JP6026172B2 - X線管装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、X線管装置に関する。
X線管装置は、X線管を備えている。X線管は、陽極ターゲットに電子ビームを衝突させてX線を発生する構成になっている。このようなX線管装置は、医療用の診断装置あるいは工業用の非破壊検査装置や材料分析装置など、多くの用途に利用されている。
X線管装置では、陰極から放射された電子ビームは、陰極と陽極ターゲット間の電位勾配により加速、集束され、典型的には20〜150keVのエネルギを持って、陽極ターゲットのターゲット面にほぼ垂直(90°±20°)に衝突してX線発生源となる焦点を形成する。焦点に高いエネルギを持った電子ビームが衝突すると、電子ビームはターゲット材により急速に減速されるためX線が放出される。X線に変換される割合は、陽極ターゲットに衝突する電子の運動エネルギの中の1%以下とわずかである。残りのエネルギは熱に変換される。
そこで、例えばX線管のX線出力を増大させる技術が開示されている。陽極ターゲットを接地し、ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点を形成させることにより、X線放射窓から放出されるX線出力を増大させている。電子ビーム強度を同一とした条件において、従来のX線管に比べてX線出力を最大で1.5倍に増大させることができる。
特開2010−262784号公報 米国特許第3719846号明細書 米国特許第4607380号明細書 米国特許第5128977号明細書 米国特許第5828727号明細書 米国特許第7068749号明細書
ところで、上記X線管装置によれば、以下に述べる問題がある。
X線放射窓は、陽極ターゲットと同電位である。X線放射窓方向に飛び出した反跳電子はX線放射窓を直撃するため、X線放射窓の加熱を低減させることは困難である。
反跳電子は、焦点からX線放射窓に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すものである。従って、反跳電子がX線放射窓を直撃することによるX線放射窓の加熱は、従来のX線管(ターゲット面にほぼ垂直に電子ビームを入射させるX線管)に比べてより深刻である。
上記したことが原因となって、X線出力を増大させることに限界が生じてしまうという問題がある。
また、ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させる手法を、陰極が接地されるX線管や、中性点接地のX線管に適用できないという問題がある。なお、陽極が接地されるX線管の場合、焦点付近の真空外囲器の金属部は陽極ターゲットと同電位であるため、浅い角度でターゲット面に向かって入射させた電子ビームは、電界による作用を受けず、角度がより深い向き(ターゲット面に垂直な向き)に変化することはない。
しかし、陰極が接地されるX線管や、中性点接地のX線管を利用した場合、電子ビームは、真空外囲器の接地される金属部と陽極ターゲットとの間に作用する電界の影響を強く受けることになる。このため、ターゲット面に向けて電子ビームを浅い角度で入射させようとしても、最終的にターゲット面に衝突入射される電子ビームの角度はより深い向きに変化してしまい、目的とする効果(X線出力の増大)が全く得られなくなってしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、X線管への高電圧印加方式の如何にかかわらずにターゲット面に対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を提供することにある。
また、一実施形態に係るX線管装置は、
第1方向に電子ビームを放出する電子放出源を有し負の高電圧が印加される陰極と、第2方向から前記電子ビームが入射されることにより反跳電子が多く散乱する側となる第3方向に利用X線束を放出する焦点が形成されるターゲット面を有し接地され若しくは正の高電圧が印加される陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容し内部が真空状態であり前記利用X線束を透過させるX線放射窓及び前記X線放射窓を含む領域の真空側の表面を形成し接地された表面部を有した真空外囲器と、を具備したX線管と、
前記電子ビームを偏向させ前記電子ビームの進行方向を前記第1方向から前記第2方向に連続的に変化させる第1磁場を前記陽極ターゲットの表面の近傍の空間につくる第1磁気偏向部と、
前記焦点から前記X線放射窓に向かって放出される前記反跳電子を偏向させ前記X線放射窓から外れた前記表面部の反跳電子捕捉面に衝撃させる第2磁場をつくる第2磁気偏向部と、を備え、
前記第1方向、第2方向及び第3方向は、第1平面に沿った方向であり、
前記第1方向は、前記陽極ターゲットに向かう方向であり前記第3方向に垂直な方向であり、
前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する第2平面から前記第2方向がなす角度は、0°より大きく40°以下であることを特徴としている。
図1は、第1の実施形態に係るX線管装置を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。 図2は、上記第1の実施形態に係るX線管装置の変形例を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。 図3は、図2に示した陽極ターゲットを示す斜視図であり、電子ビームを偏向させることで、焦点がターゲット面上を移動する様子を示す図である。 図4は、第2の実施形態に係るX線管装置を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。 図5は、第3の実施形態に係るX線管装置を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。 図6は、第4の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。 図7は、図6の線VII−VIIに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。 図8は、上記第4の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。 図9は、第5の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。 図10は、図9の線X−Xに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。 図11は、上記第5の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。 図12は、上記第5の実施形態に係るX線管装置の変形例の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。 図13は、第6の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。 図14は、図13の線XIV−XIVに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。 図15は、上記第6の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部、導入部及び排出部を示す図である。 図16は、上記第6の実施形態に係るX線管装置の変形例の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。第1の実施形態では、X線管装置の基本的な概念を説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線管装置を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。
図1に示すように、X線管装置10は、X線管30と、高電圧電源15と、磁気偏向部110と、偏向電源115とを備えている。X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。
陰極36は、電子放出源36aと、集束電極(集束カップ)36bとを有している。電子放出源36aは、第1方向d1に電子ビームを放出する。電子放出源36aは、平板状又はコイル状のフィラメント等で形成されている。集束電極36bは、環状に形成され、電子放出源36aから陽極ターゲット35に向かう電子の軌道を囲んでいる。集束電極36bは電子ビームを集束し、電子ビーム(電子の分布形状)を整形(適正化)する。
陰極36には、陽極ターゲット35に対して相対的に負の電圧が印加される。電子放出源36aには陰極36に印加される電圧及び電流が供給される。この実施形態において、陰極36(電子放出源36a)は接地(接地電位に設定)されている。電子ビームを整形するため、集束電極36bには10kV以下の電圧が印加されている。集束電極36bに与える電圧値を変更可能であるとより好ましい。上記電圧値の変更により、電子ビームの形状を変更させ、後述する焦点Fのサイズを調整することができる。
陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット面35bを有している。ターゲット面35bには、第2方向d2から電子ビームが入射されることにより、反跳電子が多く散乱する側となる第3方向d3に利用X線束を放出する焦点Fが形成される。なお、第3方向d3は、X線の進行方向に平行な方向であり、利用X線束の中心を通る。
ターゲット面35bは平面である。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。ターゲット面35bは、タングステンやタングステン合金など陽極ターゲット35より融点の高い金属で形成されている。陽極ターゲット35は、反跳電子が衝撃される反跳電子捕捉面35dをさらに有している。陽極ターゲット35には、陰極36に対して相対的に正の電圧が印加される。この実施形態において、陽極ターゲット35には正の高電圧が印加される。
真空外囲器31は、陽極ターゲット35及び陰極36を収容している。真空外囲器31は、真空容器32、X線放射窓33及び表面部34を有している。真空外囲器31の内部は真空状態である。真空外囲器31の内部に後述する磁場Haの作用を許可するため、真空容器32(真空外囲器31)は、銅、ステンレス、アルミニウム等の非磁性の金属、及びガラス、セラミクス等の絶縁物で形成されている。この実施形態において、真空容器32は銅で形成されている。真空容器32は側壁32aを有している。
X線放射窓33は、側壁32aの開口部に気密に設けられている。X線放射窓33は利用X線束を透過させるものである。この実施形態において、X線放射窓33は、ベリリウムで形成されている。X線放射窓33のX線透過方向の厚みは、0.1乃至3mmである。その他、X線放射窓33は、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つを主成分として形成することも可能である。上記のように、X線放射窓33を形成する材料は、ベリリウムより安価な材料に代替可能である。
表面部34は、X線放射窓33及び側壁32aを含む領域の真空側の表面を形成している。ここでは、表面部34は、金属で形成され接地されている。表面部34は、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を押し戻し反跳電子捕捉面35dに衝撃させる。
磁気偏向部110は、真空外囲器31の外側に配置されている。磁気偏向部110は、電子ビームを偏向させ電子ビームの進行方向を第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化させる磁場Haを陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくる。この実施形態において、磁気偏向部110は、磁場Haを陽極ターゲット35の表面(ターゲット面35b)に平行で、かつ図1の紙面に垂直となる方向につくる。
磁気偏向部110は、図示しない2個の磁極と、磁極を接続したヨーク112と、ヨーク112に巻かれたコイル113とを有している。この実施形態において、磁気偏向部110は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。
偏向電源115は、磁気偏向部110のコイル113に電流を供給するものである。磁気偏向部110及び偏向電源115は、偏向磁場発生ユニットを形成している。
磁気偏向部110は、磁場Haにより電子ビームに作用するローレンツ力を利用するものである。電子ビームは磁場Haの影響を常に受けるため、電子ビームの進行方向は第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化し、電子ビームをターゲット面35bに対して浅い角度で入射させることができる。電子ビームの軌道は、サイクロイド曲線もしくはトロコイド曲線に近い曲線となる。一様電界と一様磁界とが直交する単純化した場合に電子ビームの軌道がサイクロイド曲線となることは、例えば下記の文献の第1章1.2節(電界と磁界のあるときの運動)に示されている。
基礎電子管工学(山本賢三監訳、昭和41年廣川書店発行)
原著:Principles of Electron Tubes ( J.W.GEWARTOWSKI ,H.A.WATSON ,1965 , D.VAN NOSTRAND COMPANY,Inc.)
なお、ターゲット面35bへの電子ビームの入射角(第2方向d2の向き)は、磁場Haの大きさを調整することにより、目的とする角度(向き)に設定可能である。
ここで、第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、第1平面S1に沿った方向である。第1方向d1は、陽極ターゲット35に向かう方向であり、第3方向d3に垂直な方向である。焦点Fが形成される位置のターゲット面35bに接する平面を第2平面S2とする。第2平面S2から第2方向d2がなす角度をαとする。第2平面S2から第3方向d3がなす角度をβとする。
角度αは、0°より大きく40°以下である(0°<α≦40°)。なお、この実施形態において、角度αは、第1方向d1の向き及び磁場Haの大きさに依存している。角度βは、特に限定されるものではないが、例えば、5°乃至25°の範囲内に設定されている。この実施形態において、角度αは20°であり、角度βは15°である。
第1方向d1及び第2方向d2が下方を示すようにX線放射窓33側から磁場Haに視点をおいた場合を仮定すると、磁気偏向部110は、第1平面S1に垂直な左向きの磁場Haを電子ビームに作用させる。
高電圧電源15は、陰極36及び陽極ターゲット35間に高電圧を供給するためのものである。この実施形態において、高電圧電源15は、陽極ターゲット35にのみ高電圧(正の高電圧)を供給する。
X線管30の陰極36及び陽極ターゲット35間に、管電圧Vが印加されている。陽極ターゲット35の電位をVA、陰極36の電位をVCとすると、管電圧Vは、VA−VCである。管電圧Vは、20kV乃至150kVである。
この実施形態において、高電圧電源15は、陽極ターゲット35に+Vの電圧を供給している。陰極36、及びX線放射窓33を含む真空外囲器31の表面部34は接地されている(0V)。
このように構成されたX線管30では、例えば、陽極ターゲット35に+100kV以上の正の高電圧を印加する。陰極36及び真空外囲器31の表面部34は接地されている。陰極36の電子放出源36aには電流が与えられる。陰極36の集束電極36bには電子ビームを整形するための電圧が印加される。
これにより陰極36から放出される電子ビームは、磁気偏向部110により連続的に偏向され、陽極ターゲット35のターゲット面35bに入射される。そして、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線はX線放射窓33を透過して外部へ放射される。焦点Fから放出される反跳電子は反跳電子捕捉面35dに衝撃される。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線管装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、磁気偏向部110と、を備えている。X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。陽極ターゲット35は正の高電位に設定され、陰極36と、X線放射窓33を含む真空外囲器31とは接地されている。
第1方向d1は、ターゲット面35bにほぼ垂直であり、電子ビームは、真空外囲器31(表面部34)と陽極ターゲット35との間に作用する電界の影響を受ける。しかしながら、電子ビームには、磁気偏向部110によりターゲット面35bに平行で、かつ第1平面S1に垂直となる磁場Haを作用させることができる。しかも、磁場Haは、陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくることができる。これにより、角度αを20°とし、第2方向d2から電子ビームをターゲット面35bに入射させることができる。なお、磁場Haは管電圧Vに応じて値を設定する必要がある。管電圧を変える場合には、それに応じて磁場Haの値を変更する。
陰極接地管(陰極36が接地されるX線管30)であっても、ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させることができるため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
第2方向d2と、第3方向d3とは同一の第1平面S1に沿った方向である。このため、X線放射窓33から放出されるX線出力を一層増大させることができる。
反跳電子は、入射電子があたかもターゲット面35bで鏡面反射する方向に最も多く散乱することから、焦点FからX線放射窓33に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すことになる。ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。上記の効果は、角度αが0°より大きく40°以下の範囲内の何れかである場合(0°<α≦40°)に得ることができる。
上記の効果をより高めるためには、角度αが5°より大きく30°以下の範囲内の何れかである(5°<α≦30°)ことがより好ましい。
X線放射窓33は、反跳電子が多く散乱する側に位置している。しかしながら、表面部34(X線放射窓33)は陰極36と同電位(接地電位)に設定されているため、表面部34付近の電界の影響により、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を押し戻し反跳電子捕捉面35dに衝撃させることができる。
これにより、X線放射窓33への反跳電子の直撃を防止することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。即ち、X線放射窓33の温度上昇を確実に低減することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
上記のことから、X線管30が陰極接地方式である場合においてもターゲット面35bに対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。
次に、上記第1の実施形態に係るX線管装置の磁気偏向部110の変形例について説明する。磁気偏向部110は、磁場Haを作用させたが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、陰極36から放出される電子ビームの向き(第1方向d1)に応じて1以上の磁場を作用させ、ターゲット面35bに第2方向d2から電子ビームを入射することができればよい。
次に、上記第1の実施形態に係るX線管装置のターゲット面35bの変形例について説明する。ターゲット面35bは、平面に限らず、円錐面であってもよい。ターゲット面35bが円錐面の場合とは、例えば、X線管30が回転陽極型のX線管であり、陽極ターゲット35が円盤状に形成され、ターゲット面35bが、陽極ターゲット35の一端面を形成している場合が挙げられる。
次に、上述した第1の実施形態に係るX線管装置の変形例であり、ターゲット面35b上を焦点Fを移動させる場合ついて説明する。
X線管装置は、焦点Fがターゲット面35b上を周期的に移動するように電子ビームを偏向させる交流磁場を発生させる偏向部をさらに備えていてもよい。上記偏向部は、焦点位置補正部として機能し、磁気偏向部110の磁場Haが作用する空間より陰極36に近い空間に直流磁場である補正磁場をつくることもできる。これにより、偏向部は、補正磁場を電子ビームに作用させ、電子ビームを偏向させ、焦点Fの位置を微調整することができる。
図2は、上記第1の実施形態に係るX線管装置10の変形例を示す模式図であり、ターゲット面35bに沿った方向から見た図である。図3は、図2に示した陽極ターゲット35を示す斜視図であり、電子ビームを偏向させることで、焦点Fがターゲット面35b上を移動する様子を示す図である。
例えば、図2及び図3に示すように、X線管装置10は、偏向電源105及び偏向電源制御部106をさらに備えている。X線管装置10は、焦点位置補正部としての偏向部100をさらに備えている。
偏向部100は、磁気偏向部110の磁場Haが作用する空間より陰極36に近く、かつより狭い空間に磁場Hcを作用させて、電子ビームを偏向させるものである。偏向部100は、真空外囲器31の外側で、電子ビームの軌道を取り囲む位置に設けられている。偏向部100は、第1方向d1に向かう電子ビームに磁場Hcを作用させ、偏向角θが得られるよう、上記電子ビームを偏向させるものである。磁場Hcの向きは、第1平面S1に垂直な左向き又は右向きに調整可能である。
偏向電源105は偏向部100のコイルに電流を供給するものである。偏向電源制御部106は、偏向電源105が偏向部100に供給する電圧を制御するものである。偏向部100、偏向電源105及び偏向電源制御部106は、焦点位置移動用の偏向磁場発生ユニットを形成している。
偏向電源制御部106は、焦点Fが連続的又は間欠的に移動するよう偏向電源105が偏向部100に供給する電流を制御することができる。偏向部100は、制御された電流が供給されることにより、陰極36から放出される電子ビームを第1平面S1に沿った方向に偏向させ、焦点Fの位置を第1平面S1に沿ったターゲット面35b上で移動させることができる。言い換えると、偏向部100は、電子ビームをターゲット面35b上を周期的(連続的又は間欠的)に走査させることができる。
また、X線管装置をCT装置に搭載した場合、焦点位置を切り替えながらスキャンを行うことができるため、フライングフォーカス(焦点位置シフト)方式のCT装置に応用することができる。
さらに、電子ビームは、偏向部100によってターゲット面35bを十分速い速度で走査することにより、焦点F温度の上昇を軽減することができる。
角度αが90°付近(90°±20°)の場合、焦点Fの位置を移動させるため、電子ビームの偏向角θを比較的大きくする必要がある。このため、偏向電源105は偏向部100に比較的大きい電流を供給する必要がある。この場合、電子ビームをエネルギ効率よく偏向できるX線管装置を実現することができない。
これに対し、0°<α≦40°である場合、角度αを90°付近とした場合に比べ、焦点Fを同じ距離だけ移動させるための電子ビームの偏向角θを小さくすることができる。すなわち、偏向電源105が偏向部100に供給する電流を小さくすることができる。言い換えると、焦点Fの移動(Z方向への実効焦点の移動、又はX方向への実焦点の移動)に必要な偏向パワーは少なくて済む。このため、電子ビームをエネルギ効率よく偏向することができる。ここで、第2平面S2はX−Y平面から傾斜している。焦点Fは、ターゲット面35b上をX方向に移動する。なお、偏向電源制御部106は、偏向電源105が偏向部100に一定の直流成分の電流を供給するように制御することにより、焦点Fの位置を微調整することも可能である。
次に、第2の実施形態に係るX線管装置について説明する。第2の実施形態では、X線管装置の基本的な他の概念を説明する。第2の実施形態の概念は、第1の実施形態の概念に類似したものである。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図4は、第2の実施形態に係るX線管装置10を示す模式図であり、ターゲット面35bに沿った方向から見た図である。
図4に示すように、X線管装置10は、X線管30と、高電圧電源15と、第1磁気偏向部としての磁気偏向部110と、偏向電源115とを備えている。X線管装置10は、さらに高電圧電源16と、第2磁気偏向部としての磁気偏向部120と、偏向電源125と、冷却器(クーラーユニット)3と、冷却液7と、を備えている。
陰極36には負の高電圧が印加されている。電子放出源36aには陰極36に印加される電圧(負の高電圧)及び電流が供給される。集束電極36bには、陰極36に印加される電圧(負の高電圧)の他、電子ビームを整形するための10kV以下の電圧が印加されている。集束電極36bに与える電圧値を変更可能であるとより好ましい。
陽極ターゲット35には正の高電圧が印加される。
真空外囲器31は、真空容器32、X線放射窓33及び表面部34を有している。真空外囲器31の内部に磁場Ha及び後述する磁場Hbの作用を許可するため、真空容器32(真空外囲器31)は、銅、ステンレス、アルミニウム等の非磁性の金属、及びガラス、セラミクス等の絶縁物で形成されている。この実施形態において、真空容器32は銅で形成されている。真空容器32は側壁32a及び上壁32bを有している。
この実施形態において、第3方向d3(利用X線束の中心)はX線放射窓33の平面に垂直な方向である。
表面部34は、X線放射窓33、側壁32a及び上壁32bを含む領域の真空側の表面を形成している。ここでは、表面部34は、金属で形成され接地されている。表面部34(上壁32b)はX線放射窓33から外れた反跳電子捕捉面34aを有している。真空容器32(真空外囲器31)、特に反跳電子捕捉面34aを形成する材料としては、熱伝導性に優れ、かつ比較的安価な銅又は銅合金が好適である。
磁気偏向部110は、電子ビームを偏向させ電子ビームの進行方向を第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化させる磁場(第1磁場)Haを陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくる。この実施形態において、磁気偏向部110は、磁場Haを陽極ターゲット35の表面(ターゲット面35b)に平行で、かつ第1平面S1に垂直となるようにつくる。
角度αは、0°より大きく40°以下である(0°<α≦40°)。なお、この実施形態において、角度αは、第1方向d1の向き及び磁場Haの大きさに依存している。角度βは、特に限定されるものではないが、例えば、5°乃至25°の範囲内に設定されている。この実施形態において、角度αは20°であり、角度βは15°である。
磁気偏向部120は、真空外囲器31の外側に配置されている。磁気偏向部120は、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を偏向させX線放射窓33から外れた上壁32bの反跳電子捕捉面34aに衝撃させる磁場(第2磁場)Hbをつくる。
磁気偏向部120は、図示しない2個の磁極と、磁極を接続したヨーク122と、ヨーク122に巻かれたコイル123とを有している。この実施形態において、磁気偏向部120は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。
偏向電源125は、磁気偏向部120のコイル123に電流を供給するものである。磁気偏向部120及び偏向電源125は、偏向磁場発生ユニットを形成している。磁気偏向部120は、磁場Hbにより反跳電子に作用するローレンツ力を利用するものである。
第1方向d1及び第2方向d2が下方を示すようにX線放射窓33側から磁場Ha及び磁場Hbに視点をおいた場合を仮定すると、磁気偏向部110は第1平面S1に垂直な左向きの磁場Haを電子ビームに作用させ、磁気偏向部120は第1平面S1に垂直な左向きの磁場Hbを反跳電子に作用させる。
高電圧電源15、16は、陰極36及び陽極ターゲット35間に高電圧を供給するためのものである。この実施形態において、高電圧電源15は陽極ターゲット35に高電圧(正の高電圧)を供給し、高電圧電源16は陰極36に高電圧(負の高電圧)を供給する。
冷却液7は、反跳電子捕捉面34aに重なった上壁32bの外面に位置した冷却路を流れる。冷却液7には、上壁32bに発生する熱の少なくとも一部が伝達される。この実施形態において、上壁32bを壁の一部とする熱伝導性に優れた容器130が取り付けられ、冷却路は容器130の内部に形成されている。
冷却器3は、ホースなどの導管を介して容器130に連通されている。冷却器3は、容器130内の冷却液7を放熱及び循環させるものである。冷却器3は、ポンプ4及び熱交換器5を有している。ポンプ4は、容器130側から取り入れた冷却液7を熱交換器5に吐出し、容器130内の冷却液7を循環させる。熱交換器5は、供給される冷却液7を冷却する。
反跳電子が反跳電子捕捉面34aを衝撃することにより、上壁32b(反跳電子捕捉面34a)に熱が発生するが、上壁32bに発生する熱の少なくとも一部は冷却液7に伝達され、冷却液7を介してX線管30の外部へ放出される。このため、真空容器32の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
この実施形態において、高電圧電源15は陽極ターゲット35に+V/2の電圧を供給し、高電圧電源16は陰極36に−V/2の電圧を供給している。X線放射窓33を含む真空外囲器31の表面部34は接地されている(0V)。
このように構成されたX線管30では、例えば、陽極ターゲット35に正の高電圧を印加し、陰極36に負の高電圧を印加する。真空外囲器31の表面部34は接地されている。陰極36の電子放出源36aには、電流が与えられる。陰極36の集束電極36bには電子ビームを整形するための電圧が印加される。
これにより陰極36から放出される電子ビームは、磁気偏向部110により連続的に偏向され、陽極ターゲット35のターゲット面35bに入射される。そして、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線はX線放射窓33を透過して外部へ放射される。焦点Fから放出される反跳電子は、磁気偏向部120により連続的に偏向され、反跳電子捕捉面34aに衝撃される。
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線管装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、磁気偏向部110と、磁気偏向部120と、冷却器3と、冷却液7と、を備えている。X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。陽極ターゲット35は正の高電位に設定され、陰極36には負の高電圧が印加され、X線放射窓33を含む真空外囲器31は接地されている。
電子ビームには、磁気偏向部110によりターゲット面35bに平行で、かつ第1平面S1に垂直となる磁場Haを作用させることができる。しかも、磁場Haは、陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくることができる。これにより、角度αを20°とし、第2方向d2から電子ビームをターゲット面35bに入射させることができる。
中性点接地管(真空外囲器31が接地され、陰極36に−V/2の電圧が印加され、陽極ターゲット35に+V/2の電圧が印加されるX線管30)であっても、ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させることができるため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
第2方向d2と、第3方向d3とは同一の第1平面S1に沿った方向である。このため、X線放射窓33から放出されるX線出力を一層増大させることができる。
反跳電子は、入射電子があたかもターゲット面35bで鏡面反射する方向に最も多く散乱することから、焦点FからX線放射窓33に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すことになる。ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。上記の効果は、角度αが0°より大きく40°以下の範囲内の何れかである場合(0°<α≦40°)に得ることができる。
上記の効果をより高めるためには、角度αが5°より大きく30°以下の範囲内の何れかである(5°<α≦30°)ことがより好ましい。
X線放射窓33は、反跳電子が多く散乱する側に位置している。しかも、陰極36は負の高電位に設定され、表面部34(X線放射窓33)は接地電位に設定されている。しかしながら、磁気偏向部120による磁場Hbの作用により、反跳電子を偏向させ、反跳電子を反跳電子捕捉面34aに衝撃させることができる。
これにより、X線放射窓33への反跳電子の直撃を低減することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。X線放射窓33の温度上昇を低減することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
反跳電子が反跳電子捕捉面34aを衝撃することにより、上壁32b(反跳電子捕捉面34a)に熱が発生するが、上壁32bに発生する熱の少なくとも一部を冷却液7に伝達することができる。このため、真空容器32の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
この実施形態に係るX線管装置10は、偏向部100、偏向電源105及び偏向電源制御部106を有した偏向磁場発生ユニットを備えていてもよい。この場合、焦点Fの位置を補正することもできる。なお、磁場Haは管電圧Vに応じて値を設定する必要がある。管電圧を変える場合には、それに応じて磁場Haの値を変更する。また、磁場Hbも管電圧Vに応じて値を設定することが好ましい。管電圧を変える場合には、それに応じて磁場Hbの値を変更することが好ましい。
上記のことから、X線管30が中性点接地方式である場合においてもターゲット面35bに対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。
次に、第3の実施形態に係るX線管装置について説明する。第3の実施形態では、X線管装置の基本的な他の概念を説明する。第3の実施形態の概念は、第2の実施形態の概念に類似したものである。この実施形態において、上記第1及び第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は、第3の実施形態に係るX線管装置10を示す模式図であり、ターゲット面35bに沿った方向から見た図である。
図5に示すように、X線管装置10は、高電圧電源15無しに形成されている以外、上記第2実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。X線管30は、陽極接地管(陽極ターゲット35が接地されるX線管)である。
高電圧電源16は、陰極36及び陽極ターゲット35間に高電圧を供給するためのものである。この実施形態において、高電圧電源16は陰極36に高電圧(負の高電圧)を供給する。陽極ターゲット35及び真空外囲器31(表面部34)は接地(接地電位に設定)されている。この実施形態において、高電圧電源16は陰極36に−Vの電圧を供給している。陽極ターゲット35及び真空外囲器31の表面部34は接地されている(0V)。
このように構成されたX線管30では、例えば、陰極36に負の高電圧を印加する。陽極ターゲット35及び真空外囲器31の表面部34は接地されている。陰極36の電子放出源36aには、電流が与えられる。陰極36の集束電極36bには電子ビームを整形するための電圧が印加される。
これにより陰極36から放出される電子ビームは、磁気偏向部110により連続的に偏向され、陽極ターゲット35のターゲット面35bに入射される。そして、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線はX線放射窓33を透過して外部へ放射される。焦点Fから放出される反跳電子は、磁気偏向部120により連続的に偏向され、反跳電子捕捉面34aに衝撃される。
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線管装置によれば、X線管装置10は、高電圧電源15無しに形成されている以外、上記第2実施形態に係るX線管装置と同様に形成されているため、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、X線放射窓33への反跳電子の直撃を低減する効果を得ることができる。なお、磁場Haは管電圧Vに応じて値を設定する必要がある。管電圧を変える場合には、それに応じて磁場Haの値を変更する。また、磁場Hbも管電圧Vに応じて値を設定することが好ましい。管電圧を変える場合には、それに応じて磁場Hbの値を変更することが好ましい。
上記のことから、X線管30が陽極接地方式である場合においても、第1および第2の実施形態と同様にして、ターゲット面35bに対して浅い角度で電子ビームを入射させることにより、X線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。
次に、第4の実施形態に係るX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここで、本実施形態に係るX線管装置は、上記第1の実施形態に係るX線管装置の実施例に相当する。
図6は、第4の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図7は、図6の線VII−VIIに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。図8は、上記第4の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。
図6、図7及び図8に示すように、X線管装置10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収納されたX線管30と、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された冷却液6と、回転駆動装置としてのステータコイル910と、磁気偏向部110と、を備えている。図示しないが、X線管装置10は、上記高電圧電源15と、偏向電源115とをさらに備えている。
ハウジング20は、ハウジング本体20aと、蓋部20bとを有している。ハウジング本体20aの開口端の内縁側は、蓋部20bに対向し接触している。ハウジング本体20a及び蓋部20bは、図示しない締め具により締め付けられている。ハウジング本体20a及び蓋部20b間の隙間は、図示しないOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液6の漏れを防止する機能を有している。
ハウジング20には、ゴムベローズ(ゴム膜)21が設けられ、冷却液6の圧力調整が行われている。この実施形態において、ゴムベローズ21は蓋部20bに設けられている。ハウジング20は、X線を透過しハウジング20外部に放射するX線放射窓24を有している。
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、非磁性の金属で形成された真空容器32と、高電圧絶縁部材40と、絶縁部材38とを備えている。高電圧絶縁部材40には陽極ターゲット35が間接的に取り付けられ、絶縁部材38には陰極36が間接的に取り付けられている。陰極36は、第1方向d1に電子ビームを放出する電子放出源36aと、集束電極36bとを有している(図1)。陽極ターゲット35及び陰極36は、真空外囲器31に収納されている。
真空外囲器31の内部は真空状態である。X線放射窓33は、真空容器32(側壁32a)に気密に設けられている。表面部34は、真空側のX線放射窓33の表面側を含む真空容器32の内側に設けられ、陰極36と実質上同電位に設定されている。
陽極ターゲット35は、円環状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット層35aを有している。ターゲット層35aには、第2方向d2から電子ビームが入射されることにより第3方向d3に利用X線束を放出する焦点Fが形成される(図1)。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転可能である。陽極ターゲット35には正の高電圧が印加される。
陰極36には電圧供給端子54が接続されている。電圧供給端子54は、陰極36を接地電位に設定する。
X線管30は、ロータ920、軸受け930、固定軸1及び回転体2を備えている。固定軸1は円柱状に形成され、高電圧絶縁部材40に固定されている。固定軸1は回転体2を回転可能に支持する。回転体2は筒状に形成され、固定軸1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ920が取り付けられている。回転体2及び陽極ターゲット35は、接続部35cを介して接合されている。回転体2は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。
高電圧絶縁部材40は、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材40は、筒部46と、筒部46の一端側を閉塞した底部47とで形成されている。高電圧絶縁部材40は、ハウジング20の外部に露出した外部端面41を有している。この実施の形態において、外部端面41は平面である。
外部端面41上には、電圧供給端子44が設けられている。電圧供給端子44は固定軸1に接続されている。この実施の形態において、電圧供給端子44は高電圧供給端子である。電圧供給端子44は、固定軸1等を介して陽極ターゲット35に高電圧を供給するものである。
支持部材25は、円環状に形成されている。支持部材25は、高電圧絶縁部材40をハウジング20に対し液密に支持するものである。
絶縁部材38は、真空外囲器31の一部を形成している。電圧供給端子54は、絶縁部材38を貫通して設けられている。真空外囲器31の外部に露出した電圧供給端子54は、モールド絶縁部39で覆われている。モールド絶縁部39は、ゴム材等のモールド絶縁材で形成されている。このため、電圧供給端子54は、防水が施され、電気的に絶縁されている。電圧供給端子54は低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。KOV部材55及び陰極36間、並びにKOV部材55及び絶縁部材38間は、ろう付けされている。
高電圧コネクタ300は、有底筒状のハウジング301と、ハウジング301内にその先端が挿入されたケーブル302と、ハウジング301内に充填され、ケーブル302の端子302aをハウジング301の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部303と、この固定部303と底部47の外部端面41との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート304とを備えている。この実施の形態において、ケーブル302は、高電圧ケーブルである。固定部303は、電気絶縁材である。
この実施の形態において、高電圧コネクタ300の電気絶縁材としての固定部303は、底部47の外部端面41に間接的に密着されている。なお、固定部303は、外部端面41に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ300は、電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ300をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート304が、それぞれ固定部303と、高電圧絶縁部材40の外部端面41とに密着するように押圧する。この実施形態において、陽極ターゲット35自体がX線を遮蔽することができるため、高電圧コネクタ300はX線遮蔽キャップ(X線遮蔽部)で覆われていない。
一方、ケーブル202は電圧供給端子54に接続されている。ケーブル202はハウジング20の外部に引き出されている。
冷却液6は、X線管30とハウジング20との間の空間に充填されている。冷却液6としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施の形態において、冷却液6として水系冷却液を用いている。
磁気偏向部110は、真空外囲器31の外側に配置されている。磁気偏向部110は、電子ビームを偏向させ電子ビームの進行方向を第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化させる磁場Haを陽極ターゲット35の表面の近傍の空間につくる(図1)。
磁気偏向部110は、2個の磁極111と、磁極を接続したヨーク112と、ヨーク112に巻かれたコイル113とを有している。この実施形態において、磁気偏向部110は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。
磁極111は、真空外囲器31(陽極ターゲット35)と対向した側にテーパ面を有している。第1方向d1及び第2方向d2が下方を示し第3方向d3が上方を示すようにX線放射窓33側から磁気偏向部110に視点をおいた場合を仮定すると、左側の磁極111のテーパ面は右上がりであり、右側の磁極111のテーパ面は右下がりである。磁気偏向部110のコイル113には、図示しない偏向電源115から電流が与えられる(図1)。
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、高電圧コネクタ300に所定の高電圧を印加する。高電圧コネクタ300に印加される高電圧は、電圧供給端子44、固定軸1、軸受け930、回転体2及び接続部35cを介して陽極ターゲット35に与えられる。陰極36及びX線放射窓33を含む真空外囲器31は、接地されている。
これにより陰極36から放出される電子ビームは、磁気偏向部110により連続的に偏向され、陽極ターゲット35のターゲット面35bに浅い角度で入射される。そして、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線はX線放射窓33及びX線放射窓24を透過して外部へ放射される。焦点Fから放出される反跳電子は反跳電子捕捉面35dに衝撃される。
次に、図1を参照しながら図6乃至図8に示すX線管装置10について説明する。
第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、第1平面S1に沿った方向である。第1方向d1は、陽極ターゲット35に向かう方向であり、第3方向d3に垂直な方向である。第2平面S2から第2方向d2がなす角度は、0°より大きく40°以下である。
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線管装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液6と、磁気偏向部110と、を備えている。X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。陽極ターゲット35は正の高電位に設定され、陰極36と、X線放射窓33を含む真空外囲器31とは接地されている。
第1方向d1は、ターゲット面35bにほぼ垂直であり、電子ビームは、真空外囲器31(表面部34)と陽極ターゲット35との間に作用する電界の影響を受ける。しかしながら、電子ビームには、磁気偏向部110によりターゲット面35bに平行で、かつ第1平面S1に垂直となる磁場Haを作用させることができる。しかも、磁場Haは、陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくることができる。これにより、0°<α≦40°とし、第2方向d2から電子ビームをターゲット面35bに入射させることができる。
陰極接地管であっても、ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させることができるため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
第2方向d2と、第3方向d3とは同一の第1平面S1に沿った方向である。このため、X線放射窓33から放出されるX線出力を一層増大させることができる。
反跳電子は、入射電子があたかもターゲット面35bで鏡面反射する方向に最も多く散乱することから、焦点FからX線放射窓33に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すことになる。ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。さらに、焦点F以外からのX線の放射を抑制できるため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
上記の効果をより高めるためには、角度αが5°より大きく30°以下の範囲内の何れかである(5°<α≦30°)ことがより好ましい。
X線放射窓33は、反跳電子が多く散乱する側に位置している。しかしながら、表面部34(X線放射窓33)は陰極36と同電位(接地電位)に設定されているため、表面部34付近の電界の影響により、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を押し戻し反跳電子捕捉面35dに衝撃させることができる。
これにより、X線放射窓33への反跳電子の直撃を防止することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。即ち、X線放射窓33の温度上昇を確実に低減することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
さらに、X線放射窓33の加熱は抑制されるため、X線放射窓33付近の冷却液6の沸騰を抑制することができる。冷却液6の沸騰にともなうガスの発生を抑制でき、X線の透過率に悪影響はおよばないため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
冷却液6として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができる。このため、冷却液6は、高電圧絶縁部材40に伝わる熱を最も有効に奪うことができる。また、水系冷却液は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
また、高電圧絶縁部材40は冷却液6に接するため、陽極ターゲット35からの熱を効果的に冷却液6に放散でき、高電圧絶縁部材40に接続された高電圧コネクタ300の温度を低くでき、長期にわたって高電圧コネクタ300の絶縁性を確保することができる。
上記のことから、X線管30が陰極接地方式である場合においても、ターゲット面35bに対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。上記X線管装置は、特にマンモグラフィー用途のX線管装置として最適である。
次に、第5の実施形態に係るX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第4の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここで、本実施形態に係るX線管装置は、上記第2の実施形態に係るX線管装置の実施例に相当する。
図9は、第5の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図10は、図9の線X−Xに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。図11は、上記第5の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部を示す図である。
図9、図10及び図11に示すように、X線管装置10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収納されたX線管30と、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された冷却液6と、回転駆動装置としてのステータコイル910と、磁気偏向部110と、磁気偏向部120と、を備えている。図示しないが、X線管装置10は、上記高電圧電源15と、偏向電源115と、高電圧電源16と、偏向電源125と、をさらに備えている。
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、支持部材26と、非磁性の金属で形成された真空容器32と、高電圧絶縁部材40と、高電圧絶縁部材50とを備えている。高電圧絶縁部材40には陽極ターゲット35が間接的に取り付けられ、高電圧絶縁部材50には陰極36が間接的に取り付けられている。真空外囲器31の内部は真空状態である。
この実施形態において、真空容器32の上壁32bに反跳電子の衝撃を受ける反跳電子捕捉面34aが形成されている。反跳電子捕捉面34aは、凹凸面である。凹凸面は、上壁32bの表面に形成された複数の突出部で形成されている。複数の突出部は、第1平面S1に沿った方向に並べられ、第1平面S1に垂直な方向に延出して形成されている。反跳電子捕捉面34aを凹凸面とすることにより、反跳電子捕捉面34aは、多重反射により、反跳電子をより多く捕捉することができる。
X線放射窓33は、第1平面S1に直交する方向に長軸を持つ矩形の平板状に形成されている。X線放射窓33は、利用X線束を透過させる位置に配置されている。ここでは、X線放射窓33は、ベリリウムで形成されている。
この実施形態において、陽極ターゲット35が焦点Fから放出する利用X線束の形状はファンビーム形状である。利用X線束において、Z方向の長さはY方向(第1平面S1に垂直な方向)の長さより短い(図4)。
支持部材26は、円環状に形成され、高電圧絶縁部材50に気密に接着されている。なお、真空容器32も高電圧絶縁部材50に気密に接着されている。支持部材26は、蓋部20b(ハウジング20)の開口に対向している。なお、支持部材26と対向した側の蓋部20bには円環状の溝部が形成されている。支持部材26及び蓋部20b間の隙間は、上記溝部に設けられたOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材26及び蓋部20b間の隙間から外部への冷却液6の漏れを防止する機能を有している。
高電圧絶縁部材50は、ハウジング20の外部に露出した外部端面50Sを有している。この実施形態において、外部端面50Sは平面である。高電圧絶縁部材50の内部には電圧供給端子54が設けられている。電圧供給端子54は、外部端面50Sを貫通している。電圧供給端子54は、陰極36に接続されている。この実施形態において、電圧供給端子54は高電圧供給端子である。電圧供給端子54は、陰極36に負の高電圧を印加する。
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子をハウジング201の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部203と、この固定部203と高電圧絶縁部材50の外部端面50Sとの間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。この実施形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁材である。
この実施形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材としての固定部203は、高電圧絶縁部材50の外部端面50Sに間接的に密着されている。なお、固定部203は、外部端面50Sに直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
このように構成されたX線管装置10では、次のように用いられる。高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、高電圧絶縁部材50の外部端面50Sとに密着するように押圧する。
X線遮蔽部としてのX線遮蔽キャップ400は、高電圧コネクタ200を覆うようにハウジング20に着脱可能に取り付けられている。X線遮蔽キャップ400は、X線不透過材を含む材料で形成されている。
冷却液6は、ハウジング20内に充填されている。このため、上壁32bの外面に位置するように、ハウジング20内に冷却液6の流れる冷却路を形成することができる。冷却液6としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。ここでは、冷却液6として水系冷却液を用いている。
ハウジング20には、冷却液6の導入部20i及び排出部20oが形成されている。導入部20iは、上壁32bに対向して位置している。ハウジング20の外部には、図4に示した冷却器3が設けられ、ハウジング20の導入部20i及び排出部20oに連結されている。このため、冷却液6は、導入部20iからハウジング20内に導入され、排出部20oからハウジング20外に排出される。
冷却液6は、導入部20iから上壁32bの外面に噴出される。冷却液6は、上壁32bの外面に垂直な方向に噴出される。反跳電子が衝撃され、熱を発生する上壁32bの外面に衝突噴流を作用させることができるため、上壁32bを冷却し易くすることができる。
磁気偏向部(第2磁気偏向部)120は、真空外囲器31の外側に配置されている。磁気偏向部110は磁場(第1磁場)Haをつくり、磁気偏向部120は、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を偏向させX線放射窓33から外れた表面部34の反跳電子捕捉面34aに衝撃させる磁場(第2磁場)Hbをつくる(図4)。
磁気偏向部120は、2個の磁極121と、磁極を接続したヨーク122と、ヨーク122に巻かれたコイル123とを有している。この実施形態において、磁気偏向部120は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。
磁極121は、真空外囲器31(陽極ターゲット35)と対向した側にテーパ面を有している。第1方向d1及び第2方向d2が下方を示し第3方向d3が上方を示すようにX線放射窓33側から磁気偏向部100に視点をおいた場合を仮定すると、左側の磁極121のテーパ面は右上がりであり、右側の磁極121のテーパ面は右下がりである。磁気偏向部120のコイル123には、図示しない偏向電源125から電流が与えられる(図4)。
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、高電圧コネクタ200、300に所定の高電圧を印加する。
高電圧コネクタ200に印加される高電圧は、電圧供給端子54を介して陰極36に与えられる。陰極36の電位は、−V/2に設定される。高電圧コネクタ300に印加される高電圧は、電圧供給端子44、固定軸1、軸受け930、回転体2及び接続部35cを介して陽極ターゲット35に与えられる。陽極ターゲット35の電位は、+V/2に設定される。X線放射窓33を含む真空外囲器31は、接地されている。
これにより陰極36から放出される電子ビームは、磁気偏向部110により連続的に偏向され、陽極ターゲット35のターゲット面35bに浅い角度で入射される。そして、ターゲット面35bに形成される焦点FからX線が放射され、X線はX線放射窓33及びX線放射窓24を透過して外部へ放射される。焦点Fから放出される反跳電子は、磁気偏向部120により連続的に偏向され、上壁32bの反跳電子捕捉面34aに衝撃される。
次に、図4を参照しながら図9乃至図11に示すX線管装置10について説明する。
第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、第1平面S1に沿った方向である。第1方向d1は、陽極ターゲット35に向かう方向であり、第3方向d3に垂直な方向である。第2平面S2から第2方向d2がなす角度は、0°より大きく40°以下である。
上記のように構成された第5の実施形態に係るX線管装置によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液6と、磁気偏向部110と、磁気偏向部120と、を備えている。X線管30は、陽極ターゲット35と、陰極36と、真空外囲器31とを備えている。陽極ターゲット35は正の高電位に設定され、陰極36は負の高電位に設定され、X線放射窓33を含む真空外囲器31は接地されている。
第1方向d1は、ターゲット面35bにほぼ垂直であり、電子ビームは、真空外囲器31(表面部34)と陽極ターゲット35との間に作用する電界の影響を受ける。しかしながら、電子ビームには、磁気偏向部110によりターゲット面35bに平行で、かつ第1平面S1に垂直となる磁場Haを作用させることができる。しかも、磁場Haは、陰極36と陽極ターゲット35の表面35bとの間の空間全域に亙ってつくることができる。これにより、0°<α≦40°とし、第2方向d2から電子ビームをターゲット面35bに入射させることができる。
中性点接地管であっても、ターゲット面35bに対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fを形成させることができるため、X線放射窓33から放出されるX線出力を増大させることができる。
第2方向d2と、第3方向d3とは同一の第1平面S1に沿った方向である。このため、X線放射窓33から放出されるX線出力を一層増大させることができる。
反跳電子は、入射電子があたかもターゲット面35bで鏡面反射する方向に最も多く散乱することから、焦点FからX線放射窓33に向かう方向に多くなるような角度分布をもって飛び出すことになる。ターゲット面35bの上方への反跳電子の散乱を低減できるため、焦点F近傍を含むターゲット面35bへの反跳電子の再衝突を抑制することができる。これにより、ターゲット面35b(焦点F)の温度上昇や、ターゲット面35bに引き起こされる荒れを抑制でき、放電の発生やX線の出力低下を抑制することができる。
上記の効果をより高めるためには、角度αが5°より大きく30°以下の範囲内の何れかである(5°<α≦30°)ことがより好ましい。
X線放射窓33は、反跳電子が多く散乱する側に位置している。しかも、陰極36は負の高電位に設定され、表面部34(X線放射窓33)は接地電位に設定されている。しかしながら、磁気偏向部120による磁場Hbの作用により、反跳電子を連続的に偏向させ、反跳電子を反跳電子捕捉面34aに衝撃させることができる。
これにより、X線放射窓33への反跳電子の直撃を低減することができ、X線放射窓33の加熱を抑制することができる。X線放射窓33の温度上昇を低減することができる。そして、X線放射窓33の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
磁極121はテーパ面を有しているため、磁場Hbを反跳電子により有効に作用させることができ、より多くの反跳電子を反跳電子捕捉面34aや、反跳電子捕捉面34aから外れた表面部34の内面に衝撃させることができる。
さらに、X線放射窓33の加熱は抑制されるため、X線放射窓33付近の冷却液6の沸騰を抑制することができる。冷却液6の沸騰にともなうガスの発生を抑制でき、X線の透過率に悪影響はおよばないため、X線画像の明瞭度の低下を抑制することができる。
反跳電子が反跳電子捕捉面34aを衝撃することにより、特に上壁32bに熱が発生するが、上壁32bに発生する熱の少なくとも一部を冷却液6に伝達することができる。しかも、上壁32bに衝突噴流を作用させることができるため、上壁32bを冷却し易くすることができる。このため、真空容器32の破損を防止することができ、ひいては真空外囲器31の真空破壊を防止することができる。
冷却液6として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができる。このため、冷却液6は、高電圧絶縁部材40及び高電圧絶縁部材50に伝わる熱を最も有効に奪うことができる。また、水系冷却液は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
また、高電圧絶縁部材40及び高電圧絶縁部材50は冷却液6に接するため、陽極ターゲット35からの熱及び陰極36からの熱を効果的に冷却液6に放散でき、高電圧絶縁部材40に接続された高電圧コネクタ300の温度や、高電圧絶縁部材50に接続された高電圧コネクタ200の温度を低くでき、長期にわたって高電圧コネクタ200、300の絶縁性を確保することができる。
上記のことから、X線管30への高電圧印加方式の如何にかかわらずにターゲット面35bに対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。上記X線管装置は、特にCT用途のX線管装置として最適である。
ここで、上記第5の実施形態に係るX線管装置の変形例について説明する。図12は、上記第5の実施形態に係るX線管装置10の変形例の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部140を示す図である。
図12に示すように、図11に示した磁気偏向部110及び磁気偏向部120は共用されていてもよい。磁気偏向部140は、上記磁気偏向部110及び磁気偏向部120の機能を兼ねている。磁気偏向部140がつくる磁場は、電子ビームの進行方向を第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化させ、かつ、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を偏向させ反跳電子捕捉面34aに衝撃させる。
次に、第6の実施形態に係るX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第5の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここで、本実施形態に係るX線管装置は、上記第2の実施形態に係るX線管装置の他の実施例に相当する。
図13は、第6の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図14は、図13の線XIV−XIVに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。図15は、上記第6の実施形態に係るX線管装置の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部、導入部及び排出部を示す図である。
図13、図14及び図15に示すように、冷却液6に絶縁油を使用している。X線管装置10は、容器130を備えている。この実施形態において、上壁32bを壁の一部とする熱伝導性に優れた容器130が取り付けられ、冷却路は容器130の内部に形成されている。
冷却器3は、ホースなどの導管を介して容器130に連通されている(図4)。冷却器3は、容器130内の冷却液7を放熱及び循環させるものである。ここで、冷却液7に水系冷却液を使用している。冷却器3は、排出部20oから取り入れた冷却液7を冷却し、導入部20iから容器130内に吐出する。
上記のように構成された第6の実施形態に係るX線管装置によれば、上壁32bを冷却する構成以外、上記第5実施形態に係るX線管装置と同様に形成されているため、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、容器130を利用することにより、上壁32bを冷却液7(絶縁油)ではなく、冷却液6(水系冷却液)で冷却することができるため、上壁32bを冷却し易くすることができる。
上記のことから、X線管30への高電圧印加方式の如何にかかわらずにターゲット面35bに対する電子ビームの不所望な偏向を抑制しX線出力を増大させることができ、X線放射窓33への反跳電子の直撃を抑制することができるX線管装置を得ることができる。
また、より頻繁にX線を放出させたり、より長時間に亘ってX線を連続的に放出させたりすることが可能となる。さらに、X線放射窓33の厚みを減少させたり、X線放射窓33を形成する材料を、より安価なアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つに代替したりすることが可能となる。
ここで、上記第6の実施形態に係るX線管装置の変形例について説明する。図16は、上記第6の実施形態に係るX線管装置10の変形例の一部を示す斜視図であり、磁気偏向部140を示す図である。
図16に示すように、図15に示した磁気偏向部110及び磁気偏向部120は共用されていてもよい。磁気偏向部140は、上記磁気偏向部110及び磁気偏向部120の機能を兼ねている。磁気偏向部140がつくる磁場は、電子ビームの進行方向を第1方向d1から第2方向d2に連続的に変化させ、かつ、焦点FからX線放射窓33に向かって放出される反跳電子を連続的に偏向させ反跳電子捕捉面34aに衝撃させる。
ここで、上記した第1乃至第6の実施形態およびその変形例において共通であるが、焦点Fの形状および電子放出源36aの形状の関係について、図3を使って説明する。電子放出源36aは平面S1に平行となる方向に長手方向を有している。このような矩形もしくは長円形状の電子放出源36aとしては、例えばコイルフィラメントや平板フィラメントなどを使用することができる。磁場Haが全く作用しない場合には、図示しないが、通常のX線管と同様、電子放出源36aの直下のターゲット面35b上に矩形もしくは長円形状の焦点F0が形成される。この焦点F0の形状は、図3の焦点Fと類似の矩形もしくは長円形状である。磁場Haが作用すると、焦点F0と類似形状で、かつ焦点F0よりもX線放射窓33側に近づく位置に焦点Fが形成される。電子放出源の形状を矩形もしくは長円形状とすることで電子放出量が大きくなり、高い管電流を得る上で有利である。
なお、電子放出源36aは、平面S1に平行となる方向に長手方向を有する複数の焦点を配置し、それらを交互に、又は同時に動作させることもできる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上記で説明した実施形態では磁場Haは陰極36と陽極ターゲット表面35bとの間の空間全域に亙ってつくられているが、磁場Haは少なくとも陽極ターゲット表面35bを含み、その近傍の空間につくられていればよい。
また例えば、X線管装置10は、閉塞機構をさらに備えていてもよい。閉塞機構は、X線放射窓33がハウジング20の開口部を通ってハウジング20の外部に露出した状態で、上記開口部及び真空外囲器31間を液密に閉塞する。X線放射窓33の過熱を防止することができるため、X線放射窓33を冷却液6に浸漬されないように構成することも可能である。上記のような構造のメリットを次に挙げる。
(冷却液6が水系の場合):冷却液6に溶け出した金属がX線放射窓33に堆積してX線透過を低下させる不具合や、冷却液6中に発生した気泡がX線放射窓33の表面に集まってX線透過を局部的に増加させたりすることによるX線画像異常の発生を防止できる。
(冷却液6が絶縁油の場合):X線放射窓33の表面での冷却液6の炭化物の堆積や、冷却液6に溶け出したX線遮蔽材料である鉛がX線放射窓33の表面に堆積によりX線透過を低下させる不具合の発生を防止できる。
本発明の実施形態は、上述したX線管装置10に限定されるものではなく、固定陽極型X線管を備えたX線管装置など、各種のX線管装置に適用可能である
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]第1方向に電子ビームを放出する電子放出源を有し接地される陰極と、第2方向から前記電子ビームが入射されることにより反跳電子が多く散乱する側となる第3方向に利用X線束を放出する焦点が形成されるターゲット面を有し正の高電圧が印加される陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容し内部が真空状態であり前記利用X線束を透過させるX線放射窓及び前記X線放射窓を含む領域の真空側の表面を形成し接地された表面部を有した真空外囲器と、を具備したX線管と、
前記電子ビームを偏向させ前記電子ビームの進行方向を前記第1方向から前記第2方向に連続的に変化させる磁場を前記陽極ターゲットの表面の近傍の空間につくる磁気偏向部と、を備え、
前記第1方向、第2方向及び第3方向は、第1平面に沿った方向であり、
前記第1方向は、前記陽極ターゲットに向かう方向であり前記第3方向に垂直な方向であり、
前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する第2平面から前記第2方向がなす角度は、0°より大きく40°以下であることを特徴とするX線管装置。
[2]前記第1方向及び第2方向が下方を示すように前記X線放射窓側から前記磁場に視点をおいた場合を仮定すると、前記磁気偏向部は、前記第1平面に垂直な左向きの前記磁場を前記電子ビームに作用させることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[3]前記磁気偏向部は、前記磁場を前記陽極ターゲットの表面に接する空間につくることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[4]前記陽極ターゲットは、前記反跳電子が衝撃される反跳電子捕捉面をさらに有し、
前記表面部は、前記焦点から前記X線放射窓に向かって放出される前記反跳電子を押し戻し前記反跳電子捕捉面に衝撃させることを特徴とする[1]に記載のX線管装置。
[5]前記磁場より前記陰極に近い空間に補正磁場をつくり前記補正磁場を前記電子ビームに作用させ前記焦点の位置を微調整する焦点位置補正部をさらに備えていることを特徴とする[1]乃至[4]の何れか1に記載のX線管装置。
[6]第1方向に電子ビームを放出する電子放出源を有し負の高電圧が印加される陰極と、第2方向から前記電子ビームが入射されることにより反跳電子が多く散乱する側となる第3方向に利用X線束を放出する焦点が形成されるターゲット面を有し接地され若しくは正の高電圧が印加される陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容し内部が真空状態であり前記利用X線束を透過させるX線放射窓及び前記X線放射窓を含む領域の真空側の表面を形成し接地された表面部を有した真空外囲器と、を具備したX線管と、
前記電子ビームを偏向させ前記電子ビームの進行方向を前記第1方向から前記第2方向に連続的に変化させる第1磁場を前記陽極ターゲットの表面の近傍の空間につくる第1磁気偏向部と、
前記焦点から前記X線放射窓に向かって放出される前記反跳電子を偏向させ前記X線放射窓から外れた前記表面部の反跳電子捕捉面に衝撃させる第2磁場をつくる第2磁気偏向部と、を備え、
前記第1方向、第2方向及び第3方向は、第1平面に沿った方向であり、
前記第1方向は、前記陽極ターゲットに向かう方向であり前記第3方向に垂直な方向であり、
前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する第2平面から前記第2方向がなす角度は、0°より大きく40°以下であることを特徴とするX線管装置。
[7]前記反跳電子捕捉面に重なった前記真空外囲器の外面に位置した冷却路を流れ前記真空外囲器に発生する熱の少なくとも一部が伝達される冷却液をさらに備えることを特徴とする[6]に記載のX線管装置。
[8]前記第1方向及び第2方向が下方を示すように前記X線放射窓側から前記第1磁場及び第2磁場に視点をおいた場合を仮定すると、前記第1磁気偏向部は前記第1平面に垂直な左向きの前記第1磁場を前記電子ビームに作用させ、前記第2磁気偏向部は前記第1平面に垂直な左向きの前記第2磁場を前記反跳電子に作用させることを特徴とする[6]に記載のX線管装置。
[9]前記第1磁気偏向部は、前記第1磁場を前記陽極ターゲットの表面に接する空間につくることを特徴とする[6]に記載のX線管装置。
[10]前記第1磁気偏向部及び第2磁気偏向部は共用されていることを特徴とする[6]乃至[9]の何れか1に記載のX線管装置。
[11]前記第1磁場が作用する空間より前記陰極に近い空間に補正磁場をつくり前記補正磁場を前記電子ビームに作用させ前記焦点の位置を微調整する焦点位置補正部をさらに備えていることを特徴とする[6]乃至[10]の何れか1に記載のX線管装置。
[12]前記X線管は、回転陽極型X線管であることを特徴とする[1]乃至[11]の何れか1に記載のX線管装置。
[13]前記X線管は、固定陽極型X線管であることを特徴とする[1]乃至[11]の何れか1に記載のX線管装置。
[14]前記焦点および前記電子放出源は前記第1平面に平行な方向を長手方向とする矩形もしくは長円形状であることを特徴とする[1]又は[6]に記載のX線管装置。
[15]開口部を有し前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
前記X線放射窓が前記開口部を通って前記ハウジングの外部に露出した状態で、前記開口部及び真空外囲器間を液密に閉塞する閉塞機構と、をさらに備えていることを特徴とする[1]又は[6]に記載のX線管装置。
3…冷却器、4…ポンプ、5…熱交換器、6,7…冷却液、10…X線管装置、15,16…高電圧電源、20…ハウジング、24…X線放射窓、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、32a…側壁、32b…上壁、33…X線放射窓、34…表面部、34a…反跳電子捕捉面、35…陽極ターゲット、35a…ターゲット層、35b…ターゲット面、35d…反跳電子捕捉面、36…陰極、36a…電子放出源、36b…集束電極、40,50…高電圧絶縁部材、100,110,120,140…磁気偏向部、130…容器、F…焦点、d1…第1方向、d2…第2方向、d3…第3方向、Ha,Hb,Hc…磁場、S1…第1平面、S2…第2平面、α…角度、β…角度。

Claims (10)

  1. 第1方向に電子ビームを放出する電子放出源を有し負の高電圧が印加される陰極と、第2方向から前記電子ビームが入射されることにより反跳電子が多く散乱する側となる第3方向に利用X線束を放出する焦点が形成されるターゲット面を有し接地され若しくは正の高電圧が印加される陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容し内部が真空状態であり前記利用X線束を透過させるX線放射窓及び前記X線放射窓を含む領域の真空側の表面を形成し接地された表面部を有した真空外囲器と、を具備したX線管と、
    前記電子ビームを偏向させ前記電子ビームの進行方向を前記第1方向から前記第2方向に連続的に変化させる第1磁場を前記陽極ターゲットの表面の近傍の空間につくる第1磁気偏向部と、
    前記焦点から前記X線放射窓に向かって放出される前記反跳電子を偏向させ前記X線放射窓から外れた前記表面部の反跳電子捕捉面に衝撃させる第2磁場をつくる第2磁気偏向部と、を備え、
    前記第1方向、第2方向及び第3方向は、第1平面に沿った方向であり、
    前記第1方向は、前記陽極ターゲットに向かう方向であり前記第3方向に垂直な方向であり、
    前記焦点が形成される位置の前記ターゲット面に接する第2平面から前記第2方向がなす角度は、0°より大きく40°以下であることを特徴とするX線管装置。
  2. 前記反跳電子捕捉面に重なった前記真空外囲器の外面に位置した冷却路を流れ前記真空外囲器に発生する熱の少なくとも一部が伝達される冷却液をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
  3. 前記第1方向及び第2方向が下方を示すように前記X線放射窓側から前記第1磁場及び第2磁場に視点をおいた場合を仮定すると、前記第1磁気偏向部は前記第1平面に垂直な左向きの前記第1磁場を前記電子ビームに作用させ、前記第2磁気偏向部は前記第1平面に垂直な左向きの前記第2磁場を前記反跳電子に作用させることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
  4. 前記第1磁気偏向部は、前記第1磁場を前記陽極ターゲットの表面に接する空間につくることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
  5. 前記第1磁気偏向部及び第2磁気偏向部は共用されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のX線管装置。
  6. 前記第1磁場が作用する空間より前記陰極に近い空間に補正磁場をつくり前記補正磁場を前記電子ビームに作用させ前記焦点の位置を微調整する焦点位置補正部をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線管装置。
  7. 前記X線管は、回転陽極型X線管であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のX線管装置。
  8. 前記X線管は、固定陽極型X線管であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のX線管装置。
  9. 前記焦点および前記電子放出源は前記第1平面に平行な方向を長手方向とする矩形もしくは長円形状であることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
  10. 開口部を有し前記X線管を収納したハウジングと、
    前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
    前記X線放射窓が前記開口部を通って前記ハウジングの外部に露出した状態で、前記開口部及び真空外囲器間を液密に閉塞する閉塞機構と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
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