JP5939700B2 - フレーバーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、加熱生成香気を特徴とするフレーバーの製造方法に関するものである。
現在市販されている飲食品類の多くは、加熱加工により特有の香気を生成する。食品の加熱方法は、焼く、煎る、炒める、煮る、蒸す、油で揚げるなど様々な方法が使われており、それぞれに生成する香気は異なっている。これら加熱香気は経時変化し易く、食品製造工程における殺菌工程や保蔵時の加温によっても変化し易い。そのため、香料の添加により飲食時の加熱調理感を補うことが求められている。しかしながら、この加熱時の生成香気は複雑なものであり、合成香料を調合して再現することは極めて困難である。このため、加熱香気を製造したり、天然香料に加熱香気を付加したりすることを目的としてメイラード反応を利用した香料の製造方法が種々提案されている。
たとえば、特許文献1には焙煎コーヒー粉砕物中に、水蒸気及び/又は不活性瓦斯を通じて放出させた揮発性コーヒーフレーバー成分含有気相を、糖アミノ反応生成物及び/又はカラメルの溶液中に導入捕集せしめる方法が提案されている。しかしながら、この方法はコーヒーフレーバーの発生装置と捕集装置を連結する必要があり装置が複雑なものとなる。また、捕集装置内に糖アミノ反応生成物やカラメルを投入するために、事前に糖アミノ反応の工程を別途行う必要があるため、目的とするフレーバーの製造装置の他に加熱加工用の装置を必要とする。また、溶液中に気体を捕集する必要があるため、溶液の調整や装置洗浄が煩雑になることを避けられない。さらに、この方法では最終的に得られる捕集溶液をそのまま使用することになるため、糖アミノ反応の未反応物やカラメルの呈味が最終製品中にそのまま残ることから、フレーバーの用途や使用量が目的外の呈味によって制限されてしまう。
特許文献2には、アミノ酸類、糖類及び溶剤を含有する混合物を、減圧下、薄膜状にて加熱しながら、生成するフレーバーを蒸留により直接に分離することを特徴とするフレーバーの製造方法が提案されている。この方法によれば、不要な呈味は排除することができるものの、減圧下で加熱するため加熱温度が溶媒の沸点よりも低い温度でしか実施できない。また、加熱と同時に薄膜状で蒸留するため、製造装置に供給する溶液に充分な流動性を必要とするため、高沸点の溶媒のみで製造することができず、結果として比較的低温での加熱となってしまう。さらに、一般に薄膜状で蒸留する場合は装置内の原料滞留時間は限られたものとなり、加熱時間も制限される。また、薄膜状で蒸留する装置、特に減圧が可能な装置は一般に構造が比較的複雑であり、製造後の装置洗浄が煩雑であることが多い。
特許文献3には、甲殻類又は貝類の抽出液と、アミノ酸類及び糖類との混合物を加熱し、その後蒸留により得られるフレーバーが開示されている。しかしながら、このフレーバーの製造方法では、抽出、混合・加熱、蒸留と三つの工程を要し、各々の工程はその性質上、別々の装置を使用することが避けられない。
また、従来の技術ではその多くが、香気の採集工程前に何らかの溶媒が介在する工程を含んでおり、溶媒の影響を排除することができなかった。特に、水を比較的多く含む溶媒が一般的に使用されるため、焙煎、焙炒といった水分の少ない状態で生成する加熱香気を充分に再現することが困難だった。
特公平01−047984号公報 特許第3723077号公報 特開2004−242547号公報
本発明の課題は、不要な呈味成分を伴うことなく、焙煎する、焼く、炒めるなど水を伴わない調理で生成する香ばしい調理感を有するフレーバーの新規な製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸類と糖をバインダーに固定して液状水の非存在下に水蒸気蒸留することにより、呈味成分を含まない加熱生成香気を得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、バインダーとして機能する固形物の共存下に、糖及びアミノ酸類を原料として、原料層に溶剤を加えることなく、水蒸気蒸留することを特徴とするフレーバーの製造方法である。本発明で使用されるバインダーは多孔性の固形物であることが好ましく、食品又はその加工品を使用することもできる。さらに本発明は、前記製造方法によって製造されたフレーバーであり、またそのフレーバーを添加した飲食品である。
本発明によれば、水蒸気蒸留によりアミノ酸類と糖の加熱反応と生成香気の捕集を同時に行うため、特殊な装置を必要とせず簡便に加熱生成香気をことができる。また、本発明においては、加熱反応時及び反応後に原料を溶媒抽出する工程を含まないため、呈味成分がフレーバーに移行せず、呈味を原因として使用態様の制限を受けることがない。
本発明では、固形のバインダーに還元糖及びアミノ酸類を付着させ、これを水蒸気と接触させて、加熱すると同時に生成する揮発性のフレーバー成分を水蒸気と共に系外に留出させてから捕集する。すなわち、本発明における水蒸気蒸留は、固体の原料層に水蒸気を流通させる方法であって、実質的に原料中の水分を除けば原料層中に液体溶剤を共存させず、特に液体状の水の共存を最小限に抑えることができる。これによって、得られるフレーバーに対する溶剤による抽出、分配などの二次的な効果による影響を抑えることができる。このため、本発明のフレーバーの製造方法においては、原料層中に食品を共存させても、蒸煮による香気ではなく、食品を焼く、炒る、炒めるなどしたときに生じる香気に近い香調のフレーバーを得ることができる。
本発明で使用される水蒸気蒸留装置は、たとえば植物精油の採油の目的で使用されている装置など、公知のものを用いることができる。具体的には、蒸留釜に水蒸気の導入口、留出口が設けられており、留出口から冷却器に接続し、さらに凝縮水の貯留容器が接続される。水蒸気蒸留釜には、蒸留中の釜内での凝縮水生成を抑制するために保温手段が設けられ、水蒸気蒸留中に保温がなされることが好ましい。具体的には、たとえば蒸留釜を保温材で被覆する方法や、蒸留釜にジャケットを設けてジャケット内に加熱媒体を通じる方法、蒸留釜外部に電熱材料を設けて保温する方法など一般的な方法が用いられる。また、本発明で使用される蒸留釜は、水蒸気の導入口から水蒸気の配管内で生成した凝縮水が原料層に接することを避けるために、釜底部と原料層の間に空間を設けることが好ましく、さらに水蒸気の導管が釜底部を貫通し、水蒸気導入口が釜内に設けられ、蒸留釜底部に向かって蒸気導入口が開口している構造をとることが好ましい。また、本発明における水蒸気蒸留においては、釜内に棚段を設けることにより原料層を多層化することによって、さらに水蒸気の偏流を抑えることができる。本発明において蒸留釜に導入する水蒸気は、加熱による香気生成が生じる温度以上であれば特に限定はされないが、通常は食品加工時もしくは調理時の加熱温度を参照して決定することができる。具体的な加熱温度は、好ましくは95℃以上、500℃以下であることが好ましく、100℃以上、300℃以下であることがより好ましい。100℃を超える温度の水蒸気で蒸留する場合、公知の方法で過熱水蒸気を生成させればその方法は特に限定されないが、誘導加熱方式により得られる過熱水蒸気を使用することが、簡便かつ安全であるため好ましい。
本発明におけるバインダーとは、非水溶性で、水蒸気による加熱下で溶融せず、形状を維持できる固形物が用いられる。さらには、加熱による溶出物がなく、また触媒作用による成分変化を促進しない材料が好ましい。またバインダーの形状は特に制限はなく、たとえば粉体、球状体、粒状体、網状体であってもよい。バインダーが粉体であるときの粒子径は水蒸気の流路を確保できる大きさであれば特に問題はないが、入手容易性や取扱いの容易性から平均粒子径が1μm以上であることが好ましい。バインダーが粉体であるとき以外の場合、糖及びアミノ酸類をその表面上に保持できることが好ましく、さらにはより保持力の高い形状のものが好ましい。より具体的には、多孔性の固形物からなるバインダーであることが特に好ましい。本発明においては、水蒸気蒸留時に閉塞や水蒸気の偏流を防ぐため、蒸留釜に仕込んだときの原料層に充分な空隙率を確保できるものが好ましく、また、アミノ酸類と糖の実質的な投入量を確保するために比表面積が充分に大きなものであることが好ましい。また、本発明のバインダーは、粉体との混合工程を経て使用されるため、耐衝撃性に優れた材料からなるものが特に好ましく用いられる。本発明における特に好ましいバインダーとして具体的には、多孔性ポリマービーズ、粒状活性炭、多孔質ガラスビーズ、ガラス繊維成形体、シリカゲルビーズ、多孔性金属、工業用軽石、多孔性セラミックス、精蒸留用充填物(スルザーパック、ディクソンパッキンなど)などが挙げられる。
本発明においては、バインダーの一部又は全部を食品原料に置き換えることもできる。
バインダーと置き換えられる食品原料は、非水溶性で、水蒸気による加熱下で溶融せず、形状を維持できる固形物であるものが用いられる。さらには、加熱による溶出物がないことが好ましい。水に溶解する食品原料の場合、水蒸気蒸留中に水蒸気の流路が閉塞するおそれがあるため好ましくない。また、サイクロデキストリン、クラスターデキストリン、デキストリン、小麦粉、パン粉、片栗粉、上新粉のように水を含んで粘性を増したり凝集したりする食品原料の場合、原料層の空隙率が低くなるため好ましくない。本発明における、バインダーと置き換える食品原料として好ましいものとしては、具体的には焙煎コーヒー、茶、焙煎穀類、乾燥野菜、ドライフルーツ、乾燥魚介類、スパイス、ナッツ類が挙げられる。
本発明で使用されるアミノ酸類とは、アミノ酸、ペプチドをいうが、反応性を考慮してアミノ酸を使用することが好ましい。本発明で使用されるアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、 チロキシン、オルニチン、シトルリン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジンが挙げられ、これらを単独で、又は複数を組み合わせて使用する。アミノ酸混合物である酵母エキス、HVP、HAPなども使用することができる。使用するアミノ酸類の選択は、糖との組み合わせによる生成香気の知見から生成香気の香調を目的に応じて選択することもでき、食品のアミノ酸組成を参照して選択することもできる。
本発明で原料として使用される還元糖は、単糖類もしくは二糖類又はこれらの混合物であることが好ましい。具体的な単糖類としては、アラビノース、フラクトース、ガラクトース、グルコース、キシロース、マンノース、リボース、ラムノースが挙げられる。また、具体的な二糖としては、ラクトース、マルトース、トレハロース、ショ糖が挙げられる。これら還元糖は、単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明において、使用する還元糖の選択は、アミノ酸類との組み合わせによる生成香気の知見から生成香気の香調を目的に応じて選択することもでき、食品の糖組成を参照して選択することもできる。
本発明において、アミノ酸類と糖は、水蒸気蒸留釜に投入される前に混合される。アミノ酸類と糖の混合方法は、公知の粉体混合方法によって実施することができる。具体的には、たとえば粉体混合機を使用して混合すればよいが、フレーバーの品質を一定化するために混合時の発熱が少ない方法が好ましい。
本発明において、アミノ酸類と糖は、バインダーと混合しバインダー表面に付着させてから水蒸気蒸留装置に充填される。バインダーとの混合方法は、前記のアミノ酸類と糖の混合と同時に行うこともできるが、アミノ酸類と糖を混合した後にバインダーを加えて混合することが、バインダー表面上に付着するアミノ酸類と糖を均一とするために好ましい。バインダーとの混合においては、極力バインダーの破壊が起こらない方法が選択される。たとえば、混合機を使用する場合、バインダーの種類によって異なるが、撹拌用のブレードやスクリューを用いないものの法が好ましい。アミノ酸類と糖の混合工程と、バインダーとの混合工程はそれぞれ別の混合機を用いることもできるが、同一の混合機を用いて、アミノ酸類と糖の混合と、さらにバインダーを加えた混合とを連続で行うことが効率的であり好ましい。このため、本発明においては、粉体の混合に適しており、かつ粒子破壊の起こりにくい混合機が好ましく用いられる。具体的には粉体混合に用いられるドラムミキサー、コーンミキサー、ロータリーミキサーなどが好ましく用いられる。
バインダーと混合されたアミノ酸類と糖は、水蒸気蒸留釜に投入されるが、蒸留釜底部への粉体落下や蒸留時の留出水への混入を防止するため、余剰の粉末を除去することが好ましい。余剰粉末の除去方法は、食品製造などの粉末コーティングにおいて使用されている公知の方法が使用できる。たとえば、アミノ酸類と糖をコーティングしたバインダーを篩い工程に供して、余剰粉末を除去することもできる。篩い工程を加える場合は、たとえば篩い機の振動数を適宜調整して、バインダー表面に付着した、アミノ酸類と糖が必要以上に分離することを抑える必要がある。
本発明において、水蒸気蒸留によって得られた留出液は、必要に応じて公知の方法によってフレーバー成分を濃縮する工程に供される。具体的なフレーバー成分の濃縮方法としては、たとえば非水溶性溶剤により抽出液から抽出する方法や、多孔性吸着樹脂に吸着した後に溶剤で吸着成分を脱着する方法、膜濃縮などが挙げられる。これらの濃縮工程に使用する装置は公知のものでよく、水蒸気蒸留工程の装置と連結して蒸留工程と濃縮工程を連続して行うこともできる。
本発明の製造方法によって得られたフレーバーは、呈味への影響を特に考慮することなく、使用することができる。このため、本発明のフレーバーは使用量に特に制限はなく、得られたフレーバーの香調、香気強度と、目的の香調、香気強度を勘案して適宜使用量を決定することができる。
本発明のフレーバーは飲食品に直接添加することもでき、他の食品用香料と適宜配合して使用することもできる。本発明のフレーバーと配合する食品用香料は特に限定はなく、食品に使用できるものであれば天然香料、合成香料、それらを配合した調合香料と適宜配合することができる。具体的には、たとえば天然香料としては、たとえば植物精油、果汁や各種飲食品の濃縮時に得られる回収フレーバー、飲食品類を原料とする水蒸気蒸留フレーバーなどの天然香料や飲食品に使用可能な合成香料、それらを配合した調合香料など公知の香料を本発明のフレーバーと配合することができる。
本発明のフレーバーは、濃縮工程後もしくは他の食品用香料との配合後の形態でそのまま使用してもよく、目的に応じてさらに適宜好ましい形態に加工することもできる。具体的には、油脂を含む溶剤に溶解させてもよく、乳化、ゲル化、マイクロカプセル化、粉末化、顆粒化することもできる。
本発明のフレーバーには、さらに香料以外の食品添加物を配合することもできる。具体的にはたとえば、呈味剤、呈味改善剤、香味改善剤、抗酸化剤、防腐剤、その他劣化防止剤、乳化安定化剤、分散剤、ビタミン、ミネラル、消泡剤、増粘剤などが挙げられる。
本発明の製造方法によって製造されたフレーバーは、加熱生成香気を特徴とする、調味料、調理食品、食肉加工品、菓子、冷菓、飲料などに使用することができる。調味料の具体例としては、たとえば調味油、粉末調味料、タレ、ソース、ドレッシング、カレールー、シチュールーなどが挙げられる。調理食品としての具体的な例としては、冷凍食品、レトルト食品、チルド食品、缶詰、インスタント食品が挙げられ、より具体的には冷凍炒め物、冷凍揚げ物、冷凍グラタン、粉末スープ、レトルトカレー、レトルトシチュー、レトルトパスタソース、レトルトスープ、中華料理の素、即席麺用粉末スープ、即席麺類用調味油、カップ麺類などが挙げられる。食肉加工品としての具体的な例としては、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、加工成形肉などが挙げられる。菓子の具体例としては、スナック菓子、チョコレート、キャラメル、キャンディー、ケーキ、クッキー、ビスケット、煎餅、おかき、あられなどが挙げられる。冷菓としては、アイスクリーム、アイスキャンディー、ゼリー、プリンなどが挙げられる。飲料の具体例としては、コーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料などが挙げられる。
平均粒径10mm〜20mmの工業用軽石150gにフェニルアラニン10gとグルコース10gを投入し、撹拌して軽石の表面に前記のアミノ酸と糖を付着させた。これを容量 1,500cmの水蒸気蒸留釜に投入し、120℃の水蒸気を蒸留釜の底部から導入し、定法通りに60分間水蒸気蒸留を行った。その結果、得られた留出水は150gであった。次いで得られた流出水に95%アルコールを30g添加して、本発明の実施例1のフレーバー180gを得た。
実施例1の工業用軽石に代えて、スルザーパック(スルザーケムテック社製スルザーラボパッキングEX(商品名)、比表面積1,700m/m、高さ55mm)をバインダーとして使用した。使用したスルザーパックは直径4cm、高さ30cmのガラス管に4個充填し、ガラス管の下に500mlの4つ口フラスコを取り付け、上からフェニルアラニン10gとグルコース10gを投入し、スルザーパックの表面に前記のアミノ酸と糖を付着させた。これに120℃の水蒸気を4つ口フラスコから導入し、定法通りに60分間水蒸気蒸留を行った。その結果、得られた留出水は50gであった。次いで得られた流出水に95%アルコールを10g添加して、本発明の実施例2のフレーバー60gを得た。
(比較例1)
500mlのステンレス釜にフェニルアラニン10gとグルコース10gと水130gを投入し撹拌しながら120℃の水蒸気を蒸留釜の底部から導入し、釜の内温は100℃になるように設定し60分間反応を行った。得られた加熱反応物に95%アルコールを30g添加して、本発明の比較例1のフレーバー180gを得た。
実施例1の工業用軽石に代えて、市販の焙煎コーヒー豆を挽いたもの(粒径0.6mm以上の粒子80%以上)をバインダーとして使用した。これにフェニルアラニン10gとグルコース10gを投入し、撹拌してコーヒーの表面に前記のアミノ酸と糖を付着させた。これを容量1,500cmの水蒸気蒸留釜に投入し、120℃の水蒸気を蒸留釜の底部から導入し、定法通りに60分間水蒸気蒸留を行った。その結果、得られた留出水は150gであった。次いで得られた流出水に95%アルコールを30g添加して、本発明の実施例3のフレーバー180gを得た。
(比較例2)
市販の焙煎コーヒー豆を挽いたもの(粒径0.6mm以上の粒子80%以上)を容量1,500cmの水蒸気蒸留釜に投入し、120℃の水蒸気を蒸留釜の底部から導入し、定法通りに60分間水蒸気蒸留を行った。その結果、得られた留出水は150gであった。次いで得られた流出水に95%アルコールを30g添加して、比較例2のフレーバー180gを得た。
市販の缶コーヒー(ブラック、無糖タイプ、フレーバー無添加)に対し、実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたフレーバー0.1gを添加し、よく訓練されたパネル5名によって官能評価を行った。評価の結果は前述の市販の缶コーヒー(ブラック、無糖タイプ、フレーバー無添加)と比較したときの味と香りの増強効果を5点法で評価し、5名のパネラーによる評点の平均値と、総合的な官能評価の概要を表1に示す。
表1に記載した通り、糖とアミノ酸の混合物を加熱して溶媒抽出した比較例1では、不要なアミノ酸特有の味が同時に付与されており評価が低くなった。これに対して、本願発明の方法である、糖とアミノ酸類の混合物を水蒸気蒸留することで加熱するとともに香気成分のみを採取した実施例1及び実施例2においては、不要な呈味が伴わず高い評価となった。

Claims (5)

  1. 水蒸気蒸留における蒸留温度で溶融しない非水溶性かつ多孔性の固形物をバインダーとして共存させ、還元糖とアミノ酸類を原料として、原料層に液体溶剤を加えることなく、水蒸気蒸留するフレーバーの製造方法。
  2. バインダーの平均粒子径が1μm以上である、請求項1に記載のフレーバーの製造方法。
  3. バインダーの平均粒子径が0.5mm以上である、請求項1に記載のフレーバーの製造方法。
  4. バインダーが植物又はその加工品である、請求項1から3のいずれかに記載のフレーバーの製造方法。
  5. バインダーが焙煎コーヒー豆の挽砕品である、請求項1から3のいずれかに記載のフレーバーの製造方法。
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