JP5939035B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電力変換装置に関する。
従来の第1の電力変換装置としては、三相電解コンデンサレスインバータのLC共振抑制方法として、リアクトルの両端電圧を帰還する制御により、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性となるように、インバータを制御するものがある(例えば、特許第4067021号(特許文献1)参照)。
また、従来の第2の電力変換装置としては、リアクトルに並列接続された抵抗による共振抑制方法がある(例えば、特開2003−244960号公報(特許文献2)参照)。
ところで、上記従来の第1の電力変換装置では、空気調和機等の圧縮機モータを駆動するインバータのようなキャリヤ周波数が低い用途では、電源6倍周波数のリップル成分を通過させるLCフィルタの共振周波数が電源6倍周波数を下限とするため、LCフィルタの共振周波数とサンプリング周波数が近くなり、制御系の安定性を確保することが困難になるという問題がある。
また、上記従来の第2の電力変換装置では、制御が不要である反面、入力電流の高調波成分がロスとして消費されるために、効率低下を招くものとなる。
特許第4067021号 特開2003−244960号公報
そこで、この発明の課題は、LC共振および効率低下を抑制しつつ、簡単な構成で制御系の安定性を確保できる電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の電力変換装置は、
単相または多相の交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、
上記整流部から出力された上記直流電圧を交流電圧に変換して出力するPWM制御のインバータ部と、
上記インバータ部の入力端間に接続されたキャパシタンス素子と、
上記整流部の一方の出力端と上記インバータ部の一方の入力端との間に接続され、上記キャパシタンス素子とでLCフィルタを構成するインダクタンス素子と、
上記インダクタンス素子の両端に並列に接続された抵抗と、
上記インダクタンス素子の両端電圧を検出する電圧検出部と、
上記電圧検出部により検出された上記インダクタンス素子の両端電圧に基づいて、上記インバータ部を制御する制御部と
を備え、
上記LCフィルタは、上記整流部から出力された直流電流に含まれるリップル電流成分を通過させ、かつ、上記インバータ部のキャリヤ周波数と同じ周波数の電流成分を減衰させるように、共振周波数が設定されていると共に、
上記制御部は、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、上記インバータ部を制御すると共に、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性において、上記電圧検出部により検出された上記インダクタンス素子の両端電圧から上記インダクタンス素子に流れる電流までの帰還ループを有し、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性における上記位相進み要素の特性値と上記二次遅れ要素の特性値とが予め定められた特性となるように、上記帰還ループのゲインkと上記抵抗の抵抗値とが設定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、電圧検出部により検出されたインダクタンス素子の両端電圧からインダクタンス素子に流れる電流までの帰還ループのゲインkと、インダクタンス素子の両端に並列に接続された抵抗の抵抗値とを設定して、開ループゲイン特性と位相特性を調整することにより、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性における位相進み要素の特性値と二次遅れ要素の特性値とが予め定められた特性となるようにする。したがって、LC共振および効率低下を抑制しつつ、簡単な構成で制御系の安定性を確保できる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記制御部は、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性のゲインが予め定められた特性となるように、上記一巡伝達特性の比例ゲインが設定されていると共に、
上記インダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性の位相が予め定められた特性になるように、上記抵抗の抵抗値が設定されている。
上記実施形態によれば、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性の比例ゲインを設定することにより、上記インダクタンス素子電圧制御系のゲインを調整すると共に、抵抗の抵抗値を設定することにより、位相を調整することができ、制御系の安定性を向上できる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記制御部が上記インダクタンス素子の両端電圧を検出して上記インバータ部をPWM制御するときの遅れ時間の逆数は、上記LCフィルタの上記共振周波数よりも大きく、かつ、上記共振周波数の10倍以下である。
上記実施形態によれば、制御部がインダクタンス素子の両端電圧を検出してインバータ部をPWM制御するときの遅れ時間の逆数、すなわち、インバータ部をPWM制御するときのキャリヤ周波数を、LCフィルタの共振周波数よりも大きく、かつ、LCフィルタの共振周波数の10倍以下とすることによって、位相改善効果が確実に得られる。これに対して、遅れ時間の逆数(すなわちキャリヤ周波数)がLCフィルタの共振周波数の10倍を越えると、抵抗による損失が増大し、十分な位相改善効果が得られない。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記制御部は、
上記抵抗の抵抗値のみにより、上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性の減衰係数が1以下に設定されている。
上記実施形態によれば、減衰係数が1以下において、1つの共振点を中心にした対象な振幅特性に対して、インダクタンス素子に並列接続された抵抗の抵抗値を設定することにより、位相特性を調整することが可能となる。一方、減衰係数が1よりも大きい場合は、伝達特性を一次遅れ要素の直列構成と見なせ、2つの共振点を有する特性となるため、減衰係数が1以下の特性とは異なり、抵抗による位相特性の調整は容易でない。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記制御部は、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性において、上記インダクタンス素子の両端電圧を検出して上記インバータ部をPWM制御するときの遅れ時間の逆数をfsとして、周波数fs/4以上の周波数領域におけるゲインを0dB以下とした。
上記実施形態によれば、インダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性では、インバータ部をPWM制御するときの遅れ時間の逆数fs(サンプリング周波数)の1/4の周波数において位相が反転するので、周波数fs/4以上の周波数領域におけるゲインを0dB以下することにより制御系を安定させることができる。
以上より明らかなように、この発明によれば、LC共振および効率低下を抑制しつつ、簡単な構成で制御系の安定性を確保できる電力変換装置を実現することができる。
図1はこの発明の実施の一形態の電力変換装置の構成図である。 図2は上記電力変換装置の等価回路を示す図である。 図3は上記電力変換装置のブロック線図である。 図4は上記電力変換装置の伝達特性を示すボード線図である。 図5は比較例の電力変換装置のブロック線図である。 図6は上記比較例の電力変換装置のブロック線図である。 図7は上記比較例の電力変換装置の伝達特性を示すブロック線図である。 図8は上記比較例の電力変換装置の伝達特性を示すボード線図である。 図9は上記比較例の電力変換装置の離散値系の伝達特性を示すボード線図である。 図10は上記比較例の電力変換装置の外乱抑制系の伝達特性を示すボード線図である。 図11は上記比較例の電力変換装置の外乱抑制系のステップ応答を示す図である。 図12はこの発明の実施の形態の電力変換装置のブロック線図である。 図13は上記電力変換装置の開ループの伝達特性を示すボード線図である。 図14は上記実施の形態の電力変換装置の外乱抑制系の伝達特性を示すボード線図である。 図15は上記実施の形態の電力変換装置の外乱抑制系のステップ応答を示す図である。 図16は上記実施の形態の電力変換装置の位相改善効果を示すボード線図である。 図17は上記実施の形態の電力変換装置の減衰係数による位相改善効果を示す図である。 図18は上記実施の形態の電力変換装置の減衰係数に対する損失抵抗率,進相角度の関係を示す図である。
以下、この発明の電力変換装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の一形態の電力変換装置の構成図を示している。この電力変換装置は、図1に示すように、三相ダイオードブリッジ回路を構成する6つのダイオードD1〜D6からなる整流部の一例としてのダイオードブリッジ11と、三相ブリッジ回路を構成する6つのスイッチング素子S1〜S6からなるインバータ部12とを備えている。また、上記電力変換装置は、ダイオードブリッジ11の正極側出力端とインバータ部12の正極側入力端との間に接続されたインダクタンス素子の一例としてのリアクトルLと、上記インバータ部12の入力端間に接続されたキャパシタンス素子の一例としてのコンデンサCと、リアクトルLに並列に接続された抵抗Rとを備えている。上記リアクトルLとコンデンサCでLCフィルタを構成している。
さらに、上記電力変換装置は、リアクトルLの両端電圧VLを検出する電圧検出部101と、上記電圧検出部10からのリアクトルLの両端電圧VLを表すVL信号に基づいて、インバータ部12の各スイッチング素子S1〜S6にPWM信号を出力する制御部100とを備えている。
上記ダイオードブリッジ11により三相交流電源10からの三相交流電圧を直流に整流し、整流された直流電圧をインバータ部12により所定の三相交流電圧に変換して出力する。この実施の形態では、インバータ部12の負荷としてモータ13が接続されている。
図1に示す電力変換装置の直流リンク部のLCフィルタのコンデンサCの容量は、従来の数十分の1以下と小さく、LCフィルタの共振周波数もインバータ装置のキャリヤ電流成分を減衰させるべく、数kHz程度と従来の一桁以上高く設定されており、リアクトルLのインダクタンスも小さな値に設定されている。
このため、直流リンク部のリアクトルL,コンデンサCは、商用周波数成分を平滑させる作用がなく、直流リンク部には相電圧の最小相を基準とした最大相の電位が発生し、商用周波数の6倍周波数で脈動する。また、入力電流についても同様に、最大相と最小相との線間に直流電流が通流することから、インバータ部12の入力電流が一定の場合、120°通電波形となる。
図2は上記電力変換装置の等価回路を示している。図2において、14は負荷が接続されたインバータ部12(図1に示す)を簡易的に表す電流源であり、Vsはダイオードブリッジ11から出力される直流電圧、VcはコンデンサCの両端電圧、IRは抵抗Rを流れる電流、ILはリアクトルLを流れる電流、IcはコンデンサCを流れる電流、Ioは直流リンク部を流れる電流である。
図3(A)〜(C)はリアクトルLの両端電圧VLを共振抑制に用いた場合について共振抑制系の特性を求めたブロック線図であり、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vc(すなわちインバータ部12の入力電圧)の伝達特性を示している。
図3(A)〜図3(C)の順に等価変換を行うと、最終的に、図3(C)に示す位相進み要素と二次遅れ要素からなる直列の系となることが分かる。
次に、ダイオードブリッジ11からの直流電圧Vsに対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性を有する制御系において、LCフィルタによる共振を抑制するための共振抑制系のカットオフ周波数について以下に説明する。
図3で示した共振抑制系において、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vcについての伝達関数G(s)は、
Figure 0005939035
で表され、
Figure 0005939035
とすると、上記式(1)を変形して、次の式(3)で表すことができる。
Figure 0005939035
ここで、カットオフ周波数fcは、式(3)の2項目に依存し、
Figure 0005939035
となる。また、減衰係数ζは、
Figure 0005939035
となる。
図4は上記電力変換装置において、減衰係数ζが0.25、0.5、0.75、1のときの伝達特性を示している。図4に示すように、減衰係数ζが1になるように、k+1/rを設定することにより、一次遅れ特性となる。
〔比較例〕
次に、比較例(特許第4067021号(特許文献1))の電力変換装置について、図5,図6に示すブロック線図により説明する。図5(A)に示す比較例の電力変換装置の制御系は、図5(B),(C)の順に等価変換すると、目標電圧VL に基づいてリアクトルLの両端電圧VLを制御する外乱抑制系(ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsが外乱要因)で表現される。さらに、図6(A),(B)に示すように等価変換できるが、以降、外乱抑制系の安定性は、図6(A)の閉ループを開いた一巡伝達特性で評価される。
図7,図8は上記比較例の電力変換装置の伝達特性を示しており、回路定数をL=0.5mH、C=40μF(共振周波数fn=1125Hz)とする。この一巡伝達特性(開ループ)は、比例ゲインke−sTと、位相進み要素Lsと、二次遅れ要素1/(LCs+1)の直列構成となっており、比例ゲインについて、ディジタル制御を前提として離散値系の無駄時間e−sTを考慮している。ここでは、比例ゲインk=1、サンプリング周波数f=6kHzとしている。
上記二次遅れ要素1/(LCs+1)は減衰項(分母にsを有する項)を持たないため、二点鎖線で示す伝達特性のように、LCフィルタの共振周波数で位相が反転する。
次に、一点鎖線で示す位相進み要素Lsが直列に接続されることから、20dB/decのゲインと90deg進み位相が加わり、実線で示す一巡伝達特性(開ループ)は、共振点を中心として±20dB/dec、±90degの特性となる。
さらに、離散値系の点線で示す比例ゲインke−sTが加わると、無駄時間e−sTの影響により、サンプリング周波数fsの1/4の1.5kHzで位相が反転する。
無駄時間e−sTの点線で示す特性は、fs/2で位相が反転し、fs/4で90deg位相遅れとなり、また、直列接続された位相進み要素Lsと二次遅れ要素1/(LCs+1)の細かい点線で示す特性は、共振点以上の領域で90deg位相遅れであるから、fs/4において位相が反転する。なお、f/4における振幅は15.66dBとなるため、閉ループ系は不安定となって発振することになる。
上記比較例の電力変換装置において、閉ループ系を安定とするためには、fs/4点のゲインを0dB以下とすることが必要であり、一般的には10dB〜20dBのゲイン余裕を確保する。
図9では、上記比較例の電力変換装置の制御ゲインをk=0.057(−25dB)に設定し、ゲイン余裕を10dBとした場合の伝達特性を示している。ここで、
Figure 0005939035
を用いて求めた外乱抑制系の減衰係数ζは0.1で、ダンピングが不十分であり、図10に示す外乱抑制系の伝達特性に示すように、伝達特性の共振点のピーク値が25dB以上と大きくなると共に、図11に示すステップ応答も行き過ぎ量が大きく、整定時間も長いものとなる。
上記比較例の電力変換装置では、LCフィルタの共振周波数とサンプリング周波数が近い場合、制御系の安定性確保が困難となる問題がある。特に、空気調和機用のインバータの場合、圧縮機内にハーメチックモータとしてモータが内蔵されるため、キャリヤ音の問題が少なく、効率の観点よりキャリヤ周波数は4〜6kHz程度に選択される。また、三相電解コンデンサレスインバータは平滑機能がないため、直流リンク部の電圧,電流ともに電源周波数6倍の300Hz〜360Hzで脈動するよう制御されることから、LCフィルタの共振周波数は、500Hz〜1kHz程度となり、LCフィルタの共振周波数とサンプリング(キャリヤ)周波数とは近くに設定せざるを得ない。
これに対して、この発明の実施の形態の電力変換装置は、図1に示す抵抗RをリアクトルLに並列に接続したときの伝達関数を、図12(A)〜(D)に示す等価変換して、インダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性(開ループ)で表す。図12と比較例の図5,図6とを比較すると、比例ゲインのみ離散値系となるために、無駄時間e−sTが発生するが、抵抗Rについては連続系で扱うことができる。
さらに、図12(C)の一巡伝達特性(開ループ)における二次遅れ要素が減衰項を有することから、抵抗Rにより、開ループに減衰特性を持たせることができる。
図13にこの実施の形態の図1に示す電力変換装置の開ループの伝達特性を示している。この図13では、比較例の図9に示す伝達特性に対して、k=0.141(−17dB)と2.5倍程度比例ゲインを大きく設定しており、ゲイン余裕は2dBと余裕は不十分な状態にある。
ここで、抵抗Rの初期値50Ω(ζ=0.04)に対して、抵抗Rを10Ω(ζ=0.18)、5Ω(ζ=0.35)と小さく設定した場合について、併せて示している。図13において、太実線はk=1,R=50Ω、細実線はk=0.141,R=50Ω、点線はk=0.141,R=10Ω、一点鎖線はk=0.141,R=5Ωである。なお、図13の下側に示す位相特性では、細実線は太実線と重なっている。
図13に示すように、減衰係数ζを大きく設定することにより、周波数に対する位相遅れの変化量を小さくでき、位相が反転する周波数を高域に移すことが可能となる。また、振幅特性は−20dB/decであるから、結果的にゲイン余裕を確保することが可能となる。抵抗Rが5Ωの場合、ゲイン余裕は−10dB近くまで確保できており、安定な状態と捉えることができる。
また、抵抗Rの効果は、上記のようにインダクタンス素子電圧制御系の安定性確保と併せて、外乱抑制系に対しては、比例ゲインk=0.141(ζ=0.25)と抵抗R=50Ω(ζ=0.04)、10Ω(ζ=0.18)、5Ω(ζ=0.35)により、帰還ゲインを上げる点にある。
また、図14は外乱抑制系の伝達特性を示し、図15は外乱抑制系のステップ応答を示している。ここで、抵抗Rの初期値50Ω(ζ=0.04)に対して、抵抗Rを10Ω(ζ=0.18)、5Ω(ζ=0.35)と小さく設定した場合について、併せて示している。図14において、太実線はk=1,R=50Ω、細実線はk=0.141,R=50Ω、点線はk=0.141,R=10Ω、一点鎖線はk=0.141,R=5Ωである。また、図15において、実線はk=0.141,R=50Ω、点線はk=0.141,R=10Ω、一点鎖線はk=0.141,R=5Ωである。
図14,図15に示すように、抵抗Rにより伝達特性の共振点でのピークゲインの低減と位相特性の改善を図ることにより、ステップ応答の行き過ぎ量および整定時間を小さくでき、共振抑制効果を大きくできる。
図16は上記実施の形態の電力変換装置の開ループ伝達特性を連続系で示したものであり、制御ゲイン、抵抗Rの抵抗値の設定は図13の場合と同様である。
また、二次系の伝達関数の一般式を、
Figure 0005939035
とすると、
Figure 0005939035
となり、振幅は、
Figure 0005939035
で表される。また、位相は、
Figure 0005939035
で表される。
この発明の実施の形態の電力変換装置において、抵抗Rの抵抗値を小さく設定して、減衰係数ζを大きくすると、共振点でのピークゲインが低下すると共に、周波数に対する位相遅れの変化量が小さくなる。これは、振幅を表す式(9)、位相を表す式(11)の分母に含まれる減衰係数ζが含まれることより、明らかである。
従って、減衰係数ζを大きくすると、周波数に対する位相遅れの変化量が小さくなり、図8に示す無駄時間e−sTの周波数と位相遅れが比例する特性より、開ループ特性の位相が反転する周波数が上昇することになる。
なお、図17は上記式(11)に基づいて、周波数代表点において、減衰係数ζによる位相改善効果を示したものであるが、共振周波数の2倍〜3倍付近では位相改善効果は大きいが、1dec(ω/ωn=10)離れると、位相改善効果は10deg程度に留まる。この結果は、減衰係数ζによる共振抑制効果は抵抗による帰還ゲインが主となるために、並列接続した抵抗Rによる損失が増大することを意味する。
また、図18は上記実施の形態の電力変換装置のω/ωn=2における減衰係数ζに対する位相改善効果と抵抗損失特性を示している。ここで、L=0.5mH,C=40μFとする。
抵抗Rによる位相改善効果は、減衰係数ζ=0における遅れ位相90°からの進相角度を示しており、抵抗損失はζ=1における損失P1からの低減率ΔPdf=(P1-Pdf)/P1で示している。
図18に示すように、位相改善効果と抵抗損失とのトレードオフ特性より、L=0.5mH,C=40μFの回路定数では、抵抗Rは5Ω程度が望ましく、図13に示したように、制御ゲインkと併せて10dB程度のゲイン余裕が確保できる。
さらに、抵抗Rの抵抗値を小さくすると、現状25.2degより進相でき、位相が反転する周波数を、fs/2=3kHzを上限としてシフトできるが、他方、抵抗損失を増加させる結果となる。
上記構成の電力変換装置によれば、電圧検出部101により検出されたリアクトルLの両端電圧VLからリアクトルLに流れる電流ILまでの帰還ループのゲインkと、リアクトルLの両端に並列に接続された抵抗Rの抵抗値とを設定して、開ループゲイン特性と位相特性を調整することにより、ダイオードブリッジ11からの直流電圧Vsに対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性が予め定められた特性となるようにする。したがって、LC共振および効率低下を抑制しつつ、簡単な構成で制御系の安定性を確保することができる。
また、上記ダイオードブリッジ11からの直流電圧Vsに対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性の比例ゲインを設定することにより、インダクタンス素子電圧制御系のゲインを調整すると共に、抵抗Rの抵抗値を設定することにより、位相を調整することができ、制御系の安定性を向上できる。
また、上記制御部100がリアクトルLの両端電圧VLを検出してインバータ部12をPWM制御するときの遅れ時間の逆数、すなわち、インバータ部12をPWM制御するときのキャリヤ周波数を、LCフィルタの共振周波数よりも大きく、かつ、LCフィルタの共振周波数の10倍以下とすることによって、位相改善効果が確実に得られる。これに対して、遅れ時間の逆数(キャリヤ周波数)がLCフィルタの共振周波数の10倍を越えると、抵抗Rによる損失が増大し、図17に示すように、十分な位相改善効果が得られない。
また、上記減衰係数が1以下において、1つの共振点を中心にした対象な振幅特性に対して、リアクトルLに並列接続された抵抗Rの抵抗値を設定することにより、位相特性を調整することが可能となる。一方、減衰係数が1よりも大きい場合は、伝達特性を一次遅れ要素の直列構成と見なせ、2つの共振点を有する特性となるため、減衰係数が1以下の特性とは異なり、抵抗Rによる位相特性の調整は容易でない。
また、上記インダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性では、インバータ部12をPWM制御するときの遅れ時間の逆数fs(サンプリング周波数)の1/4の周波数において位相が反転するので、周波数fs/4以上の周波数領域におけるゲインを0dB以下することにより制御系を安定させることができる。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
10…三相交流電源
11…ダイオードブリッジ
12…インバータ部
13…モータ
14…電流源
R…抵抗
L…リアクトル
C…コンデンサ
100…制御部
101…電圧検出部

Claims (5)

  1. 単相または多相の交流電圧を直流電圧に整流する整流部(11)と、
    上記整流部(11)から出力された上記直流電圧を交流電圧に変換して出力するPWM制御のインバータ部(12)と、
    上記インバータ部(12)の入力端間に接続されたキャパシタンス素子(C)と、
    上記整流部(11)の一方の出力端と上記インバータ部(12)の一方の入力端との間に接続され、上記キャパシタンス素子(C)とでLCフィルタを構成するインダクタンス素子(L)と、
    上記インダクタンス素子(L)の両端に並列に接続された抵抗(R)と、
    上記インダクタンス素子(L)の両端電圧を検出する電圧検出部(101)と、
    上記電圧検出部(101)により検出された上記インダクタンス素子(L)の両端電圧に基づいて、上記インバータ部(12)を制御する制御部(100)と
    を備え、
    上記LCフィルタは、上記整流部(11)から出力された直流電流に含まれるリップル電流成分を通過させ、かつ、上記インバータ部(12)のキャリヤ周波数と同じ周波数の電流成分を減衰させるように、共振周波数が設定されていると共に、
    上記制御部(100)は、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、上記インバータ部(12)を制御すると共に、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性において、上記電圧検出部(101)により検出された上記インダクタンス素子(L)の両端電圧から上記インダクタンス素子(L)に流れる電流までの帰還ループを有し、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性における上記位相進み要素の特性値と上記二次遅れ要素の特性値とが予め定められた特性となるように、上記帰還ループのゲインkと上記抵抗(R)の抵抗値とが設定されていることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    上記制御部(100)は、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性のゲインが予め定められた特性となるように、上記一巡伝達特性の比例ゲインが設定されていると共に、
    上記インダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性の位相が予め定められた特性になるように、上記抵抗(R)の抵抗値が設定されていることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1または2に記載の電力変換装置において、
    上記制御部(100)が上記インダクタンス素子(L)の両端電圧を検出して上記インバータ部(12)をPWM制御するときの遅れ時間の逆数は、上記LCフィルタの上記共振周波数よりも大きく、かつ、上記共振周波数の10倍以下であることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか1つに記載の電力変換装置において、
    上記制御部(100)は、
    上記抵抗(R)の抵抗値のみにより、上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性の減衰係数が1以下に設定されていることを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか1つに記載の電力変換装置において、
    上記制御部(100)は、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性を等価変換して得られるインダクタンス素子電圧制御系の一巡伝達特性において、上記インダクタンス素子(L)の両端電圧を検出して上記インバータ部(12)をPWM制御するときの遅れ時間の逆数をfsとして、周波数fs/4以上の周波数領域におけるゲインを0dB以下としたことを特徴とする電力変換装置。
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