JP2009262466A - 成形体または積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
電磁波透過性があり、かつ成形が可能なメタリックカラーのフィルムを得ることを課題とする。また、着色層の設計をコントロールすることにより、シルバーな金属調の質感に近い成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】
層厚みが20nm以上500nm以下である層を50層以上有する積層フィルムの少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層が存在し、かつ着色層が存在する反対面に基材が存在することを特徴とする成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも片面に着色層を有する成形体に関するものである。更に詳細には、本発明は、装飾用部材、例えば自動車用外部材、携帯電話・家電用品の光沢調装飾材に関するものである。
基材に樹脂を用いた装飾シート、あるいはさらにこの装飾シートを木質板や樹脂成型品などの被着体に積層一体化して得られる化粧板や成型品など、これらは装飾材として自動車関係の部品をはじめとして各種家電機器、建築部材などの製品(部品)などの各種用途で使用されている。このような装飾材における意匠表現の一種として金属調外観があり、特に金属光沢調のフィルムにインキ等の着色層等を設けることにより、従来にない光沢を有する発色をすることから好ましい形態である。
金属光沢調のフィルムを得る方法として、例えばメタリックインキ印刷、アルミ箔との貼合、アルミニウムを蒸着する方法がある。メタリックインキには金インキ、銀インキと呼ばれるものが含まれ、顔料としてアルミペースト、ブロンズパウダー等を混合したもの等が使用される(特許文献1、2、3、4)。しかしこれらの方法で意匠性の高い金属光沢を形成すると、プラスチックフィルムと金属層の密着性が劣る、金属層のためにリサイクルが困難であるという問題があり、成型用途に使用するには問題がある。さらに、金属層のために電磁波シールド性が発生するため、自動車や携帯電話、家電製品などの加飾材料として用いると、電磁波障害を生じたりする場合がある。また、インジウムやスズなどのように電磁波を透過する金属もあるが、金属層により形成したハーフミラーの成形体では、操作パネルの押圧操作部分が繰り返し圧力を加えることによって白化し、下地の印字部分が見えなくなる問題がある。
金属を用いない金属のような光沢を有する材料として、従来から、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層する事により、選択的に特定の波長を反射するフィルムがある(例えば特許文献5〜6)これは樹脂の組み合わせや積層構成によって、金属メッキを上回る反射率が得られ、かつ電磁波透過性・延伸性に優れる利点がある。特に、人間の可視光線(およそ波長350nm〜800nm)をバランス良く反射すると無彩色の反射色を帰すため、金属調の外観となる。しかしながら、このように無彩色の反射を得ることは難しく、また、多層積層フィルムは、入射角を変えることにより反射帯域の遷移が起こるため、反射帯域に抜け落ちがあると、色づきが生じやすい。特に色づきの生じやすい条件とは、一つは非常に長いフィルム幅においては、フィルム端部に行くほど積層不良が生じやすくなり色むらが発生しやすくなる。そのため、フィルム中央部分しか要求特性を満たせない場合があり、非常に収率が劣る問題がある。また、一つはハーフミラーのように反射率の低いフィルムの場合でも色づきが生じやすい。さらに一つはこの多層積層フィルムを成形体にした場合、フィルムが引き延ばされることからより反射帯域の抜け落ちが大きくなり、色づきが発生しやすい。
また、金属を用いずに、カラーメタリックの外観を有するには、上記の交互多層積層フィルムの積層厚みを変えることにより達成できる。例示すれば、可視光線の内、低波長側(300〜500nm)の帯域の反射が高くなるような積層装置を用いることにより、青から青紫のメタリックカラーフィルムが得られる。しかし、このように色のラインナップによって積層装置を変更するにはコストが高くなり、さらに色ごとに装置を止める必要があるため、あまり現実的ではなかった。
特開2008−1784号公報 特開2005−111960号公報 特開2004−323731号公報 特開2004−155164号公報 特開平3−41401号公報 特開平4−295804号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決せんがため、多層積層フィルムを使用した成形体に、着色層を設けることによって、電磁波透過性があり、かつ成形が可能なメタリックカラーのフィルムを得ることを課題としている。また、着色層の設計をコントロールすることにより、よりニュートラルグレーに近い風合いの金属調の成形体を得ることができ、さらに角度依存性を少なくすることができる。さらに、着色層の表面硬度を規定することにより、耐傷性にも優れたメタリックカラーのフィルムを得ることができる。
上記課題を解決するため、本発明の積層フィルムは、層厚みが20nm以上500nm以下である層を50層以上有する積層フィルムの少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層が存在し、かつ着色層が存在する反対面に基材が存在することを特徴とする。
本発明は、カラーメタリック調の成形体、または角度依存性の少ない金属調の成形体を提供するものである。この成形体は、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、本発明の積層フィルムは、角度依存性の少ない発色を示し、成形加工を行っても、色つきが少ないものである。
上記目的を達成するため、本発明の成形体は、層厚みが20nm以上500nm以下である層を50層以上有する積層フィルムの少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層が存在し、かつ着色層が存在する反対面に基材が存在していなければならない。このような成形体は、金属調としての質感に優れ、従来にない金属光沢を有するものである。特に積層フィルムが延性であることから、成形加工することも可能である。
本発明において積層フィルムを構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。しかし一方で、成型性に耐え得るだけの延伸性と追従性を備える樹脂でなければならない。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、樹脂Aと樹脂Bの交互積層より構成されており、その好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、樹脂Aからなる層と樹脂Aと同一の基本骨格を含む樹脂Bからなる層を有していることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂Aと樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるものである。
A層とB層については、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いものである。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、金属光沢の外観不良となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることも好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明の樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、樹脂CからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、本発明では樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ50層以上含まなければならない。より好ましくは、200層以上である。さらに、好ましくはA層とB層の総積層数が600層以上である。A層とB層をそれぞれ50層以上積層した構造を含まないと、十分な反射率が得られなくなり、輝度の高い金属調の外観とはならない。また、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を40%以上とすることが可能となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、3000層以下であることが好ましい。
本発明の成形体は、波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上であることが必要である。これにより光沢度の高い金属調のフィルムとすることが可能となる。そのためには、層厚みを20nm以上500nm以下の範囲で徐々に厚くもしくは薄くすることにより、反射する帯域を希望の値に近づけることができる。より理想的な層厚みの範囲としては、30nm以上370nm以下である。より好ましくは、フィルム両表面における波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が30%以上である。この場合、成形後も金属調を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。これは、可視光より高波長側(700nm以上)も絶対反射率が30%以上であるためで、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の絶対反射率は30%以上を維持できるためである。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が40%以上である。さらに好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が60%以上である。絶対反射率があがるほど、より高い輝度の金属調とすることが可能となる。また、波長帯域400nm〜1200nmの絶対反射率が30%以上であるのもより好ましい。この場合、より高い絞り比で成形しても、色づきなどが起こりにくく、金属調を維持することができる。
本発明の着色層とは、樹脂やワックスまたはその混合物からなるバインダーと、従来公知の染
料や顔料等の着色剤を単独又は任意に組合せて構成され、フィルム本体の基材に対向する表面に形成される。用いられる染料や顔料は特に限定されず、例えばキノン系、カチオン系、シアニン系、フタロシアニン系、キナクドリン系、ジアリール・トリアリールメタン系、フルギド、アゾ系、スクアリリウム系、オキソノール系、ベンジリデン系、ニトロ系、ニトロソ系、チアゾール系、インジゴイド系など各色素が使用される。これらは色調補正のために、複数組み合わせて使用することも可能である。また、これらは層中に均一に分散し、透過光のむらがないようにすることが好ましい。また、本発明の着色層は、必ずしも有彩色に限定されず、白、灰色、黒などの無彩色を含むものとする。バインダーに用いる樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。バインダーに用いるワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。
また、着色層は、上述のようなバインダーではなくインキ印刷でもよく、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などで形成することができる。
必ずしも着色層は積層フィルムに隣接している必要はなく、他の機能を有する層を介していてもよい。例示すれば、ハードコート層/着色層/光沢層/積層フィルムなどの多層構成とすることも可能である。そして、それらの位置関係はお互いの特性を阻害しない限りではいずれであってもよい。
着色剤としては、従来公知の染料や顔料等の着色剤を単独又は任意の組合せで使用することができ、具体的な着色剤としては、前記の光沢層で説明したものを同様に用いることができる。着色層中の着色剤の含有量は、塗布または転写した際に下層となる積層フィルムの光沢感を完全に隠蔽しないこと、また印字物の輝度を損なわないこと等を考慮して任意に選択することができる。好ましくは、バインダー100重量部に対し0.8〜11重量部の割合で含有される。着色層は、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、薄い層、例えば、乾燥状態で0.1〜2g/m2 程度の厚みが好ましい。その厚みが多すぎると、良好な光沢感や印字が得られないという問題がある。また、厚みが少なすぎると、着色性が低下してくる。
本発明の着色層は、発色としての機能だけでなく、色補正としての機能を有していることが好ましい。特に無彩色の多層積層フィルムの色づきは、主に入射角を変えて見たときの色差変化によるものであることから、入射角10°から60°の範囲内の角度依存性の彩度最大値が、着色層面とその反対面の着色層を有していない層とで、下記式を満たしていることが好ましい。
ΔC*(C)/ΔC*(ML)≦0.85
ΔC*(C):着色層面の角度依存性の彩度最大値
ΔC*(ML):着色層反対面の角度依存性の彩度最大値
角度依存性の彩度最大値とは、入射角10°、20°、40°、60°の各彩度C*=(a*+b*1/2を求め、その中で最も差の大きいものと定義する。さらにはΔC*(C)/ΔC*(ML)≦0.6であると、より色変化のないものであることか非常に好ましいものである。
また、有彩色の多層積層フィルムの場合は、色づきの濃淡よりも色相の変化の有無が重要である。しかしこれは人間の視感的な問題であり、定量的な範囲を導くことは非常に困難である。例として言えば人間が人が色の赤から赤紫もしくはオレンジ色に変色した場合は許容される色変化であるが、赤から緑もしくは青といった色調に変化した場合は明らかな色変化として認識されるため好ましくない。
本発明の成形体は、樹脂製の基材と、その基材の表面に一体的に積層された積層フィルムと着色層とからなる。基材の材質は、各種成形法で成形できるものであれば特に制限されないが、例示としてアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、FPR樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルメチレン樹脂、ポリプロピレン発泡樹脂などがあげられる。またその色調、形状は、目的に応じて種々選択できる。好ましい樹脂としては、アクリルなどの硬度の高い樹脂基材を使うことにより表面硬度も向上することから好ましい。
樹脂成形と積層フィルムとの一体成型の方法としては、図柄等を印刷した加飾成形用のシートもしくはフィルムを用いて、インモールド加飾成形により該シートを成形体の基材表面に一体化する方法が広く行われているが、特に限定されず、他にも、射出成形、プレス成形、インモールド転写成形法、サーモジェクト法、CFI法などで行ってもよい。
本発明の成形体は、着色層内の染料又は顔料の分散粒径が10nm以上70nm以下であることが好ましい。このような構成を採ることにより、反射光が散乱せず、くっきりとした反射像が得られることからより金属調の外観に近いものとなる。また、ハーフミラー調の成形体としたときに、外観は金属調でありながら、裏側の透過光を鮮明に透過するため、印字表示がぼけないことから、表示機能付き成形体として非常に好ましいものである。このときの印字表示性能としては、着色層面の反対面からの透過光の像鮮明度が50%以上100%以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては70%以上95%以下である。
本発明の成形体は、フィルム表面に、透過率10%以上91%以下の領域が1平方mm以上存在することが好ましい。このような構成を採ることにより、例えばLEDなどの発光体を上記領域に設置することにより表示機能を示すようになる。特に透過率40%以上70%以下であればよりよい表示機能を達成できることから好ましい。特に、上述のように波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が20%以上でありながら、透過率を40%以上70%以下とすることにより、その部分はハーフミラーとなり、着色層側から見た場合は金属調となり、反対面から強い光を照射することにより、印字が浮かび上がるため表示パネルとして非常に好適である。印字部分以外は、着色層の反対面に透過率10%未満の遮蔽層(基材であってもよい)を設けることにより、金属調となる。一般に黒印刷層を設ける方法が簡便である。
本発明の成形体は、着色層が存在する面の超硬度微小計における表面硬度が0.2GPa以上4.0GPa以下であることが好ましい。このような構成を採ることにより、成形体の表面に傷が入りにくくなる。さらに好ましい表面硬度の範囲として、0.25GPa以上0.6GPa以下であることが好ましい。このような表面硬度を達成するためには、着色層の上に、ハードコート層を設ける形態が好ましい。この場合に、ハードコート層を形成する樹脂は、アクリロイル基を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のオリゴマー、プレポリマー、モノマー等のラジカル重合性化合物の他、エポキシ環、オキセタン環、ビニルエーテル基等を含むオリゴマー、プレポリマー、モノマー等のカチオン重合性化合物等が挙げられる。これらの樹脂は、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを加えることで架橋するものである。
ハードコート層を形成する樹脂として好ましいものは、カールし難く、且つ基材との密着性が良いものが必要となり、低収縮のウレタンアクリレート、エポキシ化合物が挙げられる。ウレタンアクリレートとして具体的には、共栄社化学社製のAT−600、UA−101l、UF−8001、UF−8003等、日本合成化学社製のUV7550B、UV−7600B等、新中村化学社製のU−2PPA、UA−NDP等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−270、Ebecryl−284、Ebecryl−264、Ebecryl−9260等、或いは、エポキシ化合物として具体的には、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、GT300、GT400、セロキサイド2021等、ナガセケムテック社製のEX−321、EX−411、EX−622等を挙げることができる。しかし、これに限定されない。また、より高硬度を達成できるウレタンアクリレートの内、ウレタンアクリレート系オリゴマー、モノマーは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、共栄社化学社製のUA−306H、UA−306T、UA−306l等、日本合成化学社製のUV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができる。しかし、これに限定されない。
前記ラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物は、それぞれ単独に用いても、2種類以上混合して用いても良い。
また、紫外線照射により架橋する樹脂を使用する場合は、光ラジカル重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、α―アミノケトン類、ビスアシルフォスフィンオキサイド類等を単独或いは混合して用いる。具体的には、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrgacure184、Irgacure651、Darocure1173、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure819、DarocureTPO等を挙げることができる。光カチオン重合開始剤としては、紫外線照射でルイス酸等のカチオン重合触媒を生成するものであれば特に限定されない。例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩等のオニウム塩を用いることができる。具体的には、アリールジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、アリールジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、アリールジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジアリールヨードニウムテトラフルオロボレート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して
も良い。
光カチオン重合開始剤として具体的には、市販の光カチオン開始剤を使用してもよい。例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI−6990、ダウケミカル日本社製のUVI−6992、ダイセルUCB社製のUvacure1591、旭電化社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170、みどり化学社製のDPI−101、DPI−105、MPI−103、MPI−105、BBI−101、BBI−103、BBI−105、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、DTS−102、DTS−103、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrgacure250等が挙げられる。
本発明に用いるイソシアネート類は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するもの、例えばジイソシアネート類には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアソート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物等が使用できる。さらに、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類等を使用することもでき、これらを併用することもできる。これらのなかでは、耐熱性の観点から芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点から脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが、好ましい。市販のイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、住化バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールE3265、E4280、TPLS2010/1、E1160,E1240、E1361、E14、E15、E25、E2680、スミジュールE41、E22、旭化成工業株式会社製のデュラネートD−101、D−201等が挙げられる。
本発明で用いる適当な有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチエングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができ、また、これらの数種類を混合して用いても良い。これら溶剤は、組成物中に、組成物全体の95重量%までの量で存在できる。また、これら溶剤は、溶液を前記透明基材に塗布し乾燥させる際に実質的に除去される。さらに、好ましくは固形分に対して10重量%以下の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーを希釈剤として用いることができる。さらに、カチオン重合製化合物の希釈剤としては、ダイセル化学工業社製のセロキサイド3000、セロキサイド2000等を挙げることができる。
本発明において、前記ハードコート層の組成成分以外に、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン化合物、フッ素化合物、ポリマー等の消泡剤、レベリング剤、又は、イミダゾール化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような各種添加剤を含有してもよい。
また、ハードコートに染料や顔料を分散させて、ハードコート層に着色層の機能を担持させることも好ましい形態である。その場合、紫外線硬化では染料や顔料が紫外線を吸収してしまい、うまく硬化が進まない場合がある。その場合、積層フィルムの反射帯域を350nm以上とすることにより、着色層を透過した紫外線が積層フィルムにて反射され、硬化を効率的に進めることができるため、好ましい。
本発明の成形体は、両面に着色層が存在する積層フィルムであることが好ましい。本発明の成形体では、可視光線の一部が透過するため、着色層を設けることにより、成形体の色目を調整することが可能となると同時に、裏面の反射により、より色目の補正が可能となる。特に白や黒色などの無彩色の色は金属調の質感を出すために有効である。また、片方の着色層の機能は、着色層と対向する樹脂基材が担持することが可能であり、樹脂基剤が着色樹脂からなっていてもよい。
本発明の積層フィルムは、層厚みが20nm以上350nm以下である層を50層以上有する積層フィルムであって、少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層を有し、少なくとも片面の超硬度微小計における表面硬度が0.2以上4.0以下であることが好ましい。
このような構成を採ることにより、優れた金属調の外観を有するフィルムを得ることができ、成形体の表面に傷が入りにくくなる。
本発明の積層フィルムは、少なくとも両面に着色層を有し、透過率3%以上70%以下の領域が1平方mm以上存在することが好ましい。このような構成を採ることにより、例えばLEDなどの発光体を上記領域に設置することにより表示機能を示すようになる。特に透過率40%以上70%以下であればよりよい表示機能を達成できることから好ましい。
本発明に用いることができる積層フィルム厚みとしては12〜500μm程度が望ましく、特に25〜200μmであることが好ましい。これらは、異なる樹脂が溶融積層あるいは貼り合わせなどによって構成されていても問題はない。
また、表面に着色層とは別に、ハードコート層、易滑層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
このようなフィルムを用いた成型体は、ポリマーのみから構成されるため、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。成型方法は、特に限定されるものではなく、一般に公知の成型方法、例えば、真空成型法、真空・圧空成型法、ブロー(吹き込み)成型法、プレス成型法、インサートインジェクション成型法、インモールド(金型内)成型法、押し出し成型法等で成型することができる。真空成型法および真空・圧空成型法とは、まず熱可塑性樹脂基材の全面または一部に成型加工用粘着シートを貼付しておき、この積層体を成型機の所定の位置に設置し、加熱軟化させ、木型または金型を下から送り込み、真空に引いて型に密着させ(真空成型法)、または真空に引くと共に反対側から圧縮空気で押して型に密着させ(真空・圧空成型法)、成型体を冷却後に型からはずして成型体を得る成型法である。
次に、本発明の、ポリエステルを使用した場合の、積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
まずは、一般的な成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載する。まず、本発明のフィルムで用いるポリエステル樹脂については、上市されているポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を購入しそのまま用いることができるが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合、以下のように重合することができる。
テレフタル酸ジメチル、およびエチレングリコールの混合物に、酢酸マグネシウムと三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行なう。ついで、該エステル交換反応生成物に、リン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。粒子を添加する場合は、エチレングリコールに粒子を分散させたスラリーを所定の粒子濃度となるように重合反応釜に添加して、重合を行なうことが好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造は、たとえば以下のように行なうことができる。テレフタル酸、および1,4−ブタンジオールの混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルと、モノヒドロキシブチルスズオキサイドとを添加しエステル化反応を行なう。ついで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルを添加して、減圧下で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
以上のようにして得られたポリエステル樹脂を用いて本発明のフィルムを製造する際の好ましい方法について、具体的に記述する。まず、使用するポリエステル樹脂を混合する場合は所定の割合となるように計量し混合する。ついで、窒素雰囲気、真空雰囲気などで、たとえば150℃5時間の乾燥を行い、ポリエステル樹脂中の水分率を好ましくは50ppm以下とする。その後、押出機に供給し溶融押出する。なお、ベント式二軸押出機を用いて溶融押出を行なう場合は樹脂の乾燥工程を省略してもよい。ついで、フィルタやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
ついで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは90〜130℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行なうのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、横延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、コーティング層を設けることもできる。このときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、前記透明基材に塗布する。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行なうことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
次に、多層積層押出法によるポリエステルフィルムの製造方法について詳細に説明する。2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂AおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックを用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリットを有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出された樹脂Aと樹脂Bが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる。
このようにして多層積層された溶融体を、上述のポリエステルフィルムの製造方法と同様に行い、二軸延伸フィルムを得ることができる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの固有粘度は、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
(2)ポリエステルの組成
樹脂またはフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、H−NMRおよび13 C−NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。
(3)積層厚み、積層数、顔料の分散径
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を4000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いても良い。
(4)透過率
直読式ヘイズメーター HGM−2DP(C光源用)(スガ試験機器製作所)を用いて測定した。なお、n数は5回とし、その平均値を採用した。
(5)表面硬度
静地された試料に対し、正三角錐圧子(Berkovich圧子)を、1μN/秒毎のステップ状に押し込み荷重を加え、押し込み深さ4μm到達後、同様にステップ状に荷重を徐荷していく。測定は25℃の恒温条件下で行い、測定装置とサンプルの温度を十分に安定させた後に、最大荷重100μN、最大荷重保持時間30秒の条件で荷重/変位曲線の測定を行い、7回の連続測定の平均値をもって測定値とした。この荷重/変移曲線の線図から式1、2、3を用いて表面硬度を求めた。また、押し込み深さ1μmのときの硬度と押し込み深さ4μmのときの硬度の絶対量の変化量を求めた。条件は下記に示すとおりである。
式1 H=P/A
(P:荷重、A:押し込み後に弾性変形分が回復し残存する圧痕の投影面積)
式2 A=kh2
(k:圧子の幾何学形状から求まる定数で24.56,h:有効接触深さ)
式3 h=h―εP/(dP/dh)
(h:全変位量、dP/dh:荷重−押し込み深さ線図における除荷重の初期勾配、ε:圧子の幾何学形状から決まる定数で0.75)
MTSシステムズ社製 超微小硬度計ナノインデンターXPの、連続剛性測定方法にて測定。
使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子
最大押し込み深さ:4μm
n数:7
(6)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBa2SO4板を用いた。また、反射ピークの波長は、ピークトップとなる波長とした。
(7)彩度C*、角度による色変化
株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U4100に、角度可変絶対反射率付属装置(20〜60°)を用いて、フィルム製品幅1mの幅方向中央位置の12°、20°、40°、60°のそれぞれの絶対反射率を測定した。なお、測定条件は以下のとおり。
検出速度:波長240〜850nmは600nm/min
波長850〜1750nmは750nm/min
サンプリング間隔:1.0nm
スリット:波長240〜850nmは2.0nm
PBS感度:2
角度20°、40°、60°のそれぞれの分光反射曲線のP波とS波からこれらを平均化し、10°視野のL*、a*、b*を算出し、各彩度C*=(a*+b*1/2を求める。その中で、最も変化量の大きい彩度の差を求める。
ΔC*(ML):着色層反対面の彩度の最大値
ΔC*(C):着色層面の角度依存性の彩度の最大値
(8)成形による色変化
成型後、折り曲げ部分の色変化が全くない場合を◎、ほとんどない場合を○、やや色変化がある場合を△、色相が変化するほどある場合を×とした。
(9)文字の視認性
成型体の文字表示部分を、基材側からLEDライトで照らし、そのときに文字がはっきりと見える場合を◎、普通に認識できる場合を○、やや見づらい場合を△、ほとんど見えない場合を×とした。LEDライトは東芝製のP−6001を使用した。
(10)耐傷性
JIS K 5600−5−4:1999(塗料一般試験方法−塗膜の機械的性質−引っかき硬度(鉛筆法))に準じて、各種硬度の鉛筆を押し付けて動かした。また押し付ける荷重は0.75kgとした。鉛筆での引っかきにより傷が発生したときの鉛筆の硬さで示す鉛筆硬度を用いて以下の基準で評価した。
◎:3H〜2H以上。
○:H〜F
△:HB未満
(11)電磁波シールド性
ASTM D4935に準拠して、キーコム株式会社の同軸管タイプ シールド効果測定システムにて、45〜3GHzの電磁波透過性を測定した。実施例・比較例については、2.4GHzの損失を記載した。
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]、ポリエステル樹脂Bとして、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを26mol%共重合した共重合ポリエステル(以下、共重合PET1)を用いた。なお、この樹脂Bの固有粘度は0.72であり、非晶性樹脂であった。ポリエステル樹脂樹Aを回転式真空乾燥機(180℃・3時間)にて乾燥し、ポリエステル樹脂Bは、絶乾空気循環式乾燥機(70℃・8時間)にてそれぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
ポリエステル樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、吐出比1/1.1で801層のフィードブロックにて交互に積層するように合流させた。なお、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、以下の塗剤A、B、C、Dを凝集のないように混合して、#4のバーコーターにて均一に塗布し易接着層を形成した。
「易接着層」
A:水分散アクリル樹脂(酸基2.8mg/g)
B:メチロール化メラミン(希釈剤:イソプロピルアルコール/水)
C:コロイダルシリカ(平均粒径80nm)
D:フッ素系界面活性剤(希釈剤:水)
固形分重量比:A/B/C/D=100重量部/25重量部/3重量部/0.2重量部
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは180μmであり、A層の樹脂厚みは100nmから360nmまで徐々に傾斜状に変化する積層構造であった。このときに得られたフィルム中央部分の、入射角12°における反射特性は図1に示すとおりであった。
また、以下に示す塗剤を調整し、#20のバーコーターで均一にフィルムに塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後、この塗布面側にPET保護フィルム(パナック製)を貼り合わせて巻き取った。
「着色層」
色素: Kayaset Black G(日本化薬社製) 0.043重量部
溶媒: MEK 60重量部
アクリル樹脂: IRG−205(日本触媒社) 60重量部
次に、この着色層を形成したフィルムの裏側に、下記の2液硬化型のインクをスクリーン印刷にて着色層2を塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した。また、直径20mmの円形のマスクをしておき、その部分は塗布できないようにしておき、乾燥後に「脱水」の文字が印字された透明耐熱シールをマスク部分にあわせて空気が噛まないように貼り付けた。
「着色層2」
黒インキ:IPX971(帝国インキ製) 74重量部
硬化剤:200(帝国インキ製) 16重量部
溶剤:F−003(帝国インキ製) 10重量部
また、着色層2の上に以下に示すバインダー層を塗布し90℃の熱風対流式乾燥機で60分間乾燥した。
「バインダー」
バインダー:IMB−003(帝国インキ製)
これを所定の寸法にカットし、型にセットして、以下の条件でインサート成形した。
「成形加工」
型絞り圧力:60ton
金型温度:80℃
金型樹脂:住友ダウ株式会社製 SDポリカ IM6100P
成形樹脂温度:290℃
結果を表1に示す。もともと積層フィルムが少し赤っぽく発色をしており、さらに角度による色変化が大きいが、着色層によりだいぶ赤みと角度による色変化が抑えられた。また、透過性が高いことから、透過光による文字の視認性に優れていた。
(実施例2)
吐出比1/1.1で実施例1と同様の方法にて押出しと製膜を行い、厚み60μmと90μmの積層フィルムをそれぞれ得た。このとき、60μmフィルムのA層厚みは、35μmから120μmまで、90μmフィルムのA層厚みは、55μmから180μmまで徐々に傾斜状に変化する積層構造であった。この2枚のフィルムを以下の処方の貼り合わせ層にてダイ方式のドライラミネーターを用いて貼り合わせを行った。リップコーターにて7μm塗布し、80℃にて1分以上乾燥を行い、ニップ圧4.0kg/cm2、ニップ温度80℃の条件でラミネートを行った。この後、エージングを40℃3日間行った。この貼り合わせフィルムの、入射角12°における反射特性は図2に示すとおりであった。
「貼り合わせ層」
樹脂:タケネート A−975(三井化学ウレタン株式会社製) 5重量部
硬化剤:タケラック A−12(三井化学ウレタン株式会社製) 0.5重量部
溶媒:酢酸エチル 5重量部
また、着色層の組成および硬化条件を以下のように変更した。#8のバーコーターで均一にフィルムに塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥して溶剤を除去した後、400W/cm、搬送速度5m/分の条件にてUV照射を行った。
「着色層」
色素:Kayaset Black G(日本化薬社製) 0.021重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5重量部
溶剤:MEK 110部
また、基材の種類と加工条件を以下のように変更した。
「成形加工」
型絞り圧力:30ton
金型温度:60℃
金型樹脂:住友化学株式会社製 スミペックス EX
成形樹脂温度:240℃
あとは実施例1と同条件である。結果を表1に示す。得られた積層フィルムは無彩色で角度変化による色変化および成形による色変化もほとんど見られなかった。
(実施例3)
実施例2と同条件にて行った。ただし、製膜した二軸延伸フィルムの幅中央部分から1000mm端部に近い部分を採取し貼り合わせを行っている。また、着色層の組成を以下のように変更した。この貼り合わせフィルムの、入射角12°における反射特性は図3に示すとおりであった。
色素:Kayaset Black G(日本化薬社製) 0.021重量部
色素:Kayaset Blue N(日本化薬社製) 0.071重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5部
溶剤:MEK 60部
結果を表1に示す。得られた積層フィルムは角度変化により無彩色から赤色へとわずかに色変化するが、着色層塗布により、色変化はほとんど生じなくなった。
(実施例4)
実施例2と同条件にて行った。ただし、着色層の組成を以下のように変更した。
色素:酸化亜鉛粒子分散体(粒径50nm、固形成分0.3) 10重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5部
溶剤:MEK 60部
結果を表1に示す。得られた成形体は、角度による色変化および成型による色変化はまったく認められなかった。
(実施例5)
実施例2と同条件にて行った。ただし、着色層の組成を以下のように変更した。下記の2液硬化型のインクをスクリーン印刷にてインキを塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した。
「着色層」
白インキ:IPX675(帝国インキ製) 7重量部
希釈剤:IPX001ビクトリア(帝国インキ製) 67重量部
硬化剤:200(帝国インキ製) 16重量部
溶剤:F−003(帝国インキ製) 10重量部
結果を表1に示す。得られた成形体は、角度による色変化および成型による色変化はまったく認められなかった。
(実施例6)
実施例2と同条件にて行った。ただし、着色層の組成を以下のように変更した。
色素:Kayaset Red130(日本化薬社製) 1重量部
色素:Kayaset RedG(日本化薬社製) 0.5重量部
色素:Kayaset OrangeAN(日本化薬社製) 0.67重量部
色素:Kayaset YellowGN(日本化薬社製) 0.5重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5重量部
溶剤:MEK
結果を表1に示す。得られた成形体は、赤色の光沢感を持ち、角度による色変化および成型による色変化はほとんど認められなかった。
(実施例7)
実施例2と同条件にて行った。ただし、着色層の組成を以下のように変更した。
色素:Kayaset Yellow2G(日本化薬社製) 0.41重量部
色素:Kayaset GreenA−B(日本化薬社製) 0.5重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5重量部
溶剤:MEK
結果を表1に示す。得られた成形体は、緑色の光沢感を持ち、角度による色変化および成型による色変化はほとんど認められなかった。
(実施例8)
実施例2と同条件にて行った。ただし、着色層の組成を以下のように変更した。
色素:Kayaset BlueA−2R(日本化薬社製) 0.1重量部
色素:Kayaset BlueN(日本化薬社製) 0.025重量部
樹脂:UA−122P(新中村化学工業製) 50重量部
樹脂:U−15HA(新中村化学工業製) 50重量部
光開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 5重量部
溶剤:MEK
結果を表1に示す。得られた成形体は、青色の光沢感を持ち、角度による色変化および成型による色変化はほとんど認められなかった。
(比較例1)
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bを同一のPETを使用した以外は、実施例2と同様の条件で行った。ただし、着色層は設けず、代わりに以下の光沢層を塗布厚み1μmでスクリーン印刷を行った。
「光沢層」
顔料:厚み0.2μm 箔面積1.5〜2000μm2アルミニウム箔片 100重量部
バインダー:ポリウレタン樹脂 80重量部
バインダー:ポリエステル樹脂 25重量部
溶剤:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 1,200重量部溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル 200重量部
結果を表2に示す。得られたフィルムは光沢に優れ角度による色変化がないものの、電磁波透過性に劣っていた。
(比較例2)
実施例2と同様の条件にて行った。ただし着色層は設けていない。結果を表2に示す。得られた成形体はほぼ無彩色を維持していたが、折り曲げ部分でわずかに色変化が見られた。
(比較例3)
実施例1と同様の条件にて行った。ただしポリエステル樹脂Bを、イソフタル酸が15mol%共重合されたPETを使用した。結果を表2に示す。得られた積層フィルム及び成形体は反射率が低く、金属調と呼べるものは得られなかった。
Figure 2009262466
Figure 2009262466
本発明の成形体は、自動車などの内外装パネル、建材、包装、家具、家電製品、携帯電話各種カード類などの意匠材として利用することができる。
実施例1の積層フィルムの反射特性 実施例2、4〜8の積層フィルムの反射特性 実施例3の積層フィルムの反射特性

Claims (8)

  1. 層厚みが20nm以上500nm以下である層を50層以上有する積層フィルムの少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層が存在し、かつ着色層が存在する反対面に基材が存在することを特徴とする成形体。
  2. 顔料の分散粒径が10nm以上70nm以下である請求項1に記載の成形体。
  3. 積層フィルム表面に、透過率10%以上91%以下の領域が1平方mm以上存在する請求項1または2に記載の成形体。
  4. 着色層が存在する面の超硬度微小計における表面硬度が0.2GPa以上4.0GPa以下である請求項1から3のいずれかに記載の成形体。
  5. 両面に着色層が存在する積層フィルムである請求項1から4のいずれかに記載の成形体。
  6. 基材が着色樹脂からなる請求項1から5のいずれかに記載の成形体。
  7. 層厚みが20nm以上500nm以下である層を50層以上有する積層フィルムであって、少なくとも片面に染料又は顔料を有する着色層を有し、かつ着色層面の超硬度微小計における表面硬度が0.2以上4.0以下であることを特徴とする積層フィルム。
  8. 透過率3%以上70%以下の領域が1平方mm以上存在する請求項7に記載の積層フィルム。
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