JP5370965B2 - X線管及びx線管装置 - Google Patents

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Description

この発明は、X線管及びX線管装置に関する。
X線管装置は、X線管を備えている。X線管は、陽極ターゲットに電子ビームを衝突させてX線を発生する構成になっている。このようなX線管装置は、医療用の診断装置あるいは工業用の非破壊検査装置や材料分析装置など、多くの用途に利用されている。
X線管装置では、陰極から放射された電子ビームは、陰極と陽極ターゲット間の電位勾配により加速、集束され、典型的には20〜150keVのエネルギを持って、陽極ターゲットのターゲット面にほぼ垂直(90°±20°)に衝突してX線発生源となる焦点を形成する。焦点に高いエネルギを持った電子ビームが衝突すると、電子ビームはターゲット材により急速に減速されるためX線が放出される。X線に変換される割合は、陽極ターゲットに衝突する電子の運動エネルギの中の1%以下とわずかである。残りのエネルギは熱に変換される。
そこで、X線管のX線出力を増大させる技術が開示されている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
この方式のX線管は、焦点とX線放射窓との位置関係は、従来のX線管とほぼ同様である。また、上記X線管は、従来の他のX線管と異なり、ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点を形成させることにより、X線放射窓から放出されるX線出力を増大させている。電子ビーム強度を同一とした条件において、上記X線管は、従来のX線管に比べてX線出力を最大で1.5倍に増大させることができる。
米国特許第3719846号明細書 米国特許第4607380号明細書 米国特許第5128977号明細書 米国特許第5828727号明細書 米国特許第7068749号明細書
上記のX線管によれば、以下に述べる問題がある。
X線放射窓の電位は、陽極ターゲットと同電位か、もしくは陰極電位及び陽極電位のほぼ中間の電位である。X線放射窓方向に飛び出した反跳電子はX線放射窓を直撃するため、X線放射窓の加熱を低減させることは困難である。
反跳電子は、焦点からX線放射窓に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すものである。従って、反跳電子がX線放射窓を直撃することによるX線放射窓の加熱は、従来のX線管に比べてより深刻であると予想される。
上記したことが原因となって、X線出力を増大させることに限界が生じてしまうという問題がある。この問題は、特にX線放射窓が陽極と同電位である場合に深刻である。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、X線出力を増大させることができ、X線放射窓への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管及びX線管装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るX線管は、
電子ビームが入射されることによりX線を放出するターゲット面を有した陽極ターゲットと、
前記ターゲット面に第1方向から電子ビームを入射させ、前記ターゲット面に焦点を形成する陰極と、
前記陽極ターゲット及び陰極を収容し、内部が真空状態であり、前記焦点から第2方向に沿って位置したX線放射窓を有した真空外囲器と、を備え、
前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する平面を第1平面、前記焦点を通り前記ターゲット面の上方を向き前記第1平面に垂直な方向を第3方向、前記第1方向及び第3方向に沿った平面を第2平面、前記第2方向及び第3方向に沿った平面を第3平面、とすると、
前記第2平面及び第3平面が内側になす角度は、45°乃至135°の範囲内の何れかであり、
前記第1方向が前記第1平面からなす角度は、8°乃至30°の範囲内の何れかである。
また、本発明の他の態様に係るX線管装置は、
電子ビームが入射されることによりX線を放出するターゲット面を有した陽極ターゲットと、前記ターゲット面に第1方向から電子ビームを入射させ、前記ターゲット面に焦点を形成する陰極と、前記陽極ターゲット及び陰極を収容し、内部が真空状態であり、前記焦点から第2方向に沿って位置したX線放射窓を有した真空外囲器と、を具備したX線管を備え、
前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する平面を第1平面、前記焦点を通り前記ターゲット面の上方を向き前記第1平面に垂直な方向を第3方向、前記第1方向及び第3方向に沿った平面を第2平面、前記第2方向及び第3方向に沿った平面を第3平面、とすると、
前記第2平面及び第3平面が内側になす角度は、45°乃至135°の範囲内の何れかであり、
前記第1方向が前記第1平面からなす角度は、8°乃至30°の範囲内の何れかである。
この発明によれば、X線出力を増大させることができ、X線放射窓への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管及びX線管装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るX線管を示す模式図である。 図1に示した陽極ターゲットを示す斜視図であり、陽極ターゲットに電子ビームが入射され、陽極ターゲットからX線が放出され、陽極ターゲットから反跳電子が飛び出す様子を示す図である。 上記陽極ターゲットを示す断面図であり、陽極ターゲット内部に電子ビームが侵入し、陽極ターゲット内部からX線が放出される様子を示す図である。 上記X線管の比較例の陽極ターゲットを示す断面図であり、陽極ターゲット内部に電子ビームが侵入し、陽極ターゲット内部からX線が放出される様子を示す図である。 上記陰極、陽極ターゲット及びX線放射窓を示す図であり、上記陰極の位置を変更し、第1方向の向きを変更する様子を示す図である。 上記陽極ターゲットを示す斜視図であり、電子ビームの軌道、陽極ターゲットに形成される焦点の形状を示す図である。 図6に示した焦点を拡大して示す平面図である。 上記陰極、陽極ターゲット及びX線放射窓を示す図であり、上記陰極の位置を変更し、第1方向の向きを変更した状態を示す図である。 図8に示した陰極の電子放出源及び焦点を示す概略構成図である。 図8に示した陰極の電子放出源及び焦点を示す概略構成図であり、図9と異なる角度から見た図である。 図8に示した陰極の電子放出源及び焦点を示す概略構成図であり、図9及び図10と異なる角度から見た図である。 本発明の第2の実施の形態に係るX線管を含むX線管装置を示す断面図である。 図12に示した陽極ターゲット、陰極、真空外囲器及びハウジングを取出して示す概略図であり、これらを陰極側から見た図である。 本発明の第3の実施の形態に係るX線管を含むX線管装置を示す断面図である。 図14に示した陽極ターゲット、陰極、真空外囲器及びハウジングを取出して示す概略図であり、これらを陰極側から見た図である。
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るX線管について詳細に説明する。第1の実施の形態では、X線管の基本的な概念を説明する。
図1及び図2に示すように、X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。
陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット面35bを有している。ターゲット面35bは、陰極36から放射される電子ビームが入射されることによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35には相対的に正の電圧が印加される。
陰極36は、ターゲット面35bに第1方向d1から電子ビームを入射させ、ターゲット面35bに焦点Fを形成する。陰極36には相対的に負の電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aには陰極36に印加される電圧及び電流が供給される。電子放出源36aは、電極や、コイル状のフィラメント等で形成されている。ここでは、電子放出源36aは、矩形状の電極で形成されている。
真空外囲器31は、陽極ターゲット35及び陰極36を収容している。真空外囲器31は、真空容器32、X線放射窓33及び金属表面部34を有している。真空外囲器31の内部は真空状態である。真空容器32は、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属で形成されている。X線放射窓33は、焦点Fから第2方向d2に沿って位置している。X線放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。ここでは、X線放射窓33は、ベリリウムで形成されている。金属表面部34は、真空側のX線放射窓33の表面側を含む真空外囲器31の内側に設けられ、接地電位(0V)に設定される。
この実施の形態において、真空容器32及びX線放射窓33は金属で形成されているため、真空外囲器31は、真空側の金属表面部34だけでなく全体が金属で形成されている。
ここで、焦点Fが形成される位置のターゲット面35bに接する平面を第1平面S1とする。焦点Fを通りターゲット面35bの上方を向き第1平面S1に垂直な方向を第3方向d3とする。第1方向d1及び第3方向d3に沿った平面を第2平面S2とする。第2方向d2及び第3方向d3に沿った平面を第3平面S3とする。
また、第2平面S2及び第3平面S3が内側になす角度をδとする。第1方向d1が第1平面S1からなす角度をαとする。第2方向d2が第1平面S1からなす角度をβとする。
角度δは、45°乃至135°の範囲内の何れかである。この実施の形態において、角度δは、90°である。角度αは、8°乃至30°の範囲内の何れかである。この実施の形態において、角度αは15°である。角度βの範囲は、特に限定されるものではないが、角度βとしては、5°乃至25°の範囲内の何れかであると好ましい。
X線管30には、高電圧電源15が接続されている。高電圧電源15は、陰極36及び陽極ターゲット35に高電圧を供給するためのものである。この実施の形態において、高電圧電源15は、陰極36にのみ高電圧を供給する。
X線管30の陰極36及び陽極ターゲット35間に、管電圧Vが印加されている。陽極ターゲット35の電位をVA、陰極36の電位をVCとすると、管電圧Vは、VA−VCである。管電圧Vは、20kV乃至100kVである。
この実施の形態において、高電圧電源15は、陰極36に−Vの電圧を供給している。陽極ターゲット35、及びX線放射窓33を含む真空外囲器31は接地されている(0V)。
陰極36の電位は、−Vに限定されるものではなく、−V乃至−V/2の範囲内の何れかに設定されていればよい(−V≦VC≦−V/2)。陽極ターゲット35の電位は、接地電位に限定されるものではなく、接地電位以上、+V/2以下の範囲内の何れかに設定されていればよい(0≦VA≦+V/2)。
このように構成されたX線管30では、例えば、陰極36に−100kV以上の負の高電圧を印加する。陽極ターゲット35及び真空外囲器31は接地されている。陰極36の電子放出源36aには、±100V以下の低電圧及び電流がさらに与えられる。
これにより、陰極36から陽極ターゲット35のターゲット面35bに電子ビームが放射され、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線は、X線放射窓33を透過して外部へ放射される。
図3は、上記実施の形態において、陽極ターゲット35に電子ビームが入射され、陽極ターゲット35からX線が放出される様子を示す図であり、第2平面S2及び第3平面S3を一平面に展開して示す図である。
図4は、図3の比較例を示す図である。図4は、比較例の陽極ターゲット35に電子ビームが入射され、陽極ターゲット35からX線が放出される様子を示す図であり、第3平面S3を示す図である。
図3に示すように、角度αは、8°乃至30°の範囲内の何れかである。角度αは15°である。陽極ターゲット35への電子ビームの浸入深さをdとする。なお、深さdは、特定の長さである。すると、陽極ターゲット35内をX線が透過する距離は、d×sin α/sin βとなる。d×sin α/sin βの値が小さいほど、すなわち、角度αが0°に近いほど、陽極ターゲット35によるX線の吸収を抑制することができ、陽極ターゲット35から放出されるX線量を増大させることができる。
図3の例のように、角度αは15°の場合、d×sin α/sin βの値を小さくできるため、陽極ターゲット35から放出されるX線量を増大させることができる。
一方、d×sin α/sin βの値が大きいほど、すなわち、角度αが90°に近いほど、陽極ターゲット35によるX線の吸収量が大きくなり、陽極ターゲット35から放出されるX線量が減少することになる。
図4に示すように、このため、第1平面S1に垂直な方向から陽極ターゲット35に電子ビームが入射される場合、陽極ターゲット35内をX線が透過する距離は、d×sin 90°/sin β=d/sin βとなる。この場合、d×sin α/sin βの値を小さくできないため、陽極ターゲット35から放出されるX線量が減少する。
上記のように構成された第1の実施の形態に係るX線管30によれば、X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。陰極36は負の高電位に設定され、陽極ターゲット35は接地電位乃至正の高電位の範囲内に設定され、X線放射窓33を含む真空外囲器31は接地されている。
角度δは、90°である。X線放射窓33は、第2平面S2上から大きく外れて位置している。反跳電子は、焦点Fから第2平面S2に沿った方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すものである。しかしながら、X線放射窓33は第2平面S2上に位置していないため、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができる。なお、焦点Fから飛び出す反跳電子の殆どは、X線放射窓33から外れた真空容器32の内面に衝撃を与えることとなる。
上記の効果は、角度δが45°乃至135°の範囲内の何れかである場合に得ることができる。
角度αは15°である。ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させているため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
また、ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
上記の効果は、角度αが8°乃至30°の範囲内の何れかである場合に得ることができる。
上記したことから、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の過度の温度上昇を伴わずにX線出力を増大させることができるX線管30を得ることができる。
次に、角度δを、45°乃至135°の範囲内の何れかに設定するための手法について説明する。上記角度δを得るため、例えば、図5に示すように、陰極36の位置を変更すればよい。第1方向d1の向きを変更することにより、対応することができる。
その他、上記角度δを得るため、図示しないが、陰極36の位置を変えず、X線放射窓33の位置を変更してもよい。第2方向d2の向きを変更することにより、対応することができる。
次に、電子放出源36aが、長軸を有した電極、又はコイル状のフィラメントで形成されている場合について説明する。ここでは、電子放出源36aがコイル状のフィラメントで形成されている場合を例に説明する。
図1、図6及び図7に示すように、陰極36は、陰極36(電子放出源36a)から焦点Fに向かう電子ビームの軌道に垂直な断面が矩形状である電子ビームを放射する。この断面は、長軸を有している。
焦点Fは、矩形状に形成されている。焦点Fは、第3平面S3に沿った長軸a及び長軸aに直交した短軸を有している。この例では、角度δが90°であるため、焦点Fの形状は、長方形である。
次に、電子放出源36aがコイル状のフィラメントで形成され、角度δが90°ではない場合について説明する。この場合、焦点Fの形状は平行四辺形である。
図8、図9、図10及び図11に示すように、電子放出源36aの一端の位置を点A1、他端の位置を点B1、点A1及び点B1の中央の位置を点C1、とする。焦点Fの形状は、第3平面S3に沿った長軸aを有した平行四辺形である。焦点Fの一端の位置を点A2、他端の位置を点B2、点A2及び点B2の中央の位置を点C2、とする。点A2は、電子放出源36aの点A1から放出される電子が衝突する点である。点B2は、電子放出源36aの点B1から放出される電子が衝突する点である。
第2平面S2に直交する平面からなす第2方向d2の角度をεとする。第1平面S1及び第2平面S2が交差する直線に沿った方向において、点A2及び点C2間の長さ、並びに点B2及び点C2間の長さをxとする。第3方向d3に沿った方向において、点A1及び点C1間の長さ、並びに点B1及び点C1間の長さをyとする。第1平面S1に沿った方向において、点A1及び点C1間の長さ、並びに点B1及び点C1間の長さをLとする。第1平面S1に平行な平面からなす電子放出源36aの角度をζとする。
上記長さx、長さy、長さL、及び角度α、角度ε、角度ζから、次に示す関係式が成り立つ。
x/L=tan ε
y/x=tan α
さらに、上記関係式から、次に示す関係式が成り立つ。
y/L=tan ζ=tan α・tan ε
上記関係式から、角度δが90°ではない場合、電子放出源36aを傾かせればよく、これにより、第3平面S3に沿った長軸aを有した焦点Fを形成することができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係るX線管について説明する。この実施の形態において、X線管は回転陽極型のX線管であり、以下、回転陽極型のX線管を備えた回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12及び図13に示すように、X線管装置10は、筒状のハウジング20と、ハウジング20内に収納されたX線管30と、ハウジング20の内部に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たす冷却液7と、回転駆動装置としてのステータコイル910とを備えている。ハウジング20には、ゴムベローズ21が設けられ、冷却液7の圧力調整が行われている。ハウジング20は、X線をハウジング20外部に放射する放射窓24を有している。
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、金属で形成された真空容器32と、絶縁部材40と、絶縁部材50とを備えている。この実施の形態において、絶縁部材50は、高電圧絶縁部材で形成されている。絶縁部材40には陽極ターゲット35が間接的に取り付けられ、絶縁部材50には陰極36が間接的に取り付けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に電子ビームを放射するものである。陽極ターゲット35及び陰極36は、真空外囲器31に収納されている。
真空外囲器31の内部は真空状態である。X線放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。ここでは、X線放射窓33は、ベリリウムで形成されている。金属表面部34は、真空側のX線放射窓33の表面側を含む真空容器32の内側に設けられ、接地電位に設定される。
陽極ターゲット35は、円環状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から放射される電子ビームが衝突されることによりX線を放出する。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転可能である。この実施の形態において、陽極ターゲット35は接地電位に設定される。
陰極36には陰極支持部材37が接続されている。電圧供給端子54は、陰極支持部材37の内部を通って陰極36に接続されている。電圧供給端子54は、陰極36に負の高電圧を印加するともに陰極36の電子放出源36aに電圧及び電流を供給するものである。
X線管30は、ロータ920、軸受け930、固定体1及び回転体2を備えている。固定体1は円柱状に形成され、絶縁部材40に固定されている。固定体1は回転体2を回転可能に支持する。回転体2は筒状に形成され、固定体1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ920が取り付けられている。回転体2及び陽極ターゲット35は、継手部35cを介して接合されている。回転体2は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。
絶縁部材40は、真空外囲器31の一部を形成している。絶縁部材40は、筒部46と、筒部46の一端側を閉塞した底部47とで形成されている。絶縁部材40は、ハウジング20に液密に設けられている。
絶縁部材50は、真空外囲器31の一部を形成している。絶縁部材50は、ハウジング20の外部に露出した外部端面50Sを有している。この実施の形態において、外部端面50Sは平面である。
絶縁部材50の内部には、陰極36に接続され、外部端面50S側へ導出する電圧供給端子54が設けられている。この実施の形態において、電圧供給端子54は高電圧供給端子である。電圧供給端子54は、外部端面50Sを貫通して設けられ、陰極36に高電圧を供給するものである。電圧供給端子54は低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。KOV部材55及び陰極支持部材37間、並びにKOV部材55及び絶縁部材50間は、ろう付けされている。
ケーブル102は、ハウジング20の外部に露出した固定体1の端部に接続されている。ケーブル102は、固定体1等を介して陽極ターゲット35を接地電位に設定するものである。
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子をハウジング201の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部203と、この固定部203と絶縁部材50の外部端面50Sとの間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。この実施の形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁材である。
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材としての固定部203は、絶縁部材50の外部端面50Sに間接的に密着されている。なお、固定部203は、外部端面50Sに直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、絶縁部材50の外部端面50Sとに密着するように押圧する。
X線遮蔽部としてのX線遮蔽キャップ400は、高電圧コネクタ200を覆うようにハウジング20に着脱可能に取り付けられている。X線遮蔽キャップ400は、X線不透過材を含む材料で形成されている。
焦点F及び陰極36間には、集束電極9が位置している。集束電極9は、電子ビームを集束するものである。集束電極9は、陰極36から焦点Fに向かう電子ビームの軌道を取り囲むように設けられている。集束電極9は、例えば、陰極支持部材37に取り付けられている。集束電極9は、負の高電圧に設定される。
冷却液7は、ハウジング20内に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たしている。冷却液7としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施の形態において、冷却液7として水系冷却液を用いている。
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、高電圧コネクタ200にそれぞれ所定の高電圧を印加する。
ケーブル102を介し、固定体1、軸受け930、回転体2、継手部35c、及び陽極ターゲット35は接地電位に設定される。高電圧コネクタ200に印加された高電圧は、電圧供給端子54を介して陰極36に与えられる。X線放射窓33を含む真空外囲器31は、接地されている。陰極36の電位は、−Vに設定される。陽極ターゲット35の電位は、接地電位に設定される。
これにより、陰極36から陽極ターゲット35のターゲット面35bに電子ビームが放射され、ターゲット面35bに形成された焦点FからX線が放射され、X線は、X線放射窓33及び放射窓24を透過して外部へ放射される。
次に、図2を参照しながら図12及び図13に示すX線管装置10について説明する。
陰極36は、ターゲット面35bに第1方向d1から電子ビームを入射させ、ターゲット面35bに焦点Fを形成する。陰極36は、陰極36から焦点Fに向かう電子ビームの軌道に垂直な断面が矩形状である電子ビームを放射する。焦点Fは、第3平面S3に沿った長軸aを有し、矩形状に形成されている。焦点Fの長軸aは、陽極ターゲット35の回転方向に対して直交している。
X線放射窓33は、焦点Fから第2方向d2に沿って位置している。第2平面S2及び第3平面S3が内側になす角度δは、45°乃至135°の範囲内の何れかである。この実施の形態において、角度δは90°である。第1方向d1が第1平面S1からなす角度αは、8°乃至30°の範囲内の何れかである。
上記のように構成された第2の実施の形態に係るX線管30及びX線管装置10によれば、X線管30は、陽極ターゲット35と、第1方向d1から電子ビームを入射させ、ターゲット面35bに焦点Fを形成する陰極36と、焦点Fから第2方向d2に沿って位置したX線放射窓33を有した真空外囲器31と、を備えている。陰極36は負の高電位に設定され、陽極ターゲット35は接地電位に設定され、X線放射窓33を含む真空外囲器31は接地される。
角度δは、90°である。X線放射窓33は、第2平面S2上から大きく外れて位置している。反跳電子は、焦点Fから第2平面S2に沿った方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すものである。しかしながら、X線放射窓33は第2平面S2上に位置していないため、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができる。なお、焦点Fから飛び出す反跳電子の殆どは、X線放射窓33から外れた真空容器32の内面に衝撃を与えることとなる。
上記の効果は、角度δが45°乃至135°の範囲内の何れかである場合に得ることができる。
角度αは8°乃至30°の範囲内の何れかである。ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させているため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
また、ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
冷却液7として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができる。このため、冷却液7は、真空容器32や絶縁部材40、50に伝わる熱を最も有効に奪うことができる。また、水系冷却液は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
絶縁部材40は冷却液7に接するため、陽極ターゲット35からの熱を効果的に冷却液7に放散することができる。絶縁部材50は冷却液7に接するため、陰極36からの熱を効果的に冷却液7に放散でき、絶縁部材50に接続された高電圧コネクタ200の温度を低くでき、長期にわたって高電圧コネクタ200の絶縁性を確保することができる。真空容器32はその内面が焦点Fから飛び出す反跳電子の殆どが衝撃したり、高温となった陽極ターゲット35からの熱輻射を受けて加熱されるが、真空容器32の外面は冷却液7に接するため、これらの熱を効果的に冷却液7に放散することができる。
上記したことから、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の過度の温度上昇を伴わずにX線出力を増大させることができるX線管30及びX線管装置10を得ることができる。また、熱の放出特性を向上させることができ、しかも、長期にわたって信頼性の高いX線管30及びX線管装置10を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施の形態に係るX線管について説明する。この実施の形態において、X線管は回転陽極型のX線管であり、以下、回転陽極型のX線管を備えた回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施の形態において、上記実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図14及び図15に示すように、X線管装置10は、筒状のハウジング20と、ハウジング20内に収納されたX線管30と、ハウジング20の内部に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たす冷却液7と、回転駆動装置としてのステータコイル910とを備えている。
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、真空容器32と、絶縁部材40、50と、を備えている。絶縁部材40には陽極ターゲット35が間接的に取り付けられ、絶縁部材50には陰極36が間接的に取り付けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に電子ビームを放射するものである。陽極ターゲット35及び陰極36は、真空外囲器31に収納されている。
X線放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。金属表面部34は、真空側のX線放射窓33の表面側を含む真空容器32の内側に設けられ、接地電位に設定される。
陰極36には電圧供給端子54が接続されている。電圧供給端子54は、陰極36に負の電圧を印加するともに陰極36の電子放出源36aに電圧及び電流を供給するものである。
この実施の形態において、絶縁部材40は高電圧絶縁部材である。絶縁部材40は、ハウジング20の外部に露出した外部端面40Sを有している。この実施の形態において、外部端面40Sは平面である。
外部端面40S上には、電圧供給端子44が設けられている。電圧供給端子44は固定体1に接続されている。この実施の形態において、電圧供給端子44は高電圧供給端子である。電圧供給端子44は、固定体1等を介して陽極ターゲット35に高電圧を供給するものである。
支持部材25は、円環状に形成されている。支持部材25は、絶縁部材40をハウジング20に対し液密に支持するものである。
この実施の形態において、絶縁部材50は高電圧絶縁部材である。
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入されたケーブル102と、ハウジング101内に充填され、ケーブル102の端子102aをハウジング101の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部103と、この固定部103と底部47の外部端面40Sとの間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。この実施の形態において、ケーブル102は、高電圧ケーブルである。固定部103は、電気絶縁材である。
この実施の形態において、高電圧コネクタ100の電気絶縁材としての固定部103は、底部47の外部端面40Sに間接的に密着されている。なお、固定部103は、外部端面40Sに直接密着されていても良い。高電圧コネクタ100は、電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ100をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ固定部103と、絶縁部材40の外部端面40Sとに密着するように押圧する。
高電圧コネクタ200は、ハウジング201と、ケーブル202と、固定部203と、シリコーンプレート204とを備えている。この実施の形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁材である。
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材としての固定部203は、絶縁部材50の外部端面50Sに間接的に密着されている。なお、固定部203は、外部端面50Sに直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、絶縁部材50の外部端面50Sとに密着するように押圧する。
X線遮蔽部としてのX線遮蔽キャップ300は、高電圧コネクタ100を覆うようにハウジング20に着脱可能に取り付けられている。X線遮蔽部としてのX線遮蔽キャップ400は、高電圧コネクタ200を覆うようにハウジング20に着脱可能に取り付けられている。X線遮蔽キャップ300及びX線遮蔽キャップ400は、X線不透過材を含む材料で形成されている。
なお、陽極ターゲット35をモリブデンやモリブデン合金で形成した場合、陽極ターゲット35はX線を遮蔽することができる。この場合、X線管装置10にX線遮蔽キャップ300は設けなくとも良い。
焦点F及び陰極36間には、集束電極9が位置している。集束電極9は、電子ビームを集束するものである。集束電極9は、陰極36から焦点Fに向かう電子ビームの軌道を取り囲むように設けられている。集束電極9は、固定体1に取り付けられている。
冷却液7は、ハウジング20内に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たしている。冷却液7としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施の形態において、冷却液7として水系冷却液を用いている。
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200にそれぞれ所定の高電圧を印加する。
高電圧コネクタ100に印加された高電圧は、電圧供給端子44、固定体1、軸受け930、回転体2及び継手部35cを介して陽極ターゲット35及び集束電極9に与えられる。高電圧コネクタ200に印加された高電圧は、電圧供給端子54を介して陰極36に与えられる。X線放射窓33を含む真空外囲器31は、接地されている。陰極36の電位は、−V/2に設定される。陽極ターゲット35の電位は、+V/2に設定される。
これにより、陰極36から陽極ターゲット35のターゲット面35bに電子ビームが放射され、ターゲット面35bに形成された焦点FからX線が放射され、X線は、X線放射窓33及び放射窓24を透過して外部へ放射される。
次に、図2を参照しながら図14及び図15に示すX線管装置10について説明する。
陰極36は、ターゲット面35bに第1方向d1から電子ビームを入射させ、ターゲット面35bに焦点Fを形成する。陰極36は、陰極36から焦点Fに向かう電子ビームの軌道に垂直な断面が矩形状である電子ビームを放射する。焦点Fは、第3平面S3に沿った長軸aを有し、矩形状に形成されている。X線放射窓33は、焦点Fから第2方向d2に沿って位置している。第2平面S2及び第3平面S3が内側になす角度δは、45°乃至135°の範囲内の何れかである。この実施の形態において、角度δは90°である。第1方向d1が第1平面S1からなす角度αは、8°乃至30°の範囲内の何れかである。
上記のように構成された第3の実施の形態に係るX線管30及びX線管装置10によれば、X線管30は、陽極ターゲット35と、第1方向d1から電子ビームを入射させ、ターゲット面35bに焦点Fを形成する陰極36と、焦点Fから第2方向d2に沿って位置したX線放射窓33を有した真空外囲器31と、を備えている。陰極36は負の高電位に設定され、陽極ターゲット35は正の高電位に設定され、X線放射窓33を含む真空外囲器31は接地される。
角度δは、90°である。X線放射窓33は、第2平面S2上から大きく外れて位置している。反跳電子は、焦点Fから第2平面S2に沿った方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すものである。しかしながら、X線放射窓33は第2平面S2上に位置していないため、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができる。なお、焦点Fから飛び出す反跳電子の殆どは、X線放射窓33から外れた真空容器32の内面に衝撃を与えることとなる。
上記の効果は、角度δが45°乃至135°の範囲内の何れかである場合に得ることができる。
角度αは8°乃至30°の範囲内の何れかである。ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させているため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
また、ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
冷却液7として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができる。このため、冷却液7は、真空容器32や絶縁部材40、50に伝わる熱を最も有効に奪うことができる。また、水系冷却液は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
絶縁部材40、50は冷却液7に接するため、陽極ターゲット35及び陰極36からの熱を効果的に冷却液7に放散でき、絶縁部材40、50に接続された高電圧コネクタ100、200の温度を低くでき、長期にわたって高電圧コネクタ100、200の絶縁性を確保することができる。真空容器32はその内面が焦点Fから飛び出す反跳電子の殆どが衝撃したり、高温となった陽極ターゲット35からの熱輻射を受けて加熱されるが、真空容器32の外面は冷却液7に接するため、これらの熱を効果的に冷却液7に放散することができる。
上記したことから、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができ、X線放射窓33の過度の温度上昇を伴わずにX線出力を増大させることができるX線管30及びX線管装置10を得ることができる。また、熱の放出特性を向上させることができ、しかも、長期にわたって信頼性の高いX線管30及びX線管装置10を得ることができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。たとえば上記実施例では
反跳電子の殆どが真空外囲器32の内面を衝撃する構造であるが、反跳電子の殆どの衝撃
を受ける構造体を真空外囲器32の内部に配置させることも可能である。
この発明は、上記X線管及びX線管装置に限らず、各種X線管及びX線管装置に適用することができる。
1…固定体、2…回転体、7…冷却液、9…集束電極、10…X線管装置、20…ハウジング、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、33…X線放射窓、34…金属表面部、35…陽極ターゲット、35b…ターゲット面、36…陰極、36a…電子放出源、40,50…絶縁部材、a…長軸、F…焦点、d1…第1方向、d2…第2方向、d3…第3方向、S1…第1平面、S2…第2平面、S3…第3平面、α,β,δ,ε,ζ…角度。

Claims (9)

  1. 電子ビームが入射されることによりX線を放出するターゲット面を有した陽極ターゲットと、
    前記ターゲット面に第1方向から電子ビームを入射させ、前記ターゲット面に焦点を形成する陰極と、
    前記陽極ターゲット及び陰極を収容し、内部が真空状態であり、前記焦点から第2方向に沿って位置したX線放射窓を有した真空外囲器と、を備え、
    前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する平面を第1平面、前記焦点を通り前記ターゲット面の上方を向き前記第1平面に垂直な方向を第3方向、前記第1方向及び第3方向に沿った平面を第2平面、前記第2方向及び第3方向に沿った平面を第3平面、とすると、
    前記第2平面及び第3平面が内側になす角度は、45°乃至135°の範囲内の何れかであり、
    前記第1方向が前記第1平面からなす角度は、8°乃至30°の範囲内の何れかであるX線管。
  2. 前記陽極ターゲットは、接地電位に設定される請求項1に記載のX線管。
  3. 前記真空外囲器は、真空側の前記X線放射窓の表面側を含む内側に設けられ、接地電位に設定される金属表面部さらに有している請求項1に記載のX線管。
  4. 前記第2方向が前記第1平面からなす角度は、5°乃至25°の範囲内の何れかである請求項1に記載のX線管。
  5. 前記陰極は、前記陰極から前記焦点に向かう電子ビームの軌道に垂直な断面が矩形状である電子ビームを放射し、
    前記焦点は、前記第3平面に沿った長軸を有し、矩形状に形成されている請求項1に記載のX線管。
  6. 前記陽極ターゲットを固定し、回転軸に沿って延出して筒状に形成され、前記回転軸を中心に回転可能な回転体と、
    前記回転軸に沿って延出して前記回転体の内部に設けられ、前記回転体を回転可能に支持する固定体と、
    前記固定体及び回転体間に設けられた軸受けと、をさらに備え、
    前記焦点の長軸は、前記回転軸を中心とする前記陽極ターゲットの回転方向に対して直交している請求項5に記載のX線管。
  7. 前記陽極ターゲットを固定し、回転軸に沿って延出して筒状に形成され、前記回転軸を中心に回転可能な回転体と、
    前記回転軸に沿って延出して前記回転体の内部に設けられ、前記回転体を回転可能に支持する固定体と、
    前記固定体及び回転体間に設けられた軸受けと、をさらに備え、
    前記焦点の長軸は、前記回転軸を中心とする前記陽極ターゲットの回転方向に平行である請求項5に記載のX線管。
  8. 前記陽極ターゲットを固定し、回転軸に沿って延出して筒状に形成され、前記回転軸を中心に回転可能な回転体と、
    前記回転軸に沿って延出して前記回転体の内部を貫通して形成され、前記回転体を回転可能に支持する固定体と、
    前記固定体及び回転体間に設けられた軸受けと、
    前記焦点及び陰極間に位置し、前記陰極から前記焦点に向かう電子ビームの軌道を取り囲み、前記固定体に取り付けられた集束電極と、をさらに備えている請求項5に記載のX線管。
  9. 電子ビームが入射されることによりX線を放出するターゲット面を有した陽極ターゲットと、前記ターゲット面に第1方向から電子ビームを入射させ、前記ターゲット面に焦点を形成する陰極と、前記陽極ターゲット及び陰極を収容し、内部が真空状態であり、前記焦点から第2方向に沿って位置したX線放射窓を有した真空外囲器と、を具備したX線管を備え、
    前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する平面を第1平面、前記焦点を通り前記ターゲット面の上方を向き前記第1平面に垂直な方向を第3方向、前記第1方向及び第3方向に沿った平面を第2平面、前記第2方向及び第3方向に沿った平面を第3平面、とすると、
    前記第2平面及び第3平面が内側になす角度は、45°乃至135°の範囲内の何れかであり、
    前記第1方向が前記第1平面からなす角度は、8°乃至30°の範囲内の何れかであるX線管装置。
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