JP2016018687A - 回転陽極型x線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管装置 Download PDF

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阿武 秀郎
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【課題】安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を提供する。【解決手段】回転陽極型X線管装置は、陰極、陽極ターゲット、支持機構及び真空外囲器を有する回転陽極型X線管と、ハウジングと、回転陽極型X線管とハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、被覆部材15と、を備える。被覆部材15は、樹脂で形成され、少なくともガラス外囲器の外面を被覆している。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、回転陽極型X線管装置に関する。
医療分野等で行うX線撮影には、一般に回転陽極型X線管装置をX線源とするX線装置が使用されている。X線撮影としては、レントゲン撮影、CT(computer tomography:コンピューター断層撮影)などが挙げられる。回転陽極型X線管装置は、ハウジングと、ハウジング内に収納されX線を放射する回転陽極型X線管と、ハウジングと回転陽極型X線管との間の空間に充填された冷却液(絶縁油など)と、を備えている。
ハウジングは、アルミ鋳物のような脆性材料で形成されている。ハウジングの内面には、X線を遮蔽する鉛板が張り付けられている。また、ハウジングにはX線を透過するX線透過窓が設けられている。
回転陽極型X線管は、陽極ターゲットと、陰極と、陽極ターゲット及び陰極を収容し内部が減圧された真空外囲器と、を備えている。陽極ターゲットは、高速回転(例えば10000RPM)が可能である。陽極ターゲットは、タングステン合金で形成されたターゲット層(傘状部)を有している。陰極は、陽極ターゲットの軸線から偏心して位置し、ターゲット層に対向している。
高電圧が、陰極と陽極ターゲットとの間に印加される。このため、陰極が電子を放出すると、電子は、加速及び集束され、ターゲット層に衝突する。これにより、ターゲット層は、X線を放射し、X線はX線透過窓からハウジングの外部に放出される。
X線CT装置(X-ray CT scanner)や循環器診断装置などに使用されるX線管装置には、高強度のX線出力が求められる場合がある。また、上記X線管装置には、長時間にわたる連続的なX線出力、又は高頻度の断続的なX線出力が求められる場合がある。この場合、冷却液を強制的に冷やす必要があるため、X線管装置はクーラユニットを具備している。
クーラユニットは、ハウジングの外側において冷却液の循環路に取り付けられている。クーラユニットは、熱交換器と、ハウジングと熱交換器とに連結され冷却液の循環路を形成する導管と、循環路中に冷却液を循環させる循環ポンプとから構成される。
特開2010−244940号公報 特開2010−257900号公報 特開2010−257902号公報
ところで、上記回転陽極型X線管装置は、暴走し、制御不能になる場合がある。回転陽極型X線管装置が故障し、回転陽極型X線管装置の使用中にインターロック機能が働かなくなったことが原因である。通常、インターロック機能は、冷却液の圧力、又は温度の検知結果に基づいて働く。例えば、インターロック機能はハウジング表面の温度が75乃至80℃で働く。
また、回転陽極型X線管装置は、ハウジングの一部を破壊することで冷却液をハウジングの外部に排出するように構成されている。例えば、回転陽極型X線管装置の暴走が続き、冷却液の圧力が所定値を超えた場合、回転陽極型X線管装置は、冷却液をハウジングの外部に排出する。
しかしながら、上記回転陽極型X線管装置が制御不能になった場合、回転陽極型X線管が破損し、真空外囲器内に冷却液が吸い込まれる場合がある。この場合、高温度の陽極ターゲットに冷却液が触れるため、冷却液が蒸発または熱分解してガスが発生し、ハウジング内部の圧力が急上昇する恐れがある。冷却液が絶縁油である場合においては、ハウジング内部に外気が入り込むと、絶縁油に引火する恐れがある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を提供することにある。
一実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、
電子を放出する陰極と、X線を放出する陽極ターゲットと、前記陽極ターゲットを回転自在に支持する支持機構と、前記陰極、陽極ターゲット及び支持機構を収容したガラス外囲器を含む真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記回転陽極型X線管を収納するハウジングと、
前記回転陽極型X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
樹脂で形成され、少なくとも前記ガラス外囲器を被覆し、前記冷却液に露出した露出部を有する弾性の被覆部材と、
を備える。
また、一実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、
上記回転陽極型X線管装置において、前記ガラス外囲器と前記ハウジングとの間に位置し、前記ガラス外囲器に隙間を置いて設けられ、前記陽極ターゲットの軸線に沿って延在し、少なくとも前記ガラス外囲器を取り囲み、前記冷却液に接し、前記冷却液に対して耐性のある材料で形成されたシェルをさらに備え、
前記被覆部材は、前記ガラス外囲器と前記シェルとの間の隙間に充填され、前記ガラス外囲器を埋め尽くし、前記シェルで被覆された被覆部と前記冷却液に露出した露出部とを有する。
図1は、第1の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図2は、上記第1の実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。 図3は、上記第1の実施形態に係る回転陽極型X線管を示す断面図である。 図4は、上記図1に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図5は、上記第1の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図6は、上記第1の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図7は、上記第1の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図8は、上記第1の実施形態の変形例4に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図9は、上記第1の実施形態の変形例5に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図10は、第2の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図11は、上記図10に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図12は、第3の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図13は、図12の線XIII−XIIIに沿った上記第3の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図であり、ハウジング、シェル構造体、複数のスペーサ、複数のフィン、ゴム部材及びX線放射窓を取り出して示す図である。 図14は、第4の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図15は、第5の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図16は、第6の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図17は、第7の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図18は、上記図17に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図19は、上記第7の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図20は、上記第7の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図21は、上記第7の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図22は、第8の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図23は、上記図22に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓及びその近傍を示す図である。 図24は、第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図25は、第10の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図26は、第11の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図27は、比較例1に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。 図28は、比較例2に係る回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。図3は、本実施形態に係る回転陽極型X線管を示す断面図である。図4は、図1に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図1に示すように、X線管装置は、大まかにハウジング20と、ハウジング20内に収納された回転陽極型のX線管30と、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された冷却媒体としての冷却液7と、シェル6aと、回転駆動部としてのステータコイル9と、高電圧ケーブル61、71と、リセプタクル300、400とを備えている。冷却液7としては、水系冷却液や、電気絶縁性の冷却液としての絶縁油を利用することができる。この実施形態において、冷却液7は、絶縁油である。
ハウジング20は、筒状に形成されたハウジング本体20eと、蓋部(側板)20f、20g、20hとを有している。ハウジング本体20e及び蓋部20f、20g、20hは、金属材料又は樹脂材料で形成されている。ハウジング本体20eは、金属等、熱伝導率の高い材料で形成されている方が望ましい。ハウジング本体20eがラジエータとしても機能するためである。なお、金属材料で形成されているハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されているハウジング本体に比べて冷却液7の熱が伝わり易く、外部に放熱し易い。
この実施形態において、ハウジング本体20e及び蓋部20f、20g、20hはアルミニウムを用いた鋳物で形成されている。樹脂材料を使用する場合は、ネジ部など強度を必要とする個所や、樹脂の射出成形で成形し難い個所、またハウジング20の外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する図示しない遮蔽層など、部分的に金属を併用しても良い。
ハウジング20を形成する材料に樹脂材料を使用する場合、上記樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいると望ましい。
後述する高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、環状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、環状の溝部が形成されている。X線管装置の管軸に沿った方向において、蓋部20fの周縁部はハウジング本体20eの段差部に接触している。ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20iが嵌合されている。
C形止め輪20iは、管軸に沿った方向における、ハウジング本体20eに対する蓋部20fの位置を規制している。この実施形態において、蓋部20fのがたつきを防止するため、蓋部20fの位置は固定されている。管軸に直交した方向において、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間の隙間は、Oリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。
上記のことから、高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20f、C形止め輪20i及びOリングにより液密に閉塞されている。
後述する高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、環状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、環状の溝部が形成されている。蓋部20gはハウジング本体20eの内部に位置している。管軸に沿った方向において、蓋部20gの周縁部はハウジング本体20eの段差部とともに後述するX線遮蔽部510を挟んでいる。蓋部20hは蓋部20gに対向している。この実施形態において、蓋部20hは、円環部を有し、円環部は蓋部20g側に突出して形成されている。
ハウジング本体20eの上記内周面及び蓋部20g、並びに蓋部20hの隙間は、枠状のOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ゴムベローズ21の周縁部で形成され、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20jが嵌合されている。C形止め輪20jは、蓋部20hがOリングへ応力を加えている状態を保持している。上記のことから、高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20g、蓋部20h、C形止め輪20j及びゴムベローズ21により液密に閉塞されている。
蓋部20gは、冷却液7が出入りする開口部20kを有している。蓋部20hには、雰囲気としての空気が出入りする通気孔20mが形成されている。ゴムベローズ21は、ハウジング20内において、蓋部20g及び蓋部20hで囲まれた領域を、開口部20kと繋がった第1空間と、通気孔20mと繋がった第2空間とに区切っている。冷却液7の圧力調整は、ゴムベローズ21により行われている。
図1及び図4に示すように、ハウジング本体20eは、X線透過領域R1に対向したX線放射口20oを有している。X線放射口20oは、ハウジング本体20eの一部を貫通して形成されている。ハウジング20は、X線放射窓20wを有している。X線放射窓20wは、X線を透過しハウジング20外部に放射する。
X線放射窓20wは、ハウジング20の外側に位置している。X線放射窓20wは、機械的強度の高い材料を利用して形成することができる。この実施形態において、X線放射窓20wは、アルミニウムを利用して形成されているが、他の金属材料や樹脂などを利用して形成することも可能である。X線放射窓20wは凹型形状を有し、X線管30とX線放射窓20wとの間隔の低減を図っている。
X線放射窓20wに対向したハウジング本体20eの外壁には、取付け面が形成されている。X線放射口20oを囲むようにハウジング本体20eの取付け面には枠状の溝部が形成されている。X線放射窓20wは、上記取付け面に対向した状態で、上記取付け面に接触され、締め具としてのねじ20sによりハウジング本体20eに結合されている。ねじ20sは、X線放射窓20wに形成された貫通孔を通り、ハウジング本体20eに形成されたねじ穴に締め付けられている。
ハウジング本体20eの取付け面に形成された溝部には、枠状のOリングが設けられている。上記Oリングは、ハウジング本体20eとX線放射窓20wとの間の隙間を液密にシールしている。ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。上記のことから、ハウジング本体20eのX線放射口20oは、X線放射窓20w、ねじ20s及びOリングにより液密に閉塞されている。
図1、図2及び図3に示すように、X線管30は、真空外囲器31、陽極ターゲット35及び陰極36を備えている。真空外囲器31は、径大部、径小部及び中継部を有している。径大部は、後述する軸線aに垂直な方向にて陽極ターゲット35と対向している。径小部は、軸線aに垂直な方向にて後述するロータ10と対向している。中継部は、径大部と径小部とを繋いでいる。
真空外囲器31は、真空容器32を有している。真空容器32は、例えば、ガラス、又は銅、ステンレス及びアルミニウム等の金属で形成されている。この実施形態において、真空容器32はガラスで形成されている。なお、真空容器32を金属で形成する場合、真空容器32は、X線透過領域R1に対向した開口を有している。そして、真空容器32の開口は、X線を透過する材料としてのベリリウムなどで形成されたX線透過窓で気密に閉塞されている。真空外囲器31の一部は、高電圧絶縁部材50で形成されている。本実施形態において、高電圧絶縁部材50は、ガラスで形成されている。
陽極ターゲット35は、真空外囲器31内に設けられている。陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられた傘状のターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から照射される電子が衝突することによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。
陽極ターゲット35の外側面や、陽極ターゲット35でのターゲット層35aとは反対側の表面には、黒色化処理が施されている。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転自在である。このため、陽極ターゲット35の軸線aは、管軸と平行である。
陰極36は、真空外囲器31内に設けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に照射する電子を放出する。陰極36には第1電圧が印加される。本実施形態において、第1電圧は負の高電圧である。低膨張合金であるKOV部材55は、真空外囲器31内で高電圧供給端子54を覆っている。ここでは、高電圧供給端子54と高電圧絶縁部材50の間はガラス封着され、KOV部材55は高電圧絶縁部材50に摩擦ばめを利用して固定されている。KOV部材55には、陰極支持部材37が取付けられている。陰極36は、陰極支持部材37に取付けられている。
高電圧供給端子54は、陰極支持部材37の内部を通って陰極36に接続されている。高電圧供給端子54は、陰極36に第1電圧を印加するとともに陰極36の図示しないフィラメント(電子放出源)にフィラメント電流を供給するものである。
X線管30は、固定軸1、回転体2、軸受け3及びロータ10を備えている。固定軸1は、円柱状に形成されている。固定軸1の外周の一部には突出部が形成され、突出部は、真空外囲器31に気密に取付けられている。固定軸1には、高電圧供給端子44が電気的に接続されている。固定軸1は回転体2を回転可能に支持する。回転体2は筒状に形成され、固定軸1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ10が取り付けられている。回転体2には、陽極ターゲット35が取付けられている。軸受け3は、固定軸1と回転体2の間に形成されている。回転体2は、固定軸1の周囲で軸受け3により回転自在に支持されている。回転体2は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。
固定軸1、回転体2及び軸受け3は、陽極ターゲット35を回転自在に支持する支持機構を形成している。高電圧供給端子44は、固定軸1、軸受け3及び回転体2を介して陽極ターゲット35に第2電圧を印加する。この実施形態において、第2電圧は正の高電圧であり、高電圧供給端子44及び高電圧供給端子54は金属端子である。そして、上記のように、X線管30に第1電圧及び第2電圧を与えることにより、陽極ターゲット35の電位を陰極36の電位より高く設定することができる。
図1及び図4に示すように、X線管装置は、X線遮蔽材で形成されたX線遮蔽部510,520,530,540,590をさらに備えている。X線遮蔽材としては、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つを含む金属、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物を利用することができる。本実施形態では、X線遮蔽部510,520,530,540,590は鉛で形成されている。X線遮蔽部510,520,530,540,590の表面には、防食保護のため、錫、銀、銅、ニッケルなどの金属メッキや樹脂コーティングなどを形成しても良い。
また、X線遮蔽部510,520,530,540,590は、接地されている。本実施形態において、これらのX線遮蔽部は、金属で形成されたハウジング20に電気的に接続され、接地されている。
図1及び図3に示すように、X線遮蔽部510は、管軸に沿った方向にターゲット層35aと対向したハウジング20の一端側に設けられている。X線遮蔽部510は、ターゲット層35aから放射されるX線を遮蔽するものである。X線遮蔽部510は、第1遮蔽部511及び第2遮蔽部512を有している。
第1遮蔽部511は、管軸に沿った方向にターゲット層35aと対向した側の蓋部20gに貼り付けられている。第1遮蔽部511は、蓋部20g全体を覆っている。第1遮蔽部511は、開口部20kと対向した個所が開口して形成され、開口部20kによる冷却液7の出入りを維持している。
第2遮蔽部512は、第1遮蔽部511上に設けられ、開口部20kと対向している。第2遮蔽部512は、開口部20k付近からハウジング20の外部に出射する恐れのあるX線を遮蔽するものである。
X線遮蔽部520は円筒状に形成されている。X線遮蔽部520の一端部は、第1遮蔽部511に近接又は接触している。このため、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
X線遮蔽部520は、管軸に沿って第1遮蔽部511から陽極ターゲット35(ターゲット層35aの表面の延長線上)を越える位置まで延出している。この実施形態において、X線遮蔽部520は、第1遮蔽部511からステータコイル9を囲む位置まで延出している。
X線遮蔽部520は、X線放射口20oにおけるハウジング20外部へのX線の放射を妨げることのないように設けられている。本実施形態において、X線遮蔽部520は、X線放射口20oと対向した開口部を有している。なお、X線遮蔽部520は、ハウジング20の筒部20cと対向した開口部をさらに有している。
また、本実施形態において、X線遮蔽部520は、鉛板をハウジング本体20eの内面に貼り付けることにより筒状に形成されている。なお、X線遮蔽部520は、ハウジング20の外部で筒状に形成された後、ハウジング20内部に組み込まれていてもよい。この場合、ハウジング本体20eに鉛板を内貼りしなくともよく、上記鉛板を貼り付ける場合に比べて簡単にX線遮蔽部520を製造することができる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。また、内貼りされた鉛を分別する場合に比べて鉛の分別が容易になるため、一層、資源の有効活用に寄与することができる。これにより、例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、人体への不要な放射(被曝)を防止することができる。
図1に示すように、X線遮蔽部530は、筒状に形成され、ハウジング20の筒部20c内に設けられている。X線遮蔽部530の一端部は、X線遮蔽部520に近接又は接触している。X線遮蔽部530は、鉛板を筒部20cの内面に貼り付けることにより筒状に形成されている。なお、X線遮蔽部530は、ハウジング20の外部で筒状に形成された後、ハウジング20内部に組み込まれていてもよい。この場合、X線遮蔽部530は、必要に応じて筒部20cに固定される。例えば、X線遮蔽部530は、筒部20cの内壁に形成された突出部に固定されてもよい。なお、上記突出部は、X線遮蔽部530の位置決めにも利用されている。このため、筒部20cから出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
図1及び図4に示すように、X線遮蔽部540は、枠状に形成され、ハウジング20のX線放射口20oの側縁に設けられている。X線遮蔽部520と同様に、X線遮蔽部540は、X線放射口20oにおけるハウジング20外部へのX線の放射を妨げることのないように設けられている。X線遮蔽部540の一端部は、X線遮蔽部520に近接又は接触している。X線遮蔽部540は、鉛板をX線放射口20oの側縁に貼り付けることにより筒状に形成されている。なお、X線遮蔽部540は、ハウジング20の外部で筒状に形成された後、ハウジング20内部に組み込まれていてもよい。この場合、X線遮蔽部540は、必要に応じてX線放射口20oの側縁に固定される。
図1及び図2に示すように、X線遮蔽部590は、環状に形成されている。X線遮蔽部590は、ステータコイル9に取り付けられている。X線遮蔽部590は、X線遮蔽部520で取り囲まれている。X線遮蔽部590は、散乱X線の遮蔽に寄与している。
図1乃至図4に示すように、シェル6aは、真空外囲器31とハウジング20(ハウジング本体20e)との間に位置している。シェル6aは、真空外囲器31及びハウジング20に隙間を置いて設けられている。シェル6aは、軸線aに沿って延在している。軸線aに平行な方向において、シェル6aは真空外囲器31より長い。シェル6aは、真空外囲器31の全体を取り囲んでいる。シェル6aは、冷却液(絶縁油)7に接し、絶縁油に対して耐性(耐鉱物油性)のある材料で形成されている。シェル6aは、ハウジング20との間に冷却液7の流路を形成している。
シェル6aは、軸線aに沿って陰極と反対側に配置される第1シェル部材6a1と、軸線aに沿って陰極側に配置される第2シェル部材6a2と、を有している。
第1シェル部材6a1は、軸線aに平行な方向に延在し真空外囲器31の径小部を取り囲む側壁部と、真空外囲器31の中継部を取り囲む円錐部と、が一体となって形成されている。第1シェル部材6a1の形状は、X線管30の形状に対応している。第1シェル部材6a1は、電気絶縁性の材料で形成されている。この実施形態において、第1シェル部材6a1は、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。第1シェル部材6a1は、接続部材40を介してX線管30に固定されている。ここで、接続部材40の機械的強度は高く、接続部材40は例えば真鍮で形成されている。第1シェル部材6a1と接続部材40は機械的に強固に液密に接続されている。第1シェル部材6a1は、X線管30とハウジング20との間や、X線管30とステータコイル9との間を電気的に絶縁するものである。
第2シェル部材6a2は、真空外囲器31の径大部を取り囲んでいる。第2シェル部材6a2の形状は、X線管30の形状に対応している。第1シェル部材6a1の径大部と第2シェル部材6a2の径大部とは、軸線aに平行な方向に突合わされている。この実施形態において、第2シェル部材6a2は第1シェル部材6a1に接触しているが、第2シェル部材6a2は第1シェル部材6a1に接着されていてもよい。
また、この実施形態において、第2シェル部材6a2は、電気絶縁性の材料で形成されている。ここでは、第2シェル部材6a2は、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。この場合、第1シェル部材6a1及び第2シェル部材6a2を形成する材料としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料を挙げることができる。条件次第では、第2シェル部材6a2は、防護体として機能する。
また、シェル6a(第1シェル部材6a1、第2シェル部材6a2)の厚みや、真空外囲器31とシェル6aとの間隔は、できるだけ小さい方が望ましい。X線管30の熱が冷却液7に伝達され易くなるためである。なお、上記厚みはシェル6aの内周面と外周面との最短距離であり、上記間隔は、真空外囲器31の外周面からシェル6aの内周面までの最短距離である。例示的に示すと、シェル6a(第1シェル部材6a1、第2シェル部材6a2)の厚みは、2.5mmであり、真空外囲器31とシェル6aとの間隔は、2.0mmである。
第2シェル部材6a2(シェル6a)がある程度の強度と延性を有し、陽極ターゲット35全体を取り囲んでいる場合、第2シェル部材6a2は防護体として機能することができる。例えば、第2シェル部材6a2が単独で防護体として機能することができ得る。陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した陽極ターゲット35の破片は、ガラスで形成された真空容器32を破壊し、更にハウジング20の内面に向かう方向へと飛散する。第2シェル部材6a2は、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。
第2シェル部材6a2に陽極ターゲット35の破片が衝突しても、第2シェル部材6a2は十分な変形を起こすことにより破片の運動エネルギを吸収することができる。第2シェル部材6a2及びハウジング20は、隙間を置いて位置しているため、第2シェル部材6a2に変形が生じてもハウジング20自体の変形を防止できる。これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を防止することができる。
図1及び図2に示すように、被覆部材15は、樹脂で形成され、真空外囲器31とシェル6aとの間の隙間に充填されている。被覆部材15は、電気絶縁性及び弾性を有している。この実施形態において、被覆部材15は、ゴム弾性を有し、シリコーンゴムで形成されている。シリコーンゴムは耐熱性に優れている。なお、被覆部材15は、シリコーンゴムに、シリコーンゴムより熱伝導性の高いフィラー材(熱伝導性フィラー材)を含有した材料で形成されていてもよい。被覆部材15は、真空外囲器31を埋め尽くし、真空外囲器31に接着されている。被覆部材15は、真空外囲器31(真空容器32)及びシェル6a(第1シェル部材6a1、第2シェル部材6a2)に接着されている。被覆部材15は、シェル6aで被覆された被覆部と、シェル6aの外側に露出した露出部とを有している。
第1シェル部材6a1及び第2シェル部材6a2は、被覆部材15の充填に用いる型枠としても使用される。上記のことから、第1シェル部材6a1及び第2シェル部材6a2は、被覆部材15により一体に形成される。
他のモールド部材18は、被覆部材15の露出部が冷却液7に接しないよう、被覆部材15の露出部を被覆している。被覆部材18は、冷却液(絶縁油)7に接し、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。被覆部材18は電気絶縁性を有している。被覆部材18を形成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂を挙げることができる。
上記のように、被覆部材15は、冷却液(絶縁油)7に接することがないようにシェル6a及び被覆部材18で被覆されている。被覆部材15の劣化を防止することができる。なお、被覆部材15は、絶縁油に接すると膨潤し、劣化してしまう。上記のことから、耐絶縁油性に劣る材料を利用して被覆部材15を形成することが可能となる。
被覆部材15は、シェル6aや被覆部材18より割れ難く変形し易い。このため、真空外囲器31(真空容器32)が破損した場合でも、被覆部材15の作用により、真空外囲器31の内部に冷却液7が入り込む経路を無くすことができる。
図4に示すように、X線管装置は、X線透過窓23と、接着部材25と、をさらに備えている。第2シェル部材6a2(シェル6a)は、X線を通過させる開口部6oを有している。被覆部材15は、上記開口部6oと対向した他の開口部15oを有している。開口部6o及び開口部15oはX線透過領域R1に対向している。真空容器32は、ガラス外囲器であり、開口部6o,15oと対向している。X線透過窓23は、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。この実施形態において、X線透過窓23は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂で形成されている。X線透過窓23は、開口部6o,15oと対向している。X線透過窓23は、凹型形状を有し、真空容器32とX線透過窓23との間の空気の層の低減を図っている。例えば、空気がX線で分解されることによる悪影響を及び難くすることができる。
接着部材25は、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。この実施形態において、接着部材25は、エポキシ樹脂で形成されている。接着部材25は、X線透過窓23を第2シェル部材6a2(シェル6a)に接着している。接着部材25は、枠状に形成され、X線透過窓23と第2シェル部材6a2との間の隙間を液密に閉塞している。
上記のことから、X線透過領域R1においても、X線透過窓23及び接着部材25により、冷却液7が被覆部材15に接することは無い。
また、X線透過領域R1に被覆部材15は存在しないため、放射X線の透過率を低減することができる。
図2に示すように、少なくとも、X線管30、シェル6a、被覆部材15及び被覆部材18は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。この実施形態において、X線管ユニット5は、X線管30、シェル6a、被覆部材15及び被覆部材18に、接続部材40、ステータコイル9及びX線遮蔽部590を加えて形成されている。
図1及び図3に示すように、ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。ステータコイル9は、シェル6aに対してX線管30の反対側に位置している。ステータコイル9は、ロータ10の外面に対向して真空外囲器31の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向でのシェル6aの位置を規制している。この実施形態において、ステータコイル9は、第1シェル部材6a1の外面に接触している。なお、X線管30にがたつきが生じないよう、ステータコイル9の一部と第1シェル部材6a1の外面とは接着剤により接着されている。
ステータコイル9は、ロータ10、回転体2及び陽極ターゲット35を回転させるものである。ステータコイル9に所定の電流が供給されることでロータ10に与える磁界を発生するため、陽極ターゲット35などが所定の速度で回転される。
図1に示すように、X線管装置は、陽極用のリセプタクル300及び陰極用のリセプタクル400を有している。リセプタクル300は、ハウジング20の筒部20aの内部に位置し、筒部20aに取付けられている。リセプタクル400は、ハウジング20の筒部20cの内部に位置し、筒部20cに取付けられている。例えば、筒部20a及び筒部20cは、ハウジング本体20eと同一材料を利用して一体に形成されている。
リセプタクル300は、電気絶縁部材としてのハウジング301と、高電圧供給端子としての端子302とを有している。
ハウジング301は、筒部20a(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング301は、ほぼ軸対称なコップ形状である。また、ハウジング301のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口している。
ハウジング301の開口側の端部において、ハウジング301の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング301は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子302は、ハウジング301の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。
高電圧ケーブル61は、冷却液7に浸っている。高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部がハウジング20内の空間を通って端子302に電気的に接続されている。高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続には、溶接や半田付けの接続方式を利用することができる。又は、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44とを着脱可能に接続する摩擦ばめを利用した接続方式を利用することも可能である。
電気絶縁性部材64は、電気絶縁性樹脂で形成され、端子302と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、ハウジング301に直に接着されている。より詳しくは、電気絶縁性部材64はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材64を利用することにより、端子302と高電圧ケーブル61との電気的接続部と、ハウジング20との電気絶縁性を向上することができる。
なお、上記電気的接続部だけではなく、他の個所にもモールド材等を適用することにより、ハウジング20内部の電気絶縁性の向上を図ることができる。この場合、冷却液7に水系冷却液を利用することができ得る。
筒部20aの段差部と、ハウジング301の突出部との間にはOリングが介在されている。筒部20aの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット310は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット310の雄ねじは、筒部20aの雌ねじに締め付けられている。これにより、Oリングは、筒部20aの段差部と、ハウジング301の突出部とにより加圧される。リセプタクル300は筒部20aに液密に取付けられるため、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
リセプタクル300及びリセプタクル300に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル300に連結した状態で、プラグから端子302に高電圧(例えば、+70乃至+80kV)が供給される。
リセプタクル400は、リセプタクル300と同様に形成されている。
リセプタクル400は、電気絶縁部材としてのハウジング401と、高電圧供給端子としての端子402とを有している。
ハウジング401は、筒部20c(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング401は、ほぼ軸対称なコップ形状である。また、ハウジング401のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口している。
ハウジング401の開口側の端部において、ハウジング401の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング401は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子402は、ハウジング401の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。
高電圧ケーブル71は、冷却液7に浸っている。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部がハウジング20内の空間を通って端子402に電気的に接続されている。高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54との接続には、溶接や半田付けの接続方式を利用することができる。又は、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54とを着脱可能に接続する摩擦ばめを利用した接続方式を利用することも可能である。
電気絶縁性部材74は、電気絶縁性樹脂で形成され、端子402と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くし、ハウジング401に直に接着されている。より詳しくは、電気絶縁性部材74はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材74を利用することにより、端子402と高電圧ケーブル71との電気的接続部と、ハウジング20との電気絶縁性を向上することができる。
筒部20cの段差部と、ハウジング401の突出部との間にはOリングが介在されている。筒部20cの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット410は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット410の雄ねじは、筒部20cの雌ねじに締め付けられている。これにより、Oリングは、筒部20cの段差部と、ハウジング401の突出部とにより加圧される。リセプタクル400は筒部20cに液密に取付けられるため、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
リセプタクル400及びリセプタクル400に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル400に連結した状態で、プラグから端子402に高電圧(例えば、−70乃至−80kV)が供給される。
上記のように構成されたX線管装置では、ステータコイル9に所定の電流を印加することでロータ10が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、リセプタクル300、400に所定の高電圧を印加する。
リセプタクル300に印加された高電圧は、高電圧ケーブル61、高電圧供給端子44、固定軸1、軸受け930及び回転体2を介して陽極ターゲット35に供給される。リセプタクル400に印加された高電圧は、高電圧ケーブル71及び高電圧供給端子54を介して陰極36に供給される。
これにより、陰極36から放出された電子は陽極ターゲット35のターゲット層35aに衝突し、陽極ターゲット35からX線が放射される。X線は、真空容器32、X線透過窓23及びX線放射窓20wを透過し、ハウジング20の外部へ放射される。
上記のように構成された第1の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(1)真空外囲器31破損時の安全性を確保することができる。
X線管装置が制御不能になった場合、真空外囲器31が破損し、真空外囲器31内に冷却液が吸い込まれる場合がある。この場合、高温度の陽極ターゲット35に冷却液7が触れるため、冷却液7が熱分解してガスが発生し、ハウジング20内部の圧力が急上昇する恐れがある。本実施形態において、冷却液7は絶縁油であるため、ハウジング内部に外気が入り込むと、絶縁油に引火する恐れがある。
しかしながら、本実施形態において、真空外囲器31は被覆部材15で埋め尽くされている。被覆部材15は、真空外囲器31に接着されている。被覆部材15は、変形し易い。このため、真空外囲器31(真空容器32)が破損した場合でも、被覆部材15が破損して真空外囲器31の内部に冷却液7が入り込む経路が形成されることはない。上記のことから、X線管装置が制御不能になった場合、ハウジング20の内圧が急上昇し、その結果ハウジング20の破壊エネルギが高まってしまうという危険性を回避することができる。また、X線管装置が制御不能になった場合、漏出した冷却液(絶縁油)7に引火する危険性を回避することができる。
被覆部材15は、冷却液(絶縁油)7に接することがないようにシェル6a及び被覆部材18で被覆されている。このため、耐絶縁油性に劣る材料を利用して被覆部材15を形成することができ、被覆部材15の劣化を防止することができる。
また、本実施形態において、X線管装置は、被覆部材15より硬いシェル6aを備えているが、シェル6aが無く、真空外囲器31(真空容器32)が被覆部材15で埋め尽くされているだけの場合でも、被覆部材15がある程度の厚み(約2mm以上)を有すれば真空外囲器31(真空容器32)が破損した場合でも、被覆部材15が破損して真空外囲器31の内部に冷却液7が入り込む経路が形成されることはない。
(2)陽極ターゲット35破損時の安全性を確保することができる。
X線管装置において、万一、陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、陽極ターゲット35の破片は高い運動エネルギを有した状態で飛散する恐れがある。陽極ターゲット35の破片が飛散した場合、破片により、真空外囲器31が破壊される。破片は、さらにハウジング20(アルミ鋳物)にも衝突するため、ハウジング20にも破損(脆性破壊)が生じる恐れがある。X線撮影中にハウジング20に破損が生じると、被検査体(例えば人体)に高温の冷却液7がかかってしまう危険性がある。
シェル6aがある程度の強度と延性を有する場合、シェル6aは防護体として機能することができる。シェル6aは、陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。シェル6aに陽極ターゲット35の破片が衝突しても、シェル6aは十分な変形を起こすことにより運動エネルギを吸収することができる。
これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を防止することができる。例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、被検査体(例えば人体)に高温の冷却液7がかかってしまう危険性を排除することができる。
また、シェル6aが防護体として機能する場合、ハウジング20を樹脂材料で形成することができる。樹脂材料は金属に比べて熱伝達率や機械的強度が劣るが、安価であるため、ハウジング20の製造コストの低減と、軽量化とを図ることができる。
(3)X線管ユニット5を形成することによる効果を得ることができる。
第1シェル部材6a1及び第2シェル部材6a2は電気絶縁性の材料で形成されている。X線管ユニット5単体で、電圧耐久性の確認試験を行うことができる。X線管装置に組み立てることなく、X線管ユニット5単体で信頼性試験を実施することができる。X線管装置単位ではなく、X線管ユニット5単体で輸送可能になるため、輸送コストの低減を図ることができる。
(4)シェル6aを設けたことによる効果を得ることができる。
シェル6aは、X線管30の周りを取り囲み、冷却液7より絶縁特性に優れている。シェル6aを設けることにより、シェル6aを設けない場合に比べてX線管30と、ハウジング20との間の絶縁パスを短くすることができる。これにより、X線管装置の小型化を図ることができる。そして、X線管装置の小型化と、電圧耐久性の向上との両立を図ることができる。また、上記したようにX線管ユニット5単体で電圧耐久性の確認試験を行い、X線管ユニット5をハウジング20内に組み込んだ状態での電圧耐久性の確認試験を省略することも可能となる。
また、シェル6aは、冷却液7が流れる流路形成体を形成している。シェル6aは、ハウジング20との間に冷却液7の自然対流が生じる冷却液流路を形成している。上記冷却液流路が無い場合と比べてハウジング20の局所過熱が生じ難いため、冷却液7からハウジング20への熱伝達の向上を図ることができる。なお、シェル6aとハウジング本体20eの内壁との間には、冷却液7の自然対流による流れが生じるための十分な間隔(約0.2mm以上)を置いた方が望ましい。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第1の実施形態の変形例1)
次に、上記第1の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図5は、上記第1の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図5に示すように、本変形例1のX線管装置は、上述した第1の実施形態に係るX線管装置に他の接着部材26を付加して形成されている。接着部材26は、真空容器32(ガラス外囲器)、被覆部材15及びX線透過窓23で囲まれた空間に充填されている。接着部材26は、X線透過窓23を真空容器32(ガラス外囲器)に接着させている。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、本変形例1のX線管装置は接着部材26を備えている。このため、真空容器32とX線透過窓23との間に存在し得る空気の層を排除することができる。
(第1の実施形態の変形例2)
次に、上記第1の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図6は、上記第1の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図6に示すように、本変形例2のX線管装置は、上述した第1の実施形態に係るX線管装置から、X線透過窓23及び接着部材25を除いて形成さている。また、第2シェル部材6a2及び被覆部材15のX線透過率は高いため、ここでは、第2シェル部材6a2は開口部6o無しに形成され、被覆部材15は開口部15o無しに形成されている。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態の変形例3)
次に、上記第1の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図7は、上記第1の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図7に示すように、第2シェル部材6a2が厚みを異ならせて形成されている以外、本変形例3のX線管装置は、上述した変形例2のX線管装置と同様に形成さている。X線透過領域R1と対向した第2シェル部材6a2は、X線透過領域R1から外れた領域と対向した第2シェル部材6a2より薄い。これにより、第2シェル部材6a2(シェル6a)によるX線透過率の向上を図ることができる。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態の変形例4)
次に、上記第1の実施形態の変形例4に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図8は、上記第1の実施形態の変形例4に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図8に示すように、第2シェル部材6a2が開口部6oを有し、X線管装置が第3の被覆部材27を有している点を除き、本変形例4のX線管装置は、上述した変形例2のX線管装置と同様に形成さている。被覆部材27は、絶縁油に対して耐性のある樹脂で形成されている。被覆部材27は、開口部6oに充填され、被覆部材15のうち開口部6oの外側に露出した露出部を被覆し、開口部6oを液密に閉塞している。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例4に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態の変形例5)
次に、上記第1の実施形態の変形例5に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図9は、上記第1の実施形態の変形例5に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図9に示すように、被覆部材15が開口部15oを有し、被覆部材27の充填範囲が広がっている点を除き、本変形例5のX線管装置は、上述した変形例4のX線管装置と同様に形成さている。被覆部材15の開口部15oは、第2シェル部材6a2の開口部6oと対向している。被覆部材27は、開口部15oに充填され、真空容器32(ガラス外囲器)のうち開口部15oの外側に露出した露出部を被覆し、開口部6oを液密に閉塞している。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例5に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図11は、図10に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図10及び図11に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、上述した第1の実施形態に係るX線管装置からX線遮蔽部520及びX線遮蔽部530を除き、上述した第1の実施形態に係るX線管装置にX線遮蔽体6b、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部610を付加して形成されている。
シェル6aは、X線遮蔽体6bとともにシールド構造体6を形成している。シールド構造体6は、軸線aに垂直な方向にて真空外囲器31の真空空間全体を取り囲んでいる。シールド構造体6は、X線を透過するX線透過領域R1と、X線を遮蔽しX線透過領域R1を囲んだX線遮蔽領域R2とを有している。シェル6aは、X線遮蔽体6bと一体に設けられていてもよい。
X線遮蔽体6bは、シェル6aとハウジング20との間に位置している。X線遮蔽体6bは、軸線aに垂直な方向において、ハウジング20に隙間を置いて設けられている。X線遮蔽体6bは、X線遮蔽領域R2に設けられ、X線を遮蔽している。X線遮蔽体6bは円筒状に形成されている。X線遮蔽体6bは、X線透過領域R1に重なった貫通孔6bhを含んでいる。貫通孔6bhは、例えば円形である。貫通孔6bhは、X線透過口として機能する。
X線遮蔽体6bは、シェル6aに固定されている。X線遮蔽体6bは、シェル6aに密接又は近接する形状を有している。この実施形態において、X線遮蔽体6bはシェル6aに密接する形状を有し、X線遮蔽体6bはシェル6aに貼り付けられている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、導体で形成されているハウジング本体20eに電気的に接続され、接地されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。X線遮蔽体6bが電気的にフローティング状態にある場合でのX線管30の放電の誘発を抑制することができる。
軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽体6bの一端部は、X線遮蔽部590に接触又は近接している。このため、X線遮蔽体6b及びX線遮蔽部590間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
一方、軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽体6bの他端部は、X線遮蔽体600に重なっている。ここでは、X線遮蔽体6bの他端部の外径は、X線遮蔽体600の端部の内径より僅かに小さい。X線遮蔽体6b及びX線遮蔽体600は、ねじを利用してねじ締結されている。なお、X線遮蔽体600は、枠状に形成され、高電圧ケーブル71の通路を形成している。X線遮蔽体600は、不所望なX線(散乱X線等)の遮蔽に寄与している。X線遮蔽体600は、X線遮蔽部510とともにX線遮蔽体6bの開口を塞ぐX線遮蔽蓋として機能している。
X線遮蔽部610は、枠状に形成され、X線遮蔽体6bと対向している。X線遮蔽部610は、X線遮蔽部540に接触又は近接している。ここでは、X線遮蔽部610の内周面は、X線遮蔽部540の外周面に接触している。このため、X線遮蔽部540とX線遮蔽部610との間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
X線遮蔽体6b、X線遮蔽部510、X線遮蔽部540、X線遮蔽部590、X線遮蔽部610及びX線遮蔽体600は、X線透過領域R1外に放射されたX線を遮蔽することができるため、ハウジング20の外部へのX線の漏洩を防止することができる。
X線遮蔽体6b、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部610は、上述したX線遮蔽部510等に利用するX線遮蔽材と同一の材料を利用して形成することができる。この実施形態において、X線遮蔽体6b、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部610は、鉛で形成されている。
この実施形態において、X線管ユニット5は、X線管30、シールド構造体6、被覆部材15、被覆部材18、接続部材40、ステータコイル9及びX線遮蔽部590で形成されている。
上記のように構成された第2の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第1の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)に記載の効果を得ることができる。本実施形態では、上記事項(3)に加えて、X線管ユニット5単体で、貫通孔6bh以外のシールド構造体6からのX線漏洩がないことの確認試験を行うことができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置は、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(5)X線遮蔽材料(鉛)の使用量を削減することができる。
X線遮蔽部520よりサイズ(直径)の小さいX線遮蔽体6bを用いることができるため、鉛の使用量を減らすことができ、軽量化を図ることができる。またさらに、X線の遮蔽精度を高めることができる。ハウジング20に鉛板を内貼りする場合、鉛板間に隙間があっても見落とし易いため、その隙間からX線が漏洩し得るためである。これにより、例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、人体への不要な放射(被曝)を防止することができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図12は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図13は、図12の線XIII−XIIIに沿ったX線管装置を示す断面図である。この図では、ハウジング20、シェル構造体100、複数のスペーサ110、複数の放熱フィン120、ゴム部材130、及びX線放射窓20wを取り出して示している。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて複数の部材が付加されている点を除き、上述した第1の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。
図12及び図13に示すように、シェル構造体100は、ハウジング20に隙間を置いて設けられ、軸線aに垂直な方向にてハウジング20を取り囲んでいる。シェル構造体100は、ハウジング20(ハウジング本体20e)との間に通気路AWを形成する。この実施形態において、シェル構造体100は、両端部に通気口を有した筒状に形成され、軸線aに平行な方向に延在している。シェル構造体100は、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂、又は金属を利用して形成されている。
シェル構造体100は、複数のスペーサ110により、ハウジング20との間に所定の間隔を置いて配置されている。複数のスペーサ110は、ハウジング20とシェル構造体100との間に設けられ、通気路AWを保持している。
スペーサ110は、通気路AWを空気が流れることを可能に、例えばハウジング20(ハウジング本体20e)の周方向において、例えばブロック状、もしくは個々に独立した柱状に設けられる。また、スペーサ110は、例えばゴム、ウレタンフォーム等の弾性樹脂を利用して形成されている。このため、スペーサ110は、X線管30からシェル構造体100への振動の伝達を低減することができる。
シェル構造体100は、ハウジング20の筒部20a、筒部20c、枠部20d(X線放射窓20w)及び突出部20pを露出させた状態で、ハウジング20を覆っている。このため、シェル構造体100は、筒部20a、筒部20c、枠部20d及び突出部20pに対応した開口を有している。ここで、突出部20pは、X線管装置の取付け面20sを有している。X線放射窓20wは、例えば図示しないOリングとともにハウジング20の枠部20dに形成されたX線放射口を液密に閉塞している。
また、シェル構造体100は、複数の分割部で形成されている。例えば、上記複数の分割部は、軸線aに垂直な方向に分離される。この実施形態において、シェル構造体100は、第1分割部101及び第2分割部102で形成されている。第1分割部101及び第2分割部102を組み合わせることにより、容易にシェル構造体100を形成することができる。
さらに、シェル構造体100は、弾性体としてのゴム部材130を介してハウジング20に固定されている。この実施形態において、シェル構造体100は、筒部20a、筒部20c、枠部20d及び突出部20pにそれぞれゴム部材130を介して固定されている。なお、ゴム部材130はゴムやウレタンフォーム等の弾性樹脂により形成されているため、ゴム部材130も、X線管30からシェル構造体100への振動の伝達を低減することができる。
また、ゴム部材130(弾性体)は、ハウジング20とシェル構造体100の開口との間の気密性を高めるため、シール部材としても機能していた方が望ましい。通気路AWの内部における気流の減速や乱れを抑制することができるためである。
なお、シェル構造体100を形成する樹脂材料にX線管30からのX線を遮蔽する遮蔽材を含有させることで、ハウジング20内に用意する遮蔽材の量を低減することができる。上記遮蔽材としては、例えば、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つである。
後述する気流による冷却作用により、シェル構造体100の外表面の温度は、ハウジング20の外表面の温度と比較して上昇し難い。例えば、操作者等がシェル構造体100に接触した場合における火傷の発生を抑制することができるため、X線管装置の安全性の向上を図ることができる。
空気導入ユニット150は、通気路AWに空気を導入し空気の流れを作りだす。この実施形態において、空気導入ユニット150は、シェル構造体100の一端部に取り付けられ、通気路AWを通る空気をX線管装置(シェル構造体100)の外部へと放出させる。また、空気導入ユニット150は、ファンユニットで形成されている。
上記のことから、ラジエータとして機能するハウジング20は冷却液7の熱を外部へ放出させることができるため、ハウジング20や冷却液7の温度の上昇を抑制することができる。なお、シェル構造体100の温度の上昇も抑制される。
空気導入ユニット150の筐体のうち、X線管装置(シェル構造体100)の外側に露出した側は、通気性に優れている。この実施形態において、筐体の露出した側は、メッシュ状に形成されている。上記筐体のメッシュ部は、空気導入ユニット150のフィンのカバーとして利用することができる。操作者の指等が空気導入ユニット150のフィンに接触する事態を回避することができるため、X線管装置の安全性の向上を図ることができる。
複数の放熱フィン120は、通気路AWに位置し、ハウジング20の外面に設けられている。ハウジング20は、放熱フィン120を設けることにより、表面積を大きくし、空気に接する面積を大きくすることができる。これにより、X線管装置の冷却性能の向上を図ることができる。
この実施形態において、複数の放熱フィン120は、軸線aに平行な方向に延在した板状部材で形成されている。複数の放熱フィン120は、ハウジング20の周方向に間隔を置いて位置している。互いに隣合う放熱フィン120間の隙間が空気の流路となる。また、放熱フィン120は、シェル構造体100との間に間隔を置くように形成されている。
なお、ハウジング20と放熱フィン120とを鋳造により一体に成型することにより、放熱フィン120を形成することも可能である。また、放熱フィン120は、必要に応じてハウジング20の外面に、熱が伝わるように接触する状態で、設けられていればよい。
エアフィルタ180は、X線管装置の空気取り込み側、すなわち通気路AWより風上側に位置している。この実施形態において、エアフィルタ180は、シェル構造体100の他端部に取り付けられている。エアフィルタ180は、空気を透過させ、空気に含まれる埃を取り除くものである。言い換えると、エアフィルタ180は、通気路AWへの埃の侵入を抑制することができる。このため、上記空気導入ユニット150は、エアフィルタ180を透過した空気を通気路AWに導入し、通気路AWを通る空気の流れを作りだすことができる。
埃が取り除かれた空気が放熱フィン120間の隙間等を透過するため、放熱フィン120等への埃の堆積を抑制することができる。そして、放熱フィン120間の隙間(通気部)を塞がり難くすることができる。通気路AWを通過する空気の量(風量)の低下を抑制することができるため、ラジエータとしての放熱性能の低下を抑制することができる。
なお、エアフィルタ180は、単体で又はユニット化され着脱可能にシェル構造体100に取付けることができる。これにより、エアフィルタ180の交換や、エアフィルタ180を含めたX線管装置の清掃を容易に行うことができる。
X線管装置は、縮流ガイド160及び拡散ガイド170をさらに備えている。
縮流ガイド160は、通気路AWより風上側に位置し、空気を通気路AWに案内する。縮流ガイド160は、管状に形成され、円筒部と円錐部とを有している。円筒部は、ハウジング20(ハウジング本体20e)の一端部に取付けられている。この実施形態において、円筒部は、上記一端部の外周面を取り囲み上記一端部に気密に取付けられている。円錐部は、円筒部と一体に形成されている。円錐部の円筒部側の端部とシェル構造体100との間の隙間は、円錐部のエアフィルタ180側の端部とシェル構造体100との間の隙間より狭い。
縮流ガイド160は、気流断面を小さくすることができるため、通気路AWより風上側の気流を圧縮し、通気路AW内の風速を増大させることができる。これにより、冷却効果を高めることができる。また、通気路AWより風上側において、風速分布を一様にすることができ、気流の乱れを小さくすることができる。なお、気流の乱れが小さくなることにより、風の音を低減することができる。
拡散ガイド170は、通気路AWより風下側に位置し、通気路AWを通過した空気を案内する。拡散ガイド170は、管状に形成され、円筒部と円錐部とを有している。円筒部は、ハウジング20(ハウジング本体20e)の他端部に取付けられている。この実施形態において、上記円筒部は、上記他端部の外周面を取り囲み上記他端部に気密に取付けられている。上記円錐部は、上記円筒部と一体に形成されている。円錐部の円筒部側の端部とシェル構造体100との間の隙間は、円錐部の空気導入ユニット150側の端部とシェル構造体100との間の隙間より狭い。
拡散ガイド170は、気流断面を大きくすることができるため、気流を拡散し、通気路AWを通った気流を減速させることができるため、風の音を低減することができる。
上記のように構成された第3の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第1の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置は、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(6)小型化を図ることができる。
上記のようにハウジング20(ハウジング本体20e)自体をラジエータとして機能させることができる。なお、空気導入ユニット150により、ハウジング20の表面に空気の流れを作りだすことができる。このため、表面積の大きいラジエータを別途用意する必要はないため、表面積の大きいラジエータを別途用意する場合に比べてX線管装置の小型化を図ることができる。
(7)人体との接触を考慮した安全性を確保することができる。
ハウジング20の周囲に外気の流路が形成される。X線管装置の露出表面はハウジング20の表面ではなく、シェル構造体100の外表面である。このため、ハウジング20の温度が高い場合にもシェル構造体100の温度は低いため、シェル構造体100に人が触れた場合における火傷の発生を抑制することができる。
(8)放熱フィン120を設けたことによる効果を得ることができる。
ハウジング本体20eのみの表面積より、ハウジング本体20eと放熱フィン120の集合体の表面積の方が大きい。通気路AWにて空気に接する面積を大きくすることができるため、X線管装置の冷却性能の向上を図ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図14は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて複数の部材が付加されている点を除き、上述した第1の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。
図14に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、循環ポンプ202、導管211及び導管212をさらに備えている。循環ポンプ202は、ハウジング本体20e(ハウジング20)の外面に取付けられている。ここでは、循環ポンプ202は、ハウジング本体20eの外面に固定されている。
ハウジング本体20eには、ハウジング20の内部から冷却液7を取出すための開口である取出し口と、ハウジング20の内部に冷却液7を取入れるための開口である取入れ口と、を備えている。この実施形態において、上記取出し口は被覆部材18とX線遮蔽部510とで挟まれた空間に対向し、上記取入れ口は接続部材40と蓋部20fとで挟まれた空間に対向している。
導管211の一端部は、循環ポンプ202の取入れ口に液密に接続されている。導管211の他端部は、ハウジング本体20eの上記取出し口を通って導管220に接続されている。導管211とハウジング本体20eの上記取出し口との間の隙間は液密に閉塞されている。ここで、導管220は、X線遮蔽材で形成され、X線遮蔽部520に形成された貫通孔に近接又は接触している。このため、導管220及びX線遮蔽部520間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
導管212の一端部は、循環ポンプ202の吐出し口に液密に接続されている。導管212の他端部は、ハウジング本体20eの上記取入れ口に取り付けられている。導管212とハウジング本体20eの上記取入れ口との間の隙間は液密に閉塞されている。
循環ポンプ202は、導管211から取入れた冷却液7を導管212に吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。このため、冷却液7をハウジング20の内部において循環させることができる。
上記のように構成された第4の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第1の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置は、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(9)循環ポンプ202を設けたことによる効果を得ることができる。
X線管装置は循環ポンプ202を有している。ハウジング20内に冷却液7の強制対流を生じさせることができる。このため、陽極ターゲット35から輻射される熱量の放散を向上させることができる。また、真空外囲器31の過熱を低減することができ、X線管30での放電の発生を低減することができる。さらに、ハウジング20内の冷却液7の温度を均一にすることができ、冷却液7からハウジング20への熱伝達の向上を図ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第4の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図15は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて循環ポンプ202を含むクーラユニット200が付加されている点を除き、上述した第4の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。
図15に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、空冷型のクーラユニット200を備えている。クーラユニット200は、筐体201、循環ポンプ202、及び熱交換器(空冷ラジエータ203及びファン204)を有している。ハウジング20と循環ポンプ202とは、導管211及び筐体201内の導管205を介して連結されている。循環ポンプ202と空冷ラジエータ203とは、筐体201内の導管206を介して連結されている。空冷ラジエータ203とハウジング20とは、筐体201内の導管207及び導管212を介して連結されている。
循環ポンプ202は、導管205から取入れた冷却液7を導管206に吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。空冷ラジエータ203は、ファン204により空気が吹き付けられることにより、冷却液7の熱を外部へ放出させることができる。これにより、冷却液7は冷却される。上記のことから、ハウジング20の内部に冷却された冷却液7を流すことができる。
上記のように構成された第5の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第4の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)及び(9)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置は、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(10)熱交換器を設けたことによる効果を得ることができる。
X線管装置は、空冷ラジエータ203及びファン204を備えている。このため、陽極ターゲット35から輻射される熱の外部への放散を一層促進することができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図16は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図16に示すX線管装置は、モノブロックまたはモノタンク等と呼ばれるX線管装置である。
図16に示すように、ハウジング20は、蓋部20f、20g、20h及び筒部20a、20c無しに閉塞して形成されている。ハウジング20は、図示しない蓋部を有している。X線管装置は、リセプタクル300、400無しに形成されている。ハウジング20の内面には、X線遮蔽部620,630が取り付けられている。
X線管装置は、高電圧ユニットとしての高電圧発生器80をさらに備えている。高電圧発生器80は、X線管30、ステータコイル9等とともにハウジング20内に収容され、冷却液7に浸っている。高電圧発生器80は、X線管30に高電圧を与える。高電圧発生器80の一次電圧供給端子81は、ハウジング20の開口を通ってハウジング20の外側まで延出している。なお、上記開口と一次電圧供給端子81との間の隙間は液密に閉塞されている。高電圧ケーブル61は高電圧発生器80の陽極用の出力端子に接続され、高電圧ケーブル71は高電圧発生器80の陰極用の出力端子に接続されている。
上記のように構成された第6の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第1の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)に記載の効果を得ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(比較例1)
次に、比較例1に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図27は、比較例1に係るX線管装置を示す断面図である。
図27に示すように、比較例1のX線管装置は、上述した第1の実施形態に係るX線管装置と比較し、大まかに第2シェル部材6a2、被覆部材15及び被覆部材18無しに形成されている。第1シェル部材6a1には、冷却液7を取入れる複数の取入れ口INが形成されている。このため、第1シェル部材6a1と真空外囲器31との間に冷却液7の自然対流を生じさせることができる。
しかしながら、比較例1のX線管装置の真空外囲器31は上述した被覆部材15で埋め尽くされていない。このため、X線管装置が制御不能になった場合、真空外囲器31が破損し、真空外囲器31内に冷却液が吸い込まれる問題を有している。
上記のことから、比較例1では、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることはできないものである。
(比較例2)
次に、比較例2に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図28は、比較例2に係るX線管装置を示す断面図である。
図28に示すように、比較例2のX線管装置は、上述した第5の実施形態に係るX線管装置と比較し、大まかに第2シェル部材6a2、被覆部材15及び被覆部材18無しに形成されている。また、比較例2のX線管装置は、電気絶縁材料から成る空洞部52と、導管53と、をさらに備えている。
空洞部52は、筒状の内周壁と、筒状の外周壁と、内周壁及び外周壁の一端を液密に閉塞する環状の一端壁と、内周壁及び外周壁の他端を液密に閉塞する環状の他端壁と、を有している。この実施形態において、他端壁は、接続部材40及び第1シェル部材6a1で形成され、複数の取入れ口INを有している。外周壁の一部に形成された開口は、導管53の一端部と液密に連通している。導管53の他端部は、導管212の他端部と液密に接続されている。空洞部24は、導管53と、取入れ口INとを繋ぐ流路として機能する。このため、冷却液は、高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流れる。
しかしながら、比較例2のX線管装置の真空外囲器31は上述した被覆部材15で埋め尽くされていない。このため、X線管装置が制御不能になった場合、真空外囲器31が破損し、真空外囲器31内に冷却液が吸い込まれる問題を有している。
上記のことから、比較例1と同様、比較例2でも、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることはできないものである。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図17は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図18は、図17に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図17に示すように、本実施形態において、冷却液7は水系冷却液である。水系冷却液としては、水、不凍液でもあるプロピレングリコール水溶液等を挙げることができる。
上記のように、冷却液7は水系冷却液であるため、X線管装置は、被覆部材18無しに形成されている。
第1シェル部材6a1は、高電圧供給端子44を越えて蓋部20f側に突出して形成されている。蓋部20fと対向する側において、接続部材40及び第1シェル部材6a1で囲まれた空間には被覆部材16が充填されている。被覆部材16は、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との接続部を埋め尽くし、冷却液7により直に冷却される。
被覆部材16は、樹脂で形成され、電気絶縁性を有している。この実施形態において、被覆部材モールド部材16は、耐水性を有するシリコーンゴムで形成されている。なお、被覆部材16は、シリコーンゴムに、シリコーンゴムより熱伝導性の高いフィラー材(熱伝導性フィラー材)を含有した材料で形成されていてもよい。
第2シェル部材6a2は、高電圧供給端子54を越えて蓋部20g側に突出して形成されている。蓋部20gと対向する側において、被覆部材15は、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との接続部を埋め尽くすように、真空外囲器31及び第2シェル部材6a2で囲まれた空間に充填されている。被覆部材15は、冷却液7により直に冷却される。
ハウジング301は、高電圧供給端子44と蓋部20fとの間に位置している。ハウジング301は、ハウジング20の外部に開口しプラグが差込まれる第1空間の他、ハウジング20の内部に開口した第2空間を有している。高電圧ケーブル61は、ハウジング301の第2空間にて端子302と接続されている。電気絶縁性部材64は、ハウジング301の第2空間に充填されている。このため、電気絶縁性部材64は、高電圧ケーブル61と端子302との接続部を埋め尽くしている。
ハウジング401は、高電圧供給端子54と蓋部20gとの間に位置している。ハウジング401は、ハウジング20の外部に開口しプラグが差込まれる第1空間の他、ハウジング20の内部に開口した第2空間を有している。高電圧ケーブル71は、ハウジング401の第2空間にて端子402と接続されている。電気絶縁性部材74は、ハウジング401の第2空間に充填されている。このため、電気絶縁性部材74は、高電圧ケーブル71と端子402との接続部を埋め尽くしている。
ステータコイル9は、図示しないモールド部材で全体が埋め尽くされている。上記モールド部材は、エポキシ樹脂等の電気絶縁性の樹脂を利用して形成されている。
図18に示すように、本実施形態のX線管装置は、上述した第1の実施形態に係るX線管装置から、X線透過窓23及び接着部材25を除いて形成さている。また、第2シェル部材6a2及び被覆部材15のX線透過率は高いため、ここでは、第2シェル部材6a2は開口部6o無しに形成され、被覆部材15は開口部15o無しに形成されている。
上記のように構成された第7の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第1の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置は、以下に例示的に挙げる効果を得ることができる。
(11)冷却液7に水系冷却液を利用したことによる効果を得ることができる。
X線管30、ステータコイル9等は冷却液7に接することが無いようにモールド部材で埋め尽くされている。X線管30、ステータコイル9等への冷却液7への接触を遮断することができる。また、X線管30、ステータコイル9等の電気絶縁特性を維持することができる。このため、冷却液7に熱伝達率の高い水系冷却液を利用することができる。X線管30、ステータコイル9等の発熱部を、水系冷却液により効率よく冷却することができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第7の実施形態の変形例1)
次に、上記第7の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図19は、上記第7の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図19に示すように、第2シェル部材6a2が開口部6oを有している以外、本変形例1のX線管装置は、上述した第7の実施形態に係るX線管装置と同様に形成さている。
ここでは、被覆部材15は開口部6oに充填されている。なお、被覆部材15は開口部6oに充填されていなくともよい。
上記のように構成された第7の実施形態の変形例1に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第7の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第7の実施形態の変形例2)
次に、上記第7の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図20は、上記第7の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図20に示すように、第2シェル部材6a2が厚みを異ならせて形成されている以外、本変形例2のX線管装置は、上述した第7の実施形態に係るX線管装置と同様に形成さている。X線透過領域R1と対向した第2シェル部材6a2は、X線透過領域R1から外れた領域と対向した第2シェル部材6a2より薄い。これにより、第2シェル部材6a2(シェル6a)によるX線透過率の向上を図ることができる。
上記のように構成された第7の実施形態の変形例2に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第7の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(第7の実施形態の変形例3)
次に、上記第7の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置について説明する。図21は、上記第7の実施形態の変形例3に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。
図21に示すように、第2シェル部材6a2が開口部6oを有し、被覆部材15が開口部15oを有し、X線管装置が第3の被覆部材27を有している点を除き、本変形例3のX線管装置は、上述した第7の実施形態に係るX線管装置と同様に形成さている。開口部15oは、開口部6oと対向している。被覆部材27は、開口部15oに充填され、真空容器32(ガラス外囲器)のうち開口部15oの外側に露出した露出部を被覆し、開口部6oを液密に閉塞している。
上記のように構成された第1の実施形態の変形例5に係る回転陽極型X線管装置においても、上記第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、被覆部材27の材料として被覆部材15(シリコーンゴム)や第2シェル部材6a2に対してよりX線透過特性に優れたものを選ぶことにより、放射X線の透過率を向上することができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図22は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図23は、図22に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線放射窓20w及びその近傍を示す図である。なお、第8の実施形態と第7の実施形態との関係は、第2の実施形態と第1の実施形態との関係と同一である。
図22及び図23に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、上述した第7の実施形態に係るX線管装置からX線遮蔽部520及びX線遮蔽部530を除き、上述した第7の実施形態に係るX線管装置にX線遮蔽体6b、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部610を付加して形成されている。
シェル6aは、X線遮蔽体6bとともにシールド構造体6を形成している。X線遮蔽体6bは、貫通孔6bhを含んでいる。X線遮蔽体6bは、シェル6aに固定されている。X線遮蔽体6bは、シェル6aに密接又は近接する形状を有している。この実施形態において、X線遮蔽体6bはシェル6aに密接する形状を有している。X線遮蔽体6bはシェル6aに貼り付けられている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、導体で形成されているハウジング本体20eに電気的に接続され、接地されている。
軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽体6bの一端部は、X線遮蔽部590に接触又は近接している。一方、軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽体6bの他端部は、X線遮蔽体600に重なっている。ここでは、X線遮蔽体6bの他端部の外径は、X線遮蔽体600の端部の内径より僅かに小さい。X線遮蔽体6b及びX線遮蔽体600は、ねじを利用してねじ締結されている。なお、X線遮蔽体600は、枠状に形成され、高電圧ケーブル71の通路を形成している。
X線遮蔽部610は、枠状に形成され、X線遮蔽体6bと対向している。X線遮蔽部610は、X線遮蔽部540に接触又は近接している。ここでは、X線遮蔽部610の内周面は、X線遮蔽部540の外周面に接触している。
この実施形態において、X線管ユニット5は、X線管30、シールド構造体6、被覆部材15、被覆部材16、被覆部材18、接続部材40、ステータコイル9及びX線遮蔽部590で形成されている。
上記のように構成された第8の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第7の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)及び(11)に記載の効果を得ることができる。本実施形態では、上記事項(3)に加えて、X線管ユニット5単体で、貫通孔6bh以外のシールド構造体6からのX線漏洩がないことの確認試験を行うことができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置、上記事項(5)に記載の効果を得ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図24は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて複数の部材が付加されている点を除き、上述した第7の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。なお、第9の実施形態と第7の実施形態との関係は、第3の実施形態と第1の実施形態との関係と同一である。本実施形態では、図13も参照しながら説明する。
図24及び図13に示すように、X線管装置は、ハウジング20(ハウジング本体20e)との間に通気路AWを形成するシェル構造体100(第1分割部101及び第2分割部102)を備えている。シェル構造体100は、複数のスペーサ110により、ハウジング20との間に所定の間隔を置いて配置されている。シェル構造体100は、ゴム部材130を介してハウジング20に固定されている。通気路AWを流れる気流による冷却作用により、シェル構造体100の外表面の温度は、ハウジング20の外表面の温度と比較して上昇し難い。例えば、操作者等がシェル構造体100に接触した場合における火傷の発生を抑制することができるため、X線管装置の安全性の向上を図ることができる。
X線管装置は、空気導入ユニット150、エアフィルタ180、縮流ガイド160及び拡散ガイド170をさらに備えている。複数の放熱フィン120は、通気路AWに位置し、ハウジング20の外面に設けられている。但し、放熱フィン120は、必要に応じてハウジング20の外面に設けられていればよい。
上記のように構成された第9の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第7の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)及び(11)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置、上記事項(6)乃至(9)に記載の効果を得ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図25は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて複数の部材が付加されている点を除き、上述した第7の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。なお、第10の実施形態と第7の実施形態との関係は、第4の実施形態と第1の実施形態との関係と同一である。
図25に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、循環ポンプ202、導管211、導管212及び導管220をさらに備えている。循環ポンプ202は、導管211から取入れた冷却液7を導管212に吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。
上記のように構成された第10の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第7の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)及び(11)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置、上記事項(9)に記載の効果を得ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第10の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図26は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。本実施形態に係るX線管装置は、ハウジング20の外側にて循環ポンプ202を含むクーラユニット200が付加されている点を除き、上述した第4の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されている。なお、第11の実施形態と第10の実施形態との関係は、第5の実施形態と第4の実施形態との関係と同一である。
図26に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、空冷型のクーラユニット200を備えている。クーラユニット200は、筐体201、循環ポンプ202、及び熱交換器(空冷ラジエータ203及びファン204)を有している。循環ポンプ202は、導管205から取入れた冷却液7を導管206に吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。空冷ラジエータ203は、ファン204により空気が吹き付けられることにより、冷却液7の熱を外部へ放出させることができる。
上記のように構成された第11の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置によれば、上述した第10の実施形態に係るX線管装置が得る効果と同様の効果を得ることができ、上記事項(1)乃至(4)、(9)及び(10)に記載の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るX線管装置、上記事項(11)に記載の効果を得ることができる。
上記のことから、安全性の向上を図ることのできる回転陽極型X線管装置を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、真空容器32が金属で形成され、X線管30の電気絶縁性の問題が無く、冷却液7が電気絶縁性の冷却液(絶縁油)である場合、第2シェル部材6a2は金属で形成されていてもよい。
また、X線管装置は、シェル6a(第1シェル部材6a1、第2シェル部材6a2)無しに形成されていてもよい。シェル6aが無く、真空外囲器31(真空容器32)が被覆部材15で埋め尽くされているだけの場合でも、被覆部材15がある程度の厚み(約2mm以上)を有すれば真空外囲器31(真空容器32)が破損した場合でも、被覆部材15が破損して真空外囲器31の内部に冷却液7が入り込む経路が形成されることはない。
放熱フィン120の形状は種々変形可能である。例えば、放熱フィン120は、ハウジング20の周りに螺旋状に設けられていてもよい。但し、放熱フィン120がハウジング20と同軸的に環状に形成されている場合、通気路AW内の気流の減速を招くため、望ましくない。
また、X線管装置は放熱フィン120無しに形成されていてもよい。
空気導入ユニット150の位置は、上述した実施形態で示した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。空気導入ユニット150は、エアフィルタ180と通気路AWの間(エアフィルタ180より内側)に位置していてもよく、又はエアフィルタ180より外側に位置していてもよい。
上述した実施形態において、X線管装置はエアフィルタ180を備えているが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、X線管装置はエアフィルタ180無しに形成されていてもよい。
上述した実施形態において、X線管装置は縮流ガイド160や拡散ガイド170を備えているが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、X線管装置は縮流ガイド160や拡散ガイド170無しに形成されていてもよい。
冷却液として絶縁油を使用し、被覆部材15としてシリコーンゴムを使用する場合には、上述したようにシリコーンゴムが絶縁油で膨潤し、劣化してしまうため、絶縁油に対して耐性の被覆部材18を被覆材部材15の絶縁油に露出する表面を被覆する必要があった。しかし、被覆部材15を絶縁油に耐性のあるフッ素ゴムなどで形成する場合には、絶縁油に対して耐性の被覆部材18の併用は不要となる。
さらにまた、冷却液として水系冷却液を使用し、被覆部材15としてシリコーンゴムを使用する場合には、シリコーンゴムは水系冷却液に耐性があるため、他の被覆部材18の併用は不要となる。
上述した実施形態において、真空外囲器はガラスが主要な構成材料であるため、シェルは陽極ターゲットの軸線に沿って真空外囲器全体を取り囲んでおり、被覆部材15は真空外囲器とシェルとの間の全ての隙間に充填され、真空外囲器の表面を埋め尽くしていたが、これに限定されるものではなく種々変形可能である。たとえば真空外囲器が金属外囲器とガラス外囲器とから構成されている場合には、被覆部材15は少なくともガラス外囲器の表面を埋め尽くしていれば良い。
被覆部材15を形成する弾性樹脂はシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムのうちの少なくとも一つを含むことができる。上記ゴムのうち、シリコーンゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴムについては絶縁油に対する耐性が劣るため、これらゴムを被覆部材15として使用し、冷却液として絶縁油を使用する場合には絶縁油に対して耐性の被覆部材18を併用することが好ましい。また耐熱性を特に重視する場合には、シリコーンゴム、フッ素ゴムのうちの少なくとも一つで被覆部材15を形成することが好ましい。
また、シェル6a及びX線遮蔽体6bの内面やガラス外囲器の外面には被覆部材15との密着性を高めるためのプライマーをコーティングしておいても良い。
ハウジング20を金属で形成する場合、上述したアルミニウム以外の材料で形成されていてもよい。例えば、アルミやアルミ合金、マグネシウム合金、ステンレス、真鍮などの材料を選択することもできる。
上記ハウジング20やシェル6a(第1シェル部材6a1、第2シェル部材6a2)を電気的絶縁材で形成する場合、ハウジング20やシェル6aの機械的強度を増すため、上記電気的絶縁材に更に、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等の補強繊維を含有させてもよい。
X線管装置は、陽極ターゲット35及び陰極36にそれぞれ高電圧を印加する中性点接地型に限定されるものではなく、陽極ターゲット35を接地電位に設定し陰極36に高電圧を印加する陽極接地型や、陰極36を接地電位に設定し陽極ターゲット35に高電圧を印加する陰極接地型を採っていてもよい。
この発明の実施形態は、各種の回転陽極型X線管装置に適用することができる。
1…固定軸、2…回転体、5…X線管ユニット、6…シールド構造体、6a…シェル、6a1…第1シェル部材、6a2…第2シェル部材、6o…開口部、6b…X線遮蔽体、6bh…貫通孔、7…冷却液、9…ステータコイル、15,16,18,27…被覆部材、15o…開口部、20…ハウジング、20e…ハウジング本体、20w…X線放射窓、23…X線透過窓、25,26…接着部材、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、35…陽極ターゲット、36…陰極、61,71…高電圧ケーブル、64,74…電気絶縁性部材、80…高電圧発生器、100…シェル構造体、150…空気導入ユニット、180…エアフィルタ、200…クーラユニット、201…筐体、202…循環ポンプ、203…空冷ラジエータ、204…ファン、510,520,530,540,590,610,620…X線遮蔽部、600…X線遮蔽体、AW…通気路、a…軸線、R1…X線透過領域、R2…X線遮蔽領域。

Claims (19)

  1. 電子を放出する陰極と、X線を放出する陽極ターゲットと、前記陽極ターゲットを回転自在に支持する支持機構と、前記陰極、陽極ターゲット及び支持機構を収容したガラス外囲器を含む真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
    前記回転陽極型X線管を収納するハウジングと、
    前記回転陽極型X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
    樹脂で形成され、少なくとも前記ガラス外囲器を被覆し、前記冷却液に露出した露出部を有する弾性の被覆部材と、
    を備える回転陽極型X線管装置。
  2. 前記ガラス外囲器と前記ハウジングとの間に位置し、前記ガラス外囲器に隙間を置いて設けられ、前記陽極ターゲットの軸線に沿って延在し、少なくとも前記ガラス外囲器を取り囲み、前記冷却液に接し、前記冷却液に対して耐性のある材料で形成されたシェルをさらに備え、
    前記被覆部材は、前記ガラス外囲器と前記シェルとの間の隙間に充填され、前記ガラス外囲器を埋め尽くし、前記シェルで被覆された被覆部と前記冷却液に露出した露出部とを有する、請求項1に記載の回転陽極型X線管装置。
  3. 前記露出部を被覆し、前記冷却液に接し、前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成された他の被覆部材をさらに備える請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管装置。
  4. 前記他の被覆部材は、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項3に記載の回転陽極型X線管装置。
  5. X線透過窓と、接着部材と、をさらに備え、
    前記シェルは、前記X線を通過させる開口部を有し、
    前記真空外囲器は、前記開口部と対向するガラス外囲器を有し、
    前記X線透過窓は、前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成され、前記開口部と対向し、
    前記接着部材は、前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成され、前記X線透過窓を前記シェルに接着し、前記X線透過窓とシェルとの間の隙間を液密に閉塞した請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  6. 前記ガラス外囲器、被覆部材及びX線透過窓で囲まれた空間に充填され、前記X線透過窓を前記ガラス外囲器に接着させる他の接着部材をさらに備えている請求項5に記載の回転陽極型X線管装置。
  7. 前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成された第3の被覆部材をさらに備え、
    前記シェルは、前記X線を通過させる開口部を有し、
    前記真空外囲器は、前記開口部と対向するガラス外囲器を有し、
    前記被覆部材は、前記開口部と対向した他の開口部を有し、
    前記第3の被覆部材は、前記他の開口部に充填され、前記ガラス外囲器のうち前記他の開口部の外側に露出した露出部を被覆し、前記開口部を液密に閉塞した請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  8. 前記シェルは、前記軸線に沿って陰極と反対側に配置される第1シェル部材と、前記軸線に沿って陰極側に配置される第2シェル部材と、を有し、
    前記第1シェル部材の径大部と前記第2シェル部材の径大部とは、前記軸線に平行な方向に突合わされている請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  9. 前記第1シェル部材は、前記軸線に平行な方向に延在し前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成されている請求項8に記載の回転陽極型X線管装置。
  10. 前記第2シェル部材は、前記冷却液に対して耐性のある樹脂で形成されている請求項8又は9に記載の回転陽極型X線管装置。
  11. 前記第2シェル部材は、金属で形成されている請求項9又は10に記載の回転陽極型X線管装置。
  12. 前記冷却液の強制的な流れを前記ハウジング内に形成する循環部をさらに備えている請求項1乃至11の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
  13. 前記ハウジングの外部に位置し前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置し前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器と、
    前記熱交換器と前記ハウジングと前記循環部とを連結した前記冷却液の循環路と、をさらに備え、
    前記循環部は、前記熱交換器と前記ハウジングとの間で前記冷却液を前記循環路を介して循環させる請求項12に記載の回転陽極型X線管装置。
  14. 前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている請求項1乃至13の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
  15. 前記シェルと前記ハウジングとの間に位置し、前記シェルに密接され、前記X線を通過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備える請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
  16. 前記被覆部材は、ゴムで形成されている請求項1乃至15の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
  17. 前記被覆部材は、前記ゴムに、前記ゴムよりも熱伝導性の高いフィラー材を含有した材料で形成されている請求項16に記載の回転陽極型X線管装置。
  18. 前記ゴムは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、及びニトリルゴムのうち少なくとも一つを含む請求項16又は17に記載の回転陽極型X線管装置。
  19. 前記ハウジングに隙間を置いて設けられ、前記ハウジングを取り囲み、前記ハウジングとの間に通気路を形成するシェル構造体と、
    前記通気路に空気を導入し空気の流れを作りだす空気導入ユニットと、をさらに備える請求項1乃至18の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
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