JP5935393B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、2種の熱可塑性樹脂を交互に積層した積層フィルムに関するものである。
異種のポリマーを光の波長レベルの層厚みで交互に数百〜数千層積層した積層フィルムは、光の干渉現象を利用することによって、光の反射/透過の波長の選択性の特徴を有したフィルムとして知られている(特許文献1、2)。近年、この特性を活かし、当該フィルムは様々な用途で利用されつつある。例えば、ディスプレイ用途では、LCDの反射フィルムや輝度向上フィルム(特許文献3)、装飾・意匠用途では、包装用フィルム、自動車・家電製品などの加飾・成形フィルム、偽造防止フィルム(特許文献4)、建材用途では、近赤外線カットフィルタ(特許文献5、特許文献6、特許文献7)など種々の用途への展開が図られている。
しかしながら、これらの積層フィルムは、多数層の界面での光干渉を利用しているため、フィルム表面に干渉縞(ニュートン環)が発生し易く、係る干渉縞が出難いフィルムが求められている。この問題に対して、例えば、表面の粗面処理や複数の粒子を添加した層を設けるポリマー光学フィルムが開示されている(特許文献8)。しかしながら、これは、干渉縞は軽減できるものの、外観がマット調となり、金属メッキのような光沢感を損なうこととなって十分な改善には至っていない。
特開平3−41401号公報 特開平4−295804号公報 特表平9−506837号公報 特開2004−249587号公報 国際公開第2005/040868号パンフレット 特表2008−528313号公報 特表2002−509280号公報 特表2003−510629号公報
本発明は、金属メッキ調の光沢感を維持しながらも干渉縞の発生が著しく低減できる積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、干渉反射現象を利用した積層フィルムに良くみられる干渉縞は、ニュートン環で知られる面内位置での厚み方向の光路長差に基づく等厚干渉縞ではなく、ハイディンガー環で知られる光の入射角度の違いによる光学距離差に基づく等傾角干渉縞であることを突き止めた。この知見に基づき、正反射性の強い多数層からなる積層フィルムにおいて、その分光反射率曲線にみられる振動波形は、光源の輝線スペクトルとの関係が光の入射角度によって変化することで、強い複数色の干渉縞模様へ発展するとの考えに至った。すなわち、光源からの赤色、緑色、青色の複数の輝線スペクトルの強度バランスが、光の入射角度に依存して変化することで、フィルムを目視したときに、入射角度に依存した様々な色の干渉模様を認識するのである。
等傾角干渉縞について更に詳しく説明する。光源から放たれた拡散光は、種々の入射角度で積層フィルムへ進入し、積層フィルムの表面で正反射される。フィルム面内の異なる位置であっても、同じ入射角度で進入した光は、人間の目、すなわち、網膜(レンズの働きをする水晶体)を通して、同じ立体角で結像するため、真上からみると同心円状の干渉模様となり、動径方向の干渉模様は、目視の焦点距離、積層フィルムへの光の入射角および干渉の次数と深く関係する。また、斜めからみると、帯状の干渉模様となる。従って、積層フィルムにおいては、分光特性の入射角度依存性を抑制し、また、同じ立体角で結像させない構造とすることが、この等傾角干渉縞を抑制することに有効であるとのコンセプトを創案した。
そして、この光の入射角度による色変化を抑え、好ましく積層フィルムの積層界面あるいは表面にうねり構造を導入するなどすることで、適度に正反射性を維持したまま、同じ立体角で結像させない積層フィルムの発明に至った。
すなわち、本発明が本旨とするところは、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が、各層の厚みが20nm〜500nmとなる範囲で交互に少なくとも30層積層された積層構造を含む積層フィルムであって、分光反射率曲線から導出された振動波形において、式(1)で表される振動波形の振幅ΔRが10%以下であり、明度L*(SCI)が35以上であり、明度L*(SCE)が35以下であり、前記A層またはB層のうち少なくとも3層に粒子が含有され、前記粒子を含有する層を構成する熱可塑性樹脂の屈折率と当該層に含まれる粒子の屈折率の差が0.005以下であり、好ましく、前記A層とB層の内、少なくとも3層に粒子が含有され、フィルム面に対して垂直に切り出して観察される垂直断面の写真において該粒子が含有された層の断面の単位面積あたりに占める粒子部分の面積が1%以上であり、また、さらに幾つかの好ましい態様が含まれる。
ΔR=(Rmax−Rmin)/2(%) (1)
(ここで、振動波形とは、1nm刻みの波長にて求めた分光反射率曲線について、各測定点を対象に20点移動平均処理を行って20点移動平均分光反射率曲線を求め、該20点移動平均処理の前後の分光反射率曲線の差分をとって得た曲線の波長400〜700nmの範囲の曲線をいい、Rmax、Rminは、それぞれ振動波形に見られる反射率差の最大値と最小値を指す。)
外装として貼り合わせることで、携帯電話、パソコン、洗濯機などの情報通信機器や家電製品の意匠性の向上、また、ディスプレイなどの光学フィルタ用途、建材用途および自動車用途に有用な、干渉縞の発生が著しく抑えられ、金属メッキのような光沢感を持った積層フィルムを提供することができる。
振動波形を求める過程の説明図であり、(a)積層フィルムの分光反射率曲線、(b)20点移動平均処理した後の分光反射率曲線、(c)振動波形 本発明に係る粒子を含有する積層フィルムの積層断面の模式図 本発明の積層フィルムの製造方法の一例を説明する説明図であり、(a)は装置の概略正面図、(b)、(c)、(d)はそれぞれL−L’、M−M’、N−N’で切った樹脂流路の断面図である 本発明に係る積層フィルムの層の並び順−層厚みの関係(層厚み分布)の例 本発明に係る積層フィルムの分光反射率曲線とこれに着色層を設けた積層フィルムの分光反射率曲線の例
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が、各層の厚みが20nm〜500nmとなる範囲で交互に少なくとも30層以上からなる積層構造を含むフィルムであって、分光反射率曲線から導出された振動波形において、式(1)で表される振動波形の振幅ΔRが10%以下であり、明度L*(SCI)が35以上であり、明度L*(SCE)が35以下であることを特徴とする。
ΔR=(Rmax−Rmin)/2(%) (1)
(ここで、振動波形とは、1nm刻みの波長にて測定した分光反射率曲線について、各測定点を対象に20点移動平均処理を行って20点移動平均分光反射率曲線を求め、該20点移動平均処理前後の分光反射率曲線の差分をとって得た曲線の波長400〜700nmの範囲の曲線をいい、Rmax、Rminは、それぞれ振動波形に見られる反射率差の最大値と最小値を指す。)。
本発明の積層フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、押出成形が良く、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマー、さらには混合物であってもよい。
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの組合せは、積層構造を形成する工程での積層不良を少なくする観点から、相溶性の良い樹脂の組合せを用いることが重要である。相溶性が悪い樹脂の組合せでは、積層構造の形成工程で、ポリマー流路内で層流が形成され難く、フローマークなどの積層不良を誘発し、積層ムラの発生、すなわち各層における厚みの均一性が損なわれることがある。樹脂の組合せの指標としては、相溶性パラメータδが近い樹脂を用いることが好ましく、特に、この相溶性パラメータδの絶対値の差が2以下であることが好ましい。より好ましくは相溶性パラメータδの絶対値の差が1以下である。
係る樹脂の組合せは、共通する基本骨格を含む樹脂を選択して用いることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレート単位が基本骨格である。この場合、共通する基本骨格を有する樹脂としてはエチレンテレフタレート単位と他のエステル繰り返し単位との共重合体が代表的な例である。共通する基本骨格を含む樹脂を用いると、フローマークなどの積層不良が抑制できるだけでなく、成形後の層間での剥離などの問題が生じにくくなる。積層不良が起こり難い観点から、A層にはポリエチレンテレフタレート、B層にはその共重合体の組み合わせが最も好ましい。その共重合体とは、シクロヘキサンジメタノール成分を5〜40モル%共重合したポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジカルボン酸成分を5〜40モル%、あるいはスピログリコール成分5〜40モル%共重合したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。さらに、積層不良を起こし難くする観点から、B層は、ポリエチレンテレフタレートとその共重合体の混合物とすることが好ましい。A層と同一樹脂をB層に添加することで、よりA層との界面での親和性が増すためである。
熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bかなる層(B層)の各層の厚みは、20nm〜500nmの範囲である。層の厚みが500nmを越えると、一般に熱可塑性樹脂の屈折率は1.3〜1.8程度であるため、干渉反射理論から、可視光領域に低次の反射が発現せず、高い光沢感が得られない。一方、20nm未満でも同様の理由により、光沢感が得られない。より好ましくは、40nm〜200nmの範囲とすることである。なお、隣接するA層とB層の厚みの和としては殆ど若しくは全て可視光の波長(短波長側は360nm〜400nmから長波長側は760nm〜830nm)の1/2の範囲に設計される。
本発明では、前記の層厚みを有するA層とB層は、交互に少なくとも30層積層されていることが必要である(かかるA層とB層が交互に積層された構成を積層構造と称する)。層数は、望ましくは、可視光領域に均一な反射率を実現させる観点から、500層以上である。前記の層厚みを有するA層とB層の積層数が30層未満であると、高い反射率を発現することが困難であり、光沢感が得られない。前記の層厚みを有するA層とB層は層数は多い方が望ましく、層数の上限に特に制限はないが、反射率は100%が上限であるため、層数を増やしてゆくにつれて反射率の向上効果の増分は低減してゆくので、実用的にはA層,B層それぞれ3000層程度が目安である。また、A層同士が積層された場合、干渉反射に必要な異種界面が生成されないため、A層とB層は、交互に積層されることが必要である。
本発明の積層フィルムは、分光反射率曲線から導出された振動波形において、式(1)で表される振動波形の振幅ΔRが10%以下であることが必要である。
ΔR=(Rmax−Rmin)/2(%) (1)
(ここで、振動波形とは、1nm刻みの波長にて測定して求めた分光反射率曲線について、各測定点を対象に20点移動平均処理を行って20点移動平均分光反射率曲線を求め、該20点移動平均処理の前後の分光反射率曲線の差分をとって得た曲線の波長400〜700nmの範囲の曲線をいい、Rmax、Rminは、それぞれ振動波形に見られる反射率差の最大値と最小値を指す。)
本発明でいう振動波形は、分光光度計により1nm刻みの波長で得られた分光反射率曲線について、各測定点を対象に20点移動平均処理を行って20点移動平均分光反射率曲線を求め、該20点移動平均処理の前後の分光反射率曲線の差分をとって得た曲線から400nm〜700nmの範囲の曲線をいう。
フィルムの設計において20点移動平均処理を行うことの意義は、本願発明が課題解決の対象とする干渉縞に影響を与える短周期の振動を有する分光反射率曲線が少なくとも20nmの周期を有していることを本発明者らが見出し、少なくとも波長20nmの幅で反射率を平準化すればこの短周期振動の要素はキャンセルされることとなり、係る短周期の振動が除かれた分光反射率曲線として得ることができるからである。
本発明でいう振動波形を求める手順を、図を用いて説明する。
まず、図1(a)は1nm刻みの波長にて、少なくとも380〜720nmの範囲を含むように測定して求めた分光反射率曲線(各測定点間は補完して示している)の波長400〜700nmの部分を抜き出した図である。そして図1(b)は各測定点を対象に先に説明した20点移動平均処理を行い、さらに補間処理を行って求めた20点移動平均分光反射率曲線である。この20点移動平均処理は、連続する20の測定点における反射率の平均値を10番目と11番目の測定点に対応する波長の真ん中の波長における20点移動平均反射率とする演算処理であり、具体的には、例えば、250nmから269nmの20点に対応する反射率の平均を259.5nmにおける20点移動平均反射率として算出するものである。そして、図1(a)の分光反射率曲線から図1(b)の20点移動平均分光反射率曲線の差分を求めたものが図1(c)である。この図1(c)に示される波形の内、波長400〜700nmの範囲の波形を本発明でいう振動波形という。また、振動波形において最大値Rmaxと最小値Rminの差に1/2を乗ずることで、振動波形の振幅ΔR(%)を求めることができる。
波長400〜700nmにおける振動波形の振幅ΔRが10%以下であると、光の入射角度に依存した等傾角干渉縞の明暗コントラストを弱める作用がある。ΔRは、より好ましくは7%以下であり、さらに好ましくは4%以下である。分光反射率曲線を求めるに際しての、分光光度計のスリット巾は、5nm以上8nm以下で測定する。赤外領域のスリット巾は、光源側の強度が弱いため、10nm〜20nmが好ましい。
本発明の積層フィルムは、明度L*(SCI)が35以上であり、明度L*(SCE)が35以下であることが必要である。ここで、SCIとSCEとは、反射光を対象とした明度の測定の方式のことである。検出側に光トラップがあり、正反射光を除去して色を測る方法をSCE(正反射光除去)方式といい、光トラップがなく正反射光を除去せずに色を測る方法をSCI(正反射光込み)方式という。明度L*(SCI)が35未満であると、光沢感が得られない観点から、より好ましくは、50以上、さらに好ましくは、70以上である。一方、明度L*(SCE)が、35を越えると、正反射光に比べて拡散反射光が支配的となり、積層フィルム表面が白っぽく、マット感がでてくるため、光沢感が失われる。より好ましくは、25以下であり、さらに好ましくは、20以下である。
本発明の積層フィルムは、波長550nmの直線偏光の光をフィルム表面に対して入射角0°で照射し、該積層フィルムを入射光軸を中心に360°回転させたときに回転の過程で観測される当該直線偏光の光の反射率(%)の最小値と最大値の差が30%以上であることが好ましい。積層フィルムの透過光・反射光が、偏光特性をもつと、フィルム面内方向において、偏波の異なる光同士の干渉が起こり難くなるため、等傾角干渉縞が起こりがたくなる。より好ましくは、前記の最小値と最大値の差は70%以上である。係る特性を具備させるには、フィルム長手方向の延伸倍率と横手方向の延伸倍率の比を、1.25以上とするか、一軸方向に延伸倍率3倍以上で延伸することで達成できる。より好ましくは、4倍以上の一方向のみの一軸延伸である。
本発明の技術思想は、従来の特許文献8に記された散乱体としての粒子添加によるもの、すなわち、拡散反射によって干渉距離をランダム化して、振動波形の振幅ΔRを低減する技術思想とは異なる。なぜなら、本発明は、粒子とそれを取り囲む樹脂との界面の屈折率差による光散乱現象を抑制する技術思想であるからである。一方、従来技術に係る手法では、積極的に光散乱現象を発現させため、フィルムの質感がマット調となり、光沢感を保持できない。
本発明の積層フィルムは、積層されたA層とB層の界面に凹凸状のうねり構造を形成し、フイルム面内上の微視的な位置間で、おのおのの層厚み分布を異ならせしめる。すなわち、微視的な領域間で、おのおのの分光反射率曲線は異なるが、巨視的な視野領域では、分光反射率曲線は平均化され、正反射性を維持したまま、振動波形の振幅を小さくできるものである。ここで、微視的とは、ミクロンオーダ以下の領域であり、目視が困難な尺度である。巨視的とは、目視可能な領域である。
積層されたA層とB層の界面にうねり構造を形成する方法としては、A層若しくはB層を構成するマトリックス樹脂、つまり熱可塑性樹脂A若しくは熱可塑性樹脂B、に粒子を含有せしめることによって形成することができる。
前記の粒子としては、有機系あるいは無機系の粒子が挙げられる。その形状としては、凝集粒子、真球状粒子、数珠状粒子、コンペイトウ状粒子、鱗片状粒子などの粒子を使うことができる。また、その材質としては、無機系粒子としては、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、アルミナ、セリナイト、酸化珪素(シリカ)、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、珪酸アルミニウム、マイカ、パールマイカ、ろう石クレー、焼成クレー、ベントナイト、タルク、カオリン、その他の複合酸化物等を用いることができる。一方、有機系粒子としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など特に制限されないが、粒子が含有される層を構成する樹脂(熱可塑性樹脂A若しくは熱可塑性樹脂B)がポリエステルの場合、架橋ポリエチレン、架橋または無架橋のポリスチレン樹脂、架橋ないし無架橋アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、フマール酸アミドなどの各種アミド化合物でできた粒子やアクリルビーズを挙げることができる。特に、ポリスチレン樹脂系共重合体では、スチレン-エチレンブチレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、メタクリル酸-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)などを好ましく挙げることができる。特に、架橋粒子と、その同成分の無架橋の共重合体を併用することが好ましい。例えば、本発明の有機系粒子が、MBS共重合体マトリックス中に存在する架橋MBS粒子の凝集体である場合、製膜工程の延伸挙動に対応して、粒子形状が変形するため、空隙が形成され難く、光散乱因子を抑制できる。好ましい一次粒子径は、1μm以下である。より好ましくは、0.5μm以下である。
前記うねり構造を形成する上で、重要な点は、フィルム表面が光散乱により白濁しないように、粒子による拡散反射を抑制することである。従って、マトリックス樹脂と粒子の屈折率を整合させ、かつ、粒子とマトリックス樹脂界面に空隙を形成させないようにすることが望ましい。すなわち、粒子を含有する層を構成する樹脂(熱可塑性樹脂Aもしくは熱可塑性樹脂B)の屈折率と粒子の屈折率との差が0.01以下であることが好ましい。該屈折率差が、0.01を越えると、粒子が散乱体として機能するため、拡散反射が見られるようになり光沢性の観点から好ましくない。好ましい屈折率差は、0.005以下、さらに好ましくは、0.003以下である。ここで、屈折率差とは、波長590nmで求めた屈折率の差のことであり、屈折率の測定方法としては、ナトリウムランプD線を用いたアッベの屈折率計、あるいは、プリズムカプラー法によって小数点以下3桁まで精度良く測定することができる。直接、粒子とマトリックス樹脂となる層の屈折率を測定することは、困難であるため、粒子、および層を構成するマトリックス樹脂単独のフィルムを作製して測定する。
また、界面におけるうねりの形成が容易であるので、図2に示されるように、層中に分散される粒子の厚み方向の径は該粒子が含有された層の最小厚みよりも大きいことが望ましい。粒子の周りに空隙を形成することなく、うねりを効果的に形成する観点から、厚み方向のその平均二次粒径は、0.05μm以上5μm以下が好ましい。より好ましくは、0.1μm以上1.4μm以下である。さらに好ましくは、0.15〜0.8μmである。平均粒径は、フィルム断面を透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡で観察して得られた画像を用い求めることができる。粒子の占有面積率を求めるのと同様に、画像処理ソフトを用いて求めても良い。A層とB層の厚みは、20nm〜500nm範囲にあるため、前記範囲であるとA層とB層の界面においてうねり構造を形成し易くなる。望ましくは、粒子が含有された層の最小厚みの1.1倍から100倍程度である。ここで、最小厚みとはフィルム垂直断面について目的とする層を十分に長い幅(30μm程度)の区間層の厚みを見たときの最小の厚みである。また、層中に分散される粒子は、真球状であると、干渉縞を発生させることがあるため、扁平状であることが好ましく、層の面内方向の径は、2μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、5μm以上30μm以下である。
本発明の積層フィルムは、前記A層とB層のうち少なくとも3層に粒子を含有し、フィルム断面に対して垂直に切り出して観察される垂直断面の写真において該粒子が含有された層の断面の単位面積に占める、粒子の面積が1%以上であることが好ましい。粒子を含有するA層またはB層の数が3層未満では、干渉縞を消失させる効果が十分でないこともあるので、より好ましくは、A層およびB層のうち100層以上に粒子が含まれている。また、粒子が含有された層の断面の単位面積に占める粒子の面積が1%以上となる層の数は、少なくともA層およびB層の層数の1/4以上であることが好ましい。また、粒子が含有された層の断面の単位面積に占める粒子の面積が1%未満であると、界面のうねり構造の数が少なくなるため、分光反射率曲線から導かれる振動波形の振幅ΔRの低減の効果が小さくなる。そのため、より好ましくは、1%以上である。さらに、好ましくは、2%以上である。なお、粒子が含有された層の断面の単位面積としては十分に大きな値である必要があり、少なくとも3%以上である。その上限値は、粒子の面積が大きくなると、粒子とその粒子を取り囲む樹脂層との界面に空隙を形成しやすくなるため、8%以下が好ましい。
粒子が含有された層の断面の単位面積に占める粒子の面積は、粒子含有される層の熱可塑性樹脂A若しくは熱可塑性樹脂Bと粒子の比重の比を基に、粒子の重量比を調整することにより設計することができる。また、粒子が含有された層の断面の単位面積に占める粒子の面積の割合の求め方は、積層フィルムの垂直断面の切片を透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡によって得られた画像を用いて、画像解析ソフトを用いて求めることができる。本発明の積層フィルムのA層とB層による積層構造は数百層からなっているため、全ての層に対して、粒子の面積率を求めるのは、困難である。そのため、統計的な観点から、粒子を含有しているすべての層に対して、5%の層数を調べた結果の平均値を採用することとする。
粒子の含有する層を構成する熱可塑性樹脂に対する粒子の濃度が1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。1重量%未満であると、うねり構造の数が少なく、光沢感を維持しつつ干渉縞を低減する効果が殆どない。一方、10重量%を超えると、ボイドなどが形成されやすくなるため、光を拡散反射しやすく光沢感が失われる。より好ましくは、1.5重量%以上5重量%以下である。
なお、透過型電子顕微鏡若しくは走査型電子顕微鏡を用いるときの倍率は、粒子が分散された層を確認することができ、粒子部分の面積を測定できる程度に合わせれば良いが、例えば、粒子の径が1μm以下では、1万倍以上(通常は4万倍程度)で観察することができる。一方、1〜10μmまでは、2万〜1000倍程度での観察が好ましい。好ましい観察倍率は、5000倍〜4万倍である。
本発明において好ましく用いられる粒子としては、マトリックス樹脂(粒子が含有される層を構成する熱可塑性樹脂A若しくは熱可塑性樹脂B)としてポリエステルを用いたときは高い押出温度で押し出す必要があるところ、係る押出温度でもゲル化せず、かつポリエステルと混和しにくく屈折率が近しい、ポリスチレン系樹脂またはポリアミド系樹脂でできているものが好ましい。ポリスチレン系樹脂としては、架橋ポリスチレン、非架橋ポリスチレン、架橋あるいは非架橋のポリスチレン樹脂系メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸-ブタジエン-スチレン共重合体、さらにポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、12、メタキシレンジアミンとアジピン酸の縮重合から得られるナイロン(例えば、三菱ガス化学社製MXDナイロン6)が好ましい。なお、ゲル化を抑制するために、押出工程において、フェノール系やりん系の各種熱安定剤を添加することも好ましい。
本発明の積層フィルムに用いるマトリックス樹脂がポリエステルの場合、280℃の押出温度において、マトリックス樹脂/熱可塑性樹脂の粒子の粘度比が、1.5以上であると1μm以下の比較的小さい分散径が得られる。逆に粘度比が1以下であれば、数μm以上の分散径が得られる。その他、相溶性パラメータδを調整することも必要である。余り近すぎると、相溶してしまい、うねり構造を形成しない。δは、3以上は離れていることが好ましい。
1μm以下の分散径を得るためには、押出機のスクリュー構成も重要であり、本発明においては、単軸押出機ならばダブルフライトやマドックスクリューを用いることが好ましい。また、ニーディングセグメントを8D以上有した二軸押出機を用いることも好ましい。
本発明である積層フィルムの熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、樹脂Bが非晶性のポリエステルであることが好ましい。このような組合せを採用することにより、種々の用途への汎用性が高く、界面剥離がなく、高い積層精度が実現した積層フィルムとなる。さらに逐次二軸延伸が可能であり、高い生産性を確保できる。ここで非晶性とは、示差走査熱量計において、結晶融解エンタルピーΔHが4J/g以下の熱可塑性ポリエステル樹脂のことである。
本発明の積層フィルムは、A層がポリエチレンテレフタレートであり、B層が非晶性のポリエステルによる積層構造部分の結晶融解温度Tmetaが、融点220℃以上融点245℃以下であることが好ましい。この温度範囲の結晶融解温度Tmetaを有していると高い熱寸法安定性が付与できる。同時に、この温度で非晶性のポリエステルが軟化すると、粒子が非晶性ポリエステル層に包含されている場合は、延伸工程で形成された粒子とマトリックス樹脂となる非晶性ポリエステルとの界面の空隙を消失させることができる。粒子が含有された層において、フィルムを二軸延伸したときにはA層若しくはB層を構成する樹脂と粒子の界面の密着性が十分でないときには界面に空隙が形成されることがある。係る空隙はフィルムを透過する光を散乱させることがあるので、熱処理を行って空隙を消失させることが望ましい。そのため、ポリエチレンテレフタレート層に生成した結晶構造を溶融させない上限の温度で熱処理することにより、粒子を包含するマトリックス樹脂、すなわち、非晶性のポリエステルを軟化させて、空隙を消失させる。故に、本発明の積層フィルムの好ましい結晶融解温度としては、225℃以上245℃未満である。前記した結晶融解温度Tmetaは、示差走査熱量計の測定により、吸熱ピークとして測定することができる。
本発明の積層フィルムには、その最外層に、着色層および易接着層を設けることが好ましい。着色層とは、樹脂に色素が含有されたものである。色素には、顔料(有機・無機)と染料とがあるが、耐湿熱性の面で顔料を用いることが好ましく、特に熱可塑性樹脂との親和性の観点から、有機顔料が好ましい。有機顔料は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、染付けレーキ、複素環式顔料などに大別される。
アゾ顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料が挙げられる。さらに、不溶性アゾ顔料は、βナフトール系、ナフトールAS系、アセト酢酸アリールアミド系の不溶性モノアゾ顔料とアセト酢酸アリールアミド系、ピラゾロン系の不溶性ジスアゾ顔料に分類される。また、アゾレーキ顔料は、βナフトール系、βオキシナフトエ酸系に分類される。
フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニンレーキが挙げられる。
複素環式顔料としては、アンソラキノン系顔料、チオインジゴ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリノン顔料、キノフメロン顔料、イソインドリン顔料が挙げられる。
これらの他にも本発明に用いうる顔料としては、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、ニッケルニトロソイエローなどのニトロン顔料、アリザリンレーキ、アリザリンマルーン、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリンブラック、アルカリブルー、天然有機顔料が挙げられる。
顔料の色相としては、一般に、縮合アゾ系顔料では、黄、橙、茶、赤色、キノフタロン系では、黄色、イソインドリノン系顔料では、黄、橙色、イソインドリン系顔料では、黄色、ベンズイミダゾロン系顔料は、黄、橙、茶、赤色、アンスラキノン系顔料では、黄、赤、青色、ペリレン系顔料では、赤、紫色、ジケトピロロピロール系顔料では、橙、赤色、キナクリドン系顔料では、赤、紫色、ジオキサジン顔料では、紫色、アゾ系顔料では、黄、橙、赤色、フタロシアニン系顔料は、青、緑色である。
着色層を設けることによって、輝線の色と着色層により着色された色を調整することによって、等傾角干渉縞を見え難くする効果がある。具体的には、光源の輝線のある波長を吸収ピークにもつ顔料あるいは染料を濃度調整し、着色層に含有させることである。光源の輝線の数に合わせて、顔料あるいは染料の数は、複数であってもよい。
着色層は、波長520〜580nmの範囲に吸収ピークを持つものであることが好ましい。等傾角干渉縞は光の干渉現象が原因であるが、多くの光源、例えば、F4、F6、F10(3波長蛍光灯)、メタルハライド、水銀灯などを調べると波長550nm近傍に強い輝線スペクトルを持つものが多い。従って、この緑色の輝線スペクトルを着色層で吸収することにより、干渉縞を軽減することができる。また他に、干渉縞に強く影響を与える輝線スペクトルとしては、波長430nm近傍の青色の輝線スペクトル、波長610nm近傍の赤色の輝線スペクトルがある。従って、他の好ましい態様としては、着色層は、波長420〜480nmの範囲および/または波長580〜640nmの範囲に吸収ピークを持つものであることが好ましい。
また、着色層を構成する樹脂は、耐スクラッチ性を有する樹脂であることが望ましい。耐スクラッチ性を有した樹脂としては、例えば、アクリロイル基を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、および、エポキシ環、オキセタン環、ビニルエーテル基等を含むオリゴマー、プレポリマー、モノマー等がカチオン重合された樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを加えることで架橋するものである。これらは、それぞれ単独に用いても、2種類以上混合して用いても良い。
着色層を構成する樹脂として好ましいものは、カールし難く、且つ基材との密着性が良いものが望ましく、低収縮のウレタンアクリレート、エポキシ化合物が挙げられる。係るウレタンアクリレートとして具体的には、共栄社化学社製のAT−600、UA−101l、UF−8001、UF−8003等、日本合成化学社製のUV7550B、UV−7600B等、新中村化学社製のU−2PPA、UA−NDP等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−270、Ebecryl−284、Ebecryl−264、Ebecryl−9260等、或いは、エポキシ化合物として具体的には、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、GT300、GT400、セロキサイド2021等、ナガセケムテック社製のEX−321、EX−411、EX−622等を挙げることができる。しかし、これらに限定されない。また、より高い硬度を実現できるウレタンアクリレートとしては、ウレタンアクリレート系オリゴマー、モノマーは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させて得られたポリマーが好ましく挙げられ、具体的には、共栄社化学社製のUA−306H、UA−306T、UA−306l等、日本合成化学社製のUV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができる。しかし、これらに限定されない。
また、着色層を構成する樹脂に紫外線照射により架橋する樹脂を使用する場合は、光ラジカル重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、α―アミノケトン類、ビスアシルフォスフィンオキサイド類等を単独或いは混合して用いる。具体的には、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrgacure184、Irgacure651、Darocure1173、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure819、DarocureTPO等を挙げることができる。光カチオン重合開始剤としては、紫外線照射でルイス酸等のカチオン重合触媒を生成するものであれば特に限定されない。例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩等のオニウム塩を用いることができる。具体的には、アリールジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、アリールジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、アリールジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジアリールヨードニウムテトラフルオロボレート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合しても良い。
光カチオン重合開始剤として具体的には、市販の光カチオン開始剤を使用してもよい。例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI−6990、ダウケミカル日本社製のUVI−6992、ダイセルUCB社製のUvacure1591、旭電化社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170、みどり化学社製のDPI−101、DPI−105、MPI−103、MPI−105、BBI−101、BBI−103、BBI−105、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、DTS−102、DTS−103、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrgacure250等が挙げられる。
本発明に用いるイソシアネート類は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するもの、例えばジイソシアネート類には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアソート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物等が使用できる。さらに、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類等を使用することもでき、これらを併用することもできる。これらのなかでは、耐熱性の観点から芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点から脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが、好ましい。市販のイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、住化バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールE3265、E4280、TPLS2010/1、E1160,E1240、E1361、E14、E15、E25、E2680、スミジュールE41、E22、旭化成工業株式会社製のデュラネートD−101、D−201等が挙げられる。
溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチエングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができ、また、これらの数種類を混合して用いても良い。これら溶剤は、組成物中に、組成物全体の95重量%までの量で存在できる。また、これら溶剤は、溶液を前記透明基材に塗布し乾燥させる際に実質的に除去される。さらに、好ましくは固形分に対して10重量%以下の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーを希釈剤として用いることができる。さらに、カチオン重合製化合物の希釈剤としては、ダイセル化学工業社製のセロキサイド3000、セロキサイド2000等を挙げることができる。
着色層は、溶剤、バインダー樹脂、色素を適宜調整し、これを塗布、乾燥し、必要により硬化処理を行うことで形成できる。塗布の方法は、フィルム表面をコロナ処理後、公知の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。本発明においては、簡便かつ高い精度で均一に塗布できる観点からバーコート法を用いることが適当である。
易接着層としては、本発明の積層フィルムの片面もしくは両面にアクリル・ウレタン共重合樹脂と2種類以上の架橋剤から成る易接着層が設けられていることが好ましい。本発明で用いるアクリル・ウレタン共重合樹脂(A)に用いるアクリル系モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルなど)、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルなど)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができる。本発明においては、架橋性官能基を共重合することが好ましく、特にN−メチロールアクリルアミドを共重合することが、自己架橋性や架橋密度向上点で特に好ましい。N−メチロールアクリルアミドの共重合比率は、共重合性や架橋度の点で0.5〜5重量%が好ましく、特に塗布外観の点を考慮すると、1〜3重量%がより好ましい。0.5重量%より少ない場合、例えば耐湿接着性が劣る傾向があり、5重量%を越える場合、例えば樹脂の水分散体の安定性が劣ったり、塗布外観が悪くなったりする傾向がある。架橋剤としては、印刷層との耐湿熱接着性の観点から、架橋剤の少なくとも1種がオキサゾリン系架橋剤およびカルボジイミド系架橋剤を含有していることが好ましい。易接着層の厚みは、接着性に及ぼす表面エネルギーの観点から、0.01〜1μmが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.5μm程度である。
本発明の積層フィルム若しくは着色層と易接着層を設けた本発明の積層フィルム(機能化積層フィルム)は、ハーフミラー材料に用いられることが好ましい。ハーフミラー材料とは、半透過性のシート状物のことであり、該シート状物の透過率は40〜85%程度、かつ反射率が15〜60%程度である。また、明度L*(SCI)が35以上80以下である。ハーフミラー材料の利用方法としては、例えば、携帯電話、電子書籍、ゲーム機などの鏡面保護シートとして利用できる。観測者側から、保護層、ハーフミラー材料、液晶ディスプレイの順で構成された場合、液晶ディスプレイが点灯時は、透けて表示内容がみえ、消灯時は、光沢感のある反射が起こり、内部が見えなくなる意匠性に優れた使い方ができる。
さらに、本発明の積層フィルムは、デジタルサイネージ(電子看板)のスクリーン用途に好ましく用いられる。本発明の積層フィルムを、ウインドウ等に設置し、プロジェクターを用いて、透過、もしくは反射光にて投影することにより、デジタル映像を広告として消費者へ提供することができる。本発明の積層フィルムは、外光による干渉縞が発生し難いため、鮮明な映像を提供することができる。また、本発明の積層フィルムは、好ましく透過率・反射率を調整できるハーフミラー調のものとできるので、透過・反射の投影方式に対応できる。なお、本発明の積層フィルムに偏光特性がある場合に、プロジェクターからの光の偏光との干渉が懸念されるときはプロジェクターと本発明の積層フィルムの間に偏光解消板(例えば、ランダム位相差板)や位相差フィルムを配置することが好ましい。
本発明の積層フィルムの積層構造は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段の記載の方法を応用すれば簡便に実現できる。但し、スリット板の間隙、長さは層厚みを決定する設計値のため異なる。また、本発明は、積層フィルムの積層構造の積層界面制御技術が従来と異なる。以下に、具体的な例として、図3を参照して積層構造を作製する過程について説明する。
図3に示す積層装置7は、3つのスリット板を有している。係る積層装置7によって得られる積層構造の層厚み分布の例を図4に示す。横軸に層の並び順18、縦軸に各層の厚み(nm)19をとると、積層構造は、スリット板71によって形成された樹脂積層流による層厚みの傾斜構造11、スリット板72によって形成された樹脂の積層流による層厚みの傾斜構造12、スリット板73によって形成された樹脂の積層流による層厚みの傾斜構造13の3つの傾斜構造を有している。また、図4に示すように1つの傾斜構造は、他の何れかの傾斜構造と向きが反対であることが好ましい。さらに、樹脂流の不安定現象による発生するフローマークを抑える観点から、最表層には厚み1μm以上の厚膜層20を設けている。また、1つのスリット板から形成される傾斜構造は、熱可塑性樹脂Aの層厚み分布21と熱可塑性樹脂Bの層厚み分布22からなり、その積層比は、2台の押出機の熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの押出量の比により容易に調整することができる。高い反射率および高い成形性の観点から、積層比は、0.5〜1.5が好ましい。各部位の層厚みの範囲は、可視光全域の光を強く反射させるために、平均層厚みが60nm〜170nmの層厚みの範囲となるように積層フィルムの厚みを調整して製膜を行う。
積層装置7を構成する各々のスリット板から流れ出た積層構造を有した樹脂流は、図3(b)に示したように積層装置の流出口11L、12L、13Lから流れ出て、次いで合流器8にて、図3(c)に示した11M、12M、13Mの断面形状で再配置される。次いで、接続管9内部にて、流路断面のフィルム幅方向の長さが拡幅されて口金7へ流入されて、さらにマニホールドにて拡幅されて口金10のリップから溶融状態でシート状に押し出されてキャスティングドラム上に冷却固化されて未延伸フィルムを得ることができる。ここで、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さ17を口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さ15で割った値を5以下とすることにより、フィルム幅方向で反射率および反射帯域が均一な積層フィルムである反射材が得られる。より好ましくは、拡幅比は3以下である。次いで、必要により得られた未延伸フィルムを構成する樹脂のガラス転移点温度(Tg)以上の温度で延伸する方法で得ることもできる。この際の延伸の方法は、高い反射率、熱寸法安定性および大面積化の実現の観点から、公知の逐次二軸延伸法、もしくは同時二軸延伸法で二軸延伸、あるいは一軸延伸を採用することが好ましい。公知の二軸延伸法とは、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法で行えばよく、長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせて行ってもよい。例えば、ポリエステルから構成された延伸フィルムの場合、延伸温度及び延伸倍率は適宜選択することができるが、通常のポリエステルフィルムの場合、延伸温度は80℃以上150℃以下であり、延伸倍率は2倍以上7倍以下が好ましい。本発明の積層フィルムは、延伸工程でできるだけ、粒子とマトリックス樹脂との界面に発生する空隙を抑制する観点から、延伸温度は、95℃以上が好ましい。長手方向の延伸方法は、ロール間の周速度変化を利用して行う。また、幅方向の延伸方法は、公知のテンター法を利用する。すなわち、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。また、同時二軸延伸法としては、同時二軸テンターにてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。長手方向の延伸は、テンターのクリップ間の距離を広げることで、また、幅方向はクリップが走行するレールの間隔を広げることで達成される。本発明における延伸・熱処理を施すテンタークリップは、リニアモータ方式で駆動することが好ましい。その他、パンタグラフ方式、スクリュー方式などがあるが、中でもリニアモータ方式は、個々のクリップの自由度が高いため延伸倍率を自由に変更できる点で優れている。フィルムが通常のポリエステルの場合、延伸倍率、延伸温度および熱処理温度は、逐次二軸延伸の条件と類似している。すなわち、延伸温度は80℃以上150℃以下、延伸倍率は面積倍率として8〜30倍が好ましく用いられる。本発明の積層フィルムは、延伸工程でできるだけ、粒子とマトリックス樹脂との界面に発生する空隙を抑制する観点から、延伸温度は、100℃以上が好ましく、より好ましくは、110℃以上である。次いで、この延伸されたフィルムを、テンター内で熱処理する。この熱処理は、延伸温度より高く、融点より低い温度で行うのが一般的である。ポリエステルを用いた場合、200℃ないし250℃の範囲で行うのが好ましい。本発明においては、延伸工程で発生した粒子とマトリックス樹脂との界面の空隙を消失させる観点から、240℃以上で、10秒以上の熱処理条件が好ましい。より好ましくは、20秒以上である。さらに、オフラインで熱処理することも好ましい。また、フィルムの熱寸法安定性を付与するために幅方向、もしくは長手方向に2〜10%程度の弛緩熱処理を施すことも好ましい。
以上の達成方法にて得られた積層フィルムは、入射角度依存性の抑制および同じ立体角で結像させない構造とすることができ、等傾角干渉縞を抑制することができる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムおよび積層構造の層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。
層厚みの具体的な算出方法は、上記装置で撮影した4万倍の写真画像をビットマップファイル(BMP)でパーソナルコンピューターに保存し、次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel 2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ4(間引き4)でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア・アプリケーションズ)プログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(2)分光反射率の測定
積層フィルムの5cm四方のサンプルについて、日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)を用いて、入射角度φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜1200nm、スリットは5nm(可視)/10nm(赤外)とし、ゲインは2と設定し、1nm刻みで、走査速度を600nm/分で測定した。サンプル測定時は、サンプルの裏面からの反射による干渉をなくすために、サンプルの裏面を日東電工製の黒のビニルテープ(登録商標)を貼り合わせた。なお、可視光と赤外光の検出器の切替波長は、850nmとする。
(3)振動波形の振幅ΔR
(2)項の測定で得られた1nm刻みでの分光反射率曲線(曲線A)のデータを、波長に対する反射率のデータとして20点移動平均処理を行った。次に得られた波長259.5〜1190.5nmの範囲の1nm毎とのデータを線形補間することで、波長260〜1190nmの範囲の1nm毎のデータに変換して20点移動平均分光反射率曲線(曲線B)を得た。波長区間400〜700nmにおいて、曲線Aと曲線Bの差分(曲線Aにおける反射率−曲線Bにおける反射率)をとり、振動波形得た。この振動波形から反射率差の最大値Rmaxと最小値Rminを求め、(1)式を利用して、ΔRを算出した。なお、実施例16と実施例17については、偏光特性があるため、(9)項の測定で得られた分光反射率曲線を用いて、最大反射方向と最小反射方向を平均した分光反射率曲線を採用し、同様の数値処理を行った。
(4)粒子の占有面積率と平均二次粒径
(1)項により得られた画像をパソコン内部へ取り込んだ。次に、画像処理ソフトImage-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、必要であれば、画像処理を行った。画像処理は、粒子の形状を鮮明にするために行うものであり、例えば、ソフト付属の2値化およびローパスフィルタ処理などを行った。
粒子の占有面積率の求め方は、得られた厚み−幅方向断面写真(撮影倍率2万倍)について、20層分のマトリックス樹脂層について解析をした。上記同様に2値化などの画像処理により粒子とマトリックス樹脂を区別し、粒子の面積を求める。すわなち、Count/Sizeダイアログボックスの測定メニューから、測定項目のうち、“Area(面積)”を選択し、Countボタンを押し、自動測定を行った。こうして20層分の粒子に関して断面積を求めた。同様に、粒子を含めたマトリックス樹脂層についても、断面積を求めた。得られた粒子の面積を粒子の面積を含めたマトリックス樹脂層の面積で割り、100を乗じることにより、粒子の占有面積率を求めた。一方、平均二次粒径については、マトリックス樹脂20層内に包含されている粒子について、処理ソフトを用いてフイルム厚み方向の粒子の径を測長し、その平均を求めた。なお、二次粒径の形態をとっていない有機粒子については、一次粒径または分散径を測定した。
(5)測色値(明度L*(SCI)、明度L*(SCE))
積層フィルムの幅方向中央部から5cm×5cmで切り出し、積層フィルムの裏面からの反射光をなくすために、次いでサンプルの裏面を日東電工製の黒のビニルテープ(登録商標)を貼り合わせ、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ8mmのターゲットマスク(CM−A106)条件下で、正反射光を除去したSCE方式および正反射光を含めたSCI方式でそれぞれ、L*,a*,b*値を測定し、n数5の平均値を求めた。なお、白色校正板、およびゼロ校正ボックスは下記のものを用いて校正を行った。さらに、彩度C*は、SCIのa*,b*のそれぞれの2乗の和の平方根として求めた。なお、測色値の計算に用いる光源はD65を選択した。
白色校正板 :CM−A103
ゼロ校正ボックス:CM−A104
(6)屈折率
熱可塑性樹脂からなる粒子の屈折率は、JIS K7142(1996)A法に従って測定した。すなわち、溶融状態からプレスし、その後、急冷却することで、シートを作製し、サンプルとした。
一方、無機物や架橋高分子からなる粒子の屈折率は、JIS K7142(1996)B法に従って測定した。また、A層およびB層の屈折率については、延伸・熱処理により配向や熱結晶化が伴うため、各実施例または比較例の製膜条件と同様の条件でフィルムストレッチャー(ブルックナー社製KARO-IV)を用いて逐次二軸延伸後、熱処理することにより得られたフィルム面内の二軸の延伸方向の屈折率をJIS K7142(1996)A法に従って測定した。屈折率は、二軸延伸方向の平均値を採用した。なお、熱可塑性樹脂B層においては、熱処理時に溶融するため、厚み50μmのカプトンフィルム(東レデュポン製)で挟んで、オーブンを用いて約30秒間熱処理を行った。実施例16、17の熱可塑性樹脂A層については、面内異方性があるため、延伸方向に沿って測定した屈折率と延伸方向と垂直な方向に沿って測定した屈折率の2つを表1中に示した。
(7)正反射性の目視評価
A4サイズでサンプルを切り出した。次いで、CIEで定めるF10の発光スペクトルを有する蛍光灯、およびサンプルをのせる黒色の厚紙を準備した。準備した蛍光灯を斜め45度の入射角で黒色の厚紙の上のサンプルを照射し、反射により映し出された観察者の像の鮮明度合いを観察し、正反射性を判断した。以下の基準に基づいて、評価した。
○:白濁感がなく、鏡面反射による像は鮮明に見える。
△:少し白濁感があるが、鏡面反射による像は見える。
×:白濁感があり、鏡面反射による像が少しぼけている。あるいは見えない。
(8)干渉縞の目視評価
フィルム幅方向中央部からA4サイズでサンプルを切り出した。次いで、CIEで定めるF10の発光スペクトルを有する蛍光灯、およびサンプルをのせる黒色の厚紙を準備した。準備した蛍光灯と黒色の厚紙の上のサンプルと目視方向の関係が正反射となるように設置して、干渉縞の発生状況を観察した。さらに、F10光源の透過光でも確認した。以下の基準に基づいて、評価した。
◎:透過光および反射光において、干渉縞が確認できない。
○:反射光において、干渉縞は確認できないが、透過光において、干渉縞は、僅かに確認できる。
△:反射光において、緑や赤の干渉縞がぼけて僅かに確認できるが、問題ない程度である。
×:反射光において、緑や赤の干渉縞が鮮明に見える。
(9)偏光成分をもつ入射光に対する反射率測定
サンプルをフィルム幅方向中央部から5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルのMD(Machine Direction)方向が上下となるように配置し、積分球の後ろに設置した。また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0〜180°において、5度刻みで回転させた方位角でサンプルに垂直に直線偏光を入射して、波長250〜1500nmの反射率を測定した。測定条件:スリットは5nm(可視)/10nm(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定し、方位角0〜180度における反射率Rを得た。これらの測定結果から、波長550nmでの反射率の最小値(Rmin)と最大値(Rmax)を測定し、その差を求めた。なお、副白板は、付属の酸化アルミニウムを用いた。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂Aとして、以下のものを準備した。
(樹脂A−1)テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行う。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。さらに、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、IV=0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。280℃ せん断速度100-Sの粘度 2000poise
(樹脂A―2)ナフタレン2,6-ジカルボン酸ジメチルエステル(NDC)とエチレングリコール(EG)を常法により重縮合して得たIV=0.43のポリエチレンナフタレート(PEN)。290℃ せん断速度100-Sの粘度 4500poise
(樹脂A−3)IV=0.74 シクロヘキサンジメタノールを9mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PETG)。280℃ せん断速度100-Sの粘度 3300poise 。
一方、非晶性である熱可塑性樹脂Bとしては、以下のポリエステル樹脂を準備した。
(樹脂B−1)IV=0.74(シクロヘキサンジメタノール(CHDM)30モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。280℃ せん断速度100-Sの粘度 3500poise
(樹脂B−2)樹脂B−1に樹脂A−1を樹脂A−1が添加後の樹脂B−2全体の10重量%となるよう添加し、ポリマーブレンドした共重合ポリエチレンテレフタレート。280℃ せん断速度100-Sの粘度 3300poise
(樹脂B−3)IV=0.72(スピログリコール(SPG)20モル%およびシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)30モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。280℃ せん断速度100-Sの粘度 2300poise
(樹脂B−4)IV=0.7(イソフタル酸(IPA)25モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−5)樹脂B−1に樹脂A−1を樹脂A−1が添加後の樹脂B−5全体の35重量%となるよう添加し、ポリマーブレンドした共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−6)樹脂B−3に樹脂A−1を樹脂A−1が添加後の樹脂B−6全体の20重量%となるよう添加し、ポリマーブレンドした共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−7)ポリメタクリル酸メチル(PMMA) 住友化学社製 タイプ LG−2。
(樹脂B−8)IV=0.65 テレフタル酸成分を50mol%共重合したポリエチレンナフタレート。
(粒子)
有機粒子となる以下の樹脂を準備した。
PMP:ポリ(4−メチルペンテン−1)(TPX)三井化学製 タイプ DX820
COC:ノルボルネンとエチレンの共重合体である環状オレフィンコポリマー
ポリプラスチック社製TOPAS 8007 ガラス転移点 79℃
高粘度MXDナイロン:三菱瓦斯化学製 タイプ S6121 メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られる結晶性のポリアミド。280℃ せん断速度100-Sの粘度 3500poise ガラス転移点 89℃
MXDナイロン:三菱瓦斯化学製 タイプ S6001 メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られる結晶性のポリアミド。280℃ せん断速度100-Sの粘度 2000poise ガラス転移点 89℃
PS:ポリスチレン 日本ポリスチレン製 タイプ HF77 ガラス転移点 96℃
280℃ せん断速度100-Sの粘度 2000poise
低粘度PS :ポリスチレン 日本ポリスチレン製 タイプ 679 ガラス転移点 93℃
280℃ せん断速度100-Sの粘度 1000poise
低粘度MBS:スチレン−ブタジエン−メタクリル酸共重合体 電気化学社製 タイプ TH−11 ガラス転移点91℃
MBS :スチレン−ブタジエン−メタクリル酸共重合体 電気化学社製 タイプ TH−21 ガラス転移点91℃
MS :スチレン−メタクリル酸共重合体 電気化学社製 タイプ TX800LF
PCT/I:イソフタル酸10モル%共重合したポリシクロジメチレンテレフタレート
PAR:ポリアリレート ユニチカ Uポリマー タイプ U8000
PEI:サビック社製 ポリエーテルイミド タイプ DT1810EV。
BPEF:テレフタル酸/エチレングリコール/シクロヘキサンジカルボン酸/ビスフェノキシエタノールフルオレン成分=60/45/40/65のモル濃度で重合した4元共重合ポリエステル。ガラス転移点 115℃ 。
以下に示す、無機粒子を練り込んだ樹脂Cを準備した。
(樹脂C−1)凝集シリカ:平均粒径が2.5μmの粒子を樹脂A−1に粒子が添加後の樹脂C−1全体の2質量%となるように添加した粒子入りポリエチレンテレフタレート
(樹脂C−2)凝集シリカ:平均粒径が4μmの粒子を樹脂A−1に粒子が添加後の樹脂C−2全体の6質量%となるように添加した粒子入りポリエチレンテレフタレート
(樹脂C−3)アルミナ:平均粒径が0.17μmの粒子を樹脂A−1に粒子が添加後の樹脂C−3全体の2%となるように添加した粒子入りポリエチレンテレフタレート。
なお、各実施例、比較例で用いた樹脂は表1に記載のとおりの組み合わせとした。
[実施例1]
熱可塑性樹脂Aとして樹脂A−1、熱可塑性樹脂Bとして樹脂B−1にMXDナイロンを5重量%添加したものを、それぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A/熱可塑性樹脂B=1.07/1になるように計量しながら、スリット数267個のスリット板を2枚、269個のスリット板1枚の計3枚用いた構成である801層積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に801層積層された積層流とした。積層流とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。なお、スリット板間の境界層は、A層同士の合流層とするため、スリット板内のスリット数は、803個となる。ここでは、スリット長さは、全て一定とし、スリット幅(間隙)のみ変化させることにより、層厚み分布に傾斜構造を持たせた。得られた積層流は、熱可塑性樹脂Aが401層、粒子を含んだ熱可塑性樹脂Bが400層であり、厚み方向に交互に積層された傾斜構造を有していた。積層装置のスリット板の間隙から算出される狙いの層厚み分布パターンは、図4に示すような1つの傾斜構造が逆傾斜となっている構成とした。なお、傾斜構造の傾斜度は2.5とした。傾斜度は、傾斜構造において、厚膜層を除く、最大層厚みを最小層厚みで除した値である。
次いで、該積層流をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、縦延伸機で95℃、3.3倍の延伸を行い、コロナ処理を施し、#8のメタリングバーで数平均粒径80nmのコロイダルシリカ5重量部に対して、酢酸ビニル・アクリル系樹脂および架橋剤125重量部の水系塗剤をコーティングし、易接着層(易滑面)を付与した。両端部をクリップで把持するテンターに導き105℃、4.2倍横延伸した後、次いで230℃、240℃の順で約20秒間熱処理を施し、150℃で約3%のTDリラックス(フィルム幅方向に弛緩処理)を実施し、厚み90μmの積層フィルムを得た。易接着層の厚みは、100nmであり、その屈折率は、1.52であった。このフィルムの物性を測定した結果を表1に示す。
得られた積層フィルムの層厚み分布は、両最外層を除き、表面から260層分、裏面から数えて260層分のそれぞれにおいて、層の層厚みが40nm〜150nmの範囲に全て入り、かつA層およびB層とも最外層側から層厚みが単調増加していく傾斜構造を有していた。フィルム厚み方向中央部の残りの267層分についても、層の層厚みが30nm〜300nmの範囲に全て入り、かつ層厚みが単調増加する傾斜構造を有していた。それぞれ、熱可塑性樹脂A層と熱可塑性樹脂B層が、交互に801層積層された構造を有しており、図4にみられる傾斜構造を有していた。なお、両最外層の厚みは、1.7μmであった。得られた積層フィルムの彩度C*は、3.2であり、無彩色であった。また、分光反射率曲線に、多少はさざ波状の振幅がみられるものの、波長400〜700nm範囲の反射率は約60%と一定であり、光沢感があり、干渉縞も問題ないレベルであった。さらに、フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は、空隙も見られず、目的としたA層とB層の界面におけるうねり構造が形成されていることを確認した。粒子は、縦、横に伸ばされた扁平状の形状をしていた。面内方向の粒径は、5〜15μm程度であった。
参考例2]
熱可塑性樹脂Bを表1記載のようにB−2へ変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。ほぼ実施例1と同様の干渉縞低減効果を得た。
[参考例3]
粒子を高粘度MXDナイロンとして、その濃度を表1記載のように変更した以外は、実施例2と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。フィルム断面形状を観察したところ、所々に僅かな空隙が見られる。実施例1と比べると光散乱による白濁感が多少感じるが、光沢があり、干渉縞は、見られなかった。面内方向の粒径は、3〜10μm程度であった。
[実施例4]
熱可塑性樹脂A−1をA−2に変更し、熱可塑性樹脂BをB−4へ変更し、290℃で溶融押出する以外は、実施例3と同様にして、未延伸フィルムを得た。次いで、縦延伸温度145℃で3.1倍、次いで、実施例1と同様にしてコーティングを行い、横延伸温度155℃、3.6倍延伸、熱処理温度240℃、150℃で約3%のTDリラックスを実施し、厚み90μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムは、波長400〜700nm範囲の反射率は約96%と一定であり、干渉縞がなく、光沢感が優れるフィルムであった。
[実施例5〜6]
粒子をPSへ、その濃度を表1記載の通り変更し、縦延伸温度を100度に変更する以外は、実施例3と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。実施例1と同様に、光沢感があり、干渉縞がないフィルムを得た。さらに、フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は、空隙も見られず、層中の粒子箇所では、層の厚みが厚くなり、うねり構造が形成されていることを確認した。
[参考例7〜8]
熱可塑性樹脂Bおよび粒子を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムは、いずれも正面からは無彩色で、干渉縞が消失したものであったが、実施例1と比べて、光沢感が少し劣るものであった。フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は空隙が部分的に見られた。また、層の厚み方向の粒子の二次粒径も大きく、分散性が悪かった。
[実施例9]
実施例1の熱可塑性樹脂BをB−6へ変更し、有機粒子をMBSへ変更し、表1の記載内容に変更し、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムの彩度C*は、2であり、無彩色であった。また、分光反射率曲線に、波長400〜700nm範囲の反射率は約72%と一定であり、光沢感があり、反射光および透過光でも干渉縞は、問題ないレベルであった。さらに、フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は、空隙も見られず、目的としてたA層とB層の界面におけるうねり構造が形成されていることを確認した。MBS有機粒子は、面内方向には、2〜15μmレベルの大きさを有する縦、横に伸ばされた扁平状の形状をしていた。
[実施例10]
実施例9の有機粒子であるMBS粒子を表1の記載の低粘度MBS粒子に変更する以外は、実施例9と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムの彩度C*は、2であり、無彩色であった。また、分光反射率曲線に、波長400〜700nm範囲の反射率は約72%と一定であり、光沢感があり、干渉縞も問題ないレベルであった。さらに、フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は、空隙も見られず、目的としたA層とB層の界面におけるうねり構造が形成されていることを確認した。但し、実施例9に比べては、うねり構造の凹凸は弱いものであった。
[実施例11]
粒子とその濃度を表1の記載に変更した以外は、実施例10と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムは、いずれも正面からは無彩色で、正反射性も良好であった。ただし、干渉縞が、僅かにみられた。断面形状を観察すると、うねり構造を形成しており、懸念していた空隙もなかった。
[実施例12]
日本触媒製のPETフィルム用ハードコート剤KAYANOVA−FOP4100(溶剤 トルエン、MEK、紫外線硬化樹脂固形分率50%)の溶剤に、MEKで固形分率30%まで希釈して、以下に示す割合で色素を添加し、#20のバーコーターで均一に実施例11の積層フィルム上に塗布した。100℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後、低圧水銀ランプで照射強度500mJ/cm2でUV効果を行い、着色ハードコート層を形成した積層フィルムを得た。塗布厚みを測定すると10μmであった。その分光反射率曲線および干渉縞の観察を行った結果、振動波形の振幅ΔRは、5となり、L*(SCI)は70、L*(SCE)は20ままとなり、振幅ΔRが減少した。塗工前のもとと比べて、反射率の低下はみられるが、光沢感があり、干渉縞は全くなく、より金属メッキ感を醸し出すことができた。なお、彩度C*は、2.2の無彩色であった。
「着色層」
色素: TY235(ADEKA製) 0.09%
: TAP15(ADEKA製) 0.5%
: Yellow2G(日本化薬製) 0.2% 。
[実施例13]
日本触媒製IR−G205(溶剤トルエン、酢酸エチル、アクリル固形分率29%)の溶剤に、固形分率に対して、以下に示す割合で色素を添加し、#30のバーコーターで均一に干渉縞が鮮明に見える比較例8の積層フィルム上に塗布した。80℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後、着色層を形成した積層フィルムを得た。乾燥後の塗布厚みを測定すると13μmであった。その分光反射率曲線および干渉縞の観察を行った結果、振動波形の振幅ΔRは9となり、L*(SCI)は70、L*(SCE)は12となり、振幅ΔRが減少した。着色層を形成する前の分光反射率曲線(図5中23)と比べて、着色層を形成した後の分光反射率曲線(図5中24)では、反射率の低下はみられるが、光沢感があり、干渉縞は殆どみられず、金属メッキ感を醸し出すことができた。なお、彩度C*は、3.2の無彩色であり、問題のない程度であった。
また、図5中に矢印で示した着色層の吸収スペクトルの吸収ピークを反映した波長520〜580nm、波長420〜480nm、波長580〜640nmのいずれの範囲にも、低反射率の極小ピーク領域が観測されることが分かる。
「着色層」
色素: TY235(ADEKA製) 0.09%
: TAP15(ADEKA製) 0.5%
: Yellow2G(日本化薬製) 0.2% 。
[参考例14]
熱可塑性樹脂A−1をA−3へ変更し、熱可塑性樹脂B−2をB−7へ変更し、それぞれの押出温度を260℃とし、粒子とその濃度を表1の記載に変更し、さらに熱処理温度を210℃に変更した以外は、実施例5と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムは、いずれも正面からは無彩色で、少し光散乱による白濁感が見られた。ただし、干渉縞は、全く見られなかった。断面形状を観察すると、空隙が所々で確認された。
[実施例15]
熱可塑性樹脂A−1に粒子を添加し、粒子とその濃度を表1の記載に変更する以外は、実施例5と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムの彩度C*は、2.5であり、無彩色であった。また、分光反射率曲線に、波長400〜700nm範囲の反射率は約60%と一定であり、光沢感があり、干渉縞も問題ないレベルであった。さらに、フィルムの断面を観察したところ、粒子周辺は、空隙も見られず、目的としたA層とB層の界面におけるうねり構造が形成されていることを確認した。粒子は、縦、横に伸ばされた扁平状の形状をしていた。
[実施例16]
実施例9と同様にして、未延伸フィルムを得た。次いで、縦延伸を105℃で2段階的に、到達倍率2.5倍で延伸し、実施例1と同様にしてコーティングを行い、横延伸温度110℃、4.5倍延伸、熱処理温度210℃、150℃で約3%のTDリラックスを実施し、厚み90μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムは、殆ど干渉縞がなく、偏光特性をもつ光沢感が優れたフィルムであった。フィルム幅方向中央部における面内方向の反射率の最大値は、フィルム幅方向であり、長手方向は、最小値であった。波長550nmにおいて、最大値と最小値の反射率の差は、35%であった。
[実施例17]
熱可塑性樹脂Aとして、A−2を用い、熱可塑性樹脂Bとして、B−8を用いて、290℃で溶融押出し、実施例4と同様にして、未延伸フィルムを得た。次いで、縦延伸をパスし、実施例1と同様の易接着層をコーティングし、横延伸温度150℃、5倍延伸、熱処理温度140℃で約3%のTDリラックスを実施し、厚み90μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムは、干渉縞がなく、偏光特性をもつ光沢感が優れたフィルムであった。フィルム幅方向中央部における面内方向の反射率の最大値は、フィルム幅方向であり、長手方向は、最小値であった。波長550nmにおいて、最大値と最小値の反射率の差は、85%であった。フィルム長手方向は、90%近く透過しており、非常に偏光特性の強いフィルムが得られた。また、実施例4と比較し、透過光でも干渉縞が殆どみえなくなっていることを確認した。
[比較例1]
実施例2において、粒子を用いないこと以外は、同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの彩度C*は、3.2であり、無彩色であった。また、分光反射率曲線に、振幅ΔRが非常に強い振動波形がみられ、光沢感が強く、かつ干渉縞が鮮明に見えるレベルであった。
[比較例2〜7]
比較例2は、樹脂A−1に(樹脂C−3)を24重量%、比較例3〜4は、樹脂A−1に(樹脂C−1)を4重量%、8重量%と添加する量を変更したときの検討結果である。表1に記載以外の製膜条件は、比較例1と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。得られた積層フィルムは、いずれも正面からは無彩色であった。粒子マスターバッチである(樹脂C−1)の樹脂Aへの添加量を増加させるにつれて、拡散反射性が増加し、フィルム表面が白濁し、像の鮮明さが失われていき、結果、比較例4の(樹脂C−1)の8%添加では、干渉縞が消失した。しかしながら、一方、白濁感が強く正反射性が劣るため、本発明の課題を解決するレベルには至らなかった。
断面形状を観察すると、粒子周辺の一部に空隙が散見されたが、粒子は、層を突き破るのではなく、凝集体の形状は、楕円体であり、厚み方向にも数μmもある粒径が保たれていた。
比較例5〜7は、凝集シリカの平均二次粒径が大きい(樹脂C−2)マスターバッチに変更し、樹脂A−1への添加量を4重量%、5重量%、8重量%と増加させた検討であるが、いずれも、干渉縞は消失するものの、拡散反射が酷く、マット調の積層フィルムであり、本発明の課題を満足するものではなかった。
[比較例8〜12]
熱可塑性樹脂Bおよび粒子を表1の記載に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。その結果を表1に示す。
比較例8の積層フィルムは、反射率が74%程度、可視光領域に平均してあり、非常に光沢感のあるものであったが、干渉縞は、非常に強くでるものであった。
比較例9の積層フィルムは、マット感があり、断面形状を観察すると、粒子周辺には大きな空隙が形成されていた。
比較例10の積層フィルムでは、粒子と熱可塑性樹脂Bの相溶性がよく、断面形状を観察しても、粒子を確認することができず、積層界面にうねり構造に似たものも形成されていないことを確認した。
比較例11〜12の積層フィルムは、断面形状を観察しても、粒子周辺に空隙がなく、サブμmレベルの分散特徴を有していたが、粒子とマトリックス樹脂の屈折率差が大きいため、比較例9の積層フィルムと同じく、正反射性のない白濁したマット調となった。
Figure 0005935393
本発明は、外観を損なうフィルム表面上に観察される干渉縞がない金属メッキのような光沢感のある積層フィルムを提供できるため、携帯電話、パソコンなどの情報通信機器、や洗濯機、炊飯ジャーなどの家電製品の意匠用途、スマートフォン等のディスプレイの画面保護、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる偏光反射フィルム、反射板、異方拡散等の光学フィルタ用途、デジタルサイネージ(電子看板)等に用いられるスクリーン用途、自動車やゲーム機に用いられるヘッドアップディスプレイ用途、建材用途および自動車用途の加飾成形用途の金属メッキ代替として適用することが挙げられる。
1:最大値Rmax
2:最小値Rmin
3:最大値Rmaxと最小値Rminの差
4:熱可塑性樹脂A
5:熱可塑性樹脂B(マトリックス樹脂)
6:粒子
7:積層装置
71:スリット板
72:スリット板
73:スリット板
8:合流器
9:接続管
10:口金
11:スリット板71によって形成された層厚みの傾斜構造
12:スリット板72によって形成された層厚みの傾斜構造
13:スリット板73によって形成された層厚みの傾斜構造
11L:スリット板71の流出口からの樹脂流路
12L:スリット板72の流出口からの樹脂流路
13L:スリット板73の流出口からの樹脂流路
11M:スリット板71の流出口に連通し、再合流器によって配置された樹脂流路
12M:スリット板72の流出口に連通し、合流器によって配置された樹脂流路
13M:スリット板73の流出口に連通し、合流器によって配置された樹脂流路
14 :樹脂流路の幅方向長さ
15 :口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さ
16 :口金流入口部での流路の断面
17 :口金リップのフィルム幅方向長さ
18 :層の並び順
19 :層厚み
20 :厚膜層の厚みを示す点
21 :樹脂Aの層厚み分布
22 :樹脂Bの層厚み分布
23 :着色層を形成する前の分光反射率曲線
24 :着色層を形成した後の分光反射率曲線

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)が、各層の厚みが20nm〜500nmとなる範囲で交互に少なくとも30層積層された積層構造を含む積層フィルムであって、分光反射率曲線から導出された振動波形において、式(1)で表される振動波形の振幅ΔRが10%以下であり、明度L*(SCI)が35以上であり、明度L*(SCE)が35以下であり、前記A層またはB層のうち少なくとも3層に粒子が含有され、前記粒子を含有する層を構成する熱可塑性樹脂の屈折率と当該層に含まれる粒子の屈折率の差が0.005以下であることを特徴とする積層フィルム。
    ΔR=(Rmax−Rmin)/2(%) (1)
    (ここで、振動波形とは、1nm刻みの波長にて測定して求めた分光反射率曲線について、各測定点を対象に20点移動平均処理を行って20点移動平均分光反射率曲線を求め、該20点移動平均処理の前後の分光反射率曲線の差分をとって得た曲線の波長400〜700nmの範囲の曲線をいい、Rmax、Rminは、それぞれ振動波形に見られる反射率差の最大値と最小値を指す。)
  2. 波長550nmの直線偏光の光を該積層フィルムの表面に対して入射角0°で照射し、該積層フィルムを入射光軸を中心に回転させたときの反射率(%)の最小値と最大値の差が30%以上である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. フィルム面に対して垂直に切り出して観察される垂直断面の写真において該粒子が含有された層の断面の単位面積に占める粒子部分の面積が1%以上である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記粒子の平均二次粒径が、0.05μm以上、1μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記粒子の含有する層を構成する熱可塑性樹脂に対する粒子の濃度が1重量%以上10重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 粒子は樹脂製であり、樹脂としてポリスチレン系樹脂製またはポリアミド系樹脂製が用いられている請求項1〜5の何れかに記載の積層フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bが非晶性のポリエステルであり、前記積層構造部分の結晶融解温度Tmetaが、融点220℃以上融点245℃以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1〜7の何れか記載の積層フィルムの最外層に、着色層および易接着層が設けられている機能化積層フィルム。
  9. 着色層の吸収スペクトルにおいて、波長520〜580nmの範囲に吸収ピークが観測される請求項に記載の機能化積層フィルム。
  10. 着色層の吸収スペクトルにおいて、波長420〜480nmの範囲および/または波長580〜640nmの範囲に吸収ピークが観測される請求項に記載の機能化積層フィルム。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム若しくは請求項8〜10のいずれかに記載の機能化積層フィルムを用いたハーフミラー材料。
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