JP5946366B2 - 発泡樹脂製の蓋付容器と台車との組み合わせ体 - Google Patents

発泡樹脂製の蓋付容器と台車との組み合わせ体 Download PDF

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Description

本発明は、発泡樹脂製の蓋付容器と台車との組み合わせ体に関する。
発泡樹脂製の蓋付容器は、軽量であり優れた断熱性を備えることから、多くの分野で使用されている。一般に、図7〜図9に示すように、発泡樹脂製の蓋付容器10は、底板と周側壁とを有し上方を開口した容器本体3と、容器本体3の上方開口部に内嵌合または外嵌合する蓋体1とで構成される。多くの場合、図7(a)に示すように、蓋体1の外周壁2は垂直壁とされ、その外側寸法と容器本体3の周側壁4の最上端部5での外側寸法とは等しくされている。
他の例として、特許文献1には、容器本体と該容器本体に外嵌合する蓋体とからなる蓋付容器が記載されている。図8(a)に示すように、この蓋付容器10では、蓋体1の外周壁2は垂直壁であり、かつ外周壁2の外側寸法は容器本体3の周側壁4の上端部5の外側寸法よりも小さくされている。また、特許文献2には、容器本体と該容器本体に内嵌合する蓋体とからなる蓋付容器が記載されており、図9(a)に示すように、この蓋付容器10では、蓋体1の外周壁2の下端部は高さの小さい垂直壁2aとされ、その上は内側上方に傾斜する傾斜壁2bとなっており、かつ前記垂直壁2aの外側寸法は容器本体3の周側壁4の上端部5の外側寸法とほぼ等しくされている。
この種の発泡樹脂製の蓋付容器10は、配送元で保冷を要する食品等を収容した後、図10に示すように、台車20上に、図7(a)〜図9(a)に示すように互いに接した状態で多列に、また多段に積み込まれ、バンド(不図示)を掛けて姿勢を安定させた後、配送先に運ばれる。また、配送元あるいは配送先において、コンベア上に多列・多段に集積した状態で、A地点からB地点への搬送することも行われる。さらに、容器本体3内に保冷を要する食品等を収容した後、蓋をすることなく保冷室内に収容して保冷することも行われる。その際に、蓋体1は別途冷凍庫内で保冷保管することが行われる。
台車20での搬送中あるいはコンベアでの搬送中に、食品等を収容した発泡樹脂製の蓋付容器10同士がぶつかり合ったり、相互に振動を受けるのを避けることはできず、ぶつかったときの衝撃で、あるいは蓋体1同士が互いに接した状態で振動することにより、不測に蓋が外れてしまうことが起こる。保冷を要する食品等を収容した蓋付容器10において、予期しないときに蓋が外れてしまうことは、極力回避しなければならない。また、蓋体1のみを冷凍庫内で保冷保管するときに、図7(a)〜図9(a)に示すように、結露凍結によって蓋体1同士がくっついてしまうことが起こる。
前記した図7(a)に示した形態の蓋付容器10では、図示のように蓋付容器同士が隣接したときに、蓋体1の外周壁2同士がその高さ方向の全域で面接触するようになり、前記した蓋のはずれが生じやすい。また、図7(b)に示すように、結露凍結による蓋体1同士のくっつきも起こりやすい。
図8(a)に示した形態の蓋付容器10では、蓋体1の外側寸法が容器本体3の周側壁4の上端部5の外側寸法よりも小さくなっており、ぶつかりや振動による摩擦によって蓋が外れてしまうのは回避することかできる。しかし、蓋体1の外周壁2は垂直壁であり、図8(b)に示すように、結露凍結によって蓋体1同士がくっついてしまうのを回避することができない。
図9(a)に示した形態の蓋付容器10では、蓋体1の外周壁2の下端部は容器本体3の周側壁4の上端部5の外側寸法とほぼ同じ外形寸法である高さの小さい垂直壁2aとされ、その上は内側上方に傾斜する傾斜壁2bとなっており、蓋付容器同士が接したときの接触面積は、蓋体1の外周壁2の下端部である垂直壁2aの部分のみであり、ぶつかりや振動による摩擦によって蓋が外れてしまうのは回避することができる。さらに、結露凍結によって蓋体1同士がくっついてしまうのも、図9(b)に示すように、図7(b)、図8(b)に示した形態のものと比較して、大きく低減することができる。
一方において、前記したように、この種の発泡樹脂製の蓋付容器10は、配送元で保冷を要する食品等を収容した後、図10に示すように、台車20上に多列・多段に積み込まれ、バンド(不図示)を掛けて姿勢を安定させた状態で配送先に運ばれる。その際に、最上位に位置する蓋付容器10aにバンドによる締め付け力が過度に作用して、蓋体1や容器本体3に損傷が生じるのを避けるために、最上位の蓋付容器10aの上に適宜の剛性を備えた上カバー21を配置し、その上からバンドを掛けて締め付けるようにしている。上カバーによって加重が分散されることで、蓋体1が損傷するのを回避することができる。使用する上カバーは単に平板状のものであってもよいが、上カバーを蓋付容器10の上に配置する作業を容易にし、かつ配置後に上カバー21が不用意に移動しないように、天板22の周囲に位置決めのための垂直周囲壁23を備えた形態の上カバー21が一般に用いられている。
特許第3805395号公報 特開2011−57262号公報
発泡樹脂製の蓋付容器において、運搬あるいは搬送中に蓋体が不用意に外れるのを回避でき、かつ結露凍結によって蓋同士がくっついてしまうのも回避できることから、図9に示した形態の蓋体を持つ蓋付容器は最も好適である。しかし、台車20に乗せて、最上位の蓋付容器10aに、天板22と周囲の垂直周囲壁23とからなる応力分散用の上カバー21を載置することが求められるときに、図9に示した形態の蓋付容器10を構成する蓋体1は、内側上方に傾斜する傾斜壁2bを有しており、その傾斜壁2bの部分に上カバー21の垂直周囲壁23の下端が衝接すると、蓋体1に損傷と破壊を与える恐れがある。そのために、上カバーの垂直周囲壁23の内寸法を、蓋体1の外側最大寸法、すなわち蓋体外周壁2の下端部に形成された高さの小さい垂直壁2aの外側寸法と同じかそれよりも大きくすることが必要であり、もし、上カバー21の外側寸法が同時に用いる台車20の外側寸法よりも大きい場合には、その差分は無駄な保管スペースあるいは搬送時のスペースとなる。台車20を用いずに、単にバンド掛けした状態で保管する場合でも、前記差分は無駄な保管スペースとなる。
同じ形態の発泡樹脂製の蓋付容器を大量に取り扱うものにとっては、前記した上カバーの外側寸法に起因する無駄なスペースの発生は、コスト的に無視できないものであり、解決することが求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、保冷性能や収容スペース等を同じように維持しながら、搬送時などに必要とされる上カバーの大きさに起因して発生していた無駄な保管スペースを解消することのできる、より改良された発泡樹脂製の蓋付容器を開示することを課題とする。また、その蓋付容器とそれを運搬する台車との組み合わせ体を開示することを課題とする。
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器と台車との組み合わせ体は、底板と周側壁とを有し上方を開口する容器本体と前記容器本体の上方開口部に内嵌合する蓋体とからなる発泡樹脂製の蓋付容器であって、前記容器本体は底板部分の外側寸法が周側壁の上端部の外側寸法よりも小さくされており、前記蓋体の外周壁は高さの低い第1外周壁と前記第1外周壁より上位の第2外周壁とで構成され、前記第1外周壁の外側寸法は前記容器本体の前記周側壁の上端部の外側寸法とほぼ等しく、前記第2外周壁は前記第1外周壁より所定距離だけ内側に位置しかつ蓋体の底面にほぼ垂直な垂直壁である発泡樹脂製の蓋付容器と該蓋付容器を運搬する台車との組み合わせ体であって、前記台車は前記蓋付容器が乗る台車本体と該台車本体に乗っている蓋付容器の上に被せるための上カバーとで構成され、該上カバーは天板と天板周囲の垂直周囲壁とを有し、蓋付容器の上に被せた状態で前記垂直周囲壁が前記蓋体における第1外周壁の外側縁の上方への仮想延長縁と第2外周壁の外側縁との間で形成される空間に位置することのできる大きさとされていることを特徴とする
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器では、蓋体の外周壁を構成する第1外周壁の外側寸法は容器本体の周側壁の上端部の外側寸法とほぼ等しくされており、容器本体の周側壁上端面の全域が蓋体の底面と密接した状態となる。また、蓋体は内嵌合形式であり、蓋体の内嵌合部と容器本体の周側壁上端部の内周面も密接した状態となる。従って、蓋をした状態で蓋付容器の断熱性は十分に確保される。また、蓋をした状態で、容器本体の周側壁上端面に汚れが付くのも回避できる。
蓋体の第2外周壁は第1外周壁より所定距離だけ内側に位置しかつ蓋体の底面にほぼ垂直な垂直壁とされている。従って、バンドで締め付けるために上カバーを最上位の蓋付容器の上に配置するときに、一般に用いられている天面とその周囲に垂設した垂直周囲壁とからなる上カバーを用いても、その垂直周囲壁が蓋体の前記第1外周壁と第2外側壁との間に位置する寸法の上カバーを選択することで、蓋体に何の損傷も与えることなく、該上カバーを蓋付容器の上に配置することができる。さらに、上カバーの垂直周囲壁は蓋付容器の外側寸法よりも外側にはみ出ることはないので、無駄な保管スペースが発生することもない。
また、蓋体の前記第1外周壁は高さの低いもの、好ましくは外周壁全高さの5〜15%程度のみを占めるものであり、蓋を閉めた状態の蓋付容器がぶつかり合ったり互いに振動し合ったりしても、第1外周壁が外周壁全高さの90%〜100%を占めるような蓋体と比較して、不用意に蓋が開いてしまうのも回避することができる。同時に、冷凍庫などで蓋体のみを保管するとき、結露凍結によって蓋体同士がくっついてしまうのも効果的に回避することができる。
なお、本発明による発泡樹脂製の蓋付容器において、容器本体は底板部分の外側寸法が周側壁の上端部の外側寸法よりも小さくされているのは、後記するように、台車を用いる場合に、台車の大きさとの関係で無駄なスペースを生じさせることなくより大きな容積の容器本体を得るためであるが、その寸法差は周側壁外周の一部に段差部を設けることで形成してもよく、周側壁外周を上広がりの傾斜面とすることで形成してもよい。後者の場合は、型内発泡成形するときの型抜きのために必要とされる傾斜面であってもよく、積極的に形成した傾斜面であってもよい。
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器の好ましい態様では、蓋体の前記第1外周壁はほぼ垂直な下端部と該下端部の上端から内側斜め上方に傾斜する上方傾斜部とからなることを特徴とする。この形態では、第1外周壁の強度を所要に保ちながら、隣接する蓋体同士の接触面積を前記垂直な下端部のみとすることができ、前記した不用意に蓋が開くこと、蓋同士がくっつくことを、より確実に回避することができるようになる。
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器の好ましい態様では、平面視において、蓋体の前記第2外周壁で区画される領域の大きさは容器本体の前記底板部分の外側寸法よりも大きいことを特徴とする。この形態では、蓋体の前記第2外周壁で区画される領域の内側に容器本体の底板の大きさとほぼ等しい大きさの凹陥部を形成することで、該凹陥部内に上位に位置する容器本体の底板部分を収容することができるようになり、蓋付容器を安定した姿勢で多段に段積みすることができるようになる。
本発明による組み合わせ体は、台車本体の上に適数の本発明による発泡樹脂製の蓋付容器を載置し、最上位の蓋付容器の上に垂直壁付き上カバーを配置して、バンドで締め付けた状態としたときに、上カバーの垂直周囲壁が蓋付容器よりも外側にはみ出ることはないので、保管時に上カバーに起因して無駄な保管スペースが生じるのを回避することができる。また、蓋体の第2外周壁と上カバーの垂直周囲壁は、共に垂直な姿勢であり、上カバーによって蓋体の第2外周壁が損傷を受けることもない。また垂直周囲壁を有することで、上カバーを蓋体の上に配置するのも容易であり、配置した後の上カバーの姿勢も安定する
本発明による組み合わせ体の好ましい形態では、前記台車本体の外側寸法は容器本体の前記周側壁の上端部の外側寸法とほぼ等しいことを特徴とする。この形態では、台車本体に蓋付容器を段積みしたものを隣接して配置しても、段積みされた蓋付容器同士が衝接することはなく、蓋付容器が損傷するようなことはない。また、台車本体が周囲に垂直壁を有する場合であっても、容器本体は底板部分の外側寸法が周側壁の上端部の外側寸法よりも小さくされており、容器本体の大きさに合わせた最大容積の容器本体を製造した場合でも、その容器本体を台車本体の上に配置するのに、格別の支障は生じない。前記したように、上カバーが段積みされている蓋付容器の外側にはみ出ることもないので、本発明による組み合わせ体は、保管スペースを有効に使用して、その多数個を並列配置することが可能となる。
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器を構成する発泡樹脂には任意のものを用いることができる。ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂の発泡樹脂などを好適に例示することができる。特に、成形性やコストの面から、容器本体および蓋体は、共に、予備発泡した発泡性ポリスチレン粒子を型内発泡成形法により発泡成形して作られた一体成形品であることが好ましい。また、容器本体と蓋体とは同じ種類の発泡樹脂製であることは、廃棄処理の作業性から好ましいが、異なっていてもよい。
本発明によれば、発泡樹脂製の蓋付容器において、搬送時等において不用意に蓋が外れること、および冷凍庫保管時に結露凍結で蓋体同士がくっついてしまうことを共に回避できるばかりでなく、多段に段積みしてバンドで締め付けるときに用いる上カバーに起因して保管スペースに無駄の生じさせることのない、改良された蓋付容器が得られる。また、保管時に無駄な保管スペースを生じさせることのない、蓋付容器とそれを運搬する台車との組み合わせ体が得られる。
本発明による発泡樹脂製の蓋付容器を構成する蓋体の平面図。 蓋体の側面図。 (a)は蓋体の図1のA−A線に沿う断面図であり、(b)はその外周壁の部分拡大図である。 本発明による発泡樹脂製の蓋付容器を2段に段積みした状態での断面図。 本発明による組み合わせ体の一部を構成する台車の一例を説明する概略斜視図。 図5に示した台車に図4に示した発泡樹脂製の蓋付容器を段積みした状態を示す断面図。 従来の蓋付容器を説明する第1の図。 従来の蓋付容器を説明する第2の図。 従来の蓋付容器を説明する第3の図。 従来の蓋付容器とそれを運搬する台車との関係を説明するための図。
以下、本発明による発泡樹脂製の蓋付容器の一の実施の形態を図面を参照しながら説明する。蓋付容器Aは、図4に示すように、蓋体50と容器本体70とで構成される。最初に、蓋体50について説明する。
図1〜図3に示すように、蓋体50は平面視で矩形状であり、予備発泡した発泡ポリスチレン粒子を型内発泡成形法により発泡成形して作られた一体成形品である。蓋体50は、平板状の蓋本体部51と、該蓋本体部51の裏面側に一体成形された平面視で矩形状である内嵌合用突出部52とを備える。蓋本体部51の上面側には矩形状の凹陥部54が所要深さに形成されている。
蓋本体部51の外周壁55は、第1外周壁55aと前記第1外周壁55aより上位の第2外周壁55bとで構成されている。第1外周壁55aの高さは、第2外周壁55bと比較して薄いものであり、外周壁55全体の高さを100とした場合、その5〜15%程度である。第1外周壁55aはその全体が、蓋体50の底面56に対して垂直な壁であってもよいが、図示のものでは、図3(b)の拡大図に示すように、下端側のごく厚さの薄い垂直部57と、該垂直部57から上端から内側斜め上方に傾斜する上方傾斜部58とで構成されている。第2外周壁55bは、第1外周壁55aの外側縁から距離s(図2参照、例えば、2〜5mm程度)だけ内側に入り込んだ位置にあり、全体が蓋体50の底面56に対してほぼ垂直な垂直壁となっている。なお、図で、59は蓋体50を開蓋するときの助けとなる、蓋本体部51の短手方向の側縁に設けた切り込みである。
次に、容器本体70を説明する。容器本体70は、蓋体50と同じ予備発泡した発泡ポリスチレン粒子を型内発泡成形法により発泡成形して作られた一体成形品である。図4に断面図が示されるように、容器本体70は、底板71と周側壁72とを有し、上方を開口した平面視で矩形状の箱型容器であり、その上方開口部に前記した蓋体50が内嵌合状態で取り付けられる。容器本体70の上方開口部の外側形状は、蓋体50の前記第1外周壁55aの外側形状と同じとされ、蓋をした状態で、両者の外縁はほぼ一致するようにされている。底板71は実質的に水平面であり、周側壁72の上端面73も水平面とされている。
周側壁72の上端部の内周面は、蓋をしたときに蓋体50の内嵌合用突出部52の外周面が実質的に密着する寸法と形状とされている。従って、蓋体50は容器本体70に内嵌合状態で取り付けられるようになり、その状態で、蓋体50の底面56と容器本体70の周側壁72の上端面73も密着した状態となる。それにより、容器本体70の内部は気密状態に維持されることとなり、保冷容器としての機能を果たすことができる。
一方、蓋をした状態で、蓋付容器Aが隣接する場合、接触する部分は蓋本体部51の外周壁55における厚さの薄い第1外周壁55aの部分のみであり(図示のものでは、その下端側のごく厚さの薄い垂直部57のみであり)、振動等によって生じる摩擦により蓋体50が開いてしまうのを効果的に回避できる。また、結露凍結によって蓋体同士がくっついてしまうのも効果的に回避することができる。さらに、第2外周壁55bが垂直壁であることで、台車に段積みして保管するときの保管スペースの無駄をなくすことができるが、この効果については台車80(図5参照)との関係で後に詳述する。
容器本体70の底板71部分の外側部の大きさは、周側壁72の上端部よりも小さくされており、その外形寸法は、蓋体50の上面に形成した矩形状の凹陥部54の内寸法とほぼ同じとなっている。そのために、図4に示すように、蓋をした状態で段積みしたときに、上位の容器本体71の底板71の部分が、下位に位置する蓋付容器の蓋体50の形成した凹陥部54内に嵌入した姿勢を取ることができ、段積み姿勢が安定する。
なお、図示のものでは、容器本体70の周側壁72は全体が上方に拡開した姿勢となっており、それにより、底板71の部分の外側寸法が周側壁72の上端部の外側寸法よりも小さくなっているが、図示はしないが、周側壁72はほぼ垂直壁であり、底板71の底部に蓋体50の上面に形成した矩形状の凹陥部54の内寸法とほぼ同じ大きさの張り出し部を形成することで、底板71の部分の外側寸法が周側壁72の上端部の外側寸法よりも小さくなるようにしてもよい。
次に、上記した蓋付容器Aを搬送等するときに用いられる台車80について、図5を参照して説明する。台車80は、台車本体81と上カバー85とで構成される。台車本体81は、鋼材あるいはFRPのように、食品等を収容した複数個の蓋付容器Aを載置しても、安定性を損なうことのない程度の強度を備えた材料で作られる。台車本体81は、矩形状の基台82と、該基台81の周囲に立設する垂直壁83と、基台82の裏面に取り付けた適数の自在輪84とを備える。矩形状の基台82の大きさと形状は、蓋付容器Aを構成する前記容器本体70の平面視での外形形状と大きさにほぼ等しい。図示の例では、容器本体70の周側壁72の上端部の外形形状と大きさにほぼ等しくされている。
上カバー85は、本発明による蓋付容器Aを前記台車本体81上に多段に段積みしたときに、最上位の蓋付容器Aの上に載せるためのものであり、締め付け用のバンドの応力を分散することによって、最上位の蓋付容器A、特にその蓋体50に損傷が生じるのを回避するために用いられる。上カバー85は、締め付け用のバンドからの応力によって変形や破壊が生じない強度を備えている必要があり、そのような強度を備えた金属薄板あるいはFRPのような材料で作られる。
上カバー85は、天板86と該天板86の周囲から垂下する垂直周囲壁87とからなる。天板86の大きさと形状は、蓋付容器Aを構成する前記蓋体50の平面視での外形形状と大きさにほぼ等しい。詳細には、図6に示すように、上カバー85の前記垂直周囲壁87の外側寸法は蓋体50の前記第1外周壁55aの外側寸法と同じまたはほぼ同じとされ、垂直周囲壁87の内側寸法は蓋体50の前記第2外周壁55bの外側寸法と同じまたはほぼ同じとされとされている。換言すれば、上カバー85の垂直周囲壁87の厚みは、蓋体50の第1外周壁55aの外側縁と第2外周壁55bの外側縁までの距離sに等しいかまたはほぼ等しい。また、垂直周囲壁87の上下方向の高さは、蓋体50の上に被せた状態で、垂直周囲壁87の前記第1外周壁55aには達しない高さとされている。天板86の厚みは所要の強度を備えることを条件に任意であるが、垂直周囲壁87と同じ厚みであることは、製造上から好ましい。
前記したように本発明による蓋体50の前記第2周側壁55bは垂直壁とされており、上記の構成と寸法である上カバー85を、蓋体50の周側壁55に損傷を生じさせることなく、その垂直周囲壁87を第2周側壁55bに沿わせた状態で、蓋体50の上に安定した姿勢で被せることができる。また、被せた状態で垂直周囲壁87は蓋体50の第1外周壁55aの外側にはみ出ることもない。そして、前記したように、台車本体81は蓋付容器Aを構成する前記容器本体70の周側壁72の上端部の外形形状と大きさにほぼ等しく、容器本体70の周側壁72の上端部の外形形状と大きさは蓋体50の第1外周壁55aの外側寸法と同じされている。
よって、図6に示すように、台車本体81の基台82の上に、本発明による蓋付容器Aを多段(図では2段のものが例示される)に段積みし、最上位の蓋付容器Aの上に上カバー85を被せた姿勢としたときに、上カバー85および台車本体81は、蓋付容器Aよりも外側にはみ出ることはなく、上カバー85および台車本体81の最も外側部と蓋付容器Aの最も外側部とはほぼ同じ位置となる。
従って、図6に示したように、台車本体82に蓋付容器Aを段積みし、最上位の蓋付容器Aの上に上カバー85を被せたものを隣接して配置しても、段積みされた蓋付容器A同士が衝接することはなく、蓋付容器Aが損傷することはない。また、上カバー85が段積みされている蓋付容器Aの外側にはみ出ることもないので、本発明による組み合わせ体(発泡樹脂製の蓋付容器Aと該蓋付容器Aを運搬する台車80との組み合わせ体)は、保管スペースを有効に使用して、その多数個を並列配置することが可能となる。
なお、上記上カバー85において、垂直周囲壁87の厚みは、蓋体50の第1外周壁55aの外側縁と第2外周壁55bの外側縁までの距離sよりも薄いものであってもよい。ただし、その場合でも、垂直周囲壁87の外側寸法が蓋体50の第1外周壁55aの外側寸法と同じまたはほぼ同じであることは必要である。
A…蓋付容器、
50…蓋体、
51…平板状の蓋本体部、
52…内嵌合用突出部、
55…蓋本体部の外周壁、
55a…第1外周壁、
55b…垂直な第2外周壁、
70…容器本体、
71…底板、
72…周側壁、
80…台車、
81…台車本体、
85…上カバー、
87…上カバーの垂直周囲壁。

Claims (4)

  1. 底板と周側壁とを有し上方を開口する容器本体と前記容器本体の上方開口部に内嵌合する蓋体とからなる発泡樹脂製の蓋付容器であって、前記容器本体は底板部分の外側寸法が周側壁の上端部の外側寸法よりも小さくされており、前記蓋体の外周壁は高さの低い第1外周壁と前記第1外周壁より上位の第2外周壁とで構成され、前記第1外周壁の外側寸法は前記容器本体の前記周側壁の上端部の外側寸法とほぼ等しく、前記第2外周壁は前記第1外周壁より所定距離だけ内側に位置しかつ蓋体の底面にほぼ垂直な垂直壁である発泡樹脂製の蓋付容器と該蓋付容器を運搬する台車との組み合わせ体であって、前記台車は前記蓋付容器が乗る台車本体と該台車本体に乗っている蓋付容器の上に被せるための上カバーとで構成され、該上カバーは天板と天板周囲の垂直周囲壁とを有し、蓋付容器の上に被せた状態で前記垂直周囲壁が前記蓋体における第1外周壁の外側縁の上方への仮想延長縁と第2外周壁の外側縁との間で形成される空間に位置することのできる大きさとされていることを特徴とする組み合わせ体。
  2. 前記台車本体の外側寸法は容器本体の前記周側壁の上端部の外側寸法とほぼ等しいことを特徴とする請求項に記載の組み合わせ体。
  3. 請求項1または2に記載の組み合わせ体であって、前記蓋体の前記第1外周壁はほぼ垂直な下端部と該下端部の上端から内側斜め上方に傾斜する上方傾斜部とからなることを特徴とする組み合わせ体
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組み合わせ体であって、平面視において、前記蓋体の前記第2外周壁で区画される領域の大きさは容器本体の前記底板部分の外側寸法よりも大きいことを特徴とする組み合わせ体
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