JP5943515B2 - 油脂被覆粉末糖、およびその製造方法 - Google Patents

油脂被覆粉末糖、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、油脂被覆粉末糖、およびその製造方法、特にベーカリー製品シュガリング用油脂被覆粉末糖およびその製造方法に関する。
従来ベーカリー製品の表面に粉糖、ぶどう糖、グラニュー糖等の粉末糖を付着させること(シュガリングという)が行われてきた。しかしながら、これら粉末糖は吸湿性が強く、シュガリング後に時間が経過すると潮解して透明になる「泣き」という現象が発生するという問題があった。「泣き」が発生すると、シュガリングしたベーカリー製品の見た目も食感も悪くなるため、商品価値が低下する。そこで、粉末糖の「泣き」の発生を防止するための検討がされてきた。
「泣き」の発生を防止する方法の1つとして、粉末糖を油脂で被覆する方法がある。例えば、ぶどう糖、デキストリン、および融点が各々45〜55℃と55〜65℃の異なる範囲にあり、かつ両者の融点の差が5℃以上である2種の油脂の均一混合物からなるコーティングシュガー(特許文献1)が開発されている。また、300μm以下150μmを超える画分と150μm以下の画分との比が3:7〜5:5である粒度構成を有する粉末糖類を油脂で被覆したドーナツシュガー(特許文献2)には、融点55℃以上65℃以下の油脂と融点30℃以上40℃以下の油脂を使用することが好ましいと記載されており、実施例では予め加熱溶解し混合した後、被覆している。
また、融点の異なる2種以上の油脂の不均一な混合物の層を有する粉末糖類を主成分としたドーナツシュガー(特許文献3)が開発されている。融点の異なる2種以上の油脂を、完全に均質化しない程度に混合することで、一つの油脂層内に2種以上の油脂の液滴が独立に存在する状態となる。そのことによって、2種以上の油脂がそれぞれ独立に作用し、低融点油脂により口どけの良さと甘みがもたらされ、高融点油脂により泣きを防止するとされている。
また、融点50℃以上の油脂で被覆し、冷却固化させた後、外層部に25℃で液状を呈する油脂を付着させることを特徴とした油脂被覆粉末糖の製造方法(特許文献4)が開発されている。
さらにまた、糖類粉状体の表面に、融点が常温よりも高い油脂よりなる脂質層が形成され、この脂質層の表面に糖質の外層が形成されてなる粉末糖類(特許文献5)が開発されている。特許文献5の油脂としては、融点40℃以上のものが好ましいとされている。
特開平9−201166号公報 特開2011−087491号公報 特開昭63−98354号公報 特開平11−056290号公報 特開平3−277237号公報
これまでの検討により、油脂被覆粉末糖の「泣き」の発生を抑制できるようになった。本発明者らは、よりおいしい油脂被覆粉末糖を開発するために、様々な条件で油脂被覆粉末糖を作製し、食感の確認を行った。その結果、「泣き」の発生が抑制された油脂被覆粉末糖において、被覆に用いた油脂由来の油っこいぬめり感の発生やベーカリー製品の生地のパサつきの発生といった食感上の不具合が起こることが多いことに気付いた。
さらに、本発明者らは、特許文献1−4に開示された油脂の被覆方法について検討を行ったが、何れの手法でも被覆に用いた油脂由来の油っこいぬめり感、ベーカリー製品の生地のパサつきを抑制することはできなかった。具体的には、融点の異なる2種類の油脂を予め混合して被覆する特許文献1−2記載の方法に準じて作製した油脂被覆粉末糖(比較例1参照)や、融点の異なる2種類の油脂が不均一な存在状態となるように被覆する特許文献3記載の方法に準じて作製した油脂被覆粉末糖(比較例3参照)や、特許文献4記載の方法に準じて作製した油脂被覆粉末糖(比較例5,6参照)では、被覆に用いた油脂由来の油っこいぬめり感やベーカリー製品の生地のパサつきが認められた。すなわち、従来技術では、被覆に用いた油脂由来の油っこいぬめり感、ベーカリー製品の生地のパサつきの発生を抑制することはできないといえる。
本発明の課題は、ベーカリー製品にシュガリングし、時間が経っても、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感が発生せず、ベーカリー製品の生地のパサつきも発生させない油脂被覆粉末糖を提供することである。また、そのような油脂被覆粉末糖の製造方法を提供することである。
本発明者らは、粉末糖の粒子表面に、1層目の油脂として融点50〜70℃の油脂をコーティングし、冷却し、その後、さらにその外表面に2層目の油脂として融点26〜40℃の油脂をコーティングした油脂被覆粉末糖が、ベーカリー製品にシュガリングし、時間が経っても、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感を発生せず、ベーカリー製品の生地のパサつきを発生させないことを見出した。
すなわち、本発明は以下の(1)および(2)記載の油脂被覆粉末糖を要旨とする。
(1)粉末糖の粒子表面に、粉末糖100重量部に対して1〜15重量部の融点50〜70℃の油脂の被覆層、さらにその外表面に2〜10重量部の融点26〜40℃の油脂の被覆層を形成した油脂被覆粉末糖。
(2)粉末糖がぶどう糖である上記(1)記載の油脂被覆粉末糖。
また、本発明は以下の(3)〜(5)記載の油脂被覆粉末糖の製造方法を要旨とする。
(3)粉末糖100重量部の粒子表面を、あらかじめ加熱溶解した融点50〜70℃の油脂1〜15重量部でコーティングした後、該油脂の融点よりも低い温度まで冷却することで油脂の層を形成させ、次いでその外表面を、あらかじめ加熱溶解した融点26〜40℃の油脂2〜10重量部でコーティングすることを特徴とした油脂被覆粉末糖の製造方法。
(4)融点26〜40℃の油脂でのコーティング前に融点50〜70℃の油脂の融点よりも10℃以上低い温度まで冷却した上記(3)記載の油脂被覆粉末糖の製造方法。
(5)粉末糖がぶどう糖である上記(3)または(4)記載の油脂被覆粉末糖の製造方法。
本発明により、ベーカリー製品にシュガリングし、時間が経っても、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感が発生せず、ベーカリー製品の生地のパサつきも発生させない油脂被覆粉末糖、および油脂被覆粉末糖の製造方法を提供することができる。
本発明の油脂被覆粉末糖は、粉末糖の粒子表面を、1層目の油脂層として融点50〜70℃の油脂で被覆し、さらにその外表面を2層目の油脂層として融点26〜40℃の油脂で被覆したものである。
本発明における油っこいぬめり感とは、油脂被覆粉末糖でシュガリングしたベーカリー製品の咀嚼時から嚥下直後までの間に感じる、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じとぬめり感が共存した好ましくない食感を指す。この油っこいぬめり感は、油脂被覆粉末糖内部に水分や液状の油分が存在することにより生じると考えられる。
さらに本発明におけるベーカリー製品の生地のパサつきとは、油脂被覆粉末糖でシュガリングしたベーカリー製品を食べる際に、生地が乾燥してボソボソとしているように感じられ、咀嚼時に、口溶けが悪く、飲み込みにくく、おいしく感じられなくなることを指す。ベーカリー製品の生地から油脂被覆粉末糖に水分が移行することでベーカリー製品の生地中の水分が減少した結果、ベーカリー製品の生地のパサつきが発生すると考えられる。
本発明において融点とは、基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996に基づき、測定した融点(上昇融点)のことを指す。上昇融点は、固体の油脂に徐々に熱をかけた時に溶け始める温度である。すなわち、上昇融点26℃の油脂を26℃の環境下に放置しても、完全に溶けて液状になるとは限らない。例えば、実施例で用いた融点26〜40℃の油脂に属する油脂Fの上昇融点は25.6℃であるが、この油脂Fを26℃の環境下に放置した場合、一部に軟らかい部位がみられたが全体としては固形状を保っていた。
本発明の油脂被覆粉末糖において、粉末糖の粒子表面を被覆する1層目の油脂としては、融点50〜70℃の油脂を用いる必要があり、融点58〜70℃の油脂を用いることが好ましい。融点50〜70℃の油脂としては、大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、ピーナッツ油、オリーブ油、米糠油、魚油、牛脂、豚脂等の動植物油脂に水素添加した硬化油、パーム油、やし油等の高融点部分を集めた分画油脂等が挙げられる。ヨウ素価が2以下となるまで水素添加した極度硬化油脂が最も好ましい。
1層目の油脂の融点が50℃未満の場合には、油っこいぬめり感が発生し、ベーカリー製品の生地のパサつきを発生させる。融点が70℃を超える油脂を用いた場合にも効果を有することは予測されるが、一般的な油脂で融点が70℃を超えるものは存在しないため、融点が70℃を超える油脂を使用することは考えられない。
本発明の油脂被覆粉末糖において、1層目の油脂の配合量は、粉末糖100重量部に対して1重量部以上であれば良く、5重量部以上が好ましい。油っこいぬめり感が発生しない、ベーカリー製品の生地のパサつきを発生させないという本発明の課題の解決のためには、1層目の油脂の配合量の上限はない。しかし、1層目の油脂の配合量が増えると、甘みを感じにくくなるため、ベーカリー製品のシュガリングの目的の一つである甘味の観点から、粉末糖100重量部に対する1層目の油脂の配合量は15重量部以下とすることが好ましい。
本発明の油脂被覆粉末糖において、2層目の油脂は、融点26〜40℃の油脂である必要があり、融点33〜40℃の油脂を用いることが好ましい。融点26〜40℃の油脂としては、大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、ピーナッツ油、オリーブ油、米糠油、魚油、牛脂、豚脂等の動植物油脂、およびこれらの油脂に水素添加した硬化油などがあげられる。
2層目の油脂が、融点26℃未満の油脂の場合には、油脂被覆粉末糖の油っこいぬめり感が発生しベーカリー製品の生地のパサつきを発生させる。融点が40℃を超える油脂を用いると、ベーカリー製品への付着性が悪く、ベーカリー製品のシュガリングに使用できない。
本発明の油脂被覆粉末糖において、2層目の油脂の配合量は、粉末糖100重量部に対して2〜10重量部であれば良く、3〜5重量部が好ましい。2層目の油脂は多すぎても少なすぎても油っこいぬめり感が発生し生地のパサつきを発生させる。
本発明の油脂被覆粉末糖においては、2層目の油脂で被覆する前に1層目の油脂がすでに固化していること、2層目の油脂で被覆する際に1層目の油脂の層を溶かさないことが望ましい。そのためには、「1層目の油脂」と「2層目の油脂」との融点の差が10℃以上あることが好ましく、さらには15℃以上あることがより好ましい。
次に、本発明の油脂被覆粉末糖の製造方法について説明する。本発明の油脂被覆粉末糖は、ニーダーミキサー、ポニーミキサー、垂直スクリュー型ミキサー、フラッシュミキサー、プレッシャーミキサー等の混合機に粉末糖を入れて撹拌しているところに、あらかじめ加熱溶解した融点50〜70℃の油脂を加えて混合し、一旦冷却した後、さらに、あらかじめ加熱溶解した融点26〜40℃の油脂を加えて混合することで製造できる。
融点50〜70℃の油脂を加えて混合した後の冷却は、1層目の油脂と2層目の油脂が混ざり合わないように、二つの層とするために必要な工程である。そこで、2層目の油脂で被覆する前に、1層目の油脂が固化すればよい。冷却温度、冷却方法には特に制限はないが、緩慢に冷却したほうが丈夫な油脂層が形成されるため好ましい。緩慢に冷却する方法としては、1層目の油脂で被覆した油脂被覆粉末糖を混合機内に放置し自然に冷えるのを待つ方法などが挙げられる。
本発明の油脂被覆粉末糖を製造する際に用いる粉末糖としては、通常甘味料として用いられるぶどう糖、フルクトース、シュクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース等を用いることができる。これらの粉末糖としては、結晶品、噴霧乾燥品、結晶品の微粉砕品、及びこれらの造粒品又はこれらを篩い分けした製粒品を用いることができる。粉末糖にデキストリン、粉飴、澱粉、化工澱粉、多糖類、高甘味度甘味料を混ぜても良い。
さらに、本発明の油脂被覆粉末糖において特に好適な粉末糖を検討したところ、ぶどう糖を用いた場合に、もっともおいしいと感じられることが確認されており、本発明における粉末糖としてはぶどう糖を用いることが好ましい。
本発明の油脂被覆粉末糖に、澱粉、好ましくはコーンスターチを混合すると、流動性が改善し、使いやすくなる。コーンスターチを用いる場合、油脂被覆粉末糖100重量部に対して3重量部以上混合するとよい。コーンスターチは、油っこいぬめり感やベーカリー製品の生地のパサつき、泣きには全く影響しないが、コーンスターチの混合量が増えると相対的に甘さが弱くなる。そこで、油脂被覆粉末糖100重量部に対するコーンスターチの混合量は30重量部以下が好ましい。
本発明の油脂被覆粉末糖は、ベーカリー製品のシュガリング用に使用することができる。ベーカリー製品としてはパンやクッキーなどがあげられるが、特に揚げパン、揚げ菓子、ドーナツに用いると良い。特にアンドーナツのように生地が薄いベーカリー製品において、生地のパサつきを発生させない効果が大きく感じられる。
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[試験に用いた油脂]
表1に記載した油脂A〜Gを用いた。ここで、油脂CおよびGは、パーム油を常法に基づき、分別して製造したものである。油脂A〜Gについて、基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996融点(上昇融点)に記載の方法に基づき、ガラスキャピラリー(ドラモンド社製、長さ75mm)を用い、自動上昇融点測定装置(エレックス科学製)により上昇融点を測定した。2回測定した平均値を測定値とした。表1中、油脂A,B,Cは融点50〜70℃の油脂に属し、油脂D,E,Fは融点26〜40℃の油脂に属する。
〈コーティング方法の検討〉
実施例1:加熱ジャケットつきニーダーミキサーに無水結晶ぶどう糖(昭和産業製)100重量部を入れて90℃に加熱し60rpmで撹拌しているところに、あらかじめ90℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂A 5重量部を滴加した。全量滴加後90℃を維持したまま10分間混合した後、加熱を止め油脂被覆粉末糖が自然に冷えるのを待った。油脂被覆粉末糖の表面温度が50℃まで下がったところで60rpmで撹拌を再開し、ここに、あらかじめ50℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂D 5重量部を滴加した。全量滴加後10分間撹拌した後、撹拌を止め放冷した。油脂被覆粉末糖の表面温度が30℃以下になったところで、コーンスターチ(昭和産業製)10重量部を添加し60rpmで10分間撹拌したのち、撹拌装置から取り出し室温まで放冷した。
比較例1:油脂A 5重量部と油脂D 5重量部をあらかじめ90℃で加熱溶解して均一に混合した。加熱ジャケットつきニーダーミキサーに無水結晶ぶどう糖(昭和産業製)100重量部を入れて90℃に加熱し60rpmで撹拌しているところに、あらかじめ加熱溶解した油脂Aと油脂Dの混合物 10重量部を滴加した。全量滴加後90℃を維持したまま10分間混合した後、加熱攪拌を止め放冷した。油脂被覆粉末糖の表面温度が30℃以下になったところで、コーンスターチ(昭和産業製)10重量部を添加し60rpmで10分間撹拌したのち、撹拌装置から取り出し室温まで放冷した。
比較例2:加熱ジャケットつきニーダーミキサーに無水結晶ぶどう糖(昭和産業製)100重量部を入れて90℃で加熱し60rpmで撹拌しているところに、あらかじめ90℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂A 5重量部を滴加した。全量滴加後90℃を維持したまま10分間混合した。ここに、あらかじめ50℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂D 5重量部を滴加した。全量滴加後10分間撹拌した後、加熱攪拌を止め放冷した。油脂被覆粉末糖の表面温度が30℃以下になったところで、コーンスターチ(昭和産業製)10重量部を添加し60rpmで10分間撹拌したのち、撹拌装置から取り出し室温まで放冷した。
比較例3:加熱ジャケットつきニーダーミキサーに無水結晶ぶどう糖(昭和産業製)100重量部を入れて90℃で加熱し60rpmで撹拌しているところに、あらかじめ50℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂D 5重量部を滴加した。全量滴加後90℃を維持したまま10分間混合した後、ここに、あらかじめ90℃で加熱溶解して完全に液状にした油脂A 5重量部を滴加した。全量滴加後10分間撹拌した後、加熱攪拌を止め放冷した。油脂被覆粉末糖の表面温度が30℃以下になったところで、コーンスターチ(昭和産業製)10重量部を添加し60rpmで10分間撹拌したのち、撹拌装置から取り出し室温まで放冷した。
実施例1及び比較例1〜3で作製した油脂被覆粉末糖について、以下の通り、ドーナツにシュガリングして官能評価を行った。まず、常法により製造したイーストアンドーナツを、表面温度が30℃になるまで放冷した。次に、油脂被覆粉末糖300gを入れた容器にドーナツを投入して、容器を10回上下に転倒する方法により、シュガリングを施した。シュガリングしたドーナツはポリエチレン製の袋に入れて密封し、30℃で48時間保管した後、5名のパネラーにより評価した。油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感およびベーカリー製品の生地のパサつきについては試食試験により、泣きについては肉眼での観察により、以下の基準で判定した。結果を表2に示す。
[官能評価基準]
油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感
5点 油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じもぬめり感もない。
4点 油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じがわずかにあるが、殆どぬめり感はない。
3点 油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じが少しあり、少しぬめり感がある。
2点 油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じがあり、ぬめり感がある。
1点 油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこい感じがかなりあり、非常にぬめり感がある。
生地のパサつき
5点 ベーカリー製品の生地が全くパサついていない。
4点 ベーカリー製品の生地がわずかにパサついている。
3点 ベーカリー製品の生地が少しパサついている。
2点 ベーカリー製品の生地がパサついている。
1点 ベーカリー製品の生地がかなりパサついている。
泣き
5点 油脂被覆粉末糖の潮解がなく、見た目の白さも残っている。
4点 油脂被覆粉末糖の潮解がわずかにあるが、見た目の白さも残っている。
3点 油脂被覆粉末糖の潮解が少しあるが、見た目の白さが多少残っている。
2点 油脂被覆粉末糖の大半が潮解し、見た目の白さがない。
1点 油脂被覆粉末糖が完全に潮解し、見た目の白さがない。
5人のパネラーの評価を平均し、4.5点以上の場合を◎、3.5点以上4.5点未満の場合を○、2.5点以上3.5点未満の場合を△、2.5点未満の場合を×とし、いずれかの項目で×があるものはドーナツシュガーとして不適切と判断とした。
実施例1の油脂被覆粉末糖で被覆した場合には、油っこいぬめり感がなく、ベーカリー製品の生地のパサつきもないことが確認された。 比較例1〜3の油脂被覆粉末糖で被覆した場合には「泣き」の発生は多少抑制されたが、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感が発生し、ベーカリー製品の生地のパサつきが発生した。
〈油脂の融点範囲の検討〉
1層目の油脂(油脂1)と2層目の油脂(油脂2)の融点の影響を確認するため、油脂1、油脂2、および冷却終点温度を表3に記載通りの条件とし試験を行った。
加熱ジャケットつきニーダーミキサーに無水結晶ぶどう糖(昭和産業製)100重量部を入れて90℃で加熱し60rpmで撹拌しているところに、あらかじめ融点より20℃高い温度で溶解した油脂1を5重量部滴加した。全量滴加後90℃を維持したまま10分間混合した後、加熱を止め油脂被覆粉末糖の表面温度が冷却終点温度まで自然に冷えるのを待った。冷却終点温度まで下がったところで60rpmで撹拌を再開し、ここに、あらかじめ冷却終点温度に加熱溶解した油脂2を5重量部滴加した。全量滴加後10分間撹拌した後、撹拌を止め放冷した。油脂被覆粉末糖の表面温度が30℃以下(油脂Gを用いた場合には油脂被覆粉末糖の表面温度が20℃以下)になったところで、コーンスターチ(昭和産業製)10重量部を添加し60rpmで10分間撹拌したのち、撹拌装置から取り出し室温まで放冷した。作製した各油脂被覆粉末糖について、実施例1と同様にドーナツにシュガリングし官能評価を行った。結果を表3に示す。
油脂1として融点50℃〜70℃の油脂を用い、かつ油脂2として融点26℃〜40℃の油脂を用いた実施例2〜7では油っこいぬめり感の発生およびベーカリー製品の生地のパサつきの発生が殆どなかった。特に、油脂1として融点58℃〜70℃の油脂を用い、かつ油脂2として33℃〜40℃の油脂を用いた実施例2〜4では、油っこいぬめり感の発生およびベーカリー製品の生地のパサつきの発生が全くなかった。
〈油脂の配合量の検討〉
[融点50〜70℃の油脂配合量]
油脂の配合量を表4記載のものとした以外は、実施例1と同様に油脂被覆粉末糖を作製した。作製した各油脂被覆粉末糖について、粉体中のぶどう糖含量を一定にするため、作製した油脂被覆粉末糖に、ぶどう糖100重量部に対し、油脂Aと油脂D及びコーンスターチの合計量が30重量部となるように、コーンスターチを添加した上で、実施例1と同様にドーナツにシュガリングし官能評価を行った。結果を表4に示す。
粉末糖100重量部に対する1層目の油脂の配合割合は1重量部以上であれば良く、5重量部以上が好ましいことが分かった。 甘味の観点から、粉末糖に対する1層目の油脂の配合割合は15重量部以下が好ましいことが分かった。
[融点26〜40℃の油脂配合量]
油脂の配合量を表5記載のものとした以外は、実施例1の方法で油脂被覆粉末糖を作製した。作製した各油脂被覆粉末糖について、粉体中のぶどう糖含量を一定にするため、作製した油脂被覆粉末糖に、ぶどう糖100重量部に対し油脂Aと油脂D及びコーンスターチの合計量が30重量部となるように、コーンスターチを添加した上で、実施例1と同様にドーナツにシュガリングし官能評価を行った。結果を表5に示す。
粉末糖100重量部に対する2層目の油脂の配合割合は2〜10重量部であれば良く、3〜5重量部が好ましいことが分かった。
〈粉末糖の検討〉
使用する粉末糖を表6記載のものとした以外は実施例4と同様に油脂被覆粉末糖を作製した。作製した各油脂被覆粉末糖について、実施例1と同様にドーナツにシュガリングし官能評価を行った。油脂の油っこいぬめり感、ベーカリー製品の生地のパサつき、泣きのいずれの項目においても、実施例4と同様に良好であった。
次に、作製した各油脂被覆粉末糖について、実施例1と同様にドーナツにシュガリングしたものを用い、食味の官能評価を行なった。食味の官能評価は、(1)おいしさ、(2)先味を感じる早さ、(3)甘みの強さ、(4)甘みのキレの各項目について、25人のパネラーにより、以下の評価基準に基づき、順位法により評価した。1位4点、2位3点、3位2点、4位1点として評点をつけ、Steel-Dwassの方法により有意差の検定(危険率1%)を行った。各試験区の評価項目毎の評点の平均±標準誤差を表6に示す。
[評価基準]
「おいしさ」は、ベーカリー製品の表面に付着させて食した場合の総合的なおいしさが、最もおいしかったものから順に1位、2位、3位、4位と評価した。
「先味を感じるまでの早さ」は、油脂被覆粉末糖でシュガリングしたベーカリー製品を口腔内に含んでから、油脂被覆粉末糖由来の甘みを感じるまでの時間が早いものから順に1位、2位、3位、4位と評価した。
「甘みの強さ」は、油脂被覆粉末糖でシュガリングしたベーカリー製品を咀嚼中に感じる、油脂被覆粉末糖由来の甘みが強かったものから順に1位、2位、3位、4位と評価した。
「甘みのキレがよい」は、油脂被覆粉末糖でシュガリングしたベーカリー製品を嚥下したあとに口内に残り続ける味の消失が速いものから順に1位、2位、3位、4位と評価した。
有意差検定の結果、「先味を感じる早さ」及び「甘みの強さ」ついては全ての群間で有意差があった。「甘みのキレ」については実施例18と20の間を除く全ての群間で、「おいしさ」については実施例18と19,実施例18と20の間を除く全ての群間で有意差があった。
以上のことから、実施例4が他の試験区と比較しておいしいことが確認された。本発明の油脂被覆粉末糖をドーナツのシュガリングに用いる場合にはおいしさの点から、粉末糖としてぶどう糖を用いることが好ましいといえる。
本発明の油脂被覆粉末糖は、ベーカリー製品のシュガリングに使用することができる。

Claims (5)

  1. 粉末糖の粒子表面に、粉末糖100重量部に対して、1〜15重量部の融点50〜70℃の油脂の被覆層、さらにその外表面に2〜10重量部の融点26〜40℃の油脂の被覆層を形成した油脂被覆粉末糖。
  2. 粉末糖がぶどう糖である請求項1記載の油脂被覆粉末糖。
  3. 粉末糖100重量部の粒子表面を、あらかじめ加熱溶解した融点50〜70℃の油脂1〜15重量部でコーティングした後、該油脂の融点よりも低い温度まで冷却することで油脂の層を形成させ、次いでその外表面を、あらかじめ加熱溶解した融点26〜40℃の油脂2〜10重量部でコーティングすることを特徴とした油脂被覆粉末糖の製造方法。
  4. 融点26〜40℃の油脂でのコーティング前に融点50〜70℃の油脂の融点よりも10℃以上低い温度まで冷却した請求項3記載の油脂被覆粉末糖の製造方法。
  5. 粉末糖がぶどう糖である請求項3または4記載の油脂被覆粉末糖の製造方法。












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