JP5941043B2 - 仮固定用接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、いろいろな部材を加工するに際しての部材の仮固定方法であり、又それに好適な組成物と接着剤に関するものである。本発明は、例えば、シリコンインゴットからシリコンウエハを加工するに際して、当該部材を仮固定する方法と、当該用途に好適な仮固定用接着剤組成物に関する。
シリコンウエハなどの半導体実装部品等の仮固定用接着剤としては、両面テープやホットメルト系接着剤、エポキシ系接着剤が使用されている。これらの接着剤にて接合又は積層した部材を、所定の形状に切削加工後、接着剤を除去し、加工部材を製造することが行われている。例えば、半導体実装部品に関しては、これらの部品を両面テープにて基材に固定した後、所望の部品に切削加工を行い、更に両面テープに紫外線を照射することにより部品からの剥離を行っている。ホットメルト系接着剤の場合には、部材を接合し、加熱により間隙に接着剤を浸透させた後、所望の部品に切削加工を行い、有機溶剤中で接着剤の剥離を行っている。エポキシ系接着剤の場合には、主剤と硬化剤を計量、混合して部材と接合後、所望の部品に切削加工を行い、有機溶剤中で接着剤の剥離を行っている。
しかし、両面テープは、厚み精度を出すのが困難であったり、接着強度が弱いために部品加工時に剥離できなかったりするといった問題があった。両面テープは、100℃以上の熱をかけないと剥離できないといった問題があった。両面テープは、紫外線照射により剥離させる場合には、被着体の透過性が乏しいと剥離できないといった問題があった。
ホットメルト系接着剤は、接着時に100℃以上の熱をかけなければ貼ることができず、使用できる部材に制約があった。ホットメルト系接着剤は、剥離時に有機溶剤を使用する必要があり、アルカリ溶剤やハロゲン系有機溶剤の洗浄工程が煩雑であり、作業環境的にも問題となっていた。
エポキシ系接着剤は、主剤と硬化剤の計量と混合が不十分な場合、著しい接着性の低下を起こすことがあった。エポキシ系接着剤は、ホットメルト系接着剤と同様、剥離時に有機溶剤を使用する必要があった。エポキシ系接着剤は、アルカリ溶剤やハロゲン系有機溶剤の洗浄工程が煩雑であり、作業環境的にも問題となっていた。エポキシ系接着剤は、硬化速度が遅く、硬化までの間、十分な硬化時間を保持しておく必要があった。
これらの問題を解決するために、特許文献1〜3では水溶性ビニルモノマー等の水溶性化合物を含有する仮固定用の光硬化型若しくは加熱硬化型接着剤が提案されていた。これらの接着剤組成物では、水中での剥離性は解決されるのに対し、部品固定時の接着強度が低く、切削加工時の部材の寸法精度に乏しい課題があった。光硬化型接着剤の場合、透過性のある被着体に用途が限定され、加熱硬化型接着剤の場合、耐熱性のある被着体に用途が限定されていた。
一方、特許文献4では高接着強度でかつ水中での剥離性に優れ、フィルム状に剥離するため部材に糊残りがないといった、環境的にも作業性にも優れた二剤型接着剤が提案された。しかし、シリコンやサブストレートの表面が粗くなっていると剥離に時間がかかることがあり、さらなる剥離性向上が期待されていた。
また、特許文献5では熱硬化性接着剤成分に有機系熱膨張性粒子を加えることによって、初期せん断接着力が高い一方、加熱処理(熱水処理を含む。)により接着力が著しく低下して、容易に自己剥離可能な熱剥離型接着剤が提案された。しかしながら、有機系熱膨張性粒子の添加量が多いため、剥離後の接着剤はフィルム状にはならず、部材への糊残りが発生したり回収に手間がかかったりするという課題があった。
特開平6−116534号公報 特開平11−71553号公報 特開2001−226641号公報 特開2010−248395号公報 特開2003−171648号公報 特開平7−153724号公報 特開平11−60400号公報
切削加工後の部材の寸法精度及び接着仮固定までの硬化速度を向上させるために、高接着強度であり、水中での剥離性に優れ、剥離しても部材に糊残りがないといった、環境的にも作業性にも優れた二剤型接着剤が望まれていた。
即ち、本発明は、(1)(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマー、(2)重合開始剤、(3)β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステル、(4)エラストマー成分及び(5)有機系熱膨張性粒子を含有してなる仮固定用接着剤組成物である。
また、成分(1)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してもよく、成分(3)が、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅及びオクチル酸コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上からなっていてもよい。
さらに、成分(1)が、アルキル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してもよく、成分(1)が、アルキル(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリル酸モノマー、芳香族基を有する(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してもよい。
また、本発明の仮固定用接着剤組成物は、更に、パラフィン類を含有してもよく、更に、酸化防止剤を含有してもよく、更に、リン酸塩を含有していてもよい。
また、本発明の仮固定用接着剤組成物は、第一剤が成分(2)を含有してなり、第二剤が成分(3)を含有してなる該二剤型の仮固定用接着剤組成物としてもよい。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、成分(5)の使用量が、成分(1)100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましい。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、成分(5)の使用量が、成分(1)100質量部に対して、1〜25質量部であることが好ましい。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、その用途がシリコン接着用、樹脂接着用及びガラス接着用からなる群のうちの1種又は2種以上である該仮固定用接着剤組成物であってもよい。
また、本発明は、前記各仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を接着仮固定し、前記仮固定用接着剤組成物を硬化し、該仮固定された部材を加工し、加工された部材を水に浸漬することにより、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする部材の仮固定方法であり、水が温水であることが好ましい。
本発明の第2の部材の仮固定方法は、前記各仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を接着仮固定し、前記仮固定用接着剤組成物を硬化し、該仮固定された部材を加工し、加工された部材を加熱処理することにより、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を取り外すことを特徴とするものである。
また、本発明は、前記各仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコンインゴットを基材に接着仮固定した後、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを作製し、シリコンウエハを水に浸漬することにより、シリコンウエハを基材から取り外すことを特徴とするシリコンウエハの製造方法であり、水が温水であることが好ましい。
本発明の第2のシリコンウエハの製造方法は、前記各仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコンインゴットを基材に接着仮固定した後、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを作製し、基材を加熱処理することにより、シリコンウエハを基材から取り外すことを特徴とするシリコンウエハの製造方法である。
また、本発明は、前記各仮固定用接着剤組成物を使用して被着体を接着してなる接合体であり、前記被着体は例えばシリコン、樹脂及びガラスからなる群のうちの1種又は2種以上である。
本発明は、例えば、以下の効果を有する。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、二剤を混合することにより短時間で硬化する。このために、従来から広く用いられているエポキシ系接着剤に比べて、作業性及び作業時間短縮の面で著しく優れている。その硬化体は、加工時に用いる切削水などに影響されずに、高い接着強度を発現できるので、部材の加工時にずれを生じ難く、寸法精度面で優れた部材が容易に得られる。当該硬化体は水に接触することにより接着強度が低下し、部材間の接着力又は部材と治具との接着力が低下するので、容易に部材の回収ができる。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、従来の接着剤の場合に比べ、高価で、発火性の強い、或いは人体に有毒なガスを発生させる有機溶剤を用いる必要がないという格段の効果が得られる。
また、本発明の仮固定用接着剤組成物は、硬化体が90℃以下の温水と接触して膨潤し、フィルム状に部材から回収できるので、作業性に優れるという効果が得られる。
本発明は、(1)(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマー、(2)重合開始剤、(3)β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステル、(4)エラストマー成分及び(5)有機系熱膨張性粒子を含有してなる仮固定用接着剤組成物である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する(1)(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとしては、以下のものが挙げられる。
(1−1)アルキル(メタ)アクリレート
アルキル(メタ)アクリレートとしては、一般式(A)で示される(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
一般式(A)
Z−O−R1
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
1は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、5〜16のアルキル基がより好ましく、6〜13個のアルキル基が最も好ましい。
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びトリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、安価で接着性が良好な点で、メチル(メタ)アクリレート及び/又は2−エチルへキシル(メタ)アクリレートが好ましい。剥離性が良好な点では、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート及び/又はラウリル(メタ)アクリレートが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(1−2)ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリル酸モノマー
ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリル酸モノマーとしては、一般式(B)で示される(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
一般式(B)
Z−O−(R2O)p−C64−C(R3)(R3’)−C64−O−(R2O)p'−Z
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R2は−C24−、−C36−、−CH2CH(CH3)−、−C48−又は−C612−を示し、R3、R3’は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、p、p’は0〜8の整数を示す。)
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、効果が大きい点で、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。
(1−3)ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート
ジシクロペンテニルオキシアルキレン(メタ)アクリレートとしては、一般式(C)で示される(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
Figure 0005941043
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R4は1〜12個の炭素を有するアルキレン基を表し、qは1〜20の整数を示す。)
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、表面硬化性が良く、容易に入手できる点で、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。R4は、樹脂強度が大きい点で、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。qは、硬化物の樹脂強度が大きい点で、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
(1−4)芳香族基を有する(メタ)アクリレート
芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、一般式(D)で示される(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
一般式(D)
Z−O−(R5O)r−R6
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R5は−C24−、−C36−、−CH2CH(CH3)−、−C48−又は−C612−を示し、R6はフェニル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有するフェニル基を示し、rは1〜10の整数を示す。)
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、効果が大きい点で、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
(1−5)ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリル系モノマー
ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリル系モノマーとしては、一般式(E)で示される(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
一般式(E)
Z−O−(R7O)s−H
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R7は−C24−、−C36−、−CH2CH(CH3)−、−C48−又は−C612−を示し、sは1〜10の整数を示す。)
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等といったヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、安価で接着性が良好な点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
(1−6)多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル
多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、皮膚刺激性が低い点で、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
(1−7)(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーとしては、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製、「TE−2000」、「TEA−1000」)、その水素添加物(例えば、日本曹達社製、「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製、「BAC−45」)、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本合成社製、「UV−3000B」)、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製、「ビスコート#540」、昭和高分子社製、「ビスコートVR−77」)等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマーを含む。
(メタ)アクリル系モノマーの中では、効果が大きい点で、(1−5)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。(メタ)アクリル系モノマー中の、(1−5)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、(メタ)アクリル系モノマー100質量部中、5〜70質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーの中では、効果が大きい点で、以下(X)又は(Y)の組み合わせが好ましく、(Y)の組み合わせがより好ましい。
(X)(1−1)アルキル(メタ)アクリレート、(1−3)ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート及び(1−5)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの組み合わせ。成分(1−1)、成分(1−3)及び成分(1−5)の含有割合は、成分(1−1)、成分(1−3)及び成分(1−5)の合計100質量部中、質量比で、成分(1−1):成分(1−3):成分(1−5)=40〜90:5〜35:5〜35が好ましく、50〜80:10〜25:10〜25がより好ましい。
(Y)(1−1)アルキル(メタ)アクリレート、(1−2)ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリル酸モノマー、(1−4)芳香族基を有する(メタ)アクリレート及び(1−5)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの組み合わせ。成分(1−1)、成分(1−2)、成分(1−4)及び成分(1−5)の含有割合は、成分(1−1)、成分(1−2)、成分(1−4)及び成分(1−5)の合計100質量部中、質量比で、成分(1−1):成分(1−2):成分(1−4):成分(1−5)=5〜40:1〜30:10〜60:10〜80が好ましく、10〜30:3〜20:20〜50:20〜60がより好ましい。
本発明で使用する(2)重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物が好ましく、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、後述する成分(3)や成分(4)との反応性の点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
本発明で使用する成分(2)の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜7質量部が好ましい。0.5質量部以上だと硬化速度が速くなり、10質量部以下だと貯蔵安定性に優れる。
本発明で使用する(3)β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルとしては、β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルが挙げられる。β−ジケトンキレートとしては、バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート及び銅アセチルアセトネート等が挙げられる。β−ケトエステルとしては、ナフテン酸バナジル、ステアリン酸バナジル、ナフテン酸銅若しくはオクチル酸コバルト等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、成分(2)との反応性の点で、還元性を有する金属塩が好ましく、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅及びオクチル酸コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上がより好ましく、バナジルアセチルアセトネートが最も好ましい。
成分(3)の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。0.05質量部以上だと硬化速度が速くなり、接着性が高くなり、5質量部以下だと未反応の成分が残らず、接着性が向上する。
本発明では剥離強度と衝撃強度を向上させるために、(4)エラストマー成分を使用する。
本発明で使用する(4)エラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びにアクリロニトリル−ブタジエンゴム、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びにカプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中では、(メタ)アクリル系モノマーに対する溶解性や接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、その併用がより好ましい。アクリロニトリル−ブタジエンゴムの場合、アクリロニトリル含量(ニトリル含量)は36〜45質量%が好ましい。
成分(4)の使用量は、成分(1)100質量部に対して、5〜35質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量部以上だと粘度及び接着性が向上し、35質量部以下だと、粘度が高すぎず、作業上、不具合が生じない。
本発明では剥離性を向上させるために、(5)有機系熱膨張性粒子を使用することが好ましい。
有機系熱膨張性粒子としては、ポリマーからなる殻の中に有機溶剤が封入された熱膨張性のマイクロカプセルを使用することができる。すなわち加熱によって殻の内側にある有機溶剤が気化するとともに、殻のポリマーが軟化することで、体積が、例えば5〜250倍に膨張する粒子である。有機溶剤としては、ブタンやイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、オクタン、イソオクタン等が挙げられる。殻としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等からなる熱可塑性樹脂等が挙げられる。有機系熱膨張性粒子としては、有機溶剤を、殻で包み込んだ熱膨張性マイクロカプセルを使用できる。有機系熱膨張性粒子中の有機溶剤の含有率は、剥離性向上の点で、5〜50質量%が好ましく、8〜35質量%がより好ましい。
成分(5)の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.1〜150質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部が更に好ましく、8〜15質量部が最も好ましい。1質量部以上だと熱膨張性粒子の熱膨張が十分になり、剥離性向上の効果が大きくなり、25質量部以下だと熱膨張性粒子の熱膨張により接着剤硬化物がちぎれなくなり、部材への糊残りが生じない。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン及びカンデリラろう等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
パラフィン類の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜2.5質量部がより好ましい。0.1質量部以上だと空気に接している部分の硬化が良くなり、5質量部以下だと接着強度が低下しない。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、貯蔵安定性を改良する目的で、重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−シタイシャリーブチルーp−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、トリフェニルホスフェート、フェノチアジン及びN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
酸化防止剤の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.001〜3質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。0.001質量部以上だと効果が発現し、3質量部以下だと接着強度が低下しない。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、接着性を改良する目的で、リン酸塩を使用することができる。
リン酸塩としては、一般式(F)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0005941043
(式中、R8はCH2=CR9CO(OR10u−基(但し、R9は水素又はメチル基、R10は−C24−、−C36−、−CH2CH(CH3)−、−C48−、−C612−又は
Figure 0005941043
を示し、uは1〜10の整数を示す。)を示し、tは1又は2の整数を示す。)
リン酸塩としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、効果が大きい点で、アシッドホスホオキシエチルメタクリレートが好ましい。
リン酸塩の使用量は、成分(1)100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜1.0質量部がより好ましい。0.1質量部以上だと接着強度が低下せず、5質量部以下だと接着強度が低下しない。
尚、これらの他にも所望によりカップリング剤、可塑剤、充填剤、着色剤及び防腐剤等の既に知られている物質を使用することもできる。
この他に粘度や流動性を調整する目的で、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリウレタン、スチレン−アクリロニトリル共重合体及びポリメチルメタクリレート等の熱可塑性高分子、並びに、微粉末シリカ等も使用しても良い。
本発明の実施態様としては、二剤型の接着剤組成物として使用することが挙げられる。二剤型については、本発明の接着剤組成物の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、接着剤組成物を第一剤及び第二剤に分け、第一剤に少なくとも成分(2)を、第二剤に少なくとも成分(3)を別々に貯蔵する。この場合、第一剤は成分(2)を少なくとも含有し、かつ、成分(3)を含有していないこと、第二剤は成分(3)を含有し、かつ、成分(2)を含有していないことが、好ましい。リン酸塩は第二剤に貯蔵することが好ましい。二剤型の接着剤組成物として使用する場合、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化することにより、二剤型の仮固定用接着剤組成物として使用できる。
別の実施態様としては、第一剤及び第二剤のいずれか一方又は両方に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマー及びその他の任意の成分を予め含有せしめ、使用時に両者を混合することにより、一剤型の仮固定用接着剤組成物として使用できる。
これらの実施態様の中では、貯蔵安定性に優れる点で、二剤型の仮固定用接着剤組成物として使用することが好ましい。
本発明の仮固定用接着剤組成物の使用方法としては、固定する一方の部材又は支持基板の接着面に接着剤を適量塗布し、続いてもう一方の部材を重ね合わせるという方法や、予め仮固定する部材を多数積層しておき、接着剤を隙間に浸透させて塗布させる方法等により接着剤を塗布し、仮固定用接着剤組成物を硬化させ、部材同士を仮固定する方法等が挙げられる。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、二剤の正確な計量を必要とせず、不完全な計量や混合、時には二剤の接触だけでも、常温で硬化する。本発明の仮固定用接着剤組成物の硬化には、紫外線を必要としない。本発明の仮固定用接着剤組成物は、作業性に優れる。
本発明の仮固定用接着剤組成物は各種被着体を仮固定し、部材を所望の形状に切断、研削、研磨等の加工を施した後、該部材を水に浸漬することにより、組成物を部材から剥離することができる。
仮固定方法としては、本発明の仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を接着仮固定し、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を作製し、該仮固定された部材を加工し、加工された部材を水に浸漬し、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を取り外す仮固定方法等が挙げられる。
本発明の仮固定方法では、水として、適度に加熱した温水、例えば、90℃以下の温水を用いることが、水中での剥離性が短時間に達成でき、生産性が向上する点で、好ましい。仮固定用接着剤組成物の硬化体と水との接触の方法については、水中に接合体ごと浸漬する方法が、簡便である点で、好ましい。温水の温度は、30〜100℃が好ましく、50〜95℃がより好ましい。
前記の方法で部材を固定した後、本発明においては、仮固定された部材を所望の形状に切断、研削、研磨、孔開け等の加工を施した後、該部材を水、好ましくは温水に浸漬することにより、接着剤の硬化体を部材から剥離することができる。
また本発明においては、仮固定された部材を所望の形状に切断、研削、研磨、孔開け等の加工を施した後、該部材を加熱処理することによって接着剤の硬化体から部材を剥離することもできる。加熱処理の温度は、60〜200℃が好ましく、70〜150℃がより好ましい。
本発明の仮固定用接着剤組成物は、シリコン、樹脂、カーボン、金属、サファイア及びガラスからなる群のうちの1種又は2種以上の接着に使用できる。好ましくは、シリコン、樹脂及びガラスからなる群のうちの1種又は2種以上に使用した場合、より好ましくは、シリコンの接着に使用した場合、より大きな効果を奏する。
そこで、別の観点から、本発明は、仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコン、樹脂、カーボン、金属、サファイア及びガラスからなる群、好ましくは、シリコン、樹脂及びガラスからなる群のうちの1種又は2種以上の被着体を接着して形成される接合体に関する。
被着体としてシリコンを使用した場合、特に、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを製造する場合に、本発明の仮固定用接着剤組成物は、大きな効果を有する。
シリコンウエハを製造する方法としては、本発明の仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコンインゴットを基材に接着仮固定した後、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを作製し、シリコンウエハを水に浸漬し、好ましくは上述したような温水に浸漬し、あるいは加熱処理して、シリコンウエハを基材から取り外す方法等が挙げられる。
シリコンインゴットは、固体シリコンを加熱炉内で融解、凝固させる方法等により得られる。シリコンインゴットは、ワイヤーソー等により切断する。ワイヤーソーとしては、ピアノ線等が挙げられる(特許文献6、7参照)。シリコンウエハは、太陽電池や半導体等に使用する。
以下の実験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実験例に限定されるものではない。又、各使用材料の使用量の単位は質量部で示す。又、各使用材料については、次のような略号を使用した。
実験例1〜11
表1〜2の組成で各使用材料を混合して、第一剤と第二剤とからなる仮固定用接着剤組成物を調製した。結果を表1〜2に示す。実験例1〜10は実施例であり、実験例11は比較例である。
(使用材料)
メチルメタクリレート:市販品
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:市販品
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:市販品
クメンハイドロパーオキサイド:市販品
メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MMA−BD−ST共重合体):市販品
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(AN−BDゴム):市販品、高ニトリルNBR、ニトリル含量41質量%
有機系熱膨張性粒子F−36D:商品名「マツモトマイクロスフェアーF−36D」(松本油脂製薬社製、有機溶剤はブタンからなり、殻はアクリロニトリル系共重合体からなる有機系熱膨張性粒子、有機系熱膨張性粒子中のブタンの含有率は25質量%)
有機系熱膨張性粒子F−36LVD:商品名「マツモトマイクロスフェアーF−36LVD」(松本油脂製薬社製、有機溶剤はブタンからなり、殻はアクリロニトリル系共重合体からなる有機系熱膨張性粒子、有機系熱膨張性粒子中のブタンの含有率は13質量%)
パラフィン類:市販品、パラフィンワックス
重合禁止剤:ハイドロキノンモノメチルエーテル、市販品
バナジルアセチルアセトネート:市販品
オクチル酸コバルト:市販品
リン酸塩:市販品、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート:市販品
フェノキシエチルメタクリレート:市販品
フェノキシジエチレングリコールメタクリレート:市販品
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン:市販品、一般式(B)でp=5、p’=5のもの
2、2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン:市販品
2−エチルヘキシルメタクリレート:市販品
ラウリルメタクリレート:市販品
SPCC:市販品、SPCC−Dブラスト処理鋼板
シリコンウエハ(Siウエハ):市販品
シリコンインゴット(Siインゴット):市販品
物性については、次のようにして測定した。
[固着時間]JIS K−6856に従い、試験片(100mm×25mm×1.6mmt、SPCC−Dブラスト処理)の片側に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布し、その後直ちにもう片側の試験片を重ね合わせて貼り合せたものを試料とした。試料の固着時間(単位:分)は、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、プッシュプルゲージで引張、貼り合わせ直後から、0.4MPa以上の強度が測定されるまでの時間を測定した。
[Siウエハ/ガラス引張せん断強度]JIS K−6856に従い、試験片(25mm×25mm×0.7mmt、Siウエハ)の片側に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布し、その後、直ちにもう片側の試験片(耐熱パイレックス(登録商標)ガラス(25mm×25mm×2.0mmt)を重ね合わせて貼り合わせた後、室温で24時間養生したものを試料とした。試料の引張せん断強度(単位:MPa)は、温度23℃、湿度50%RH環境下において、引張速度10mm/分で測定した。
[80℃温水剥離試験]上記耐熱パイレックス(登録商標)ガラス上に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布し、その後、直ちに上記Siウエハを貼り合わせた後、室温で24時間養生したものを試料とした。得られた試料を、温水(80℃)に浸漬し、耐熱パイレックス(登録商標)ガラスとSiウエハが剥離する時間(80℃温水剥離時間)を測定した。剥離状態も観察した。「Siウエハ界面破壊」とは、接着試験体が、接着剤組成物の硬化体とSiウエハとの界面で剥離していることをいう。Siウエハ界面破壊であると、Siウエハに接着剤が残らないため、接着剤を除去する工程を省くことができ、作業時間の短縮につながる。
[Siインゴット加工試験]125mm×125mm×400mmのSiインゴットと青板ガラス(125mm×400mm×20mmt)を接着剤にて接着硬化させた。この接着試験体のSiインゴットをワイヤーソー装置を使用して200μm厚に切断した。切断中のSiインゴットの脱落の有無を観察した(Siインゴット加工試験((脱落状態))。脱落状態は、Siインゴットを200μm厚に切断した切断ブロックの枚数に対して、切断ブロックから脱落したSiインゴットの枚数で示した。Siインゴットのみを切断した接着試験体を80℃の温水に浸漬し、Siインゴットと青板ガラスが剥離する時間(Siインゴット加工試験(80℃温水剥離時間))を測定した(Siインゴット加工試験(80℃温水剥離時間))。
Figure 0005941043
Figure 0005941043
本発明の仮固定用接着剤組成物を使用することにより、短時間で硬化し、高い接着強度を発現できる。当該硬化体は水に接触することにより接着強度が低下し、部材間の接着力又は部材と治具との接着力が低下するので、容易に部材の回収ができる。本発明の仮固定用接着剤組成物は、水に浸漬することにより、早く剥離できる。本発明の仮固定用接着剤組成物を使用して、シリコンインゴットを切断した場合、シリコンインゴットが脱落せず、良好な加工性を示した。

Claims (18)

  1. (1)(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマー、(2)重合開始剤、(3)バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸バナジル、ステアリン酸バナジル、ナフテン酸銅、及びオクチル酸コバルトからなる群のうちの一種以上の成分、(4)エラストマー成分及び(5)有機系熱膨張性粒子を含有してなり、
    前記(5)有機系熱膨張性粒子の量が、前記(1)(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの100質量部に対して、1質量部から25質量部の範囲であり、
    前記(5)有機系熱膨張性粒子の有機溶剤の含有率が、5質量%から50質量%の範囲である
    ことを特徴とする、仮固定用接着剤組成物。
  2. 成分(1)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してなる請求項1記載の仮固定用接着剤組成物。
  3. 成分(3)が、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅及びオクチル酸コバルトからなる群のうちの1種又は2種以上からなる請求項1又は2記載の仮固定用接着剤組成物。
  4. 成分(1)が、アルキル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してなる請求項1〜3のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  5. 成分(1)が、アルキル(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリル酸モノマー、芳香族基を有する(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有してなる請求項1〜3のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  6. 更に、パラフィン類を含有してなる請求項1〜5のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  7. 更に、酸化防止剤を含有してなる請求項1〜6のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  8. 更に、リン酸塩を含有してなる請求項1〜7のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  9. 第一剤が成分(2)を含有してなり、第二剤が成分(3)を含有してなる請求項1〜8のいずれか1項記載の二剤型の仮固定用接着剤組成物。
  10. 用途がシリコン接着用、樹脂接着用及びガラス接着用からなる群のうちの1種又は2種以上である請求項1〜9のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を接着仮固定し、前記仮固定用接着剤組成物を硬化し、該仮固定された部材を加工し、加工された部材を水に浸漬することにより、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする部材の仮固定方法。
  12. 水が温水であることを特徴とする請求項11記載の部材の仮固定方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物を用いて、部材を接着仮固定し、前記仮固定用接着剤組成物を硬化し、該仮固定された部材を加工し、加工された部材を加熱処理することにより、前記仮固定用接着剤組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする部材の仮固定方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコンインゴットを基材に接着仮固定した後、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを作製し、シリコンウエハを水に浸漬することにより、シリコンウエハを基材から取り外すことを特徴とするシリコンウエハの製造方法。
  15. 水が温水であることを特徴とする請求項14記載のシリコンウエハ製造方法。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物を用いて、シリコンインゴットを基材に接着仮固定した後、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハを作製し、基材を加熱処理することにより、シリコンウエハを基材から取り外すことを特徴とするシリコンウエハの製造方法。
  17. 請求項1〜10のいずれか1項記載の仮固定用接着剤組成物を使用して被着体を接着してなる接合体。
  18. 被着体がシリコン、樹脂及びガラスからなる群のうちの1種又は2種以上である請求項17記載の接合体。
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