JP5938198B2 - 電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真装置に関する。
電子写真感光体は、基本的には、帯電及び光を用いた露光により静電潜像を形成する感光層と、その感光層を設けるための支持体としての基体からなる。また、デジタル画像情報から電子写真感光体(ドラム)上に静電潜像を形成する方法としては、デジタル画像情報に対応して変調したレーザ光を露光源として用いるのが現在一般的である。
ところが、露光源にレーザ(波長:λ)を使用する場合、感光体各層(屈折率:ni)の膜厚がマクロなスケールで不均一な(数 [mm] 以上離れた場所で膜厚差がλ/(2ni) 以上ある)とき、多重反射光が静電潜像に干渉縞を作るという問題がある。例えばλ= 780 [nm], ni = 1.6 とすれば、膜厚がマクロに 0.244 [μm] 以上変動すると干渉縞が発生することになる。この程度の膜厚ムラを防止するのは、経済性の観点から非常に困難であるため、干渉縞を防止するために様々な方法が提案されている。
特許文献1では、露光レーザ波長が 650 [nm] 以上である場合に、算術平均粗さ:Ra が 0.2 〜 2.0 [μm] の均一微細な凹凸を電子写真感光体の基体表面に形成する技術が開示されている。これは、特許文献2にも言及されているように、画像形成領域の任意の書き込み光スポット径内に多数のミクロな干渉縞を積極的に発生させ、マクロな干渉縞を防止するメカニズムである。しかし、Ra はその定義上粗さデータの平均を行っているので、異なる振幅を持つ曲線が重畳されているような粗さ形状を表現することができず、効率的に干渉縞を防止する粗さ形状を規定するのには向かない。
特許文献3では、感光体の表層を十点平均粗さ:Rz でλ/2 以上粗面化した電子写真感光体が開示されている。しかし、Rz はその定義上10点の粗さデータしか使っていないので、粗さ形状における山や谷の密度を表現することができず、やはり効率的に干渉縞を防止する粗さ形状を規定するのには向かない。
特許文献4では、感光体の表層に粗さ曲線の切断レベル差:Rδc と粗さ曲線要素の平均長さ:RSm によって規定される凹凸形状を形成し、表面に反射防止効果を持たせる技術が開示されている。しかし、反射防止効果を使うこの方法では、Rz などの粗さ高さが小さいため、長期使用によって凹凸が削れ、干渉縞防止効果が減少してしまうという問題があった。実際に検討を行った結果、2000枚の耐久試験後で干渉縞を評価すると、この方法では干渉縞発生による画質劣化が生じてしまう場合があった。また、RSm は異なる波長を持つ曲線が重畳されているような粗さ形状においては、どの凹凸間隔を測定しているのか定かではなく、やはり効率的に干渉縞を防止する粗さ形状を規定するのには向かない。
以上のように、干渉縞を感光層の界面における粗し形状で防止することを考えたとき、効率的な粗し形状を探索、あるいは規定するためには、従来使われているパラメータでは不十分であり、改良の余地が残されている。
特開平10-301311号公報 特開2003-228198号公報 特公平04-048387号公報 特開2009-031342号公報
本発明の目的は、静電潜像を形成する際に入射してくるレーザ光が干渉し、最終的な出力画像に干渉縞として現れて画質を劣化させるのを効率よく防止し、また、最表面に粗し形状が形成されていることに起因する画像劣化を低減させることのできる粗し形状を最表面に持つ電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することである。
本発明の電子写真装置は、上記課題を解決する電子写真感光体の最表面の粗し形状を実現するために、適切な評価パラメータとして平均局所高低差 (Rmk) の算出長さ依存性を考案し、このRmk によって規定した最表面粗し形状を持つ電子写真感光体を有することを特徴とする。
すなわち、本発明の電子写真装置は、波長:λ[μm] のレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有する電子写真装置であり、
該電子写真感光体は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順で設けてなり、
該電子写真感光体は、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の算出長さ (L [μm]) 依存性を示すグラフにおいて、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上の平均局所高低差 (Rmk [μm]) が発現し、かつ、下記式(1)
(式中、λはレーザ光の波長[μm]を示し、n は電子写真感光体の最表面層の屈折率を示す)
を満たす最表面形状を有し、
該最表面形状は、異なる周期を持つ複数の正弦波(余弦波)が重畳されている表面粗さ形状であることを特徴とする。
本発明によれば、ミクロな干渉縞を多数発生させることによる平均化効果を効率的に発現させることができ、マクロな干渉縞の発生を抑え、高解像度の静電潜像を得ることができる。
i) は、後述する関数、Rmk(L) を計算する際、電子写真感光体の最表面についての3次元表面形状データをメッシュ分割することを示す図である。ii)は計算したRmk(L) データを、横軸を算出長さ L の対数にしてグラフ化した例である。 i) は、後述するランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種:a) 〜 e) の、2次元/3次元それぞれにおけるグラフである。ii) はランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種:a) 〜 e) の、Rmk(L) グラフである。iii) はランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種:a) 〜 e) の、フレネル係数を用いた数値計算で求めた干渉縞レベルを示すグラフである。iv) は図2i)に示す形状 b) と形状 e) について、 R mod (λ/(2ni)) を横軸、頻度を縦軸にとり、両者に偏りの違いがあることを示したグラフである。 i) は電子写真感光体の最表面についての3次元表面形状データの内容と変数の概念を示す図である。ii) は電子写真感光体の最表面についての3次元表面形状データをメッシュ分割するときの詳細を説明する図である。 フレネル係数を用いた数値計算の概略を説明するための、感光体の層構成と変数の定義を示す図である。 Rmk,ave,l を計算するときの、Rmk(L) データの重み付け平均の概念を示す図である。 i) は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられるマスクパターンの例(部分拡大図)を示す図である。ii) は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられるマスクパターンの例(部分拡大図)を示す図である。iii) は本発明における電子写真感光体の最表面断面形状の例を示す図である。iv) は本発明におけるレーザ加工装置の例の概略を示す図である。 i) は本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の一例の概略を示す図である。ii) は本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の他の例の概略を示す図である。 i) は本発明による電子写真装置の一例の構成を概略的に示す図である。ii) は本発明による電子写真装置の他の例の構成を概略的に示す図である。 i) は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの一例(部分拡大図)を示す図である。ii) は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの他の例(部分拡大図)を示す図である。 横軸を露光レーザ波長、縦軸を Rmk,max として実施例と比較例の一部のデータをプロットした図である。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、次の特徴を持つ電子写真装置を発明するに至った。
本発明の電子写真装置は、波長:λ[μm] のレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有する。電子写真感光体は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順で設けてなる。電子写真感光体は、以下に述べる特定の最表面形状を有する。
電子写真感光体の特定の最表面形状は、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の算出長さ (L [μm]) 依存性を示すグラフにおいて、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上の平均局所高低差 (Rmk [μm]) が発現し、かつ、下記式(1)
(式中、λはレーザ光の波長[μm]を示し、n は電子写真感光体の最表面層の屈折率を示す)
を満たすものである。この電子写真感光体の特定の最表面形状は、異なる周期を持つ複数の正弦波(余弦波)が重畳されている表面粗さ形状である。
電子写真感光体の最表面形状についての、平均局所高低差:Rmk の算出長さ:L 依存性を示すグラフについて説明する。このパラメータは、以下の手順により計算される。電子写真感光体の最表面について粗し形状(凹凸形状)の3次元表面形状:z(x,y) を測定した後、
(1) 感光体の最表面形状について得られた表面形状データを、一辺の長さが L のメッシュに分割する(図1 i)左図参照)。
(2) 一辺の長さ:L の各メッシュ内で、粗し形状の凸部の高さ:z(x,y) を平均化する(図1 i)右図参照)。
(3) 各メッシュについて、周りのメッシュとの高さの差から局所高低差を計算する。
(4) 各メッシュについて得られた局所高低差を、全てのメッシュに渡って平均化する。これを、平均局所高低差:Rmk と呼ぶ。
(5) (1) から (4) までの手順を、L を変化させて繰返し、平均局所高低差:Rmk の算出長さ:L 依存性、すなわち関数:Rmk(L) を得る。
こうして得られた Rmk(L) を、横軸を算出長さ:L [μm] の対数、縦軸を平均局所高低差:Rmk [μm] としてグラフ化すると、例えば図1 ii) に示すグラフが得られる。
図1 ii) に示すグラフでは、本発明についていう「平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm])」は、算出長さL = Lm = 18.3 [μm] に対応する箇所に発現している。当該平均局所高低差の最大値は、図1 ii) に示したように、Rmk,max = 0.206 である。また、本発明についていう「平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さ」について、図1 ii) に示すグラフを見てみると、まず、0.1倍以下離れた算出長さは、L = Lm・0.1 = 1.83 [μm] 又はその値以下の領域に属する算出長さである。「10倍以上離れた算出長さ」は、L = Lm・10 = 183 [μm] 又はその値以上の領域に属する算出長さである。また、「該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2」はRmk,max・2/3 = 0.137 [μm]である。「平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上」は、図1 ii) に示すグラフでは、0.206〜0.137 [μm]の範囲である。従って、「平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域」において、上記0.206〜0.137 [μm]の範囲に「平均局所高低差(Rmk [μm])が発現」する場合が本発明の条件を満たす場合に該当する。
図1 ii) に示すグラフでは、Rmk,max・2/3 = 0.137 [μm] 以上の平均局所高低差Rmk が発現していない。したがって、この例は本発明の条件を満たさないことになる。
図1 ii) のグラフにおいては、算出長さLはL = 80 [μm] までしか測定されておらず、「10倍以上離れた算出長さ」、すなわちL = 183 [μm] 以上の領域での平均局所高低差Rmk の変化の様子が分からない。これは、使用した測定装置(走査型プローブ顕微鏡 SPM-9600((株)島津製作所社製))の測定限界が 80 [μm] であるためである。そこで、別の測定装置(超深度形状測定顕微鏡 VK-9500((株)キーエンス社製))を用いてL = 354 [μm] の算出長さまでの平均局所高低差Rmkを求めた。その結果、この例の場合、L = 183 [μm] 以上の算出長さにおいて Rmk,max・2/3 = 0.137 [μm] 以上の平均局所高低差 Rmk が発現していない。したがって、この例は本発明の条件を満たさないことになる。
本発明に使用する電子写真感光体は、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の算出長さ (L [μm]) 依存性を示すグラフにおいて、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上の平均局所高低差 (Rmk [μm]) が発現する最表面形状を有する。このような形状は、静電潜像に干渉縞が発生するのを効率的に防止できる。ここでいう「効率的に防止」は、同じ十点平均粗さ:Rz を持つ表面形状同士を比較したときに、上記の特徴を満たすかどうかで、発現する干渉縞レベルが異なる、という意味である。
干渉縞を効率的に防止できるメカニズムについて説明する。そのために、まず表面粗し形状の「ランダムネス」という概念を導入する。
ランダムネスとは、表面粗し形状の不規則具合を意味しており、粗し形状の周期や振幅(高さ)が揃っている場合をランダムネスの無い形状、揃っていない場合をランダムネスの有る形状と呼ぶ。これは、正弦波(余弦波)の重ね合わせで表現すると分かりやすい。
下式には、様々な周期と振幅(高さ)を持つ正弦波(余弦波)及びそれらの組み合わせから成る、人工的な2次元表面粗し形状と、それを自然に拡張した3次元表面粗し形状を5種類示している。この5種それぞれをグラフ化したものを、図2 i) に示す。
上式や図2 i) を見れば、b) と c) の粗し形状が単純な正弦波(余弦波)であって、非常に規則的なランダムネスの無い構造を持っていることが分かる。
一方で a), d), e) の粗し形状は単純な正弦波(余弦波)ではなく、周期や振幅(高さ)が異なるものが重畳された形状になっている。しかし、a) のように、振幅が 0.4 [μm] と 0.1 [μm] のように大きく異なる正弦波(余弦波)を重畳している場合には、図2 i) a) を見て分かるとおり、d) や e) の粗し形状に比べて規則性が高く、ランダムネスは小さい。
前述した「ランダムネスの大小」をより客観的に数値化できるのが、関数Rmk(L) である。図2 ii) には、上記5種類の人工粗し形状に対して 関数Rmk(L) を計算した結果をグラフ化している。
図2 ii) を見ると、a), b), c) の粗し形状を表す関数Rmk(L) のグラフはピークが尖っているのに対して、d) や e) の粗し形状を表す関数Rmk(L) のグラフはピークが2つあるなどブロードになっていることが分かる。すなわち、ランダムネスの大小と関数 Rmk(L) のグラフのピークの尖り具合とは対応していることを示している。ランダムネスが大きい場合には関数 Rmk(L) のグラフのピークの尖り具合が大きく、また、ランダムネスが小さい場合には関数 Rmk(L) のグラフのピークの尖り具合が小さい。
ここで、a) 〜 e) の形状は全て、全体の振幅が等しいことに注意する。すなわち、a) 〜 e) の形状は全て、同じ十点平均粗さ:Rz = 1.0 [μm] を持っている。それにも関わらず、関数Rmk(L) のグラフが各5種類でそれぞれ異なる形をしていることは、関数Rmk(L) の持つ情報量の多さを意味している。
以上のことは、そもそも関数Rmk(L) が、どのスケール(算出長さ)にどれだけの高低差が存在しているかを反映するパラメータであることから理解される。すなわち、単一の正弦波(余弦波)で表面形状の特徴がほとんど決定されているランダムネスの小さな粗さ形状の場合、その正弦波(余弦波)の周期と Rmk(L) の算出長さ:L が一致するときに、Rmk(L) は大きな値を持つ。一方、ランダムネスの大きな粗さ形状の場合には、異なる周期を持つ複数の正弦波(余弦波)が重畳されているので、Rmk(L) のピークも複数存在し、結果、グラフの形状はブロードなものになる。
したがって、表面粗さ形状のランダムネスの大小を知るには、関数Rmk(L) のグラフにおけるピークの鋭さを見ればよい。これを客観的に数値化すると、「平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (L [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上の平均局所高低差 (Rmk [μm]) が発現」するという表現になる。つまり、この特徴を持つ粗さ形状はランダムネスが大きく、この特徴を持たない粗さ形状はランダムネスが小さい、と定義される。
次に、ランダムネスが大きいときに干渉縞防止能力が高く、ランダムネスが小さいときに干渉縞防止能力が低いことを説明する。
図2 iii) に示したグラフは、感光体各層の膜厚や屈折率などからフレネル係数を求めることで数値計算した、a) 〜 e) 各粗し形状における干渉縞レベルである。縦軸の数値が大きいほど静電潜像に干渉縞が出てしまうことを意味する。この結果によると、ランダムネスの小さな a), b), c) の粗し形状に比べて、ランダムネスの大きな d), e) の粗し形状では干渉縞レベルが低い。
a) 〜 e) の5種類の粗し形状で Rz は同じであるにも関わらず、ランダムネスの大きな d) と e) の粗し形状では干渉縞防止効果が高いことが数値計算によって示されたが、このことは次のようにして理解される。
粗し形状によって干渉縞が消えるメカニズムは、ミクロな光路差が形成されることによってミクロな干渉縞を多数出現させ、そのコントラストの平均化作用によってマクロな干渉縞を見えなくさせる、というものである。このとき、光路差をつけるという観点においては、λ/(2ni) の整数倍だけ異なる2つの高低差は同等の働きをすることが重要である。すなわち、R [μm] という局所的な高低差と R+λ/(2ni) [μm] という局所的な高低差は、光学位相差という意味では位相が 2π [rad] だけ異なるだけで、干渉条件に与える寄与としては同じ、ということである。
λ/(2ni) の整数倍ずれた高低差は光学位相差が同等ということは、粗し形状の高低差が大きくても、ある R に対して高低差がλ/(2ni) の整数倍ずれた大きさばかりに偏っていた場合、ミクロな干渉縞の明部と暗部に偏りが生じる。それにより、十分な平均化作用が得られないことになる。
このことを別の言い方で表現すると、粗し形状の高さ頻度分布:P(R) が R mod (λ/(2ni)) において偏りを持っている場合には、十分な干渉縞防止能が得られない、ということになる。そして、そのような偏りが小さいこととランダムネスが大きいこととは対応している。実際、図2 iv) に、形状 b) と形状 e) について、 R mod (λ/(2ni)) を横軸、頻度を縦軸にとったグラフを示したが、e) の方は偏りが無く分布が平坦であることが分かる。ただし、ここで言う R mod (λ/(2ni)) とは、R から (λ/(2ni)) の任意の整数倍を引いた 0 以上の値の最小値である。すなわち、通常自然数に対して定義される合同式 (modular) の正の実数への拡張である。
ただし、電子写真感光体の最表面形状がランダムネスの無い粗し形状であっても、電子写真装置の露光手段に用いるレーザ光源のレーザ光の波長:λと最表面形状の最大高さ粗さとの関係を上手く設定してやれば、大きな干渉縞防止効果を得ることは可能である。しかし、実際の感光体ドラムにおいては、ドラムの上下端で十点平均粗さ Rz がλ/(2ni) 〜 0.2 [μm] 程度変化することを防ぐのは難しい。従って、ドラムの全面に渡って干渉縞を防止することが要請されることを考えると、このようなピンポイントの設計は現実的ではない。ランダムネスが有る粗し形状は、0.2 [μm] 程度の Rz の振れに対しても干渉縞防止効果を安定的に発揮でき、ランダムネスの無い形状に比べて広いラチチュードを持つ。
関数Rmk(L) の概念は既に述べたことに尽きているが、ここでは実際に計算を行うときの方法に沿って、より詳しく説明する。ただし、Rmk(L) の具体的計算方法は以下に述べるものに限定されるものではない。
まず、原子間力顕微鏡やレーザ顕微鏡などを用いて、図3 i) に示すような感光体の最表面についての3次元表面形状データを得る。3次元表面形状データでは、水平方向の座標(連続変数の場合は (x,y)、離散変数の場合は (i,j) と表記)を一つ指定する。すると、それに対応する高さデータ(連続変数の場合は z(x,y)、離散変数の場合は Zi,j と表記)が決まる。実際の測定においては、全ての変数は離散変数である。水平方向の量子化スケールを pxy [μm] とおく。また、図3 i) には正方格子の場合を示したが、三角格子や六方格子であっても構わない。
(1) 得られた3次元表面形状データを、一辺の長さが L [μm] のメッシュに分割する。この L を「算出長さ」と呼ぶ。水平方向の量子化スケールよりも L は大きく、3次元表面形状データの領域長さ(3次元表面形状データの領域が長方形だとして、x 方向と y 方向の領域長さをそれぞれ Λx, Λy とする)よりも L は小さい。また、計算上 L は pxy の整数倍に選ばれる。L = pxyM によって M を定義する。さらに、Λx = pxyNi, Λy = pxyNj によって Ni, Nj を定義する。
(2) 分割したそれぞれのメッシュ内で、高さデータを算術平均する。すると、高さデータは、離散変数の場合と連続変数の場合を併記すれば、下式のように処理される。
この処理を、図3 ii) に示したように、M/2マスずつ(あるいは、L/2 [μm] ずつ)計算領域をずらしながら全領域:Ni×Njx×Λy [μm2]) に渡って行う。すると、離散変数:i,j のとりうる値は
となる。
(3) メッシュごとに得られた高さデータ算術平均値から、注目点:(i,j) (あるいは (x,y))における局所高低差を、下式のようにして求める。
この式の連続表現における積分は、直径:L [μm] の円周に沿った閉路積分である。また、離散表現においては、注目メッシュと周りのメッシュとの高低差を計算している。そこで言う周りのメッシュとは、注目メッシュと中心を共有する直径:L [μm] の円周がメッシュの内部を通過するようなメッシュのことであり、正方格子の場合には8個ある。
(4) 得られた局所高低差を、下式のように、全領域:Ni×Nj(Λx×Λy [μm2]、離散の場合には、全メッシュと言ってもよい)に渡って平均化する。
こうして得られた値を平均局所高低差と呼び、離散と連続どちらの場合も、メッシュの長さ:L [μm] に依存している(L = pxyM より、M は L と結びついている)。これを改めて Rmk(L) [μm] と書く。
(5) こうして得られる平均局所高低差:Rmk(L) は、最初にメッシュの長さ:L [μm] をいくつにするかで変わってくる。そこで、L を色々な値に変化させて、その都度 Rmk(L) を計算することにより、Rmk(L) が L の関数として求まる。L の変化幅は、Rmk(L) が十分滑らかであれば好きに選んで良いが、干渉縞防止能を捉える今の目的においては、L の値を下式で ns = 0,1,2,… ように変化させるのが適している。ただし、β = 2 のとき s は 1 以下が好ましく、0.25 以下がさらに好ましい。
感光体各層の膜厚や屈折率などからフレネル係数を求めることで行った数値計算について、その概略を説明する。
図4に、数値計算を行う上で用いたモデルの概念図を示す。図4では一番下の基体上に5つの層が形成された層構成が示されているが、本発明はこの構成に限らず、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を含む2層以上の感光体であればよい。
図4の ni (i = 1, 2, …) は各層の屈折率を、di (i = 1, 2, …) は各層の膜厚を、ri (i = 0, 1, …) は各層間の振幅反射率を意味している。ここで、吸収を考慮して屈折率は複素数であってもよい。振幅反射率は、屈折率を用いて下式のように表される。
ただし、r0 は基体の振幅反射率なので、基体が金属の場合には上式からは決まらない。
これらのパラメータとレーザ波長:λだけから、入射光量に対する電荷発生層での光量の割合を求めることができる。その割合は、各層の膜厚に依存して変化するので、図4においては5層目に相当する最表面層の粗し形状をデータとして与えて計算すれば、光量の割合が粗し形状に沿って変化し、ミクロな干渉縞の発生度合いを数値計算できる。その発生度合いから、マクロな干渉縞に対する防止効果、すなわち干渉縞レベルが求まる。
粗さ形状によって引き起こされる、干渉縞とは別の画質劣化要因について述べる。最表面層に形成される粗さ形状においては、凹凸ドメインの水平方向のサイズが大きくなると、その凹凸に対応した感度ムラが絵出し画像における画質劣化となって現れるようになる。その程度を定量的に見積もるために、Rmk(L) データから求まる別のパラメータとして、下式で表される、Rmk(L) の重み付け平均値:Rmk,ave,l を定義する。
Rmk,ave,l は、横軸の算出長さ:L を対数プロットした Rmk(L) グラフにおいて、図5に三角形で示したような重み付けをして Rmk(L) の平均値を求めたパラメータである。この値が大きいほど、水平方向サイズが大きな凹凸形状が多く存在することになり、感度ムラによる画質劣化の程度が悪くなる。Rmk,ave,l の値は、0.085 [μm] 以下が好ましく、0.050 [μm] 以下がより好ましい。
また、感度ムラによる画質劣化は凹凸形状の水平方向サイズに依存することから、前出の Rmk,ave,l 値の条件に加えて、Rmk の最大値:Rmk,max が発現する算出長さ:Lm が 10 [μm] 以下であるとさらに好ましい。
本発明においては、凹凸形状の水平方向サイズのみならず、垂直方向サイズ、すなわち高低差も感度ムラに影響する。これは Rz 値に対応しており、1.3 [μm] 以下が好ましい。また、凹凸形状の垂直方向サイズとその密度のバランスを考慮すると、Rmk,max 値の大きさも画質に関係することが分かる。感度ムラによる画質劣化防止の観点からは、Rmk,max が 0.18 [μm] 以下が好ましく、0.15 [μm] 以下がより好ましい。
本発明における、感光体最表面の3次元表面形状データの測定方法について述べる。3次元表面形状データの測定には特に制約はない。例えば、市販の原子間力顕微鏡、電子顕微鏡、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡、光干渉方式の3次元表面形状測定機が利用できる。
原子間力顕微鏡としては、例えば、以下のものが利用できる。
・走査型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)
・ナノスケールハイブリッド顕微鏡 VN-8000((株)キーエンス社製)
・走査型プローブ顕微鏡 NanoNavi ステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)
・走査型プローブ顕微鏡 SPM-9600((株)島津製作所社製)
電子顕微鏡としては、例えば、以下のものが利用できる。
・3D リアルサーフェスビュー顕微鏡 VE-9800((株)キーエンス社製)
・3D リアルサーフェスビュー顕微鏡 VE-8800((株)キーエンス社製)
・走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)
・走査型電子顕微鏡 SUPERSCAN SS-550((株)島津製作所社製)
レーザ顕微鏡としては、例えば、以下のものが利用できる。
・超深度形状測定顕微鏡 VK-8550((株)キーエンス社製)
・超深度形状測定顕微鏡 VK-9500((株)キーエンス社製)
・超深度形状測定顕微鏡 VK-9700((株)キーエンス社製)
・表面形状測定システム Surface Explorer SX-520DR 型機((株)菱化システム社製)
・走査型共焦点レーザ顕微鏡 OLS4000(オリンパス(株)社製)
・リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクス C130(レーザーテック(株)社製)
光学顕微鏡としては、例えば、以下のものが利用できる。
・デジタルマイクロスコープ VHX-500
・デジタルマイクロスコープ VHX-10s00(いずれも(株)キーエンス社製)
・3D デジタルマイクロスコープ VC-7700(オムロン(株)社製)
光干渉方式の3次元表面形状測定機としては、例えば、以下のものが利用できる。
・白色干渉計測システム R6500H((株)菱化システム社製)
・非接触3次元表面性状・段差測定機タリサーフ CCI 6000(アメテック(株)社製)
上記の測定機を用いて、水平方向座標:(x,y) に対応する垂直方向高さデータ:z(x,y) を計測し、3次元表面形状データを得ることができる。また、得られた3次元表面形状データから Rmk(L) を導出する手順は、前述したとおりである。
本発明において、電子写真感光体の最表面に粗さ形状を形成する方法としては、Rmk(L) による上記の関係を満たしうるものであれば、特に制約はない。例えば、レーザアブレーション加工や、所定の形状を有するモールドを感光体の最表面に圧接して形状転写を行う方法が挙げられる。
レーザアブレーション加工により表面粗さ形状を形成する場合、用いるレーザの発振パルス幅は 1 [ps] 以上 100 [ns] 以下が好ましい。発振パルス幅が 1 [ps] より短いと、水平方向座標の変化に対する垂直方向高さの変化率が大きい粗さ形状が形成されやすくなる。本発明においては、そのような切り立った粗さ形状はランダムネスを大きくするという観点からは好ましくなく、生産コストも高くなる。また、発振パルス幅が 100 [ns] より長いと、熱による表面ダメージが大きくなり、所望の粗さ形状が得られにくくなる。発振パルス幅が 1 [ps] 以上 100 [ns] 以下のレーザとしては、エキシマレーザが好適に利用できる。
本発明で用いるエキシマレーザは以下のようなものである。すなわち、Ar, Kr, Xe の如き希ガスと、F, Cl の如きハロゲンガスの混合気体を放電、電子ビーム又は X 線でエネルギーを与えて励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際にレーザ光を放出する。
エキシマレーザにおいて用いるガスとしては、ArF, KrF, XeCl, XeF が挙げられる。特に KrF 又は ArF が好ましい。凹凸形状の形成方法としては、図6 i), ii) に示すような、レーザ光透過部 a と遮蔽部 b を適宜配列したマスクを使用する。マスクを通過したレーザ光のみがレンズで集光され、被加工物に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹凸形状の形成が可能となる。ただし、透過部と遮蔽部のマスクの厚みは連続的に変化しており、これにより、図6 iii) に示した凹凸形状の断面図のように、なめらかな凹凸形状を形成することができる。この場合、一定面積内の多数の凹凸を、凹凸の形状、面積に関わらず瞬時に同時に形成できるため、工程は短時間で済む。
図6 iv) において、マスクを用いたレーザ照射は、エキシマレーザ光照射器 c で1回照射あたり数 [mm2] から数 [cm2] の加工が為される。レーザ加工においては、図6 iv) に示すように、感光体(例えば感光ドラム)f をワーク回転用モータ d で自転させつつ、レーザ照射位置をワーク移動装置 e で感光体の軸方向にずらしていく。こうすることで、感光体の表面全域に効率よく凹凸部を形成することができる。本発明によれば、凹凸部の大きさ、形状、配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い粗面化工が実現できる。
また、図6 i) に示したようなマスクパターンを用いてレーザ照射を行った後、図6 ii)のような、1つあたりの光透過部の面積が図6 i) と異なるマスクパターンを用いてレーザ照射を行えば、2つの周期が重畳された凹凸形状を形成することができる。例えば2回重畳すれば図2 i) d) に示したような2次元粗さ形状が作れ、4回重畳すれば図2 i) e) に示したような2次元粗さ形状が作れる。
所定の形状を有するモールドを感光体の最表面に圧接して形状転写を行う場合、図7 i) に概略図を示したモールド圧接形状転写装置を用いる。加圧及び解除が繰り返し行える加圧装置 A に所定のモールド B を取り付けた後、感光体 C に対して所定の圧力でモールドを当接させて形状転写を行う。その後加圧を一旦解除し、感光体を回転させた後に、再度加圧して形状転写工程を行う。この工程を繰り返すことにより、感光体の全周にわたって所定の凹凸形状を形成することが可能である。
また、図7 ii) に示したように、加圧装置 A に感光体の全周長よりも長いモールド B を取り付けた後、感光体 C に対して所定の圧力をかけながら、感光体を矢印の方向に回転、移動させることもできる。こうやって感光体全周にわたって所定の凹凸形状を形成することも可能である。
他の例として、シート状のモールドをロール状の加圧装置と感光体の間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。なお、形状転写を効率的に行う目的で、モールドや感光体を加熱することも可能である。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することができる。材質としては、微粒子が分散された樹脂フィルム、微細表面加工された金属、又はシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。
また、感光体に対して圧力を均一に付与する目的で、モールドと加圧装置の間に弾性体を設置することも可能である。
次に、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。電子写真感光体は、支持体と、この支持体上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層がこの順に設けられて成る有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう)を有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状あるいはシート状の形状も可能である。
本発明における感光層は、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に設けた積層型(機能分離型)感光層であるが、電荷発生層を積層構成としてもよく、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上を目的とし、感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体の材料としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であればよい。例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスの如き金属製(合金製)の支持体が挙げられる。
また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム-酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子の如き導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザ光の散乱による干渉縞の防止を目的として、切削処理、粗面化処理、又はアルマイト処理を施してもよい。さらに、支持体と後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間に導電層を設けてもよい。
支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザ光の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。ただし、本発明のうち最表面粗し形状が上式の関係を満たしている場合、あるいは前述のように支持体表面に切削処理、粗面化処理、又はアルマイト処理を施している場合には、導電層を設けなくてもよい。この場合にも、高い解像度が得られる。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散及び/又は溶解させた導電層用塗布液を用いて形成することができる。導電層用塗布液には、加熱又は放射線照射により硬化重合する化合物を添加しても良い。
導電層の膜厚は 1 [μm] 以上 35 [μm] 以下であることが好ましく、5 [μm] 以上 30 [μm] 以下であることがより好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体/共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂。
導電性顔料及び抵抗調節顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスの如き金属(合金)の粒子、及びこれらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの金属酸化物の粒子であってもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体又は導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層の材料としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン-アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N-メトキシメチル化6 ナイロン、光重合ナイロン、にかわ及びゼラチン。中間層は、これらの材料を溶剤に溶解させることによって得られる中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の膜厚は、0.05 [μm] 以上 7 [μm] 以下であることが好ましく、0.1 [μm] 以上 2 [μm] 以下であることがより好ましい。
本発明の電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属及び各種の結晶系(α,β,γ,ε,X 型等)を有するフタロシアニン顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、モノアゾ・ジスアゾ・トリスアゾの如きアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン顔料、アモルファスシリコン。これらの電荷発生物質は1種のみを用いてもよく、2種以上用いても良い。
本発明の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、以下のものが挙げられる。ピレン化合物、N-アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N-ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物。
本発明のように、感光層として電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離したものを用いる場合、電荷発生層は、本技術分野公知の方法で形成すればよい。例えば、公知の電荷発生材料を有する電荷発生用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成されてもよい。このような電荷発生層用塗布液の調製方法としては、特に制約は無く、例えば、電荷発生物質を 0.3 〜 4 倍量(質量比)の結着樹脂及び溶剤とともに、公知の分散方法によりこの物質を分散する方法であってもよい。このような分散方法としては、ホモジナイザ−、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルが挙げられる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としても良い。
本発明による電子写真感光体において、電荷輸送層は、本技術分野公知の方法で形成すればよい。例えば、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
電荷発生層及び電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂。
電荷発生層の膜厚は 5 [μm] 以下であることが好ましく、0.1 [μm] 以上 2 [μm] 以下であることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は 5 [μm] 以上 50 [μm] 以下であることが好ましく、10 [μm] 以上 35 [μm] 以下であることがより好ましい。
本発明において、電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。そのための手段として、高強度の結着樹脂を用いたり、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率をコントロールしたり、高分子電荷輸送物質を使用することなどが挙げられる。なかでも、より耐久性能を発現させるためには、表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
本発明において、電荷輸送層自体を硬化系樹脂で構成し、前述の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層あるいは保護層として硬化系樹脂層を形成することが可能である。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両立であり、電荷輸送物質及び重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
電荷輸送物質としては、公知の正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物が挙げられる。また、上記の重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の材料が挙げられる。得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性の観点から、正孔輸送化合物と連鎖重合系材料との組み合わせが好ましい。なかでも、正孔輸送性基及びアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。硬化手段としては、熱、光、放射線を用いる公知の手段が利用できる。
硬化層の膜厚は、電荷輸送層の場合は前述と同様 5 [μm] 以上 50 [μm] 以下であることが好ましく、10 [μm] 以上 35 [μm] 以下であることがより好ましい。第二の電荷輸送層あるいは保護層の場合は、0.1 [μm] 以上 20 [μm] 以下であることが好ましく、1 [μm] 以上 10 [μm] 以下であることがより好ましい。
本発明による電子写真感光体の各層には、各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤の如き劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子の潤滑剤などが挙げられる。
次に、図面を参照しながら、本発明による電子写真装置について説明する。
本発明による電子写真装置は、露光レーザ波長と電子写真感光体の表面粗さ形状が前述の関係を満たしており、帯電手段等の本技術分野公知の画像形成に用いる各手段を有することを特徴とする。図8 i), ii) は、本発明による電子写真装置の例の概略図である。本発明による電子写真装置は、図8 i), ii) に示すように、前述の関係を満たす電子写真感光体1を有する。
本発明による電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を帯電させる非接触式の帯電手段2-1あるいは接触式の帯電手段2-2を有してもよい。
本発明による電子写真装置は、帯電した電子写真感光体1に形成すべき画像に応じて変調されたレーザ光 E を照射して電子写真感光体1に静電潜像を形成させる露光手段(図示せず)を有する。露光レーザ波長は任意である。
本発明による電子写真装置は、静電潜像が形成された電子写真感光体1にトナーを供給して静電潜像が現像されてなるトナー像を形成する現像手段3を有しても良い。また、トナー像を電子写真感光体1の表面から転写材7に転写させる非接触式の転写手段4-1や転写ローラなどによる接触式の転写手段4-2を有してもよい。
本発明による電子写真装置は、転写材7に転写されたトナー像を転写材に定着させる像定着手段8、及び転写後の電子写真感光体1の表面付着物を除去するクリーニング手段5を有しても良い。
本発明による電子写真装置は、クリーニング後の電子写真感光体1に、静電履歴を消去するための光を照射する前露光手段6を有しても良い。
次に、本発明による電子写真装置を参照しながら、画像形成方法、及び電子写真装置の制御について詳細に説明する。電子写真感光体1は、例えば、円筒状の形状を有するものであり、軸1aを有する。電子写真感光体1は、軸1aを中心に所定の周速度で回転駆動される(図8 i), ii) では、矢印方向)。電子写真感光体1は、回転過程で、例えばコロナ放電を用いる非接触式の帯電装置である帯電手段2-1や、帯電ローラを用いる接触式の帯電装置である帯電手段2-2により、周面に正又は負の所定電位の均一な帯電を受ける。これにより、静電潜像が担持される。
次いで、電子写真感光体1は、露光部にてレーザ光源を有する露光手段(図示せず)により露光レーザ E を受ける。これにより、電子写真感光体1の周面に、露光像に対応した静電潜像が順次形成される。
このように形成された静電潜像には、現像スリーブ3-1を介して現像手段3から供給されるトナーが付着し、トナー像を形成する。なお、現像手段3は、例えば、トナーを収容するトナー容器と、トナー容器の開口部に回転自在に設けられている現像スリーブ3-1とを有してもよい。
電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、非接触式の転写手段4-1あるいは接触式の転写手段4-2が具備する電圧印加手段が印加する電圧によって、転写材7の表面に順次転写される。なお、転写材7は、電子写真感光体1と転写手段4-1あるいは4-2との間に電子写真感光体1の回転に同期して供給されても良い。
あるいは、転写工程は、以下のように、中間転写手段を用いて行われても良い。つまり、中間転写手段(図示せず)を有する電子写真装置では、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、電子写真感光体1から中間転写手段の表面に中間転写手段が具備する電圧印加手段が印加する電圧により、各色順次転写される。中間転写手段に転写されたトナー像は、引き続き、二次転写手段(図示せず)との間に電子写真感光体1の回転に同期して供給された転写材7の表面に、順次転写される。この際、非接触式の転写手段4-1あるいは接触式の転写手段4-2の具備する電圧印加手段が印加する電圧により転写は行われる。
これらの転写手段が具備する電圧印加手段は、公知の電圧印加手段を用いてもよく、電子写真感光体の磨耗を低減させる観点から、コロナ帯電機を用いることが好ましい。
トナー像が転写された転写材7は、転写材7の未定着状態のトナー像を定着する像定着手段8に導入された像定着を受けた後、画像形成物(コピー)として機外へ出力される。なお、像定着手段8は、転写材7に存在する未定着トナーを転写材7に定着させ得る手段であれば特に制限されない。例えば、転写材7を加熱するためのヒータを内蔵する定着ローラと、定着ローラに向けて転写材7を押圧するための加圧ローラとを有しても良い。
一方、トナー像を転写した後の電子写真感光体1は、電子写真感光体1の表面に当接するクリーニングブレードを有するクリーニング手段5により、電子写真感光体1の表面に残存するトナー(残トナー)の除去を受け、清浄面化される。その後、電子写真感光体1の表面に、さらに前露光手段6により除電処理されて繰り返して像形成に使用される。
本発明による電子写真装置は、前述の関係を満たす電子写真感光体、及び前述した手段以外の手段をさらに有してもよい。他の手段としては、転写後又はクリーニング後の電子写真感光体の静電履歴を消去するための光を照射する前露光手段等の、電子写真の形成に関する種々の公知の手段が挙げられる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<感光体製造例1>
直径 30 [mm]、長さ 357.5 [mm] の鏡面加工を施したアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、下記成分をメタノール 400 [部]/n-ブタノール 200 [部] の混合液に溶解した溶液を、アルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布した。次いで、温度 100 [℃] のオーブンで 30 分間加熱乾燥し、膜厚が 0.45 [μm] の中間層を形成した。
・共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製) 10 [部]
・メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF-30T、帝国化学(株)製) 30 [部]
次に、下記成分からなる混合液を、直径 1 [mm] のガラスビーズを用いたサンドミル装置で 4 時間分散した後、酢酸エチル 700 [部] を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
・CuKα特性X線回折のブラッグ角 2θ±0.2°の 7.4°及び 28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン 20 [部]
・下記化学式で示されるカリックスアレーン化合物 0.2 [部]
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学(株)製) 10 [部]
・シクロヘキサノン 600 [部]
これを、浸漬コーティング法で、上記中間層上に塗布し、温度 80 [℃] のオーブンで 15 分間加熱乾燥することにより、膜厚が 0.17 [μm] の電荷発生層を形成した。
次いで、下記成分をモノクロロベンゼン 600 [部] 及びメチラール 200 [部] の混合溶媒中に溶解して、電荷輸送層用塗料を調製した。
・下記化学式2で示される正孔輸送性化合物 70 [部]
・ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製) 100 [部]
このように調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、温度 100 [℃] のオーブンで 30 分間加熱乾燥することにより、膜厚が 15 [μm] の電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体の最表面層に KrF エキシマレーザ(波長 248 [nm]、パルス幅 17 [ns])を用いて凹凸部を形成した。このとき、異なる配列マスクパターンを用いて、2度レーザ加工を行い、異なる周期を持つ粗さ形状を重畳して、感光体1を作製した。
1度目のレーザ加工では、図9 i) に示すような、レーザ光透過部 a が 60 [μm] 間隔で配列しており、透過部 a と遮蔽部 b のマスクの厚みが連続的に変化している配列パターンを有するクロムマスクを用いた。照射エネルギーは 0.89 [J/cm2] とし、1回照射あたりの照射面積は 1.4 [mm] 四方とした。図6 iv) に示すように、感光体fを回転させ、照射位置を軸方向にずらしつつ照射を行った。
2度目のレーザ加工では、図9 ii) に示すような、レーザ光透過部の配列周期が 12 [μm] であること以外は1度目に用いたのと同様のマスクを用いた。照射エネルギーは 0.89 [J/cm2] とし、1回あたりの照射面積は 1.4 [mm] 四方とした。図6 iv) に示すように、感光体fを回転させ、照射位置を軸方向にずらしつつ照射を行った。
得られた電子写真感光体の最表面凹凸形状を、走査型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察したところ、図2 i) d) に示した形状と定性的に同様のものが形成されていることを確認できた。Rmk(L) を計算したところ、図2 ii) d) に示したグラフと同様に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (L [μm]) から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) 以下かつ該最大値 (Rmk,max [μm]) の3分の2以上の平均局所高低差 (Rmk [μm]) が発現した。すなわち、ランダムネスの有る粗さ形状が得られた。また、Rmk,max、Rmk,max が発現する算出長さ:Lm、Rmk,ave,l はそれぞれ 0.16 [μm], 6.0 [μm], 0.096 [μm] であった。
得られた電子写真感光体の表面形状の十点平均粗さ:Rzjis と粗さ曲線要素の平均長さ:Rsm を測定したところ、それぞれ 2.4 [μm], 4.0 [μm] であった。測定は JIS-B0601 (1994) に準じ、(株)小坂研究所製の表面粗さ計サーフコーダー SE3500 を用い、送り速度 0.1 [mm/s]、カットオフ λc 0.08 [mm]、測定長さ 2.50 [mm] の設定で行った。
前記電荷輸送層用塗料を用いて、ガラス基板上に電荷輸送層を塗工し、温度 100 [℃] のオーブンで 30 分間加熱乾燥することにより、膜厚が 10 [μm] の塗膜を形成した。この塗膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ、屈折率:n は 1.59 であった。
これら感光体1の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l 、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1にまとめる。
<感光体製造例2>
感光体製造例1において、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーを、共に 0.78 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例1と同様にして、感光体2を作製した。感光体2の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例3>
感光体製造例1において、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーを、共に 0.36 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例1と同様にして、感光体3を作製した。感光体3の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率測定結果を、表1に示す。
<感光体製造例4>
直径 30 [mm]、長さ 357.5 [mm] の鏡面加工を施したアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、下記の成分からなる溶液を、ボールミルを用いて約 20 時間分散し、導電層用塗料を調製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
このようにして調製した導電層用塗料をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、温度 140 [℃] のオーブンで 1 時間加熱硬化することにより、膜厚が 15 [μm] の導電層を形成した。
次に、導電層の上に、感光体製造例1と同様にして、中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に形成する。
次に、分散剤として、下記成分を 1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製) 20 [部] 及び 1-プロパノール 20 [部] の混合溶剤に溶解した。
・フッ素原子含有樹脂(商品名:GF-300、東亞合成(株)製) 0.5 [部]
この溶液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザー M-110EH、米 Microfluidics 社製)で 58.8 [MPa](600 [kgf/cm2])の圧力で4回の処理を施し均一に分散させた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)を用いて濾過を行い、潤滑剤分散液を作製した。その後、この潤滑剤分散液に、下記成分を加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF-020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
・下記化学式3で示される正孔輸送性化合物 90 [部]
・1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン 70 [部]
・1-プロパン−ル 70 [部]
この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に第二電荷輸送層塗料を塗布した後、大気中温度 50 [℃] のオーブンで 10 分間乾燥した。その後、窒素中において加速電圧 150 [KV]、ビーム電流 3.0 [mA] の条件でシリンダーを 200 [rpm] で回転させながら 1.6 秒間電子線照射を行った。引き続いて窒素中において温度 25 [℃] から温度 125 [℃] まで 30 秒かけて昇温させ硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15 [KGy] であった。また、電子線照射及び加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は、それぞれ 15 [ppm] 以下であった。その後、大気中において、上記の通り硬化反応を行ったシリンダーを温度 25 [℃] まで自然冷却し、温度 100 [℃] のオーブンで 30 分間の大気中後加熱処理を行って、膜厚 5 [μm] の第二電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体の最表面層に、感光体製造例1と同様のレーザ加工を行って感光体4を作製した。ただし、1度目のレーザ加工で用いるマスクパターンのレーザ光透過部の配列周期と照射エネルギーをそれぞれ 30 [μm] と 0.26 [J/cm2] に変えた。また、2度目のレーザ加工で用いるマスクパターンのレーザ光透過部の配列周期と照射エネルギーをそれぞれ 9 [μm] と 0.34 [J/cm2] に変えた。
感光体4の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例5>
感光体製造例4において、電荷輸送層上に第二電荷輸送層を設けず、電荷輸送層上に以下のようなレーザ加工を施した以外は感光体製造例4と同様にして、感光体5を作製した。すなわち、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーをそれぞれ 0.13 [J/cm2] と 0.17 [J/cm2] とした。感光体5の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例6>
感光体製造例5において、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーをそれぞれ 0.21 [J/cm2] と 0.27 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例5と同様にして、感光体6を作製した。感光体6の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例7>
感光体製造例5において、レーザ加工を以下のように変更した以外は感光体製造例5と同様にして、感光体7を作製した。すなわち、2度目のレーザ加工に用いるマスクパターンのレーザ光透過部の配列周期を 6 [μm] にし、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーを共に 0.27 [J/cm2] とした。感光体7の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例8>
感光体製造例5において、最表面層に粗さ形状を設ける際にレーザ加工を行わず、以下に示すようにモールドによる圧接形状転写加工を行ったこと以外は感光体製造例5と同様にして、感光体8を作製した。
まず、下記の成分からなる溶液を、ボールミルを用いて約 20 時間分散し、モールド作製用塗料を調製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 2 [μm](商品名:SSX-102、積水化成品工業(株)製) 6 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 3 [μm](商品名:SSX-103、積水化成品工業(株)製) 6 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
このようにして調製したモールド作製用塗料を、アルミニウムシリンダーに巻きつけたアルミシート上に浸漬法によって塗布した。次いで、温度 140 [℃] のオーブンで 1 時間加熱硬化させ、アルミシート上に膜厚が 14 [μm] のフェノール樹脂層を形成した。これをアルミニウムシリンダーから剥がすことにより、表面に粗し形状を持つモールドが得られる。
次に、感光体の最表面に対して、図7 ii) に示した圧接形状転写加工装置に上記のようにして得られたモールドを設置し、圧接形状転写加工を行った。加圧部分の最表面層の温度が 110 [℃] となるように電子写真感光体及びモールドの温度を制御し、4.9 [MPa](50 [kgf/cm2])の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させて形状転写を行った
感光体8の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例9>
感光体製造例4と同様にして、アルミニウムシリンダー上に導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に形成する。
次に、下記の成分からなる溶液を、サンドミルを用いて 66 時間分散し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
・下記化学式4で示される6官能アクリル系モノマー 20 [部]
・下記化学式5で示される2官能アクリルモノマー 5 [部]
・酸化チタン(商品名:AMT-100、テイカ(株)製) 32 [部]
・2-メチルチオキサンソン 18 [部]
・エタノール 150 [部]
この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に第二電荷輸送層塗料を塗布した後、高圧水銀灯にて 800 [W/cm2] の光強度で 60 秒間光硬化を行った。その後 120 [℃] で 2 時間熱風乾燥して、膜厚 5 [μm] の第二電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体の最表面層に対して、以下に示すモールドを使って圧接形状転写加工を行い、感光体9を作製した。すなわち、モールド作製用塗料の組成を以下のようにし、アルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 21 [μm] に変えたこと以外は感光体製造例8と同様にしてモールドを作製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 3 [μm](商品名:SSX-103、積水化成品工業(株)製) 7 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 4 [μm](商品名:SSX-104、積水化成品工業(株)製) 7 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
感光体9の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率測定結果を、表1に示す。
<感光体製造例10>
感光体製造例4において、2度目のレーザ加工を行わず、1度目のレーザ加工における照射エネルギーを 0.66 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例4と同様にして、感光体10を作製した。感光体10の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例11>
感光体製造例1において、最表面層に粗さ形状を設ける際にレーザ加工を行わず、以下に示すように作製したモールドを用いて圧接形状転写加工を行ったこと以外は感光体製造例1と同様にして、感光体11を作製した。
モールドは、モールド作製用塗料の組成を以下のようにし、アルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 18 [μm] に変えたこと以外は感光体製造例8と同様にして作製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製) 2.4 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
感光体11の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例12>
感光体製造例9において、最表面層に粗さ形状を設ける際にモールドによる圧接形状転写加工を行わず、以下に示すようなレーザ加工を行ったこと以外は感光体製造例9と同様にして、感光体12を作製した。
レーザ加工は、感光体製造例4において、2度目のレーザ加工を行わず、1度目のレーザ加工における照射エネルギーをそれぞれ 1.1 [J/cm2] にしたこと以外は感光体製造例4と同様にして行った。
感光体12の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例13>
感光体製造例1において、レーザ加工を以下のように変更した以外は感光体製造例1と同様にして、感光体13を作製した。すなわち、1度目と2度目のレーザ加工に用いるマスクパターンのレーザ光透過部の配列周期をそれぞれ 300 [μm] と 6 [μm] にし、照射エネルギーをそれぞれ 0.58 [J/cm2] と 0.14 [J/cm2] とした。感光体13の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例14>
感光体製造例1において、2度目のレーザ加工を行わず、1度目のレーザ加工における照射エネルギーを 0.72 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例1と同様にして、感光体14を作製した。感光体14の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例15>
感光体製造例11において、モールド作製用塗料の組成を以下のように変更し、アルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 15 [μm] に変えたこと以外は感光体製造例11と同様にして、感光体15を作製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 4 [μm](商品名:SSX-104、積水化成品工業(株)製) 12 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
感光体15の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例16>
感光体製造例4において、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーをそれぞれ 0.24 [J/cm2] と 0.32 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例4と同様にして、感光体16を作製した。感光体16の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例17>
感光体製造例5において、1度目と2度目のレーザ加工における照射エネルギーをそれぞれ 0.1 [J/cm2] と 0.13 [J/cm2] に変えた以外は感光体製造例5と同様にして、感光体17を作製した。感光体17の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率測定結果を、表1に示す。
<感光体製造例18>
感光体製造例5おいて、レーザ加工を以下のように変更した以外は感光体製造例5と同様にして、感光体18を作製した。すなわち、1度目と2度目のレーザ加工に用いるマスクパターンのレーザ光透過部の配列周期をそれぞれ 60 [μm] と 9 [μm] にし、照射エネルギーをそれぞれ 0.17 [J/cm2] と 0.22 [J/cm2] とした。感光体18の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例19>
感光体製造例8において、モールド作製用塗料の組成を以下のように変更し、アルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 35 [μm] に変えたこと以外は感光体製造例8と同様にして、感光体19を作製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 3 [μm](商品名:SSX-103、積水化成品工業(株)製) 7 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 4 [μm](商品名:SSX-104、積水化成品工業(株)製) 7 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
感光体19の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例20>
感光体製造例8において、モールドを作製する際にアルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 18 [μm] に変えた以外は感光体製造例8と同様にして、感光体20を作製した。感光体20の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<感光体製造例21>
感光体製造例9において、モールド作製用塗料の組成を以下のように変更し、アルミシート上に形成するフェノール樹脂層の膜厚を 17 [μm] に変えたこと以外は感光体製造例9と同様にして、感光体21を作製した。
・酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製) 60 [部]
・酸化チタン(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製) 15 [部]
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分 70 [質量%]) 43 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 2 [μm](商品名:SSX-102、積水化成品工業(株)製) 6 [部]
・ポリメタクリル酸メチル樹脂:粒径 4 [μm](商品名:SSX-104、積水化成品工業(株)製) 6 [部]
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製) 0.015 [部]
・2-メトキシ-1プロパノール 60 [部]
・メタノール 40 [部]
感光体21の Rmk,max、Lm、Rmk,ave,l、粗さ、及び屈折率の測定結果を表1に示す。
<評価装置製造例1>
画像出力には、キヤノン株式会社製複写機「imageRUNNER ADVANCE iR-ADV C5051」の改造機(1200 [dpi] の1ラインを像露光として感光体に書き込めるよう改造)を用いた。この複写機のカラー画像出力用ドラムに対する帯電手段は、帯電ローラーを備えた接触帯電手段であり、帯電ローラーには直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。露光光(画像露光光)としては発振波長 0.780 [μm] の半導体レーザを用い、光量が可変となるようにした。こうして、評価機1を作製した。
<評価装置製造例2>
評価機1において、像露光用の半導体レーザを発振波長 0.407 [μm] の半導体レーザに変更し、評価機2を作製した。
<評価装置製造例3>
評価機1において、像露光用の半導体レーザを発振波長 0.655 [μm] の半導体レーザに変更し、評価機3を作製した。
<評価装置製造例4>
評価機1において、像露光用の半導体レーザを発振波長 0.850 [μm] の半導体レーザに変更し、評価機4を作製した。
〔実施例1〕
感光体製造例1で得た感光体1を評価機1に装着し、以下のように評価を行った。
まず、温度 23 [℃]/相対湿度 50 [%] 環境下で、電子写真感光体の暗部電位が -700 [V]、明部電位が -200 [V] となるように電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、ベタ黒の画像出力濃度が D = 1.4 となるように現像設定を行った上で、外部コントローラより出力解像度 1200 [dpi] の下記の各画像チャートを出力した。
1ドットを桂馬パターンで印字したハーフトーン
1ライン-1スペース (1L1S)
干渉縞の評価は、ハーフトーン画像に対して下記の基準に従って行った。評価結果を表2に示す。
a:干渉縞が全く無い
b:干渉縞がほとんど無い
c:干渉縞がわずかに観測される
d:干渉縞が観測される
e:干渉縞がはっきりと観測される
感度ムラによる画質劣化の評価は、1ライン-1スペース画像を光学顕微鏡により100倍に拡大して、ライン再現性を下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
A:非常に明瞭
B:明瞭
C:ラインが一部不明瞭
D:ラインが不明瞭
E:ライン判別が困難
本実施例においては、ハーフトーン画像に対して干渉縞はほとんど観察されず、画質劣化は起こらなかった。また、感度ムラによる画質劣化に関しては、1200 [dpi] の1ライン1スペースの画像に関して明瞭に再現されており、良好な解像力を有する感光体が得られていることが分かった。
〔実施例2〜15〕
画像出力に用いる感光体及び評価機を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして画像出力試験を行い、評価した。
〔比較例1〜12〕
画像出力に用いる感光体及び評価機を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして画像出力試験を行い、評価した。これらの比較例においては、ハーフトーン画像に対して干渉縞が観測されており、画質劣化が起こっている。そのため、実施例と比較して解像度の低い感光体しか得られていないことが分かる。
図10に、実施例1, 2, 4〜7, 10〜15及び比較例8〜11で用いた像露光用の半導体レーザの発信波長と感光体についてのRmk,maxとの関係を示す。図10は横軸をレーザの発信波長、縦軸を Rmk,max としてプロットしたグラフである。グラフ中の小文字アルファベットは、前に定義した干渉縞評価基準である。また、グラフ中の直線は、下式
において、n = 1.59 を代入したものである。
図10より、電子写真感光体の最表面形状が上式を満たすとき、確かに干渉縞の発生による画質劣化が起こっていないことが分かる。
1 感光体
1a 軸
2−1 非接触式の帯電手段
2−2 接触式の帯電手段
3 現像手段
3−1 現像スリーブ
4−1 非接触式の転写手段
4−2 接触式の転写手段
5 クリーニング手段
6 前露光手段
7 転写材
8 定着手段
a レーザ光透過部
b レーザ光遮蔽部
c エキシマレーザ光照射器
d ワーク回転用モータ
e ワーク移動装置
f 感光体ドラム
A 加圧装置
B モールド
C 感光体

Claims (4)

  1. 波長:λ[μm]のレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有する電子写真装置であり、
    該電子写真感光体は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順で設けてなり、
    該電子写真感光体は、平均局所高低差(Rmk[μm])の算出長さ(L[μm])依存性を示すグラフにおいて、平均局所高低差(Rmk[μm])の最大値(Rmk,max[μm])が発現した算出長さ(Lm[μm])から0.1倍以下或いは10倍以上離れた算出長さの領域に、平均局所高低差(Rmk[μm])の最大値(Rmk,max[μm])以下かつ該最大値(Rmk,max[μm])の3分の2以上の平均局所高低差(Rmk[μm])が発現し、かつ、下記式(1)
    (式中、λはレーザ光の波長[μm]を示し、nは電子写真感光体の最表面層の屈折率を示す)を満たす最表面形状を有し、
    該最表面形状は、異なる周期を持つ複数の正弦波(余弦波)が重畳されている表面粗さ形状であることを特徴とする電子写真装置。
  2. 前記最表面形状は、前記平均局所高低差(Rmk [μm]) の前記算出長さ (L [μm]) 依存性を示す関数Rmk(L)において、該Rmk(L)の重み付け平均値Rmk,ave,lが0.085 [μm] 以下である請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が発現した算出長さ (Lm [μm]) が10 [μm] 以下である請求項1または2に記載の電子写真装置。
  4. 平均局所高低差 (Rmk [μm]) の最大値 (Rmk,max [μm]) が0.18 [μm] 以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
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