図1は、本発明にかかる転写装置を装備する印刷装置を示す概略斜視図であり、装置内部の構成を明示するために、装置カバーを外した状態で図示している。また、図2は図1に示す印刷装置の断面を模式的に示す図である。さらに、図3は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置100は、装置の左側面側より装置内部に搬入される版PPの下面に対して、装置の正面側より装置内部に搬入されるブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、版PPの下面に形成されたパターンによりブランケット上の塗布層をパターニングしてパターン層を形成する(パターニング処理)。また、印刷装置100は、装置の右側面側より装置内部に搬入される基板SBの下面に対して、パターニング処理されたブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、そのブランケットに形成されたパターン層を基板SBの下面に転写する(転写処理)。なお、図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、版PPおよび基板SBの搬送方向を「X方向」とし、図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向のうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「−Y方向」と称する。さらに、鉛直方向における上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
この印刷装置100では、石定盤1上に装置各部(搬送部2、上ステージ部3、アライメント部4、下ステージ部5、押さえ部7、プリアライメント部8、除電部9)が設けられており、制御部6が装置各部を制御する。
搬送部2は版PPおよび基板SBをX方向に搬送する装置であり、次のように構成されている。この搬送部2では、石定盤1の上面の右後隅部および左隅部より2本のブラケット(図示省略)が立設されるとともに、両ブラケットの上端部を互いに連結するようにボールねじ機構21が左右方向、つまりX方向に延設されている。このボールねじ機構21においては、ボールねじ(図示省略)がX方向に延びており、その一方端には、シャトル水平駆動用のモータM21の回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじの中央部に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、それらのボールねじブラケットの(+Y)側面に対してX方向に延設されたシャトル保持プレート22が取り付けられている。
このシャトル保持プレート22の(+X)側端部に版用シャトル23Lが鉛直方向Zに昇降可能に設けられる一方、(−X)側端部に基板用シャトル23Rが鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。これらのシャトル23L、23Rは、ハンドの回転機構を除き、同一構成を有しているため、ここでは、版用シャトル23Lの構成を説明し、基板用シャトル23Rについては同一符号または相当符号を付して構成説明を省略する。
シャトル23Lは、X方向に版PPの幅サイズ(X方向サイズ)と同程度、あるいは若干長く延びる昇降プレート231と、昇降プレート231の(+X)側端部および(−X)側端部からそれぞれ前側、つまり(+Y)側に延設された2つの版用ハンド232、232とを有している。昇降プレート231はボールねじ機構(図示省略)を介してシャトル保持プレート22の(+X)側端部に昇降可能に取り付けられている。すなわち、シャトル保持プレート22の(+X)側端部に対し、ボールねじ機構が鉛直方向Zに延設されている。このボールねじ機構の下端には、版用シャトル昇降モータM22L(図3)に回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじ機構に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、そのボールねじブラケットの(+Y)側面に対して昇降プレート231が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて版用シャトル昇降モータM22Lが作動することで、昇降プレート231が鉛直方向Zに昇降駆動される。
各ハンド232、232の前後サイズ(Y方向サイズ)は版PPの長さサイズ(Y方向サイズ)よりも長く、各ハンド232、232の先端側(+Y側)で版PPを保持可能となっている。
また、こうして版用ハンド232、232で版PPが保持されたことを検知するために、昇降プレート231の中央部から(+Y)側にセンサブラケットを介して版検知用のセンサ(図示省略)が取り付けられている。このため、両ハンド232上に版PPが載置されると、センサが版PPの後端部、つまり(−Y)側端部を検知し、検知信号を制御部6に出力する。
さらに、各版用ハンド232、232はベアリングを介して昇降プレート231に取り付けられ、前後方向(Y方向)に延びる回転軸を回転中心として回転自在となっている。また、昇降プレート231のX方向両端には、回転アクチュエータRA2、RA2(図3)が取り付けられている。これらの回転アクチュエータRA2、RA2は加圧エアーを駆動源として動作するものであり、加圧エアーの供給経路に介挿されたバルブの開閉により180゜単位で回転可能となっている。このため、制御部6のバルブ制御部64による上記バルブの開閉を制御することで、版用ハンド232、232の一方主面が上方に向いてパターニング前の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「未使用姿勢」という)と、他方主面が上方を向いてパターニング後の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「使用済姿勢」という)との間で、ハンド姿勢を切替え可能となっている。このようにハンド姿勢の切替え機構を有している点が、版用シャトル23Lが基板用シャトル23Rと唯一相違する点である。
次に、シャトル保持プレート22に対する版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rの取り付け位置について説明する。この実施形態では、図2に示すように、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rは、版PPや基板SBの幅サイズ(なお実施形態では、版PPと基板SBの幅サイズは同一である)よりも長い間隔だけX方向に離間してシャトル保持プレート22に取り付けられている。そして、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させると、両シャトル23L、23Rは上記離間距離を保ったままX方向に移動する。例えば図2では、符号XP23が上ステージ部3の直下位置を示しており、シャトル23L、23Rは、位置XP23からそれぞれ(+X)方向および(−X)方向に等距離(この距離を「ステップ移動単位」という)だけ離れた位置XP22、XP24に位置している。なお、本実施形態では、図2に示す状態を「中間位置状態」と称する。
また、この中間位置状態からシャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート22をステップ移動単位だけ(+X)方向に移動させると、基板用シャトル23Rが(+X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、版用シャトル23Lも一体的に(+X)方向に移動し、印刷装置100の(+X)方向側に配置される版洗浄装置(図示省略)に近接した位置XP21に位置決めされる。
逆に、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向と逆の方向に回転させてシャトル保持プレート22をステップ移動単位だけ(−X)方向に移動させると、版用シャトル23Lが中間位置状態から(−X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、基板用シャトル23Rも一体的に(−X)方向に移動し、印刷装置100の(−X)方向側に配置される基板洗浄装置(図示省略)に近接した位置XP25に位置決めされる。このように、本明細書では、X方向におけるシャトル位置として5つの位置XP21〜XP25が規定されている。つまり、版受渡し位置XP21は、版用シャトル23Lが位置決めされる3つの位置XP21〜XP23のうち最も版洗浄装置に近接位置であり、版洗浄装置との間で版PPの搬入出が行われるX方向位置を意味している。基板受渡し位置XP25は、基板用シャトル23Rが位置決めされる3つの位置XP23〜XP25のうち最も基板洗浄装置に近接位置であり、基板洗浄装置との間で基板SBの搬入出が行われるX方向位置を意味している。また、位置XP23は上ステージ部3の吸着プレート34が鉛直方向Zに移動して版PPや基板SBを吸着保持するX方向位置を意味しており、版用シャトル23LがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「版吸着位置XP23」と称する一方、基板用シャトル23RがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「基板吸着位置XP23」と称する。また、このようにシャトル23L、23Rにより版PPや基板SBを搬送する鉛直方向Zでの位置、つまり高さ位置を「搬送位置」と称する。
また、本実施形態では、パターニング時での版PPとブランケットとのギャップ量、ならびに転写時での基板SBとブランケットとのギャップ量を正確に制御するため、版PPおよび基板SBの厚みを計測する必要がある。そこで、版厚み計測センサSN22および基板厚み計測センサSN23が設けられている。なお、本実施形態では、両センサSN22、23として、投光部と受光部とを有する反射タイプの光学センサを用いているが、これ以外のセンサを用いてもよい。
位置XP23では、上ステージ部3が配置されている。この上ステージ部3では、鉛直方向Zに延設されたボールねじ機構31が固定されており、そのボールねじ機構31の上端部には、第1ステージ昇降モータM31の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、ボールねじ機構31に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合している。このボールねじブラケットには、支持フレーム32が固定されており、ボールねじブラケットと一体的に鉛直方向Zに昇降可能となっている。さらに、当該支持フレーム32のフレーム面で、別のボールねじ機構(図示省略)が支持されている。このボールねじ機構には、上記ボールねじ機構31のボールねじよりも狭ピッチのボールねじが設けられ、その上端部には、第2ステージ昇降モータM32(図3)の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、中央部にはボールねじブラケットが螺合している。
このボールねじブラケットには、ステージホルダ33が取り付けられている。また、ステージホルダ33の下面には、例えばアルミニウム合金などの金属製の吸着プレート34が取り付けられている。したがって、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてステージ昇降モータM31、M32が作動することで、吸着プレート34が鉛直方向Zに昇降移動させられる。また、本実施形態では、異なるピッチを有するボールねじ機構を組み合わせ、第1ステージ昇降モータM31を作動させることで比較的広いピッチで吸着プレート34を昇降させる、つまり吸着プレート34を高速移動させることができるとともに、第2ステージ昇降モータM32を作動させることで比較的狭いピッチで吸着プレート34を昇降させる、つまり吸着プレート34を精密に位置決めすることができる。
この吸着プレート34の下面、つまり版PPや基板SBを吸着保持する吸着面に吸着機構が設けられ、負圧供給経路を介して負圧供給源に接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着機構と繋がる吸着バルブV31(図3)を開閉制御することで吸着機構による版PPや基板SBの吸着が可能となる。なお、本実施形態では、上記した吸着機構および後述するようにブランケットを吸着保持する吸着機構は、負圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100が真空ポンプなどの負圧供給部を装備し、当該負圧供給部から吸着機構に負圧を供給するように構成してもよい。
このように構成された上ステージ部3では、搬送部2の版用シャトル23Lによって版が図1の左手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下の版吸着位置XP23に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレート34が下降して版PPを吸着保持する。逆に、版用シャトル23Lが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で版PPを吸着した吸着プレート34が吸着を解除すると、版PPが搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、版の受渡しが行われる。
また、基板SBについても版PPと同様にして上ステージ部3に保持される。すなわち、搬送部2の基板用シャトル23Rによって基板SBが図1の右手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレート34が下降して基板SBを吸着保持する。逆に、基板用シャトル23Rが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で基板SBを吸着した上ステージ部3の吸着プレート34が吸着を解除すると、基板SBが搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、基板SBの受渡しが行われる。
上ステージ部3の鉛直方向の下方(以下「鉛直下方」あるいは「(−Z)方向」という)では、石定盤1の上面にアライメント部4が配置されている。このアライメント部4では、支持プレート41が、図1に示すように、石定盤1の凹部を跨ぐように水平姿勢で配置され、石定盤1の上面に固定されている。また、この支持プレート41の上面にアライメントステージ42が固定されている。そして、アライメント部4のアライメントステージ42上に下ステージ部5が載置されて下ステージ部5の上面が上ステージ部3の吸着プレート34と対向している。この下ステージ部5の上面はブランケットBLを吸着保持可能となっており、制御部6がアライメントステージ42を制御することで下ステージ部5上のブランケットBLを高精度に位置決め可能となっている。
アライメントステージ42は、支持プレート41上に固定されるステージベース421と、ステージベース421の鉛直上方に配置されて下ステージ部5を支持するステージトップ422とを有している。これらステージベース421およびステージトップ422はいずれも中央部に開口を有する額縁形状を有している。また、これらステージベース421およびステージトップ422の間には、鉛直方向Zに延びる回転軸を回転中心とする回転方向、X方向およびY方向の3自由度を有する、例えばクロスローラベアリング等の支持機構423がステージトップ422の各角部近傍に配置されている。また、各支持機構423に対してボールねじ機構(図示省略)が設けられるとともに、各ボールねじ機構にステージ駆動モータM41(図3)が取り付けられている。そして、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて各ステージ駆動モータM41を作動させることで、アライメントステージ42の中央部に比較的大きな空間を設けながら、ステージトップ422を水平面内で移動させるとともに、鉛直軸を回転中心として回転させて下ステージ部5の吸着プレート51を位置決め可能となっている。なお、本実施形態において中空空間を有するアライメントステージ42を用いた理由のひとつは、下ステージ部5の上面に保持されるブランケットBLおよび上ステージ部3の下面に保持される基板SBに形成されるアライメントマークを撮像部43により撮像するためである。
下ステージ部5は、吸着プレート51と、柱部材52と、ステージベース53と、リフトピン部54とを有している。ステージベース53には、左右方向Xに延びる長孔形状の開口が前後方向Yに3つ並んで設けられている。そして、これらの長孔開口と、アライメントステージ42の中央開口とが上方からの平面視でオーバーラップするように、ステージベース53がアライメントステージ42上に固定されている。また、上記長孔開口には、撮像部43の一部が遊挿されている。また、ステージベース53の上面角部から柱部材52が(+Z)に立設され、各頂部が吸着プレート51を支持している。
この吸着プレート51は例えばアルミニウム合金などの金属プレートで構成されている。この吸着プレート51の上面には吸着機構(図示省略)が設けられるとともに、吸着機構に対して正圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が加圧用マニホールドに接続されている。さらに、各正圧供給配管の中間部に加圧バルブV51(図3)が介挿されている。この加圧用マニホールドに対しては、工場の用力から供給される加圧エアーをレギュレータで調圧することで得られる一定圧力のエアーが常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の加圧バルブV51が選択的に開くと、その選択された加圧バルブV51に繋がる吸着機構に対して調圧された加圧エアーが供給される。
また、吸着機構の一部に対しては、加圧エアーの選択供給のみならず、選択的な負圧供給も可能となっている。すなわち、特定の吸着機構の各々に対して負圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が負圧用マニホールドに接続されている。さらに、各負圧供給配管の中間部に吸着バルブV52(図3)が介挿されている。この負圧用マニホールドには、負圧供給源がレギュレータを介して接続されており、所定値の負圧が常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の吸着バルブV52が選択的に開くと、その選択された吸着バルブV52に繋がる吸着機構に対して調圧された負圧が供給される。
このように本実施形態では、バルブV51、V52の開閉制御によって吸着プレート51上にブランケットBLを部分的あるいは全面的に吸着させたり、吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませて上ステージ部3に保持された版PPや基板SBに押し付けることが可能となっている。
リフトピン部54では、リフトプレート541が吸着プレート51とステージベース53との間で昇降自在に設けられている。このリフトプレート541には、複数箇所に切欠部が形成されて撮像部43との干渉が防止されている。また、リフトプレート541の上面から鉛直上方に複数のリフトピン542が立設されている。一方、リフトプレート541の下面には、ピン昇降シリンダCL51(図3)が接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64がピン昇降シリンダCL51に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、ピン昇降シリンダCL51を作動させてリフトプレート541を昇降させる。その結果、吸着プレート51の上面、つまり吸着面に対し、全リフトピン542が進退移動させられる。例えば、リフトピン542が吸着プレート51の上面から(+Z)方向に突出することで、図示しないブランケット搬送ロボットによりブランケットBLがリフトピン542の頂部に載置可能となる。そして、ブランケットBLの載置に続いて、リフトピン542が吸着プレート51の上面よりも(−Z)方向に後退することで、ブランケットBLが吸着プレート51の上面に移載される。その後、後述するように適当なタイミングで、吸着プレート51の近傍に配置されたブランケット厚み計測センサSN51(図3)によって当該ブランケットBLの厚みが計測される。
上記したように、本実施形態では、上ステージ部3と下ステージ部5とが鉛直方向Zにおいて互いに対向配置されている。そして、それらの間に、下ステージ部5上に載置されるブランケットBLを上方より押さえる押さえ部7と、版PP、基板SBおよびブランケットBLのプリアライメントを行うプリアライメント部8とがそれぞれ配置されている。
押さえ部7は、吸着プレート51の鉛直上方側に設けられる押さえ部材71を切替機構(図示省略)によって鉛直方向Zに昇降することで2つの状態に切替可能となっている。すなわち、切替機構が押さえ部材71を降下させると、吸着プレート51上のブランケットBLが押さえ部7により押さえた状態(ブランケット押さえ状態)となる。一方、切替機構が押さえ部材71を上昇させると、押さえ部7がブランケットBLから離間してブランケットBLの押さえを解除した状態(ブランケット押さえ解除状態)となる。
プリアライメント部8では、プリアライメント上部81およびプリアライメント下部82が鉛直方向Zに2段で積層配置されている。これらのうちプリアライメント上部81は、プリアライメント下部82よりも鉛直上方側に配置され、ブランケットBLとの密着に先立って、位置XP23で版用シャトル23Lにより保持される版PPおよび基板用シャトル23Rにより保持される基板SBをアライメントする。一方、プリアライメント下部82は、版PPや基板SBとの密着に先立って、下ステージ部5の吸着プレート51に載置されるブランケットBLをアライメントする。なお、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とは基本的に同一構成を有している。そこで、以下においては、プリアライメント上部81の構成について説明し、プリアライメント下部82については同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
プリアライメント上部81では、額縁状のフレーム構造体811に対して4つの上ガイド812が移動自在に設けられている。すなわち、フレーム構造体811は、互いに左右方向Xに離間し前後方向Yに延設される2本の水平フレームと、互いに前後方向Yに離間し左右方向Xに延設される2本の水平フレームとを組み合わせたものである。そして、図2に示すように、前後方向Yに延設された2本の水平プレートのうちの左側水平プレートに対し、その中央部で上ガイド812が図示を省略するボールねじ機構により左右方向Xに移動自在に設けられている。そして、このボールねじ機構に連結される駆動モータM81(図3)が制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて作動することで上ガイド812が左右方向Xに移動する。また、右側水平プレートに対しても、上記と同様に、上ガイド812が駆動モータM81により左右方向Xに移動するように構成されている。さらに、前後方向Yに延設された2本の水平プレートの各々に対しても、上記と同様に、上ガイド812が駆動モータM81により左右方向Xに移動するように構成されている。このように、4つの上ガイド812が位置XP23の鉛直下方位置で版PPや基板SBを取り囲んでおり、各上ガイド812が独立して版PPなどに対して近接および離間可能となっている。したがって、各上ガイド812の移動量を制御することによって版PPおよび基板SBをシャトルのハンド上で水平移動あるいは回転させてアライメントすることが可能となっている。
また、本実施形態では、後で説明するように、ブランケットBL上のパターン層を基板SBに転写した後、ブランケットBLを基板SBから剥離するが、その剥離段階で静電気が発生する。また、版PPによりブランケットBL上の塗布層をパターニングした後、ブランケットBLを版PPから剥離した際にも、静電気が発生する。そこで、本実施形態では、静電気を除電するために、除電部9が設けられている。この除電部9は、(+X)側より上ステージ部3と下ステージ部5で挟まれた空間に向けてイオンを照射するイオナイザ91を有している。
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、モータ制御部63、バルブ制御部64、画像処理部65および表示/操作部66を有しており、CPU61はメモリ62に予め記憶されたプログラムにしたがって装置各部を制御して、図4に示すように、パターニング処理および転写処理を実行する。
図4は、図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。この印刷装置100の初期状態では、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rはそれぞれ中間位置XP22、XP24に位置決めされている。そして、版洗浄装置の版搬送ロボット(図示省略)による版PPの搬送動作と同期して版PPの投入工程(ステップS1)、ならびに基板洗浄装置の基板搬送ロボット(図示省略)の基板SBの搬送動作と同期して基板SBの投入工程(ステップS2)を実行する。なお、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rが一体的に左右方向Xに移動するという搬送構造を採用しているため、版PPの搬入を行った(ステップS1)後、基板SBの搬入を行う(ステップS2)が、両者の順序を入れ替えてもよい。
このように、本実施形態では、パターニング処理を実行する前に、版PPのみならず、基板SBをも準備しておき、後で詳述するように、パターニング処理および転写処理を連続して実行する。これによって、ブランケットBL上でパターニングされた塗布層が基板SBに転写されるまでの時間間隔を短縮することができ、安定した処理が実行される。
次のステップS3では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート231を下方向(−Z)に移動させる。これによって、版用シャトル23Lに支持されたまま版PPが搬送位置よりも低いプリアライメント位置に移動して位置決めされる。
次に、上ガイド駆動モータM81が作動して上ガイド812が移動し、各上ガイド812が版用シャトル23Lに支持される版PPの端面と当接して版PPを予め設定した水平位置に位置決めする。その後、各上ガイド駆動モータM81が逆方向に作動し、各上ガイド812が版PPから離間する。こうして、版PPのプリアライメント処理が完了すると、ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて版PPの上面と当接させる。それに続いて、バルブV31が開き、これによって上ステージ用の吸着機構により版PPが吸着プレート34に吸着される。
こうして版PPの吸着が完了すると、ステージ昇降モータM31が逆方向に回転して、吸着プレート34が版PPを吸着保持したまま鉛直上方に上昇して版吸着位置XP23の鉛直上方位置に版PPを移動させる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート231を鉛直上方に移動させ、版用シャトル23Lをプリアライメント位置から搬送位置、つまり版吸着位置XP23に移動して位置決めする。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させ、空になった版用シャトル23Lを中間位置XP22に位置決めする。
次のステップS4では、ステージ駆動モータM41が作動してアライメントステージ42を初期位置に移動させる。これによって、毎回スタートが同じ位置となる。それに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を上昇させ、リフトピン542を吸着プレート51の上面から鉛直上方に突出させる。こうして、ブランケットBLの投入準備が完了すると、図示を省略するブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスしてブランケットBLをリフトピン542の頂部に載置した後、装置100から退避する。次に、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を下降させる。これによって、リフトピン542がブランケットBLを支持したまま下降してブランケットBLを吸着プレート51に載置する。すると、下ガイド駆動モータM82が作動し、下ガイド822が移動し、各下ガイド822が吸着プレート51に支持されるブランケットBLの端面と当接してブランケットBLを予め設定した水平位置に位置決めする。
こうしてブランケットBLのプリアライメント処理が完了すると、吸着バルブV52が開き、これによって下ステージ用の吸着機構に対して調圧された負圧が供給されてブランケットBLが吸着プレート51に吸着される。さらに、各下ガイド駆動モータM82が回転軸を逆方向に回転させ、各下ガイド822をブランケットBLから離間させる。これによって、パターニング処理の準備が完了する。
次のステップS5では、センサ水平駆動シリンダCL52(図3)が動作してブランケット厚み計測センサSN51をブランケットBLの右端部の直上位置に位置決めする。そして、ブランケット厚み計測センサSN51がブランケットBLの厚みに関連する情報を制御部6に出力し、これによってブランケットBLの厚みが計測される。その後で、上記センサ水平駆動シリンダCL52が逆方向に動作してブランケット厚み計測センサSN51を吸着プレート51から退避させる。
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて版PPをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート34を昇降させて鉛直方向Zにおける版PPとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する。なお、このギャップ量は版PPおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。
そして、押さえ部7の押さえ部材71を下降させてブランケットBLの周縁部を全周にわたって押さえ部材71で押さえ付ける。それに続いて、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された版PPに押し付けられる。その結果、ブランケットBLの中央部が版PPに密着して版PPの下面に予め形成されたパターンがブランケットBLの上面に予め塗布された塗布層と当接して当該塗布層をパターニングしてパターン層を形成する。
次のステップS6では、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させて吸着プレート34が上昇して版PPをブランケットBLから剥離させる。また、剥離処理を行うために版PPを上昇させるのと並行して適時、バルブV51、V52の開閉状態を切替え、ブランケットBLに負圧を与えて吸着プレート51側に引き寄せる。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、吸着プレート34を上昇させて版PPをイオナイザ91とほぼ同一高さの除電位置に位置決めする。また、押さえ部7の押さえ部材71を上昇させてブランケットBLの押さえ付けを解除する。それに続いて、イオナイザ91が作動して上記版剥離処理時に発生する静電気を除電する。この除去処理が完了すると、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート34が初期位置(版吸着位置XP23よりも高い位置)まで上昇する。
次のステップS7では、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド232、232を180゜回転させて原点位置から反転位置に位置決めする。これによって、ハンド姿勢が未使用姿勢から使用済姿勢に切り替わり、使用済みの版PPの受取準備が完了する。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート34が版用シャトル23Lのハンド232、232に向けて下降してハンド232、232上に版PPを位置させた後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着プレート34の吸着機構による版PPの吸着が解除されて搬送位置での版PPの受け渡しが完了する。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート34を初期位置まで上昇させる。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが使用済み版PPを保持したまま中間位置XP22に移動して位置決めされる。
次のステップS8では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、処理前の基板SBを保持する基板用シャトル23Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版PPのプリアライメント処理および吸着プレート34による版PPの吸着処理と同様にして、基板SBのプリアライメント処理および基板SBの吸着処理が実行される。その後、基板SBの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34を鉛直上方に上昇させて基板吸着位置XP23より高い位置に基板SBを移動させる。そして、基板用シャトル昇降モータM22Rが回転軸を回転させ、基板用シャトル23Rをプリアライメント位置から搬送位置に移動させて位置決めする。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させ、空になった基板用シャトル23Rを中間位置XP24に位置決めする。
次のステップS9では、ブランケット厚みが計測され、さらに精密アライメントが実行された後で、転写処理が実行される。すなわち、パターニング処理での厚み計測と同様にして、ブランケットBLの厚みが計測される。なお、このようにパターニング直前のみならず、転写直前においてもブランケットBLの厚みを計測する主たる理由は、ブランケットBLの一部が膨潤することでブランケットBLの厚みが経時変化するためであり、転写直前でのブランケット厚みを計測することで高精度な転写処理を行うことが可能となる。
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて基板SBをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート34を昇降させて鉛直方向Zにおける基板SBとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する。このギャップ量については、基板SBおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。そして、パターニング(ステップS5)と同様に、押さえ部材71によるブランケットBLの周縁部の押さえ付けを行う。
こうして、基板SBとブランケットBLとはいずれもプリアライメントされ、しかも転写処理に適した間隔だけ離間して位置決めされるが、ブランケットBLに形成されたパターン層を基板SBに正確に転写するためには、両者を精密に位置合せする必要がある。そこで、本実施形態では、撮像部43が、ブランケットBLにパターニングされたアライメントマークならびに基板SBに形成されるアライメントマークを撮像し、それらの画像を制御部6の画像処理部65に出力する。そして、それらの画像に基づいて制御部6は基板SBに対してブランケットBLを位置合せするための制御量を求め、さらにアライメント部4のステージ駆動モータM41の動作指令を作成する。そして、ステージ駆動モータM41が上記制御指令に応じて作動して吸着プレート51を水平方向に移動させるとともに鉛直方向Zに延びる仮想回転軸回りに回転させてブランケットBLを基板SBに精密に位置合せする(アライメント処理)。
そして、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された基板SBに押し付けられる。その結果、ブランケットBLが基板SBに密着する。これによって、ブランケットBL側のパターン層が基板SBの下面のパターンと精密に位置合せされながら、基板SBに転写される。
次のステップS10では、版剥離(ステップS6)と同様に、ブランケットBLからの基板SBの剥離、除電位置への基板SBの位置決め、押さえ部材71によるブランケットBLの押付解除、除電を実行する。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34が初期位置(搬送位置よりも高い位置)まで上昇する。
次のステップS11では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、基板用シャトル23Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。また、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34を基板用シャトル23Rのハンド232、232に向けて下降させる。その後、バルブV31が閉じ、これによって吸着機構による基板SBの吸着が解除される。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート34を初期位置まで上昇させる。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させて当該基板SBを保持したまま基板用シャトル23Rを中間位置XP24に移動させて位置決めする。
次のステップS12では、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51によるブランケットBLの吸着を解除する。そして、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を上昇させ、使用済みのブランケットBLを吸着プレート51から鉛直上方に持ち上げる。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスして使用済みのブランケットBLをリフトピン542の頂部から受け取り、装置100から退避する。これに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を下降させ、リフトピン542を吸着プレート51よりも下方向(−Z)に下降させる。
次のステップS13では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22が(+X)方向に移動する。これによって、版用シャトル23Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。それに続いて、版洗浄装置の版搬送ロボットが使用済みの版PPを印刷装置100から取り出す。こうして版PPの搬出が完了すると、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させ、版用シャトル23Lを中間位置XP22に位置決めする。
次のステップS14では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、基板用シャトル23Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。それに続いて、基板洗浄装置の基板搬送ロボットが転写処理を受けた基板SBを印刷装置100から取り出す。こうして基板SBの搬出が完了すると、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させ、基板用シャトル23Rを中間位置XP23に位置決めする。これにより、印刷装置100は初期状態に戻る。
次に、上記のように構成された印刷装置100における精密アライメント動作についてさらに詳しく説明する。先に説明したように、この実施形態では、下ステージ部5の上面に保持されるブランケットBLと上ステージ部3の下面に保持される基板SBとの精密アライメントを、これらに予め形成されたアライメントマークを撮像部43により撮像するとともに、その撮像結果に基づいてアライメントステージ42を動作させることによって行う。ここで、想定する基板SBの平面サイズは350mm×300mm程度である。一方、目標とする基板SBとブランケットBLとの位置合わせ精度は、例えば±3μm程度である。
図5はアライメントステージの詳細構造を示す図である。前記したように、アライメントステージ42はステージベース421およびステージトップ422を備えており、これらの間に支持機構423が設けられるとともに、ステージ駆動モータM41により支持機構423が駆動されることで、ステージベース421に対するステージトップ422の移動が実現される。図5では、ステージベース421の四隅にそれぞれ設けられた支持機構423のそれぞれを、符号423a,423b,423cおよび423dにより区別している。また、これらの各々に結合されるステージ駆動モータM41に対して、それぞれ符号M41a,M41b,M41cおよびM41dを付している。
ステージ駆動モータM41aが支持機構423aを駆動することにより、支持機構423aの近傍に点線矢印で示すように、支持機構423aはY方向に所定の範囲で移動可能となっている。また、それぞれの近傍に点線矢印で示すように、ステージ駆動モータM41bは支持機構423bをX方向に、ステージ駆動モータM41cは支持機構423cをY方向に、ステージ駆動モータM41dは支持機構423dをX方向に、それぞれ所定の範囲で移動可能となっている。
支持機構423aおよび423cが互いに同方向に移動することで、ステージトップ422はステージベース421に対して(+Y)方向または(−Y)方向に移動する。また、支持機構423bおよび423dが互いに同方向に移動することで、ステージトップ422はステージベース421に対して(+X)方向または(−X)方向に移動する。一方、これらが互いに逆方向に移動することで、ステージトップ422はステージベース421に対し鉛直軸周りに回転する。このようにして、ステージベース421に対するステージトップ422の水平面(XY平面)内における移動とZ軸周りの回転運動とが実現されている。
図6は撮像部の詳細構造を示す図である。図2に示したように、撮像部43はその上端部が下ステージ部5の吸着プレート51の直下まで延びており、その先端部には図6に示すCCDカメラ430が取り付けられている。なお、撮像部43は、吸着プレート51により吸着保持されるブランケットBLの四隅に対応して4箇所設けられているが、それらの撮像部43の構造はいずれも同一である。
吸着プレート51のうちブランケットBLの四隅に対応する位置にはそれぞれ透明な石英窓52aが嵌め込まれており、吸着プレート51の下方から該石英窓52aを介してブランケットBLが見通せるようになっている。石英窓52aの下方には、CCDカメラ430が配置されている。具体的には、石英窓52aの直下位置に、対物レンズ435、ハーフミラー437およびCCD撮像素子の受光面438がこの順番で配置されている。対物レンズ435の光軸は略鉛直方向と一致しており、該光軸上に石英窓52aおよび受光面438がそれぞれ配置されている。ハーフミラー437には側方から光源436からの光が入射しており、該光はハーフミラー437で反射されて石英窓52aに向けて出射され、石英窓52aを介してブランケットBLに入射する。
上ステージ部3の吸着プレート34の下面に保持された基板SBの下面のうち石英窓52aに臨む位置には、所定の第1アライメントマークAM1が予め形成されている。一方、下ステージ部5の吸着プレート51の上面に保持されたブランケットBLの上面のうち石英窓52aに臨む位置には、所定の第2アライメントマークAM2が予め形成されている。すなわち、基板SBとブランケットBLとは、それぞれのアライメントマーク形成面が互いに向き合うように対向配置されている。これにより、鉛直方向(Z方向)における両アライメントマーク間の距離を小さくすることができる。ギャップ調整後の基板SBとブランケットBLとの間の間隔Gsbについては、これをできるだけ小さくすることが望ましいが、装置各部の寸法精度や基板SBおよびブランケットBLの撓み等を考慮すると、基板SBとブランケットBLとの予定しない接触を防ぐためにはある程度離さざるを得ない。ここでは例えば間隔Gsbを300μmとする。
ブランケットBLは、ガラス板または透明樹脂板の表面に例えばシリコンゴムによる薄い弾性層が形成されたものであり、光透過性を有する。したがって、下ステージ部5の下方からは、石英窓52aおよびブランケットBLを介して第1アライメントマークAM1および第2アライメントマークAM2が同時に見通せる状態となっている。CCD受光面438は、石英窓52aに臨んで配された第1アライメントマークAM1および第2アライメントマークAM2を同一視野内で一括して撮像する。
対物レンズ435、ハーフミラー437、受光面438および光源436は一体的に、XYテーブル431によってXY平面に沿った方向に、また精密昇降テーブル432によって鉛直方向(Z方向)に移動可能となっている。対物レンズ435の前側焦点は、精密昇降テーブル432によってブランケットBLのアライメントマーク形成面に合わせられる。一方、後側焦点は予めCCD撮像素子の受光面438に合わせられている。このため、CCD受光面438には、ブランケットBLに形成された第2アライメントマークAM2にピントが合った(焦点内の)光学像が結像され、CCDカメラ430によりこの光学像が撮像される。
なお、第2アライメントマークAM2は、基板に転写すべきパターンと同一材料により、パターン形成と同時に、ブランケットBLの弾性層の表面に形成される。すなわち、版PPには基板SBに転写すべきパターンとともにアライメントマークAM2に対応するパターンが予め形成されており、版PPをブランケットBL上の塗布層に密着させてパターニングを行うときに、アライメントマークAM2も同時に形成される。上記の通り、ブランケットBLの主面のうち、弾性層が形成された側の一方主面が、パターンおよびアライメントマークの形成面となっている。
図7はアライメントマークのパターンの例を示す図である。より詳しくは、図7(a)はこの実施形態において基板に形成される第1アライメントマークを示し、図7(b)はこの実施形態においてブランケットに形成される第2アライメントマークを示す。
図7(a)に示すように、基板SBに形成される第1アライメントマークAM1は、互いに離隔配置された複数の(この例では4個の)第1アライメントパターンAP1(AP11〜AP14)からなる。各アライメントパターンAP1は、ピントが合わない状態でも図形が消失しない程度のサイズ、例えば1辺が50μm程度の矩形(この例では正方形)で、四辺に囲まれた内部が一様に塗り潰された中実な図形である。このような第1アライメントパターンAP1が4個、それぞれが正方形の頂点になるような位置に配置されて第1アライメントマークAM1が構成される。各アライメントパターンAP1間の間隔は750μmである。
一方、図7(b)に示すように、ブランケットBLに形成される第2アライメントマークAM2は単一の第2アライメントパターンAP2からなる。第2アライメントパターンAP2は、例えば1辺が120μm程度の矩形で内部がくり抜かれて空白となった環状の中空な図形である。正方形をなす各辺の線幅は例えば10μmであり、したがって内部の正方形の1辺は100μm程度である。
また、図7(c)はこれらのアライメントパターンの空間周波数スペクトルを示している。これらのパターンの有する空間周波数成分を比較すると、中実図形である第1アライメントパターンAP1が、中空図形である第2アライメントパターンAP2よりも多くの低周波成分を含んでいる。つまり、第1アライメントパターンAP1の方が、空間周波数のスペクトルが低周波数側に偏っている。後述する精密アライメント動作では、この特徴を利用して各アライメントパターンの位置検出を行う。
図8は精密アライメント動作のためのアライメントマークの配置を示す図である。基板SBおよびブランケットBLはほぼ同一の平面サイズを有する板状体であり、両者を重ね合わせたときに互いに対応する位置に、それぞれアライメントマークが形成される。すなわち、板状の基板SBの中央部には、回路パターン等の所定パターンが形成されて最終的にデバイスとして機能する有効パターン領域PRが設定される。これに対応するブランケットBLの表面領域がブランケットBLの有効パターン領域PRであり、基板SBに転写すべきパターンは版PPによってこの領域PRにパターニングされる。図8の例では矩形基板SBの中央部の矩形領域を有効パターン領域PRとしているが、これらの形状は矩形に限定されるものではなく任意である。
そして、有効パターン領域PRの四隅の外側、基板SBの角部に近接する領域を、アライメントマーク形成領域ARとしている。なお、下ステージ部5の吸着プレート51に設けられる石英窓52aは、上記した4箇所のアライメントマーク形成領域ARに対応する位置にそれぞれ設けられる。
基板SBにおいては、例えばフォトリソグラフィー技術によって予め第1アライメントマークAM1が4箇所のアライメントマーク形成領域ARのそれぞれに形成されている。一方、ブランケットBLの各アライメントマーク形成領域ARに形成される第2アライメントマークAM2は、有効パターン領域PRに形成されるパターンと共に、版PPを用いてパターン形成材料によりパターニングされる。そのため、パターニング時の版PPとブランケットBLとの位置関係に関わらず、ブランケットBL上において有効パターン領域PRに形成されるパターンとアライメントマーク形成領域ARに形成されるアライメントマークとの位置関係は不変である。これにより、アライメントマークを用いた位置合わせにより基板SBとブランケットBL上のパターンとの位置関係が一定に保たれる。したがって版PPとブランケットBLとの間での精密アライメントは必ずしも必要ない。
この実施形態では、上記のように構成されたアライメントパターンをアライメント部4の撮像部43によって撮像し、撮像した画像からアライメントパターンを検出して基板SBとブランケットBL(厳密にはブランケットBL上のパターン)との位置関係を把握し、必要に応じてこれらの位置を合わせるための調整動作を行う。
本実施形態の第1アライメントマークおよび第2アライメントマークは、それぞれ上記したアライメントパターンを構成要素としてこれを1つまたは複数含んだものである。ただし、本実施形態の精密アライメント動作自体は、単一のアライメントパターンのみからなるアライメントマークによっても成立する。そこで、ここでは単一の第1アライメントパターンAP1からなる第1アライメントマークを基板SBに形成し、単一の第2アライメントパターンAP2からなる第2アライメントマークをブランケットBLに形成した例を用いてアライメント動作の原理を説明する。
図9はCCDカメラで撮像された画像の一例を示す図である。撮像された画像IMには、図9(a)に示すように、ピントが合った状態で高い画像コントラストで撮像された第2アライメントパターンAP2が含まれる。したがって、撮像された画像から第2アライメントパターンAP2の重心位置G2mを検出することは比較的容易である。第2アライメントパターンAP2を環状矩形の中空図形とした場合、例えば次のようにして重心位置を求めることができる。図9(b)に示すように、画像内の各位置ごとの輝度を所定の閾値で二値化することで第2アライメントパターンAP2のエッジ部分を抽出し、これから第2アライメントパターンAP2の輪郭を推定してその重心G2mの位置を求めることができる。特に、パターンの外形寸法や線幅などの特徴が予めわかっていることから、画像処理部65はそれらの特徴に特化した画像処理を適用することができる。
一方、基板側に形成された第1アライメントパターンAP1については、必ずしもピントが合っているとは限らない。光軸方向における第1アライメントパターンAP1と第2アライメントパターンAP2との間隔が対物レンズ435の被写界深度以下であれば、第1アライメントパターンAP1と第2アライメントパターンAP2との両方にピントが合った画像を撮像することが可能である。しかしながら、アライメントパターン間の間隔が対物レンズ435の被写界深度よりも大きいとき、第2アライメントパターンAP2にピントを合わせれば第1アライメントパターンAP1は被写界深度外となってピントが合わず、輪郭のぼやけた画像として撮像される。
本実施形態では5倍程度の倍率を有する対物レンズ435を使用しており、その被写界深度は±30μm(合焦範囲として60μm)程度である。一方、装置100にセットされた基板SBとブランケットBLとの間隔Gsbはギャップ調整後において300μm程度である。このような条件では、両アライメントパターンに同時にピントを合わせることは不可能である。すなわち、第2アライメントパターンAP2にピントを合わせれば、必然的に第1アライメントパターンAP1にはピントが合わない。本実施形態の精密アライメント方法は、このような場合にも対応して高精度の位置合わせを可能とするものである。
第1アライメントパターンAP1にピントが合っていないとき、図9(a)に示すように、第1アライメントパターンAP1は破線で示す本来の外形よりも大きく、しかも輪郭がぼやけた状態で撮像されている。したがって元の第1アライメントパターンAP1の形状が有していた空間周波数成分のうち比較的高い周波数成分は失われている。このため、第2アライメントパターンAP2の場合のようにエッジを抽出する方法は適用が難しくまた検出誤差も大きくなると考えられる。そこで、図9(c)に示すように、輝度レベルのピーク位置をもって第1アライメントパターンAP1の重心位置を求める。
このとき、図7(c)に示したように、予め第1アライメントパターンAP1の形状を低い空間周波数成分を多く含むものとしておくことによって、画像情報の損失を抑え、重心位置の検出精度の低下を抑制することができる。特にシェーディング補正を伴う画像処理を行う場合には、これによって低い周波数成分も失われるため、空間周波数の分布が低周波数側に寄った形状のパターンを用いることが有効である。
また、元の形状に含まれる高周波成分が失われることが予めわかっているのであるから、重心位置の検出において高周波成分は有用性を持たず、むしろノイズとして作用するものである。そこで、画像から高周波成分を除去する低域フィルタリング処理を行い、除去後の画像から重心位置を検出することが望ましい。このようにして、ピントが合わない第1アライメントパターンAP1の重心G1mの位置を検出する。
図9(a)に示すように、例えば第1アライメントパターンAP1の重心位置G1mを基準としたとき、本来、つまり基板SBとブランケットBLとの位置関係が適切であるときに第2アライメントパターンAP2が位置すべき重心の位置を符号G2tにより表す。しかしながら、実測された重心G2mの位置は必ずしもこれと一致せず、これらを一致させるために精密アライメント動作が必要となる。すなわち精密アライメント動作では、同図において矢印で示すように、検出される第2アライメントパターンAP2の重心位置G2mをその適正位置G2tに一致させるように基板SBとブランケットBLとの相対位置を調整する。この実施形態では、撮像結果に基づきアライメントステージ42のステージトップ422の必要移動量を算出しこれを移動させることで、ステージトップ422に支持された下ステージ部5およびこれに載置されたブランケットBLを移動させて、基板SBに対する位置合わせを行う。
図10は精密アライメント動作の処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理は、図4のステップS9の処理の一部として行われるものである。まず、精密昇降テーブル432により、撮像部43に設けられたCCDカメラ430のピントがブランケットBLのアライメントマーク形成面(上面)に合わせられる(ステップS901)。なお、ブランケットBLは膨潤に起因してその厚みが変動するため、ピント合わせは転写処理の実行の度に行われる必要がある。
具体的には、例えば次のようなオートフォーカス(AF)調整動作により、ピント合わせを行うことができる。すなわち、精密昇降テーブル432によりCCDカメラ430を上下方向(Z方向)に動かすことで焦点位置をZ方向に一定ピッチで変更設定しながら、その都度CCDカメラ430による撮像を行う。そして、撮像されるアライメントパターンAP2の画像から、画像コントラストが最大となる位置を算出し、その位置に対物レンズ435の焦点位置を合わせる。なお、4つのCCDカメラ430のピント合わせはそれぞれ個別に行われるが、その処理内容は同一である。
図11はピント合わせ動作を示すフローチャートである。最初に、精密昇降テーブル432により、CCDカメラ430の高さ、すなわちZ方向位置を所定の初期値に設定する(ステップS911)。そして、精密昇降テーブル432によりCCDカメラ430の高さを多段階に変更設定しながら、その都度CCDカメラ430による第2アライメントパターンAP2の撮像を行う(ステップS912)。CCDカメラ430が所定の最終高さに到達するまで、これを繰り返す(ステップS913)。この実施形態では、予め定められた標準高さから±100μmの範囲において、20μmステップでCCDカメラ430を移動させ、各位置で撮像を行う。
こうして各高さで撮像された原画像のうち、第2アライメントパターンAP2が最も鮮明に映っているものが、CCDカメラ430のピントが第2アライメントパターンAP2に合った(もしくはそれに最も近い)状態を表している。したがって、そのような画像を見つけ出して、それに対応する高さにCCDカメラ430をセットすることで、ピント合わせの目的は達成されることになる。
しかしながら、第2アライメントパターンAP2は基板SBに転写すべきパターンと同一材料で形成されるものであるため、常に良好なコントラストで撮像することができるとは限らない。例えば、ブランケットBLと近似した光学的特性(特に屈折率、反射率など)を有する材料で第2アライメントパターンAP2が形成されている場合、撮像条件を微調整しても低い画像コントラストしか得られないことがある。
また、基板SBとブランケットBLとが極めて近接して配置された状態では、光源463からの照明光が基板SBにより反射されることで比較的明るい画像を得ることができる。これに対して、例えば基板SBとブランケットBLとのギャップ調整が済んでいない状態のように基板SBとブランケットBLとの距離が比較的大きいとき、CCDカメラ430側から見てブランケットBLの背後にある基板SBが遠いため、十分な反射光量が得られず、暗くかつコントラストの低い画像となる場合がある。基板SB自体の反射率が低い場合も同様である。
このように、まだピントが合っていない状態での第2アライメントパターンAP2の撮像を良好な環境下で行うことが期待できない場合があり、画像から第2アライメントパターンAP2を検出することが困難な場合がある。しかしながら、このような環境下でも確実にピント合わせを行うことが必要である。これを可能とするために、この実施形態では次のようにしている。
本実施形態のCCDカメラ430では、撮像素子の1画素のサイズが約0.7μmである。一方、図7(b)に示したように、第2アライメントパターンAP2の線幅は10μmであり、これは撮像素子の約14画素分に相当している。したがって、たとえ低コントラストの画像であっても、この線幅に対応する14画素分に相当する空間周波数成分を強調することにより、画像から第2アライメントパターンAP2をより検出しやすくすることが可能である。というのは、第2アライメントパターンAP2の形状およびサイズは既知であり、しかもこの場合、撮像された画像からの第2アライメントパターンAP2の検出はそのエッジ位置が特定されれば足りるからである。
例えば、線幅よりも十分に細かい、例えば線幅の半分以下のサイズに対応する空間周波数成分を除去することで、第2アライメントパターンAP2のエッジに関する情報を失うことなくノイズ成分、特に高周波のランダムノイズ成分を除去することができる。また、線幅よりも十分に大きい、例えば線幅の2倍以上のサイズに対応する空間周波数成分を除去することで、やはり第2アライメントパターンAP2のエッジに関する情報を失うことなく、より大きなスケールでの変動要因、例えばシェーディングの影響を排除することが可能である。
具体的には、各高さで撮像された原画像について、画像処理部65が、第2アライメントパターンAP2のパターン形状に基づき設定した所定の画素単位、具体的には線幅に対応する画素数の半分以下(例えば4画素×4画素)で平均化圧縮を行う(ステップS914)。ここでは平均化圧縮後の画像データを第1データと称する。こうして平均化圧縮を行うことで、原画像に含まれる高周波成分が除去され、特にランダムノイズ成分が効果的に除去される。すなわち、平均化圧縮処理は実質的には低域通過フィルタリング処理に相当する。また、以後の演算におけるデータ量を削減する効果もある。
次に、平均化圧縮後の第1データに対して、所定の画素単位、例えば7画素×7画素で平均化圧縮を行う(ステップS915)。なお、ここでいう「画素」は4画素単位で圧縮された第1データにおける画素を意味しており、したがってここでの7画素は原画像における28画素(すなわち線幅の2倍)に相当する。これにより、第2アライメントパターンAP2によらない低周波成分、例えばシェーディングによる変動分が抽出される。これを第2データとする。
続いて、第1データと第2データとの比を取ることで、第1データからシェーディングの影響が排除される。すなわち、この比を求める処理は、実質的には低い周波数での変動成分を除去する高域通過フィルタリング処理に相当する。この結果、第2アライメントパターンAP2の線幅に対応する成分を中心とする帯域の空間周波数成分のみが抽出される。つまり、第2アライメントパターンAP2の線幅に対応する空間周波数成分がバンドパスフィルタにより抽出されたことになる。こうして得られた比の値に1より大きな所定の強調係数Kを乗じることで、原画像のうち第2アライメントパターンAP2の線幅に対応する画像要素のコントラストが強調された画像が得られる(ステップS916)。
図12はコントラスト強調された画像データの例を示す図である。同図は第2アライメントパターンAP2を撮像した画像中に引いた1本の線上における位置と画素値との関係を示している。符号(A)は原画像の画像データを示しており、データにはノイズが含まれ、原画像では第2アライメントパターンAP2の位置を見出すに十分なコントラストが得られていない。符号(B)は第1データを表しており、低域通過フィルタ処理により高周波ノイズ成分が大幅に除去されているが、シェーディングに起因するより緩やかな変動が見られる。符号(C)は第2データを表しており、ほとんどシェーディングによる低周波の変動のみが現れている。
符号(D)はコントラスト強調後のデータを表しており、シェーディングによる低周波の変動が除去された上でコントラストが強調されたことにより、第2アライメントパターンAP2のエッジに相当する位置のピークがはっきりと認識できる。画像に現れる第2アライメントパターンAP2が鮮明であるほど、このピークも鮮明に現れる。このことを利用して、画像から第2アライメントパターンAP2を検出することができる。
例えば第2アライメントパターンAP2が全く含まれない画像では、コントラスト強調後のデータ(符号(D))においても顕著なピークは現れず、画像全体の画素値が平均レベルVavgに近い一様な値となる。一方、CCDカメラ430のピントがブランケットBL上面に近づくほど、平均レベルVavgからの乖離が大きい画素値が現れてくることになる。したがって、画像内の各位置ごとの画素値Viとその平均値Vavgとの差の絶対値を求め、その値を画像内で積算した総和:
Σ|Vi−Vavg| … (式1)
の値の大小によって、CCDカメラ430のフォーカス位置とブランケットBL上面位置とのずれ量を評価することができる。CCDカメラ430のピントがブランケットBL上面に近いほど、画像に含まれる第2アライメントマークAM2に対応する空間周波数成分が多くなり、それに伴って上記(式1)で表される値が大きくなる。そこで、CCDカメラ430の高さを異ならせて撮像した画像のそれぞれについて(式1)により求めた値を、ここでは「AF評価値」と称する。これらの画像のうち、AF評価値が最大となる、つまり第2アライメントマークAM2に対応する空間周波数成分が最も多く含まれる画像が撮像されたときのCCDカメラ430の高さが、CCDカメラ430のピントがブランケットBL上面に最も近くなる高さであるということができる。
強調係数Kについては、1より大きい任意の値とすることができるが、当然にこの値が大きいほどコントラストは強く強調され、第2アライメントパターンAP2のエッジに対応するピークが増強される。この場合、アライメントパターンと無関係の信号まで強調されることが懸念されるが、発明者らの実験によれば、少なくともピント合わせ動作に関してはその精度に影響を与えるほどの支障は生じていない。これは、検出すべきアライメントパターンの形状に特化した信号処理、すなわち第2アライメントパターンAP2を特徴づける空間周波数成分に対応した帯域を抽出するバンドパスフィルタ処理を行うことで、アライメントパターンと無関係の信号が十分に低減されているためと考えられる。
一方、CCDカメラ430がもともと有するダイナミックレンジを超えてコントラストを強調することは原理的に不可能であり、この点において強調係数Kの適正値の上限が定まる。例えば最大出力信号に対するランダムノイズの平均振幅がN%である撮像系においては、強調係数Kの適正な最大値Kmaxは次式:
Kmax=100/4N … (式2)
により与えられる。これは、±N%の振幅のノイズが(100/2N)倍に強調されたときノイズ成分だけで100%に達してしまうこと、および、実用上はS/N比が2倍未満である信号をノイズから分離することが難しいという実験事実から導かれたものである。例えば信号に対するランダムノイズの比が1%である撮像系では、強調係数Kの上限値は25となる。
図11に戻って、ステップS916までの処理によりコントラスト強調された各高さでの画像データから、上記原理に基づき、(式1)で定義されるAF評価値をそれぞれ算出する(ステップS917)。そして、それらのうちAF評価値が最大である画像に対応する高さにCCDカメラ430の高さを設定する(ステップS918)。これにより、CCDカメラ430のフォーカス位置がほぼブランケットBLの上面に合わせられる。
図10に戻って精密アライメント動作の説明を続ける。こうしてピント調整がなされた状態では、各CCDカメラ430の視野には第1アライメントパターンAP1およびこれに対応する第2アライメントパターンAP2が入っており、このうち第2アライメントパターンAP2にピントが合った状態である。各CCD430はそれぞれこの画像を撮像し、画像データを画像処理部65へ送出する(ステップS902)。画像処理部65は、こうして撮像された画像に対し所定の画像処理を行い、画像内における第1および第2アライメントパターンAP1,AP2の位置検出を行う(ステップS903、S904)。具体的にはこれらの重心位置G1m,G2mを検出する。
上記のようにして第1アライメントパターンAP1の重心G1m、および第2アライメントパターンAP2の重心G2mの位置が検出されると、続いてそれらの間の位置ずれ量を算出する(ステップS905)。ここで算出するべきは、検出された2つのアライメントパターンそれぞれの重心G1m、G2m間の位置ずれ量ではなく、第1アライメントパターンAP1の重心位置G1mから導かれる第2アライメントパターンAP2の適正な重心位置G2tと、実測により検出された第2アライメントパターンAP2の重心位置G2mとの間の位置ずれ量である。なお、第1および第2アライメントパターンがその重心位置が共通となるように配置されている(つまりG2tがG1mに等しい)場合には、当然に2つのアライメントパターンそれぞれの重心G1m、G2m間の位置ずれ量が、求めるべき量となる。
なお、XY平面内において基板SBとブランケットBLとの間で生じる位置ずれとしては、X方向およびY方向へのずれだけではなく、捩れ、つまり鉛直軸周りの回転角度が互いに異なるタイプのずれがある。基板SBおよびブランケットBLのそれぞれに設けた1対のアライメントパターンの重心位置の調整では、この鉛直軸周りの回転方向(以下、「θ方向」と称する)へのずれを補正することが難しい。特に一方のアライメントパターンがピントの合わない状態で撮像されているとき、ぼやけた画像から該パターンの回転角度を把握することは困難である。
この実施形態では、基板SBおよびブランケットBLの4隅それぞれに各1対のアライメントマークを設け(図8)、これらを4組の撮像部43で撮像する。そして、これら4組の撮像部43で撮像された画像のそれぞれから求められたX、Yおよびθ方向の位置ずれを平均的に補正するように、ステージトップ422のX、Yおよびθ方向の移動量を総合的に決定する。こうすることで、基板SBとブランケットBLとの高精度な位置合わせを可能にしている。
基板SB側およびブランケットBL側のそれぞれについて、各カメラで撮像されたアライメントパターンの重心位置が画像処理部65による画像処理によって求められると(ステップS903、S904)、これらの算出結果から、基板SBとブランケットBLとの位置ずれ量を算出する(ステップS905)。ここでの位置ずれ量は、X方向、Y方向およびθ方向のそれぞれについて算出される。こうして求められた位置ずれ量が予め定められた許容範囲内にあれば(ステップS906)、基板SBとブランケットBLとの間の位置ずれは無視できるものとして精密アライメント動作を終了する。
位置ずれ量が許容範囲を超えているとき、これを補正するためのブランケットBLの移動が必要である。続いてそのための移動を行うのであるが、何らかの装置の不具合により位置合わせができない状態となっている可能性もあることを考慮して、位置合わせのための移動のリトライ回数に上限を設定しておく。すなわち、リトライ回数が予め設定された所定回数に達しているときには(ステップS907)、所定のエラー停止処理を実行した上で(ステップS908)、処理を終了する。このエラー停止処理の内容としては、例えば、所定のエラーメッセージを表示して処理自体を完全に中止する、エラーの内容をユーザに報知した上で以後の処理についてユーザの指示を待つ、などが考えられる。ユーザの指示に応じて処理を再開するようにしてもよい。
一方、所定のリトライ回数に達していなければ(ステップS907)、位置合わせのために必要なブランケットBLの移動量を算出し(ステップS909)、算出された移動量に基づきアライメントステージ42を動作させて(ステップS910)、ステージトップ422とともにブランケットBLの位置を移動させる。この状態で、再び各アライメントパターンの撮像および重心位置の検出を行い、ブランケットBLの再移動が必要か否かの判定を行う(ステップS902〜S906)。これを所定のリトライ回数に達するまで繰り返す(ステップS907)。
これにより、各CCDカメラ430により撮像される画像のそれぞれにおいて、第1アライメントパターンAP1と第2アライメントパターンAP2との位置関係が、予め設定された関係(例えば、図9(a))と一致する、もしくは該関係からの位置ずれ量が許容範囲内に収まることとなる。こうして基板SBとブランケットBLとの位置合わせ(精密アライメント)が完了する。
こうしてアライメント処理が完了した後、吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーが送り込まれることでブランケットBLの中央部が浮上して基板SBに密着し、ブランケットBLに担持されたパターンが基板SBに転写される。このとき、パターンと同じ材料でブランケットBL表面に形成された第2アライメントマークAM2も、パターンとともに基板SBに転写される。精密アライメント終了時点で、第2アライメントマークAM2は基板SB上の第1アライメントマークAM1と略対向する位置にあるから、そのままブランケットBLが基板SBに当接することで、第2アライメントマークAM2は第1アライメントマークAM1の近傍に転写されることになる。
基板SB上へのパターンの転写は、必要に応じて複数回繰り返して実行される。当然に、その都度上記したアライメント処理が必要である。このため、パターン転写を行う度に、当該パターンとともに形成されていた第2アライメントマークが基板SBに転写されてゆくことになる。このとき、先に転写された第2アライメントマークが、後の転写処理のためのアライメント動作の障害となることがあり得る。本実施形態におけるアライメントマークの配置(図7)は、このような問題に配慮されたものである。
図13はアライメントマークの配置を説明するための図である。図13(a)に示すように、基板SB上のアライメントマークAM1は、それぞれが正方形の頂点をなすように4つの第1アライメントパターンAP11〜AP14を配置したものである。最初の転写処理によってブランケットBLから基板SBに転写される第2アライメントマークAM21は、これら4つの第1アライメントパターンAP11〜AP14によって囲まれた領域(アライメントマーク転写領域)TRの内側に転写されるようにする。
第2回目の転写処理に先立つアライメント処理でも、上記したようにブランケットBLにピントを合わせた撮像が行われる。このとき、図13(b)に示すように、このときブランケットBLに担持されている第2アライメントマークAM21の画像は鮮明であるが、基板SB表面の第1アライメントパターンAP11〜AP12と、先に基板SB表面に転写されている第2アライメントマークAM21とはピントが合わないため不鮮明である。
このとき、不鮮明に映った第2アライメントマークAM21が第1アライメントパターンAP11〜AP14および第2アライメントマークAM22のいずれかに重なったり極めて近接した位置にあると、それらの重心位置の算出に影響を及ぼし、結果としてアライメント処理の位置合わせ精度を低下させてしまうおそれがある。特に、精密アライメント動作が収束したか否かを判断する処理ステップ(図10のステップS906)においてこのような検出誤差が含まれると、位置ずれが残留したままアライメント処理が終了されてしまう。
このような問題を回避するために、この実施形態では、
(1)ブランケットBL上の第2アライメントマークAM2は、基板SB上の第1アライメントマークから一定距離以上離れた位置に転写されるようにする、
(2)複数回のパターン転写でブランケットBLから基板SBに転写される第2アライメントマークAM2は、互いに異なる位置に、かつ互いに十分な距離を置いて転写されるようにする、
(3)アライメント精度を高めるために、各回のアライメント処理では、基板SB側の第1アライメントパターンAP1とブランケットBL側の第2アライメントマークAM2とができるだけ近い位置に配置されるようにする、
という設計思想の下、アライメントマークの設計を行っている。
すなわち、第2アライメントマークAM2の転写位置を、第1アライメントパターンAP11〜AP14から離れたアライメントマーク転写領域TR内に限定することで、上記要件(1)が充足される。ピントが合わない状態の撮像により、第1アライメントパターンAP11〜AP14および転写済みの第2アライメントマークAM2の像の見かけの大きさが実際より2倍程度まで広がるケースがあることを考えると、第1アライメントパターンAP11〜AP14の位置と、各回の転写における第2アライメントマークAM2の転写位置とは、少なくとも第1アライメントパターンAP1の外形寸法(50μm)と第2アライメントマークAM2の外形寸法(120μm)との和の半分(85μm)よりも大きく離隔していることが必要である。この実施形態では、図13(b)に示すように、この距離を115μmとした。
また、要件(2)を充足するためには、ブランケットBLに担持させる第2アライメントマークAM2の位置を各回の転写ごとに異ならせ、しかも、その位置の変化量が十分に大きくなるようにすればよい。また、要件(3)を充足するためには、複数の第1アライメントパターンAP1を離隔配置し、新たに転写されようとする第2アライメントマークAM2をそれらの少なくとも1つに近接して配置できるようにすればよい。
これらに鑑み、この実施形態では、第2アライメントマークAM2が転写されるアライメントマーク転写領域TRを取り囲むように4つの第1アライメントパターンAP11〜AP14を配置した第1アライメントマークAM1を設定している。アライメントマーク転写領域TRには、9個までの第2アライメントマークAM2が転写できるスペースを確保した。したがって最大9回のパターン転写が可能である。また、新たに転写されようとする第2アライメントマークAM22が転写済みの第2アライメントマークAM21の像と重ならないように、転写領域TR内における第2アライメントマーク間の転写ピッチを200μmとした。図7(a)に示した第1アライメントマークAM1は、このようにして構成されたものである。
このようにすることで、各回の転写処理では、ブランケットBLに担持された第2アライメントマークAM2を基板SBに形成された第1アライメントパターンAP11〜AP14のうち少なくとも1つをCCDカメラ430の同一視野で撮像して、その画像に基づいて高精度に位置合わせを行うことができる。このとき、先の転写処理で基板SB上に転写された第2アライメントマークの像による干渉が防止されており、複数回の転写を重ねても、各回で転写されるパターン間において高い位置精度を維持することができる。
以上のように、この実施形態では、ブランケットBLに担持されたパターンを基板SBに転写するのに先立って、それぞれに形成されたアライメントマークを撮像し、その撮像結果に基づいてブランケットBLと基板SBとの位置合わせを行うアライメント処理を実行する。このとき、撮像を行うCCDカメラ430のピントをブランケットBL上面の第2アライメントマークAM2に合わせている。第2アライメントマークAM2を高い空間周波数成分を主として含むパターンとする一方、基板SB側に設ける第1アライメントマークAM1についてはより低い空間周波数成分を多く含むパターンとすることで、ピントが合わない状態でもその位置検出を精度よく行えるようにしている。
CCDカメラ430のピントをブランケットBL上の第2アライメントマークAM2に合わせるために、この実施形態では、撮像された画像に対してコントラスト強調を行うことで、画像に含まれる第2アライメントマークAM2の検出を容易にしている。より詳しくは、第2アライメントマークAM2の形状が既知であることを利用して、第2アライメントマークAM2の空間周波数成分に対応する帯域を選択的に抽出するフィルタリング処理を行い、そうして得られたデータに1より大きい強調係数Kを乗じることで、第2アライメントマークAM2のエッジに対応する画像成分を特に強調するようにしている。こうすることで、ノイズ成分等から第2アライメントマークAM2を分離して検出することが可能となっている。
そのため、例えば第2アライメントマークAM2が光に対する十分な反射性を有していない等の理由で第2アライメントマークAM2からの反射光量が少ない場合でも、第2アライメントマークAM2へのCCDカメラ430のピント合わせを精度よく行うことができる。
こうして第2アライメントマークAM2にピントが合わせられた状態でアライメント処理が行われることで、この実施形態では、基板SBと、ブランケットBLに担持されたパターンとの位置合わせを高い精度で行うことができる。そして、その状態で基板SBとブランケットBLとが当接されることで、基板SBの所定位置に高い精度でパターンを転写することが可能である。
以上説明したように、この実施形態では、ブランケットBLが本発明の「担持体」に相当しており、第2アライメントマークAM2が本発明の「アライメントマーク」に相当している。一方、基板SBに形成された第1アライメントマークAM1が、本発明の「基板側アライメントマーク」に相当している。
また、上記実施形態では、上ステージ部3および下ステージ部5が一体として本発明の「保持手段」として機能している。また、撮像部43が本発明の「撮像手段」として機能しており、そのうち精密昇降テーブル432が本発明の「フォーカス調整機構」として機能している。また、画像処理部65が本発明の「画像処理手段」として機能する一方、アライメント部4、そのうち特にアライメントステージ42が、本発明の「アライメント手段」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態において示したアライメントマークの形状は一例にすぎず、上記以外に種々のものを採用可能である。ただし、上記したようにピントが合わない状態での撮像が想定されているため、そのような状態でも検出が容易となるよう、アライメントマークの画像が有する空間周波数成分が特徴的であることが望ましい。
すなわち、基板SBに形成される第1アライメントマークAM1については、ピントが合わない状態でもその重心位置を精度よく検出することができるように、比較的低い周波数成分を多く含み、かつ重心に対しいくつかの回転角度について点対称な図形であることが好ましい。また、ブランケットBLに形成される第2アライメントマークAM2については、比較的高い周波数成分を多く含み、かつ狭帯域のバンドパスフィルタ処理によって抽出可能な特徴部分を有するものであることが、ノイズに対する耐性を高める上で望ましい。
また、上記実施形態では、低域通過フィルタによりランダムノイズ成分を除去した画像データ(第1データ)を、該データからさらに高域成分を除去したデータ(第2データ)で除することによって実質的なバンドパスフィルタ処理としているが、第1データから低域成分を除去する高域通過フィルタとの組み合わせによってバンドパスフィルタを実現してもよい。また、シェーディング等の低い周波数成分のノイズが問題とならない撮像系においては、低域成分の除去を省いてもよい。
また、上記実施形態では、CCDカメラ430全体を精密昇降テーブル432で上下させることによりピント合わせを行っているが、これに代えて、複数のレンズからなる結像光学系を設けてそのレンズ間の距離を調節することでピント合わせを行うものであってもよい。
また、上記実施形態では基板SBおよびブランケットBLの4つの角部の近傍に4組のアライメントマークを形成しているが、アライメントマークの形成個数はこれに限定されず任意である。ただし、鉛直軸周りの位置ずれを適切に補正するためには、異なる位置に形成した複数組のアライメントマークを用いることが好ましく、これらはできるだけ離れた位置にあることがより望ましい。また、各カメラの位置ずれによる誤差を抑えるためには、3組以上のアライメントマークが設けられることが望ましい。
また、上記実施形態ではブランケットBL上のアライメントマークをパターン形成材料と同一の材料により形成しているが、このことは必須の要件ではなく、例えば基板に転写されないアライメントマークをブランケットBLに予め形成しておいてもよい。この場合、基板SBへのパターン転写を高い位置精度で行うためにはブランケットBL上に担持されるパターンの位置精度が重要となるので、版PPによるブランケットBLへのパターニングを行うに際しては版PPとブランケットBLとの位置合わせをより精密に行うことが必要となる。
また、上記実施形態では、基板SB側のアライメントマーク転写領域TRは特に何も設けない空白領域となっているが、例えばここに転写される第2アライメントマークAM2の位置確認を事後的に行うために、アライメント処理に影響を及ぼさない程度の小さなマーカーを、転写されるべき第2アライメントマークのそれぞれに対応させて予め設けておいてもよい。
また、上記実施形態では最大9個の第2アライメントマークAM2を転写可能なアライメントマーク転写領域TRを基板SBに設けているが、基板SBに転写される第2アライメントマークAM2の数、つまり基板SBへのパターン転写の回数は任意であり、例えば基板SBへのパターン転写が1回だけの場合でも、上記したピント合わせ動作は有効に機能するものである。
また、上記実施形態では、本発明の転写装置の一実施態様である印刷装置の内部でブランケットBLへのパターニングを行っているが、本発明はこれに限定されず、例えば外部でパターニングが行われたブランケットが搬入されて基板へのパターン転写を行う装置に対しても、好適に適用可能なものである。