JP7329903B2 - 光学部材、表示装置及び光学部材の選別方法 - Google Patents

光学部材、表示装置及び光学部材の選別方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学部材、表示装置及び光学部材の選別方法に関する。
液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置は、光学特性の改善等のために、表面や内部に光学部材が配置されている。これら光学部材は、製造時及び加工時等に傷つきにくくするために、光透過性基材上に硬度の高い樹脂層(ハードコート層)を設けた構成が採用されている。
しかし、光透過性基材上にハードコート層を設けた光学部材は、光透過性基材とハードコート層との密着性が劣る場合がある。光透過性基材とハードコート層との密着性を改善するために、例えば、特許文献1の手段が提案されている。
また、光透過性基材上にハードコート層を設けた光学部材は、光透過性基材とハードコート層との屈折率差に起因して干渉縞が生じ、外観不良となる場合がある。光学部材の干渉縞を改善するために、例えば、特許文献2の手段が提案されている。
特開2013-174852号公報 特開2003-205563号公報
特許文献1では、光透過性基材とハードコート層との間にプライマー層を介在させることにより、光透過性基材とハードコート層との密着性を良好にしている。しかし、特許文献1の手段では、光学部材の製造工程が増え、生産性に劣るという問題がある。また、特許文献1の手段では、光学部材の界面が増加するため、干渉縞が生じやすくなるという問題も有る。
特許文献2では、光透過性基材を溶解又は膨潤させる溶剤を含む組成物を該基材に塗布、乾燥してハードコート層を形成することにより、干渉縞を抑制することを提案している。特許文献2の手段では、光透過性基材とハードコート層との密着性の改善も期待できる。しかし、特許文献2の手段では、干渉縞の抑制が不十分である場合がある。
また、光透過性基材の樹脂成分等がハードコート層側に移行した場合、該移行成分がハードコート層の諸物性を低下させる可能性があるが、特許文献2ではこの点に関して何ら検討していない。
本発明は、このような状況下になされたものであり、光透過性基材と樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性に優れた光学部材、表示装置及び光学部材の選別方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]の光学部材、表示装置及び光学部材の選別方法を提供する。
[1]光透過性基材上に樹脂層を有する光学部材であって、前記樹脂層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記光透過性基材から流入した樹脂とを含み、前記光透過性基材が前記樹脂層との界面に膨潤領域を有してなり、かつ下記の条件1を満たす光学部材。
<条件1>
前記光学部材の断面の透過電子像を、幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数が100ピクセル以上の解像度で撮像して解析領域を選択する。前記解析領域は、長さを樹脂層の厚み、幅を20ピクセルとした四角形内の領域とする。
前記解析領域の画像を256階調にグレースケール化する。前記解析領域を樹脂層の厚み方向に1ピクセルごとに分割し、各分割領域の平均階調を算出する。各分割領域を光透過性基材側から順に1、2、3・・・nと採番し、採番した番号をX軸、各分割領域の平均階調をY軸として、採番した番号と平均階調との関係式を最小二乗法により算出した際に、前記関係式の傾きが0.15以上。
[2]表示素子の光出射面側に一種以上の光学部材を配置してなる表示装置であって、前記光学部材の少なくとも一種が上記[1]の光学部材である表示装置。
[3]光透過性基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層を有する光学部材の選別方法であって、前記樹脂層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記光透過性基材から流入した樹脂とを含み、前記光透過性基材が前記樹脂層との界面に膨潤領域を有してなり、かつ上記条件1を満たすものを選別する、光学部材の選別方法。
本発明の光学部材及び表示装置は、光透過性基材と樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性に優れる。
また、本発明の光学部材の選別方法は、光透過性基材と樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性に優れた光学部材を、数多くの検査を行うことなく、画像解析のみで客観的かつ正確に選別することができ、品質に優れた光学部材を効率よく出荷することができる。
実施例1の光学部材の樹脂層の平均階調の変化を示す図である。 比較例1の光学部材の樹脂層の平均階調の変化を示す図である。
[光学部材]
本発明の光学部材は、光透過性基材上に樹脂層を有する光学部材であって、前記樹脂層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記光透過性基材から流入した樹脂とを含み、前記光透過性基材が前記樹脂層との界面に膨潤領域を有してなり、かつ下記の条件1を満たすものである。
<条件1>
前記光学部材の断面の透過電子像を、幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数が100ピクセル以上の解像度で撮像して解析領域を選択する。前記解析領域は、長さを樹脂層の厚み、幅を20ピクセルとした四角形内の領域とする。
前記解析領域の画像を256階調にグレースケール化する。前記解析領域を樹脂層の厚み方向に1ピクセルごとに分割し、各分割領域の平均階調を算出する。各分割領域を光透過性基材側から順に1、2、3・・・nと採番し、採番した番号をX軸、各分割領域の平均階調をY軸として、採番した番号と平均階調との関係式を最小二乗法により算出した際に、前記関係式の傾きが0.15以上。
<<条件1>>
以下、条件1の技術的意義について説明する。
まず、条件1を満たすことは、光透過性基材側から樹脂層の表面側に向かうにつれて、解析領域の明度が増加傾向にあることを示している。
光学部材を構成する材料は電子を殆ど透過するため、光学部材の断面の透過電子像を撮像する場合、事前に、光学部材の断面を染料で染色する。この際、架橋密度が高い箇所は染色されにくい傾向にあり、架橋密度が低い箇所は染色されやすい傾向にある。また、染色された箇所は透過する電子量が減少するため、撮像した画像の明度が低下する。
したがって、条件1を満たすことは、光透過性基材側から樹脂層の表面側に向かうにつれて、樹脂層の架橋密度が増加し、染料で染色されにくくなっている状態が形成されていることを意味している。そして、樹脂層の光透過性基材側から表面側に向かうにつれて樹脂層の架橋密度が増加していることは、樹脂層中に光透過性基材の樹脂が流入しているにも関わらず、樹脂層本来の耐擦傷性が低下することが抑制されていることを意味している。
以上のように、条件1を満たすことにより、樹脂層の耐擦傷性が低下することを抑制できる。
一方、条件1を満たさないことは、樹脂層の光透過性基材側から表面側に向かうにつれて樹脂層の架橋密度が低下すること、あるいは、樹脂層の光透過性基材側と表面側との架橋密度がほぼ同一であることを意味する。したがって、条件1を満たさない場合、樹脂層の耐擦傷性が低下してしまう。
条件1において、前記関係式の傾きは0.17以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.22以上であることがさらに好ましい。
なお、前記関係式の傾きが大きすぎる場合、樹脂層の厚み方向で組成(≒物性)が急激に変化するため、該物性差に基づいて経時的に予期せぬ影響を生じる可能性がある。このため、前記式の傾きは1.00以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。
なお、条件1は、20個のサンプルの平均値とする。
20個のサンプルの上記傾きの標準偏差は0.30以下であることが好ましい。また、20箇所のサンプルの上記傾きの歪度の絶対値は2.0以下であることが好ましい。
上記傾きは正規分布にならない場合があるが、少なくとも、本明細書に記載する標準偏差、歪度の範囲であれば、本発明の効果は阻害されない。なお、上記傾きが正規分布にならない場合がある理由は、以下のように考えられる。
樹脂層塗布液を光透過性基材に塗布、乾燥する際に、乾燥風が完全な層流であることはありえないため、乾燥条件は面内の位置によって相違する。また、樹脂層塗布液中に粒子等の非溶解成分を含む場合、該非溶解成分の存在割合は樹脂層の位置によって異なるため、面内の乾燥条件はより異なるものとなる。さらに、塗膜の乾燥速度は、これらの因子によって、線形に変化するのではなく、非線形に変化する。かかる原因により、上記傾きは正規分布にならない場合が生じると考えられる。
<<測定用サンプルの作製>>
条件1において光学部材の断面の透過電子像で撮像する際には、下記(1)~(3)の要領で加工及び染色した測定用サンプルを用いることが好ましい。
(1)光学部材を薄膜に切断可能とするために、光学部材に補助部材を貼り合わせた積層部材を得る。例えば、光学部材の両面に接着剤を介して透明板を貼り合わせて積層部材を得る。接着剤としては、例えば、瞬間接着剤(東亜合成株式会社製の商品名アロンアルファEXTRAステック)を使用することができ、透明板としては、例えば、塩化ビニル樹脂板(株式会社クラウングループ製の品番「塩化ビニルB5透明下敷 CR-ST51」)を使用することができる。
(2)(1)で得た積層部材を、厚み方向と平行な方向にダイヤモンドナイフで切断する。切断した積層部材の幅(積層部材の厚み方向と直交する方向の長さ)は、20~130nmとすることが好ましく、より好ましくは25~100nm、さらに好ましくは30~80nmとする。
(3)容量が20ccのガラス容器中に、四酸化オスミウムの結晶体と(2)で得た切断した積層部材を投入し、密閉フィルムにて容器の蓋の周囲を密閉し、室温、常圧で0.5~2時間放置し、切断した積層部材を染色し、測定用サンプルを得る。四酸化オスミウムの結晶体の量は、0.3mmが標準的な量であり、0.1~1.0mmでもよい。密閉フィルムとしては、例えば、エル・エス・エス社製の商品名「パラフィルム PM996」を使用できる。
<<透過電子像の撮像>>
条件1では、前述のように作製した測定用サンプルを用いて、下記の条件で透過電子像(STEM写真)を撮像することが好ましい。下記撮像条件において、「幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数を100ピクセル以上で表示する解像度」であることは、「長さ方向の長さ5μm辺りのピクセル数を100ピクセル以上で表示する解像度」であることも意味する。
<撮像条件>
・モード:STEM透過
・加速電圧:30kV
・撮影倍率:10,000倍
・解像度:幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数を100ピクセル以上で表示する解像度
条件1では、上記のように撮像した透過電子像について、所定の解析領域を所定の条件で解析している。撮像条件の解像度は、上記の条件(幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数を100ピクセル以上で表示する解像度)のような高解像度であれば、解析領域を細かく分割できるため、解像度の値に関わりなく、条件1から算出される関係式の傾きを一定にすることができる。
解析領域は、長さを樹脂層の厚み、幅を樹脂層の厚みの1/5とした四角形内の領域とする。樹脂層中に粒子を含む場合、粒子を含まない箇所を解析領域として決定するものとする。
なお、図1は実施例1の光学部材の樹脂層の平均階調の変化を示す図であり、図2は比較例1の光学部材の樹脂層の平均階調の変化を示す図である。図1及び図2において、横軸は分割領域を光透過性基材側から順に採番した番号、縦軸は各分割領域の平均階調を示している。
<光透過性基材>
光透過性基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アクリル;トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース;ポリアミド;ポリイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリプロピレン;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリビニルアセタール;ポリエーテルケトン;ポリカーボネート;ポリウレタン;非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等の樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
光透過性基材の厚さは、5~300μmであることが好ましく、30~200μmであることがより好ましい。
光透過性基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
光透過性基材は、後述する樹脂層との界面に膨潤領域を有する。
該膨潤領域は、光透過性基材上に樹脂層を形成する際に、樹脂層形成塗布液の成分が含浸することにより形成される。そして、該膨潤領域が形成されることによって、光透過性基材と樹脂層とが強固に結びつき、光透過性基材と樹脂層との密着性を向上しやすくなる。また、光透過性基材と樹脂層との屈折率に差を有する場合、光透過性基材に膨潤領域が形成されることにより、前記屈折率差に基づく干渉縞の発生を抑制することができる。
さらに、該膨潤領域が形成されることは、光透過性基材の成分が樹脂層側に溶出しやすくなることを意味している。このため、光透過性基材として膨潤領域が形成されるものを用いて、かつ、後述するように、樹脂層形成塗布液の組成や、該塗布液の乾燥温度、乾燥時間を調整することにより、条件1を満たしやすくすることができる。
光透過性基材を構成する樹脂のガラス転移温度は、樹脂層塗布液の乾燥過程で、光透過性基材を構成する樹脂が多量に樹脂層側に流入することを抑制する観点から、100℃以上であることが好ましく、105℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましい。
所定のガラス転移温度を有する光透過性基材は、例えば、所定のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂を原料を溶融押し出ししてフィルム化し、該フィルムを延伸処理することで製造することができる。より具体的には、特開2017-177499号公報に記載された方法で所定のガラス転移温度を有する光透過性基材を製造できる。
膨潤領域は、使用する光透過性基材の種類に応じて、樹脂層形成塗布液のモノマーや溶剤を選択することにより形成できる。
膨潤領域を形成しやすい光透過性基材としては、セルロース基材、アクリル基材が挙げられる。特に、アクリル基材は、樹脂層側に溶出する光透過性基材の量を調整しやすく、条件1を満たしやすい点でより好適である。また、アクリル基材は、光透過性及び光学的等方性に優れる点でも好適である。
なお、本明細書において、「アクリル」とは、アクリル系のもの及び/又はメタクリル系のものを意味する。
光透過性基材の一例であるアクリル基材を構成するアクリルバインダーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを1種又は2種以上組み合わせて重合してなるものが好ましく、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチルを用いて得られるものが好ましい。
また、アクリルバインダーとして、例えば、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報等に記載のものが挙げられる。さらに、アクリルバインダーとして、ラクトン環構造を有するアクリル、イミド環構造を有するアクリル等の環構造を有するアクリルバインダーを用いてもよい。
アクリル基材は、アクリルバインダー以外のバインダー成分を含んでいてもよいが、全バインダーに占めるアクリルバインダーの割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
また、アクリル基材は有機微粒子を含有していてもよい。アクリル基材が有機粒子を含むと、アクリル基材の成分が溶出する際に界面が凹凸になりやすく、樹脂層との密着性をより良好にすることができる。
有機微粒子としては、ゴム弾性を示す層を含むゴム弾性体粒子が好ましく用いられる。ゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。有機微粒子がゴム弾性体粒子であると、アクリル基材の曲げ性が良好となり、また、溶剤等によりクラックが生じることも抑制しやすくなる。
また、上記有機微粒子としては、核及び殻からなるコアシェル構造のものが好ましく用いられる。
有機微粒子の材料としては、透明なものが好ましく、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン-ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。なかでも、内部へイズを抑制して透明性を良好にし得るアクリル系弾性重合体が好ましい。
有機微粒子としては、平均粒子径が10~400nmのものが好ましく、50~300nmのものがより好ましい。平均粒子径を10nm以上とすることにより、アクリル基材に発生するマイクロクラックの伝播を抑止しやすくでき、400nm以下とすることにより、ヘイズの上昇を抑えることができる。
アクリル基材における有機微粒子の含有量は、アクリル基材の全固形分の25~45質量%の割合であることが好ましい。有機微粒子をこの割合で含有することにより、アクリル基材に発生するマイクロクラックの伝播を抑止しやすくできるとともに、内部ヘイズの上昇を抑えることができる。
<樹脂層>
樹脂層は、電離放射線硬化性樹脂組成物及び溶剤等を含む樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法により光透過性基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成することができる。
<<電離放射線硬化性樹脂組成物>>
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。また、電離放射線硬化性化合物は、電離放射線硬化性官能基を2つ以上有する多官能の電離放射線硬化性化合物が好ましい。これらの電離放射線硬化性化合物の中では、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
また、電離放射線硬化性化合物は、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
電離放射線硬化性化合物としては、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーを含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する(メタ)アクリレート系モノマーを含むことがより好ましい。
電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーは、光透過性基材を適度に膨潤し、光透過性基材の樹脂を樹脂層中に溶出し、かつ、樹脂層の架橋密度を高めることができる。このため、電離放射線硬化性化合物が電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーを含むことにより、光透過性基材と樹脂層との密着性を良好にしやすくでき、光学部材の干渉ムラを抑制しやすくでき、樹脂層の耐擦傷性を良好にしやすくでき、さらには、条件1を満たしやすくできる。
また、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーは、前述した効果のバランスの観点から、官能基数が3~5であることが好ましく、3~4であることがより好ましい。
また、電離放射線硬化性化合物として、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーとともに、電離放射線硬化性オリゴマーを併用することが好ましい。電離放射線硬化性オリゴマーを用いることにより、光透過性基材の樹脂が過度に溶出することを抑制できるとともに、樹脂層内において、光透過性基材から溶出した樹脂の相溶性を調整しやすくなり、条件1を満たしやすくできる。なお、樹脂層の耐擦傷性を高める観点からは、前記オリゴマーは、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するものが好ましい。
電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーと電離放射線硬化性オリゴマーとの質量比は、3:7~7:3であることが好ましく、4:6~6:4であることがより好ましい。
また、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーと電離放射線硬化性オリゴマーとの合計量は、電離放射線硬化性化合物の全量の75質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがよりさらに好ましい。
なお、電離放射線硬化性官能基の数が2つ以下のモノマーは、光透過性基材中の樹脂成分を過度に溶出させやすく、樹脂層中に多量に溶出した樹脂成分を原因として条件1が満たしにくくなったり、樹脂層の耐擦傷性が低下したりする場合がある。このため、電離放射線硬化性官能基の数が2つ以下のモノマーは、電離放射線硬化性化合物の全量の25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
電離放射線硬化性官能基を3つ以上有するモノマーの代表例である3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。前述した(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、電離放射線硬化性官能基を3つ以上有する(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
<<粒子>>
樹脂層中には、粒子を含有してもよい。
粒子は、例えば防眩性を付与するために用いる。粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。また、粒子の形状は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等が挙げられる。また、粒子は、中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子の何れの形態であってもよい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
上述の粒子の中でも、分散制御の容易さの観点から有機粒子が好適であり、その中でも、ポリアクリル-スチレン共重合体粒子が好適である。ポリアクリル-スチレン共重合体粒子は、屈折率及び親疎水の程度の制御が容易であることから、内部ヘイズ、及び凝集/分散の制御がしやすい点で良好である。
粒子の平均粒子径は1~8μmであることが好ましく、1.5~5μmであることがより好ましい。
なお、粒子の平均粒子径は、例えば、以下の(1)~(3)の作業により算出できる。
(1)本発明の光学部材を光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500~2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を大粒子の平均粒子径とする。
粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の0.2~15.0質量%であることが好ましく、0.5~10.0質量%であることがより好ましく、1.0~6.0質量%であることがさらに好ましい。
<<微粒子>>
樹脂層中には微粒子を含有してもよい。
微粒子は、例えば、樹脂層塗布液の粘度を調整したり、上述した粒子が樹脂層中で沈降することを抑制したりする役割を有する。
微粒子は平均一次粒子径200nm以下のものが好適である。また、微粒子は無機微粒子が好ましく、シリカ微粒子がより好ましい。
<<添加剤>>
樹脂層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防汚剤、防曇剤、レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
<<溶剤>>
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。また、条件(1)を満たしやすくするため、光透過性基材への溶剤の浸透性を考慮して溶剤を選定することが好ましい。
具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、光透過性基材から樹脂層中に溶出した樹脂成分が、樹脂層の表面付近まで過度に進出し、樹脂層の耐擦傷性の低下を招く可能性がある。このため、溶剤の相対蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)は180以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。
一方、溶剤の相対蒸発速度が速すぎる場合、光透過性基材から樹脂層中に溶出した樹脂成分が樹脂層の光透過性基材側にとどまり、樹脂層の厚み方向で組成(≒物性)が急激に変化し、該物性差に基づいて経時的に予期せぬ影響を生じる可能性がある。このため、溶剤の相対蒸発速度は300以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましい。
なお、混合溶剤の場合、各溶剤の相対蒸発速度に各溶剤の質量割合を乗じた値を合計することにより、混合溶剤の相対蒸発速度を算出できる。例えば、相対蒸発速度170の溶剤と、相対蒸発速度200の溶剤とが、1:1で混合された溶剤の相対蒸発速度は185である。
相対蒸発速度の例を挙げると、メチルエチルケトン(MEK)が370、トルエンが200、メチルイソブチルケトン(MIBK)が160、イソプロピルアルコール(IPA)が150、シクロヘキサノンが32である。
光透過性基材がアクリル基材の場合、溶剤によりアクリル基材が膨潤ないしは溶解されやすい傾向にあることから、アクリル基材を適度に膨潤ないしは溶解する溶剤を選択することが好ましい。
このような溶剤としては、アルコール類が好ましく、その他の各溶剤種類においては炭素数がより多いものが良好な傾向があり、その中でも蒸発速度が速いものが良好な傾向がある。例えば、アルコール類であればイソプロピルアルコール、ケトン類であればメチルエチルケトン、芳香族炭化水素類であればトルエンが例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
樹脂層形成塗布液中の溶剤の含有割合としては特に限定されないが、樹脂層形成塗布液の固形分100質量部に対して、50~200質量部が好ましく、70~120質量部であることがより好ましい。
また、溶剤の乾燥時間を制御して条件1を満たしやすくする観点からは、樹脂層を形成する際、乾燥条件を制御することが好ましい。乾燥条件は、乾燥温度、乾燥時間及び乾燥機内の風速により制御することができる。
乾燥温度は60~120℃が好ましく、より好ましくは100~120℃である。乾燥時間は40~100秒が好ましく、より好ましくは50~70秒である。乾燥風速は5~50m/sが好ましく、より好ましくは12~20m/sである。
樹脂層の厚みは、カール抑制、機械的強度、耐擦傷性及び靭性とのバランスの観点から、2~10μmであることが好ましく、3~8μmであることがより好ましく、3.5~5.0μmであることがさらに好ましい。なお、樹脂層の厚みが厚過ぎると、溶剤の乾燥が遅くなるため好ましくない。
樹脂層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。
光学部材は、光透過性基材の樹脂層を有する側の面、及び/又は、光透過性基材の樹脂層を有する側は反対側の面上に、反射防止層、防汚層、帯電防止層等の機能性層を有していてもよい。
<大きさ、形状等>
光学部材は枚葉状であってもよいしロール状であってもよい。
また、枚葉の大きさは特に限定されないが、一般的には、大きさは対角で2~500インチ程度である。ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は500~3000mm、長さは500~5000m程度である。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。
<光学物性>
光学部材は、全光線透過率(JIS K7361-1:1997)及びヘイズ(JIS K7136:2000)が以下の範囲であることが好ましい。
全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
ヘイズは、0.5~20.0%であることが好ましく、1.0~15.0%であることがより好ましく、1.5~10.0%であることがさらに好ましい。
[表示装置]
本発明の表示装置は、表示素子の光出射面側に一種以上の光学部材を配置してなる表示装置であって、光学部材の少なくとも一種が上述した本発明の光学部材であるものである。
本発明の表示装置は、表示装置の最表面に、上述した本発明の光学部材の樹脂層が表示素子とは反対側を向くように配置することが好ましい。
表示装置を構成する表示素子としては、液晶表示素子、プラズマ表示素子、有機EL表示素子等が挙げられる。
表示素子の具体的な構成は特に制限されない。例えば液晶表示素子の場合、下部ガラス基板、下部透明電極、液晶層、上部透明電極、カラーフィルター及び上部ガラス基板を順に有する基本構成からなり、超高精細の液晶表示素子では、該下部透明電極及び上部透明電極が高密度にパターニングされている。
本発明の表示装置は、表示素子上にタッチパネルを有し、該タッチパネルの構成部材として、本発明の光学部材を配置してなるものであってもよい。
タッチパネルとしては、静電容量式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
[光学部材の選別方法]
本発明の光学部材の選別方法は、光透過性基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層を有する光学部材の選別方法であって、前記樹脂層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記光透過性基材から流入した樹脂とを含み、前記光透過性基材が前記樹脂層との界面に膨潤領域を有してなり、かつ下記条件1を満たすものを選別するものである。
<条件1>
前記光学部材の断面の透過電子像を、幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数が100ピクセル以上の解像度で撮像して解析領域を選択する。前記解析領域は、長さを樹脂層の厚み、幅を20ピクセルとした四角形内の領域とする。
前記解析領域の画像を256階調にグレースケール化する。前記解析領域を樹脂層の厚み方向に1ピクセルごとに分割し、各分割領域の平均階調を算出する。各分割領域を光透過性基材側から順に1、2、3・・・nと採番し、採番した番号をX軸、各分割領域の平均階調をY軸として、採番した番号と平均階調との関係式を最小二乗法により算出した際に、前記関係式の傾きが0.15以上。
本発明の光学部材を選別する判定条件は、上記条件1を満たすことを必須条件とする。
本発明の光学部材の選別方法では、各種の検査を実施しなくても、光透過性基材と樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性に優れた光学部材を選別することができ、光学部材の品質管理を効率よくできる。
判定条件1は、本発明の光学部材で述べた条件1の好適な数値範囲を満たすことが好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」は特に断りのない限り質量基準である。
1.光学部材の物性測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の光学部材の物性測定及び評価を行った。結果を表1等に示す。
1-1.膨潤領域の判定条件1の関係式の傾きの算出
下記のように作製した測定用サンプルを用いて、下記の条件で測定用サンプルの透過電子像(STEM写真)を撮像した。走査透過型電子顕微鏡(STEM)は、日立ハイテクノロジーズ社製の製品名「S-4800(TYPE2)を用いた。撮像した写真を目視で観察し、膨潤領域が形成されているものを「A」、膨潤領域が形成されていないものを「C」とした。
<撮像条件>
・モード:STEM透過
・加速電圧:30kV
・撮影倍率:10,000倍
・解像度:幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数を500ピクセルで表示する解像度
次いで、撮像した画像に関して、長さを樹脂層の厚み、幅を20ピクセルとした四角形内の領域の画像を256階調にグレースケール化した。
次いで、解析領域を樹脂層の厚み方向に1ピクセルごとに分割し、各分割領域の平均階調を算出した。
次いで、各分割領域を光透過性基材側から順に1、2、3・・・nと採番し、採番した番号をX軸、各分割領域の平均階調をY軸として、採番した番号と平均階調との関係式を最小二乗法により算出し、該関係式の傾きを得た。20個のサンプルの傾きを算出し、20個のサンプルの平均値を実施例及び比較例の傾きとした。
<測定用サンプルの作製>
下記(1)~(3)の要領で、実施例及び比較例の光学部材を加工及び染色した測定用サンプルを作製した。
(1)実施例及び比較例の光学部材の両面に接着剤(東亜合成株式会社製の商品名アロンアルファEXTRAステック)を介して塩化ビニル樹脂板(株式会社クラウングループ製の品番「塩化ビニルB5透明下敷 CR-ST51」)を貼り合わせて積層部材を得た。
(2)(1)で得た積層部材を、切断した積層部材の幅(積層部材の厚み方向と直交する方向の長さ)が30~80nmとなるように、積層部材の厚み方向と平行な方向にダイヤモンドナイフで切断した。
(3)容量が20ccのガラス容器中に、四酸化オスミウムの結晶体0.3mmと(2)で得た切断した積層部材とを投入し、密閉フィルム(エル・エス・エス社製の商品名「パラフィルム PM996」)にて容器の蓋の周囲を密閉し、室温、常圧で1時間放置し、切断した積層部材を染色し、測定用サンプルを得た。
1-2.密着性
JIS B7751に準拠した紫外線カーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機(スガ試験機社製の商品名「FAL-AU・B」、光源:紫外線カーボンアーク灯、放射照度:500W/m、ブラックパネル温度:63℃)内に実施例及び比較例の光学部材を設置して200時間処理した後、密着性を評価した。具体的には、前記処理後の光学部材の樹脂層側からカッターナイフを用いて切れ込みを入れ、1mm×1mmの大きさの升目を100個形成した。ニチバン社製の商品名「セロテープ(登録商標)No.405」を切り込み面に貼り付けて剥がす作業を5回行い、残存した升目の数に応じて、下記の基準で密着性を評価した。
AA:残存数100
A:残存数75以上100未満
B:残存数50以上75未満
C:残存数25以上50未満
D:残存数25未満
1-3.耐擦傷性
ガラス板上に実施例及び比較例の光学部材を固定し、固定した光学部材の樹脂層側の表面に、#0000番のスチールウールを押し当て、90~100mm/sの速度で、70~80mmの幅を10往復擦った。次いで、アクリル基材の樹脂層とは反対側の面に黒色のテープを貼り合わせた傷評価用サンプルを作製した。該サンプルの樹脂層側から、3波長蛍光管の照明下において目視で観察し、該サンプルの左右の端部を除いた中心の50mmを有効領域として、該有効領域に生じた傷に関して、下記基準で評価した。
A:スチールウールを押し当てる荷重を700gとした際に、明室環境及び暗室環境の何れでも傷が観察されないもの。
B:スチールウールを押し当てる荷重を700gとした際に、暗室環境では傷が観察されるが明室環境では傷が観察されないもの。
C:スチールウールを押し当てる荷重を700gとした際には、明室環境及び暗室環境で傷が観察されるが、荷重を500gとした際に、明室環境及び暗室環境の何れでも傷が観察されないもの。
D:スチールウールを押し当てる荷重を500gとした際に、明室環境では傷が観察されないが暗室環境では傷が観察されるもの。
2.光学部材の作製
[実施例1]
厚み40μmのアクリル基材(基材を構成するPMMA樹脂のガラス転移温度115℃、全光線透過率91.5%、ヘイズ0.8%)上に、下記処方の樹脂層形成塗布液1を塗布し、乾燥温度110℃、風速15m/sで60秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して、樹脂層を形成し、実施例1の光学部材を得た。樹脂層の膜厚は4.0μmであった。
<樹脂層形成塗布液1>
・多官能アクリレートモノマー 50部
(3官能アクリレートモノマーと4官能アクリレートモノマーとの1:1混合物)
・3官能ウレタンアクリレートオリゴマー 25部
・4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 25部
・粒子 4部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・シリカ微粒子 2.5部
(平均一次粒子径12nm)
・光重合開始剤 8部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
・溶剤1(トルエン、相対蒸発速度200) 50部
・溶剤2(IPA、相対蒸発速度150) 25部
・溶剤3(MEK、相対蒸発速度370) 25部
[実施例2]
樹脂層の膜厚を4.5μmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の光学部材を得た。
[比較例1]
実施例1と同じアクリル基材上に、下記処方の樹脂層形成塗布液2を塗布し、乾燥温度90℃、風速10m/sで60秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して、樹脂層を形成し、比較例1の光学部材を得た。樹脂層の膜厚は5.5μmであった。
<樹脂層形成塗布液2>
・2多官能アクリレートモノマー 35部
・10多官能アクリレートモノマー 25部
・3官能ウレタンアクリレートオリゴマー 20部
・4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 20部
・粒子 1.2部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.8μm)
・粒子 3.5部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径2.0μm)
・シリカ微粒子 0.5部
(平均一次粒子径12nm)
・光重合開始剤 8部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
・溶剤1(トルエン、相対蒸発速度200) 63部
・溶剤2(IPA、相対蒸発速度150) 25部
・溶剤3(シクロヘキサノン、相対蒸発速度32) 10部
・溶剤4(MIBK、相対蒸発速度160) 2部
表1の結果から、条件1を満たす光学部材は、光透過性基材と樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性を損なわないことが確認できる。
本発明の光学部材は、樹脂層との密着性に優れるとともに、樹脂層の諸物性を損なわない点で有用である。

Claims (1)

  1. 光透過性基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層を有する光学部材の選別方法であって、
    前記樹脂層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記光透過性基材から流入した樹脂とを含み、前記光透過性基材が前記樹脂層との界面に膨潤領域を有してなり、かつ下記条件1を満たすものを選別する、光学部材の選別方法。
    <条件1>
    前記光学部材の断面の透過電子像を、幅方向の長さ5μm辺りのピクセル数が500ピクセルの解像度で撮像して解析領域を選択する。前記解析領域は、長さを樹脂層の厚み、幅を20ピクセルとした四角形内の領域とする。
    前記解析領域の画像を256階調にグレースケール化する。前記解析領域を樹脂層の厚み方向に1ピクセルごとに分割し、各分割領域の平均階調を算出する。各分割領域を光透過性基材側から順に1、2、3・・・nと採番し、採番した番号をX軸、各分割領域の平均階調をY軸として、採番した番号と平均階調との関係式を最小二乗法により算出した際に、前記関係式の傾きが0.15以上1.00以下。
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