以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るX線装置について詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図1に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10、冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200を備えている。
X線管装置10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収納されたX線管30と、ハウジング20の内部に充填され、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された冷却液7と、回転駆動装置としてのステータコイル910と、ケーブルアセンブリ60と、ケーブルアセンブリ70と、電気絶縁性部材81(第1電気絶縁性部材)と、電気絶縁性部材91(第2電気絶縁性部材)とを備えている。
ハウジング20は、分断された2つの分割部20a、20cを有している。分割部20aは、開口端の外縁側に枠部20bを有している。分割部20cは、開口端の外縁側に枠部20dを有している。枠部20dは、枠部20bに対向した側に形成された枠状の溝部が形成されている。
分割部20a、20cは、枠部20b、20dが対向するよう接触され、図示しない締め具により締め付けられている。枠部20b及び枠部20d間の隙間は、上記溝部に設けられた枠状のOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
ハウジング20の内面は、冷却液7に接している。ハウジング20には、ゴムベローズ21が設けられ、冷却液7の圧力調整が行われている。ハウジング20は、X線を透過しハウジング20外部に放射するX線放射窓20wを有している。ハウジング20は、開口20o1(第1開口)及び開口20o2(第2開口)を有している。
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、真空容器32を有している。真空容器32は、例えば、ガラスや、銅、ステンレス、アルミニウム等の非磁性の金属で形成されている。X線放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。ここでは、X線放射窓33は、ベリリウムで形成されている。真空外囲器31の一部は、高電圧絶縁部材40(第1高電圧絶縁部材)及び高電圧絶縁部材50(第2高電圧絶縁部材)で形成されている。この実施形態において、高電圧絶縁部材40及び高電圧絶縁部材50は、セラミクスで形成されている。
X線管30は、高電圧供給端子44(第1高電圧供給端子)、高電圧供給端子54(第2高電圧供給端子)、陽極ターゲット35及び陰極36を有している。この実施形態において、高電圧供給端子44及び高電圧供給端子54は、金属端子である。高電圧供給端子44は、高電圧絶縁部材40の外面から真空外囲器31の外側に露出し、陽極ターゲット35に電気的に接続されている。高電圧供給端子54は、高電圧絶縁部材50の外面から真空外囲器31の外側に露出し、陰極36に電気的に接続されている。
陽極ターゲット35は、真空外囲器31内に設けられている。陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から照射される電子が衝突されることによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転可能である。
陰極36は、真空外囲器31内に設けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に照射する電子を放出する。陰極36には相対的に負の電圧が印加される。低膨張合金であるKOV部材55は、真空外囲器31内で高電圧供給端子54を覆っている。ここでは、高電圧供給端子54及び高電圧絶縁部材50間、並びにKOV部材55及び高電圧絶縁部材50間は、ろう付けされている。KOV部材55には、陰極支持部材37が取付けられている。陰極36は、陰極支持部材37に取付けられている。
高電圧供給端子54は、陰極支持部材37の内部を通って陰極36に接続されている。高電圧供給端子54は、陰極36に相対的に負の電圧を印加するともに陰極36の図示しないフィラメント(電子放出源)にフィラメント電流を供給するものである。
X線管30は、ロータ920、軸受け930、固定体1及び回転体2を備えている。固定体1は、円柱状に形成され、高電圧絶縁部材40に固定されている。固定体1には、高電圧供給端子44が電気的に接続されている。ここでは、固定体1は、高電圧供給端子44と一体に形成されている。固定体1は回転体2を回転可能に支持する。回転体2は筒状に形成され、固定体1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ920が取り付けられている。回転体2には、陽極ターゲット35が取付けられている。軸受け930は、固定体1及び回転体2間に形成されている。回転体2は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。高電圧供給端子44は、固定体1、軸受け930、及び回転体2を介して陽極ターゲット35に相対的に正の電圧を印加する。
図2は、図1に示したX線装置の一部を示す分解断面図である。
図1及び図2に示すように、ケーブルアセンブリ60は、高電圧ケーブル61(第1高電圧ケーブル)と、高電圧コネクタ62と、取付リング66と、固定部材67とを有している。高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部が開口20o1を通ってハウジング20の外側に位置している。高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61の接続には、溶接や半田付けなどを利用することができる。高電圧ケーブル61は、高電圧供給端子44に高電圧を与える。
高電圧コネクタ62は、高電圧ケーブル61の他端部に設けられている。高電圧コネクタ62は、固定部材63と、電気絶縁部材64とを有している。固定部材63は、金属などの剛性の高い材料で環状に形成され、高電圧ケーブル61の外周を囲んでいる。固定部材63は、ねじ65とともに押圧機構を形成している。
電気絶縁部材64は、例えばゴムで形成されている。電気絶縁部材64の外面は、高電圧ケーブル61の他端部の先端に向かって細くなるテーパ状の凸面である。高電圧ケーブル61の他端部、固定部材63及び電気絶縁部材64は、一体に形成されている。
取付リング66は、高電圧ケーブル61の外周を囲み、接着剤により高電圧ケーブル61に接着されている。上記接着剤は、取付リング66及び高電圧ケーブル61間を液密にシールしている。取付リング66の形状は、開口20o1に対応した形状である。取付リング66は、開口20o1に位置している。
なお、開口20o1には、環状の溝部が形成されている。取付リング66及び開口20o1間の隙間は、上記溝部に設けられた環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、取付リング66及び開口20o1間の隙間からハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。
固定部材67は、環状に形成され、高電圧ケーブル61の外周を囲んでいる。ねじ68は、固定部材67に形成された貫通孔を通って、取付リング66に形成されたネジ穴に締め付けられている。他のねじ68は、固定部材67に形成された貫通孔を通って、ハウジング20に形成されたネジ穴に締め付けられている。これにより、ハウジング20に対する取付リング66及び高電圧ケーブル61の位置を固定することができる。
ケーブルアセンブリ70は、高電圧ケーブル71(第2高電圧ケーブル)と、高電圧コネクタ72と、取付リング76と、固定部材77とを有している。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部が開口20o2を通ってハウジング20の外側に位置している。高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71の接続には、溶接や半田付けなどを利用することができる。高電圧ケーブル71は、高電圧供給端子54に高電圧を与える。
高電圧コネクタ72は、高電圧ケーブル71の他端部に設けられている。高電圧コネクタ72は、固定部材73と、電気絶縁部材74とを有している。固定部材73は、金属などの剛性の高い材料で環状に形成され、高電圧ケーブル71の外周を囲んでいる。固定部材73は、ねじ75とともに押圧機構を形成している。
電気絶縁部材74は、例えばゴムで形成されている。電気絶縁部材74の外面は、高電圧ケーブル71の他端部の先端に向かって細くなるテーパ状の凸面である。高電圧ケーブル71の他端部、固定部材73及び電気絶縁部材74は、一体に形成されている。
取付リング76は、高電圧ケーブル71の外周を囲み、接着剤により高電圧ケーブル71に接着されている。上記接着剤は、取付リング76及び高電圧ケーブル71間を液密にシールしている。取付リング76の形状は、開口20o2に対応した形状である。取付リング76は、開口20o2に位置している。
なお、開口20o2には、環状の溝部が形成されている。取付リング76及び開口20o2間の隙間は、上記溝部に設けられた環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、取付リング76及び開口20o2間の隙間からハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。
固定部材77は、環状に形成され、高電圧ケーブル71の外周を囲んでいる。ねじ78は、固定部材77に形成された貫通孔を通って、取付リング76に形成されたネジ穴に締め付けられている。他のねじ78は、固定部材77に形成された貫通孔を通って、ハウジング20に形成されたネジ穴に締め付けられている。これにより、ハウジング20に対する取付リング76及び高電圧ケーブル71の位置を固定することができる。
図1に示すように、電気絶縁性部材81は、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆い、冷却液7に取り囲まれ、冷却液7により直接または間接的に冷却される。
この実施形態において、高電圧供給端子44は、真空外囲器31の外側に、高電圧絶縁部材40の外面から突出して形成されている。電気絶縁性部材81は、樹脂で形成され、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、高電圧絶縁部材40の外面に直に接着されている。電気絶縁性部材81は、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部の近傍において、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。
より詳しくは、電気絶縁性部材81はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材81を形成する際、予め、高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61を電気的に接続しておく。電気絶縁性部材81の形成がスタートすると、まず、図示しないモールド材槽内部に、高電圧絶縁部材40の外面、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部、及び高電圧ケーブル61の一部を搬入し、モールド材槽内にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化し、モールド材槽から搬出する。これにより、電気絶縁性部材81が形成される。
なお、モールド材を注入する際、真空中での注入が好ましく、図示しない真空槽の内部で行うことが好ましい。真空中でモールド材を注入することにより、モールド材中に残る恐れのある空気等の気泡が残らないようにすることができる。
電気絶縁性部材91は、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を覆い、冷却液7に取り囲まれ、冷却液7により直接または間接的に冷却される。
この実施形態において、高電圧供給端子54は、真空外囲器31の外側に、高電圧絶縁部材50の外面から突出して形成されている。電気絶縁性部材91は、樹脂で形成され、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くし、高電圧絶縁部材50の外面に直に接着されている。電気絶縁性部材91は、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部の近傍において、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。
より詳しくは、電気絶縁性部材91はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材91は、電気絶縁性部材81を形成する手法と同一の手法を用いることにより、形成することができる。
図1及び図2に示すように、高電圧コネクタ100は、筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入されたケーブル102と、ハウジング101内に充填され、ケーブル102の端子をハウジング101の開口部側に向けて固定する固定部103とを備えている。固定部103は、電気絶縁材である。固定部103は、電気絶縁部材64の外面と密着するよう、ハウジング101の開口部からケーブル102の端子に向かって狭くなるテーパ状の凹面を有している。
この実施形態において、固定部103は、電気絶縁部材64の外面に直接密着されている。なお、固定部103は、図示しないシリコーンプレートなどを介して電気絶縁部材64の外面に間接的に密着されていてもよい。高電圧コネクタ100は、高電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
高電圧コネクタ100をハウジング20に取り付ける際、ケーブル102の端子が高電圧ケーブル61の他端部の端子に接続した状態で、固定部103が電気絶縁部材64と密着するように押圧する。ここでは、押圧する際、ねじ65を、固定部材63に形成された貫通孔を通して、ハウジング101に形成されたネジ穴に締め付ける。
高電圧コネクタ200は、筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子をハウジング201の開口部側に向けて固定する固定部203とを備えている。固定部203は、電気絶縁材である。固定部203は、電気絶縁部材74の外面と密着するよう、ハウジング201の開口部からケーブル202の端子に向かって狭くなるテーパ状の凹面を有している。
この実施形態において、固定部203は、電気絶縁部材74の外面に直接密着されている。なお、固定部203は、図示しないシリコーンプレートなどを介して電気絶縁部材74の外面に間接的に密着されていてもよい。高電圧コネクタ200は、高電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際、ケーブル202の端子が高電圧ケーブル71の他端部の端子に接続した状態で、固定部203が電気絶縁部材74と密着するように押圧する。ここでは、押圧する際、ねじ75を、固定部材73に形成された貫通孔を通して、ハウジング201に形成されたネジ穴に締め付ける。
ハウジング20には、冷却液7の導入口26及び排出口27が形成されている。ハウジング20の外部には、冷却器22が設けられ、ホースなどの導管を介してハウジング20の導入口26及び排出口27に連結されている。冷却器22は、ハウジング20内の冷却液7を放熱及び循環させるものである。冷却器22は、冷却液循環ポンプ23及び熱交換器24を有している。冷却液循環ポンプ23は、ハウジング20側から取り入れた冷却液7を熱交換器24に吐出し、冷却液7の流れをハウジング20内に作り出す。熱交換器24は、ハウジング20及び冷却液循環ポンプ23間に連結され、冷却液7の熱を外部に放出する。
上記のことから、ハウジング20内に冷却液7の流れる冷却路を形成することができる。冷却液7としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施形態において、冷却液7として水系冷却液を用いている。そして、冷却液7により、電気絶縁性部材81、91、高電圧ケーブル61、71を冷却することができる。
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200に所定の高電圧を印加する。
高電圧コネクタ100に印加された高電圧は、高電圧ケーブル61、高電圧供給端子44、固定体1、軸受け930及び回転体2を介して陽極ターゲット35に供給される。高電圧コネクタ200に印加された高電圧は、高電圧ケーブル71、高電圧供給端子54を介して陰極36に供給される。
これにより、陰極36から陽極ターゲット35のターゲット層35aに電子ビームが放射され、陽極ターゲット35からX線が放射され、X線は、X線放射窓33及びX線放射窓20wを透過して外部へ放射される。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。陽極ターゲット35に電気的に接続された高電圧供給端子44は、高電圧絶縁部材40から真空外囲器31の外側に露出している。陰極36に電気的に接続された高電圧供給端子54は、高電圧絶縁部材50から真空外囲器31の外側に露出している。
高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、リセプタクルを設ける構造と比べてX線管装置10の小型化を図ることができる。
X線管装置10は、電気絶縁性部材81、91を備えている。電気絶縁性部材81は高電圧絶縁部材40の外面に直に接着され、電気絶縁性部材91は高電圧絶縁部材50の外面に直に接着されている。高電圧絶縁部材40に向けて電気絶縁性部材81に圧力をかける構造や、高電圧絶縁部材50に向けて電気絶縁性部材91に圧力をかける構造ではないため、電気絶縁性部材81や電気絶縁性部材91が熱の影響を受けても良好な絶縁性を保持することができる。X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル61は、冷却液7に浸っているため、陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材81は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ62の電気絶縁部材64の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ62と、高電圧コネクタ100との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
この実施形態において、面圧式の高電圧コネクタ62及び高電圧コネクタ100を用いたが、高電圧ケーブル61が十分に長い場合などは非面圧式の高電圧コネクタを用いてもよく、この場合も良好な絶縁性を保持することができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル71は、冷却液7に浸っているため、陰極36から高電圧ケーブル71に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材91は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陰極36から高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陰極36から高電圧ケーブル71の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ72の電気絶縁部材74の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ72と、高電圧コネクタ200との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
この実施形態において、面圧式の高電圧コネクタ72及び高電圧コネクタ200を用いたが、高電圧ケーブル71が十分に長い場合などは非面圧式の高電圧コネクタを用いてもよく、この場合も良好な絶縁性を保持することができる。
電気絶縁性部材81は高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、電気絶縁性部材91は高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。これにより、冷却液7として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができる。このため、冷却液7は、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61に伝達される熱や、陰極36から高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71に伝達される熱などを最も有効に奪うことができる。また、水系冷却液は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、冷却液7の温度上昇を低く抑えることができる。
電気絶縁性部材81、91は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。
樹脂で形成された電気絶縁性部材81、91は高温になるとガスを放出する傾向にあるが、電気絶縁性部材81、91は、真空外囲器31の外側に位置している。セラミクスで形成された高電圧絶縁部材40、50は高温になってもほとんどガスを放出しないため、真空外囲器31の真空度の低下を低減することができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、第2の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3は、第2の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図3に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。
高電圧絶縁部材40は、真空外囲器31の外側に開口した穴部41を有している。この実施形態において、穴部41は、管軸に直交した方向に延在している。高電圧供給端子44は、穴部41の底部に位置している。高電圧絶縁部材40は、穴部41を通して高電圧供給端子44を真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル61の一端部は、穴部41を通って高電圧供給端子44に電気的に接続されている。この実施形態において、高電圧供給端子44は、奥まって位置し、高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61の接続には、溶接や半田付けなどを利用することは困難なため、例えばスプリングアクションを利用して接続することができる。
電気絶縁性部材81は、樹脂で形成され、穴部41に充填され、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材81はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材81の形成がスタートすると、まず、穴部41を通して、高電圧供給端子44に高電圧ケーブル61の一端部を押し付けた状態を維持した状態で穴部41にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部41に電気絶縁性部材81が形成される。
なお、モールド材を注入する際、真空中での注入が好ましい。また、穴部41に空気が残らない方が良好に絶縁性を確保することができるため、モールド材を注入する際、穴部41を全てモールド材で満たした方が好ましい。この実施形態において、モールド材は溢れる程度に穴部41に注入されている。
高電圧絶縁部材50は、真空外囲器31の外側に開口した穴部51を有している。この実施形態において、穴部51は、管軸に直交した方向に延在している。高電圧供給端子54は、穴部51の底部に位置している。高電圧絶縁部材50は、穴部51を通して高電圧供給端子54を真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル71の一端部は、穴部51を通って高電圧供給端子54に電気的に接続されている。この実施形態において、高電圧供給端子54は、奥まって位置し、高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71の接続には、溶接や半田付けなどを利用することは困難なため、例えばスプリングアクションを利用して接続することができる。
電気絶縁性部材91は、樹脂で形成され、穴部51に充填され、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材91はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材91は、電気絶縁性部材81を形成する手法と同一の手法を用いることにより、形成することができる。
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。
X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、X線管装置10の小型化を図ることができる。
X線管装置10は、電気絶縁性部材81、91を備えている。電気絶縁性部材81はモールド材を穴部41に充填して形成され、電気絶縁性部材91はモールド材を穴部51に充填して形成されている。高電圧絶縁部材40に向けて電気絶縁性部材81に圧力をかける構造や、高電圧絶縁部材50に向けて電気絶縁性部材91に圧力をかける構造ではないため、電気絶縁性部材81や電気絶縁性部材91が熱の影響を受けても良好な絶縁性を保持することができる。X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材81は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却され、また高電圧絶縁部材40を介して間接的に冷却される。このため、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材91は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却され、また高電圧絶縁部材50を介して間接的に冷却される。このため、陰極36から高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
電気絶縁性部材81は高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、電気絶縁性部材91は高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
電気絶縁性部材81、91は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。
このため、上記第1の実施形態に係るX線装置と同様の効果を得ることができる。
また、上記第1の実施形態に比べ、電気絶縁性部材81、91を形成する際の高電圧ケーブル61、71に加わる熱の悪影響を低減することができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
ここで、上記第2の実施形態に係るX線装置の変形例について説明する。図4は、上記第2の実施形態に係るX線装置の変形例を示す断面図である。
図4に示すように、高電圧絶縁部材40は、穴部41の他、真空外囲器31の外側に開口した他の穴部42を有している。ここでは、穴部42は、管軸に沿った方向に延在している。高電圧供給端子44は、穴部41及び穴部42の底部に位置している。高電圧絶縁部材40は、穴部41、42を通して高電圧供給端子44を真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル61の一端部は、穴部41を通って高電圧供給端子44に電気的に接続されている。高電圧供給端子44は、奥まって位置しているが、高電圧絶縁部材40は、穴部41だけでなく穴部42も有している。このため、穴部42を用いることにより、高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61の接続に、溶接や半田付けなどを利用するが可能となる。
電気絶縁性部材81は、樹脂で形成され、穴部41、42に充填され、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材81はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材81の形成がスタートすると、まず、穴部41に高電圧ケーブル61の一端部を通し、穴部42を用い、高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61を溶接や半田付けなどを利用して接続する。続いて、穴部41、42にモールド材を注入した後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部41、42に電気絶縁性部材81が形成される。
上記のように、高電圧絶縁部材40に穴部42をさらに形成することにより、スプリングアクションを利用すること無しに、溶接や半田付けなどを利用して高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61を接続することができる。
高電圧絶縁部材50は、穴部51の他、真空外囲器31の外側に開口した他の穴部52を有している。ここでは、穴部52は、管軸に沿った方向に延在している。高電圧供給端子54は、穴部51及び穴部52の底部に位置している。高電圧絶縁部材50は、穴部51、52を通して高電圧供給端子54を真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル71の一端部は、穴部51を通って高電圧供給端子54に電気的に接続されている。高電圧供給端子54は、奥まって位置しているが、高電圧絶縁部材50は、穴部51だけでなく穴部52も有している。このため、穴部52を用いることにより、高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71の接続に、溶接や半田付けなどを利用するが可能となる。
電気絶縁性部材91は、樹脂で形成され、穴部51、52に充填され、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材91はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材91の形成がスタートすると、まず、穴部51に高電圧ケーブル71の一端部を通し、穴部52を用い、高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71を溶接や半田付けなどを利用して接続する。続いて、穴部51、52にモールド材を注入した後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部51、52に電気絶縁性部材91が形成される。
上記のように、高電圧絶縁部材50に穴部52をさらに形成することにより、スプリングアクションを利用すること無しに、溶接や半田付けなどを利用して高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71を接続することができる。
次に、第3の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は、第3の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。図6は、図5に示したX線装置の一部を示す分解断面図である。
図5及び図6に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。
X線管装置10は、接着面82sを有した高電圧絶縁部材82と、高電圧絶縁部材82の接着面82sを高電圧絶縁部材40の外面に接着させる接着部材84と、をさらに備えている。高電圧絶縁部材82は、セラミクスで形成されている。接着部材84は、電気絶縁性及び耐熱性を有する材料として例えばエポキシ系の樹脂で形成されている。
高電圧供給端子44は、第1分割部44aと、第2分割部44bと、を有している。第1分割部44aは、高電圧絶縁部材40から真空外囲器31の外側に露出している。第2分割部44bは、高電圧絶縁部材82に設けられ、高電圧絶縁部材82の内部に位置し、接着面82sから高電圧絶縁部材82の外側に露出し、第1分割部44aに電気的に接続される。この実施形態において、第2分割部44bの側面は、スプリングアクションを利用して第1分割部44aと接触している。
高電圧絶縁部材82は、接着面82sから外れた位置に開口した穴部83を有している。この実施形態において、穴部83は、管軸に直交した方向に延在している。高電圧供給端子44の第2分割部44bは、穴部83の底部に位置している。高電圧絶縁部材82は、穴部83を通して第2分割部44bを真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル61の一端部は、穴部83を通って第2分割部44bに電気的に接続されている。この実施形態において、第2分割部44bは、奥まって位置し、第2分割部44b及び高電圧ケーブル61の接続には、溶接や半田付けなどを利用することは困難なため、例えばスプリングアクションを利用して接続することができる。
電気絶縁性部材81は、樹脂で形成され、穴部83に充填され、第2分割部44bと高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材81はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材81の形成がスタートすると、まず、穴部83を通して、第2分割部44bに高電圧ケーブル61の一端部を押し付けた状態を維持した状態で穴部83にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部83に電気絶縁性部材81が形成される。
電気絶縁性部材81、高電圧絶縁部材82及び第2分割部44bは、ケーブルアセンブリ60の一部を形成している。これにより、ケーブルアセンブリ60を形成した後、接着部材84を用いて高電圧絶縁部材82の接着面82sを高電圧絶縁部材40の外面に接着させることができる。
または、接着部材84を用いて高電圧絶縁部材82の接着面82sを高電圧絶縁部材40の外面にまず接着させ、第1分割部44a及び第2分割部44bを電気的に接続してもよい。この場合、第2分割部44bは、予め第1分割部44aと一体に形成され高電圧絶縁部材40側に設けられていてもよい。次いで、穴部83を通して、第2分割部44bに高電圧ケーブル61の一端部を押し付けた状態を維持した状態で穴部83にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部83に電気絶縁性部材81が形成される。
X線管装置10は、接着面92sを有した高電圧絶縁部材92と、高電圧絶縁部材92の接着面92sを高電圧絶縁部材50の外面に接着させる接着部材94と、をさらに備えている。高電圧絶縁部材92は、セラミクスで形成されている。接着部材94は、電気絶縁性及び耐熱性を有する材料として例えばエポキシ系の樹脂で形成されている。
高電圧供給端子54は、第1分割部54aと、第2分割部54bと、を有している。第1分割部54aは、高電圧絶縁部材50から真空外囲器31の外側に露出している。第2分割部54bは、高電圧絶縁部材92に設けられ、高電圧絶縁部材92の内部に位置し、接着面92sから高電圧絶縁部材92の外側に露出し、第1分割部54aに電気的に接続される。この実施形態において、第2分割部54bの側面は、スプリングアクションを利用して第1分割部54aと接触している。
高電圧絶縁部材92は、接着面92sから外れた位置に開口した穴部93を有している。この実施形態において、穴部93は、管軸に直交した方向に延在している。高電圧供給端子54の第2分割部54bは、穴部93の底部に位置している。高電圧絶縁部材92は、穴部93を通して第2分割部54bを真空外囲器31の外側に露出させている。
高電圧ケーブル71の一端部は、穴部93を通って第2分割部54bに電気的に接続されている。この実施形態において、第2分割部54bは、奥まって位置し、第2分割部54b及び高電圧ケーブル71の接続には、溶接や半田付けなどを利用することは困難なため、例えばスプリングアクションを利用して接続することができる。
電気絶縁性部材91は、樹脂で形成され、穴部93に充填され、第2分割部54bと高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
より詳しくは、電気絶縁性部材91はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材91は、電気絶縁性部材81を形成する手法と同一の手法を用いることにより、形成することができる。
電気絶縁性部材91、高電圧絶縁部材92及び第2分割部54bは、ケーブルアセンブリ70の一部を形成している。これにより、ケーブルアセンブリ70を形成した後、接着部材94を用いて高電圧絶縁部材92の接着面92sを高電圧絶縁部材50の外面に接着させることができる。
または、接着部材94を用いて高電圧絶縁部材92の接着面92sを高電圧絶縁部材50の外面にまず接着させ、第1分割部54a及び第2分割部54bを電気的に接続してもよい。この場合、第2分割部54bは、予め第1分割部54aと一体に形成され高電圧絶縁部材50側に設けられていてもよい。次いで、穴部93を通して、第2分割部54bに高電圧ケーブル71の一端部を押し付けた状態を維持した状態で穴部93にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化することにより、穴部93に電気絶縁性部材91が形成される。
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。
X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、X線管装置10の小型化を図ることができる。
X線管装置10は、電気絶縁性部材81、91と、高電圧絶縁部材82、92とを備えている。電気絶縁性部材81はモールド材を穴部83に充填して形成され、電気絶縁性部材91はモールド材を穴部93に充填して形成されている。高電圧絶縁部材82に向けて電気絶縁性部材81に圧力をかける構造や、高電圧絶縁部材92に向けて電気絶縁性部材91に圧力をかける構造ではないため、電気絶縁性部材81や電気絶縁性部材91が熱の影響を受けても良好な絶縁性を保持することができる。X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材81は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却され、また高電圧絶縁部材82及び高電圧絶縁部材40を介して間接的に冷却される。このため、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材91は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却され、また高電圧絶縁部材92及び高電圧絶縁部材50を介して間接的に冷却される。このため、陰極36から高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
電気絶縁性部材81は第2分割部44b(高電圧供給端子44)と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、電気絶縁性部材91は第2分割部54b(高電圧供給端子54)と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
電気絶縁性部材81、91は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。
このため、上記第1の実施形態に係るX線装置と同様の効果を得ることができる。
また、上記第1の実施形態に比べ、電気絶縁性部材81、91を形成する際の高電圧ケーブル61、71に加わる熱の悪影響を低減することができる。
さらに、X線管30から独立した状態で、高電圧絶縁部材82、92のモールド成型などを行うことができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、第4の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は、第4の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図7に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。
高電圧供給端子44は、第1分割部44aと、第2分割部44bと、を有している。第1分割部44aは、高電圧絶縁部材40から真空外囲器31の外側に露出している。第2分割部44bは、第1分割部44aに電気的に接続される。この実施形態において、第2分割部44bの側面は、スプリングアクションを利用して第1分割部44aと接触している。
電気絶縁性部材81は、樹脂で形成され、接着面81sを有し、第2分割部44bと高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、接着面81sから第2分割部44bを外側に露出させている。
より詳しくは、電気絶縁性部材81はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材81を形成する際、溶接や半田付けなどを利用し、予め、第2分割部44b及び高電圧ケーブル61を電気的に接続しておく。電気絶縁性部材81の形成がスタートすると、まず、図示しないモールド材槽内部に、第2分割部44bと高電圧ケーブル61との電気的接続部、及び高電圧ケーブル61の一部を搬入し、モールド材槽内にモールド材を注入する。その後、注入したモールド材を硬化し、モールド材槽から搬出する。これにより、接着面81sから第2分割部44bを露出させた電気絶縁性部材81が形成される。
X線管装置10は、接着部材84をさらに備えている。接着部材84は、例えばエポキシ系の樹脂で形成され、電気絶縁性部材81の接着面81sを高電圧絶縁部材40の外面に接着させている。
電気絶縁性部材81及び第2分割部44bは、ケーブルアセンブリ60の一部を形成している。これにより、ケーブルアセンブリ60を形成した後、接着部材84を用いて電気絶縁性部材81の接着面81sを高電圧絶縁部材40の外面に接着させることができる。
高電圧供給端子54は、第1分割部54aと、第2分割部54bと、を有している。第1分割部54aは、高電圧絶縁部材50から真空外囲器31の外側に露出している。第2分割部54bは、第1分割部54aに電気的に接続される。この実施形態において、第2分割部54bの側面は、スプリングアクションを利用して第1分割部54aと接触している。
電気絶縁性部材91は、樹脂で形成され、接着面91sを有し、第2分割部54bと高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くし、接着面91sから第2分割部54bを外側に露出させている。
より詳しくは、電気絶縁性部材91はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材91は、電気絶縁性部材81を形成する手法と同一の手法を用いることにより、形成することができる。
X線管装置10は、接着部材94をさらに備えている。接着部材94は、例えばエポキシ系の樹脂で形成され、電気絶縁性部材91の接着面91sを高電圧絶縁部材50の外面に接着させている。
電気絶縁性部材91及び第2分割部54bは、ケーブルアセンブリ70の一部を形成している。これにより、ケーブルアセンブリ70を形成した後、接着部材94を用いて電気絶縁性部材91の接着面91sを高電圧絶縁部材50の外面に接着させることができる。
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。
X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、X線管装置10の小型化を図ることができる。
X線管装置10は、電気絶縁性部材81、91を備えている。電気絶縁性部材81は接着部材84を用いて高電圧絶縁部材40に接着され、電気絶縁性部材91は接着部材94を用いて高電圧絶縁部材50に接着されている。高電圧絶縁部材40に向けて電気絶縁性部材81に圧力をかける構造や、高電圧絶縁部材50に向けて電気絶縁性部材91に圧力をかける構造ではないため、電気絶縁性部材81や電気絶縁性部材91が熱の影響を受けても良好な絶縁性を保持することができる。X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
第2分割部44bと高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材81は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
第2分割部54bと高電圧ケーブル71との電気的接続部を覆った電気絶縁性部材91は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陰極36から高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
電気絶縁性部材81は第2分割部44b(高電圧供給端子44)と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、電気絶縁性部材91は第2分割部54b(高電圧供給端子54)と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くしている。
電気絶縁性部材81、91は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。
このため、上記第1の実施形態に係るX線装置と同様の効果を得ることができる。
溶接や半田付けなどを利用して第2分割部44b及び高電圧ケーブル61をしっかりと接続した後に、電気絶縁性部材81はモールド成型される。同様に溶接や半田付けなどを利用して第2分割部54b及び高電圧ケーブル71をしっかりと接続した後に、電気絶縁性部材91はモールド成型される。このため、信頼性の高いケーブルアセンブリ60、70を得ることができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、第5の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態に係るX線装置は、高電圧絶縁部材82、92を樹脂を利用して形成した以外、第3の実施形態に係るX線装置と同様に形成されている(図5参照)。より詳しくは、高電圧絶縁部材82、92はモールド材で形成されている。
上記のように構成された第5の実施形態に係るX線装置によれば、上記第3の実施形態に係るX線装置と同様の効果を得ることができる。
高電圧絶縁部材82、92は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。
X線管30及び高電圧ケーブル61、71から独立した状態で、高電圧絶縁部材82、92のモールド成型などを行うことができる。このため、第5の実施形態においてモールド成型を行うための装置は、上記第4の実施形態においてモールド成型を行うための装置(特殊な装置)に比べて、一般的で小型なものとすることができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、第6の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図8は、第6の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図8に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。
電気絶縁性部材81は、桶状に形成され、高電圧絶縁部材40に間隔を置いて位置している。電気絶縁性部材81には貫通孔が形成され、上記貫通孔を高電圧ケーブル61が通っている。高電圧ケーブル61は、接着部材を用いて電気絶縁性部材81の貫通孔に固定されている。
電気絶縁性部材91は、桶状に形成され、高電圧絶縁部材50に間隔を置いて位置している。電気絶縁性部材91には貫通孔が形成され、上記貫通孔を高電圧ケーブル71が通っている。高電圧ケーブル71は、接着部材を用いて電気絶縁性部材91の貫通孔に固定されている。
冷却液7は、電気絶縁性部材81及び高電圧絶縁部材40間と、電気絶縁性部材91及び高電圧絶縁部材50間と、にもそれぞれ介在されている。高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部と、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部とは、冷却液7に接するため、冷却液7は、絶縁油である。
上記のように構成された第6の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。陽極ターゲット35に電気的に接続された高電圧供給端子44は、高電圧絶縁部材40から真空外囲器31の外側に露出している。陰極36に電気的に接続された高電圧供給端子54は、高電圧絶縁部材50から真空外囲器31の外側に露出している。
高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、X線管装置10の小型化を図ることができる。
冷却液7は絶縁油である。面圧式のコネクタを利用すること無しに、高電圧ケーブル61は高電圧供給端子44に接続され、高電圧ケーブル71は高電圧供給端子54に接続されている。このため、X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル61は、冷却液7に浸っているため、陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部や、電気絶縁性部材81は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陽極ターゲット35から高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ62の電気絶縁部材64の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ62と、高電圧コネクタ100との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル71は、冷却液7に浸っているため、陰極36から高電圧ケーブル71に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部や、電気絶縁性部材91は、冷却液7に取り囲まれ冷却液7により直接冷却される。このため、陰極36から高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陰極36から高電圧ケーブル71の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ72の電気絶縁部材74の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ72と、高電圧コネクタ200との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
電気絶縁性部材81、91は、セラミクスより安価な樹脂を使用して形成することができる。なお、高電圧供給端子44とハウジング20との電気絶縁性や、高電圧供給端子54とハウジング20との電気絶縁性が絶縁油により保たれている場合は、電気絶縁性部材81、91を必ずしも設ける必要はない。
溶接や半田付けなどを利用して高電圧供給端子44及び高電圧ケーブル61はしっかりと接続され、同様に溶接や半田付けなどを利用して高電圧供給端子54及び高電圧ケーブル71はしっかりと接続されている。電気絶縁性部材81は高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くすこと無しに形成され、同様に電気絶縁性部材91は高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くすこと無しに形成されている。このため、電気的接続部の信頼性の向上を図ることができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、第7の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は、第7の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図9に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。この実施例においてX線管30はセラミクスからなる陰極側の高電圧部材50を有している。真空容器32はガラスで形成されており、陽極側の高電圧部材としての機能を有している。ホルダー部材6はエポキシ樹脂のような電気絶縁性材料で形成されている。ホルダー部材6は有底円筒状の形状をしており、その底部には高電圧供給端子44が固定され、またその側面部にステータコイル910が固定されている。ステータコイルを介して、X線管30はハウジングに固定支持されている。
ハウジング20は、筒状に形成されたハウジング本体20eと、蓋部20f、20g、20hとを有している。
高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、枠状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、枠状の溝部が形成されている。管軸に沿った方向において、蓋部20fの周縁部はハウジング本体20eの段差部に接触している。ハウジング本体20eの上記溝部にはC止め輪20iが嵌合されている。
C止め輪20iは、管軸に沿った方向における、ハウジング本体20eに対する蓋部20fの位置を規制している。この実施形態において、蓋部20fのがたつきを防止するため、蓋部20fの位置は固定されている。管軸に直交した方向において、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間の隙間は、枠状のOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。
上記のことから、高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20f、C止め輪20i及びOリングにより液密に閉塞されている。
高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、枠状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、枠状の溝部が形成されている。蓋部20gはハウジング本体20eの内部に位置している。
管軸に沿った方向において、蓋部20gの周縁部はハウジング本体20eの段差部とともに後述するX線遮蔽体510を挟んでいる。なお、後述するX線遮蔽体510とX線遮蔽体520との間からハウジング20外部へのX線の漏洩が無ければ、蓋部20gの周縁部がハウジング本体20eの段差部に接触していてもよい。蓋部20hは蓋部20gに対向している。この実施形態において、蓋部20hは円環部を有し、円環部は蓋部20g側に突出して形成されている。
ハウジング本体20eの上記内周面及び蓋部20g、並びに蓋部20hの隙間は、枠状のOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ゴムベローズ21の周縁部で形成され、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
ハウジング本体20eの上記溝部にはC止め輪20jが嵌合されている。C止め輪20jは、蓋部20hがOリングへ応力を加えている状態を保持している。上記のことから、高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20g、蓋部20h、C止め輪20j及びゴムベローズ21により液密に閉塞されている。
図示しないが、ハウジング20は、X線放射窓20w、開口20o1及び開口20o2を有している。この実施形態において、ハウジング20の内面に、鉛板は貼り付けられていない。
蓋部20gは、冷却液7が出入りする開口部20kを有している。蓋部20hは、雰囲気としての空気が出入りする通気孔20mが形成されている。ゴムベローズ21は、ハウジング本体20e内において、蓋部20g及び蓋部20hで囲まれた領域を開口部20kと繋がった第1空間及び通気孔20mと繋がった第2空間に区切っている。
X線管30は、陽極ターゲット35、陰極36、真空外囲器31、高電圧供給端子44及び高電圧供給端子54などを備えている。真空外囲器31は、真空容器32及び高電圧絶縁部材50等を備えている。この実施形態において、真空容器32はガラスで形成され、X線放射窓33を有している。
X線管30の固定体1は、真空容器32及びホルダー部材6に固定されている。この実施形態において、固定体1の先端部は高電圧供給端子44として機能している。高電圧絶縁部材6は、一端が円錐形をし、他端が閉塞した管状に形成されている。高電圧絶縁部材6は、固定体1と、ハウジング20及びステータコイル910との間を電気的に絶縁するものである。
また、ターゲット層35aと管軸に沿った方向に対向したハウジング20の一端側にX線遮蔽部510が設けられている。X線遮蔽部510は、ターゲット層35aから放射されるX線を遮蔽するものである。X線遮蔽部510は、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽部510は、第1遮蔽部511及び第2遮蔽部512を有している。
第1遮蔽部511は、ターゲット層35aと管軸に沿った方向に対向した側の蓋部20gに貼り付けられている。第1遮蔽部511は、蓋部20g全体を覆っている。第1遮蔽部511は、開口部20kと対向した個所が開口して形成され、開口部20kによる冷却液7の出入りを維持している。第2遮蔽部512は、第1遮蔽部511上に設けられている。第2遮蔽部512は、開口部20k付近からハウジング20の外部に出射する恐れのあるX線を遮蔽するものである。
X線遮蔽体520は円筒状に形成されている。X線遮蔽体520の一端部は、第1遮蔽部511に近接している。このため、X線遮蔽体510及びX線遮蔽部520間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
X線遮蔽体520は、管軸に沿って第1遮蔽部511から陽極ターゲット35(ターゲット層35aの表面の延長線上)を越える位置まで延出している。この実施形態において、X線遮蔽体520は、第1遮蔽部511からステータコイル910の手前まで延出している。X線遮蔽体520は、管軸に直交した方向において、それぞれ真空容器32及びハウジング本体20eに隙間を置いて設けられている。
X線遮蔽体520は、真空外囲器31及びハウジング20の少なくとも一方に固定されている。ここでは、X線遮蔽体520は、ハウジング本体20eの内壁に形成された突出部に固定されている。また、X線遮蔽体520は、絶縁部材8により真空外囲器31に固定されている。
X線遮蔽体520は、X線遮蔽部510とともに高電圧ケーブル71が通る通路を形成している。なお、上記通路からハウジング20の外部へのX線漏洩を防止するため、上記通路は隘路であることが好ましい。図示しないが、X線遮蔽体520は、X線を透過させるX線透過窓を有している。X線透過窓はX線放射窓20wと対向している。ここでは、X線透過窓は、X線遮蔽体520の一部を開口した開口部である。
X線遮蔽体520は、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽体520の厚みは、1乃至5mmである。ここで、X線遮蔽体520の厚みは、それぞれ内周面と外周面との最短距離であり、この実施形態では管軸に垂直な方向における内周面と外周面との距離である。また管軸に垂直な方向において、真空容器32及びハウジング20間の隙間は、3乃至12mmである。この実施形態において、真空容器32及びハウジング20間の隙間は、8mmである。
X線遮蔽体520は、例えばアンチモンなどを鉛に添加した硬質鉛から作ることができる。好ましくはSUSなどからなる円筒状部品の外側にX線不透過材を巻きつけてX線遮蔽体520を形成することが好ましい。
X線遮蔽体510、520に利用するX線不透過材としては、少なくとも、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の何れか1つからなる金属、又はタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の化合物の少なくとも1つを主材料などとして利用することができる。X線遮蔽体510、520の表面は、防食保護のため、錫、銀、銅、ニッケルなどの金属メッキや樹脂コーティングを形成しても良い。
X線遮蔽体520がある程度の強度と延性を有する場合、X線遮蔽体520は防護体として機能することができる。陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した陽極ターゲット35の破片は、ガラスで形成された真空容器32を破壊し、更にハウジング20の内面に向かって飛散する。X線遮蔽体520は、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。
X線遮蔽体520に陽極ターゲット35の破片が衝突しても、X線遮蔽体520は十分な変形を起こすことにより運動エネルギを吸収することができる。X線遮蔽体520及びハウジング20は、隙間を置いて位置しているため、X線遮蔽体520に変形が生じてもハウジング20自体の変形を防止できる。これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂を防止することができる。
図9及び図10に示すように、X線管装置10は、ケーブルグランド600、700を備えている。ケーブルグランド600は、グランド本体620と、シールナット630と、シール部材640と、クランプリング650と、を具備している。
グランド本体620は、高電圧ケーブル61が貫通する第1貫通孔621を有している。ここでは、第1貫通孔621は、開口20o1を通ってハウジング20の内部及び外部に開口している。グランド本体620は、外周面に雄ネジ623、624を切って形成されている。
シールナット630は、高電圧ケーブル61が貫通する第2貫通孔631を有している。シールナット630は、内周面に雌ネジを切って形成されている。シールナット630をグランド本体620の雄ネジ623に締め付けることにより、シールナット630はグランド本体620に螺合される。
シール部材640は、高電圧ケーブル61が貫通する少なくとも1つの第3貫通孔641を有している。ここでは、シール部材640は、1つの第3貫通孔641を有している。シール部材640は、グランド本体620の第1貫通孔621に配置される。
クランプリング650は、グランド本体620及びシール部材640の間に配置されている。クランプリング650は、シールナット630による押圧を均一にシール部材640に伝達させるものである。これにより、シール部材640は、冷却液7の漏洩を防止することができる。
上記グランド本体620は、ハウジング20に液密に取り付けられている。ここでは、グランド本体620は、取り付け面622をさらに有している。取り付け面622は、ハウジング20に液密に取り付けられる側の面である。
ケーブルグランド600は、さらにシール部材(ワッシャ)660及びロックナット670を具備している。ロックナット670は、内周面に雌ネジを切って形成されている。
グランド本体620をハウジング11に液密に取り付ける際、グランド本体620の雄ネジ624にシール部材660を通した後、ハウジング本体20eの外側から雄ネジ624を開口20o1に挿入する。続いて、ハウジング本体20eの内側からロックナット670をグランド本体620の雄ネジ624に締め付ける。これにより、グランド本体620はハウジング20に液密に取り付けられるため、グランド本体620及びハウジング20の間からの冷却液7の漏洩を防止することができる。
上記のように、ケーブルグランド600は、高電圧ケーブル61を通し、ハウジング20内を液密にシールするものである。ケーブルグランド600は、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
ケーブルグランド700は、ケーブルグランド600と同様に形成されている。ケーブルグランド700は、開口20o2を液密に閉塞するようにハウジング20に取付けられている。ケーブルグランド700は、高電圧ケーブル71を通し、ハウジング20内を液密にシールするものである。ケーブルグランド700は、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
高電圧ケーブル61は、導線61a、被覆材61b及び閉塞部材61eを有している。被覆材61bは、導線61aを絶縁材で被覆して形成されている。ここでは、被覆材61bは、EP(エチレンプロピレン)ゴムで形成されている。
閉塞部材61eは、ハウジング20の内部に露出する導線61a及び被覆材61bの境界を液密に閉塞している。これにより、導線61a及び被覆材61bの境界を伝って生じるハウジング20外部への冷却液7の漏洩を抑制することができる。閉塞部材61eは、例えばモールド成型を利用して形成することができる。
ここで、高電圧ケーブル61の径方向において、閉塞部材61eは、被覆材61bの外周面を越えないように形成した方が好ましい。これにより、高電圧ケーブル61をケーブルグランド600を通すことができなくなることを未然に防止することができる。
上記のように構成された第7の実施形態に係るX線装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧ケーブル61、71とを備えている。陽極ターゲット35に電気的に接続された高電圧供給端子44は、真空外囲器31の外側に露出している。陰極36に電気的に接続された高電圧供給端子54は、高電圧絶縁部材50から真空外囲器31の外側に露出している。
高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部がハウジング20の外側に位置している。X線管装置10の管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20との間にリセプタクルを設ける構造ではないため、リセプタクルを設ける構造と比べてX線管装置10の小型化を図ることができる。
冷却液7は絶縁油である。面圧式のコネクタを利用すること無しに、高電圧ケーブル61は高電圧供給端子44に接続され、高電圧ケーブル71は高電圧供給端子54に接続されている。このため、X線管装置10は、長期にわたって高い信頼性を得ることができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル61は、冷却液7に浸っているため、陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陽極ターゲット35から高電圧ケーブル61の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ62の電気絶縁部材64の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ62と、高電圧コネクタ100との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
ハウジング20内において、高電圧ケーブル71は、冷却液7に浸っているため、陰極36から高電圧ケーブル71に伝達される熱を冷却液7に放出することができる。
陰極36から高電圧ケーブル71の他端部に伝達される熱の量を低減できる。高電圧コネクタ72の電気絶縁部材74の表面の変形を抑制することができるため、高電圧コネクタ72と、高電圧コネクタ200との密着性を維持することができ、良好な絶縁性を保持することができる。
X線管装置10は、ケーブルグランド600、700を利用している。ケーブルグランド600、700を利用することにより、モールド材を利用する場合に比べて、製造コストの低減、組み立ての簡素化及び工数の低減、を図ることができる。
また、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続を解除し、シールナット630を緩めることにより、高電圧ケーブル61をハウジング20の外に簡単に引き出すことができる。高電圧ケーブル71についても同様である。高電圧ケーブル61(71)の再利用が可能となるため、製造コストのさらなる低減と、環境負荷の低減を図ることができる。ケーブルグランド600のシール部材640よりもハウジング20の外部に位置する高電圧ケーブル61には、被覆材61bの外周面を覆うシールド線と、シールド線の外周面を被覆する、電気絶縁材からなる最外周被覆材を更に設けることができる。その場合、シールド線は接地される。接地されたシールド線を被覆材61bの外周面に配置することにより、高電圧ラインからの高周波ノイズの外部放射を防止することができる。
高電圧ケーブル61の最外周被覆材には、難燃性や耐久性に優れた塩化物含有樹脂を利用することができる。高電圧ケーブル71についても同様である。
X線遮蔽体520は、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽体520は、X線透過窓以外の方向へのX線を遮蔽することができるため、例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、人体への不要な放射(被曝)を防止することができる。
X線遮蔽体520は、ハウジング20の外部で形成された後、ハウジング20の内部に組み込まれている。ハウジング20の内面に鉛板を貼り付ける必要はなく、上記鉛板を貼り付ける場合に比べて簡単に筒状のX線遮蔽体520を製造することができるため、製造コストを低減することができる。
X線遮蔽体520がある程度の強度と延性を有する場合、X線遮蔽体520は防護体として機能することができる。X線遮蔽体520は、陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。X線遮蔽体520に陽極ターゲット35の破片が衝突しても、X線遮蔽体520は十分な変形を起こすことにより運動エネルギを吸収することができる。
また、この実施形態において、ハウジング20の内面は、リセプタクルを設ける構造と比べてストレートにできる。このため、X線遮蔽体520をハウジング20の内部へ組込み易くでき、また、X線遮蔽体520をハウジング20の外部へ取り出し易くできる。
これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂を防止することができる。例えば、回転陽極型X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、被検査体(例えば人体)に高温の冷却液7がかかってしまう危険性を排除することができる。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、上記第7の実施形態に係るX線装置の変形例について説明する。
例えば、X線管装置10は、上記第6の実施形態に係る電気絶縁性部材81、91(図8)を備えていてもよい。これにより、高電圧供給端子44及びハウジング20間の絶縁性や、高電圧供給端子54及びハウジング20間の絶縁性を一層確保することができる。
冷却液7は、絶縁油に替えて水系冷却液を利用することも可能である。但し、この場合、X線管装置10は上記第1乃至第5の実施形態に係る電気絶縁性部材81、91(図1乃至図7)を備え、電気絶縁性部材81、91は高電圧供給端子44(54)と高電圧ケーブル61(71)の一端部との電気的接続部を埋め尽くしている。
電気絶縁性部材81をモールド成型する場合、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61とが電気的に接続され、X線管30がハウジング20内に収容された状態で行われる。電気絶縁性部材91をモールド成型する場合、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71とが電気的に接続され、X線管30がハウジング20内に収容された状態で行われる。
次に、第8の実施形態に係るX線装置について説明する。この実施形態において、上述した実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図12は、第8の実施形態に係るX線装置を示す断面図である。
図12に示すように、X線装置は、回転陽極型のX線管装置10を備えている。図示しないが、X線装置は、上記冷却器22、高電圧コネクタ100及び高電圧コネクタ200も備えている。
開口20o1及び開口20o2は、X線遮蔽体510及びX線遮蔽部520と対向(近接)した位置から外れてハウジング20に形成されている。この実施形態において、開口20o1及び開口20o2は、蓋部20fに形成されている。ケーブルグランド600、700は、蓋部20fに取付けられている。
高電圧ケーブル61は、ケーブルグランド600を通って高電圧供給端子44に電気的に接続されている。高電圧ケーブル71は、ケーブルグランド700を通って高電圧供給端子54に電気的に接続されている。この実施形態において、ハウジング本体20eの一部は、径方向に突出して形成されている。ハウジング本体20eの突出部と、X線遮蔽体520とは、高電圧ケーブル71が通る通路(隘路)を形成している。なお、上記通路(高電圧ケーブル71)がハウジング20のX線放射窓20w及びX線遮蔽体520のX線透過窓と対向した位置から外れていることは言うまでもない。また、上述した第7の実施形態と同様、X線遮蔽体520は、X線遮蔽部510とともに高電圧ケーブル71が通る通路を形成している。
上記のように構成された第8の実施形態に係るX線装置によれば、上記第7の実施形態に係るX線装置と同様の効果を得ることができる。
陽極ターゲット35自体もX線遮蔽体として機能するため、高電圧供給端子44側にX線遮蔽体を設けなくともよい。ケーブルグランド600、700は、X線遮蔽体に対向(近接)していないため、ハウジング20に設け易い。このため、X線管装置10の組み立て効率の向上を図ることができる。
また、この実施形態に係るX線管装置10は、管軸に沿った方向に高電圧ケーブル61、71を引き出したい場合に好ましい構成である。
上記のことから、小型化を図ることができ、長期にわたって高い信頼性を得ることができるX線管装置10及びX線管装置を備えたX線装置を得ることができる。
次に、上述した実施形態に係るX線装置の比較例1、比較例2について説明する。
図13は、上述した実施形態に係るX線装置の比較例1を示す断面図である。
図13に示すように、比較例1のX線管装置10は、第1の実施形態に係るX線管装置10と異なり、高電圧ケーブル61、71及び電気絶縁性部材81、91無しに形成されている。高電圧供給端子44、54は冷却液7に接するため、冷却液7は絶縁油である。X線管装置10は、陽極用のリセプタクル300及び陰極用のリセプタクル400を有している。
管軸に沿った方向において、リセプタクル300は、X線管30(高電圧絶縁部材40)と、ハウジング20との間に設けられている。リセプタクル300は、有底筒状のハウジング301と、端子302とを有している。ハウジング301は、ハウジング20に気密に取付けられている。ハウジング301は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子302は、ハウジング301内に設けられている。端子302は、ケーブルにより高電圧供給端子44と電気的に接続されている。
リセプタクル300及び図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル300に連結した状態で、リセプタクル300は、高電圧供給端子44に高電圧(例えば、+70〜+80kV)を供給するものである。
管軸に沿った方向において、リセプタクル400は、X線管30(高電圧絶縁部材50)と、ハウジング20との間に設けられている。リセプタクル400は、有底筒状のハウジング401と、端子402とを有している。ハウジング401は、ハウジング20に気密に取付けられている。ハウジング401は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子402は、ハウジング401内に設けられている。端子402は、ケーブルにより高電圧供給端子54と電気的に接続されている。
リセプタクル400及び図示しない他のプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル400に連結した状態で、リセプタクル400は、高電圧供給端子54に高電圧(例えば、−70〜−80kV)およびフィラメント電流を供給するものである。
上記のように構成された比較例1のX線装置では、X線管装置10はリセプタクルを設ける構造であるため、X線管装置10の小型化を図ることはできない。冷却液7に水系冷却液を利用することができない。高電圧供給端子44、54は冷却液に接しているが、高電圧供給端子44、54に接続されたケーブルはハウジング20の外側まで延出して形成されておらず、ハウジング20より高電圧供給端子44、54付近に位置した端子302、402に接続されている。
図14は、上述した実施形態に係るX線装置の比較例2を示す断面図である。
図14に示すように、比較例2のX線管装置10は、第1の実施形態に係るX線管装置10と異なり、ケーブルアセンブリ60、70及び電気絶縁性部材81、91無しに形成されている。冷却液7としては、水系冷却液や絶縁油を利用することができる。
ハウジング20は、筒状に形成されている。高電圧絶縁部材40の外面は、高電圧供給端子44とともにハウジング20の外側に露出している。高電圧絶縁部材50の外面は、高電圧供給端子54とともにハウジング20の外側に露出している。
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入されたケーブル102と、ハウジング101内に充填され、ケーブル102の端子をハウジング101の開口部側に向けて固定する固定部103と、この固定部103と高電圧絶縁部材40の外面との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。この実施形態において、ケーブル102は高電圧ケーブルである。固定部103は、電気絶縁性ゴム部である。なお、固定部103は、高電圧絶縁部材40の外面に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ100は、高電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
高電圧コネクタ100をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ固定部103と、高電圧絶縁部材40の外面とに密着するように押圧する。
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子をハウジング201の開口部側に向けて固定する固定部203と、この固定部203と高電圧絶縁部材50の外面との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。この実施形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁性ゴム部である。なお、固定部203は、高電圧絶縁部材50の外面に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、高電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、高電圧絶縁部材50の外面とに密着するように押圧する。
上記のように構成された比較例2のX線装置では、高電圧供給端子44、54は冷却液に接しておらず、高電圧コネクタ100、200に直接接続されている。陽極ターゲット35から高電圧供給端子44に伝達される熱や、陰極36から高電圧供給端子54に伝達される熱を冷却液7に十分に伝達することができないため、X線管に生じる熱の放射性を向上できない問題がある。
X線管に生じる熱は、高電圧コネクタ100、200に伝達される。
すると、高電圧コネクタ100の固定部(電気絶縁性ゴム部)103及びシリコーンプレート104が許容温度を越えて過熱され、高電圧コネクタ100及び高電圧絶縁部材40間の密着性が低下してしまう恐れがある。すると、高電圧コネクタ100及び高電圧絶縁部材40間の密着界面に沿った放電が比較的早期に発生してしまう。
また、高電圧コネクタ200の固定部(電気絶縁性ゴム部)203及びシリコーンプレート204が許容温度を越えて過熱され変形し、高電圧コネクタ200及び高電圧絶縁部材50間の密着性が低下してしまう恐れがある。すると、高電圧コネクタ200及び高電圧絶縁部材50間の密着界面に沿った放電が比較的早期に発生してしまう。
このため、長期にわたって高い信頼性を得ることができない問題もある。
以上、比較例として図14に示すような平面型の面圧式コネクタを使用した場合について説明したが、平面型に限らず、押圧面がテーパ状の凹面や凸面である場合にも同様の問題がある。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、ハウジング20の形状は上述した例に限定されるものではなく種々変形可能であり、また複数の部材を組合わせて形成されていてもよい。
X線管装置10は、陽極ターゲット35及び陰極36にそれぞれ高電圧を印加する中性点接地型に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、陽極接地型のX線管装置10の場合、陰極36側においてのみ上述した高電圧絶縁構造を採用すればよい。また、陰極接地型のX線管装置10の場合、陽極ターゲット35側においてのみ上述した高電圧絶縁構造及び冷却構造を採用すればよい。
高電圧コネクタ62の押圧面(電気絶縁部材64の外面)や、高電圧コネクタ72の押圧面(電気絶縁部材74の外面)は、テーパ状の凸面に限定されるものではなく種々変形可能であり、テーパ状の凹面としたり、平面としたりしてもよい。また、高電圧コネクタ62、72は、面圧式ではないコンベンショナルなリセプタクルを使用することも可能である。
ハウジング20中の冷却液7を水系冷却液とするために必要な周辺技術は、次の特許文献に開示されており、実際のX線管に上述した本発明の実施形態を適用する上でこれらの周辺技術を併用することが有効である。
米国特許第7203280号明細書(モールド関係)
米国特許第7206380号明細書(冷却液関係)
米国特許出願公開第11/401300号明細書(コーティング関係)
上記高電圧絶縁部材としては、アルミナを使用することができるが、窒化アルミニウムやべリリアなど、アルミナよりも熱伝導率が大きいセラミクスを使えばより効果が高くなるものである。
モールド材や電気絶縁性部材としては、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などを使用することができるが、熱伝導率をより高くするため、アルミナや窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い絶縁材料の微粉を混合することが好ましい。
この発明は、上記X線管装置10及びX線装置に限らず、各種X線管装置及びX線装置に適用することができる。X線管装置は、回転陽極型のX線管装置に限らず、固定陽極型のX線管装置であってもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]一部が高電圧絶縁部材で形成された真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、前記高電圧絶縁部材から前記真空外囲器の外側に露出し、前記陽極ターゲット及び陰極の一方に電気的に接続された高電圧供給端子と、を有するX線管と、
開口を有し、前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
一端部が前記高電圧供給端子に電気的に接続され、他端部が前記空間及び開口を通って前記ハウジングの外側に位置し、前記高電圧供給端子に高電圧を与える高電圧ケーブルと、を備えていることを特徴とするX線管装置。
[2]前記高電圧供給端子と前記高電圧ケーブルとの電気的接続部を覆い、前記冷却液により直接または間接的に冷却される電気絶縁性部材をさらに備えていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[3]前記高電圧ケーブルの他端部に設けられた高電圧コネクタをさらに備えていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[4]前記電気絶縁性部材は、モールド材で形成され、前記電気的接続部を埋め尽くし、前記高電圧絶縁部材の外面に直に接着されていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[5]前記高電圧絶縁部材は、前記真空外囲器の外側に開口しているとともに前記高電圧供給端子が露出する穴部を有し、
前記高電圧ケーブルの一端部は、前記穴部を通って前記高電圧供給端子に電気的に接続され、
前記電気絶縁性部材は、前記穴部に充填され、前記電気的接続部を埋め尽くしていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[6]接着面を有した他の高電圧絶縁部材と、
前記他の高電圧絶縁部材の接着面を前記高電圧絶縁部材の外面に接着させる接着部材と、をさらに備え、
前記高電圧供給端子は、前記高電圧絶縁部材から外側に露出する第1分割部と、前記他の高電圧絶縁部材に設けられ前記第1分割部に電気的に接続される第2分割部と、を有し、
前記他の高電圧絶縁部材は、前記接着面から外れた位置に開口しているとともに前記第2分割部が露出する穴部を有し、
前記高電圧ケーブルの一端部は、前記穴部を通って前記第2分割部に電気的に接続され、
前記電気絶縁性部材は、前記穴部に充填され、前記電気的接続部を埋め尽くしていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[7]前記他の高電圧絶縁部材は、電気絶縁性樹脂で形成されていることを特徴とする[6]に記載のX線管装置。
[8]前記他の高電圧絶縁部材は、モールド材で形成されていることを特徴とする[6]に記載のX線管装置。
[9]接着部材をさらに備え、
前記高電圧供給端子は、前記高電圧絶縁部材から外側に露出する第1分割部と、前記第1分割部に電気的に接続される第2分割部と、を有し、
前記電気絶縁性部材は、モールド材で形成され、接着面を有し、前記第2分割部及び高電圧ケーブルの電気的接続部を埋め尽くし、前記第2分割部を外側に露出させ、
前記接着部材は、前記電気絶縁性部材の接着面を前記高電圧絶縁部材の外面に接着させていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[10]ケーブルグランドをさらに備え、
前記ケーブルグランドは、
前記ハウジングに液密に取り付けられ、前記開口を通って又は前記開口と対向して前記ハウジングの内部及び外部に開口し、前記ケーブルが貫通する第1貫通孔を有したグランド本体と、
前記ケーブルが貫通する第2貫通孔を有し、前記グランド本体に螺合されるシールナットと、
前記ケーブルが貫通する第3貫通孔を有し、前記グランド本体の第1貫通孔に配置されるシール部材と、
前記グランド本体の前記第1貫通孔と前記シール部材との間に配置され、前記シールナットによる押圧を均一に前記シール部材に伝達させるクランプリングと、を具備していることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[11]前記高電圧ケーブルは、導線と、前記導線を絶縁材で被覆して形成された被覆材と、前記ハウジングの内部に露出する前記導線及び被覆材の境界を液密に閉塞した閉塞部材と、を有していることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[12]前記電気絶縁性部材は、前記高電圧絶縁部材に間隔を置いて位置し、
前記冷却液は、絶縁油であり、前記電気絶縁性部材及び高電圧絶縁部材間に介在されていることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[13]前記冷却液は、水系冷却液であることを特徴とする[4]乃至[9]の何れか1に記載のX線管装置。
[14]前記ハウジングに連結され、前記冷却液の流れを前記ハウジング内に作り出す冷却液循環ポンプをさらに備えていることを特徴とする[1]乃至[13]の何れか1に記載のX線管装置。
[15]前記ハウジング及び冷却液循環ポンプ間に連結され、前記冷却液の熱を外部に放出する熱交換器をさらに備えていることを特徴とする[14]に記載のX線管装置。
[16]一部が第1高電圧絶縁部材及び第2高電圧絶縁部材で形成された真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、前記第1高電圧絶縁部材から前記真空外囲器の外側に露出し前記陽極ターゲットに電気的に接続された第1高電圧供給端子と、前記第2高電圧絶縁部材から前記真空外囲器の外側に露出し前記陰極に電気的に接続された第2高電圧供給端子と、を有するX線管と、
第1開口及び第2開口を有し、前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
一端部が前記第1高電圧供給端子に電気的に接続され、他端部が前記空間及び第1開口を通って前記ハウジングの外側に位置し、前記第1高電圧供給端子に高電圧を与える第1高電圧ケーブルと、
一端部が前記第2高電圧供給端子に電気的に接続され、他端部が前記空間及び第2開口を通って前記ハウジングの外側に位置し、前記第2高電圧供給端子に高電圧を与える第2高電圧ケーブルと、を備えていることを特徴とするX線管装置。