以下に、図面を参照しながら、本発明の移植機にかかる一実施の形態の玉葱苗移植機について説明する。
(実施の形態1)
先ず、図1、図2、図3を用いて、本実施の形態1の玉葱苗移植機の構成を中心に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の移植機の一例として玉葱苗を移植する玉葱苗移植機10を示す側面図であり、図2は、玉葱苗移植機10の平面図である。また、図3は、玉葱苗移植機10の正面図である。
尚、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
図1、図2に示す通り、本実施の形態1の玉葱苗移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル47と、圃場に苗を植付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、苗供給装置43の前方の左右両側において、苗を予め格納する苗コンテナ200をその長辺を上下方向にして傾斜させた状態で載置する左右一対のコンテナ受け台210と、圃場に散布する液剤(液剤の一例は水である)を貯留する主タンク250を載置する左右一対の主タンク載置台260と、液剤を貯留する補助タンク280を載置する左右一対の補助タンク載置台290とを備え、更に、走行車体40は、左右一対のコンテナ受け台210より少し前側であって、左右方向を基準として中央位置において後ろ向きの、即ち苗供給装置43側を向いた作業者用座席46を備えている。
また、走行車体40は、エンジン41と、エンジン41の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪44と、後輪44の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪45とを備えている。
エンジン41の後側には、ミッションケース39が配置されている。ミッションケース39は、その左側部からエンジン41の左側方に延びるケース部分を有しており、このケース部分がエンジン41の左側部と連結している。このケース部分にエンジン41の出力軸が入り込んでミッションケース39内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
ミッションケース39の左右両側部には、前後に長い走行用伝動ケース38の前部が回動自在に取り付けられている。具体的には、走行用伝動ケース38の前部の機体内側部に、走行用伝動ケース38と一体回転可能に回転するアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース39の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用伝動ケース38をミッションケース39の左右両側部に対応して回動自在に取付けている。そして、この走行用伝動ケース38の後部側方に突出させた後輪車軸12に後輪44を装着している。
走行用伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行用伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行用伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後端車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
尚、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスムーズに旋回出来る構成としている。
又、走行用伝動ケース38には、走行用伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行用伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダーのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダーで連結している。
昇降用油圧シリンダーが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダーのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダー内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダーは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダーが作動する構成としている。
又、左右水平制御用油圧シリンダーが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダーと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダーは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサーの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
エンジン41下方の左右中央位置で前後方向の軸心回りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17が取付けられており、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。又、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、後輪44の後輪車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、又、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
尚、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
本実施の形態1の植付装置42は、植付具を左右に複数体並べて配備した複数条植の構成としている。本実施の形態1では、植付具を左右に設定間隔で四体並べて配備した4条植えの構成としており、これらの植付具を、機体左側から順に第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dとする。
4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に2体ずつ装着されている。尚、伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材の上部に固着されている。
上下動機構21は、伝動ケース26を基準として前部が上下回動自在に装着され、後部の左右両側に植付具が連結した昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により伝動ケース26内からの動力で昇降リンクを上下動させ、昇降リンクの左右に連結した、第1植付具20a及び第2植付具20b、又は、第3植付具20c及び第4植付具20dが上下動する構成となっている。
この上下動の上昇位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より下方に位置する。
各植付具20a〜20dの開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、各植付具20a〜20dが下降して下端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、各植付具20a〜20dが上昇して上端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
4体の植付具のうち、左右内側に配置された第2植付具20b及び第3植付具20cは、左右外側に配置された第1植付具20a及び第4植付具20dよりも後側に位置している。又、左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の外側の第1植付具20a又は第4植付具20dと、左右他方の内側の第3植付具20c又は第2植付具20bとが、それぞれ圃場において同じ前後位置に苗を植付ける構成としている。
苗供給装置43は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、苗収容体22を、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方を通過させて周回移動させる移動機構23と、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかに苗を供給させる苗落下機構とを備える。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋27(図1、図5参照)とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が各植付具20a〜20dの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかの上方位置で開放する。
本実施の形態1では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する連結部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の連結部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から各植付具20a〜20dに苗を供給する個所で、苗収容体22の各植付具20a〜20dを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
又、各植付具20a〜20dは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
また、図1、図2、図3に示す通り、苗コンテナ200は上面側が開放された直方体形状の箱体である。コンテナ受け台210は、苗コンテナ200の底面201を支持する一対のパイプ状の底面支持部211と、苗コンテナ200を載置した状態において、その左右側面を支持する略コの字状に曲げられた上下一対のパイプ状の左右側面支持部212と、同苗コンテナ200の上側側面を支持する板状の上側側面支持部213と、同苗コンテナ200の下側側面を支持する板状の下側側面支持部214とから構成されている。
上側側面支持部213は一対の底面支持部211の上端側に固定されており、最下側側面支持部214は一対の底面支持部211の下端側に固定されている。
一対の底面支持部211の下端部は底面支持部連結体211aにより互いに連結固定されており、その底面支持部連結体211aを、作業者用座席46の左右側において支持する左右一対の支持パイプ215が、正面から視てそれぞれ走行車体40側から斜め上方に向けて延びている(図3参照)。
また、一対の底面支持部211は、底面支持部連結体211aから上方に少し立ち上がった位置で、作業者用座席46から遠ざかる方向に向けて傾斜しており、その傾斜角度は、走行車体40の床面に対する仮想の垂線216に対して0度より大きく45度未満の範囲の所定角度に設定されている。ここでは、30度に設定されているものとする。
また、上側側面支持部213は、作業者用座席46に最も近い側の先端部において、苗コンテナ200の上面側縁部200aを確実に保持して苗コンテナ200の位置ズレを防止する上側フック213aが設けられており、上側フック213aは上側側面支持部213との付け根部分において上下方向へ弾性変形可能に構成されているので、苗コンテナ200をコンテナ受け台210に載置すること、及び、コンテナ受け台210から取り出すことも容易に行える。
また、下側側面支持部214は、作業者用座席46に最も近い側の先端部において、回動支点214aを中心にして矢印Aで示した方向に回動可能なカッター部214bを備えており、苗を紐状部材(例えば、わら)で所定数毎に束ねて苗コンテナ200に予め格納されている苗束を作業者が自ら取り出したときに、その紐状部材をカッター部214bに引っ掛けることで、紐状部材を容易に切断することが出来る構成である。
更に、そのカッター部214bの上端縁部には、苗コンテナ200の下面側縁部200bを確実に保持して苗コンテナ200の位置ズレを防止する下側フック213bが設けられている。
また、主タンク載置台260は、下側側面支持部214の下方であって、支持パイプ215の下端部の真上に固定されており、補助タンク載置台290は、底面支持部211の下方であって、支持パイプ215が斜め上方に延びている途中に固定された支持アングル291に対して矢印B方向に回動可能に設けられている。主タンク載置台260は、補助タンク載置台290より低位であって、且つ、主タンク載置台260の方が補助タンク載置台290より作業者用座席46に近い位置に配置されている。また、補助タンク280から主タンク250に液剤を供給するホース270が左右両側に配置されており、それらのホース270には開閉コック271が設けられている。
上記の通りコンテナ受け台210の下方のスペースを有効活用しつつ、各タンクを合理的に配置する構成とした。
具体的には、主タンク250が作業者用座席46に近いので、液剤の残量を確認し易く、また、補助タンク280から主タンク250側に液剤を補給するときは、開閉コック271を開の位置に回すことにより、高い位置に配置された補助タンク280から容易に液剤の供給が可能となる。
尚、本実施の形態の左右側面支持部212と、上側側面支持部213と、下側側面支持部214とを包括するものが、本発明の側面支持部の一例に対応する。
以上の構成の下で、作業者は、作業者用座席46に着座した状態で、苗コンテナ200から苗束を取り出して、その苗束に巻き付けられた紐状部材をカッター部214bにより切断した後、各苗を苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28にある苗収容体22に補給する苗補給作業を効率よく行うことが出来る。
また、コンテナ受け台210については、上述した通り、苗コンテナ200を、その開放された上面側が作業者用座席46に着座した作業者側に向いており、且つ上向きに30度傾斜(図3参照)した状態で保持する構成としたことにより、苗コンテナ200内の苗束の残量が少なくなったときでも、苗コンテナ200の下部に苗束が自重により集まるので、苗束を取り出し易いという効果を発揮する。また、苗コンテナ200の長辺をコンテナ置き台210の縦方向に対応させ、短辺を横方向に対応させて載置出来るので、苗束を取り出すときの作業者の左右の動き幅を少なく出来るという効果を発揮する。
次に、作業者により苗収容体22に補給された苗について、図4〜図6を用いて、苗落下機構24による各植付具20a〜20dへの苗の供給動作について説明する。
図4は、苗落下機構24による苗の供給動作を説明する図であり、苗供給装置43を上から見た模式図である。
各植付具20a〜20dに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けている。
図4の各苗収容体22に記載の数字1〜4は、苗を落下供給する各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22の区別を表している。
図2に示すとおり、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、それぞれ、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dで、苗収容体22から苗が落下供給される。
図4において、番号1の苗収容体22は、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dでは底蓋27は開かず、第1落下供給位置31aでのみ底蓋27が開き、第1落下供給位置31aで内側に収容している苗が第1植付具20aへ落下供給される。
同様に、番号2の苗収容体22は、第3落下供給位置31cでのみ底蓋27が開き、第3落下供給位置31cで内側に収容している苗が第3植付具20cへ落下供給される。番号3の苗収容体22は、第2落下供給位置31bでのみ底蓋27が開き、第2落下供給位置31bで内側に収容している苗が第2植付具20bへ落下供給される。番号4の苗収容体22は、第4落下供給位置31dでのみ底蓋27が開き、第4落下供給位置31dで内側に収容している苗が第4植付具20dへ落下供給される。
番号1〜4で区別した苗収容体22ごとに対応する落下供給位置でのみ苗を落下供給させる構成例について説明する。
図5(a)〜(d)に、苗収容体22の底蓋27部分の構成を示す。図5(a)〜(d)は、それぞれ、図4に示した番号1、3、2及び4の苗収容体22に対応する底蓋27部分を示している。それぞれ、図5の上側を苗収容体22の周回移動経路の内側向きとして記載し、左に平面図を示し、右に側面図を示している。
図5(a)〜(d)に示すとおり、底蓋27には、周回移動経路の内側又は外側に突出する開閉規制板部が設けられている。
図5(a)及び図5(b)に示すとおり、番号1及び番号3で区別される苗収容体22の底蓋27には、何れも周回移動経路の内側に向けて突出する第1開閉規制板部56a及び第2開閉規制板部56bが設けられており、第2開閉規制板部56bが低位で周回移動経路の内側に向けて突出する構成であり、第1開閉規制板部56aが第2開閉規制板部56bよりも高位で突出する構成である。
又、図5(c)及び図5(d)に示すとおり、番号2及び番号4で区別される苗収容体22の底蓋27には、何れも周回移動経路の外側に向けて突出する第3開閉規制板部56c及び第4開閉規制板部56dが設けられており、第4開閉規制板部56dが低位で周回移動経路の外側に向けて突出する構成であり、第3開閉規制板部56cが第4開閉規制板部56dよりも高位で突出する構成である。
一方、図4に示すとおり、苗収容体22の周回移動経路の内側に沿って、内側上支持軸51及び内側下支持軸52が、上下に離れて配置されている。又、苗収容体22の周回移動経路の外側に沿って、外側上支持軸53及び外側下支持軸54が、上下に離れて配置されている。
図5(a)に示す番号1で区別される苗収容体22は、底蓋27に内側に向けて突出して設けられた第1開閉規制板部56aが内側上支持軸51に支持されながら周回移動経路を移動する。
内側上支持軸51は、第1落下供給位置31aに対応する部分に第1支持軸欠如部55aがあり、この部分では内側上支持軸51が途切れている。
図6(a)は、番号1で区別される苗収容体22の底蓋27と、内側上支持軸51及び内側下支持軸52との関係を示す断面模式図であり、下図は、第1支持軸欠如部55aの部分を通過するときの断面図を示し、上図は、内側上支持軸51の第1支持軸欠如部55a以外の部分を通過するときの断面図を示している。
番号1で区別される苗収容体22は、図6(a)に示すとおり、内側上支持軸51の第1支持軸欠如部55a以外の部分を通過するときには、第1開閉規制板部56aが内側上支持軸51に支持されているので、底蓋27は閉じた状態が維持される。
一方、番号1で区別される苗収容体22が、第1支持軸欠如部55aの部分を通過するときには、第1開閉規制板部56aを支持する内側上支持軸51が欠如しているので、第1開閉規制板部56aの支持が解放される。このとき、第1開閉規制板部56aは、端部が内側下支持軸52に干渉しない長さで構成されているので、底蓋27が開き、苗が下方へ落下する。
図5(b)に示す番号3で区別される苗収容体22は、底蓋27に内側に向けて突出して設けられた第2開閉規制板部56bが内側下支持軸52に支持されながら周回移動経路を移動する。
内側下支持軸52は、第2落下供給位置31bに対応する部分に第2支持軸欠如部55bがあり、この部分では内側下支持軸52が途切れている。
図6(b)は、番号3で区別される苗収容体22の底蓋27と、内側上支持軸51及び内側下支持軸52との関係を示す断面模式図であり、上図は、第2支持軸欠如部55bの部分を通過するときの断面図を示し、下図は、内側下支持軸52の第2支持軸欠如部55b以外の部分を通過するときの断面図を示している。
番号3で区別される苗収容体22は、図6(b)に示すとおり、内側下支持軸52の第2支持軸欠如部55b以外の部分を通過するときには、第2開閉規制板部56bが内側下支持軸52に支持されているので、底蓋27は閉じた状態が維持される。
一方、番号3で区別される苗収容体22が、第2支持軸欠如部55bの部分を通過するときには、第2開閉規制板部56bを支持する内側下支持軸52が欠如しているので、第2開閉規制板部56bの支持が解放され、底蓋27が開き、苗が下方へ落下する。
このとおりの構造により、番号1で区別される苗収容体22の内側に収容された苗は、周回移動経路のうち、第1落下供給位置31aでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下し、番号3で区別される苗収容体22の内側に収容された苗は、周回移動経路のうち、第2落下供給位置31bでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
同様の構造により、番号2及び番号4で区別される苗収容体22についても、それぞれ、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
すなわち、外側上支持軸53の第3落下供給位置31cの部分に第3支持軸欠如部55cがあり、番号2で区別される苗収容体22がこの部分を通過するときに、第3開閉規制板部56cの支持が解放されて、底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。又、外側下支持軸54の第4落下供給位置31dの部分に第4支持軸欠如部55dがあり、番号4で区別される苗収容体22がこの部分を通過するときに、第4開閉規制板部56dの支持が解放されて、底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
従って、苗収容体22の配列順を変更しても、各開閉規制板部56a〜56dに対応する各落下供給位置31a〜31dのみで底蓋27が開いて苗が落下する。
本実施の形態では、図4に示すとおり、苗収容体22に番号1〜4で区別した各別の苗収容体22を1個ずつ備えて周回移動経路で隣接させた4個の苗収容体22からなる苗収容ユニット25を構成し、移動機構23により苗収容ユニット25を同一の周回移動経路で複数組(6組)周回移動させる構成とし、計24個の苗収容体22を周回移動させる。そして、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dのそれぞれに対応する4箇所の第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dを、苗収容体22の同一の周回移動経路上に設定している。
尚、上記において、底蓋27、内側上支持軸51、内側下支持軸52、外側上支持軸53、外側下支持軸54、第1支持軸欠如部55a、第2支持軸欠如部55b、第3支持軸欠如部55c、第4支持軸欠如部55d、第1開閉規制板部56a、第2開閉規制板部56b、第3開閉規制板部56c及び第4開閉規制板部56dで構成される苗落下機構24が、本発明の移植対象物落下機構の一例にあたる。
又、本実施の形態の苗収容体22が、本発明の収容体の一例にあたる。
図7に、苗供給装置43における苗収容体22の移動動作を説明する、上から見た模式図を示す。
本実施の形態の苗供給装置43は、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dを上下動させる上下動機構21が1周期作動する間に、苗収容ユニットが1個分移動、すなわち苗収容体22が4個分移動する構成で、移動機構23の作動周期が、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされている。従って、上下動機構21が半周期作動する間に、苗収容体22は、周回移動経路を2個分移動する。
図7では、各苗収容体22に、苗を落下供給する各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22を区別する番号1〜4を示し、苗収容体22の周回移動経路の内側に、上下動機構21が半周期作動した後の位置にある苗収容体22を区別する番号を記載している。従って、苗収容体22の周回移動経路の内側においてそれぞれ括弧で囲んで記載した番号は、各苗収容体22に記載した番号をそれぞれ周回方向に2個分ずれた数字となっている。
機体左側の2体の第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動機構21により上死点付近まで移動してきたとき、第1植付具20a及び第2植付具20bに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち図7の周回移動経路上に記載の番号1及び番号3で区別する苗収容体22が、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bに同時に到達する構成となっている。そして、その後、上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち図7の周回移動経路の内側において括弧で囲んで記載した番号2及び番号4で区別する苗収容体22が、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達する構成となっている。
尚、第1植付具20a〜第4植付具20dに対する苗の落下のタイミングについては更に後述する。
この構成により、苗収容体22が4箇所の落下供給位置31a〜31dを直列的に通過しながら、4体の植付具20a〜20dに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給出来、且つ4箇所の落下供給位置31a〜31dを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じないよう、余すことなく4体の植付具20a〜20dに対応して苗を供給出来るものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ4体の植付具20a〜20dに対応して確実に苗を供給出来る。
各苗収容ユニット25は、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに対応して、周回移動方向上流側から順に番号1〜番号4で区別される苗収容体22が配列されている。
又、苗収容体22の周回移動経路における、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔は、周回移動方向上流側から順に苗収容体22の配列の2ピッチ、5ピッチ、2ピッチに設定されている。
又、第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31cは、周回移動経路の直線状部分28に位置し、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dは、周回移動経路の円弧状部分29に位置している。これにより、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの周回移動経路に沿う互いの配列間隔を異ならせると共に、これらの互いの配列間隔のうち広い配列間隔が直線状部分28となる構成に設定されている。
第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31c間の周回移動経路に沿った長さを広くすることにより、これらの落下供給位置に対応する植付具20bと植付具20cとの間も広くなるので、内側条間に苗を植え付ける植付具20b及び植付具20cのメンテナンスがし易くなる。
ここでは、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いに隣り合うもの同士の間隔を、周回移動方向上流側から順に苗収容体22の配列の2ピッチ、5ピッチ、2ピッチに設定したが、左右両外側部のそれぞれの間隔、すなわち第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔をXピッチとし、左右中央部の間隔、すなわち第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cの間隔をYピッチとすると、X=2+4n、Y=1+4m(n、mは0以上の整数とする)であれば、各落下供給位置31a〜31dで、それぞれ対応する苗収容体22から各植付具20a〜20dへ苗を供給する構成とすることが出来る。
直列的に配置された4箇所の落下供給位置から、各落下供給位置に対応する苗収容体22の苗を落下させ、これらの4箇所の落下供給位置を通過する間に、余すことなく全ての苗収容体22の苗を落下させるには、上記したXピッチ及びYピッチの組み合わせ以外に、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせ、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせ、又はX=2+4nとY=3+4mの組み合わせで実現することが出来る。
但し、図7に示すとおり、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dにおいて、それぞれ番号1、3、2及び4で区別される苗収容体22の苗が落下する条件では、各落下供給位置31a〜31dの位置を、このとおりのXピッチ及びYピッチの組み合わせの位置に変更しただけでは、これらの4箇所の落下供給位置を通過する間に、余すことなく全ての苗収容体22の苗を落下させることが出来ない。
本実施の形態の玉葱苗移植機10では、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列順を変更することにより、Xピッチ及びYピッチの組み合わせの変更を実現した。
図8及び図9に、それぞれ、隣り合う落下供給位置間の間隔を変更するときの、苗収容体22の配列順及び移動動作を説明する図を示す。それぞれ、図7に対応する図で、苗供給装置43を上から見た模式図を示している。
図8では、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いに隣り合うもの同士の間隔を、周回移動方向上流側から順に苗収容体22の配列の3ピッチ、5ピッチ、3ピッチと変更している。すなわち、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせに変更した構成を示している。
図7の構成に比べて、第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔、及び第3落下供給位置31cと第4落下供給位置31dの間隔が、それぞれ1ピッチずつ大きくなっているので、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dを、図7の構成よりもそれぞれ外側に移動している。
図8に示すとおり、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列を、周回移動方向上流側から順に番号4、2、3、1で区別される苗収容体22の順番としている。すなわち、図7に示す苗収容体22の配列を基準として、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えている。
移動機構23によって番号1で区別される苗収容体22が、第1落下供給位置31aに到達した際に、第1植付具20a及び第2植付具20bが上死点付近に到達する構成で上下動機構21を動作させることにより、このとき同時に、第2落下供給位置31bに番号3で区別される苗収容体22が到達して、第1植付具20a及び第2植付具20bに対してそれぞれ所定のタイミングで苗が落下供給される。この所定のタイミングについては更に後述する。
そして、その後上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち番号2及び番号4で区別される苗収容体22が(図8の周回移動経路の内側において括弧で囲まれた番号を参照)、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達し、それぞれ所定のタイミングで苗が落下供給される。尚、この所定のタイミングについては更に後述する。
このとおり、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えることにより、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせに変更することが出来る。
図9では、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いに隣り合うもの同士の間隔を、周回移動方向上流側から順に苗収容体22の配列の5ピッチ、3ピッチ、5ピッチと変更している。すなわち、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせに変更した構成を示している。
図7の構成に比べて、第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cの間隔が2ピッチ分小さくなるとともに、第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔、及び第3落下供給位置31cと第4落下供給位置31dの間隔が、それぞれ3ピッチずつ大きくなっているので、第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cを、図7の構成よりも内側に移動し、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dを、図7の構成よりも外側に移動している。
図9に示すとおり、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列を、周回移動方向上流側から順に番号1、3、2、4で区別される苗収容体22の順番としている。すなわち、図7に示す苗収容体22の配列を基準として、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番を入れ替えている。
移動機構23によって番号1で区別される苗収容体22が、第1落下供給位置31aに到達した際に、第1植付具20a及び第2植付具20bが上死点付近に到達する構成で上下動機構21を動作させることにより、このとき同時に、第2落下供給位置31bに番号3で区別される苗収容体22が到達して、第1植付具20a及び第2植付具20bに対してそれぞれ所定のタイミングで苗が落下供給される。尚、この所定のタイミングについては更に後述する。
そして、その後上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち番号2及び番号4で区別される苗収容体22が(図9の周回移動経路の内側において括弧で囲まれた番号を参照)、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達し、それぞれ所定のタイミングで苗が落下供給される。尚、この所定のタイミングについては更に後述する。
このとおり、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番を入れ替えることにより、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせに変更することが出来る。
同様にして、図7に示す苗収容体22の配列を基準として、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えるとともに、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番も入れ替えることにより、X=2+4nとY=3+4mの組み合わせに変更することも出来る。
尚、上記で、苗収容体22の順番を入れ替えるとは、苗収容体22が筒状部分と底蓋27に分離出来る構成では、底蓋27の位置を組み替えればよい。
尚、上記において、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dを変更するときには、これらの変更位置に合わせて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの左右方向の位置、第1支持軸欠如部55a、第2支持軸欠如部55b、第3支持軸欠如部55c及び第4支持軸欠如部55dの位置も変更する。
第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dのそれぞれの左右方向の間隔は、植え付け条間の距離に対応しているので、上記のとおり、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いに隣り合うもの同士の間隔を変更することにより、所望の植え付け条間に変更することが出来る。
本実施の形態の玉葱苗移植機10は、各植付具20a〜20dが植付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を各植付具20a〜20dの苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。
次に、本実施の形態1の玉葱苗移植機10の上下動機構21の構成及び動作について説明する。
図10に、第1植付具20a及び第2植付具20bへの苗供給時の上下動機構21部分の斜視図を示し、図11に、第1植付具20a及び第2植付具20bの苗植付け時の上下動機構21部分の斜視図を示す。図10及び図11は、機体の左斜め後方から見た斜視図を示している。
又、図12に、機体左側の上下動機構21への第1植付具20a及び第2植付具20bの取り付け構成を示す平面図を示す。
伝動ケース26の左側に設けた上下動機構21には、第1植付具20a及び第2植付具20bが装着されている。同様に、伝動ケース26の右側に設けた上下動機構21には、第3植付具20c及び第4植付具20dが装着されている。
ここでは、機体左側に配置される上下動機構21について説明する。第3植付具20c及び第4植付具20dを上下動させる機体右側に配置される上下動機構21も、同様の構成である。
第1植付具20a及び第2植付具20bの上方には、それぞれ苗ガイド65が設けられている。苗ガイド65は、苗供給装置43から供給された苗を第1植付具20a及び第2植付具20b内に案内する。苗ガイド65は、苗の供給口(上側)が広く、苗の案内口(下側)が狭くなった筒状体であり、苗供給装置43から落下供給される苗を受け入れて、適確に第1植付具20a及び第2植付具20b内に苗を案内し供給することが出来る。
機体左側の上下動機構21は、伝動ケース26の左側方に突出した回動支点軸63及び従動支点軸69に、それぞれ前部を上下回動自在に装着し、後部を第2植付具20bに連結した上リンク61及び下リンク62を備える。
上リンク61及び下リンク62の回動先端部(後端部)は、それぞれ上連結軸67及び下連結軸68によって、右側植付具支持プレート66が連結している。そして、右側植付具支持プレート66に第2植付具20bが取り付けられている。
又、図10及び図11では図示していないが、図12に示すとおり上連結軸67及び下連結軸68の左側にも左側植付具支持プレート57が取り付けられており、左側植付具支持プレート57に第1植付具20aが取り付けられている。
すなわち、上リンク61及び下リンク62の右側に第2植付具20bが取り付けられ、左側に第1植付具20aが取り付けられている。
伝動ケース26側方に突出する駆動軸と一体回転する構成で取付けられた駆動アーム64の回転外周側端部に、下リンク62に回動自在に連結する連結アームの他端が回動自在に連結している。駆動アーム64が駆動回転すると、上リンク61及び下リンク62が上下動して、左右に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動する。
又、上リンク61の前端が連結する回動支点軸63は、伝動ケース26から突出して回転駆動する植付出力軸の先端部に、植付出力軸の中心軸心より偏心させた位置に設けられている。回動支点軸63は、植付出力軸の回転によって植付出力軸の軸芯を中心として偏心量(回動支点軸63と植付出力軸の軸芯との間隔)を半径として回転しながら移動する。従って、上リンク61及び下リンク62の上下動中に回動支点軸63が前後に移動することにより、第1植付具20a及び第2植付具20bをその昇降動中に前後に傾け、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部を側面視8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bで上下動させる構成となっている。
図10に示す側面視8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、玉葱苗移植機10が走行せず停止しているときの、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の各静軌跡を示している。これら各静軌跡上に示された矢印の向きは、各植付具の先端部の動く方向を示している(図13においても同様である)。
図10に示すとおり、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、それらの軌跡の上下方向の上部で交差する8の字状の軌跡である。すなわち、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、いずれも、それぞれの軌跡の最上点と最下点の真中よりも上方の位置で交差する。
第1植付具20a及び第2植付具20bは、各先端が第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの交差点よりも上方にあるときに苗収容体22から苗が落下供給される。尚、苗の落下のタイミングについては更に後述する。
8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bのそれぞれの交差点が、各軌跡の上方に位置する構成としているので、それらの交差点よりも上方における前後の移動距離は小さくなる。すなわち、苗収容体22から苗が供給される際の、第1植付具20a及び第2植付具20bの前後方向の移動距離が抑制され、苗収容体22から苗を落下供給するタイミングの幅が広がるので、苗収容体22から第1植付具20a及び第2植付具20bへ苗を確実に供給させることができる。
このとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bの各先端が、側面視で上部で交差する8の字状の軌跡を描く構成で動作させることで、第1植付具20a及び第2植付具20bの作動を円滑にしながら、上死点近くで前後移動幅を抑えることができ、第1植付具20a及び第2植付具20bへの苗の受け渡しが安定して適正に行える。
尚、第3植付具20c及び第4植付具20dについても上記と同様の静軌跡を描くべく構成されているので、上記と同様の効果を発揮する。
図13(a)及び図13(b)に、それぞれ、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bに、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端の移動タイミングを示した図を示す。
図13(a)及び図13(b)において、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15b上に示すプロット位置は、同じ所定時間間隔における第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15b上の、第1植付具20a及び第2植付具20bの各先端の位置を示している。すなわち、各プロット間の距離が長い部分は、各植付具20a及び20bの先端が速く移動しており、各プロット間の距離が短い部分は、各植付具20a及び20bの先端が遅く移動していることを示している。
図13(a)及び図13(b)に示すとおり、各植付具20a及び20bの先端は、8の字状の交差点より下方では速く移動し、8の字状の交差点より上方では遅く移動する構成としている。すなわち、交差点より上方における各植付具20a及び20bの先端の平均移動速度が、交差点より下方における各植付具20a及び20bの先端の平均移動速度よりも遅くなる構成としている。
この構成により、第1植付具20a及び第2植付具20bは、苗収容体22から苗が供給される上死点付近の位置にあるときには、それらの移動速度が遅くなるので、苗収容体22から苗を落下供給するタイミングの幅が広がり、苗収容体22から第1植付具20a及び第2植付具20bへ、苗を安定して適正に受け渡すことができる。
又、図13(a)及び図13(b)に示すとおり、交差点より上方において各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅が、交差点より下方において各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅よりも小さくなる構成としている。
この構成により、第1植付具20a及び第2植付具20bは、苗収容体22から苗が供給される上死点付近の位置にあるときには、前後方向の移動距離が小さくなり、苗収容体22から苗を安定して適正に供給することができる。
又、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの下部では所望の大きな前後移動幅を得ることができるので、走行しながら苗を植え付ける際に、圃場の植付穴を小さくして苗の植付姿勢の適正化が図れる。
次に、主として図4と図10を参照しながら、第1植付具20a〜第4植付具20dに対して苗を落下させるタイミングについて更に具体的に説明する。
ここでは、第1落下供給位置31a〜第4落下供給位置31dの互いの間隔を、図4に示した通りに構成したものを一例として説明するが、図8、図9に示した構成でも同様のことが言える。
また、苗収容体22と各植付具20a〜20dとの間の相対的な動きを議論するとき、玉葱苗移植機10が前進走行しているか停止しているかには無関係であるので、各植付具の軌跡は静軌跡を用いて説明する。
また、植付具20a、20bは、植付具20d、20cに対応するので、植付具20d、20cの静軌跡は、作動軌跡15a、15bと同じであるとして説明する。
即ち、機体の左端に位置する第1植付具20aについては、第1植付具20aが上死点に達した後、上死点近傍を越えて下がり工程になったタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第1植付具20aへ苗を供給することが出来る。以下にその理由を説明する。
第1植付具20aは、図4の第1落下供給位置31aで苗が供給されるので、苗収容体22が後方へ移動しながら苗を落下供給することになり、苗が後方に振れながら第1植付具20aへ供給される。
即ち、周回移動経路において、苗収容体22が後方に向かうベクトル成分を有して移動する後方向領域310に第1落下供給位置31aが存在するときは、落下する苗の落下方向に対してもその後向きのベクトル成分が影響を及ぼすことにより、後方に振られながら落下する。
一方、第1植付具20aは、図10に示す通り、作動軌跡15aを描く構成で上下動するので、第1植付具20aが上死点に達する直前における8の字状軌跡の交差点を越えた上がり工程では前方に回り込みながら上昇移動し、上死点を過ぎた下がり工程では後方に回り込みながら下降移動する。
よって、第1植付具20aが上死点の近傍を越えて下がり工程になったタイミングで苗を供給させる構成とすることにより、落下する苗が振れる後方への向きと同じ向きに第1植付具20aが移動しながら苗が供給されることになるので、第1植付具20aへの苗の供給がし易くなる。
これに対して、機体の右端に位置する第4植付具20dについては、第4植付具20dが上死点に達する前の、上死点近傍の手前のまだ上がり工程のタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第4植付具20dへ苗を供給することが出来る。以下にその理由を説明する。
第4植付具20dは、図4の第4落下供給位置31dで苗が供給されるので、苗収容体22が前方へ移動しながら苗を落下供給することになり、苗が前方に振れながら第4植付具20dへ供給される。
即ち、周回移動経路において、苗収容体22が前方に向かうベクトル成分を有して移動する前方向領域311に第4落下供給位置31dが存在するときは、落下する苗の落下方向に対してもその前向きのベクトル成分が影響を及ぼすことにより、前方に振られながら落下する。
一方、第4植付具20dは、図10に示す通り、作動軌跡15aを描く構成で上下動するので、第4植付具20dが上死点に達する直前における8の字状軌跡の交差点を越えた上がり工程では前方に回り込みながら上昇移動し、上死点を過ぎた下がり工程では後方に回り込みながら下降移動する。
よって、第4植付具20dが上死点に達する前の、上死点近傍の手前のまだ上がり工程のタイミングで苗を供給させる構成とすることにより、落下する苗が振れる前方への向きと同じ向きに第4植付具20dが移動しながら苗が供給されることになるので、第4植付具20dへの苗の供給がし易くなる。
また、機体の左右方向を基準として中央近傍に位置する第2植付具20b及び第3植付具20cについては、第2植付具20b及び第3植付具20cが上死点又は上死点近傍にある工程のタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第2植付具20b及び第3植付具20cへ苗を供給することが出来る。その理由は次の通りである。
即ち、周回移動経路において、苗収容体22が走行車体40の幅方向に沿って移動する幅方向領域312に第2植付具20b及び第3植付具20cが存在するときは、落下する苗の落下方向に対して、苗収容体22の移動に起因した後向きまたは前向きのベクトル成分は発生しないからである。
次に、図14に、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bのそれぞれに対応する、機体が走行しているときの動軌跡を示す。
第1走行先端軌跡24aは、機体が左へ走行しているときの第1植付具20aの先端が描く動軌跡を示しており、第2走行先端軌跡24bは、機体が左へ走行しているときの第2植付具20bの先端が描く動軌跡を示している。
図13(a)及び図13(b)に示すとおり、各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅の位置は、植え付け時に圃場面の位置になると予測される高さの位置に合わせている。例えば、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの最下点の位置から鉛直上方30mmの位置でそれぞれの軌跡の前後方向の幅が最大となる設定とする。
図13(a)及び図13(b)に示すとおりの静軌跡とすることにより、図14に示すとおり、走行時の動軌跡である第1走行先端軌跡24a及び第2走行先端軌跡24bは、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端の土中への突入位置と土中からの退出位置を近づけることができ、圃場の植付穴を小さくして植付姿勢の適正化が図れる。
又、図13(a)及び図13(b)に示すとおり、各作動軌跡15a及び15bは、それぞれの下部において後方側に膨らみを設けた形状としている。
第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bをこのとおりの形状とすることにより、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の土中における前後の移動量を小さくすることができる。
又、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの上下幅、すなわち各軌跡の最上点から最下点までの鉛直方向の長さを、植え付ける苗の草丈以上の長さとする。第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの上下幅を、適応苗の草丈以上とすることにより、第1植付具20a及び第2植付具20bが、圃場に植え付けた後の苗に接触してその苗を倒すことを防止することができる。
本実施の形態1の左右に配置した2つの上下動機構21は、上記したとおり180度位相を異ならせて作動する構成としているので、第1植付具20a及び第2植付具20bが上方にあるときには第3植付具20c及び第4植付具20dは下方に位置し、逆に、第1植付具20a及び第2植付具20bが下方にあるときには第3植付具20c及び第4植付具20dは下方に位置する構成で動作する。
植付装置42を停止する際には、各植付具20a〜20dを、いずれも上下移動範囲の中央部の位置で停止させる。すなわち、各植付具20a〜20dの先端の上下方向の位置が揃う位置で、各植付具20a〜20dを停止させる。
各植付具20a〜20dを上下移動区間の中央部で停止させることにより、停止状態で各植付具20a〜20dが土壌に干渉することを抑制することができる。
又、図12に示すとおり、上リンク61及び下リンク62の左右両側に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bは、第1植付具20aの方が前方に位置する構成で配置されている。
第1植付具20a及び第2植付具20bの前後の位置をずらすことにより、図2に示すとおり前後の位置が異なる第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bから落下する苗の位置に、各植付具20a、20bの位置を合わせることが出来る。
又、第1植付具20a及び第2植付具20bを、直線状部分28に限らず苗収容体22の周回移動経路に沿って配置することが出来るので、機体の前後長さを小さく出来る。
第1植付具20a及び第2植付具20bによって同時に植え付けが行なわれるので、第1植付具20aと第2植付具20bとの前後方向の距離を植付具前後間隔70としたとき、植付具前後間隔70を、p×株間+株間/2(pは、0以上の整数)とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって千鳥植えを行なうことが出来る。
又、植付具前後間隔70を、p×株間とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって並木植えを行なうことが出来る。
(実施の形態2)
次に、図15〜図17を用いて、本実施の形態2の第2の玉葱苗移植機110の構成を中心に説明する。
ここで、図15は、本発明の実施の形態2の移植機の他の例として玉葱苗を移植する第2の玉葱苗移植機110を示す側面図であり、図16は、第2の玉葱苗移植機110の平面図である。また、図17は、本発明の実施の形態2の第2の玉葱苗移植機110に搭載された玉葱苗の自動搬送装置400の概略側面図である。
本実施の形態2と上記実施の形態1との主な相違点は、本実施の形態2では、苗コンテナ200を載置するコンテナ受け台210に代えて苗載台50を備え、更に、玉葱苗の自動搬送装置400を備えた点である。
以下、相違点を中心に説明し、上記実施の形態1と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
図15、図16に示す通り、玉葱苗に薬剤を付着させて搬送ベルト上に繰り出す自動搬送装置400は、作業者用座席46と苗供給装置43との間に、走行車体40の左右幅方向が長手方向に一致すべく配置されている。
また、図17に示すとおり、自動搬送装置400は、苗を予め格納する格納タンク410と、格納タンク410の内部に薬剤を供給する薬剤供給装置420と、格納タンク410から薬剤が付された苗を繰り出す搬送装置430とを備えた構成である。
搬送装置430は、苗を搬送する無端形状の搬送ベルト431と、その搬送ベルト431を回転駆動させる回転駆動ローラー432と、搬送ベルト431に対して、スムーズに回転させるスプリング433でテンションをかけるプーリー434と、回転駆動ローラー432側の下方に配置された、搬送ベルト431の表面に付着したゴミなどを取り除く板状のスクレーパー435と、プーリー434側の下方に配置された、搬送ベルト431で搬送される苗の内、作業者が処理しきれなかった残余の苗を受け取る残余苗受け取り部436とを備えた構成である。
また、搬送ベルト431には、その表面において、搬送方向と直交する方向に突起状のサン431aが所定間隔で複数設けられており、その裏面において、搬送ベルト431の蛇行を防止する、搬送方向と平行に複数のリブ431bが形成されている。尚、リブ431bに代えて溝(図示省略)を設けても同様の効果を発揮する。
格納タンク410は、下面が開口部411になっている直方体形状のタンクであり、その開口部411が搬送ベルト431の表面を覆うべく配置されている。また、搬送ベルト431の搬送方向を基準として、格納タンク410の下流側の側壁410aの搬送ベルト431に近接する下端部には、搬送ベルト431上に形成されたサン431aが通過可能な大きさの出口部412が形成されており、格納タンク410内の苗は、この出口部412から下流側に搬送される構成である。また、格納タンク410の出口部412が形成された側壁の内面側には、側面視で「へ」の字状に折れ曲げられた柔軟性のあるブレーキ板413が固定されており、そのブレーキ板413の先端部413aが、搬送ベルト431の表面に形成されたサン431aに接触することで、可動する構成である。
このブレーキ板413の先端部413aの可動により、格納タンク410内に格納された苗が常に揺さぶられるので、苗同士が絡み合って搬送ベルト431上に落ちてこない所謂「ブリッジ現象」を防止出来て、搬送ベルト431上に苗を効率的に供給出来る。
また、薬剤供給装置420は、格納タンク410の上流側の側壁410bの上部外側面側に固定された、格納タンク410の内部に薬剤を供給する薬剤ホッパー421と、その薬剤ホッパー421の内部に貯留された薬剤を撹拌しつつ、薬剤ホッパー421と格納タンク410の間に設けられた投入口423を介して格納タンク410にその薬剤を投入するべく周囲に回転羽根を配置した回転羽根軸422と、その回転羽根軸422に回転駆動ローラー432の回転力を伝達するべく伝達ベルト424とを備えている。
上記構成により、回転駆動ローラー432の回転により、回転羽根軸422が回転して、薬剤が格納タンク410の中に投入されて、格納タンク410内の苗に薬剤が付される。
一方、回転駆動ローラー432の回転により、搬送ベルト431が矢印C方向に移動するとともに、搬送ベルト431上のサン431aが格納タンク410内のブレーキ板413の先端部413aと接触して下流方向に変形させる。しかし、ブレーキ板413は柔軟性のある弾性部材で構成されているので、その柔軟性により接触状態は直ぐに解除されて復元力によりもとの位置に戻ろうとする時に、格納タンク410内の苗を下から上へと揺さぶるので、格納タンク410の中で苗が絡み合うことが防止され、搬送ベルト431上への苗の供給が円滑に行われて、出口部412から繰り出された苗が下流側へと効果的に搬送される。
これにより、苗に対して薬剤を容易に付着させることが出来て、作業者用座席46に着座している作業者は、目の前を左から右方向に搬送されてくる苗を手で掴んで、苗収容体22に効率よく補給することが出来る。尚、補給し切れなかった苗は、残余苗受け取り部436に溜まる。
次に、本発明に関連する発明の一実施の形態として、上記実施の形態1及び2に記載の苗移植機、或いは、従来の苗移植機に対して、適用可能な例を中心に説明する。上記実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明は省略する。
(第1例)
上記実施の形態では、液剤(液剤の一例として水が挙げられる)を貯留する主タンク250及び補助タンク280を配置出来る構成について説明した。ここでは、それらのタンクに貯留された水を苗に供給する時に用いる灌水ポンプ装置500について、図18(a)〜図18(c)を参照しながら説明する。
図18(a)は、第1例の灌水ポンプ装置500の側面図であり、図18(b)は、灌水ポンプ装置500の吐出量を最小に設定したときの正面図であり、また、図18(c)は、灌水ポンプ装置500の吐出量を最大に設定したときの正面図である。
図18(a)、図18(b)に示す通り、灌水ポンプ装置500は、水の入口部511と出口部512とを有した、入口部511と出口部512の中心を軸芯Xとして左右揺動可能に設置された灌水ポンプ本体510と、側面視でL字状の棒状ピストン520と、楕円状の貫通孔531とC字状の貫通孔532とが形成された円盤状の灌水カム530と、エンジン41からの駆動力により回転する、灌水カム530の中心に連結固定された回転シャフト540と、回転シャフト540を回動軸として回動自在に支持された、C字状の貫通孔532に対してスライド移動可能に嵌め込まれた保持ボルト551が固定された吐出量調節カム550と、を備えた構成である。
また、棒状ピストン520のL字の短辺に対応した側の先端部521は、灌水カム530の楕円状貫通孔531に対して上下方向にスライド移動可能に嵌め込まれており、更にその先端部521は、灌水カム530を基準として棒状ピストン520と反対側に配置された吐出量調節カム550の端縁部にスライド移動可能に接触している。
上記構成により、灌水ポンプ本体510の吐出量を最小に設定するとき、図18(b)に示す通り、吐出量調節カム550の取っ手部550bを手で持って回転シャフト540を軸中心として反時計方向に回動させて、保持ボルト551がC字状の貫通孔532の右端に来たところで位置決めして、その保持ボルト551の先端側に固定用ナット552を嵌めて締め付けることにより、吐出量調節カム550を灌水カム530に固定する。
また、灌水ポンプ本体510の吐出量を最大に設定するとき、図18(c)に示す通り、吐出量調節カム550の取っ手部550bを手で持って回転シャフト540を軸中心として時計方向に回動させて、保持ボルト551がC字状の貫通孔532の左端に来たところで位置決めして、その保持ボルト551の先端側に固定用ナット552を嵌めて締め付けることにより、吐出量調節カム550を灌水カム530に固定する。
尚、灌水カム530の楕円状貫通孔531の縁部には吐出量調整用の目盛りが付されている。
ここで、棒状ピストン520は、それ自体の作動抵抗力によって、棒状ピストン520の先端部521が灌水カム530の回転中心側に保持される。
よって、回転シャフト540の回転に伴って、灌水カム530が回転すると、吐出量を最小に調節したとき(図18(b)参照)は、棒状ピストン520の上下の可動範囲はPminで示され、吐出量を最大に調節したとき(図18(c)参照)は、Pmaxで示される。尚、何れにおいても、回転シャフト540の回転(図18(b)の矢印D参照)により、棒状ピストン520及びその先端部521は、上下動と共に軸芯Xの回りに左右方向に揺動する。
具体的には、灌水カム530の回転中において、棒状ピストン520の先端部521は上述した作動抵抗力により吐出量調節カム550の第1端縁部550aに接触したまま矢印D方向に回転する。
上記構成により、灌水量の調節を、吐出量調節カム550の回動により無段階に調節出来る。
(第2例)
上記実施の形態では、同時に上下動する2つの植付具20aと20b(又は、植付具20cと20d)の条間が一定である構成について説明した。ここでは、植付具を傾斜させることにより、条間を調節可能にした構成について、図19を参照しながら説明する。尚、ここでは、同時に上下動する2つの植付具が前後方向に関して同じ位置に配置されているとき、即ち、左右方向について横並びに配置されているときについて説明する。
図19は、第2例の第2の植付装置600を背面側から見た概略模式図である。
図19に示す通り、第2の植付装置600は、先端が嘴状の左右方向に開閉可能なポッパー620を有する左右一対の可動式植付具610a、610bと、これら可動式植付具610aと610bを上下動させる第2の上下動機構630を備えている。
可動式植付具610a(610b)は、第2の上下動機構630の動きに連動してホッパー620を所定のタイミングで開閉させる開閉機構640a(640b)と、開閉機構640a(640b)を取り囲む位置に配置された上面視で略四角形の枠体であって、その枠体の前側側壁面(図示省略)と後側側壁面651a(651b)の背面視でそれぞれの右端(回動枠体650bのときは、背面視で左端)において開閉機構640a(640b)を左右方向(図19の矢印E参照)に回動可能に支持するべく植付具回動シャフト652a(652b)が設けられた回動枠体650a(650b)と、ホッパー620の上部に配置固定された、苗供給装置から供給されてくる苗を可動式植付具610a(610b)に案内する円筒状の苗ガイド660a(660b)と、苗ガイド660a(660b)の上部開口に配置された上に向けて開口径が広くなり面が蛇腹状の筒状部材665とから構成されている。尚、回動枠体650a(650b)の前側側壁面と後側側壁面651a(651b)では、背面視で左端(回動枠体650bのときは右端)に、開閉機構640a(640b)に設けられたガイドピン641a(641b)の上記回動を案内するガイド孔653a(653b)が形成されている。
また、第2の上下動機構630は、左右一対の可動式植付具610a、610bを同時に上下動させる植付リンク631と、植付リンク631に固定され、左右一対の回動枠体650a、650bを連結し支持する支持板632a、632bと、植付リンク631の上側に配置固定され、その両端部633a、633bが苗ガイド660a、660bに連結固定されて、開閉機構640a、640b及びそれに連結されたホッパー620を回動可能にして条間を調節するターンバックル633から構成されている。
ターンバックル633は、胴部633dの両端にねじ山が切られていて、一方が右ネジで他方が左ネジになっており、この胴部633dを一方向に回転させることにより、両端に取り付けられたボルト部633cが互いに引き寄せられ、反対方向に回転させることにより互いに遠ざかる。
上記構成により、条間を広げる方向に調節するとき、ターンバックル633の胴部633dを、作業者が手でボルト部633cが互いに引き寄せられる方向に回転させることで、左右一対の苗ガイド660a、660bが胴部633d側に引き寄せられるので、開閉機構640a、640bが植付具回動シャフト652a、652bを軸中心として、ホッパー620の先端間の距離が互いに広くなる方向に回動するものである。
また、条間を狭くする方向に調節するとき、ターンバックル633の胴部633dを、作業者が手でボルト部633cが互いに遠ざかる方向に回転させることで、左右一対の苗ガイド660a、660bが胴部633d側から遠ざかるので、開閉機構640a、640bが植付具回動シャフト652a、652bを軸中心として、ホッパー620の先端間の距離が互いに狭くなる方向に回動するものである。
尚、回動枠体650aの後側側壁面651aの左上端部には、ターンバックル633の回転により条間の距離がいくらに調節されたのかを指し示す指針654が設けられており、支持板632a側には条間を数値で表した表示パネル634が設けられている。
以上の構成により、条間が容易に調節出来て、調整後の条間の距離が表示パネルの数字から容易に分かる。
(第3例)
上記実施の形態では、各植付具20a〜20d毎に、即ち各条毎に左右一対の覆土鎮圧輪37を独立して構成したときについて説明した。ここでは、一つの回動フレームに対して、各条毎の左右一対の覆土鎮圧輪が連結された鎮圧輪フレームがそれぞれスライド移動可能に配置された覆土鎮圧輪ユニットについて、図20(a)、図20(b)を参照しながら説明する。
図20(a)は、第3例の覆土鎮圧輪ユニット700の構成を示す概略平面図であり、図20(b)は、覆土鎮圧輪ユニット700の概略側面図である。尚、図20(a)では、覆土鎮圧輪ユニット700が左右対称形状であるので、その左半分のみ表した。
図20(a)、図20(b)に示す通り、覆土鎮圧輪ユニット700は、略コの字状に曲げられて、覆土鎮圧輪ユニット700をリフトアップする時の回動軸710aが両端部に形成された回動フレーム710と、その回動フレーム710の内、走行車体40の左右幅方向に亘って配置された横フレーム部711における、第1植付具20a〜第4植付具20dに対応する位置に左右方向に所定範囲だけ移動可能(図20の矢印F参照)に取り付けられた第1鎮圧輪フレーム720a〜第4鎮圧輪フレーム720dとから構成されている。
第1鎮圧輪フレーム720a〜第4鎮圧輪フレーム720dでは、ネジ孔が設けられた先端部に対して、左右一対の覆土鎮圧輪37を回転自在に保持した保持フレーム721a〜721dが、その上面に垂直に固定された高さ調節用ボルト722を介してねじ込まれている。
即ち、それぞれの覆土鎮圧輪37の高さ調節は、作業者が、保持フレーム721a〜721dを、高さ調節用ボルト722を軸中心として個別に回転させて、第1鎮圧輪フレーム720a〜720dのそれぞれの先端部との距離を縮めたり離したりすることにより簡単に行える構成である。
上記構成により、第1鎮圧輪フレーム720a〜720dは、それぞれ独立して、左右方向の位置調節が可能であり、且つ、上下方向の各鎮圧輪の高さ調節が可能である。
また、上述した簡単な構成により、回動フレーム710を回動軸710aを中心として矢印G方向に回動することで、覆土鎮圧輪ユニット700全体を上昇させることが出来る。
また、上記構成により各覆土鎮圧輪37の位置調整は、走行車体40の後側で行える。
また、各覆土鎮圧輪37の前後方向の位置も、土質に合わせて調節可能な構成としても良い。
また、上下方向に回動する回動フレーム710は、植付時に固定することで、覆土鎮圧輪37で受けて機体の転倒を防止できる。
尚、上記実施の形態では、左右一対の主タンク載置台260には、主タンク250をそれぞれ1つ載置する構成について説明したが、これに限らず例えば、図1に示した主タンク載置台260の前側(図1中の主タンク載置台260の左横側)に並べて更に主タンク250を1つ載置するべく、主タンク載置台260が前側方向に延長された構成であっても良い。これにより、主タンク250は左右側においてそれぞれ2つずつ(合計4つ)配置することが可能となる。また、このときの主タンク載置台は、主タンク250の載置面が連続的に構成されているので、走行車体40の前側から載置した主タンク250を、次に走行車体40の前側から載置する主タンク250で後方に押すことにより、載置台上を後方にスライド移動させることが出来る。
また、上記実施の形態では、植付具が8の字状の静軌跡を描くべく上下動機構21等が構成されているときについて説明したが、これに限らず例えば、交差点を有さない図21に示す静軌跡を描く構成であっても、各植付具に対する苗の落下のタイミングをそれぞれ個別に調整することが有効であり、そのとき、上記と同様の効果を発揮する。ここで、図21は、本発明の実施の形態1の変形例としての、第1植付具20a、及び第2植付具20bの作動軌跡を示す斜視図である。
具体的には、図21に示す構成によれば、第1植付具20aは、作動軌跡150aを描く構成で上下動するので、上死点に達する直前の上がり工程では後方から前方に移動し、上死点を過ぎた下がり工程では前方から後方に移動する。
従って、上記実施の形態で説明したものと同様の理由で、機体の左端に位置する第1植付具20aについては、第1植付具20aが上死点に達した後、上死点近傍を越えて下がり工程になったタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第1植付具20aへ苗を供給することが出来る。
又、図21に示す構成によれば、第4植付具20dは、作動軌跡150aを描く構成で上下動するので、上死点に達する直前の上がり工程では後方から前方に移動し、上死点を過ぎた下がり工程では前方から後方に移動する。
従って、上記実施の形態で説明したものと同様の理由で、機体の右端に位置する第4植付具20dについては、第4植付具20dが上死点に達する前の、上死点近傍の手前のまだ上がり工程のタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第4植付具20dへ苗を供給することが出来る。
また、機体の左右方向を基準として中央近傍に位置する第2植付具20b及び第3植付具20cについては、第2植付具20b及び第3植付具20cが上死点又は上死点近傍にある工程のタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第2植付具20b及び第3植付具20cへ苗を供給することが出来る。その理由は、上記実施の形態で述べた理由と同じである。
また、上記実施の形態では、作業者が全ての苗収容体22に対して、余すことなく苗を補給するときについて説明したが、これに限らず例えば、補給作業に余裕が無く苗収容体22に空きを生じさせるときは、無作為に空きを生じさせるのではなく、隣接配置された4個の苗収容体22(図4では、番号1〜4を付した)からなる苗収容体ユニット25に対して、隣接する苗収容体ユニット25毎に異なる色に着色する構成として、外観上容易に識別可能として、一つの苗収容体ユニット25に対しては余すことなく苗を補給し、次の苗収容体ユニット25に対しては全く苗を補給しないで空状態にし、また次の苗収容体ユニット25に対しては余すことなく苗を補給する作業が可能となる。これにより、例えば4条の各畝について、何れか一方の畝に片寄ることなく、それぞれ同数の苗の移植が可能となる。
また、上記実施の形態1では、苗コンテナ200を傾斜させて配置するコンテナ受け台210を備えた構成について説明し、上記実施の形態2では、薬剤が付された苗が格納タンク410から搬送ベルト431に載せられて搬送される自動搬送装置400を備えた構成について説明し、これらの実施の形態では何れか一方の構成のみ搭載された移植機について説明したが、これに限らず例えば、一つの移植機において、コンテナ受け台210と自動搬送装置400の双方を共に搭載した構成であっても良い。
この場合、作業者は、苗コンテナ内の複数の苗束をまとめて取り出して格納タンク410へ供給することになる。或いは、作業者の好みで、苗コンテナ200の苗を直接、苗収容体22に補給しても良い。
また、各実施の形態では、本発明の移植対象物として玉葱苗を例に説明したが、本発明の植付装置は、玉葱苗以外の移植対象物を植え付ける植付装置としても適用出来る。例えば、植付装置を利用する種芋用の植付装置としても適用出来る。