JP5944999B2 - 自己競合型プライマーおよびこの自己競合型プライマーの使用方法 - Google Patents

自己競合型プライマーおよびこの自己競合型プライマーの使用方法 Download PDF

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Description

発明の背景
1.発明の分野
本発明は、変異を検出するための方法およびプライマーに関する。具体的に、本発明は、優先的にヌクレオチド変異を有するサンプル核酸を増幅する自己競合的プライマーに関する。
2.背景技術
遺伝子変異(Gene mutations)は、天然に存在するまたは通常のヌクレオチド配列に対し、所定の遺伝子または調節配列が変異することをいう。変異は、点変異(point mutation、単一のヌクレオチド置換)、1つ或は複数のヌクレオチドの欠失(deletion)または挿入(insertion)変異、複数のヌクレオチドの置換(substitution)変異、又は染色体レベルの乗換え(転座)である。
遺伝子変異またはヌクレオチド変異の同定は、分子遺伝学において非常に重要である。例えば、癌の発症および/または進行に関連する多くの遺伝子が同定されており、それによって、特異的にこれらの遺伝子を標的とする分子標的治療の開発が進んでいる。これらの標的療法において、1つまたは複数の標的遺伝子の配列変異により、所与の治療の有効性が影響される。したがって、癌細胞における遺伝子変異の検出によって、患者に最も適した治療計画を考案することができる。
遺伝子変異またはヌクレオチド変異を検出するために様々な技術が開発されている。例えば、サンガー法(Sanger’s direct sequencing)によって一つまたは複数の変異したヌクレオチドの配列を解明することができる。しかし、この技術は感度が低く、操作にかなりの時間や手間が掛かるため、臨床および研究用途への適用が制限される。
また、ヌクレオチド変異に単一性を有するプライマーおよび/またはプローブによって、変化を積極的に検出することができる。従来、変異を検出するためのプライマーまたはプローブを設計するには、変異部位の配列を事前に知る必要がある。例えば、遺伝子変異の検出するための対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドポリメラーゼ連鎖反応(allele specific oligonucleotide-polymerase chain reaction、ASO-PCR)のように、野生型または変異体配列に単一性を有するプライマーを使用して、増幅反応が進行できるかによって、変異配列の存在が判断される。ASO-PCRの欠点として、単一性が一般に低いため、高い偽陽性率をもたらす結果が挙げられる。
また、単一性が低い場合、増幅反応が起こらないはずのサンプル核酸が誤増幅し、それによりプライマー配列が増幅反応の産物に導入され、サンプル核酸とは異なる配列を有するアンプリコンを生成してしまい、サンプル核酸の誤増幅によって、サンプル核酸の本来が配列が反映されなくなり、その後の確認ステップ(シークエンシングなど)は無意味となる。さらに、ASO-PCR法では、1つの反応系で許可されるプライマーは一種類のみであるため、一度に一種類の配列(野生型または変異型のいずれか)しか検出できない。そのため、複数の塩基変異が同じ位置に発生する可能性がある場合、全ての変異を正しく検出するためには、変異配列を完全にカバーする複数のプライマーを設計し、各自に反応させなければならない。
また、よく使用される検出技術として、リガーゼ連鎖反応(ligase chain reaction、LCR)が挙げられ、この方法はよくPCR法などの他の増幅ベースの方法と併用される。 LCRは熱安定性のリガーゼと二組のプライマーを採用し、各組のプライマーに二つのプライマーを含む。二つのプライマーがお互い非常に近づくとリガーゼによって連結し、単一塩基変異 (点突然変異、一塩基欠失、および単一ヌクレオチド挿入など)を同定することができる。LCRは、様々なメリットがあるが、複数の塩基変異した変異シーケンスを検出することはできない。
また、疾病の診断で生体組織から得られたサンプルセルは、野生型細胞と変異型細胞を同時に含まれている場合がある。すると、野生型細胞は変異型細胞より遥かに多いため、変異配列の増幅と検出に影響を及ぼす可能性がある。
上記の問題により、正確に単一塩基配列、および複数の塩基配列の変化を検出することができる検出方法が求められている。
発明の概要
以下は、基本的な理解を読者に提供するために、本発明の簡単な概要を提示する。この発明の概要は、本発明の完全な概論ではなく、本発明の主要/重要な要素を特定したり、本発明の範囲を制限したりするものでもない。この発明の概要の唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への導入として簡略化した形で本明細書に開示されるいくつかの概念を提示することである。
本発明は、増幅の過程において、(参照核酸と比較して)変異体のある核酸を優先に増幅する斬新なプライマーの設計方法に基づくものであるため、変異体の検出に用いることが可能である。
本発明の一形態は、サンプル核酸を参照核酸と比較して、選択された領域にヌクレオチド変異の有無によって、ヌクレオチド変異のあるサンプル核酸を優先に増幅する自己競合型プライマーである。
本発明の実施例のより、自己競合型プライマーは5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインを含む。上記5'-競合ドメインは参照核酸の第一領域と相補的な配列を含み、上記第一領域は、参照核酸の所定領域と所定領域のすぐ下流にある少なく一つのヌクレオチド残基を含む。上記3'-伸長ドメインは参照核酸の第二領域と相補的な配列を含み、上記第二領域は、参照核酸の所定領域を含まない下流に位置する。上記第一領域と第二領域は少なく一つのヌクレオチドが重なる。上記3'-伸長ドメインは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の増幅において、フォワードプライマーとして使用でき、ヌクレオチド異変のないサンプル核酸(即ち、非変異体サンプル核酸)に対してヌクレオチド異変のあるサンプル核酸(即ち、変異体サンプル核酸)を優先に増幅する。
本発明の実施例により、上述の自己競合型プライマーは非キメラプライマーであってよく、キメラプライマーであってもよい。
本発明の様々な実施形態において、3'-伸長ドメインの最後のヌクレオチドは、参照核酸の所定領域下流の1-37個のヌクレオチドのヌクレオチド残基と相補する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、自己競合型プライマーの5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインは直接または間接的に 3'-5'結合(linkage)または5'-5'結合によって連結される。二つのドメインが直接連結されている場合には、自己競合型プライマーは、5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインから構成されている。
他の実施形態では、自己競合型プライマーは、さらに5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインに連結するヌクレオシドリンカー(nucleosidic linker)または非ヌクレオシドリンカー(non-nucleosidic linker)を含む。非ヌクレオシドリンカーの非限定的な例としては、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、C2-C18アルキルリンカー(alkyl linker)、リン酸基(phosphate group)、リン酸エステル(phosphate ester)、ホスホルアミダイト(phosphoramidite)、ポリ(エチレングリコール)リンカー(poly(ethylene glycol) linker)、エチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカー(branched alkyl linker)、グリセロール(glycerol)、または複素還部位(heterocyclic moiety)であってよい。本発明の一実施例では、非ヌクレオシドリンカーとしてC3スペーサー(C3 spacer)が用いられる。
一実施形態では、自己競合型プライマーの5'-競合ドメインの配列はGGTAGTTGGAGCTGGTGGCG(配列番号:1)、3'-伸長ドメインの配列はGAATATAAACTTGTGGTAGTTGG(配列番号:2)であり、5'-競合ドメインおよび3'-伸長ドメインはC3スペーサーにより連結されている。
別の例では、5'-競合ドメインの配列はACCGTGCAGCTCATCACGCAG(配列番号:8)、3'-伸長ドメインの配列はCTCACCTCCACCGTGCA(配列番号:9)であり、5'-競合ドメインおよび3'-伸長ドメインはC3スペーサーにより連結されている。
また、本発明は、サンプル核酸の所定領域内にヌクレオチド変異の有無(参照核酸の所定領域と比べて)によって、優先的変異のあるサンプル核酸を増幅するPCRベース増幅方法に関する。
本発明の一実施形態によれば、上記増幅方法は、本発明の態様/実施形態に係る自己競合型プライマーを利用してサンプル核酸を増幅し、ヌクレオチド異変のないサンプル核酸(即ち、非変異体サンプル核酸)に対してヌクレオチド異変のあるサンプル核酸(即ち、変異体サンプル核酸)を優先に増幅する増幅ステップを含む。
さらに別の態様において、本発明は、(参照核酸の所定領域と比べて)サンプル核酸の所定領域内にヌクレオチド変異の有無を検出する、PCRベースの検出方法に関する。
本発明の実施例により、上記検出方法は、本発明の態様/実施形態に係る自己競合型プライマーを利用して核酸サンプルを増幅する増幅ステップと、増幅ステップ後のサンプル核酸にヌクレオチド変異の有無を判断する検出ステップとを含む。
一実施形態において、上記検出ステップは、増幅産物をシークエンシングする工程を含む。さらに、上記検出ステップは、所定領域のヌクレオチド変異がある増幅産物および/または所定領域のヌクレオチド変異がない増幅産物を定量するステップを含む。
本発明の技術分野における通常の知識を有するであれば、下記発明を実施するための形態により、本発明の基本及び目的、並びに本発明に採用される技術手段及び実施形態を容易に理解することができる。
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施形態をより容易に分かるために、下記のように図面を説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態による自己競合型プライマーの設計を示す図である。 図1Bは、本発明の一実施形態による自己競合型プライマーの設計を示す図である。 図1Cは、本発明の一実施形態による自己競合型プライマーの設計を示す図である。
図2は、本発明の一実施例による変異配列の優先的増幅の電気泳動結果を示す写真である。
発明を実施するための形態
本明細書の内容が更に詳細且つ完備になるために以下、具体の実施例挙げ、本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を構成または利用できる形態を限定するものではない。これらの実施例には、具体的特性およびこれらの実施例を構成や動作させるためのステップが示されているが、同一または均等の機能およびステップを、異なる実施例により達成される場合もある。
別に定義がない限り、本発明に用いられる科学技術用語は、本発明に属する技術分野における通常の知識を有するものであれば理解されるものと同じ意味を有する。文脈が明確に指示しない限り、単数の用語は複数の意味を含み、複数の用語も単数の意味を含む。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「少なくとも一つ」及び「一または多数」は、一つ、二つ、三つ、またはそれ以上を含むことと理解される。
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であり、具体例には可能な限り精確に数値を報告するが、あらゆる数値は、必然的にそれぞれの実験測定による標準偏差が含まれる。本発明に用いられる「約(about)」という用語は、実際の結果が所定値または範囲以内例えば±10%、5%、1%、又は0.5%以内のことを意味する。あるいは、「約」という用語は、当業者の考慮により、実際の結果が平均値から許容される標準偏差の範囲内のことを意味する。実施例の他に、明確な説明がない限り、範囲、量、値、及びパーセンテージ(材料の量、持続時間、温度、操作条件、量の割合、及び類なものを計量する単位)の数値全てが「約」とする。したがって、逆の説明がない限り、本発明び特許請求の範囲に記載される数値、パラメータは近似値であり、需要に応じて変更ができる。少なくとも、これらの数値、パラメータを示された有効桁及び通常の論理演算による数値、パラメータと理解すべきである。
「サンプル」という用語は、核酸を含有する任意のサンプルを指す。前記サンプルは、動物または植物から単離された細胞、組織、もしくは構成部分(例えば、体液)の「生物サンプル」であってもよい。上記の動物はヒトでであってもよい。本明細書において、生物サンプルは、医学的治療を必要とする被験体に由来する臨床サンプルを含み、例として、血液、唾液、痰、尿、糞便、皮膚細胞、毛包、精液、膣液、骨片、骨髄、脳物質、脳脊髄液、羊膜液、および組織切片が挙げられる。これらの例は、本発明に適用可能なサンプルを限定するのではないと理解すべきである。
「核酸」(nucleic acid)は、二つ以上のヌクレオチド(nucleotide)、ヌクレオシド(nucleoside)、または核酸塩基(nucleobase、例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)が共有結合したチェーンである。核酸は、DNAまたはRNA、細菌のゲノムまたはその一部、真菌、植物または動物のゲノムまたはその一部、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、プラスミドDNA、ミトコンドリアDNA、または合成DNAもしくはRNAを含むが、これらに限らない。核酸は、直鎖状(例えば、mRNA)、環状(例えば、プラスミド)、または分枝状、ならびに二本鎖または一本鎖の形態であってもよい。
「ヌクレオチド」(nucleotide)は、核酸のサブユニットであり、複素環塩基(heterocyclic base)、糖(sugar)、および1つまたは複数のリン酸基(phosphate group)から構成される。最も一般的なヌクレオチドは、プリン(purine)またはピリミジン(pyrimidine)の誘導体を塩基として、糖はペントースデオキシリボース(pentose deoxyribose)またはペントースリボース(pentose ribose)で構成される。プリンはアデニン(adenine、A)、グアニン(guanine、G)を含む;ピリミジンはシトシン(cytosine、C)、チミン(thymine、T)、およびウラシル(uracil、U)が含まれる。
本明細書において、使用される核酸の「配列」(sequence)は、核酸を構成するヌクレオチドの順序を意味する。本明細書において、核酸は5'末端および3'末端を有するものとする。他の説明がない限り、一本鎖核酸の左端は5'末端で、右端は3'末端である。「下流」(downstream)という用語は、前記のヌクレオチド配列に対して3'側のヌクレオチド配列を指す。「上流」(upstream)という用語は、前記のヌクレオチド配列の5'側のヌクレオチド配列を指す。
本明細書において、「変異」(variant)とは、参照(reference)核酸の一つまたは多数のヌクレオチドの変化を指し、上記変化は一つまたは多数の新たなヌクレオチドの挿入、一つまたは多数のヌクレオチドの欠失、または一つまたは多数の既存のヌクレオチドの置換を含む。広義的には、本明細書において、「ヌクレオチド変異」は、点突然変異、多重突然変異、一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP)、欠失、挿入、および転位(translocation)を含む。
本明細書において、「参照核酸」は、関心するヌクレオチド配列の既知の参照配列を指す 。参照配列は、所定領域内に変異を有していない「野生型」(「非突然変異」または「正常」ともいう)配列であってよく、変異配列であってもよい。当該技術分野における通常の知識を有する者に理解されるように、参照核酸の所定領域の野生型配列を有する場合、前記変異核酸サンプルは、任意の突然変異した配列であってもよい。また、参照核酸の所定領域に既知の変異配列を有する場合、前記変変異核酸サンプルは、野生型配列または他の変異した配列のいずれであってもよい。参照核酸は二本鎖形態の場合、コード鎖(coding strand)又は鋳型鎖(template strand)のいずれかの配列を参照配列としても良い。
本明細書において、「核酸サンプル」は、サンプルの「所定領域」に変異の存在有無を調査するためのヌクレオチド配列を指す。核酸サンプルは二本鎖DNAの場合、鋳型鎖と相補的なコード鎖を含み、コード鎖の配列は5'から3'の方向に配列されるのに対し、鋳型鎖の配列は3'から5'の方向に配列される。本明細書において「変異核酸サンプル」は、参照配列の所定領域と比較して、領域内の少なくとも1つのヌクレオチド変化を有する核酸サンプルを指す。本発明では、参照核酸の所定領域と同一の配列を有する核酸サンプルは、「非変異核酸サンプル」とも呼ばれる。
本明細書において、「プライマー」とは、適当な条件(例えば、緩衝液、塩、温度、およびpH)でかつヌクレオチドと核酸重合薬剤(例えば、DNA依存ポリメラーゼ(DNA-dependent polymerase)またはRNA依存ポリメラーゼ(RNA-dependent polymerase))が存在する場合、プライマーはプライマー伸長産物の合成開始点として作用することができる。一般に、プライマーの配列はコピーする核酸鎖と実質的に相補的であり、または少なくともプライマーはコピーする核酸鎖と一領域内に十分な相補性を持ち、5'から3'方向に伸長する 。前記プライマーは、DNAプライマー、RNAプライマー、またはキメラ(chimeric)DNA / RNAプライマーであってもよい。プライマーはほとんど必要としない場合、通常は約12-100ヌクレオチドの短い合成核酸であり、望ましい長さは約30-60ヌクレオチドである。
用語「ハイブリダイゼーション」(hybridization)および「アニーリング」(annealing)は、互換に使用してもよく、十分な相補性を持つ二つのヌクレオチド配列がワトソン・クリック(Watson-Crick)型塩基対または他の非標準塩基対と複合体(complex)またはハイブリッド(hybrid)を形成することを指す。ハイブリダイゼーションは、二本のDNA鎖、二本のRNA鎖、又は一本のDNAと一本のRNA鎖の間で起こることができる。ハイブリダイゼーションは、分子生物学の分野で知られている種々の適切な条件(例えば、温度、pH、塩濃度)で起こる。
本明細書において、用語「増幅」(amplification)は、サンプル中の特定のヌクレオチド配列の量を増加する方法又はプロセスを指す。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、当該技術分野でよく知られている増幅プロセスであり、以下で詳細に説明する。本明細書において、用語「反応混合物」(reaction mixture)および「混合物」(mixture)は、互換に使用され、ポリメラーゼ連鎖反応に供される構成要素を指す。
本明細書において、「優先的に変異核酸サンプルを増幅する」とは非変異核酸の増幅を阻害し、変異核酸サンプルの増幅を促進する意味である。本発明の原理及び精神に従って、反応混合物中に変異核酸と非変異核酸サンプルが共に存在する場合、両方とも自己競合型プライマーの作用で増幅される。しかし、本発明のプライマー設計によって、変異核酸サンプルの増幅効率は、非変異核酸サンプルの増幅効率よりもはるかに高い。したがって、反応混合物に変異核酸サンプルが非変異核酸サンプルと比べてほんの一部だけ占めていても、本発明のプライマー及び方法によって変異核酸サンプルを検出可能な量に増幅することが可能である。
所定領域内の一つまたは複数のヌクレオチド変異を有する核酸サンプルを優先的に増幅(そして、検出)する方法を提供するために、二つのドメイン(即ち5'-競合ドメイン及び3'-伸長ドメイン)を持ち、それぞれ異なるが互いに重なる領域と結合する自己競合型プライマーを設計した。このプライマーに関する詳細な情報および関連する方法は以下に詳述する。
自己競合型プライマー
本発明を容易に理解させるために、図1Aから図1Cを参照しながらプライマーの設計について説明する。図1Aから図1Cに示す配列は、本発明を説明するための例であり、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1Aに示されている例の参照核酸200は、カーステン・ラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ (v-Ki-ras2 Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog、KRAS)エキソン1の第1から第40のヌクレオチドを含む。参照核酸200のコード鎖及び鋳型鎖の配列は、5'-ATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGCTGGTGGCG-3'(配列番号:3)及び3'-TACTGACTTATATTTGAACACCATCAACCTCGACCACCGC-5'(配列番号:4)。議論のために、以下の説明において、鋳型鎖の配列を核酸200の配列として使用する。本明細書において、参照核酸200に一つの領域が選択され、選択された所定領域215に対してヌクレオチド変異が存在するかについて調査する。本実施例では、参照核酸200(鋳型鎖)の所定領域215の配列は、3'-TCGACCACC-5'(配列番号:5、即ちKRASエキソン1の第30から第38のヌクレオチド、図1Aにおいて太字で下線が標記せれたもの)。
理論的に、所定領域にヌクレオチドの長さを調査するには特に制限はない。本発明の任意の実施形態によれば、所定領域は、最大で約20個のヌクレオチドを有することができる。例えば、所定領域の長さは、約1、5、10、15、又は20個ヌクレオチドであってもよい。
所定領域内のヌクレオチド変化を検出するために、設計された自己競合型プライマーは、それぞれ参照核酸の異なるが互いに重なる領域と結合する二つのドメインを持つ。自己競合型プライマーに関する詳細な情報は以下に更に詳述する。
前記自己競合型プライマーは、参照核酸の第1の領域と第2領域にそれぞれ相補する5'-競合ドメインおよび3'-伸長ドメインを含む。上記3'-伸長ドメインは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの増幅においてフォワードプライマーとして用いられ、ヌクレオチド異変のないサンプル核酸(即ち、非変異体サンプル核酸)よりもヌクレオチド異変のあるサンプル核酸(即ち、変異体サンプル核酸)を優先に増幅する。
上記第一領域は、参照核酸の所定領域のすぐ下流にある少なく一つのヌクレオチド残基を含み、種々の適切な条件で、5'-競合ドメインを所定領域及び一つ以上の隣接するヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることができる。需要に応じて、所定領域のすぐ下流のヌクレオチド残基は、少なくとも1から20個のヌクレオチド残基であってもよい。他の実施例においては、上記第一領域は、所定領域のすぐ上流にある少なくとも一つのヌクレオチド残基を含むことができる。場合により、上記所定領域のすぐ上流にあるヌクレオチド残基は、少なくとも1から20個のヌクレオチド残基であってもよい。本発明の実施形態によれば、上記5'-競合ドメインの長さは15から40個のヌクレオチドであってもよい。
図1Aに示すように、自己競合型プライマー100の5'-競合ドメイン110の配列は、GGTAGTTGGAGCTGGTGGCG(配列番号:1、野生型KRASエキソン1の第40から第21ヌクレオチドに対応し、本明細書及び図1Aにそれぞれ斜体及び太字で標記されている所定領域115)。この5'-競合ドメイン110の配列は、参照核酸の第一領域210と相補し、上記第一領域210は参照核酸200鋳型鎖の所定領域215、9つの下流ヌクレオチド、および2つの上流のヌクレオチドを含む。
第二領域は、所定領域の下流に位置する。具体的には、第二領域の3'末端は、所定領域の5'末端の下流の少なくとも1つのヌクレオチドに位置する。そのため、第二領域は、参照核酸の所定領域を含まない。任意の態様で、第二領域の3'末端は、所定領域の5'末端の下流で少なくとも1から20個のヌクレオチドに位置する。本発明の実施形態によれば、上記3'-伸長ドメインの長さは15から40個のヌクレオチドであってもよい。
さらに、変異サンプル核酸の優先的増幅を促進するために、上記第一領域と第二領域は、少なくとも一つのヌクレオチドが互いに重なる。このようにして、上記3'-伸長ドメインと5'-競合ドメインは、適切なハイブリダイゼーション条件で、サンプル核酸とハイブリダイズするように、一つまたは多数のヌクレオチドが競合重なる 。いくつかの任意の実施形態では、上記第一領域と第二領域は、それぞれ1から38個のヌクレオチドが互いに重なっていてもよい。
図1Aに示すように、3'-伸長ドメイン120の配列は、GAATATAAACTTGTGGTAGTTGG(配列番号:2、野生型 KRAS エキソン1の第1から第29のヌクレオチドに対応する)、この配列は参照核酸200の第二領域と相補する。具体的に、上記第二領域220は、参照核酸200の鋳型鎖の所定領域215のすぐ下流にある23個の連続したヌクレオチド残基を含む。この例では、5'末端から3'-伸長ドメイン120の最後の9つのヌクレオチドは、5'末端から5'-競合ドメイン110の最初の9つのヌクレオチドと同一である。
本発明の様々な実施例により、5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインは、一般的な3'-5'結合または比較的少ない5'-5'結合によって結合される。図1Aの例では、5'-競合ドメイン110と3'-伸長ドメイン120は3'-5'結合のよって結合されている。
任意の実施形態によれば、5'-競合ドメインは直接に3'-伸長ドメインに連結されている。また、5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインとの間に、リンカーを導入してもよい。上記リンカーは、ヌクレオシドリンカーであってよく、非ヌクレオシドリンカーであってもよい。ヌクレオシドリンカーは、1つまたは多数のヌクレオチド(例えば、A、T、C、G、またはU、あるいは他の一般的ではないヌクレオチド)からなる。非ヌクレオシドリンカーは、非限定的な例として、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、C2-C18アルキルリンカー、リン酸基、リン酸エステル、ホスホラミダイト(スペーサーホスホロアミダイト 9、スペーサーホスホロアミダイト 18、スペーサーホスホロアミダイト C3、スペーサー C12 CE ホスホロアミダイト及びピロリジン-CEなど)、ホスホルアミダイト、ポリ(エチレングリコール)リンカー、エチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカー、グリセロール、または複素還部位であってもよい。図1Aに示す自己競合型プライマー100は、非ヌクレオシドリンカー130(スペーサーホスホロアミダイト C3)で5'-競合ドメイン110の3'末端と3'-伸長ドメイン120の5'末端を連結する。
特定の実施例によれば、上記自己競合型プライマーは非キメラプライマーであってもよく、この場合、5'-競合ドメイン、3'-伸長ドメインおよびヌクレオシドリンカー(存在する場合)は、すべてデオキシリボヌクレオチド配列またはリボヌクレオチド配列である。例えば、図1Aに示す自己競合型プライマー100は非キメラプライマーであり、5'-競合ドメイン110と3'-伸長ドメイン120はDNA塩基で構成され、リンカーが含まれていない。
一部の代替の実施例では、自己競合型プライマーはキメラプライマーであってもよく、この場合、5'-競合ドメイン、3'-伸長ドメインおよびヌクレオシドリンカー(存在する場合)のいずれかのヌクレオチド配列は他と異なるタイプである。具体的な例として、キメラ自己競合型プライマーは以下の何れかの形式であっても良い:直接にRNA3'-伸長ドメインに連結されたDNA5'-競合ドメイン、非ヌクレオシドリンカーまたはヌクレオシドリンカーを介してRNA3'-伸長ドメインに連結されたDNA5'-競合ドメイン、直接にDNA3'-伸長ドメインに連結されたRNA5'-競合ドメイン、非ヌクレオシドリンカーまたはヌクレオシドリンカーを介してDNA3'-伸長ドメインに連結されたRNA5'-競合ドメイン、RNAリンカーを介してDNA3'-伸長ドメインに連結されたDNA5'-競合ドメイン、DNAリンカーを介してRNA3'-伸長ドメインに連結されたRNA5'-競合ドメインなど。
本発明に係る新たな自己競合型プライマーは、伸長反応(即ち、新たなDNA鎖にヌクレオチドの付加すること)が3'-伸長ドメインの3'末端のみから開始され、5'-競合ドメインの5'末端が出発点とする伸長反応が阻害されるように設計されている。従来の3'-5'結合によって結合された5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインに対し、5'-競合ドメインの最後の3'-ヒドロキシがすでに使用されているため、5'-競合ドメインが出発点とする伸長反応は発生しない。
また、上記キメラ自己競合型プライマーによれば、5'-伸長ドメインから開始する伸長を有効に阻害することができる。鋳型配列のタイプに基づいて、ポリメラーゼをDNA依存性ポリメラーゼまたはRNA依存性ポリメラーゼに分類されることが知られている。従って、キメラ自己競合型プライマーに対し、3'-伸長ドメインのタイプによってポリメラーゼを選択することにより、5'-競合ドメインからの伸長を阻害する目的が達成される。例えば、5'-競合ドメインはRNA塩基からなり、3'-伸長ドメインはDNA塩基からなる場合、DNA依存性ポリメラーゼは3'-伸長ドメインの3'末端でのみ伸長反応を発生する。同様に、自己競合型プライマーの5'-競合ドメインはDNA塩基からなり、3'-伸長ドメインはRNA塩基からなる場合、3'-伸長ドメインから伸長反応が発生するように、RNA依存性ポリメラーゼを使用することができる。
さらに別の実施例では、自己競合型プライマーにおいて比較的少ない5'-5'結合で5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインを連結する。この場合、自己競合的プライマーは非キメラプライマーであれば、5'-競合ドメインの3'末端から伸長反応を防止するように、5'-競合ドメインの3'末端に対して修飾を施す必要がある。競合的プライマーはキメラプライマーであれば、5'-競合ドメインの3'末端を修飾する必要は要求されていない。リン酸基又はリン酸エステルなどの非ヌクレオシドブロッカー(blocker)で、5'-競合ドメインの3'末端を修飾することができる。例えば、3'-スペーサーC3調節孔ガラス(CPG)を用いて形成した3'-プロピルホスフェートは、3'-末端の効果な非ヌクレオシドブロッカーの一つである。3'-末端の最後のヌクレオチドに5'-競合ドメインを逆ベースの3'-3'結合に形成することで、3'位置に遊離するヒドロキシル基がないため、ポリメラーゼによるヌクレオチドの伸長を防ぐことができる。
5'-競合ドメインの3'-末端にポリメラーゼによるヌクレオチドの伸長を防ぐための方法として、2',3'-ジデオキシヌクレオシド(例えば、2',3'-ddC-CPG)、3'-ジデオキシヌクレオシド(例えば、3'-dA-CPG, 3'-dC-CPG, 3'-dG-CPG, または 3'-dT-CPG)のようなヌクレオシドブロッカーが使用されている。勿論、他の3 '末端を修飾する等効の技術を用いてもよく、これらの技術は、すべて本発明の範囲内である。
下記の実施例において、上記プライマーの設計に基づき、ヒト上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor、EGFR)遺伝子に対して、他の自己競合的プライマーの例が開示されている。自己競合型プライマーは、配列がACCGTGCAGCTCATCACGCAG(配列番号:8)の5'-競合ドメイン、C3スペーサー、及び配列がCTCACCTCCACCGTGCA(配列番号:9)の3'-伸長ドメインを含む。
非変異体サンプル核酸よりも優先的に変異核酸サンプルを増幅するための方法
ここで開示されているプライマーの設計および自己競合型プライマーの例を詳細に説明して、この自己競合型プライマーを用いるPCRによる優先的な増幅方法を説明する。
当分野の技術者に理解されるように、増幅しようとする生物サンプルは、特定の標的遺伝子の野生型配列及び変異配列の両方が含まれる。例えば、生体組織から取った(例えば、腫瘍または他の病気の病巣)サンプル中に変異細胞が存在する可能性がある。この場合、変異した配列の量は(野生型配列に比較して)少ないため、従来のPCR法によって正しく変異した配列をその後のシークエンシング分析または他の分析を進行するために十分な量まで増幅することができなかった。本発明の新規特徴の一つは、自己競合型プライマーは、変異サンプル核酸がシークエンシングまたは検出のために十分な量まで増幅させるように、変異サンプル核酸(例えば、生物サンプル中の変異配列)を、非変異サンプル核酸(例えば、同じ生物サンプル中の野生型配列)よりも優先的に増幅することが可能である。癌細胞の遺伝構成は、腫瘍の進行状況を示す指標および/または適切な治療的アプローチであるため、この特徴は、腫瘍の治療などの分野において特に有用である。また、適切な反応条件において、本発明に係る方法により得られた増幅の産物の所定領域中の序列はサンプル核酸と同様であり、誤増幅を発生することはない。
本発明の一実施形態によれば、上記非変異サンプル核酸よりも優先的に変異サンプル核酸を増幅するPCR方法は増幅ステップを含み、このステップは本発明の上記態様/実施形態の自己競合型プライマー(例えば、自己競合型プライマー100、しかしこれに限らない)でサンプル核酸を増幅する。具体的には、この増幅ステップは、自己競合型プライマーとサンプル核酸を含む反応混合物の調製するステップと、反応混合物をPCRプロセスに供するステップとを含む。一般的に、サンプル核酸は、(参照核酸と比較して)所定領域内でヌクレオチドの変異を有する可能性がある。本発明の原理及び精神によれば、本発明の方法は、変異配列が既知又は未知の状況でも適用可能である。例えば、サンプルに、図1Bに示す非変異核酸サンプル300、及び図1Cに示す異核酸サンプル300'を含む可能性がある。非変異核酸300の第一領域310(所定領域315を含む)と第二領域320の配列は、図1Aに示す参照核酸200の第一領域210(所定領域215を含む)と第二領域220と同じである。変異核酸300'の所定領域315'は、参照核酸200の所定領域215と比較した場合、一つのヌクレオチドが異なっている(図1Cで同時に下線、太字、斜体で標記されているもの)。1C).従って変異核酸サンプル300'の第一領域310'の配列は、参照核酸200の第一領域210、又は非変異核酸サンプル300の第一領域310と同一ではない。しかし、変異核酸サンプル300'の第二領域320の配列は、参照核酸200の第二領域220、又は非変異核酸サンプル300の第二領域320と同一である。
当該技術分野における通常の知識を有する者に理解されるように、反応混合物はさらに他の増幅反応試薬を含むことができる。これらPCRに用いる増幅反応試薬は、緩衝液(buffers)、試薬(reagents)、逆転写酵素(reverse transcriptase)および/またはポリメラーゼ活性(polymerase activity)またはエキソヌクレアーゼ活性(exonuclease activity)を持つ酵素、マグネシウム(magnesium)またはマンガン(manganese)などの酵素補因子、塩類、およびデオキシヌクレオチド三リン酸(deoxyribonucleotide triphosphates、dNTPs)、デオキシアデノシン三リン酸(deoxyadenosine triphosphate、dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(deoxyguanosine triphosphate、dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(deoxycytidine triphosphate、dCTP)、デオキシチミジン三リン酸(deoxythymidine triphosphate、dTTP)およびデオキシウリジン三リン酸(deoxyuridine triphosphate、dUTP)などを含んでもよいが、これらに限らない。増幅反応試薬を、使用するPCR方に応じて当分野の技術者によって選択することができる。
次いで、反応混合物に対してPCR処理を施す。この処理は順次は、変性ステップ、アニーリングステップ、及び伸長ステップを含む。
変性ステップでは、鋳型鎖とコード鎖によって形成された二本鎖核酸(DNA duplex)を変性(即ち、融解)させる。二本鎖核酸の確実な変性反応は、その大きさ、配列、及び分子組成(主に、アデニン - チミン連結に対するグアニン - シトシンの連結の比率、またはG-C%)による。適切の温度環境で、二本鎖核酸は、通常1秒内で変性し、上記温度は約80℃(低G-C%を有する小さなターゲットの場合)から約95℃(ヒトゲノムDNAの場合)の範囲にあり、所定の場合に、変性温度が更に低い可能性がある。
変性ステップの後に、アニーリング温度に反応混合物を冷却することによって、自己競合型プライマーの5'-競合ドメインと3'-伸長ドメインがサンプル核酸の一鎖(図1Aから1C実施例では鋳型鎖)にアニーリングする機会を競争させる。当分野の技術者に理解されるように、ハイブリダイズ配列が完全な相補性を有する必要はない。図1B及び図1C両方に示すように、このとき、5'-競合ドメイン110は非変異サンプル核酸300の鋳型鎖とハイブリダイズするだけでなく、変異サンプル核酸300'の鋳型鎖ともハイブリダイズする。しかし、5'-競合ドメイン110と非変異サンプル核酸300で形成されたハイブリッドと比べ、5'-競合ドメイン110と変異サンプル核酸300'で形成されたハイブリッドは不安定であり、そのため、5'-競合ドメイン110と変異サンプル核酸300'で形成されたハイブリッドは変性しやすく、よって3'-伸長ドメイン120が変異サンプル核酸300'にアニールする可能性が高くなる(3'-伸長ドメイン120が非変異サンプル核酸300にアニールする機会と比較する場合)。そのため、その後の伸長ステップにおいて、変異サンプル核酸300'の増幅が促進され、非変異サンプル核酸300の増幅が阻害される。同一の反応系において、変異サンプル核酸配列の増幅効率が上がりかつ非変異サンプル核酸配列の増幅効率が下がることによって、変異サンプル核酸配列300'が優先的に増幅される。
任意の実施形態では、上記アニーリングステップは、二つの段階を含み、第1段階のアニール温度は第2段階のアニール温度よりも高くなっている。
アニーリングステップ後、温度をヌクレオチドが伸長可能の伸長温度に調節する。最適な伸長温度は、周知されているように、一般に、約70〜80℃の間である。しかし、関連する要因(例えば、使用されるポリメラーゼなど)に応じて、他の温度を使用することができる。
そして、反応混合物を変性ステップ、アニーリングステップ、及び伸長ステップの間で繰り返して、サンプル核酸(変異及び非変異の両方)を増幅させる。このPCR優先的増幅方法は、任意の既知のPCRサーモサイクラー(thermocycler)およびその均等な装置で行ってもよい。また、このPCR優先的増幅方法は、従来のPCR法でほとんど互換性がある。したがってこの方法は、非対称PCR(asymmetric PCR)、ホットスタートPCR(hot start PCR)、ミニプライマーPCR(miniprimer PCR)、多重PCR(multiplex-PCR)、ネステッドPCR(nested PCR)、リアルタイム定量PCR(real-time quantitative PCR)、逆転写PCR(reverse transcription PCR)、固相PCR(solid phase PCR)及びタッチダウンPCR(touchdown PCR)などさまざまなPCR方法に応用することができるが、これらのPCR方法に限定されない。
例えば、実施例に使用されるサイクリング条件として、約95℃で約10分間変性して、45回のサイクル変性(約94℃、約60秒間)、アニーリング(約60℃、約60秒)、伸長(約72℃、約60秒)行い、そして約72℃で約10分間最終伸長を行うことが挙げられる。別の(データは示していない)実施例においては、サイクリング条件として、約95℃で約10分間変性し、続いて45回のサイクル変性(約94℃、約60秒)、第1アニール(約65℃、約180秒)、第2アニール(約57℃、約60秒)、伸長(約72℃、約60秒)行い、そして約72℃で約10分間最終伸長を行うことが挙げられる。
さらに別の態様において、本発明は、サンプル核酸の所定領域内にヌクレオチド変異の有無(参照核酸の所定領域と比べ)を決定するPCRによる検出方法に関する。
本発明の一実施形態によれば、この方法は、増幅ステップおよび検出ステップを含む。増幅ステップは、上記のPCRの優先増幅方法 に従って行われる 。そして、検出ステップで、核酸サンプルの所定領域におけるヌクレオチド変異の有無が判定される。
例えば、増幅ステップから得られたPCR産物に対して、サンプル中サンプル核酸の一つ又は多数の配列を確認するためにシークエンシングすることができる。
以下の実施例は、本発明の一部の形態を説明し、当分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できるように提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。当分野の技術者であれば、ここの説明に基づいて、さらなる詳述がなくでも、本発明を実施することができる。ここで引用される全ての刊行物は、本明細書の一部と見なされる。
実験例I
変異体KRAS遺伝子断片の優先的増幅
マッカイ記念病院(台湾)にて、了承を得た上で癌患者の病変部位から合計153個の臨床サンプルを採取した。サンプルに対して、核酸を単離する処理を行った。最初の実験では、PCR優先的増幅に使用した成分は、PCR 2X Master mix緩衝液 (JMR) 10 μl、0.2 μM 自己競合型プライマー(5'-競合ドメインシーケンス番号:1;リンカー:C3スペーサー;3'-伸長ドメイン:シーケンス番号:2)、0.2 μM リバースプライマー(CCTCTATTGTTGGATCATA、シーケンス番号:6)、テンプレートDNA 100 ng、最終体積を 20 μlなるまで水を加える。また、従来のPCRフォワードプライマー(AGGCCTGCTGAAAATGACTG, シーケンス番号:7)を使用し、同じ条件で従来のPCR増幅を行う。ABI 9700 PCR装置で反応に用いられるサイクル条件として、変性温度95℃で10分、そして45回のサイクル94℃(60秒間)、60℃(60秒間)、72℃(60秒間)、最後に72℃で10分間最終伸長を行う。
PCR反応が終了後、サンプルをPCRパウチから取り出し、アガロースゲル上で、チューブコントロールと共に電気泳動を行った。ゲルを蛍光検出法で臭化エチジウム(ethidium bromide、EtBr)およびCCDカメラに通じて画像化した。ゲル上に示された産物のバンドを切除し、その中に含まれる核酸をシークエンシングすることによって、サンプルに変異した変異体の有無を決定する。シークエンシングの結果により、提出されたPCRベースの優先増幅法により KRAS遺伝子の所定領域内合計12個の変異( エキソン1の30番から38番のヌクレオチド残基)を優先的に増幅(したがって検出可能に)されたことを示した;KRAS変異配列および位置を表1にまとめた。野生型KRAS断片は、シーケンス番号:3 (コード鎖)の配列を含む、即ちKRAS遺伝子エキソン1の第1から第40のヌクレオチド。
従来のPCR増幅および本発明の優先的な増幅からの結果を比較し、データを表2にまとめた。表2にある変異型KRASサンプルは、変異したKRAS配列および野生型KRAS配列の両方、又は変異したKRAS配列のみを含んでもよく、野生型KRASサンプルは、野生型KRAS配列のみ含んでいる。
ダイレクトシークエンシングの結果によると、優先的増幅により変異したKRAS配列を含むと判別した69個サンプルのうち、従来のPCRによって判別に成功したのは54個;従来のPCRにより野生型KRAS配列と判別した99個サンプルのうちに、優先的増幅及びダイレクトシークエンシングによって15個サンプルが変異したKRAS配列を含むと判明した。これらの結果により、従来のPCRでKRAS変異を検出する偽陽性率は約15%、感度は約78%である。
対照的に、すべてのKRAS変異体および野生型サンプルが本優先的増幅法によって正しく検出された(偽陽性0%、偽陰性:0%、感度:100%)。本実施例によれば、本発明によって提供される優先的な増幅は、サンプル(例えば、臨床サンプルなど)中の変異を検出するのに有用である。
KRAS野生型及び変異を含むプラスミドDNAをそれぞれ精製し、ストック溶液(最終濃度はマイクロリットル当たり約105 DNAコピー)を調製した 。KRAS変異配列を含むストック溶液を10倍ずつ連続で希釈し(即ち、102 - 105コピー/μl)、希釈液を1μlと9μlのKRAS野生型原液(105コピー/μl)を混合したものを優先的増幅に使うDNAサンプルとなり、上記方法で優先的増幅を行う。図2は、表1の変異体4、12の電気泳動結果を示す写真である。
図2に見られるよう、純野生型KRASサンプル、及び純変異KRASサンプルは、本優先的増幅方法により増幅される。図2において、左から1番目と2番目のレーンはそれぞれ、マーカーおよび陰性対照である(無添加サンプル核酸)。図2に示すように、純突然変異KRASサンプル(左から4番目と5番目のレーン)の強度は、純野生型KRASサンプル(左から3番目のレーン)の強度よりも高い。これらの結果により、この方法は、非変異体サンプル核酸(例えば、ここの野生型KRASサンプル)よりも、変異体サンプル核酸(例えば、ここの突然変異KRASサンプル4、12)を優先的に増幅することが確認された。
野生型KRAS配列および1つの変異体KRAS配列(変異体4または12)の両方を含むテンプレートの場合、本方法は、野生型KRAS配列よりも変異体KRAS配列を優先的に増幅し、それにより変異体KRAS配列がダイレクトシークエンシングに十分な量まで増幅する。図2に示すように、産物のバンドの強度は、変異KRAS配列の濃度と共に増加した(左から第6から第9のレーン及び第10から第13の左からレーンを参照)。これらのサンプル中の野生型KRAS配列濃度が固定されるから、強度の増加は変異型サンプル核酸(この例では、変異型KRAS配列)の優先的増幅によるものと推測される。
実験例II
変異体EGFR遺伝子断片の優先的増幅
マッカイ記念病院(台湾)にて、了承を得た上で癌患者の病変部位から合計179個の臨床サンプルを採取した。サンプルは、核酸を単離する処理を行った。最初の実験では、PCRベース優先的増幅に使用した成分は、PCR 2X Master mix緩衝液 (JMR) 10 μl、0.2 μM 自己競合型プライマー(5'-競合域:シーケンス番号:8;リンカー:C3スペーサー;3'-伸長配列:シーケンス番号:9)、0.2 μM リバースプライマー(CAAACTCTTGCTATCCCAGGAG、シーケンス番号:13)、テンプレートDNA 100 ng、最終体積を 20 μlなるまで水を加える。また、従来のPCRフォワードプライマー(GAAACTCAAGATCGCATTCATG, シーケンス番号:14)を使用し、同じ条件で従来のPCR増幅を行う。反応に使用されるサイクリング条件は、上記実施例Iに記載のものと同じである。
この例では、野生型EGFR断片(即ちEGFRの2344番目から2373番目) は、シーケンス番号:10(5'-CTCACCTCCACCGTGCAGCTCATCACGCAG-3';コード鎖)およびシーケンス番号:11(3'GAGTGGAGGTGGCACGTCGAGTAGTGCGTC-5';鋳型鎖)の配列を含み、EGFR断片の所定領域(2361番から2370番のヌクレオチド残基)の配列はシーケンス番号:12(3'-CGAGTAGTGC-5')である。
PCR反応が完成した後、実験例Iで述べた方法で産物を増幅し、シークエンシングの結果により、ここで提示されたPCRの優先増幅法は、EGFR遺伝子の所定領域内にある変異の中、合計5種類の変異( 2361番から2370番のヌクレオチド残基)を優先的に増幅できることを示し、これにより、これらのEGFR変異を検出可能になった。EGFR変異配列および位置を表3にまとめた。
従来のPCR増幅および本発明の優先的な増幅からの結果を比較し、データを表4にまとめた。表4にある変異型EGFRサンプルは、変異したEGFR配列および野生型EGFR配列の両方、又は変異したEGFR配列のみを含んでもよく、野生型EGFRサンプルは、野生型EGFR配列のみ含んでいる。
ダイレクトシークエンシングの結果によると、優先的増幅により変異したEGFR配列を含むと判別した85個サンプルのうち、従来のPCRによって判別に成功したのは60個;従来のPCRにより野生型EGFR配列と判別した119個サンプルのうち、優先的増幅及びダイレクトシークエンシングによって25個サンプルが変異したEGFR配列を含むと判明した。これらの結果により、従来のPCRでEGFR変異を検出する偽陽性率は約21%、感度は約66%である。
対照的に、すべてのEGFR変異体および野生型サンプルが本優先的増幅法によって正しく検出された(偽陽性0%、偽陰性:0%、感度:100%)。本実施例によれば、本発明によって提供される優先的な増幅は、サンプル(例えば、臨床サンプルなど)中の変異を検出するのに有用である。
上記に鑑み、本発明は、サンプル中の野生型および変異配列の両方を増幅可能な新規自己競合型プライマーを提供する。疾患または病変部から得られたサンプルは、野生型と変異配列の両方が含まれていて、多くの場合前者が圧倒的に多く、本発明のメリットは、上記の状態で変異型配列を正確に増幅可能な点である。例えば、実施例Iおよび実施例IIで使用されるいくつかのサンプルは、癌患者の病変部から採取し、野生型配列に対し変異配列が圧倒的に少ない。この状態で、従来のPCRは、変異配列をダイレクトシークエンシング又は他の検出手段に十分な量まで増幅することができない。しかし、実験結果、従来のPCRで正しく全ての変異サンプルを検出できない場合に対し、本発明は、偽陽性及び偽陰性がなく、感度が100%の優先増幅方法を提出した。また、本発明もう一つのメリットは、優先的増幅及び検出は高感度であり、従来技術よりも検出限界が優れている。
さらに、3'-伸長ドメインは所定領域と重ならないため、誤増幅(アンプリコンの所定領域の配列がサンプルの真の配列と異なる)の可能性を最小限もしくはゼロに抑えられる。誤増幅されたアンプリコンの発生は、分析の信頼性を危うくし、その後のシークエンシングを無意味にされるため、この特徴は、目標遺伝子または遺伝子断片の正確な配列(または表現型)が望まれる場合には特に重要である。例えば、ターゲット療法では、患者のターゲット遺伝子又は遺伝子断片に基づいてカスタマイズされている。したがって、誤増幅されたアンプリコンにより正しいターゲット遺伝子配列を反映していない場合は、その後治療の効果が影響される。
上記実施形態において、具体例が挙げられたが、これらの例は本発明を限定するものではない。当分野の技術者は、上記実施形態に様々な変更を施すことができる。

Claims (8)

  1. 参照核酸の所定領域と比較してサンプル核酸の前記所定領域の異なるヌクレオチドの有無によ、前記異なるヌクレオチドのある前記サンプル核酸を優先に増幅する自己競合型プライマーであって、
    前記参照核酸の鋳型鎖における、前記所定領域と前記所定領域のすぐ下流の3'末端方向にある少なくとも一つのヌクレオチド残基を含む第一領域と相補する配列を含み、長さ15〜23ヌクレオチドである、5'-競合ドメインと、
    前記参照核酸の鋳型鎖における、前記所定領域の下流の3'末端方向に位置し、前記参照核酸の前記所定領域を含まない第二領域と相補する配列を含み、長さ15〜23ヌクレオチドである、3'-伸長ドメインと、
    を含み、
    前記第一領域と前記第二領域は少なくとも一つのヌクレオチドが重なり、前記3'-伸長ドメインは、前記サンプル核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の増幅において、参照核酸の所定領域と比較して、異なるヌクレオチドのない前記サンプル核酸に対して、異なるヌクレオチドのある前記サンプル核酸を優先的に増幅させるようにフォワードプライマーとして使われ、
    前記5'-競合ドメインと前記3'-伸長ドメインが、直接または間接的に3'-5'結合によって連結されることによって、5'-競合ドメインを用いる伸長が阻害される、前記自己競合型プライマー。
  2. 前記自己競合型プライマーは非キメラプライマー又はキメラDNA/RNAプライマーである、請求項1に記載の自己競合型プライマー。
  3. さらに前記5'-競合ドメイン及び3'-伸長ドメインを連結するリンカーを含む、請求項1または2に記載の自己競合型プライマー。
  4. 前記リンカーは、ペプチド、C2-C18アルキルリンカー、ホスホルアミダイト、ポリ(エチレングリコール)リンカー、エチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカー、グリセロールから選ばれるヌクレオシドリンカー又は非ヌクレオシドリンカーである、請求項3に記載の自己競合型プライマー。
  5. 参照核酸の所定領域と比較して、サンプル核酸の前記所定領域の異なるヌクレオチドの有無によ、前記異なるヌクレオチドのある前記サンプル核酸を優先に増幅するPCR方法であって、自己競合型プライマーを用いて前記サンプル核酸を増幅するステップを含み、
    前記自己競合型プライマーは、
    前記参照核酸の鋳型鎖における、前記所定領域と前記所定領域のすぐ下流の3'末端方向にある少なくとも一つのヌクレオチド残基を含む第一領域と相補する配列を含み、長さ15〜23ヌクレオチドである、5'-競合ドメインと、
    前記参照核酸の鋳型鎖における、前記所定領域の下流の3'末端方向に位置し、前記参照核酸の前記所定領域を含まない第二領域と相補する配列を含み、長さ15〜23ヌクレオチドである、3'-伸長ドメインと、
    を含み、
    前記第一領域と前記第二領域は少なくとも一つのヌクレオチドが重なり、前記3'-伸長ドメインは、前記サンプル核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR) の増幅において、参照核酸の所定領域と比較して、異なるヌクレオチドのない前記サンプル核酸に対して、異なるヌクレオチドのある前記サンプル核酸を優先的に増幅させるようにフォワードプライマーとして使われ
    前記5'-競合ドメインと前記3'-伸長ドメインが、直接または間接的に3'-5'結合によって連結されていることによって、5'-競合ドメインを用いる伸長が阻害される、前記PCR方法。
  6. 前記自己競合型プライマーはキメラDNA/RNAプライマー又は非キメラプライマーである、請求項5に記載のPCR方法。
  7. さらに前記5'-競合ドメイン及び3'-伸長ドメインを連結するリンカーを含む、請求項5または6に記載のPCR方法。
  8. 前記リンカーは、ペプチド、C2-C18アルキルリンカーホスホルアミダイト、ポリ(エチレングリコール)リンカー、エチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカー、グリセロールから選ばれるヌクレオシドリンカー又は非ヌクレオシドリンカーである、請求項7に記載のPCR方法。
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