JP5408326B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電力変換装置に関する。
電力変換装置の代表的な主回路構成として、整流回路と平滑回路を介して商用交流電圧を直流電圧に変換し、電圧形変換器により交流出力を得る間接形交流電力変換装置が一般に用いられている。一方、交流電圧から直接交流出力を得る方式として、三相コンデンサレスインバータが知られており、商用周波数による電圧脈動を平滑する大型のコンデンサやリアクトルが不要となることから、電力変換装置の小型化が可能となる。
従来の第1の電力変換装置としては、直接形交流電力変換回路において、電源側への6倍高調波電流を抑制するものがある(例えば、特許第4488122号(特許文献1)参照)。
また、従来の第2の電力変換装置としては、脈流電圧を検出して、電圧脈動を補償するように電圧形インバータを変調することで従来形インバータと同等の出力電圧を得るものがある(例えば、特公昭61−48356号(特許文献2)参照)。
上記従来の第2の電力変換装置では、モータ負荷においてモータスロットの高調波が大きい場合は、リアクトル容量を大きくして、LCフィルタの共振周波数を下げることで、電源高調波を抑制することが考えられるが、コンデンサレス方式の特徴を生かすことができない。このため、上記従来の第1の電力変換装置では、モータ負荷において高調波成分が高次に渡って発生する場合、複数の制御回路が必要となる他、厳密には、位相特性を考慮しないと完全に高調波成分を消去することができず、制御回路が複雑となる問題があった。
特許第4488122号 特公昭61−48356号
そこで、この発明の課題は、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷の高調波を抑制でき、誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の電力変換装置は、
単相または多相の交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、
上記整流部から出力された上記直流電圧を交流電圧に変換して出力するPWM制御のインバータ部と、
上記インバータ部の入力端間に接続されたキャパシタンス素子と、
上記キャパシタンス素子とでLCフィルタを構成するインダクタンス素子と、
上記インダクタンス素子の両端電圧を検出する電圧検出部と、
上記電圧検出部により検出された上記インダクタンス素子の両端電圧に基づいて、上記インバータ部を制御する制御部と
を備え、
上記LCフィルタは、
上記整流部から出力された上記直流電流に含まれるリップル電流成分を通過させ、かつ、上記インバータ部のキャリア周波数と同じ周波数の電流成分を減衰させるように、共振周波数が設定されていると共に、
上記制御部は、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、上記インバータ部を制御すると共に、
上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性の減衰係数を1よりも大きく設定することによって、上記LCフィルタによる共振を抑制するための共振抑制系と上記インバータ部の出力側の誘導負荷からの高調波を抑制するための高調波抑制系に対して、カットオフ周波数が異なるように特性差を設定していることを特徴とする。
上記構成によれば、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、制御部によりインバータ部を制御すると共に、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性の減衰係数が1よりも大きく設定されていることによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷による高調波を効果的に抑制でき、モータなどの誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記制御部は、上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の上記入力電圧の伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも高くなるように、かつ、上記インバータ部の入力電流に対する上記インダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも低くなるように、上記インバータ部を制御することを特徴とする。
上記実施形態によれば、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性において、LCフィルタによる共振を抑制する共振抑制系のカットオフ周波数を上げ、インバータ部の入力電流に対するインダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性において、誘導負荷の高調波を抑制する高調波抑制系のカットオフ周波数を下げることが可能となる。
以上より明らかなように、この発明の電力変換装置によれば、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷の高調波を抑制でき、誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる電力変換装置を実現することができる。
図1はこの発明の第1実施形態の電力変換装置の構成図である。 図2は上記電力変換装置の等価回路を示す図である。 図3は上記電力変換装置のブロック線図である。 図4は上記電力変換装置の伝達関数を示す図である。 図5は集中巻6極モータの高調波電流の例を示す図である。 図6は上記電力変換装置の等価回路を示す図である。 図7は上記電力変換装置の直流リンク電流に対するリアクトル電流の伝達特性を示すブロック線図である。 図8は上記電力変換装置の等価回路を示す図である。 図9は上記電力変換装置のブロック線図である。 図10は上記電力変換装置の減衰係数に対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数に対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示す図である。 図11は上記電力変換装置の共振抑制系の特性を示すボード線図である。 図12は上記電力変換装置の高調波抑制系の特性を示すボード線図である。 図13は上記電力変換装置の共振抑制系のステップ応答特性を示すである。 図14は上記電力変換装置のモータの高調波抑制系のステップ応答特性を示す図である。 図15は上記電力変換装置の減衰特性ζ=0.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形および減衰特性ζ=1.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示す図である。 図16は上記電力変換装置の減衰特性ζ=0.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形および減衰特性ζ=4.0のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示す図である。 図17は上記電力変換装置の高調波周波数に対する電圧検出ゲインの特性を示す図である。 図18は上記電力変換装置のシミュレーション波形を示す図である。 図19は上記電力変換装置の減衰係数に対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数に対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示す図である。 図20はこの発明の第2実施形態の電力変換装置のブロック線図である。 図21は第1実施形態の電力変換装置の共振抑制系の特性を示すボード線図である。 図22は第2実施形態の電力変換装置の共振抑制系の特性を示すボード線図である。 図23は上記電力変換装置の安定性を説明するためのボード線図である。 図24は上記電力変換装置の安定性を説明するためのボード線図である。 図25は第1実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するための伝達関数を示す図である。 図26は第1実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するためのボード線図である。 図27は第2実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するための伝達関数を示す図である。 図28は第2実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するためのボード線図である。 図29は上記第2実施形態の変形例の電力変換装置の安定性について説明するための伝達関数を示す図である。 図30は上記電力変換装置の安定性について説明するための伝達関数を示す図である。 図31は上記第2実施形態の電力変換装置の高調波抑制系の特性について説明するための伝達関数を示す図である。 図32Aは上記第2実施形態の電力変換装置に直流カット用のハイパスフィルタを適用したときの伝達関数を示す図である。 図32Bは上記第2実施形態の電力変換装置に直流カット用のハイパスフィルタとリップル除去部を適用したときの伝達関数を示す図である。 図33はリップル電圧の振幅特性を示す図である。 図34は電力変換装置に直流カット用のハイパスフィルタとリップル除去部を適用したときのボード線図である。 図35は第2実施形態の電力変換装置の減衰係数に対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数に対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示す図である。 図36Aは第1実施形態の電力変換装置の周波数特性を示す図である。 図36Bは第2実施形態の電力変換装置の周波数特性を示す図である。 図36Cは直流電圧帰還単独の電力変換装置の周波数特性を示す図である。 図37は第1,第2実施形態の電力変換装置の電源電圧に高調波を重畳したときのシミュレーション波形を示す図である。 図38は第1,第2実施形態の電力変換装置の電源電圧が電圧降下したときのシミュレーション波形を示す図である。 図39は第1,第2実施形態の電力変換装置のモータ高調波電流を重畳したときのシミュレーション波形を示す図である。
以下、この発明の電力変換装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の電力変換装置の構成図を示している。この電力変換装置は、図1に示すように、三相ダイオードブリッジ回路を構成する6つのダイオードD1〜D6からなる整流部の一例としてのダイオードブリッジ11と、三相ブリッジ回路を構成する6つのスイッチング素子S1〜S6からなるインバータ部12とを備えている。また、上記電力変換装置は、ダイオードブリッジ11の正極側出力端とインバータ部12の正極側入力端との間に接続されたインダクタンス素子の一例としてのリアクトルLと、上記インバータ部12の入力端間に接続されたキャパシタンス素子の一例としてのコンデンサCとを備えている。上記リアクトルLとコンデンサCでLCフィルタを構成している。さらに、上記電力変換装置は、リアクトルLの両端電圧を検出する電圧検出部101と、上記電圧検出部10からのリアクトルLの両端電圧を表すVL信号に基づいて、インバータ部12の各スイッチング素子S1〜S6にPWM信号を出力する制御部100を備えている。
上記ダイオードブリッジ11により三相交流電源10からの三相交流電圧を直流に整流し、整流された直流電圧をインバータ部12により所定の三相交流電圧に変換して出力する。この第1実施形態では、インバータ部12の負荷としてモータ13が接続されている。
図1に示す電力変換装置の直流リンク部のLCフィルタのコンデンサCの容量は従来の数十分の1以下と小さく、LCフィルタの共振周波数もインバータ装置のキャリヤ電流成分を減衰させるべく、数kHz程度と従来の一桁以上高く設定されており、リアクトルLのインダクタンスも小さな値に設定されている。
このため、直流リンク部のリアクトルL、コンデンサCは商用周波数成分を平滑させる作用がなく、直流リンク部には相電圧の最小相を基準とした最大相の電位が発生し、商用周波数の6倍周波数で脈動する。また、入力電流についても同様に、最大相と最小相との線間に直流電流が通流することから、インバータ部の入力電流が一定の場合、120°通電波形となる。
図2は上記電力変換装置の等価回路を示している。図2において、14は負荷が接続されたインバータ部を簡易的に表す電流源であり、Vsはダイオードブリッジ11から出力される直流電圧、VcはコンデンサCの両端電圧、ILはリアクトルLを流れる電流、IcはコンデンサCを流れる電流、Ioは直流リンク部を流れる電流である。
図3(A)〜(C)はリアクトルLの両端電圧VLを共振抑制に用いた場合について共振抑制系の特性を求めたブロック線図であり、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vc(すなわちインバータ部12の入力電圧)の伝達特性を示している。
図3(A)〜図3(C)の順に等価変換を行うと、最終的に、図3(C)に示す二次系と位相進みからなる直列の系となることが分かる。このように、制御部100は、図3(C)に示す位相進み要素と二次遅れ要素が直列接続された減衰特性となるように、インバータ部12を制御する。
また、図4は図3のブロック線図の伝達関数G(s)を示したものであり、二項目は二次系であるからゲインkにより減衰特性を改善でき、一項目は位相進みであるから、両者により安定な一次遅れ系に近い特性にすることができる。図4において、Vsはダイオードブリッジ11から出力される直流電圧、VcはコンデンサCの両端電圧、LはリアクトルLのインダクタンス、CはコンデンサCのキャパシタンス、sはラプラス変数である。
次に、図5は集中巻6極モータの高調波電流の例を示している。図5において、横軸は高調波の次数を表し、縦軸は高調波電流の含有率を表している。なお、図5では、集中巻6極モータを駆動する交流電源の周波数[Hz]毎に、すなわち、90Hz、120Hz、151Hz、180Hz、211Hz、239Hz、271Hz、300Hz、331Hz毎に、高調波電流の含有率を示している。
また、次の式(1)〜式(8)に示すように、集中巻モータに起因する高調波電流と有効電力の関係を表しており、5次成分,7次成分ともに6倍の電力脈動を招くことが示されている。この結果は、図1に示す電力変換装置において、直流リンク電流に6倍の高調波電流が発生することを意味している。
(5次高調波)
Figure 0005408326
(7次高調波)
Figure 0005408326
ここで、ELa, ELb, ELc:モータ電圧実効値
La, eLb, eLc:モータ電圧瞬時値
La, ILb, ILc:モータ電流実効値
La, iLb, iLc:モータ電流瞬時値
La, PLb, PLc:モータ瞬時有効電力高調波成分
ωL :モータ駆動角周波数
L :モータ電圧実効値(三相平衡状態)
L :モータ電流実効値(三相平衡状態)
L :瞬時有効電力高調波成分(三相分、直流部瞬時電力に相当)
次に、ダイオードブリッジ11からの直流電圧を入力としインバータ部12から出力される交流電圧を出力とする制御系において、LCフィルタによる共振を抑制するための共振抑制系のカットオフ周波数と、モータなどの誘導負荷による高調波を抑制するための高調波抑制系のカットオフ周波数について以下に説明する。
〔共振抑制系のカットオフ周波数〕
まず、図3で示した共振抑制系において、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vcについての伝達関数G(s)は、
Figure 0005408326
で表され、
Figure 0005408326
とすると、上記式(9)を変形して、次の式(10)で表すことができる。
Figure 0005408326
ここで、減衰係数ζが大きい場合には、式(10)の1項目はほぼゲイン1とみなせ、式(10)の2項目で決まるカットオフ周波数fcは、
Figure 0005408326
となる。
このように、減衰係数ζを1よりも大きくした場合には、上記式(10)の1項目を線形とみなすことができ、共振抑制系の帯域(カットオフ周波数fc)は2項目に依存し、上記式(11)の関係となる。このため、減衰係数ζを大きく設定することにより、時定数が小さくなり、カットオフ周波数fcが高くなって帯域が広くなることから、入出力電圧を線形にできる帯域を広げることができる。
〔高調波抑制系のカットオフ周波数〕
図6は上記電力変換装置の等価回路を示しており、図7は図1に示す電力変換装置の制御系において、図6に示す直流リンク電流iohに対するリアクトル電流iLh(電源入力)についての伝達特性を求めたものである。図7(A)〜図7(C)に示す等価変換を行うことにより、伝達関数が二次系となることが分かる。
一方、このときの図7(C)における伝達関数G(s)の二次系を一次遅れ系の直列接続とみなし、
Figure 0005408326
とすると、伝達関数G(s)は次の式(12)に示す関係となり、これを変形して次の式(13)で示すことができる。
Figure 0005408326
ここで、伝達関数G(s)は、減衰係数ζ≧1で実根を持ち、ζが大きい場合には、直流リンク電流iohに対するリアクトル電流iLh(電源入力)の伝達関数のカットオフ周波数fcは、
Figure 0005408326
となる。
このように、減衰係数ζが1よりも大きい場合には、実根を持つため、一次遅れ系の直列接続と捉えることができ、減衰係数ζが大きい場合には、式(13)の1項目の時定数が大きく、式(13)の2項目の時定数が小さくなることから、高調波抑制系の帯域(カットオフ周波数fc)は、1項目に依存し、式(14)で表される。このため、減衰係数ζを大きく設定することにより、時定数が大きくなり、カットオフ周波数fcが低くなって帯域が狭くなることから、逆に減衰させる周波数範囲を広げることができる。
図8は上記電力変換装置の等価回路を示しており、図9(A)〜(F)は上記電力変換装置のブロック線図を示している。図8では、モータ負荷により発生する高調波電流を含む電流の流れを示している。図8において、Vsはダイオードブリッジ11から出力される直流電圧、VLhはリアクタンスLの両端電圧、VchはコンデンサCの両端電圧、ILhはリアクトルLを流れるリアクトル電流、IchはコンデンサCを流れる電流、Iohは直流リンク部を流れる直流リンク電流である。
図8に示すように、図2に示す等価回路において高調波電流が分流するため、図2に示すIcとVcに対してIchとVchの極性は反転する。
そして、図9(A)では、図3(A)と同様にして、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vcの伝達特性を示している。
次に、高調波電流のみを考慮すると、VLh=Vchとみなせることにより、図9(B)に示すように変換する。
次に、図9(C)に示すように、直流リンク電流iohに対するリアクトル電流iLhの伝達特性に変換して、図9(D)〜図9(F)に示す等価変換を行うことにより、図9(F)に示す伝達特性は図7(C)に示す伝達特性と同じになる。
図10は上記電力変換装置の減衰係数ζに対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数ζに対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示している。図10において、横軸は減衰係数を表し、縦軸はカットオフ周波数[Hz]zHを表しており、「○」印は共振抑制系のカットオフ周波数の特性を示し、「●」印は高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示している。
図10に示すように、減衰係数ζを1よりも大きくするほど、LCフィルタによる共振抑制系のカットオフ周波数は高くなる一方、高調波抑制系のカットオフ周波数は低くなる。
図10はLCフィルタの共振周波数を1125Hzに設定した場合の高調波抑制系と共振抑制系について、減衰係数ζに対するカットオフ周波数を夫々求めたものである。減衰係数ζ<1の従来方式の電力変換装置においてζ=0.2〜0.4(定値制御)であるため、帯域はLCフィルタの共振周波数に制限されるのに対して、この発明の電力変換装置では、減衰係数ζを1よりも大きく設定することで、高調波抑制系と共振抑制系の特性差を設定できる。
図11は上記電力変換装置のLCフィルタによる共振抑制系の特性を示しており、図11(A)はゲイン特性、図11(B)は位相特性である。図11(A)において、横軸は周波数[Hz]、縦軸はゲイン[dB]を表し、図11(B)において、横軸は周波数[Hz]、縦軸は位相[deg]を表している。
また、図11(A),図11(B)において、実線は減衰特性ζ=2.0、点線は減衰特性ζ=0.5のときの特性であり、減衰特性ζ=2.0のときのカットオフ周波数は4200Hzである。
図12は上記電力変換装置の高調波抑制系の特性を示しており、図12(A)はゲイン特性、図12(B)は位相特性である。図12(A)において、横軸は周波数[Hz]、縦軸はゲイン[dB]を表し、図12(B)において、横軸は周波数[Hz]、縦軸は位相[deg]を表している。
また、図12(A),図12(B)において、実線は減衰特性ζ=2.0、点線は減衰特性ζ=0.5のときの特性であり、減衰特性ζ=2.0のときのカットオフ周波数は302Hzである。
また、図13は上記電力変換装置のLCフィルタによる共振を抑制する共振抑制系のステップ応答特性を示し、図14は上記電力変換装置のモータの高調波を抑制する高調波抑制系のステップ応答特性を示している。
図13, 図14において、横軸は時間[×10−4sec]、縦軸は振幅[任意目盛]を表している。また、図13, 図14において、実線は減衰特性ζ=2.0のときのステップ応答特性、点線は減衰特性ζ=0.5のときのステップ応答特性である。
図11,図12に示すように、減衰特性ζ=2.0のときの共振抑制系のカットオフ周波数は4200Hzであり、減衰特性ζ=2.0のときの高調波抑制系のカットオフ周波数は302Hzと特性差を設定できている。一方、図13, 図14に示すように、ステップ応答特性については、従来方式はζ<1であるため、多少振動的でオーバーシュートを伴うものの応答性は良好である。
この発明の電力変換装置においては、共振抑制系の時定数が数100μsecとなり、高調波抑制系の時定数が数msecとなって、電源側の電気系時定数、モータ側の機械系時定数に対応することができる。
図15(A),(B)は上記電力変換装置の減衰特性ζ=0.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示し、図15(C),(D)は減衰特性ζ=1.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示している。また、図16(A),(B)は上記電力変換装置の減衰特性ζ=0.5のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示し、図16(C),(D)は減衰特性ζ=4.0のときの入力電流波形と直流リンク部の直流電圧波形を示している。
図15,図16は減衰係数ζの設定による電源入力波形への影響をシミュレーションしたものである。図15はζ=0.5とζ=1.5(カットオフ周波数420Hz)、図16はζ=0.5とζ=4.0(カットオフ周波数143Hz)の場合を示すものである。なお、シミュレーション条件は電源200V、50Hz、7kW入力時であり、モータ側の高調波は図3の50Hz時の高調波分布を模擬しており、直流リンク部に1800Hz、2Aの高調波電流が流れるものとしている。
図15,図16に示すように、従来方式(ζ=0.5)では、LCフィルタによる共振は抑制されているが、入力電流にモータ負荷に起因する高調波成分が重畳しており、直流リンク電圧に高調波電圧として影響が表れている。
一方、本発明の電力変換装置の場合は、モータ高調波を抑制すると共に、脈動を補償するよう電圧形インバータを変調する電源周波数6倍の脈流電流が維持できている。これは、ζ=1.5(カットオフ周波数420Hz)であるために電源周波数6倍の300Hzについては維持されるためである。図16の場合については、ζ=4.0(カットオフ周波数143Hz)であるために、電源周波数6倍の300Hz(=50Hz×6)が抑制されており、電流リップル成分が小さくなっている。この設定は、電圧形インバータで脈流補償を行わない定電流制御に適した方法である。
高調波電流のリアクトルLとコンデンサCへの分流値は、次の式(15)により表される。
Figure 0005408326
また、リアクトルLとコンデンサCの電圧降下は次式(16)で表される。
Figure 0005408326
この発明の電力変換装置では、高調波電流をリアクトルLの両端電圧VLとして検出するために、上記式(15)、式(16)より、電圧検出ゲインを表す式(17)を次のとおり導出する。
Figure 0005408326
また、上記式(17)を微分した次式(18)によりピーク点が求まる。
Figure 0005408326
また、そのピーク点におけるゲインGmaxは、
Figure 0005408326
で表される。
図17は上記電力変換装置のモータの高調波周波数に対する電圧検出ゲインの特性を示しており、同一共振周波数における各L/Cの電圧検出ゲインを上記(17)式より求めた結果を示している。図17において、「◇」印のL/Cは200(=2mH/10μF)、「□」印のL/Cは50(=1mH/20μF)、「△」印のL/Cは12.5(=0.5mH/40μF)、「×」印のL/Cは3.13(≒0.25mH/80μF)、「*」印のL/Cは0.78(≒0.125mH/160μF)である。
ここで、電圧検出ゲインは極値を持つことから、上記式(18)より、共振周波数(1125Hz)で最大のゲインを持つ(式(19))。
また、図17の特性より、L/Cに比例して検出電圧が大きくなることが分かる。
以上より、この第1実施形態の電力変換装置においては、リアクトルLの両端電圧VLを検出することから、入力電流の影響を受けずに、共振電流および高調波電流の交流成分のみが検出されるため、振幅は小さくても良く、図17の関係性より同一共振周波数においてL値を小さく設定でき、リアクタの小型化を図ることができる。
また、図18は上記電力変換装置のシミュレーション波形を示しており、図18(A),(C)は入力電流、図18(B),(D)はリアクトル電圧を示している。
図18(A),(B)は、L=0.5mH,C=40μF,L/C=12.5におけるシミュレーション結果であり、図18(C),(D)は、L=0.25mH,C=80μF、L/C=3.13におけるシミュレーション結果である。ここで、L,Cの定数を除いては、図15の場合と同じ条件で行っている。図18(C),(D)の波形に示すように、L値を1/2とすることで、リアクトル電圧は1/2となることが分かる。
一方、IEC61000−3−12の高調波規格が適用される場合には、総合高調波歪THDもさることながら部分加重高調波歪PWHDで規定される20次以上の高調波成分が問題となる場合がある。この場合、図5で示した含有率の小さい11次成分と13次成分が影響を与え、直流リンク部に表れる電流が小さくなるため、上記とは逆にリアクトル電圧を大きく設定し、検出感度高める必要がある。
なお、コンデンサCの標準容量C[F]は、技術文献(特開2007−202378号公報)に記載されているとおり、モータ負荷のインダクタンスと、電源インダクタンスと、コンデンサ充電電圧と、モータ負荷の消費電力と、直流リンク電圧のリップル成分の周波数と、モータ励磁電流に基づいて、高調波を少なく、かつ、インバータ部の動作停止による回路素子の破壊を防止するように決定される。また、負荷誘導電力を吸収するCDクランプ等の回路が併用される場合、標準容量は、コンデンサCの許容リップル電流若しくは温度上昇値より決定される。このコンデンサCの標準容量CおよびLCフィルタの共振周波数に基づいて、リアクトルLのインダクタンスL[H]を決定する。
上記構成の電力変換装置によれば、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性において、LCフィルタによる共振を抑制する共振抑制系のカットオフ周波数を下げ、インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性において、誘導負荷の高調波を抑制する高調波抑制系のカットオフ周波数を上げることが可能となる。このような制御系の伝達特性に基づいて、制御部100がインバータ部12を制御することによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷による高調波を効果的に抑制でき、モータなどの誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる。
また、L/C<L/Cの条件を満たすことによって、LCフィルタによる共振と誘導負荷の高調波を抑制しつつ、リアクトルLを小型化できる。
また、L/C>L/Cの条件を満たすことによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷の高次高調波を抑制できる。
また、上記インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも大きくすることによって、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分を補償する制御を行うインバータ部12に適した制御が可能になる。
また、上記インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも小さくすることによって、定電流制御を行うインバータ部12に適した制御が可能になる。
また、ダイオードブリッジ11の一方の出力端とインバータ部12の一方の入力端との間に接続されたリアクトルLには、共振電流および高調波電流の交流成分が流れるので、そのリアクトルLの両端電圧を電圧検出部101により検出することで、インバータ部12の共振抑制および高調波抑制の制御に適した電圧信号が得られる。
図19は上記第1実施形態の電力変換装置の減衰係数に対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数に対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示している。図19において、横軸は減衰係数を表し、縦軸はカットオフ周波数[Hz]を表している。ここで、「○」印は共振抑制系のカットオフ周波数の特性を示し、「●」印は高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示している(L=0.5mH、C=40μF)。また、「△」印は共振抑制系のカットオフ周波数の特性を示し、「▲」印は高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示している(L=150μH、C=40μF)。
図19において、三相交流電圧の周波数50Hzとし、インバータ部12のキャリヤ周波数を6kHzとしている。ここで、LCフィルタの回路定数がL=0.5mHとC=40μFでは、電流脈流成分(300Hz)を維持するように高調波抑制系の遮断周波数を設定すると、設定可能な減衰係数ζは最大で1.5程度となる。この減衰係数ζ=1.5の場合、共振抑制系の遮断周波数がキャリヤ周波数6kHzの約1/2の3kHzとなり、サンプリングによる位相遅れに影響されることなく、制御系を安定に制御することができる限界となる。
さらに、LCフィルタの回路定数をL=150μHとC=40μFとして共振周波数を高く設定した場合、制御系の安定限界により、減衰係数ζは1.1程度であり、高調波抑制帯域(高調波抑制系の遮断周波数よりも高い周波数帯域)を広げることが困難となる。
このように、LCフィルタの共振周波数とサンプリング周波数が近くなると、制御系の安定性を確保することが容易でなくなる。特に、空気調和用インバータの場合は、圧縮機内にハーメチックシールされたモータが内蔵されるため、キャリアによる振動音の問題が少ないため、直流リンク部の直流電圧,電流を電源周波数の6倍の300〜360Hzで脈動するように制御されることから、LCフィルタの共振周波数が500Hz〜1kHz程度となり、LCフィルタの共振周波数とサンプリング周波数が近くなる。
〔第2実施形態〕
そこで、上記第1実施形態の電力変換装置の制御系の安定性をより向上できる第2実施形態の電力変換装置について以下に説明する。
この発明の第2実施形態の電力変換装置は、制御部100の動作を除いて第1実施形態の図1に示す電力変換装置と同一の構成をしており、図1,図2を援用する。
図20は上記第2実施形態の電力変換装置のブロック線図を示している。
図20(A)〜(C)はリアクトルLの両端電圧VLを共振抑制に用いた場合について共振抑制系の特性を求めたブロック線図であり、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vc(すなわちインバータ部12の入力電圧)の伝達特性を示している。
図20(A)〜図20(C)の順に等価変換を行うと、最終的に、図20(C)に示す微分系(位相進み要素)と二次系(二次遅れ要素)からなる直列の系となることが分かる。このように、制御部100は、図20(C)に示す位相進み要素と二次遅れ要素が直列接続された減衰特性となるように、インバータ部12を制御する。
図20(A)のブロック線図において、第1実施形態の電力変換装置のブロック線図との違いは、コンデンサCの両端電圧Vc(すなわちインバータ部12の入力電圧)をインバータ部12の入力電流Iに対して正帰還するゲインkの直流電圧帰還(第2帰還ループ)を設けている点である。ここで、リアクトルLの両端電圧VLをインバータ部12の入力電流Iに対して負帰還するリアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインをkとしている。
上記第2実施形態の電力変換装置において、リアクトルLの両端電圧VLをインバータ部12の入力電流Ioに対して負帰還するリアクトル電圧帰還に、インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還する直流電圧帰還を併用することで、微分系と二次系の夫々の遮断周波数の自由度を設け、LCフィルタの回路定数、第1帰還ループのゲインk、第2帰還ループのゲインkなどの選定により、共振抑制系の帯域(共振抑制系のカットオフ周波数よりも低周波数の帯域)を制限する。
上記第1実施形態の電力変換装置の共振抑制系の特性を図21に示している。図21において、ゲインk=0.849、ζ=1.5としている。図21に示すように、微分系(点線)と二次系(一点鎖線)の遮断周波数f1が一致するために、共振抑制系(実線)の遮断周波数は二次系の高域側カットオフ周波数f2となっている。
これに対して、図22は第2実施形態の電力変換装置の共振抑制系の特性を示している。図21において、k=0.108、ζ=0.19、k=0.741、ζ=1.31としている。この図22に示す共振抑制系の特性では、図21と同様に減衰係数ζは1.5となるよう、ゲインk+kを決定した上で、微分系(点線)のカットオフ周波数が二次系(一点鎖線)の高域側カットオフ周波数f2と一致するようゲインkを設定したものである。この場合、二次系(実線)の高域側カットオフ周波数f2以上の領域を一次遅れ系になるようにのみ作用するため、共振抑制系のカットオフ周波数は低域側カットオフ周波数f1とすることができる。
図23(A)〜(D),図24(A),(B)はこの第2実施形態の電力変換装置の安定性を説明するためのボード線図を示している。
図23(A)(図20(A)に示す)の制御系を図23(B)〜(D),図24(A),(B)の順に等価変換して、目標電圧VL に基づいてリアクトルLの両端電圧VLを制御する制御系で表現すると、共振抑制系はVL=0とする制御系の電源外乱を抑制するものと捉えられる。従って、このVL=0とする制御系に対して、ゲインk,kの調整を施すことで制御系の安定性を確保できる。
図25,図26は比較のための第1実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するための伝達関数およびボード線図を示し、図27,図28はこの第2実施形態の電力変換装置のゲイン余裕を説明するための伝達関数およびボード線図を示している。図25,図26,図27,図28において、点線は微分系、一点鎖線は二次系、細実線は微分系と二次系の直列系、太実線は目標電圧VL に基づいてリアクトルLの両端電圧VLを制御する制御系(位相進み要素と二次遅れ要素が直列接続された減衰特性)を表す。
図25,図26の第1実施形態の構成では、上記式(10)に示したように、微分ゲインの0dB点が共振周波数より低くなるために、開ループゲインが大きくなり、図19で示したキャリヤ周波数6kHzの1/2(3kHz)では、ゲインが0dB以上であるので不安定となる。
これに対して、この第2実施形態の電力変換装置では、図27,図28に示すように、ゲイン設定の自由度を生かし、図22で示したように、高域側カットオフ周波数f2と等しくなるように、微分ゲインkを設定している。このため、3kHzでは、−20dBと十分なゲイン余裕が確保できる。
図29,図30は上記第2実施形態の電力変換装置の変形例の安定性について説明するための伝達関数を示しており、リアクトルLの両端電圧VLのリアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインkを略ゼロにしている。図29(A)ではリアクトル電圧帰還を省略している。
共振抑制系において、k≒0とした図29(A)の制御系を図29(B)〜(D),図29(A),(B)の順に等価変換して、直流目標電圧VL に基づいてリアクトルLの両端電圧VLおよびコンデンサCの両端電圧Vcの制御する制御系で表現する。
このように、直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)単独で適用することも考えられるが、図29,図30の直流電圧Vcの制御系への等価変換結果に示すように、第1実施形態の電力変換器のリアクトル電圧帰還(リアクトルLの両端電圧VLをインバータ部12の入力電流Ioに対して負帰還)を単独で適用した伝達特性と同じになり、キャリヤ周波数と共振周波数が近い場合には、第1実施形態の電力変換器の制御系と同様の安定性となる。
図31は上記第2実施形態の電力変換装置の高調波抑制系の特性について説明するための伝達関数を示している。
高調波電流が分流する図8に示す等価回路において、図31(A)では、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧Vsに対するコンデンサCの両端電圧Vcの伝達特性を示している。
次に、高調波電流のみを考慮すると、VLh=Vchとみなせることにより、図31(B)に示すように、直流リンク電流iohに対するリアクトル電流iLhの伝達特性に変換する。
次に、図31(C)に示すように等価変換することにより、第1実施形態の電力変換器の図9(F)に示す伝達特性と同じになる。
リアクトル電圧帰還(リアクトルLの両端電圧VLをインバータ部12の入力電流Ioに対して負帰還)に直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)を併用した場合、直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)単独でも二次系となり、低域側のカットオフ周波数で特性は決定される。
なお、上記第2実施形態の電力変換装置では、制御系の実装において、直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)が直流と電源リップル成分を含むために、直流電圧帰還ループにハイパスフィルタを併用している。この直流電圧帰還ループに設けるハイパスフィルタは、電源リップル除去のためにハイパスフィルタのカットオフ周波数の下限に制約を受け、共振抑制系の特性に影響を与える。
図32(A)は上記第2実施形態の電力変換装置に直流カット用のハイパスフィルタを適用したときの伝達関数を示し、図32(B)は直流カット用のハイパスフィルタとリップル除去部を適用したときの伝達関数を示している。
また、図33は上記リップル除去部に用いられるリップル電圧の振幅特性を示している。
このリップル除去部のcosθinは、次式により表され、テーブルまたは関数を用いてリップル除去を行う。
Figure 0005408326
なお、このリップル除去部のcosθinは、三相交流電源10の周波数にPLL(Phase-Locked Loop:位相同期ループ)などにより同期させる。
図34は上記第2実施形態の電力変換装置に直流カット用のハイパスフィルタとリップル除去部を適用したときのボード線図を示している。図34において、点線は直流カット用のハイパスフィルタとリップル除去部を適用しないときの特性を示し、一点鎖線は直流カット用のハイパスフィルタを適用したときの特性を示し、実線はリップル除去部を適用したときの特性を示している。
図32Aの場合は、図34の実線で示す特性に1kHzのハイパスフィルタを適用することになるが、1kHz以下の領域で、リアクトル電圧帰還(リアクトルLの両端電圧VLをインバータ部12の入力電流Ioに対して負帰還)の特性が顕著となっている。なお、図32Bの場合は、直流成分のみを除去できればよいため、ハイパスフィルタのカットオフ周波数が1Hz以下に設定されるため、図34では表記していない。
上記フィルタ特性はリップル周波数成分によるため、図32に示す1/cosθinにて、直流成分と高調波成分に分離する。このため、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を直流成分が除去可能な十分低い周波数に設定することで、特性劣化を極小化できる。
図35は第2実施形態の電力変換装置の減衰係数に対する共振抑制系のカットオフ周波数および減衰係数に対する高調波抑制系のカットオフ周波数の特性を示し、図36Aは第1実施形態の電力変換装置の周波数特性を示している。図36Bは第2実施形態の電力変換装置の周波数特性を示し、図36Cは直流電圧帰還単独の場合の電力変換装置の周波数特性を示している。
図35にこの第2実施形態の電力変換装置の効果に関する概念図を示している。ここで、「●」印は減衰係数に対する共振抑制系および高調波抑制系のカットオフ周波数を示している (L=0.5mH、C=40μF)。また、「▲」印は減衰係数に対する共振抑制系および高調波抑制系のカットオフ周波数を示している(L=150μH、C=40μF)。
また、図36A,図36B,図36Cでは、LCフィルタの共振周波数をf0、高調波抑制系の低域側カットオフ周波数をf1、高調波抑制系の高域側カットオフ周波数をf2としている。
図36Bに示すように直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)を併用することで、微分ゲインの0dB点を共振周波数以上とすることで、高調波抑制系と共振抑制系と略等価な特性を得ることができる。
なお、直流電圧帰還(インバータ部12の入力電圧Vcをインバータ部12の入力電流Ioに対して正帰還)単独では、図36Cに示すように、微分系がないため、高調波抑制系と共振抑制系と等価な特性は同じものとなる。
図37は第1,第2実施形態の電力変換装置の電源電圧に高調波を重畳したときのシミュレーション波形を示している。図37(A)は電源側が歪んだ場合の入力電圧波形を示し、図37(B)は第1実施形態の電力変換装置の入力電流波形を示し、図37(C)は第1実施形態の電力変換装置の直流リンク部の直流電圧波形を示している。また、図37(D)は第2実施形態の電力変換装置の入力電流波形を示し、図37(E)は第2実施形態の電力変換装置の直流リンク部の直流電圧波形を示している。
図37では電源歪み波形に対する特性を比較するため、単相のインバータ機器が接続され、キャリヤ電流により3kHzの電圧歪みが10%重畳している場合を模擬している。図37(B),(C)に示す第1実施形態の電力変換装置では、共振抑制帯域が広いため、直流リンク部の直流電圧波形に電圧歪みが観測される。
一方、図37(D),(E)に示す第2実施形態の電力変換装置では、共振抑制帯域が狭いため、電圧歪みの影響は第1実施形態に比べて少なくなっている。
また、図38は第1,第2実施形態の電力変換装置の電源電圧が電圧降下したときのシミュレーション波形を示す図である。
図38は瞬時電圧低下(15%低下)に対する特性比較の結果を示している。第1実施形態の電力変換装置では、図38(B),(C)に示す共振抑制帯域が広いため、出力電圧の応答性が速く、リアクトルLの両端電位差が小さくなるため、結果として、補償電流指令値の変動が小さく、電源電圧に対応する入力電流の変動に留まっている。
一方、この第2実施形態の電力変換装置では、図37(D),(E)に示すハイパスフィルタのカットオフ周波数が低く設定されるため、電圧変動が帰還され、補償電流に影響を与え入力電流が減少する場合がある。
したがって、第1実施形態の電力変換装置は、電圧変動があるように電源に対しても良好な制御ができ、様々な電源環境において適用することができる。
また、第2実施形態の電力変換装置は、電圧が比較的安定した電源に適用することによって、誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができ、このような電源環境に適した電力変換装置である。
図39は第1,第2実施形態の電力変換装置のモータ高調波電流を重畳したときのシミュレーション波形を示している。図39(A)はモータ側で発生した高調波電流の波形を示し、図39(B)は第1実施形態の電力変換装置の入力電流波形を示し、図39(C)は第1実施形態の電力変換装置の直流リンク部の直流電圧波形を示している。また、図39(D)は第2実施形態の電力変換装置の入力電流波形を示し、図39(E)は第2実施形態の電力変換装置の直流リンク部の直流電圧波形を示している。
このときのシミュレーション条件は、電源200V、50Hz、7kW入力時であり、直流リンク部に1800Hz、2Aの高調波電流が流れるものとしている。
この第2実施形態の電力変換装置の高調波抑制系については、第1実施形態の電力変換装置と同じ系で表現されるため、図39(D),(E)に示す第2実施形態の電力変換装置の高調波に対する抑制効果は、図39(B),(C)に示す第1実施形態の電力変換装置と同等である。
上記第2実施形態の電力変換装置によれば、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、制御部100によりインバータ部2を制御すると共に、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性の減衰係数ζが1よりも大きく設定されていることによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷による高調波を効果的に抑制でき、モータなどの誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる。
また、上記インバータ部12の入力電流に対してリアクトルLの両端電圧VLを負帰還することによりリアクトルLに流れる電流を制御するリアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインkと、インバータ部12の入力電流に対してインバータ部12の入力電圧を正帰還することにより、コンデンサCに流れる電流を制御する直流電圧帰還(第2帰還ループ)のゲインkとを設定することにより、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性のカットオフ周波数と、インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を個別に設定することが可能になる。
また、上記リアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインkと直流電圧帰還(第2帰還ループ)のゲインkとを設定して、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性のカットオフ周波数と、インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性の低域のカットオフ周波数とを同一にすることによって、PWM制御のサンプリング周波数(キャリヤ周波数)の影響を受けにくくなって、より大きな減衰係数ζを設定することが可能になる。また、リアクトルLのインダクタンス値を小さくすることも可能になり、リアクトルLの小型化が図れる。
また、上記インバータ部12の入力電圧の直流電圧帰還(第2帰還ループ)にあるリップル除去部により、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル電圧成分を除去するので、直流電圧帰還(第2帰還ループ)においてインバータ部12の入力電流に対してインバータ部12の入力電圧の高周波成分のみを正帰還することにより、コンデンサCに流れる電流の高調波成分を制御することが可能になる。
また、上記電圧検出部101により検出されたリアクトルLの両端電圧VLのリアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインkを略ゼロにしても、ダイオードブリッジ11からの直流電圧に対するインバータ部12の入力電圧の伝達特性のカットオフ周波数を設定することで、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷による高調波を効果的に抑制できる。
また、上記電圧検出部101により検出されたリアクトルLの両端電圧VLのリアクトル電圧帰還(第1帰還ループ)のゲインkを、リアクトルLの両端に並列に接続された抵抗の抵抗値により設定することによって、PWM制御のサンプリング周波数(キャリヤ周波数)の影響を受けにくくなって制御の安定性が向上する。
また、上記第1実施形態と同様に、コンデンサCの標準容量CおよびLCフィルタの共振周波数に基づいて、リアクトルLのインダクタンスL[H]を決定して、L/C<L/Cの条件を満たすことによって、LCフィルタによる共振と誘導負荷の高調波を抑制しつつ、リアクトルLを小型化できる。
また、L/C>L/Cの条件を満たすことによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷の高次高調波を抑制できる。
また、上記インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも大きくすることによって、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分を補償する制御を行うインバータ部12に適した制御が可能になる。
また、上記インバータ部12の入力電流に対するリアクトルLに流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、ダイオードブリッジ11から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも小さくすることによって、定電流制御を行うインバータ部12に適した制御が可能になる。
また、ダイオードブリッジ11の一方の出力端とインバータ部12の一方の入力端との間に接続されたリアクトルLには、共振電流および高調波電流の交流成分が流れるので、そのリアクトルLの両端電圧を電圧検出部101により検出することで、インバータ部12の共振抑制および高調波抑制の制御に適した電圧信号が得られる。
上記第1,第2実施形態では、三相交流電圧を直流電圧に整流して、その直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する電力変換装置について説明したが、単相または三相以上の交流電圧を直流電圧に整流して、その直流電圧を単相または三相以上の交流電圧に変換して出力する電力変換装置にこの発明を適用してよい。
また、上記第1,第2実施形態では、ダイオードブリッジ11の一方の出力端とインバータ部12の一方の入力端との間にインダクタンス素子としてリアクトルLが接続された電力変換装置について説明したが、これに限らず、インダクタンス素子は、交流電圧を供給する交流電源の出力端と整流部の入力端との間に接続されていてもよい。
この場合、単相の交流電圧が整流部に入力される構成では、交流電圧を供給する交流電源の出力端と整流部の入力端との間に接続されたインダクタンス素子には、共振電流および高調波電流の交流成分が流れるので、そのインダクタンス素子の両端電圧を電圧検出部により検出することで、インバータ部の制御に適した電圧信号が得られる。また、多相の交流電圧が整流部に入力される構成では、交流電圧を供給する交流電源の出力端と整流部の入力端との間に相毎に接続されたインダクタンス素子には、各相の共振電流および高調波電流の交流成分が夫々流れるので、各インダクタンス素子の両端電圧を電圧検出部により夫々検出することで、インバータ部の共振抑制および高調波抑制の制御に適した電圧信号が得られる。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
また、この発明の電力変換装置は、
単相または多相の交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、
上記整流部から出力された上記直流電圧を交流電圧に変換して出力するPWM制御のインバータ部と、
上記インバータ部の入力端間に接続されたキャパシタンス素子と、
上記キャパシタンス素子とでLCフィルタを構成するインダクタンス素子と、
上記インダクタンス素子の両端電圧を検出する電圧検出部と、
上記電圧検出部により検出された上記インダクタンス素子の両端電圧に基づいて、上記インバータ部を制御する制御部と
を備え、
上記LCフィルタは、上記整流部から出力された上記直流電流に含まれるリップル電流成分を通過させ、かつ、上記インバータ部のキャリヤ周波数と同じ周波数の電流成分を減衰させるように、共振周波数が設定されていると共に、
上記制御部は、上記整流部からの上記直流電圧に対する上記インバータ部の入力電圧の伝達特性の減衰係数ζが1よりも大きく設定されることによって、上記伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも高くなるように、かつ、上記インバータ部の入力電流に対する上記インダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも低くなるように、上記インバータ部を制御してもよい。
上記構成によれば、整流部からの直流電圧に対するインバータ部の入力電圧の伝達特性において、LCフィルタによる共振を抑制する共振抑制系のカットオフ周波数を上げ、インバータ部の入力電流に対するインダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性において、誘導負荷の高調波を抑制する高調波抑制系のカットオフ周波数を下げることが可能となる。このような制御系の伝達特性に基づいて、制御部がインバータ部を制御することによって、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷による高調波を効果的に抑制でき、モータなどの誘導負荷に対して応答性のよい最適な制御ができる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記キャパシタンス素子の容量をC[F]とし、上記インダクタンス素子のインダクタンスをL[H]とし、上記キャパシタンス素子の標準容量をC[F]とし、上記キャパシタンス素子の標準容量C[F]および上記LCフィルタの共振周波数により定まる上記インダクタンス素子のインダクタンスをL[H]とするとき、
L/C < L/C
の条件を満たす。
ここで、キャパシタンス素子の標準容量とは、モータなどの誘導負荷のインダクタンスと、電源インダクタンスと、キャパシタンス素子の充電電圧と、モータ負荷の消費電力と、直流リンク電圧のリップル成分の周波数と、モータ励磁電流に基づいて、高調波を抑制しつつ、インバータ部の動作停止による回路素子の破壊を防止するように決定されるべき容量値である。なお、負荷誘導電力を吸収するCDクランプ等の回路が併用される場合、標準容量は、キャパシタンス素子の許容リップル電流若しくは温度上昇値より決定される。
上記実施形態によれば、LCフィルタによる共振と誘導負荷の高調波を抑制しつつ、インダクタンス素子を小型化できる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記キャパシタンス素子の容量をC[F]とし、上記インダクタンス素子のインダクタンスをL[H]とし、上記キャパシタンス素子の標準容量をC[F]とし、上記キャパシタンス素子の標準容量C[F]および上記LCフィルタの共振周波数により定まる上記インダクタンス素子のインダクタンスをL[H]とするとき、
L/C > L/C
の条件を満たす。
上記実施形態によれば、LCフィルタによる共振を抑制しつつ誘導負荷の高次高調波を抑制できる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記インバータ部の入力電流に対する上記インダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数は、上記整流部から出力される上記直流電圧に含まれる上記リップル成分の繰り返し周波数よりも大きい。
上記実施形態によれば、上記インバータ部の入力電流に対するインダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、整流部から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも大きくすることによって、整流部から出力される直流電圧に含まれるリップル成分を補償する制御を行うインバータ部に適した制御が可能になる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記インバータ部の入力電流に対する上記インダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数は、上記整流部から出力される上記直流電圧に含まれる上記リップル成分の繰り返し周波数よりも小さい。
上記実施形態によれば、上記インバータ部の入力電流に対するインダクタンス素子に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数を、整流部から出力される直流電圧に含まれるリップル成分の繰り返し周波数よりも小さくすることによって、定電流制御を行うインバータ部に適した制御が可能になる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記インダクタンス素子は、上記整流部の一方の出力端と上記インバータ部の一方の入力端との間に接続されている。
上記実施形態によれば、整流部の一方の出力端とインバータ部の一方の入力端との間に接続されたインダクタンス素子には、共振電流および高調波電流の交流成分が流れるので、そのインダクタンス素子の両端電圧を電圧検出部により検出することで、インバータ部の共振抑制および高調波抑制の制御に適した電圧信号が得られる。
また、一実施形態の電力変換装置では、
上記インダクタンス素子は、上記交流電圧を供給する交流電源の出力端と上記整流部の入力端との間に接続されている。
上記実施形態によれば、単相の交流電圧が整流部に入力される構成では、交流電圧を供給する交流電源の出力端と整流部の入力端との間に接続されたインダクタンス素子には、共振電流および高調波電流の交流成分が流れるので、そのインダクタンス素子の両端電圧を電圧検出部により検出することで、インバータ部の制御に適した電圧信号が得られる。また、多相の交流電圧が整流部に入力される構成では、交流電圧を供給する交流電源の出力端と整流部の入力端との間に相毎に接続されたインダクタンス素子には、各相の共振電流および高調波電流の交流成分が夫々流れるので、各インダクタンス素子の両端電圧を電圧検出部により夫々検出することで、インバータ部の共振抑制および高調波抑制の制御に適した電圧信号が得られる。
10…三相交流電源
11…ダイオードブリッジ
12…インバータ部
13…モータ
14…電流源
L…リアクトル
C…コンデンサ
100…制御部
101…電圧検出部

Claims (2)

  1. 単相または多相の交流電圧を直流電圧に整流する整流部(11)と、
    上記整流部(11)から出力された上記直流電圧を交流電圧に変換して出力するPWM制御のインバータ部(12)と、
    上記インバータ部(12)の入力端間に接続されたキャパシタンス素子(C)と、
    上記キャパシタンス素子(C)とでLCフィルタを構成するインダクタンス素子(L)と、
    上記インダクタンス素子(L)の両端電圧を検出する電圧検出部(101)と、
    上記電圧検出部(101)により検出された上記インダクタンス素子(L)の両端電圧に基づいて、上記インバータ部(12)を制御する制御部(100)と
    を備え、
    上記LCフィルタは、
    上記整流部(11)から出力された上記直流電流に含まれるリップル電流成分を通過させ、かつ、上記インバータ部(12)のキャリア周波数と同じ周波数の電流成分を減衰させるように、共振周波数が設定されていると共に、
    上記制御部(100)は、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の入力電圧の伝達特性が、直列接続された位相進み要素と二次遅れ要素による減衰特性になるように、上記インバータ部(12)を制御すると共に、
    上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性の減衰係数を1よりも大きく設定することによって、上記LCフィルタによる共振を抑制するための共振抑制系と上記インバータ部(12)の出力側の誘導負荷からの高調波を抑制するための高調波抑制系に対して、カットオフ周波数が異なるように特性差を設定していることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    上記制御部(100)は、上記整流部(11)からの上記直流電圧に対する上記インバータ部(12)の上記入力電圧の伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも高くなるように、かつ、上記インバータ部(12)の入力電流に対する上記インダクタンス素子(L)に流れる直流電流の伝達特性のカットオフ周波数が上記LCフィルタの共振周波数よりも低くなるように、上記インバータ部(12)を制御することを特徴とする電力変換装置。
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