JP5943978B2 - ブリーザ装置 - Google Patents
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Description
通常このようなブリーザ装置は、相互に連通する複数の空間部にブローバイガスを順次通過させることによって、迷路構造やガス流速の変化を利用した気液分離処理を行っている。
シリンダがクランクケースに対して上方に突出したエンジンの場合、このようなブリーザ装置は、シリンダヘッド上部のカムカバー部に設けられることが一般的である。
また、特許文献2には、DOHCエンジンにおいて、動弁室の下部から、上部に設けられたオイルセパレータにブローバイガスを導入することが記載されている。
ここで、気液分離性能を高めるために、空間部の個数や容量を大きくしようとすると、カムカバー部から上方への突出量が大きくなってしまう。
一方、ATV等の車両やその他のセット機器等に搭載する場合には、車体などの他部品との干渉や搭載性の面から、ブリーザ装置のシリンダヘッドからの突出量を極力抑制することが求められる。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、シリンダヘッドからの突出量を抑制しつつ良好な気液分離性能が得られるブリーザ装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動する吸気カムシャフト及び排気カムシャフトが設けられたシリンダヘッドに設けられ、クランクケース側から流入するブローバイガスを相互に隔壁で仕切られかつ前記隔壁に形成された開口を介して連通する複数の空間部に順次通過させるブリーザ装置であって、前記複数の空間部は、前記シリンダヘッド内における前記吸気バルブ及び前記排気バルブに挟まれた領域に形成された第1の空間部と、前記第1の空間部に対してクランクケース側とは反対側の領域に設けられ、前記吸気カムシャフト及び前記排気カムシャフトの軸心を通る平面にほぼ沿って配置された隔壁によって前記第1の空間部と区画され、前記第1の空間部から出た前記ブローバイガスが流入する第2の空間部とを有し、前記第2の空間部は前記シリンダヘッドに取り付けられ前記吸気カムシャフトが収容される吸気カム室及び前記排気カムシャフトが収容される排気カム室の一部を構成するカムカバーの内部に設けられることを特徴とするブリーザ装置である。
これによれば、シリンダヘッド内の空間部を少なくとも2つの空間部としてブローバイガスの処理に用いることが可能となり、カムカバーの外部に突出させて設ける空間部の個数や容量を減らすことができる。これにより、シリンダヘッドからの突出量を抑制しつつ良好な気液分離性能を得ることができる。
また、簡素な構成によりシリンダヘッド内に第2の空間部を設けることができる。
これによれば、リフタの往復運動により第1の空間部内に発生する脈動(ポンプ作用)によって第1の空間部内のガス流動が活発となり、ブリーザ装置の性能をより向上することができる。
これによれば、第2の空間部から出たブローバイガスを、カムカバーから最低限の突出量だけ突出した空間部によって確実に処理することができる。
この場合、ブローバイガスが第2の空間部から第3の空間部へ直接導入される構成としてもよいが、第2の空間部と第3の空間部との間にさらに他の空間部が介在する構成としてもよい。
また、第3の空間部の下流側にさらに他の空間部を設けてもよい。
実施例のブリーザ装置は、例えば、ATV等の車両に動力源として搭載される、水冷4ストローク単気筒DOHCガソリンエンジンのシリンダヘッドに設けられるものである。
図1は、実施例のブリーザ装置を有するシリンダヘッドをシリンダ軸線方向から見た図である。
図2は、図1のII−II部矢視図である。
図3は、図1のIII−III部矢視断面図である。
図4は、図1のIV−IV部矢視断面図である。
図5は、図2のV−V部矢視断面図である。
図6は、図2のVI−VI部矢視断面図である。
シリンダヘッド1は、例えばアルミニウム系合金を鋳造した後、所定の機械加工を施して形成されている。
吸気ポート20の上流側(入口側)の端部は、シリンダヘッド1の側面部に開口し、シリンダヘッド1から他部品への熱伝達を抑制する樹脂製のインシュレータ21を介して、エアクリーナ、スロットル、キャブレタ等を有する図示しない吸気装置に接続されている。
吸気ポート20の下流側(出口側)の端部は、二股状に分岐して燃焼室10のペントルーフ形状における一方の傾斜屋根部に開口している。
排気ポート30の上流側の端部は、二股状に分岐して燃焼室10のペントルーフ形状における他方の傾斜屋根部に開口している。
排気ポート30の下流側の端部は、シリンダヘッド1の吸気ポート20側とは反対側の端部に開口し、排気管、サイレンサ、排ガス後処理装置等を有する図示しない排気装置に接続されている。
吸気バルブ40、排気バルブ50は、それぞれ円柱状のステムの燃焼室10側の端部に傘状の弁体を備えて構成されている。
吸気バルブ40、排気バルブ50は、それぞれクランクシャフトの軸線方向に離間して2本ずつ、ステムが平行となるように設けられている。
また、吸気バルブ40と排気バルブ50とは、ステムのカムカバー200側の端部が燃焼室10側の端部に対して広がるように、所定のバルブ狭角だけ傾斜させて配置されている。
吸気バルブ40、排気バルブ50のステムのカムシャフト側の端部は、吸気カムシャフト60、排気カムシャフト70からの駆動力を伝達するリフタ41,51が設けられている。
リフタ41,51は、円筒状に形成された筒状部の上端部にカムと摺動する端面部を設けることによって、カップ状に形成されている。
吸気バルブ40、排気バルブ50のステムの端部は、リフタ41,51の内部に挿入され、端面部のカム側とは反対側の面部に対向して配置されている。
吸気カムシャフト60、排気カムシャフト70は、シリンダヘッド1に形成された軸受部及び、シリンダヘッド1に締結されるカムサポートによって、シリンダヘッド1に対して回転可能に支持されている。
吸気カムシャフト60、排気カムシャフト70の中心部には、オイル孔が形成され、ここには図示しないオイルポンプによって加圧された潤滑油が供給される。
オイル孔に供給された潤滑油は、各カムシャフトのジャーナル部(軸部)に供給される。
吸気カムシャフト60、排気カムシャフト70は、所定の間隔を隔てて図示しないクランクシャフトと平行に配置されている。
カムスプロケット61,71には、図示しないクランクシャフトのクランクスプロケットから動力を伝達する図示しないタイミングチェーンが巻き掛けられている。
吸気カム室62、排気カム室72のクランクケース側の半部は、シリンダヘッド1と一体に形成され、残る半部は後述するカムカバー200と一体に形成されている。
点火栓取付部80は、実質的に円筒状に形成されるとともに、シリンダの中心軸心と実質的に同心に配置されている。
点火栓取付部80は、合計4本の吸気バルブ40、排気バルブ50の実質的に中央に配置されており、カムカバー200側の端部は、吸気カムシャフト60と排気カムシャフト70との間に配置されている。
ウォータジャケット90は、燃焼室10及び排気ポート30の周辺部に沿って形成されている。
ウォータジャケット90は、シリンダヘッド1の側面に設けられ、ウォータポンプとホースを介して接続されたインレット91から、高温時に開弁するサーモスタット92を介して冷却水が導入される。
空間部100は、タイミングチェーンが収容されるチェーン室110と連通しており、クランクケースからチェーン室110を介してオイルミストを含むブローバイガスが導入されるようになっている。
また、上述した吸排気側のリフタ41,51の一部は、空間部100内に露出して設けられている。
カムカバー200は、シリンダヘッド1のクランクケース側とは反対側の開口部を実質的に閉塞する蓋状の部材である。
カムカバー200の内部には、吸気カム室62、排気カム室72のクランクケース側とは反対側の半部、及び、空間部210、220等が形成されている。
空間部210は、シリンダヘッド1本体の空間部100と隔壁211によって区画されるとともに、隔壁211の一部に形成された開口212を介して、空間部100と連通して構成されている。
隔壁211は、吸気カムシャフト60及び排気カムシャフト70の中心軸を含む平面にほぼ沿って平板状に形成され、シリンダヘッド1の本体とカムカバー200との間に挟持されている。
この隔壁211は、シリンダヘッド1の本体とカムカバー200との間のシールを行うガスケットの一部として、このガスケットと一体に形成されている。
空間部210には、開口212からブローバイガスが流入する。
空間部220は、空間部210との間の隔壁に形成された図示しない開口を介して空間部210と連通している。
空間部220には、空間部210からブローバイガスが流入する。
オイルセパレータ300の内部には、空間部310が設けられている。
空間部310は、カムカバー200内の空間部220と隔壁311によって区画されるとともに、隔壁311に形成された図示しない開口を介して空間部220と連通している。この開口には、ブローバイガスの逆流を防止するため、逆止弁が設けられる構成としてもよい。
空間部310には、空間部220からブローバイガスBが流入する。
空間部310に流入したブローバイガスBは、排出管320及びこれに接続されるホースを介して吸気管に導入され燃焼処理される。
ブローバイガスBは、排出管320から排出される時点では、オイルミストが実質的に除去された状態となっている。
ブローバイガスBは、これらの空間部100,210,220,310を順次通過することによって、その流速変化及び複雑な流路構造(迷路構造)を通過することにより、含まれるオイルミストが除去される。
除去されたオイルは、これらの空間部の壁面を伝って流下し、クランクケース側へ戻る。
(1)シリンダヘッド1の本体の空間部100とカムカバー200内の空間部210とを連通させて、ブローバイガスBを順次通過させることによって、シリンダヘッド1内の空間部を、少なくとも2つのブリーザ用の空間部としてブローバイガスの処理に用いることが可能となり、カムカバー200の外部に突出させて設ける空間部の個数や容量を低減することができる。
これにより、シリンダヘッド1からの突出量を抑制しつつ良好な気液分離性能を得ることができる。特に、空間部100の容量をシリンダヘッド1内の従来はデッドスペースであった領域を利用して比較的大きく設定することができるため、下流側の各空間部210,220,310に対するボリューム変化を持たせてブローバイガスBの流速を効果的に低減することができる。
また、隔壁211を設けたことにより、吸気カム室62、排気カム室72のオイルバス構造(オイル貯留能力)を強化し、カム摩耗の抑制効果を得ることができる。
(2)リフタ41,51を空間部100内に露出させたことによって、リフタ41,51の往復運動によって空間部100内に発生する脈動(ポンプ作用)によって、空間部100内のガス流動が活発となり、ブリーザ装置の性能をより向上することができる。
(3)カムカバー200内に空間部210を設けたことによって、簡単な構成により空間部100からのブローバイガスが流入する第2の空間部を構成することができる。
(4)オイルセパレータ300にカムカバー200の空間部210,220からブローバーガスが流入する構成とすることによって、カムカバー200の外部に突出して設けられるオイルセパレータ300の空間部310の容量を最低限とすることができ、カムカバー200からの突出量を抑制することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
ブリーザ装置及びシリンダヘッドを構成する各部材の形状、構造、配置、材質、製法等は、上述した実施例に限定されず適宜変更することができる。
例えば、ブリーザ装置が有する空間部の個数や配置は、実施例の構成に限定されない。
また、エンジンの用途もATV等の車両用には限定されず、例えば産業用やガーデニング用等の汎用エンジンにも適用することができる。
20 吸気ポート 21 インシュレータ
30 排気ポート 40 吸気バルブ
41 リフタ 50 排気バルブ
51 リフタ 60 吸気カムシャフト
61 カムスプロケット 62 吸気カム室
70 排気カムシャフト 71 カムスプロケット
72 排気カム室 80 点火栓取付部
90 ウォータジャケット 91 インレット
92 サーモスタット 100 空間部
110 チェーン室 200 カムカバー
210 空間部 211 隔壁
212 開口 220 空間部
300 オイルセパレータ 310 空間部
311 隔壁 320 排出管
B ブローバイガス
Claims (3)
- 吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動する吸気カムシャフト及び排気カムシャフトが設けられたシリンダヘッドに設けられ、クランクケース側から流入するブローバイガスを相互に隔壁で仕切られかつ前記隔壁に形成された開口を介して連通する複数の空間部に順次通過させるブリーザ装置であって、
前記複数の空間部は、前記シリンダヘッド内における前記吸気バルブ及び前記排気バルブに挟まれた領域に形成された第1の空間部と、
前記第1の空間部に対してクランクケース側とは反対側の領域に設けられ、前記吸気カムシャフト及び前記排気カムシャフトの軸心を通る平面にほぼ沿って配置された隔壁によって前記第1の空間部と区画され、前記第1の空間部から出た前記ブローバイガスが流入する第2の空間部とを有し、
前記第2の空間部は前記シリンダヘッドに取り付けられ前記吸気カムシャフトが収容される吸気カム室及び前記排気カムシャフトが収容される排気カム室の一部を構成するカムカバーの内部に設けられること
を特徴とするブリーザ装置。 - 前記吸気バルブ及び前記排気バルブをそれぞれ駆動するリフタの一部が前記第1の空間部内に露出していること
を特徴とする請求項1に記載のブリーザ装置。 - 前記カムカバーの外表面から張り出して形成され前記第2の空間部から出た前記ブローバイガスが流入する第3の空間部を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブリーザ装置。
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