この種の軟弱野菜収穫機として、本件出願人は特開2011−193748号公報(特許文献1)のものを既に提案している。尚、特許文献1の軟弱野菜収穫機は、例えばホーレン草や小松菜等の葉部面積の大きい軟弱野菜のほかに、ネギのような細長い軟弱野菜も収穫し得るものである。
この特許文献1の軟弱野菜収穫機は、図8に示すように、走行装置1上に前部が下方で後部が上方に向けて傾斜する機体フレーム2を取付け、該機体フレーム2上に圃場に植生している軟弱野菜(図示例ではネギ)Pを保持して前部下方から後部上方に搬送する搬送装置4を設けているとともに、該搬送装置4の終端部の直下に収納容器7を設けている。
尚、図8の例では、収穫する軟弱野菜としてネギのような細長い野菜を採用しているので、以下の説明では、収穫する軟弱野菜を細長野菜ということがある。
図8の収穫機において、機体フレーム2の前部には、圃場に植生している細長野菜(ネギ)Pの根Paを掘り出す掘出し装置3を設けている。
搬送装置4は、挟持ベルト42からなる前搬送部4Aと上下2段の上挟持ベルト52と下挟持ベルト53からなる後搬送部4Bを有している。尚、搬送装置4の前搬送部4A及び後搬送部4Bは、それぞれ左右に2列あり、同時に2列状態で収穫し得るようになっている。
搬送装置4の後搬送部4Bは、前搬送部4Aの挟持ベルト42の搬送スピードと同スピードの上挟持ベルト52と、該上挟持ベルト52よりやや遅いスピードの下挟持ベルト53とを有している。そして、この後搬送部4Bでは、細長野菜Pが上挟持ベルト52と下挟持ベルト53に跨がって搬送されるときに、上下両挟持ベルト52,53の速度差によって、該細長野菜がP3で示す鉛直姿勢からP4で示す後傾姿勢に変化するようになっている。即ち、この後搬送部4Bは、細長野菜の搬送中に該細長野菜の姿勢を後傾させるための姿勢傾動装置となるものである。
収納容器7は、後搬送部4Bの終端部の直下の定高さ位置において、実線図示する作物収容姿勢(容器の底面板71が角度45°〜50°程度前方下向き傾斜した姿勢で且つ容器の前面板72が前方上向き傾斜した姿勢)で設置されている。尚、この収納容器7は、図示しない姿勢保持手段により、実線図示する作物収容姿勢と鎖線図示(符号7′)する作物取出し姿勢(容器の底面板71が略水平姿勢)とでそれぞれ姿勢保持し得るようになっている。
この図8に示す公知の収穫機で細長野菜(ネギ)Pを収穫する場合は、走行装置1で前進走行させながら、機体フレーム2の前部において圃場に植生している細長野菜Pの根Paを掘出し装置3で掘り出し、その掘り出した細長野菜Pの地上露出部(葉部Pb)を前搬送部4Aの始端部で挟持し(符号P1の状態)、該前搬送部4Aで細長野菜Pを略鉛直姿勢のまま後部上方に向けて搬送し、該ネギPを前搬送部4Aの終端部から後搬送部4B(上挟持ベルト52)の始端部に移乗させ(符号P2の状態)、該細長野菜がP3に示すように上下の挟持ベルト52,53(姿勢傾動機能がある)で挟持された以降は上下挟持ベルト52,53の速度差により該細長野菜の姿勢が順次後傾していき、後搬送部4Bの終端部から放出される時点では該細長野菜は符号P4で示すように上部側が所定角度(例えば角度20°程度)後傾姿勢となる。
そして、後搬送部4Bの終端部から順次放出される後続の各細長野菜P4は、収納容器7内に収納された先の細長野菜P5の上に順次堆積されていき、収納容器7内に1回当たりの収穫量の細長野菜群Qが収納されると、収穫作業を一時中断して、該収納容器7を鎖線図示する略水平姿勢(符号7′の姿勢)まで倒し、該収納容器7′内の細長野菜群Q′を取出して別の容器に移し替え、集積場に運ぶ。
ところで、後搬送部4Bの終端部から放出される細長野菜P4は、後傾移動慣性によりさらに傾斜しながら(例えば符号P4′の姿勢を経て)下方の収納容器7内に落下するが、そのとき細長野菜の落下高さによって該細長野菜P5の後傾姿勢が若干異なるようになる。
他方、収納容器7(底面板71)の設置高さは、後搬送部4Bの終端部から放出された細長野菜P4の高さ位置を考慮して、細長野菜が容器底面板71上まで落下したときに、該細長野菜P5が底面板71の傾斜に沿うような後傾姿勢になるように設定されることが多い。
ところが、収納容器7内に収納された細長野菜群Qの堆積量が多くなる(嵩が高くなる)と、落下してくる細長野菜P4の後傾姿勢変動が細長野菜群Qの上面の傾斜姿勢に一致しなくなる(後傾移動慣性による後傾姿勢変動が間に合わない)。すると、該落下側細長野菜P5の根部Paが堆積側の細長野菜群Qの上面に接触した時点から該落下側細長野菜P5の姿勢が安定するまで(全長が接触するまで)の間の姿勢が不安定となって、該落下側細長野菜P5が正規の着座姿勢又は着座位置からずれることがある。この場合は、収納容器7内に堆積された細長野菜群Qの各根部Paの位置が前後にずれたり、各細長野菜P5の向き(平行度)が乱れたりすることになる。
ところで、収穫した細長野菜群Qは、所定量ずつ箱詰めして出荷するが、ネギのような細長野菜群Qを箱詰めする際には、各細長野菜(ネギ)の向きを揃え且つ各根部Paの位置を揃えて梱包する必要がある。
ところが、収穫した細長野菜群Qの集積状態において、各細長野菜の向きが不揃いであったり、各根部Paの位置が不揃いであったりすると、細長野菜群Qから少本数ずつ手に取って向きや根部位置を揃える必要がある。そのとき、多数本の細長野菜を束にして一度に位置揃えしようとしても、ネギのような細長野菜では接触長さが長くしかもネギ表面は滑りにくい(摩擦力が強い)ので、位置揃えが困難である。
従って、収穫した細長野菜群Qの集積状態において、各細長野菜の向きが不揃いであったり、各根部Paの位置が不揃いであったりすると、出荷時の姿勢・位置揃え作業が面倒であるとともに、その姿勢・位置揃え作業に長時間を要するという問題があった。
そこで、本願発明は、上記のような軟弱野菜収穫機において、搬送装置の終端部から順次放出される軟弱野菜(例えばネギ)を、収納容器内において順次位置揃えされた状態で収納・堆積し得るようにすることを目的としてなされたものである。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、圃場に植生している軟弱野菜を自動で(収穫機を走行させることで)収穫し得るようにした軟弱野菜収穫機を対象にしたものである。尚、本願の軟弱野菜収穫機で収穫できる軟弱野菜としては、ホーレン草や小松菜のような葉部面積が大きいものも収穫可能であるが、本願の機能面を考慮すると、特にネギのような細長野菜の収穫に適したものである。そして、以下の説明では、本願の軟弱野菜収穫機で収穫する軟弱野菜としてネギのような細長野菜で説明する。
この請求項1の軟弱野菜収穫機は、添付図面に例示するように、走行装置1上に設けた機体フレーム2の前部において圃場に植生している細長野菜Pを順次搬送装置4の始端部で保持した後、該搬送装置4により機体フレーム2の前部下方から後部上方に向けて搬送し、該細長野菜Pを搬送装置4の終端部からその直下に設置されている収納容器7内に順次収納し得るようにしたものである。
本願の収穫機でも、図8の公知例と同様に、機体フレーム2の前部に圃場に植生している細長野菜Pの根部Paを掘り出す掘出し装置3を設ける一方、搬送装置4の後半部において搬送中の細長野菜Pをその根部Paが下斜前方に向く姿勢に傾斜させる姿勢傾動装置5を設けるとよい。
尚、本願請求項1における上記の、走行装置1、機体フレーム2、掘出し装置3、搬送装置4、姿勢傾動装置5、収納容器7等は、図8に示す公知の各対応部分と内容的に同構成のものを採用できる。
そして、この請求項1の軟弱野菜収穫機では、走行装置1で圃場面を走行させながら、機体フレーム前部の掘出し装置3で圃場に植生している細長野菜Pの根部Paを順次掘り出し、その掘り出した細長野菜Pを搬送装置4で保持して後送し(このとき細長野菜Pはほぼ鉛直姿勢である)、該搬送装置4の後半部において姿勢傾動装置5で鉛直姿勢の細長野菜Pをその根部Paが下斜前方に向く姿勢に傾斜させ、続いて搬送装置4の終端部から細長野菜Pを傾斜姿勢(根部Paが下斜前方に向く傾斜姿勢)のまま放出させて、その下方の収納容器7内に落下・収納させ得るようになっている。尚、搬送装置4の終端部から放出される細長野菜Pの姿勢を根部Paが下斜前方に向く傾斜姿勢とすることにより、収納容器7内に収納される各細長野菜Pの姿勢を同じ向きに揃えることができるようになっている。
ところで、この種の軟弱野菜収穫機では、上記「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、収納容器7内に収納・堆積する細長野菜群Qの各根部Paの位置が不揃いになるという問題があり、本願発明では、この問題点を次のように解決している。
即ち、この請求項1の発明は、上記構成を備えた軟弱野菜収穫機において、収納容器7は、搬送装置4の終端部の直下においてガイド装置8により上下動自在にガイドされている一方、該収納容器7を上方付勢手段9により上方に付勢した状態で支持しているとともに、該上方付勢手段9は、収納容器7内に収納された細長野菜Pの重量によって該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さを一定に維持する下動量となるような付勢力をもった付勢手段を採用していることを特徴としている。
収納容器7の上下動用のガイド装置8は、該収納容器7を鉛直方向にガイトするほかに適宜角度(例えば鉛直方向から30°程度の角度)をもった傾斜方向にガイドし得るものでもよい。又、収納容器7を上下動させる範囲は、搬送装置4の終端部から後方傾斜姿勢で放出される細長野菜P4がその放出後の後傾移動慣性により収納容器7内の底部に落下する際の細長野菜姿勢が、収納容器7の底面板71の向き(傾斜)と略同じになる高さを収納容器7の上限高さとする一方、該上限高さから該収納容器7内に堆積する最大量の細長野菜群Qの高さ(嵩)だけ下動した位置を収納容器7の下限高さとするとよい。
上記上方付勢手段9としては、重量によって伸長するものであればよく、例えばコイルバネやゴムやガスダンパー等が採用可能である。尚、図示例では、コイルバネを採用している。
そして、この上方付勢手段9は、収納容器7内に細長野菜Pが堆積すると、その細長野菜群Qの重量によって収納容器7が順次下動するのを許容するような上方付勢力に設定されている。即ち、この上方付勢手段9は、収納容器7内に収納された細長野菜Pの重量によって該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さを一定に維持する下動量となるような付勢力で収納容器7を支持している。尚、収納容器7内に細長野菜群Qが満杯まで収納されると、その満杯細長野菜群Qの重量は、10〜15Kg程度のかなりの重量となる。
このように、本願請求項1の軟弱野菜収穫機では、作物収穫中は、収納容器7内に収納された細長野菜Pの重量に応じて収納容器7の高さが変動するが、該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さは常に一定に維持される。
従って、収納容器7の高さ位置の変動に拘わらず、搬送装置4の終端部から放出される細長野菜Pの放出位置から収納容器7側の作物着座位置までの高さは常に一定となり、順次収納容器7内に落下・堆積する細長野菜Pの姿勢及び位置は常にほぼ同じになる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の軟弱野菜収穫機において、収納容器7が上記ガイド装置8にガイドされて上下動する範囲では、作物容器7の底面部71が前方に下向き傾斜する姿勢に維持されているとともに、ガイド装置8に、収納容器7がガイド装置8の最下端位置まで降下した状態で、収納容器7の姿勢を底面部71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させ得るガイド部83を設けていることを特徴としている。
収納容器7は、底面部71と前面部72と左右の側面部73,73とを有し且つ上面側と後面側がそれぞれ開放された形状のものを採用することが好ましい。尚、この収納容器7における底面部71と前面部72と左右の側面部73,73は、全面に亘って穴のない板状のものでもよいが、網状のものやパンチング板等も採用可能である。
この請求項2の軟弱野菜収穫機では、作物収穫中は、搬送装置4の終端部から収納容器7内に落下する細長野菜Pを確実且つ安定的に収納するために、収納容器7の底面部71が前方に下向き傾斜する姿勢で取付けているが、このように底面部71が前方下向き傾斜姿勢のままであると、収納容器7内から細長野菜群Qを取出しにくくなる。
そこで、この請求項2では、収納容器7がガイド装置8の最下端位置まで降下した状態、即ち収納容器7内に細長野菜Pがほぼ満杯まで収納された状態で、ガイド装置8のガイド部83により収納容器7の姿勢を底面部71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させ得るようにしているが、このように収納容器7の姿勢を変更する(底面部71の傾斜角度が水平側に緩くなる)と内部の細長野菜群Qが取出し易くなる。
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の軟弱野菜収穫機において、上記ガイド部83に、収納容器7の姿勢を底面部71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させた状態で該収納容器7の姿勢を保持する姿勢保持手段83aを設けていることを特徴としている。
ところで、上記請求項2の軟弱野菜収穫機では、収納容器7がガイド装置8の最下端位置まで降下した状態で該収納容器7内の細長野菜群Qを取出し易くするために該収納容器7の姿勢を変更させ得るようになっているが、この収納容器7の姿勢変更状態(細長野菜群Qを取出し易くした状態)で手を離すと収納容器7がグラつき易くなるとともに、上方付勢手段9により収納容器7の姿勢が元に戻ることがある。
そこで、この請求項3の軟弱野菜収穫機では、収納容器7を姿勢変更させた状態で、姿勢保持手段83aにより該収納容器7の姿勢を保持させることができるようになっているので、収納容器7から手を離しても該収納容器7が不用意にグラついたり元の姿勢に戻ることがない。
[本願請求項1の発明の効果]
請求項1の発明の軟弱野菜収穫機は、搬送装置4の終端部から放出される細長野菜Pを収納する収納容器7を上方付勢手段9により上方に付勢した状態で上下動自在に設置し、さらに上方付勢手段9として、収納容器7内に収納された細長野菜Pの重量によって該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さを一定に維持する下動量となるような付勢力をもった付勢手段を採用している。
そして、この請求項1の軟弱野菜収穫機では、収納容器7内に収納された細長野菜Pの重量に応じて収納容器7の高さが変動するが、該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さは常に一定に維持される。このことは、収納容器7の高さ位置の変動に拘わらず、搬送装置4の終端部から放出される細長野菜Pの放出位置から収納容器7側の作物着座位置までの高さが常に一定となることを意味するものである。
このように、請求項1の軟弱野菜収穫機では、搬送装置4の終端部から放出される細長野菜Pが収納容器7側の作物着座位置(細長野菜群Qの上面)に達するまでの条件(落下高さや落下時間)が常に一定となり、収納容器7内に順次落下・堆積する各細長野菜Pの姿勢及び位置が常にほぼ同じになる。
従って、この請求項1の軟弱野菜収穫機では、搬送装置4の終端部から収納容器7内に収納・堆積する各細長野菜Pは、順次自動的に向き及び位置が揃えられるので、あとで(出荷のための箱詰め時に)各細長野菜Pの向き及び位置を揃える作業が不要又は簡単になるという効果がある。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の軟弱野菜収穫機において、収納容器7内に細長野菜Pがほぼ満杯まで収納された状態で、ガイド装置8のガイド部83により収納容器7の姿勢を底面部71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させ得るようにしている。
従って、この請求項2の軟弱野菜収穫機では、上記請求項1の効果に加えて、収納容器7内に満杯状態まで収納された細長野菜群Qを該収納容器7から取出す際に、該収納容器7の底面部71の前方下向き傾斜角度が緩くなる姿勢に変更することで、該収納容器7内の細長野菜群Qを取出し易くすることができるという効果がある。
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の軟弱野菜収穫機において、ガイド部83に、収納容器7の姿勢を底面部71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させた状態で該収納容器7の姿勢を保持する姿勢保持手段83aを設けている。
従って、この請求項3の軟弱野菜収穫機では、収納容器7を姿勢変更させた状態(細長野菜群Qを取出し易くした状態)で姿勢保持手段83aにより収納容器7の姿勢を保持させることができるので(収納容器7から手を離しても該収納容器7がグラついたり収納容器7の姿勢が元に戻ったりしないので)、収納容器7内の細長野菜群Qの取出し作業が一層容易に行えるという効果がある。
[実施例]
図1〜図7を参照して本願実施例の軟弱野菜収穫機を説明する。尚、この実施例の軟弱野菜収穫機で収穫できる軟弱野菜としては、ホーレン草や小松菜のような葉部面積が大きいものも収穫可能であるが、本願の機能面を考慮すると、特にネギのような細長野菜の収穫に適したものである。そして、以下の説明では、この実施例の軟弱野菜収穫機で収穫する軟弱野菜として、ネギのような細長野菜で説明する。
図1〜図3に示す軟弱野菜収穫機は、基本構成として図8に示す公知(特許文献1)の収穫機とほぼ同構成を有している。
即ち、この実施例の軟弱野菜収穫機は、図1〜図3に示すように、走行装置1上に機体フレーム2を取付け、該機体フレーム2の前部に圃場に植生している細長野菜Pの根Paを掘り出す掘出し装置3を設け、機体フレーム2上にそれぞれ挟持ベルトからなる前搬送部4Aと後搬送部4Bを有した一連の搬送装置4を設け、該搬送装置4の終端部(後搬送部4Bの終端部)の直下に収納容器7を設けている。
この実施例の軟弱野菜収穫機では、走行装置1や各種駆動部(掘出し装置3や搬送装置4等)の動力源としてバッテリ10を採用している。
走行装置1には、クローラ12を使用している。この実施例では、クローラ12として機体中央部に1列だけ設置したものを採用している(図3参照)。そして、このクローラ12は、走行部フレーム11に支持されており、走行用モータ13(バッテリ10から給電される)によって駆動されるようになっている。
又、この実施例では、クローラ12が機体中央部に1列しかないので、機体が左右に大きく傾動するのを防止するために、クローラ12の左右に突出する各補助輪61,61を設けている。
機体フレーム2は、前部が下方で後部が上方に向けて傾斜する姿勢で走行装置1側の走行部フレーム11に支持されている。
掘出し装置3は、機体フレーム2の前部下面において、圃場表面から若干深さ部分(細長野菜Pの根部Paの深さ程度)を掘起こして細長野菜Pの根部Paを引き抜き易くするものである。そして、この掘出し装置3は、収穫機を走行装置1により前進させながら、掘起こし爪31を作動棒32を介して収穫用モータ22(後述する)で前後揺動させることで、圃場に植生している細長野菜Pの根部Paを順次掘り出し得る(細長野菜Pを容易に引き抜き得る程度まで土をほぐす)ようになっている。
搬送装置4は、前搬送部4Aとそれに続く後搬送部4Bとを有している。この前搬送部4Aと後搬送部4Bは、機体フレーム2の上に、前部が低く後部が高くなる傾斜姿勢で設置されている。尚、前搬送部4Aの終端部と後搬送部4Bの始端部とは、収穫機の前後長さのほぼ中間位置で上下に重合させていて、前搬送部4Aで搬送されてくる細長野菜Pを該前搬送部4Aの終端部から後搬送部4Bの始端部に移乗させ得るようになっている。
前搬送部4Aは、図2に示すように、2本1組の帯ベルトからなる挟持ベルト42を左右に2セット並置したものが採用されている。
他方、後搬送部4Bも、図2及び図3に示すように、2本1組の帯ベルトからなる挟持ベルト52を左右に2セット並置したものが採用されている。
又、この後搬送部4Bは、後述するように鉛直姿勢で搬送されてくる細長野菜(図1のP1〜P3)の姿勢を後傾させる(符号P4の姿勢)ための姿勢傾動装置5を兼用している。即ち、この実施例では、姿勢傾動装置5として、後搬送部4Bとなる上挟持ベルト52とその直下に並設した下挟持ベルト53とを有している。そして、図1に示すように、上挟持ベルト52が細長野菜P3の上半部を挟持する一方、下挟持ベルト53が該細長野菜P3の下半部を挟持するとともに、下挟持ベルト53の搬送スピードを上挟持ベルト52の搬送スピードよりやや遅く設定している。従って、後搬送部4B側に移乗された細長野菜が図1の符号P3の位置まで移動したときに上下の挟持ベルト52,53の速度差によって、細長野菜がP3で示す鉛直姿勢からP4で示す後傾姿勢に変化するようになっている。
上記掘出し装置3と上記前搬送部4Aと上記後搬送部4Bは、共通の収穫用モータ22で駆動される。即ち、収穫用モータ22を作動させると、それぞれの動力伝達部材(プーリやベルト等)を介して、掘出し装置3の作動棒32を押し引き作動させる(掘起こし爪31が前後揺動する)とともに、各挟持ベルト42,52,53のプーリをそれぞれ回転させる(挟持部分の帯ベルトが前部下方から後部上方に向けて走行する)ようになっている。尚、上挟持ベルト52と下挟持ベルト53との速度差は、該各ベルトを駆動するプーリ径を変化させることで、同一駆動系の動力伝達部材で発生させ得るようにしている。
前搬送部4Aの前端部には、図1及び図2に示すように、圃場に植生している細長野菜Pを掻き分けて各挟持ベルト42,42の始端部に導くためのデバイダ23,23・・が設けられている。このデバイダ23,23は、所定間隔をもった2つ1組を1セットとして構成されていて、左右各側の挟持ベルト42,42の始端部より前方に突出する状態で取付けられている。そして、この各デバイダ23,23は、圃場の各細長野菜Pを掻き分けてそれぞれ挟持ベルト42,42の始端部に挟み込ませ得るようになっている。
走行部フレーム11には、左右のハンドル棒14,14が固定されている。この各ハンドル棒14,14の先端側は、機体の上部後方にまで延出されていて、ハンドル棒先端部のグリップ部15,15付近には各種の操作部が設けられている。
収納容器7は、後搬送部4Bの終端部の直下位置に設置されていて、後搬送部4Bの終端部から放出される各細長野菜P4を順次落下・収納し得るものである。
この収納容器7は、図1〜図3に示すように、底面部71と前面部72と左右の側面部73,73とを有し、上面側と後面側をそれぞれ開放させたものである。この実施例では、収納容器7における底面部71と前面部72と左右の側面部73,73は、全面に亘って穴のない板状のものを採用しているが、網状のものやパンチング板等も採用可能である。尚、この実施例では、収納容器7の底面部71と前面部72と側面部73とをそれぞれ底面板71と前面板72と側面板73と表現する。
そして、この収納容器7は、ガイド装置8によって上下動自在にガイドされた状態で設置されている一方、上方付勢手段9により上方に付勢された状態で支持されているが、それらの構成について説明する。
ガイド装置8は、図1及び図3(ほかに図4〜図7)に示すように、収納容器7の左右各側面板73,73をそれぞれガイドするもので、ガイド板80に上下2箇所のガイド溝(上ガイド溝81と下ガイド溝82)を形成している。ガイド板80に形成している上ガイド溝81と下ガイド溝82は、図1に示すように、同一直線状で下方が後方に角度約60°程度傾斜する姿勢で形成されている。
他方、収納容器7の左右各側面板73,73の外面には、ガイド装置8の上ガイド溝81と下ガイド溝82にそれぞれ嵌合する上下2つ(左右併せて4つ)のローラ74,75を取付けている。
そして、この収納容器7側の左右各側面板73,73にある上下2つのローラ74,75(左右一対ある)をガイド装置8(左右一対ある)の上ガイド溝81と下ガイド溝82にそれぞれ嵌合させることにより、収納容器7を上下各ガイド溝81,82の長さ方向(上下方向)に移動させ得るようになっている。尚、上ローラ74と下ローラ75は、図7に拡大図示するように、それぞれ上下各ガイド溝81,82の溝幅とほぼ同外径の小径軸部74a,75aの両側にそれぞれフランジ部74b,75b(左右一対ずつある)を有したものである。そして、各小径軸部74a,75aが各ガイド溝81,82の溝幅内を移動する一方で、左右一対ある各フランジ部74b,75bが各ガイド溝81,82の溝縁部を両側からガードして、上下各ローラ74,75が上下各ガイド溝81,82から抜け出さないようにしている。
又、この収納容器7は、上方付勢手段9により上方に付勢された状態で支持されているが、この実施例では上方付勢手段9としてコイルバネを使用している。この上方付勢手段(コイルバネ)9は、左右一対使用されていて、それぞれ左右のガイド板80,80と収納容器7の各側面板73,73との間に介設されている。
そして、この上方付勢手段(コイルバネ)9,9は、図4〜図6に示すように収納容器7内に細長野菜P5が堆積すると、その細長野菜群Qの重量に応じた(比例した)高さずつ収納容器7が下動するのを許容するような上方付勢力に設定されている。即ち、この上方付勢手段9,9は、収納容器7内に収納された細長野菜群Qの重量に比例して該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さを一定に維持する下動量となるような付勢力で収納容器7を支持している。
例えば、図1に示すように、収納容器7内に収納物(細長野菜)が空のときには、該収納容器7が最上動位置にあって、後搬送部4Bの終端部から放出される細長野菜P4の高さ位置(根部Paの高さ位置)から収納容器7の底面までの間に一定の落下距離Hが確保されている。そして、図4に示すように、収納容器7内に半分程度まで細長野菜群Qが堆積した状態では、該収納容器7が全上下動範囲の半分程度まで降下して、後搬送部4Bの終端部から放出される細長野菜P4の高さ位置(根部Paの高さ位置)から収納容器7内の細長野菜群Qの上面までの間に上記と同じ一定の落下距離Hが確保されるようになり、さらに図5に示すように、収納容器7内にほぼ満杯状態まで細長野菜群Qが堆積した状態では、該収納容器7がほぼ最下動位置まで降下して、後搬送部4Bの終端部から放出される細長野菜P4の高さ位置(根部Paの高さ位置)から収納容器7内の細長野菜群Qの上面までの間に上記と同じ一定の落下距離Hが確保されるようになっている。
このように、この実施例の軟弱野菜収穫機では、作物収穫中は、収納容器7内に収納された細長野菜群Qの重量に応じて収納容器7の高さが変動するが、該収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さ(上記落下距離H)は常に一定に維持される。
ところで、上記のように収納容器7内の細長野菜群Qの重量に応じて該収納容器7を下動させる(上記落下距離Hを一定に維持させる)理由は、次の通りである。
即ち、後搬送部4Bの終端部から放出された細長野菜P4は、後傾移動慣性によりさらに傾斜しながら(例えば図8の符号P4′の姿勢を経て)下方の収納容器7内に落下する。そして、収納容器7内の細長野菜群Qの堆積量が増えると、上記落下距離Hが短くなって落下してくる細長野菜P4′の後傾姿勢変動が細長野菜群Qの上面の傾斜姿勢に一致せず(間に合わない)、該落下側細長野菜P5の根部Paが堆積側の細長野菜群Qの上面に接触した時点から該落下側細長野菜P5の姿勢が安定するまで(細長野菜全長が接触するまで)の間の姿勢が不安定となって、該落下側細長野菜P5が正規の着座姿勢又は着座位置からずれることがある。
これに対して、この実施例のように、収納容器7内の細長野菜群Qの堆積量に応じて収納容器7を下動させるものでは、収納容器7内の細長野菜群Qの上面高さをほぼ一定に維持できるので、上記落下距離Hが常に一定となり、上記落下側細長野菜P5が堆積された細長野菜群Qに対して根部Paの位置が前後にずれたり、各細長野菜P5の向き(平行度)が乱れたりすることはほとんど起きない。
従って、この実施例の軟弱野菜収穫機では、収納容器7内への細長野菜P5の収納開始から満杯になるまでの全作業範囲において、順次細長野菜の位置及び姿勢が乱れなくなり、出荷時の整列作業が容易となる、という機能がある。
この実施例の軟弱野菜収穫機では、作物収穫中は、後搬送部4Bの終端部から収納容器7内に落下する細長野菜P4を確実且つ安定的に収納するために、収納容器7の底面板71が前方に下向き傾斜する姿勢で取付けているが、このように底面板71が前方下向き傾斜姿勢のままであると、収納容器7内から細長野菜群Qを取出す際の作業がしにくくなることが予想される。
そこで、この実施例では、ガイド装置8に、収納容器7がガイド装置8の最下端位置まで降下した状態で、収納容器7の姿勢を底面板71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させ得るガイド部83を設けている。
このガイド部83は、この実施例では、図1、図4〜図7に示すように、下ガイド溝82の下端部に前方に向けて屈曲ガイド溝を連続させたものである。そして、収納容器7が図5の最下動状態から、上側ローラ74部分を支点として収納容器7を前方側に回動させると、下側ローラ75がガイド部(屈曲ガイド溝)83に沿って移動でき、それによって図6に示すように底面板71の傾斜角度を水平側に緩くなるように変更させ得るようになっている。尚、図6の状態では、底面板71の傾斜角度が約25°程度になっていて、収納容器7内の細長野菜が不用意に脱落しないとともに、収納容器7内から細長野菜群Qを取り出し易い状態となる。
ところで、図6に示すように、収納容器7がガイド装置8の最下端位置まで降下し、該収納容器7を細長野菜取出し姿勢に変更させた状態(下側ローラ75がガイド部83の奥端部に位置している)では、収納容器7が上側ローラ74を中心に揺動し得るので、収納容器7から手を離すと該収納容器7がグラ付き易くなり、さらに上方付勢手段9により収納容器7の姿勢が元に戻ることがある。このように、ガイド部8により収納容器7を細長野菜取出し姿勢に変更させ得るようにしたものであっても、該収納容器7が不用意にグラついたり元の姿勢に戻ったりすると、収納容器7内の細長野菜群Qの取出し作業がしにくくなる。
そこで、この実施例では、ガイド装置8のガイド部83に、収納容器7の姿勢を底面板71の前方下向き傾斜角度が水平側に緩くなるように変更させた状態で該収納容器7の姿勢を保持する姿勢保持手段83aを設けている。
この実施例の姿勢保持手段83aは、下ガイド溝82のガイド部83の奥端部に上向きの切欠凹部(符号83a)を設けたものである。そして、この姿勢保持手段(切欠凹部)83aは、次のように機能する。即ち、図6及び図7に示すように、収納容器7を細長野菜取出し姿勢にした状態では、下側ローラ75がガイド部83の奥端部に達しているが、そのとき図7に拡大図示するように、下側ローラ75の中間軸部75aがガイド部83の奥端部にある切欠凹部83aに下方から係合するようになる。又、このとき収納容器7が上方付勢手段9で上方に付勢されているので、下側ローラ75の中間軸部75aが切欠凹部83aから不用意に外れない。
従って、図6及び図7に示すように、収納容器7を細長野菜取出し姿勢にした状態では、姿勢保持手段83aにより(下側ローラ75の中間軸部75aが切欠凹部83aに係合することにより)、収納容器7を安定姿勢に維持させることができるので、収納容器7内の細長野菜群の取出し作業時に該収納容器7がグラついたり元の姿勢に戻ったりしない(収納容器7内の細長野菜群の取出し作業がし易い)。
尚、姿勢保持手段83aによる収納容器7の姿勢保持状態を解除するには、収納容器7内の細長野菜を取出した後、該収納容器を図6及び図7の姿勢から下側ローラ75を下に降ろし(下側ローラ75の中間軸部75aが切欠凹部83aから外れる)、続いて上側ローラ74を中心にして収納容器7を左回転方向に傾動させることで下側ローラ75を下ガイド溝82の直下まで移動させることができ、その状態で収納容器7から手を離すと、上方付勢手段9により該収納容器7が上下ガイド溝81,82に沿って上動させることができる。