JP5935028B2 - スパッタリング装置 - Google Patents

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本発明は、太陽電池の製造等に用いられるスパッタリング装置に関する。
近年、太陽電池の光電変換効率向上とコストダウンが求められている。
図6に特許文献1に記載の太陽電池の構造を示す。
10は単結晶または多結晶シリコン基板、12,13,17は真性半導体層iとドーピングされた半導体層n,pである。16は反射防止膜である。18は絶縁層である。19aはITO層、19bは銅など金属層である。19c、19dはCu,Snなどメッキ層である。この太陽電池は、光11を単結晶または多結晶シリコン基板10で吸収し、正孔と電子を生成し、電極14より電子を電極15より正孔を収集することにより発電する。
一般に太陽電池のITO層19aはスパッタリング装置にて成膜される。太陽電池のコストダウンを実現するために、スパッタリング装置には材料利用率を向上し、生産性を向上することが求められている。
特許文献2には、スパッタリング装置など真空プロセスの装置において、生産性を向上する方法として複数の基板を1つのトレーに載せて、処理する方法が開示されている。これは真空プロセスにおいては、基板を真空状態にするために真空引きの時間が必要で複数の基板を一度に真空引きしたほうが、生産性が高い(1枚あたりの処理時間が短い)ことによる。
また、材料利用率を向上するために円筒回転型のターゲットを使用したスパッタリング装置が使用されることが多い。
特許文献3には、円筒回転型のターゲットを使用したスパッタリング装置が開示されている。生産性を向上するためには複数のセルを一括して処理する場合は、円筒型ターゲットは長尺なものが用いられる。長尺なターゲットを作るためにターゲットは複数のピースから成り立つ。特にITO焼結体のターゲットは割れやすく大きなピースを作ることができず、複数のピースを使って長尺なターゲットを作るのが一般的である。また、複数のピースにすることによってスパッタによる熱膨張に起因する割れを防止するという効果もある。
特許文献4には、複数のピースから円筒ターゲットが開示されている。複数のターゲットピースは、バッキングチューブにボンディング材によって固定される。
特許文献5には、ITOターゲットの密度を上げてノジュールを抑制する技術が開示されている。
特開2012−28718号公報 WO2009/107196号 特開2011−222634号公報 WO2010/035718号 特開2009−29706号公報
図7(a)〜(d)を用いて従来技術の課題を説明する。
図7において1はスパッタリング装置である。
図7において11はロードロック室、12は成膜室、13はリターン室である。
成膜室12には円筒型のターゲット20が配置されている。ターゲット20は複数のターゲットピース20a,20b,20cなどからなる。ターゲットピース境界部50a,50bなどには0.5mmほどの隙間が設けられている。
なお、図7には、一般的なスパッタリング装置の構成要素、各室を真空排気するポンプや配管、成膜室にプロセスガスを導入するマスフローや配管、ターゲットに電力を供給する電源や配線、各室を真空状態から大気に戻すためのパージガスラインや、ロードロック室だけを大気に戻すためのゲートバルブなどは図示していない。
トレー30には、複数の太陽電池基板40a,40b,40cなどが載置されている。太陽電池基板40a,40b,40cの大きさは一辺が100mm〜200mmである。太陽電池基板40a,40b,40cは、トレー30におよそ10〜20mmの間隔をおいて載置されている。
図7のスパッタリング装置の動作を説明する。
図7(a)に示すように、スパッタリング装置の外でトレー30に、太陽電池基板40a,40b,40cがロボット等を使用して載置される。この時、ロードロック室11は大気圧であり、ロードロック室11と成膜室12との間のゲートバルブによって成膜室12およびリターン室13は真空に保たれている。
次に図7(b)に示すように、トレー30をロードロック室11まで搬送する。搬送する機構は図示していない。ロードロック室11にトレーを搬送した後、ロードロック室11を真空引きする。ロードロック室11が1E−1Paまで真空引きされると、ロードロック室11と成膜室12の間のゲートバルブを開ける。
ゲートバルブを開けた後、成膜室12にプロセスガスを導入して調圧する。ターゲット20がITOの場合は、プロセスガスとしてArとOが使用される。調圧する圧力は1E−1Pa〜1E1Paである。調圧は開度を調整できるバルブによってなされる。
次に図示しない電源によってターゲットに電圧を印加すると、ターゲット表面にプラズマが発生する。プラズマ中のArイオンはターゲット電位によって加速され、ターゲットに衝突する。この衝突により、ターゲット原子または分子がターゲットより放出される(スパッタされるという)。
ターゲットに電圧が印加されスパッタが開始された状態で、図7(c)のごとく、太陽電池基板40a,40b,40cを載置したトレー30は成膜室12に搬送される。トレー30は図7(d)のごとくターゲット20の前面を完全に通過し、リターン室13に入るまで搬送される。
トレー30が図7(c)のごとく、ターゲット20の前面を通過する際、ターゲットからスパッタされたターゲットの原子または分子が太陽電池基板40a,40b,40cに到達し、ターゲット材料が基板に成膜される。
リターン室13まで到達したトレー30は、ロードロック室11まで搬送される。次に、ロードロック室と成膜室の間のゲートバルブを閉じる。次にロードロックを大気圧にもどし、トレー30はスパッタリング装置1から取り出される。その後、ロボット等を用いて成膜された基板は回収される。
図7(c)における成膜の様子を図8を用いてさらに詳しく説明する。
図8は図7(c)のX部分の断面図である。
ターゲット20は、図示していないボンディング材によって、バッキングチューブ60に固定されている。バッキングチューブ60内には図示しない水路によって水が流れており、ターゲット20を冷却している。
ターゲット20およびバッキングチューブ60は両端を図示しないエンドブロックによって支持されている。電力、冷却水はエンドブロックより供給される。またエンドブロックには、ターゲット20およびバッキングチューブ60を回転するターゲット回転機構が組み込まれている。ターゲット回転機構により、ターゲット20は図8の紙面に垂直な回転軸Cを中心に回転する。マグネット70は回転せずに、太陽電池基板40に対向する側にプラズマ80を閉じ込め、ターゲット20の太陽電池基板40に対向した面でのスパッタを促進する。
ターゲット20は太陽電池基板40に対向した部分でのみスパッタされるのであるが、ターゲット20が回転しているため、ターゲット20は満遍なく消費されていく。このため、平板ターゲットを使用したスパッタリング装置よりも円筒回転型ターゲットを使用したスパッタリング装置は材料利用率や装置の稼働率が高い。
このようにして、ターゲット材料が太陽電池基板40に成膜されるのであるが、従来の技術にはノジュール発生による装置の稼働率の低下という問題がある。
ノジュール発生の原因は明確になっていないが、次の二つの原因が考えられている。
1つ目の原因は、ノジュールは、ターゲットの密度が低い部分から発生するというものである。ターゲットの表面に密度が低い部分があると冷却不足によりITO材料の一部がInからInOに変質し、スパッタされにくくなる。その部分を核として突起形状が成長し、ノジュールとなる。
もう1つのノジュール発生の原因は、ターゲットピース間の隙間からスパッタされたボンディング材によるというものである。
このノジュールの発生について説明する。
図9(a)は一般的な円筒型ターゲット20の断面図である。60はバッキングチューブ、61はボンディング材、20a,20bはターゲットピース、50aはターゲットピース境界部の隙間である。
バッキングチューブ60は、中央部が空洞になっている。これは、スパッタの際の熱でターゲットが割れないように冷却水を流すためと、プラズマ密度を向上できるようにターゲット裏面に磁石を配置するためである。
ターゲットピース20a,20bはボンディング材61によって、バッキングチューブ60に固定される。ボンディング材はIn、Sn、Zn、Pb、Agなどからなる低融点の合金である。
ターゲットピース20a,20bなどは隙間50aができるように、バッキングチューブにボンディングされている。これは、スパッタの熱でターゲットが膨張した際に、ターゲットピース20a,20bが接触し、応力がかかりターゲットピース20a,20bが割れることを防止するためである。隙間は0.1〜1mm程度である。
ITOターゲットのように焼結体のターゲットは割れやすく、長い円筒型ターゲットピースを作成するのが困難なので上記のように複数のターゲットピースを組み合わせることになり、複数のターゲットピースの隙間が必要になる。
ところが、このような隙間からボンディング材がスパッタされる。
図9(b)は、ターゲットピース間の隙間の拡大図で、図9(a)のA部分に相当する。スパッタリング装置において、プラズマ80中のアルゴンイオンはターゲットに印加された電圧によりシース領域81でターゲットに垂直に加速されてターゲットに衝突する。大部分のアルゴンイオンは、82aのごとくターゲットに衝突してターゲットをスパッタする。しかしながら一部のArイオンは82bのごとく、隙間50aに入り込んでボンディング材に衝突する。これによってボンディング材を構成する原子または分子がたたき出される。
ターゲット20の隙間からスパッタされたボンディング材の一部は、ターゲットの表面に付着する。ボンディング材はターゲット材料に比べてスパッタ率が低いので、その部分を核として突起形状が成長し、大きさが幅0.1〜1mm程度、高さ0.1〜0.5mm程度のノジュール90がターゲットの表面に付着する。図10に説明図を示す。
特許文献5にあるようにターゲットの密度を上げて、ノジュールの発生を抑制する技術が開示されているが、十分ではない。
特に、太陽電池に使用されるITOターゲットは光学的特性に対する要求からSnの濃度が5%以下であり、密度を上げることは難しかった。
以上のようにしてノジュールが発生すると異常放電が発生しメンテナンスが必要となる。
ノジュールには電界が集中し正の電荷が蓄積されやすくなる。ある閾値以上の正電荷が蓄積されるとターゲット上で電子と結合し異常放電となる。異常放電はパーティクルを発生させたり、ターゲット割れの原因となるのでノジュールが発生したら装置を停止させて、ノジュールを削るメンテナンスをしなければならない。
ノジュールは金属または樹脂のヘラで削り落とせる。ノジュールを削り落とす作業をするために成膜室12およびリターン室13を大気圧にもどし成膜室のフタを開けなければならない(大気開放という)。ノジュールを削り落とす作業は、ターゲットの長さが1〜2mの場合、およそ10分程度である。しかしながら、大気開放の後、成膜室およびリターン室を5E−5Pa程度の真空状態にするために2時間以上の時間がかかり、この時間が生産に寄与できない時間(ダウンタイム)としてスパッタリング装置の稼動を大きく落としていた。成膜室12およびリターン室13を5E−5Paまで真空に引く理由は、大気圧に戻した時、チャンバ内に吸着したHOなど、スパッタ成膜に悪影響を及ぼすガスを除去するためである。成膜室12およびリターン室13は一辺が2m以上あるので真空引きに2時間以上の時間がかかる。
以上のように従来のスパッタリング装置には、ノジュール除去作業が生産性を低下させるという問題があるが、特許文献1〜5にそれを解決する十分な方法は開示されていない。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、回転円筒スパッタリングターゲットを使用するスパッタリング装置において、ノジュールによる異常放電の発生に起因するダウンタイムを低減し、高い生産性を実現することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のスパッタリング装置は、回転円筒スパッタリングターゲットを有するスパッタリング装置であって、前記ターゲットの表面に接触して付着物を掻き取るノジュール除去部と、前記ノジュール除去部と前記ターゲットとの距離を変更する距離変更機構と、前記ノジュール除去部と前記ターゲットとの接触個所に近接して配置された集塵板と、前記ターゲットと集塵板の間に電圧を印加する電源とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、ターゲットの表面に接触して付着物を掻き取るノジュール除去部を備えているので、ノジュールによる異常放電の発生に起因するダウンタイムを低減し、成膜室を大気圧にすることなくノジュールを除去できるので装置稼働率低下を防止できる。よって、高い生産性を実現できる。
(a)本発明実施の形態1に関わるスパッタリング装置の成膜室の成膜待機中の断面図と(b)成膜中の断面図 (a)同実施の形態のスパッタリング装置の成膜室の成膜待機中の平面図と(b)成膜中の平面図 (a)本発明実施の形態2に関わるスパッタリング装置の成膜室の成膜待機中の断面図と(b)成膜中の断面図 本発明実施の形態3に関わるスパッタリング装置の成膜室の成膜待機中の断面図 本発明実施の形態4に関わるスパッタリング装置の成膜室の成膜待機中の断面図 太陽電池の断面図 スパッタリング装置の動作説明図 従来のスパッタリング装置の成膜室の説明図 (a)スパッタリングターゲットの説明図と(b)拡大図 ターゲットの表面に付着したノジュールの説明図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)(b)は本発明の実施の形態1のスパッタリング装置の断面図を示す。
なお、図1(a)(b)は図7(a)〜(d)に示した円筒回転型のターゲットを使用した従来のスパッタリング装置とは異なる要部の構成を示しており、その他は図7(a)〜(d)と同じである。
さらに、ロードロック室11を経て成膜室12に搬入されるトレー30には、複数の太陽電池基板40が載置されており、その太陽電池基板40の大きさは一辺が100mm〜200mmである。太陽電池基板40は、トレー30におよそ10〜20mmの間隔をおいて載置されている。この太陽電池基板40にITO層19aを形成して太陽電池を製造するスパッタリング装置の場合を例に挙げて具体的に説明する。
図1(a)は成膜室12の成膜待機中の断面図、図1(b)は成膜中の断面図を示す。
成膜室12には、ノジュール除去部100と、ノジュール除去部100とターゲット20との距離を変更する距離変更機構110を備えている。距離変更機構110は、図1(a)のようにノジュール除去部100がターゲット20に接する位置と、図1(b)に示すようにノジュール除去部100がターゲット20から離れた位置とに駆動できるように構成されている。
ノジュール除去部100は、Al,SUSなどの金属やポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂からなる。ノジュール除去部100の材料はターゲットの組成やスパッタリング条件によって異なるノジュールの状態を考慮し、ノジュール除去可能でターゲットを傷つけないという条件から適宜選択される。ノジュール除去部100の形状は、厚み5mm幅100mm長さ100mmの矩形部の先端に、断面形状が高さ5mm底辺長さ5mmの三角形状部112を有している。ノジュール除去部100は三角形状部の頂点においてターゲットに接している。ノジュール除去部100は、距離変更機構110により、ノジュール除去部100の矩形部の弾性により、三角形状部の頂点が十分接触できるような高さに配置されている。距離変更機構110は、シリンダーやモーターなど一般的な距離変更の機構によって実現できる。
移動機構であるノジュール除去部100は、図2(a)からと図2(b)に示すように、移動機構120によってターゲット長さ方向(矢印113方向)に移動しながらノジュールを除去する。このような構成によって、消耗品であるノジュール除去部100を小型にし、ノジュール除去部100の製造価格を低減できる。移動機構120はモーターとベルトの組み合わせなど一般的な移動機構によって実現できる。
次に本発明実施の形態1の動作について説明する。
スパッタリング装置で成膜している時は、図1(b)に示すように、ノジュール除去部100は距離変更機構110によって、ターゲットから20〜50mmの距離に離される。スパッタリング装置で成膜している時は、ターゲット20の表面が100℃〜300℃程度に温度が上昇するので、ノジュール除去部100はターゲット20から離さなければならない。また、スパッタリング装置で成膜している時は、ターゲット20は200〜600Vの電位がかかるので、ノジュール除去部100がポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂ではなく、金属である場合、ノジュール除去部100とターゲットの放電によるスパッタ電力ロスやノジュール除去部100の破壊を防止するために、ノジュール除去部100と距離変更機構110の間に、樹脂やセラミックの絶縁部材を介在させ、ノジュール除去部100をフローティングするのが望ましい。
ターゲット20の組成や成膜条件にもよるが、一般にターゲット20に投入した積算電力が500KWH程度になるとノジュールが発生し始め、異常放電の数が増えてくる。異常放電は、ターゲット20に印加している電圧の瞬間的な電圧の減少または瞬間的な電流の増加としてモニタすることができる。異常放電が1回の成膜あたり50〜100回を超えるとノジュールを除去する必要がある。
異常放電が1回の成膜あたり50〜100回を超えると、ターゲット20にスパッタ用の電圧を印加するのを中止し、アルゴンなどのスパッタ用のガスの供給も中止し、トレー30および複数の太陽電池基板40a,40b,40cなどをロードロック室11に退避させる。
その後、図1(a)のごとく、距離変更機構110により、上述したノジュール除去部100をターゲット20に接する位置に配置する。この状態で、ターゲット20を10〜30rpmで回転させ、ノジュールをノジュール除去部100で削り取る。ターゲット20の方向は削り取られたノジュールが、ターゲット20に付着しないように、ノジュール除去部100の矩形部分がない方でノジュールが削られるような回転方向を選ぶ。図1(a)の場合は、ターゲット20を時計回りに回転させる。
ノジュール除去部100がターゲット20に接触する位置は、図1(a)のようにターゲット20の鉛直方向最下点が望ましい。これは、削り取られたノジュールは重力によって鉛直下方に向かうため、鉛直最下点で削り取れば、削り取られたノジュールがターゲット20に付着する可能性を低くできるからである。
以上のように本発明によれば、円筒回転型ターゲットの回転を利用してノジュールの削り取り、および削り取られたノジュールの除去を、成膜室12を大気圧に戻さずに実施できるので、スパッタリング装置の稼働率低下を防止し、太陽電池の高い生産性を実現できる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2のスパッタリング装置の成膜室12の断面図を示す。
図3(a)は成膜室12の成膜待機中の断面図、図3(b)は成膜中の断面図を示す。
実施の形態1のノジュール除去部100は、除去中には移動機構120によってターゲット長さ方向に移動するとともに三角形状部112の先端が連続してターゲット20に接触していたが、この実施の形態2のノジュール除去部100は、次のように構成されている。
アーム114の基端は、距離変更機構110の先端に設けられた軸115の周りに回転自在に枢支されている。アーム114の先端には、ターゲット20の回転中心cと平行な軸116の周りに回転自在の除去部材101が設けられている。アーム114は図3(a)に示すように除去部材101がターゲット20に接触する付勢状態と、図3(b)に示すように除去部材101がターゲット20から離間する付勢解除状態に切り換えられるように構成されている。除去部材101の幅はターゲット20の幅よりも狭い。除去部材101の材料はターゲット20の組成やスパッタリング条件によって異なるノジュールの状態を考慮し、ノジュール除去可能でターゲットを傷つけないという条件から適宜選択される。
除去部101の形状は、断面形状が高さ5mm底辺長さ5mmの三角形状の突起117が、直径20〜30mmの円筒部材102に貼り付けてある。円筒部材102の径方向の少なくとも一部は、ゴムなどの弾性部材で構成される。図3(a)に示す状態では、除去部材101は突起117の頂点においてターゲット20に接触している。
さらに、除去部材101は、距離変更機構110により、円筒部材102の弾性により、三角形状部の頂点が十分接触できるような高さに配置される。
118は円筒部材102を回転させる駆動部で、ギアやモーターやベルトなど一般的な回転駆動機構によって実現できる。
その他は実施の形態1と同じである。
ノジュール除去部100は、移動機構120によってターゲット長さ方向に移動しながらノジュールを除去する。このような構成によって、消耗品であるノジュール除去部100を小型にし、ノジュール除去部100の製造価格を低減できる。移動機構120はモーターとベルトの組み合わせなど一般的な移動機構を採用しうる。
ノジュール除去中には、ターゲット20を図3の状態で時計回りに10〜30rpmで回転させるとともに、除去部材101も駆動部118によって時計回りに10rpm〜100rpmで回転させる。
これによって、実施の形態1に比べ、除去部材101がノジュールに衝突する時のエネルギーが大きいので、ノジュールを確実に除去できる。
また、実施の形態1に比べ、突起117がたくさんあるので、ノジュール除去時の磨耗による消耗が少なく、除去部101の寿命を長くすることができる。
以上のように本発明によれば、円筒回転型ターゲットの回転を利用してノジュールの削り取り、および削り取られたノジュールの除去を、成膜室を大気圧に戻さずに実施できるので、スパッタリング装置の稼働率低下を防止し、太陽電池の高い生産性を実現できる。
なお、突起117に代わって#30〜#600の研磨紙を、円筒部材102に貼り付けても良い。
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3のスパッタリング装置の成膜室12の断面図を示す。
実施の形態1の構成に加えて、この実施の形態3では、ノジュール除去部100とターゲット20との接触個所に近接して配置された集塵板130と、集塵板130とターゲット20の間に50〜100V程度の電圧を印加する電源119を有することを特徴とする。この電源119には、スパッタ用の電源を使用することもできる。
このように構成したため、ターゲット20を回転させながらノジュール除去部100でノジュールを除去する際、ターゲット20と集塵板130の間に50〜100V程度の電圧を印加する。この時、成膜室12は1E−3Pa以下の圧力に保持するので、ターゲット20と集塵板130の間で放電が発生することはない。
削られたノジュールがターゲット20に付着しても、ターゲット20に印加した電圧で帯電させ、ターゲット20と集塵板130の間の電位差で集塵板130に集めることができる。これによって、削られたノジュールやノジュールの破片がターゲット20上に残り、異常放電を発生させるということはない。すなわち、ノジュールを十分に除去することができる。
なお、ノジュール除去部100でノジュールを削り終りノジュール除去部100をターゲット20から離した後、ターゲット20を回転しながら、ターゲット20と集塵板130の間に電圧を印加し、ターゲットに付着したノジュールおよびノジュールの破片を除去しても良い。ノジュールを削りながら集塵する方式に比べ時間が長くなるが、ノジュールを削り終えて、ノジュール除去部100をターゲットから離した際に、ノジュール除去部100の先端に溜まっていたノジュールの破片がターゲットの表面に付着しても、それを集塵できる。
なお、スパッタ成膜中の放電を安定化するために集塵板130は、スパッタ成膜中は、ターゲット20から離れる構成にするのがよい。これは、集塵板130を距離変更機構110のアース部分に固定する構成によって実現できる。
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4のスパッタリング装置の成膜室12の断面図を示す。
実施の形態1の構成に加えて、この実施の形態4では、ノジュール除去部100とターゲット20との接触個所に近接してガス導入ノズル140を有することを特徴とする。ガス導入ノズル140には、ガス導入経路121より、ターゲット20とノジュール除去部100の接触個所に向かって不活性ガスとしてのアルゴンガスを吹き付ける。具体的には、500sccm〜1000sccmの量のアルゴンガスを吹き付ける。アルゴンガスは、スパッタ用のガスを分岐して使用できる。
このように構成したため、ターゲット20を回転させながらノジュール除去部材110でノジュールを除去する際、ガス導入ノズル140からターゲット20とノジュール除去部100の接触個所に向かってアルゴンガスを吹き付けると、ターゲット20から削られたノジュールやノジュールの破片がターゲット20に付着しても、吹き付けられたアルゴンガスにより取り除くことができるので、削られたノジュールやノジュールの破片がターゲット20上に残り、異常放電を発生させるということはない。すなわち、ノジュールを十分に除去することができる。
なお、ノジュール除去部100でノジュールを削り終り、ノジュール除去部100をターゲットから離した後、ターゲット10を回転しながら、アルゴンガスを吹き付け、ターゲットに付着したノジュールおよびノジュールの破片を除去しても良い。ノジュールを削りながらアルゴンガスを吹き付ける方式に比べ時間が長くなるが、ノジュールを削り終えて、ノジュール除去部100をターゲット20から離した際に、ノジュール除去部100の先端に溜まっていたノジュールの破片がターゲット20の表面に付着しても、それを吹き飛ばして除去できる。
アルゴンガスを吹き付けるため、成膜室12の圧力は上昇し、所定の圧力5E-5Paまで真空引きするのに時間を要するが、大気開放していないのでHOの吸着等がないため、大気開放した場合の半分以下の時間で所定の圧力にできる。
以上のように本発明によれば、円筒回転型ターゲット20の回転を利用してノジュールの削り取り、および削り取られたノジュールの除去を、成膜室を大気開放せずに実施できるので、スパッタリング装置の稼働率低下を防止し、太陽電池の高い生産性を実現できる。
なお、上記の実施の形態3,4は実施の形態1に加えて実施したが、実施の形態2に加えて同様に実施の形態3,4を実施しても効果的である。
本発明は、単結晶や多結晶の太陽電池の製造に使用されるスパッタリング装置に適用できる。
12 成膜室
20 回転円筒スパッタリングターゲット
30 トレー
40 太陽電池基板
60 バッキングチューブ
70 マグネット
80 プラズマ
100 ノジュール除去部
101 除去部材
110 距離変更機構
120 移動機構
130 集塵板
140 ガス導入ノズル
c ターゲットの回転中心

Claims (3)

  1. 回転円筒スパッタリングターゲットを有するスパッタリング装置であって、
    前記ターゲットの表面に接触して付着物を掻き取るノジュール除去部と、
    前記ノジュール除去部と前記ターゲットとの距離を変更する距離変更機構と
    前記ノジュール除去部と前記ターゲットとの接触個所に近接して配置された集塵板と、
    前記ターゲットと集塵板の間に電圧を印加する電源と、を備えている
    スパッタリング装置。
  2. 前記ノジュール除去部が回転機構を有することを特徴とする
    請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記ノジュール除去部が前記ターゲットに接触してノジュール除去期間中、または前記ノジュール除去期間が終了後に、前記集塵板と前記ターゲットの間に電圧を印加するよう構成した
    請求項記載のスパッタリング装置。
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