(その先端箇所73c)が設けられた各バリア52に、軸部材56を中心として一端73aが設けられた装着部51での閉状態へ向けた回転方向への押す力を付与する。このため、各トーションバネ73は、各バリア52に閉じ方向へと押す力を付与する回転押圧部材として機能する。これにより、レンズキャップ50が組み付けられる。
このように構成されたレンズキャップ50では、各バリア52が閉状態となると外側壁部65が装着部51の内縁切欠57に嵌り込むことが可能とされていることから、各バリア52の閉状態からさらなる閉じ方向への回転が規制されている(図6(b)等参照)。この各バリア52は、閉じ方向へと各トーションバネ73から押す力が付与されていることから、各バリア52の外側壁部65と装着部51の内縁切欠57とによる回転の規制との協働により、閉状態で固定される。また、レンズキャップ50では、各バリア52に開き方向への力が付与されると、各トーションバネ73に抗して各バリア52が軸部材56を中心とし開き方向へと回転される。
次に、このレンズキャップ50のデジタルカメラ10のレンズ鏡胴13への装着について説明する。デジタルカメラ10では、可動レンズ鏡筒40が所定の沈胴位置(収納状態(図1(a)参照))とされている状態において、レンズ鏡胴13の固定筒35の鏡胴側連結部36に装着されているリングキャップ34を、固定筒35に対して撮影光軸OAを中心とする回転方向の一方に回転して、その固定筒35(その鏡胴側連結部36)から取り外す(図4参照)。その後、被写体側から撮影光軸OA方向にレンズキャップ50を移動させて接近させ、各キャップ側連結部51aの爪部分51b(図6および図7参照)を、固定筒35の鏡胴側連結部36の対応する連結箇所36bの開放部分36d(図4参照)へと進行させる。その後、レンズ鏡胴13(デジタルカメラ10)とレンズキャップ50とを相対的に回転させて、各爪部分51bを対応する連結箇所36bの爪部分36cの内方へと進入させる。すると、各爪部分51bが対応する爪部分36cに引っ掛かることにより、各キャップ側連結部51aと各鏡胴側連結部36とが適切に連結される。これにより、レンズキャップ50は、レンズ鏡胴13(その固定筒35)に適切に装着される(図5参照)。
このとき、レンズキャップ50では、所定の沈胴位置(収納状態(図1(a)参照))とされているレンズ鏡胴13に対して、装着部51が固定筒35(その鏡胴側連結部36)に装着されているのみであり、3つのバリア52が干渉することはない。このため、レンズキャップ50では、3つのバリア52が閉状態とされており(図5(a)参照)、被写体側となる前端部にレンズ鏡胴13(可動レンズ鏡筒40、および撮影光学系12の有効径(第1レンズ群12a(その対物レンズ))の先端面に沿って閉状態とされた各バリア52を存在させている。これにより、レンズキャップ50では、レンズ鏡胴13の先端面、すなわち可動レンズ鏡筒40および撮影光学系12の有効径(第1レンズ群12a(その対物レンズ))を覆うことができる(図5(a)参照)。
このレンズキャップ50(その装着部51)では、可動レンズ鏡筒40が固定筒35から繰り出されると、可動レンズ鏡筒40のレンズ保持筒39の先端面39a(図3参照)が各バリア52の裏面を構成するリブ突起部62(図6等参照)に当たる。さらに可動レンズ鏡筒40が固定筒35から繰り出されると、可動レンズ鏡筒40の直進筒38の先端面39aが、各バリア52のリブ突起部62における径方向で見た位置を変化させつつそのリブ突起部62を撮影光軸OA方向の被写体側へと押すことにより、各バリア52が装着部51の各支持箇所53に設けられた軸部材56を中心として、各トーションバネ73に抗して開き方向へと回転される。この例では、可動レンズ鏡筒40が固定筒35から撮影待機位置(図1(b)および図3参照)まで繰り出されると、各バリア52は、装着部51の一方の開放端を開放する(図5(b)参照)。このとき、レンズキャップ50は、可動レンズ鏡筒40に支持された撮影光学系12における画角の外側に各バリア52が存在する状態(画角をけることの無い状態)とされている。
このレンズキャップ50では、可動レンズ鏡筒40が、所定の撮影待機位置(図1(b)参照)から所定の沈胴位置(収納状態(図1(a)参照))とされると、各バリア52が各トーションバネ73から閉じ方向への押す力を受けているので、上述した動作とは逆の動作が行われ、各バリア52が開状態(図5(b)参照)から閉状態(図5(a)参照)とされる。このため、レンズキャップ50では、可動レンズ鏡筒40の撮影光軸OA方向への移動を妨げることはなく、その可動レンズ鏡筒40の固定筒35から繰り出し動作および繰り入れ動作に応じて各バリア52の自動的な開閉動作を行うことができる。
次に、本発明に係るレンズキャップの一例としてのレンズキャップ50の特徴部分について、図10から図12を用いて説明する。図10は、レンズキャップ50の前提とする装着部51の支持箇所53およびバリア52の取付箇所66の構成を模式的に示す説明図である。図11は、レンズキャップ50の特徴部分である押圧機構80を説明するために、装着部51の支持箇所53およびバリア52の取付箇所66を模式的に示す図10と同様の説明図である。図12は、レンズキャップ50における各押圧機構80の押す方向の設定を説明するための説明図である。なお、図10および図11では、理解容易のために、レンズキャップ50の装着部51の支持箇所53およびバリア52の取付箇所66の構成(図11では押圧機構80も)を模式的に示している。また、図10および図11では、理解容易のために支持箇所53における遊びPを強調して示しているが、実際の構成と必ずしも一致するものではない。さらに、図10では、理解容易のために各バリア52間の隙間Gaを強調して示しているが、実際の構成と必ずしも一致するものではない。ついで、図11では、理解容易のために各バリア52間の隙間Gbを強調して示しているが、実際の構成と必ずしも一致するものではない。図12では、理解容易のために、レンズキャップ50における各バリア52とその取付箇所66(それを支持する各支持箇所53)とを模式的に示すとともに、各押圧機構80による押す方向を矢印Apで示している。
レンズキャップ50では、上述したように、各バリア52の取付箇所66を、装着部51に設けられた対応する支持箇所53で、軸部材56を中心として回転可能に支持している。このため、装着部51の各支持箇所53には、図10に示すように、軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)で見て、バリア52の取付箇所66との間に、許容誤差内での意図的な間隔、所謂遊び(以下では遊びPとも言う)を設けている。これは、各バリア52の取付箇所66および装着部51の各支持箇所53では、許容誤差内でのばらつき所謂公差があることによる。装着部51の各支持箇所53では、この遊びPにより、バリア52の取付箇所66の組み付け作業の生産性を維持しつつ、その組み付けられたバリア52の回転を円滑なものとすることができる。ところが、このような遊びPは、支持箇所53(その受入凹所54)において取付箇所66が軸部材56の軸線方向へと移動することを可能とすることから、取付箇所66すなわち装着部51に対して各バリア52が軸部材56の軸線方向に移動する所謂ガタが生じ得る。なお、各バリア52には、一端73aが支持箇所53の受入凹所54に設けられた固定孔54b(図8参照)に差し込まれたトーションバネ73が設けられているが、明確な図示は略すがその固定孔54bにも同様の遊びが設けられている。ここで、各バリア52では、上述した構成とされていることから、閉状態とされた際に径方向に沿って撮影光軸OAを中心とする円周方向で並列される各区画壁部67が、自らの開閉軸線方向(軸部材56の軸線方向)で対向していることとなる。このことから、各バリア52では、閉状態とされた際に径方向に沿って撮影光軸OAを中心とする円周方向で並列される各区画壁部67の間に、各取付箇所66における遊びPを考慮した隙間Gaを設ける必要がある。この隙間Gaは、閉状態とされた各バリア52の両区画壁部67の異なるバリア52の区画壁部67との対向する方向に沿って設けられた間隔であり、それぞれのバリア52が回転可能とされた軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)へと当該バリア52が移動(ガタ)しても各バリア52の開閉動作が阻害されることを防止する。
本願発明に係るレンズキャップ50では、図11に示すように、装着部51の各支持箇所53と各バリア52の取付箇所66との間に押圧機構80を設けている。この押圧機構80は、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方へ向けて当該バリア52を押すものとされている(矢印Ap参照)。バリア52は、押圧機構80で軸部材56の軸線方向の一方へ向けて押されることにより、取付箇所66(その両軸受突起72のうち軸部材56の軸線方向で見て一方側に位置する軸受突起72(以下では一方側軸受突起72bともいう))が支持箇所53の一方の端部(その両軸受突起55のうち軸部材56の軸線方向で見て一方側に位置する軸受突起55(以下では一方側軸受突起55bともいう))に押し当てられる。このように押圧機構80でバリア52を軸部材56の軸線方向の一方へ向けて押すのは、レンズキャップ50の閉状態において、各バリア52の両区画壁部67が、それぞれ異なるバリア52の区画壁部67と、自らが回転可能とされた軸部材56の軸線方向で対向する構成(図6および図7等参照)であることによる。
また、レンズキャップ50では、押圧機構80が、装着部51の各支持箇所53において、軸部材56の軸線(開閉軸線)上でバリア52の取付箇所66を押すものとされている。これにより、各バリア52は、押圧機構80により軸部材56の軸線上でその軸線方向の一方へ向けて押されることで、全体がその軸線方向の一方へと変位される。これは、取付箇所66は、両軸受突起72の軸穴72aに軸部材56を通すことで、バリア52を軸部材56に対して回転自在に設けるものであることによる。
さらに、レンズキャップ50では、押圧機構80を設けることに伴い、各バリア52の各区画壁部67の間の隙間(隙間Ga(図10参照))の設定を変更している。すなわち、各バリア52は、その取付箇所66と装着部51の支持箇所53との間に設けられた押圧機構80により、取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53の一方の端部(一方側軸受突起55b)に押し当てられることから、支持箇所53の一方の端部と取付箇所66との設定により、装着部51における軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)での位置が規定され、ガタが生じることが防止される。この軸部材56の軸線方向での位置は、閉状態における各バリア52の撮影光軸OAに直交する方向での位置となる。このレンズキャップ50では、各バリア52にガタが生じないものとして各バリア52の相対的な位置、すなわち取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53の一方の端部(一方側軸受突起55b)に押し当てられた状態を基準として、各区画壁部67の間の隙間を可能な限り小さくしつつ互いに等しいものとする観点から、各バリア52の相対的な位置を設定し、それらの間隔すなわち隣接する各バリア52の区画壁部67の隙間Gbを設定する。
ついで、レンズキャップ50では、図12に示すように、各押圧機構80による押す方向(軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方)を、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て、同一方向に統一するものとする。
このような構成であることから、本発明に係るレンズキャップ50では、以下の(1)〜(14)の効果を得ることができる。
(1)押圧機構80が、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされた回転中心となる軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方へ向けて各バリア52を押すことにより、その各バリア52の取付箇所66(その一方側軸受突起72b)を支持箇所53の一方の端部(一方側軸受突起55b)に押し当てている。このため、装着部51の各支持箇所53において、バリア52の取付箇所66との間に設けられた遊びPに拘らず、その取付箇所66が軸部材56の軸線方向へと移動することを防止することができるので、各バリア52が装着部51(その各支持箇所53)に対してガタつくことを防止することができる。このように、各バリア52のガタが防止されていることから、品質を向上させることができる。
(2)押圧機構80が、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向の一方へ向けて取付箇所66を支持箇所53の一方の端部に押し当てることで各バリア52がガタつくことを防止しているので、閉状態における各バリア52の間隔、すなわち隣接する各バリア52の区画壁部67の隙間Gbを安定させる(隙間Gbが変動すること防止する)ことができる。これは、レンズキャップ50の閉状態において、各バリア52の両区画壁部67が、それぞれ異なるバリア52の区画壁部67と、自らが回転可能とされた軸部材56の軸線方向で対向する構成(図6および図7等参照)であることによる。
(3)閉状態における各バリア52の区画壁部67の隙間Gbが安定していることから、外観品質を向上させることができる。
(4)押圧機構80が、装着部51の各支持箇所53において、両軸受突起72の軸穴72aに軸部材56を通すことでバリア52を軸部材56に対して回転自在に設ける取付箇所66を、その軸部材56の軸線上で押すものであることから、バリア52全体を軸線方向の一方へと変位させることができる。
(5)押圧機構80が、装着部51の各支持箇所53において、取付箇所66を軸部材56の軸線上で押すものであることから、押圧機構80からの押す力が軸部材56と両軸受突起72(その軸穴72a)との間での摩擦力として作用することを極めて小さくすることができる。
(6)各バリア52にガタが生じないものとしてそれらの相対的な位置、すなわち取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53の一方の端部(一方側軸受突起55b)に押し当てられた状態を基準として、各区画壁部67の間の隙間を可能な限り小さくしつつ互いに等しいものとする観点から、各バリア52の相対的な位置を設定し、それらの間隔すなわち隣接する各バリア52の区画壁部67の隙間Gbを設定していることから、各支持箇所53と各取付箇所66との間に設けられた遊びPに拘らず、閉状態とされた際の各バリア52の撮影光軸OAに直交する方向での相対的な位置をより精度良く規定することができるので、各バリア52の隙間Gbを極めて小さなものとすることができ、隙間Ga(図10参照)よりも小さなものとすることができる。
(7)各バリア52の隙間Gbが小さく設定されていることから、デジタルカメラ10のレンズ鏡胴13に装着されて閉状態すなわち各バリア52で装着部51の一方の開放端を塞いだ状態とされると、その隙間Gb(各バリア52の間)から塵埃が入り込むことを抑制することができるので、レンズ鏡胴13特に可動レンズ鏡筒40の先端位置で保持された撮影光学系12の光学素子の第1レンズ群12a(その対物レンズ)をより適切に保護することができる。
(8)各バリア52の隙間Gbが小さく設定されていることから、閉状態における外観品質をより向上させることができる。
(9)各バリア52の隙間Gbが小さく設定されていることから、デジタルカメラ10のレンズ鏡胴13に装着されて閉状態とされると、隙間Gb(各バリア52の間)から撮影光学系12の光学素子の第1レンズ群12a(その対物レンズ)が露出することを防止することができるので、デジタルカメラ10の外観品質も向上させることができる。
(10)各支持箇所53と各取付箇所66との間に設けられた遊びPに拘らず、閉状態とされた際の各バリア52の撮影光軸OAに直交する方向での相対的な位置をより精度良く規定することができることにより、各バリア52の隙間Gbを互いに等しく設定することができる。このため、外観品質をより向上させることができる。
(11)各バリア52の隙間Gbが、互いに等しいものであって小さく設定されていることから、閉状態における外観品質をより向上させることができる。
(12)各押圧機構80による押す方向(軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方)を、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て同一方向に統一していることから、装着部51内において各バリア52を同一の回転方向に寄せて位置決めすることができるので、いずれの隙間Gbであっても両区画壁部67の関係性を等しい条件とすることができる。このため、閉状態における外観品質をより向上させることができる。
(13)遊びP自体を無くすものではないことから、各バリア52の取付箇所66を装着部51の各支持箇所53に組み付ける作業の生産性を、各押圧機構80を設けない場合と同等なものとすることができるとともに、その組み付けによりバリア52の回転を円滑なものとすることができる。
(14)各バリア52にガタが生じることを防止することで、その各バリア52の相対的な位置の設定により、各バリア52の互いに隣り合う区画壁部67との間の隙間Gbを小さくするものであることから、閉状態(回転姿勢で見てそれに近い状態を含む)において各バリア52の各区画壁部67が接触することを防止することができるので、各バリア52の閉状態からの開き方向への回転および閉状態への閉じ方向への回転を円滑なものとすることができる。
したがって、本発明に係るレンズキャップ50では、装着部51の内方塞いだ状態(閉状態)における各バリア52間の隙間への、支持箇所53とバリア52との間に設けられた遊びPに起因するガタの影響を改良することができる。
次に、本願発明に係るレンズキャップにおける具体的な構成の一例である実施例1のレンズキャップ50Aについて、図13および図14を用いて説明する。この実施例1は、本願発明に係るレンズキャップ(レンズキャップ50A)における各押圧機構の具体的な構成の一例としての各押圧機構80Aを示すものである。この実施例1のレンズキャップ50Aは、基本的な構成は上記した例のレンズキャップ50と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図13は、実施例1のレンズキャップ50Aの押圧機構80Aを装着部51の支持箇所53およびバリア52の取付箇所66とともに模式的に示す図11と同様の説明図である。図14は、レンズキャップ50A(その押圧機構80A)に用いられるトーションバネ73Aを示す斜視図である。
レンズキャップ50Aでは、図13に示すように、押圧機構80Aとして、トーションバネ73Aと、各バリア52の取付箇所66に設けられたバリア側受部材81と、軸部材56に設けられた軸側受部材82と、を有する。トーションバネ73Aは、図14に示すように、基本的な構成は上記した例のトーションバネ73と同様であり、まっすぐ伸びる一端73aと、反対側でまっすぐ伸びつつ先端に折り曲げ加工されて先端箇所73cが設けられた他端73bと、を有する。トーションバネ73Aでは、軸部材56が通される巻線部73dの一端に一端73aが設けられるとともに巻線部73dの他端に他端73bが設けられており、上記した例のトーションバネ73と同様に、一端73aと他端73b(その先端箇所73c)とを引き離すことに抗する弾性力を発揮する設定とされている。このため、トーションバネ73Aは、上記した例のトーションバネ73と同様に、各バリア52に閉じ方向へと押す力を付与する回転押圧部材として機能する。
それに加えて、トーションバネ73Aでは、巻線部73dが、その軸線方向で見た一端73a側の端部分73eと他端73b側の端部分73fとを、無負荷状態において最も離れさせるとともに、軸線方向で近付ける動作に抗する弾性力を発揮する圧縮コイルバネとされている。すなわち、トーションバネ73Aは、巻線部73dの軸線を中心とする回転方向への弾性力と、巻線部73dの軸線方向への弾性力と、を発揮する所謂圧縮トーションバネとして構成されている。その巻線部73dは、実施例1では、無負荷状態において、少なくとも、軸部材56の軸線方向で見た、支持箇所53の受入凹所54に設けられた固定孔54bと、取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53(その一方側軸受突起55b)に押し当てられたバリア52におけるリブ突起部62の後述する側端面62bと、の間隔よりも大きな長さ寸法とされている。
図13に示すように、このトーションバネ73Aの巻線部73dに通される軸部材56に、軸側受部材82が設けられている。この軸側受部材82は、軸部材56を取り巻く円柱形状を呈し、その軸部材56に固定されている。軸側受部材82は、径寸法が少なくとも巻線部73dと等しく設定されており、その巻線部73dの内方へと通すことのできないものとされている。また、軸側受部材82は、バリア52の取付箇所66が装着部51の支持箇所53に軸部材56回りに回転自在に設けられた状態において、巻線部73dの一端73a側の端部分73e(図14参照)と、取付箇所66の両軸受突起72のうち軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)で見て他方側に位置する軸受突起72(以下では他方側軸受突起72cともいう)と、の間に存在する位置関係で軸部材56に設けられている。この軸側受部材82の軸部材56への固定は、接着によるものであってもよく、溶着によるものであってもよく、軸部材56として一体的に形成されるものであってもよいが、実施例1では図示を略す軸穴に軸部材56を通した状態で接着される。
また、軸部材56回りに回転可能とされる各バリア52の取付箇所66に、バリア側受部材81が設けられている。このバリア側受部材81は、両軸受突起72が両端位置に存在する受入凹所71の中間位置に設けられており、両軸受突起72と等しい形状とされて受入凹所71に対して突起されている。バリア側受部材81には、図示は略すが、両軸受突起72の軸穴72aと同一の直線上で、当該バリア側受部材81を貫通する軸穴が設けられている。その軸穴は、軸部材56を通すことを可能としつつ、トーションバネ73Aの巻線部73dを通すことのできない径寸法とされている。このバリア側受部材81は、他方側軸受突起72c側の側端面82aが、軸部材56の軸線方向で見て、取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53(その一方側軸受突起55b)に押し当てられたバリア52におけるリブ突起部62の側端面62bよりも、支持箇所53の他方側軸受突起55c側に存在されている。その側端面62bは、リブ突起部62においてトーションバネ73Aの他端73bが並列される側の面である。また、他方側軸受突起55cは、支持箇所53の両軸受突起55のうち軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)で見て他方側(一方側軸受突起55bとは反対側)に位置する軸受突起55である。
次に、このレンズキャップ50Aの組み付けについて説明する。装着部51の3つの支持箇所53に対して、3つのバリア52を各々配置し、各バリア52の取付箇所66において、他方側軸受突起72cとバリア側受部材81との間に、トーションバネ73Aおよび軸側受部材82を配置する。そのトーションバネ73Aを配した各取付箇所66を、対応する支持箇所53の一対の軸受突起55の間で受入凹所54に配する。このとき、トーションバネ73Aの一端73aを、支持箇所53の受入凹所54に設けられた固定孔54bに差し込む。その後、各支持箇所53における一方の軸受突起55の軸穴55aから軸部材56を挿入し、その受入凹所54に配された各バリア52の取付箇所66の一方の軸受突起72(他方側軸受突起72c)の軸穴72a、軸側受部材82の軸穴(図示せず)、トーションバネ73Aの巻線部73dの内方、バリア側受部材81の軸穴(図示せず)および他方の軸受突起72(一方側軸受突起72b)の軸穴72aを経て、各支持箇所53における他方の軸受突起55の軸穴55aに挿入する。そして、軸部材56上の適切な位置で、その軸部材56に対して軸側受部材82を接着により固定する。この軸部材56上の適切な位置とは、軸側受部材82におけるトーションバネ73Aの巻線部73d側(バリア側受部材81側)の側端面82aを、支持箇所53の受入凹所54の固定孔54bに一端73aが差し込まれたトーションバネ73Aの巻線部73dの端部分73eに宛がうことを可能とすることをいう。これにより、各バリア52は、装着部51の3つの支持箇所53に、軸部材56を中心として回転可能に支持される。
その後、各トーションバネ73Aの他端73bを、平面部61の側端面62bに沿わせてリブ突起部62と第1補助突起63との間を通し、その他端73bの先端の先端箇所73cをリブ突起部62の貫通孔62aに挿入して第2補助突起64の間で固定する。これにより、各トーションバネ73Aにより閉じ方向へと押す力が付与されて各バリア52が閉状態とされるレンズキャップ50Aが組み付けられる。
このレンズキャップ50Aでは、軸部材56上の適切な位置に軸側受部材82が固定されていることから、その軸側受部材82の側端面82aにトーションバネ73Aの巻線部73dの一端73a側の端部分73eが当てられている。そのトーションバネ73Aの巻線部73dは、無負荷状態における長さ寸法が上述したように設定されていることから、他端73b側の端部分73fがバリア側受部材81の側端面81aに押し当てられる。そして、トーションバネ73Aの巻線部73dは、軸側受部材82(その側端面82a)を基点として、バリア側受部材81(その側端面81a)を軸部材56の軸線方向の一方へ向けて押し、バリア52の取付箇所66(その一方側軸受突起72b)を支持箇所53(その一方側軸受突起55b)に押し当てる。このことから、トーションバネ73Aと、各バリア52の取付箇所66に設けられたバリア側受部材81と、軸部材56に設けられた軸側受部材82と、は、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向の一方へ向けて当該バリア52を押す押圧機構80Aとして機能する。
この実施例1のレンズキャップ50Aでは、基本的に上記した例のレンズキャップ50と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
加えて、実施例1のレンズキャップ50Aでは、トーションバネ73Aとして圧縮トーションバネを用いることにより押圧機構80Aを構成するものであることから、部品点数の増加を防止しつつ、各バリア52にガタが生じることを防止することができる。
また、レンズキャップ50Aでは、トーションバネ73Aとして圧縮トーションバネを用いるとともに、軸部材56に設けた軸側受部材82と取付箇所66に設けたバリア側受部材81との間にトーションバネ73Aの巻線部73dを配するだけで良いことから、簡易な構成とすることができる。
したがって、実施例1のレンズキャップ50Aでは、装着部51の内方塞いだ状態(閉状態)における各バリア52間の隙間への、支持箇所53とバリア52との間に設けられた遊びPに起因するガタの影響を改良することができる。
なお、上記した実施例1では、軸側受部材82の軸部材56への固定を接着によるものとしていたが、上述したように溶着によるものであってもよく、軸部材56として一体的に形成されるものであってもよく、実施例1に限定されるものではない。なお、軸部材56に軸側受部材82を一体的に形成する場合、支持箇所53の各軸受突起55の軸穴55a、バリア52の取付箇所66の各軸受突起72の軸穴72a、およびバリア側受部材81の軸穴に、その軸線方向に直交する方向から軸部材56を受け入れることを可能とするスリット等の挿入箇所を設ける必要がある。
次に、本願発明に係るレンズキャップにおける具体的な構成の一例である実施例2のレンズキャップ50Bについて、図15を用いて説明する。この実施例2は、本願発明に係るレンズキャップ(レンズキャップ50B)における各押圧機構の具体的な構成の実施例1とは異なる一例としての各押圧機構80Bを示すものである。この実施例2のレンズキャップ50Bは、基本的な構成は上記した例のレンズキャップ50と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図15は、実施例2のレンズキャップ50Bの押圧機構80Bを装着部51の支持箇所53およびバリア52の取付箇所66とともに模式的に示す図11と同様の説明図である。
レンズキャップ50Bでは、図15に示すように、押圧機構80Bとして、圧縮コイルバネ83が設けられている。この圧縮コイルバネ83は、その軸線方向で見た一端83aと他端83bとを、無負荷状態において最も離れさせるとともに、軸線方向で近付ける動作に抗する弾性力を発揮する圧縮コイルバネとされている。圧縮コイルバネ83は、実施例2では、無負荷状態において、取付箇所66(その一方側軸受突起72b)が支持箇所53(その一方側軸受突起55b)に押し当てられたバリア52における取付箇所66の他方側軸受突起72cと、支持箇所53の他方側軸受突起55cと、の間隔よりも大きな長さ寸法とされている。
このレンズキャップ50Bは、軸部材56において、支持箇所53の他方側軸受突起55cとバリア52の取付箇所66の他方側軸受突起72cと間に圧縮コイルバネ83を通すことを除くと、上記した例のレンズキャップ50と同様に組み付けることができる。このため、各トーションバネ73により閉じ方向へと押す力が付与されて各バリア52が閉状態とされるレンズキャップ50Bが組み付けられる。
このレンズキャップ50Bでは、軸部材56上の支持箇所53の他方側軸受突起55cとバリア52の取付箇所66の他方側軸受突起72cと間に圧縮コイルバネ83が設けられており、その圧縮コイルバネ83が無負荷状態における長さ寸法が上述したように設定されていることから、一端83aが支持箇所53の他方側軸受突起55cに押し当てられ、他端83bがバリア52の取付箇所66の他方側軸受突起72cに押し当てられている。その圧縮コイルバネ83は、支持箇所53の他方側軸受突起55cを基点として、取付箇所66の他方側軸受突起72cを軸部材56の軸線方向の一方へ向けて押し、バリア52の取付箇所66(その一方側軸受突起72b)を支持箇所53(その一方側軸受突起55b)に押し当てる。このことから、圧縮コイルバネ83は、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向の一方へ向けて当該バリア52を押す押圧機構80Bとして機能する。
この実施例2のレンズキャップ50Bでは、基本的に上記した例のレンズキャップ50と同様の構成であることから、基本的に実施例2と同様の効果を得ることができる。
加えて、実施例2のレンズキャップ50Bでは、トーションバネ73とは別の圧縮コイルバネ83で押圧機構80Bを構成するものであることから、トーションバネ73でバリア52を閉状態とすべく回転方向に押すとともに、圧縮コイルバネ83でバリア52を軸部材56の軸線方向に押している。このため、圧縮コイルバネ83すなわち押圧機構80Bが、閉状態とするとともにトーションバネ73に抗して開状態とされるバリア52の回転動作に与える影響を抑制することができる。
また、実施例2のレンズキャップ50Bでは、トーションバネ73でバリア52を回転方向に押すとともに、圧縮コイルバネ83でバリア52を軸部材56の軸線方向に押すものであることから、バリア52を閉じ方向へと押す力量と、バリア52を軸線方向の一方へと押す力量と、をより高精度に設定することができる。
さらに、レンズキャップ50Bでは、軸部材56上に圧縮コイルバネ83を配するだけで良いことから、簡易な構成とすることができる。
したがって、実施例2のレンズキャップ50Bでは、装着部51の内方塞いだ状態(閉状態)における各バリア52間の隙間への、支持箇所53とバリア52との間に設けられた遊びPに起因するガタの影響を改良することができる。
なお、上記した実施例2では、押圧機構80Bとして、軸部材56上のバリア52の取付箇所66の他方側軸受突起72cと支持箇所53の他方側軸受突起55cと間に圧縮コイルバネ83を設けていたが、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方へ向けて当該バリア52を押すものであれば、圧縮コイルバネ83を設ける位置は適宜設定すればよく、実施例2に限定されるものではない。
また、上記した実施例2では、押圧機構80Bとして圧縮コイルバネ83を用いていたが、押圧機構80Bは、装着部51の支持箇所53に対して回転可能とされたバリア52の回転中心となる軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)の一方へ向けて当該バリア52を押すものであれば、引張ばねで構成するものであってもよく、磁力により引き付けるものであってもよく、磁力により反発させるものであってもよく、上記した実施例2に限定されるものではない。
なお、上記した例および各実施例では、本発明に係るレンズキャップの一例について説明したが、固定筒からの撮影光軸方向への繰り出しおよび該固定筒への繰り入れを可能とする可動レンズ鏡筒を備えるレンズ鏡胴に装着されるレンズキャップであって、前記固定筒へ装着するための環状の装着部と、該装着部の内方を塞ぎつつ前記可動レンズ鏡筒の先端を覆う複数のバリアと、該各バリアを撮影光軸方向に直交する開閉軸線回りに回転可能に個別に支持すべく前記装着部に設けられた複数の支持箇所と、前記各バリアが回転可能とされた前記各支持箇所の前記開閉軸線方向の一方へ向けて前記各バリアに個別に押す力を付与すべく前記各支持箇所に設けられた押圧機構と、を備えるレンズキャップであればよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。
また、上記した例および各実施例では、3つのバリア52で装着部51の一方の開放端を塞ぐものとしていたが、当該開放端を塞ぐことが可能であって固定筒(外装部)から繰り出される可動レンズ鏡筒40で押されることで開状態とされるべく、装着部51の支持箇所53に対して撮影光軸OAに直交する開閉軸線回りに回転可能とされているバリアであって、閉状態において各バリアの境界線(両区画壁部67)が、自らが回転可能とされた軸部材56の軸線方向に対して傾斜する構成とされていれば、その個数および形状は適宜設定すればよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。このようにバリアの個数および形状を異なるものとした場合であっても、上記した例のように、各押圧機構80による押す方向(軸部材56の軸線方向の一方)を、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て同一方向に統一するものとすることができる。そのような例を図16に示す。この図16では、各押圧機構80による押す方向を、図12と同様の矢印Apで示している。図16(a)のレンズキャップ50Cは、2つのバリア52Cを有するものであり、両バリア52Cの境界線が軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)に対して傾斜する直線状とされている。図16(b)のレンズキャップ50Dは、2つのバリア52Dを有するものであり、両バリア52Dの境界線が波打つように湾曲された曲線状(正弦曲線状)とされて、軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)に対して傾斜している。図16(c)のレンズキャップ50Eは、3つのバリア52Eを有するものであり、各バリア52Eが撮影光軸OAを中心として装着部51の内方を3分割する形状とされている。このため、各バリア52Eの境界線は、自らの軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)に対して傾斜されている。図16(d)のレンズキャップ50Fは、4つのバリア52Fを有するものであり、装着部51の直径方向で対向する2つのバリア52Fが装着部51に沿う湾曲箇所下底とした台形形状とされて互いに隣接するとともに、他の2つのバリア52Fが台形形状の2つのバリア52Fの余剰箇所を埋める三角形状とされている。このため、各バリア52Fの境界線は、自らの軸部材56の軸線方向(開閉軸線方向)に対して傾斜されている。このように、図16に示すレンズキャップ50C、50D、50E、50Fでは、それぞれが各押圧機構80による押す方向(軸部材56の軸線方向の一方)を、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て、同一方向に統一するものとすることができ、上記した例および各実施例と同様の効果を得ることができる。また、図16に示すレンズキャップ50C、50D、50E、50Fにおける各押圧機構(80C、80D、80E、80F)による押す方向Apを、反対側としても同様の効果を得ることができる。
さらに、上記した例および各実施例では、各押圧機構(80等)が、開閉軸線上で各バリア(52等)の取付箇所66を開閉軸線方向(軸部材56の軸線方向)の一方へ向けて押す構成とされていたが、各バリア(52等)を開閉軸線方向(軸部材56の軸線方向)の一方へ向けて押すものであればよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。
上記した例および各実施例では、レンズキャップ50の装着対象の一例としてレンズ鏡胴13を含むデジタルカメラ10(撮像装置)を示していたが、固定筒(外装部)からの繰り出しおよびその固定筒(外装部)への繰り入れを可能とされた可動レンズ鏡筒を有するレンズ鏡胴であればよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。
上記した例および各実施例では、各押圧機構80による押す方向(軸部材56の軸線方向の一方)を、撮影光軸OAを中心とする回転方向で見て同一方向に統一するものとしていたが、押圧機構80毎に異なる回転方向に押すものであってもよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。
上記した例および各実施例では、レンズキャップ50のキャップ側連結部51a(その爪部分51b)と、レンズ鏡胴13の固定筒35の鏡胴側連結部36の各連結箇所36b(その爪部分36c)と、がバヨネット式の装着機構とされていたが、内方で可動レンズ鏡筒40が撮影光軸OA方向へと繰り出される固定筒35への着脱自在な装着を可能とするものであればよく、上記した例および各実施例に限定されるものではない。
上記した例および実施例2では、回転押圧部材として各バリア52にトーションバネ73が設けられていたが、回転押圧部材は開閉軸線回りで各バリア52に閉じ方向へと押す力を付与するものであればよく、上記した例および実施例2に限定されるものではない。
以上、本発明のレンズキャップを例および各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については例および各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。