JP5944303B2 - 脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。 - Google Patents

脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。 Download PDF

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    • C11C3/06Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fats or fatty oils with glycerol

Description

本発明は、脂肪酸モノグリセライド濃度が高い脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法に関する。
化粧品、食品、工業用の乳化剤あるいは潤滑油の油性剤等として広く使用されている脂肪酸モノグリセライドは、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応、あるいはグリセリンと油脂とのエステル交換反応により製造される。
これらの反応は、無触媒又は触媒存在下で行われるが、一般にグリセリン、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドの混合物が生じる。
このため、目的に応じて精製工程が必要となる。高純度の脂肪酸モノグリセライドを得たい場合には、分子蒸留または薄膜蒸留による精製が行われる。モノグリセライド蒸留後の残渣中に含まれる脂肪酸ジグリセライド及び脂肪酸トリグリセライドは、グリセリンとのエステル交換反応により再度モノグリセライドとして回収することが可能であるが、モノグリセライドの生産効率を考えると、蒸留工程前でのモノグリセライド純度は高い程望ましい。
特許文献1で記載されているように、このエステル交換反応は、反応温度が高くなる程、脂肪酸モノグリセライドの生成方向へ平衡が移動することが知られている。原料である油脂及びグリセリンを触媒存在下にて220℃以上の高温で保持することにより脂肪酸モノグリセライドの濃度が高くなる。
しかし、触媒存在下で冷却に時間を要すると、その温度での平衡に向かう反応、すなわち2分子の脂肪酸モノグリセライドから脂肪酸ジグリセライド及びグリセリンへの反応の寄与が大きくなり、脂肪酸モノグリセライド濃度が低下することが知られている。
そこで、特許文献1では、反応終了後にアルカリ触媒を酸にて中和し失活させることで反応速度を低下させ、冷却中の脂肪酸モノグリセライド濃度の低下を防ぐ技術が記載されている。
特許文献2では、脂肪酸モノグリセライドの生成反応後、減圧下でグリセリンを揮発させ、蒸発に伴う熱移動により反応終了液の冷却を行うことで、反応速度を低下させ、脂肪酸モノグリセライド濃度の低下を防ぐ方法が開示されている。
特開昭57−24327号公報 米国特許2909540号公報
しかし、特許文献1では、中和により塩が生成し、生成した塩の除去のためには濾過等の精製設備が必要となる。また、特許文献2では、反応の平衡がずれて脂肪酸モノグリセライドの分解反応が進行する方向であるため、脂肪酸モノグリセライド含量が十分に高い脂肪酸モノグリセライド含有混合物を製造することができない。
そこで、本願の課題は脂肪酸モノグリセライド含量が高い脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法を提供することにある。
本発明は、グリセリンと、脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物から脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る製造方法であって、
工程(i)グリセリンと脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物を触媒の存在下で加熱反応させて脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る工程と、
工程(ii)前記混合物に対してグリセリンを添加して前記混合物を冷却することを含む工程であり、前記混合物の温度よりも低い温度の、かつ液体のグリセリンを添加する工程と、
工程(iii)前記工程(ii)で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程と、
を有している、脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法に関する。
本発明により、反応工程終了段階において脂肪酸モノグリセライド含量が高い脂肪酸モノグリセライド含有混合物を製造でき、その後の精製負荷を低減し、かつ時間当たりのモノグリセライド生産量を増加させることができる。
実施例5に用いられた製造装置の概略図である。
本発明に係る脂肪酸モノグリセライド含有混合物(工程(i)で得られるものとの対比から、「最終混合物」と称することがある)の製造方法は、
工程(i)グリセリンと脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物(以下、「アシル基を有する化合物」と称することがある)を触媒の存在下で加熱反応させて脂肪酸モノグリセライド含有混合物(中間混合物)を得る工程と、
工程(ii)前記混合物に対してグリセリンを添加して前記混合物を冷却することを含む工程であり、前記混合物の温度よりも低い温度の、かつ液体のグリセリンを添加する工程と、
工程(iii)前記工程(ii)で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程と、
を有している。
なお、工程(i)の反応態様及び工程(ii)の冷却態様は、それぞれ、バッチ式及び連続式のいずれでも良い。バッチ式の場合、回分法および半回分法のいずれでも良い。
<工程(i):脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る工程>
本発明の工程(i)で用いられるアシル基を有する化合物は、分岐鎖、直鎖、飽和、不飽和のいずれのアシル基を有するものでもよいが、本発明の効果がより明確になる観点から、アシル基の炭素数は8〜30が好ましく、12〜22が好ましく、14〜18がより好ましい。同様の観点から、本発明の工程(i)で用いられるアシル基を有する化合物は、アシル基の炭素数が8以上、更に12以上、更に14以上であることが好ましく、そして、30以下、更に22以下、更に18以下であることが好ましい。
本発明に用いられるアシル基を有する化合物の中で脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。
本発明に用いられるアシル基を有する化合物の中で脂肪酸グリセライドとしては、上記脂肪酸とグリセリンを構成成分とするトリエステル、ジエステル及びそれらの混合物が挙げられる。また、モノエステルが含まれていても構わない。
具体的には、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、なたね油、牛脂、豚脂、トール油、魚油等が挙げられる。
グリセリンとアシル基を有する化合物との反応割合は、脂肪酸モノグリセライド含量の高い脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得、また1バッチ当たり又は単位時間当たりの生産性を上げる観点から、アシル基を有する化合物のアシル基1モルに対し、グリセリン1.0〜5.0モルが好ましく、1.3〜4.0モルがより好ましく、2.0〜3.0モルが更に好ましい。同様の観点から、グリセリンとアシル基を有する化合物との反応割合は、アシル基を有する化合物のアシル基1モルに対し、グリセリン1.0モル以上、更に1.3モル以上、更に2.0モル以上が好ましく、そして、5.0モル以下、更に4.0モル以下、更に3.0モル以下が好ましい。
グリセリンとアシル基を有する化合物との反応温度は、油層へのグリセリンの溶解度を向上させると共に、エステル化反応及びエステル交換反応速度を向上させる観点から200℃以上が好ましく、210℃以上がより好ましく、215℃以上が更に好ましく、副生成物であるジグリセリンの生成を抑制する観点から400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下が更に好ましい。同様の観点から、200〜400℃が好ましく、210〜350℃がより好ましく、215〜300℃が更に好ましい。
グリセリンとアシル基を有する化合物との反応時間は、反応温度、使用する触媒種および量などの影響を受けるが、反応平衡近傍への到達を確実にすることによる脂肪酸モノグリセライドの収率向上の観点から5分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上が更に好ましい。また、グリセリンの縮合物であるジグリセリンの副生量の観点から、12時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましく、5時間以下が更に好ましい。なお終点の確認は、適宜試料を採取し、それを分析することで行うことができる。具体的には、例えばモノグリセライドの含有量に変動が無くなったことを確認することにより、行うことができる。
本発明に係る脂肪酸モノグリセライド含有混合物(中間混合物)を得る工程は、触媒存在下で行われる。触媒としてはエステル化反応又はエステル交換反応に用いられる触媒が挙げられる。
前記混合物に対してより均一に近い状態で分散させることによる脂肪酸モノグリセライドの収率向上の観点より、脂肪酸グリセライド及びグリセリンに可溶な触媒が好ましく、具体的にはアルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化カルシウムがより好ましく、水酸化カルシウムが更に好ましい。
触媒濃度は、十分なエステル化反応及びエステル交換反応速度を確保する観点から、1ppm(質量基準)以上が好ましく、より好ましくは10ppm以上であり、更に好ましくは50ppm以上であり、冷却中に、2分子の脂肪酸モノグリセライドから脂肪酸ジグリセライド及びグリセリンへの反応(以下、逆反応という)の進行を抑制することによる脂肪酸モノグリセライドの収率向上の観点より、1000ppm以下が好ましく、750ppm以下がより好ましく、500ppm以下がより好ましい。本発明では、グリセリンとアシル基を有する化合物に触媒を添加し、好ましくは上記の範囲に触媒濃度を調整し、工程(i)及び(ii)を行う。
<工程(ii):脂肪酸モノグリセライド含有混合物にグリセリンを添加して冷却することを含む工程>
本発明の工程(ii)では、グリセリンの添加によって前記工程(i)での反応終了物(中間混合物)を冷却することに加えて、グリセリンの添加によって液相中の触媒濃度を低減し、中間混合物に含まれる触媒を抽出することにより逆反応を抑制する工程である。
工程(i)で得られた混合物の温度は、基本的に工程(i)での反応温度のままが好ましい。該混合物の温度は、200℃以上が好ましく、210℃以上がより好ましく、215℃以上が更に好ましく、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下が更に好ましい。具体的には200〜400℃が好ましく、より好ましくは210〜350℃、更に好ましくは215〜300℃である。
工程(ii)では、工程(i)での混合物よりも低い温度であって、かつ液体のグリセリンを添加する。
工程(ii)で添加するグリセリン(沸点280℃)の温度は、工程(i)での反応終了物(中間混合物)の冷却の観点から、上記温度条件を満たす温度内で、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、更に好ましくは50℃以下である。
また流動性の観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。
工程(ii)でのグリセリンの添加量は、逆反応防止の観点から、脂肪酸モノグリセライド含有混合物(中間混合物)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましい。
工程(ii)でのグリセリンの添加量は、脂肪酸モノグリセライド含有組成物層とグリセリン層との分層に必要な分離槽および貯槽の大きさの観点から、脂肪酸モノグリセライド含有混合物(中間混合物)100質量部に対して、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、150質量部以下が更に好ましい。
同様の観点から、工程(ii)でのグリセリンの添加量は、脂肪酸モノグリセライド含有混合物(中間混合物)100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましく、50〜150質量部が更に好ましい。
工程(ii)でのグリセリンの添加量は、逆反応防止の観点から、触媒100質量部に対して、1×103質量部以上が好ましく、1×104質量部以上がより好ましく、1×105質量部以上が更に好ましい。
工程(ii)でのグリセリンの添加量は、脂肪酸モノグリセライド含有組成物層とグリセリン層との分層に必要な分離槽および貯槽の大きさの観点から、触媒100質量部に対して、1×109質量部以下が好ましく、5×107質量部以下がより好ましく、3×106質量部以下が更に好ましい。
同様の観点から、工程(ii)でのグリセリンの添加量は、触媒100質量部に対して、1×103〜1×109質量部が好ましく、1×104〜5×107質量部がより好ましく、1×105〜3×106質量部が更に好ましい。
工程(ii)での混合物の冷却速度は、逆反応防止の観点から、1℃/分以上が好ましく、5℃/分以上がより好ましく、8℃/分以上が更に好ましく、50℃/分以上が更に好ましく、100℃/分以上が更に好ましい。エネルギー負荷の観点から1000℃/分以下が好ましく、500℃/分以下がより好ましく、300℃/分以下が更に好ましい。
工程(ii)では、混合物の温度が高い領域での冷却速度が、脂肪酸モノグリセライドの収率向上に、より影響が大きい。本発明では、工程(ii)で、温度が100℃以上、更に140℃以上の混合物に対して、上記の範囲の冷却速度でグリセリンを添加して冷却することが、逆反応防止の効果が顕著であることから好ましい。また、本発明では、工程(ii)で、混合物の温度が140℃以下、更に100℃以下となるまで、上記の範囲の冷却速度でグリセリンを添加して冷却することが、逆反応防止の効果が顕著であることから好ましい。
また、工程(ii)における冷却後の混合物の温度は、混合物の固化を防いで効率良く分層を行う観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
グリセリンの添加は混合物の全体の冷却速度が上記範囲になるように、混合しながら行うことが好ましい。混合を行う方法としては従来から知られている方法を用いることができる。
撹拌槽型反応器を用いてバッチ式反応で工程(ii)を行う場合は、混合物を撹拌しながら、混合物の全体の冷却速度が上記範囲になるようにグリセリンを添加する。
攪拌機の撹拌翼としては、例えば3枚後退翼、フルゾーン翼、タービン翼、マックスブレンド翼等の撹拌翼を用いることができる。
反応器内の流体の単位体積当たりの撹拌所要動力は、混合物の全体を冷却する観点から0.1kW/m3以上が好ましく、0.5kW/m3以上がより好ましく、2kW/m3以上であることがさらに好ましい。また、エネルギー負荷の観点から200kW/m3以下が好ましく、100kW/m3以下がより好ましく、50kW/m3以下が更に好ましい。
ここで「単位体積当りの撹拌所要動力」とは、反応中の攪拌動力(単位kW)の測定値と反応原料仕込み前の空転動力(単位kW)の測定値の差を求め、更にその値を反応器内の流体の体積(単位m3)で除した値である。
また、グリセリンの添加は混合物の全体の冷却速度が上記範囲になるのであれば、連続的であっても断続的であってもよい。
冷却速度は単位時間当たりの温度の低下量であり、管型反応器で連続的に工程(ii)を行う場合の冷却速度は、冷却部の入口と出口の温度の差を、流路長を線速度で除して得られる値で除することにより得られる値とすることができる。
管型反応器で連続的に工程(ii)を行う場合は、混合物の全体の冷却速度が上記範囲になるようにする観点から、グリセリンの工程(i)で得られた混合物への混合は、好ましくは1(1/sec)以上、より好ましくは10(1/sec)以上、さらに好ましくは100(1/sec)以上の剪断速度U/Dminで行い、エネルギー負荷の観点から100000(1/sec)以下、より好ましくは50000(1/sec)以下、更に好ましくは10000(1/sec)以下の剪断速度U/Dminで行う。
剪断速度U/Dminにおいて、Dminは混合部の流路最小内径(mm)であり、UはDminにおける混合物の線速度(mm/sec)である。なお、混合物の流量をQ(mL/sec)とするとU(mm/sec)は次式(1)で求めることができる。ここでnは、流路最小内径の数を示し、例えば多孔版タイプの縮流型混合器を使用する場合は該混合器における孔数をあらわす。
U(mm/sec)=Q×1000/(n×π×(Dmin)2/4) (1)
また、混合部の断面形状は必ずしも円でなくても良い。円以外の形状の場合にUは流路最小断面積における流速を意味する。この場合、Dminには流路最小断面積と等しい面積を有する円の直径を用いる。
<工程(iii):脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程>
前記工程(ii)の後において、工程(iii)として脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程を行う。
工程(iii)における分層させて行う分離方法としては、脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分離する方法として従来から知られている方法を用いることができる。具体的には、静置分離、遠心分離等が挙げられる。
エネルギー効率、及び設備の簡略化の観点から静置分離、遠心分離が好ましく、静置分離がより好ましい。
静置分離としては、具体的には、工程(ii)において得られた混合物を貯槽等に静置する方法、及びAPI式オイルセパレーター、CPI式オイルセパレーター、PPI式オイルセパレーター等の分離装置を用いた方法が挙げられる。
遠心分離としては、ドラバル型遠心分離機、シャープレス型遠心分離機等を用いる方法が挙げられる。
また、工程(iii)において分層させる脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンの混合物の温度は、混合物の固化を防いで効率良く分層を行う観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
工程(iii)で得られる脂肪酸モノグリセライド含有混合物中に残留するアルカリ触媒濃度は、得られる混合物中の脂肪酸モノグリセライドの安定性の観点から0.1質量%以下が好ましく、100ppm以下が好ましい。
工程(iii)で分離されたグリセリンは工程(i)又は工程(ii)で、好ましくは工程(i)で利用することができる。
本発明の態様及び好ましい実施態様を以下に示す。
<1>
グリセリンと、脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物から脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る製造方法であって、
工程(i)グリセリンと脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物を触媒の存在下で加熱反応させて脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る工程と、
工程(ii)前記混合物に対してグリセリンを添加して前記混合物を冷却することを含む工程であり、前記混合物の温度よりも低い温度の、かつ液体のグリセリンを添加する工程と、
工程(iii)前記工程(ii)で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程と、
を有している、脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<2>
工程(ii)におけるグリセリンの添加量が、前工程で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、そして、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である、上記<1>記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<3>
工程(ii)における混合物の冷却速度が好ましくは1℃/分以上、より好ましくは5℃/分以上、更に好ましくは8℃/分以上、更に好ましくは50℃/分以上、更に好ましくは100℃/分以上であり、そして、好ましくは1000℃/分以下、より好ましくは500℃/分以下、更に好ましくは300℃/分以下である、上記<1>又は<2>記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<4>
工程(ii)におけるグリセリンの添加量が、前工程で使用した触媒100質量部に対して、好ましくは1×103質量部以上、より好ましくは1×104質量部以上、更に好ましくは1×105質量部以上であり、そして、好ましくは1×109質量部以下、より好ましくは5×107質量部以下、更に好ましくは3×106質量部以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<5>
工程(i)における反応温度が好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは215℃以上であり、そして、好ましくは400℃以下であり、より好ましくは350℃以下、更に好ましくは300℃以下である、<1>〜<4>の何れかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<6>
工程(ii)で添加するグリセリンの温度が好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは50℃以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<7>
工程(i)で用いる触媒の触媒濃度が、好ましくは1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは50ppm以上であり、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは750ppm以下、更に好ましくは500ppm以下である<1>〜<6>のいずれかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<8>
工程(iii)における分層させて行う分離方法が静置分離である<1>〜<7>のいずれかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
<9>
工程(ii)における混合物の温度が100℃以上、更に140℃以上であり、工程(ii)における混合物の冷却速度が1℃/分以上、更に5℃/分以上、更に8℃/分以上、更に50℃/分以上、更に100℃/分以上であり、そして、1000℃/分以下、更に500℃/分以下、更に300℃/分以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
[脂肪酸モノグリセライドの分析方法]
脂肪酸モノグリセライドを含有する試料に内部標準物質としてドデカンを秤量して添加し、混合した。なお、実施例及び比較例の反応終了物において分層する場合には、上部に分層した油層から試料を採取した。
混合物にトリメチルシリル化剤(GLサイエンス社製、TMSI−H)を添加し加熱・混合し、ヘキサンで希釈後、固形分をろ別して得られたろ液を、下記の条件でガスクロマトグラフ分析を行った。
・装置:Agilent Technologies社製、6890N Network GC System
・カラム:フロンティア・ラボ社製、Ultra ALLOY-1(MS/HT)、30m長×0.25mm径×0.15μm膜厚
・検出器:FID
・昇温条件:60℃(2分間保持)→10℃/分→350℃(15分間保持)
・Injection温度:300℃
・Detector温度:350℃
製造例1
モノステアリン酸グリセリン(モノグリセライド含有量:98質量%)300gを90℃で溶解し、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.27g添加した後、30分撹拌し、触媒量を調整済みのモノステアリン酸グリセリンとした。ここで用いたモノステアリン酸グリセリンは、以下の方法で合成できる。
パーム硬化油、グリセリン、及び水酸化カルシウムを分散させたグリセリンを、パーム硬化油のエステル基1モルに対してグリセリンが0.9モル、パーム硬化油及びグリセリンの質量に対して水酸化カルシウムが0.01質量%となる流量比となるように、反応器に連続的に供給し、250℃で反応させる。続いて、減圧条件下にて、反応液中の低沸点成分の除去及び反応液中の未反応のグリセリンの留去を行う。続いて、モノグリセライドを主成分とした混合物を蒸留分離する。分離した混合物から、残存グリセリンを留去することによって、製造例1で用いるモノステアリン酸グリセリンを製造することができる。
参考例1
出発原料としてモノステアリン酸グリセリン(和光純薬工業株式会社製,モノステアリン酸グリセロール、モノグリセライド含有量:56質量%)を使用して、本願発明の製造方法の工程(ii)を実施することにより、モノグリセライドの分解が抑制され、脂肪酸モノグリセライド含有量が高い混合物が得られることを確認した。
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、上記のモノステアリン酸グリセリン25.0g、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製)0.0026gを仕込み、100℃まで昇温した。モノステアリン酸グリセリンの溶解後、水酸化カルシウムも均一に溶解するようフラスコ内を300r/minで撹拌した。
その後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを冷却前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、あらかじめ100℃に予熱しておいたグリセリン(キシダ化学株式会社製)25.2gを、内容物の冷却速度が時間に対してほぼ一定となるよう調節しながら、5分間かけて添加した。グリセリン添加中および添加後には、フラスコを油浴から部分的に又は完全に外した。このときの冷却速度は、グリセリン添加中および添加後とも同じで8℃/分であった。グリセリンの添加により中間混合物を175℃まで冷却した。
グリセリンの添加終了後も、内容物の温度が140℃になるまで冷却を続け、その後140℃を30分間保持した後、撹拌を一時停止して上層より分析用試料を採取し、これを冷却後の最終混合物とした。撹拌を停止したところ、内容物は分層した。表1に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
参考例2
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、モノステアリン酸グリセリン(和光純薬工業株式会社製 モノステアリン酸グリセロール、モノグリセライド含有量:56質量%)25.0g、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製)0.0025gを仕込み、100℃まで昇温した。モノステアリン酸グリセリンの溶解後、水酸化カルシウムも均一に溶解するようフラスコ内を300r/minで撹拌した。
その後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを冷却前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、内容物の冷却速度が時間に対してほぼ一定となるよう、フラスコを油浴から部分的又は完全に外した。このときの冷却速度は4℃/分であった。
内容物の温度が140℃になるまで冷却を続け、その後140℃を30分間保持した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを冷却後の最終混合物とした。表1に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
参考例3
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、モノステアリン酸グリセリン(和光純薬工業株式会社製 モノステアリン酸グリセロール、モノグリセライド含有量:56質量%)25.0g、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製)0.0026gを仕込み、100℃まで昇温した。モノステアリン酸グリセリンの溶解後、水酸化カルシウムも均一に溶解するようフラスコ内を300r/minで撹拌した。
その後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを冷却前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、内容物の冷却速度が時間に対してほぼ一定となるよう、フラスコを油浴から部分的又は完全に外した。このときの冷却速度は16℃/分であった。
内容物の温度が140℃になるまで冷却を続け、その後140℃を30分間保持した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを冷却後の最終混合物とした。表1に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
Figure 0005944303
実施例1
出発原料として製造例1で得たモノステアリン酸グリセリンを使用して、本願発明の製造方法を実施することにより、モノグリセライドの分解が抑制され、脂肪酸モノグリセライド含有量が高い混合物が得られることを確認した。
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、製造例1で得た触媒量を調整済みのモノステアリン酸グリセリン25.0gを仕込み、100℃まで昇温した。原料溶解後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、分析用試料を採取し、これを冷却前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、あらかじめ100℃に予熱しておいたグリセリン(花王株式会社製,精製グリセリン)25.1gを、内容物の冷却温度が時間に対してほぼ一定となるよう調節しながら、5分間かけて添加した。グリセリン添加中および添加後には、フラスコを油浴から部分的又は完全に外した。このときの冷却速度は、グリセリン添加中および添加後とも同じで8℃/分であった。グリセリンの添加により中間混合物を175℃まで冷却した。
グリセリンの添加終了後も、内容物の温度が140℃になるまで冷却を続け、その後140℃を30分間保持した後、撹拌を一時停止して上層より分析用試料を採取し、これを冷却後の最終混合物とした。
撹拌を停止したところ、内容物は分層した。表2に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
比較例1
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、製造例1で得た触媒量を調整済みのモノステアリン酸グリセリン25.0gを仕込み、100℃まで昇温した。原料溶解後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを分解前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、内容物の冷却速度が時間に対してほぼ一定となるよう、フラスコを油浴から部分的又は完全に外した。このときの冷却速度は8℃/分であった。内容物の温度が140℃になるまで冷却を続け、その後140℃を30分間保持した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを分解後の最終混合物とした。表2に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
比較例2
攪拌機、温度計付きの100mL四ツ口フラスコに、製造例1で得た触媒量を調整済みのモノステアリン酸グリセリン25.0g、グリセリン(花王株式会社製,精製グリセリン)25.0gを仕込み、100℃まで昇温した。原料溶解後、フラスコを油浴から外し、油浴のみを220℃に昇温した。油浴温度が安定したことを確認した後、フラスコを油浴に浸し、フラスコ内を300r/minで撹拌しつつ、内容物の温度を215℃まで昇温した。215℃に達した後、撹拌を一時停止して分析用試料を採取し、これを分解前の中間混合物とした。
この後、撹拌を再開し、内容物の温度を215℃で30分間保持した後、撹拌を一時停止して上層より分析用試料を採取し、これを分解後の最終混合物とした。撹拌を停止したところ、内容物は分層した。表2に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
Figure 0005944303
実施例1及び比較例1のモノグリセライド分解率の結果から、冷却するだけでは逆反応は抑制されないが、グリセリンを添加すると逆反応が抑制されることが分かった。
比較例2のモノグリセライド分解率の結果から、グリセリンを添加しても、冷却をしなければ、モノグリセライド分解率は高くなる(即ち、脂肪酸モノグリセライドの含有量は低下する)ことが分かった。
実施例2
実施例1と同一の操作で、冷却前の中間混合物を得た。
この中間混合物に、あらかじめ40℃に予熱しておいたグリセリン(花王株式会社製,精製グリセリン)12.5gを、0.3分間かけて添加した。グリセリン添加前には、フラスコを油浴から完全に外した。このときの冷却速度は、130℃/分であった。グリセリンの添加終了時の内容物の温度は175℃であった。
滴下終了後、撹拌を停止した。撹拌を停止したところ、内容物は分層した。上層より分析用試料を分取し、これを冷却後の最終混合物とした。表3に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
実施例3
実施例1と同一の操作で、冷却前の中間混合物を得た。
この中間混合物に、あらかじめ40℃に予熱しておいたグリセリン(花王株式会社製,精製グリセリン)25.0gを、0.5分間かけて添加した。グリセリン添加前には、フラスコを油浴から完全に外した。このときの冷却速度は、130℃/分であった。グリセリンの添加終了時の内容物の温度は150℃であった。
滴下終了後、撹拌を停止した。撹拌を停止したところ、内容物は分層した。上層より分析用試料を分取し、これを冷却後の最終混合物とした。表3に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
実施例4
実施例1と同一の操作で、冷却前の中間混合物を得た。
この中間混合物に、あらかじめ40℃に予熱しておいたグリセリン(花王株式会社製,精製グリセリン)125gを、2.6分間かけて添加した。グリセリン添加前には、フラスコを油浴から完全に外した。このときの冷却速度は、内容物の温度が140℃になるまでは130℃/分であった。その後、冷却速度を一定にすることが困難となり、冷却速度は徐々に低下し、グリセリンの添加終了時の内容物の温度は90℃であった。グリセリンの添加による全体の冷却速度は、48℃/分であった。
滴下終了後、撹拌を停止した。撹拌を停止したところ、内容物は分層した。上層より分析用試料を分取し、これを冷却後の最終混合物とした。表3に操作条件(モノグリセライド仕込量等)とモノグリセライド分解率を示した。
Figure 0005944303
実施例5[脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造]
図1に示す製造装置を使用した。図1中の各ラインに付した斜線は、リボンヒーター(RH)を示している。
<工程(i)>
攪拌機11のほか、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管を備えた5L四ツ口反応容器10に、グリセリン(キシダ化学株式会社製)538g、ルナックS-70V(炭素数が16と18の脂肪酸混合物;花王株式会社製)1460gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=1.1/1]、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製)を1.00g添加し、窒素を液上空間部に20mL/分流しながら、マントルヒーターにて昇温した。
原料溶解後には反応容器10内を300r/minで撹拌した。脱水管に水の流出が確認された後、4時間保持して反応を進行させた。最終的な到達温度は220℃であった。ガスクロマトグラフ分析より、このときの反応終了物中の脂肪酸濃度は1.2質量%、モノグリセライド比率は対エステル体で55質量%であった。
上記反応物をプランジャーポンプ21により2.5g/分でライン10aを通して送液し、容器12内に入っている水酸化カルシウムを0.05質量%含有したグリセリンを、プランジャーポンプ22により2.5g/分の流量にてライン12aを通して送液し、ライン10aとライン12aとの合流点にて合流させた。合流後の2液を予熱管および反応管にて、270℃に昇温および反応させた。
<工程(ii)>
反応管出口にはグリセリン送液の配管を接続し、容器13内に入っている50℃のグリセリンをプランジャーポンプ23により5g/分の流量にて、ライン13aを通して送液して、反応液と合流させた。合流後の液は、冷却管出口より回収した。冷却管出口での液の温度は142℃であった。
予熱管は内径1.8mm×長さ2m、反応管は内径4.4mm×長さ1.5m、冷却管は内径1.8mm×長さ1mのSUS316管とした。これらは直列に接続されており、予熱管および反応管を油浴に浸した。油浴温度は270℃とした。冷却速度は260℃/分であった。
<工程(iii)>
冷却管出口より回収した回収液を静置したところ、回収液は分層した。回収液の油層部より分析用試料を採取した。ガスクロマトグラフ分析より、このときのモノグリセライド比率は対エステル体で69質量%であった。
実施例5の結果は、表2に示す結果との対比からも確認できるとおり、本発明の製造方法を実施することによって、混合物中のモノグリセライド分解率が低くなり、脂肪酸モノグリセライドの含有量が高くなったことを示している。

Claims (11)

  1. グリセリンと、脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物から脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る製造方法であって、
    工程(i)グリセリンと脂肪酸及び脂肪酸グリセライドから選ばれる1種以上のアシル基を有する化合物を触媒の存在下で加熱反応させて脂肪酸モノグリセライド含有混合物を得る工程と、
    工程(ii)前記混合物に対してグリセリンを添加して前記混合物を冷却することを含む工程であり、前記混合物の温度よりも低い温度の、かつ液体のグリセリンを添加する工程と、
    工程(iii)前記工程(ii)で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを分層させて分離する工程と、
    を有している、脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  2. 工程(ii)におけるグリセリンの添加量が、前工程で得られた脂肪酸モノグリセライド含有混合物100質量部に対して1質量部以上、1000質量部以下である、請求項1記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  3. 工程(ii)における混合物の冷却速度が1℃/分以上、1000℃/分以下である、請求項1又は2記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  4. 工程(ii)におけるグリセリンの添加量が、前工程で使用した触媒100質量部に対して1×103質量部以上、1×109質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  5. 工程(i)における反応温度が200℃以上、400℃以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  6. 工程(ii)で添加するグリセリンの温度が0℃以上、180℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  7. 工程(ii)が、脂肪酸モノグリセライド含有混合物とグリセリンを別々に連続的に送液しながら混合する工程である、請求項1〜6のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  8. 工程(iii)で分離されたグリセリンを工程(i)又は工程(ii)で利用する、請求項1〜7のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  9. 工程(i)で用いる触媒がアルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物である請求項1〜8のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  10. 工程(i)で用いる触媒の触媒濃度が1ppm以上、1000ppm以下である請求項1〜9のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
  11. 工程(iii)における分層させて行う分離方法が静置分離である請求項1〜10のいずれか1項記載の脂肪酸モノグリセライド含有混合物の製造方法。
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