(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。図3は、本実施形態に係る回転陽極型X線管を示す断面図である。
図1に示すように、X線管装置は、大まかにハウジング20と、ハウジング20内に収納された回転陽極型のX線管30と、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された冷却媒体としての冷却液7と、シールド構造体6と、回転駆動部としてのステータコイル9と、循環部23と、高電圧ケーブル61、71と、リセプタクル300、400とを備えている。
ハウジング20は、筒状に形成されたハウジング本体20eと、蓋部20f、20g、20hとを有している。ハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されている。蓋部20f、20g、20hは金属または樹脂材料で形成されている。樹脂材料を使用する場合でも、ネジ部など強度を必要とする個所や、樹脂の射出成形で成形し難い個所、また後述するハウジング20の外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層など、部分的に金属を併用しても良い。
上記樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる。
後述する高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、枠状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、枠状の溝部が形成されている。X線管装置の管軸に沿った方向において、蓋部20fの周縁部はハウジング本体20eの段差部に接触している。ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20iが嵌合されている。
C形止め輪20iは、管軸に沿った方向における、ハウジング本体20eに対する蓋部20fの位置を規制している。この実施形態において、蓋部20fのがたつきを防止するため、蓋部20fの位置は固定されている。管軸に直交した方向において、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間の隙間は、Oリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。上記Oリングは、樹脂やゴムで形成されている。
上記のことから、高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20f、C形止め輪20i及びOリングにより液密に閉塞されている。
後述する高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、枠状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、枠状の溝部が形成されている。蓋部20gはハウジング本体20eの内部に位置している。管軸に沿った方向において、蓋部20gの周縁部はハウジング本体20eの段差部とともに後述するX線遮蔽部510を挟んでいる。蓋部20hは蓋部20gに対向している。この実施形態において、蓋部20hは、円環部を有し、円環部は蓋部20g側に突出して形成されている。
ハウジング本体20eの上記内周面及び蓋部20g、並びに蓋部20hの隙間は、枠状のOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ゴムベローズ21の周縁部で形成され、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20jが嵌合されている。C形止め輪20jは、蓋部20hがOリングへ応力を加えている状態を保持している。上記のことから、高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20g、蓋部20h、C形止め輪20j及びゴムベローズ21により液密に閉塞されている。
ハウジング20は、X線透過領域R1に対向したX線放射窓20wを有している。X線放射窓20wは、X線を透過しハウジング20外部に放射する。この実施形態において、X線放射窓20wは、ハウジング本体20eの一部で形成されている。ハウジング20の内面に、鉛板は貼り付けられていない。
蓋部20gは、冷却液7が出入りする開口部20kを有している。蓋部20hには、雰囲気としての空気が出入りする通気孔20mが形成されている。ゴムベローズ21は、ハウジング20内において、蓋部20g及び蓋部20hで囲まれた領域を、開口部20kと繋がった第1空間と、通気孔20mと繋がった第2空間とに区切っている。冷却液7の圧力調整は、ゴムベローズ21により行われている。
図1、図2及び図3に示すように、X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、真空容器32を有している。真空容器32は、例えば、ガラス、又は銅、ステンレス及びアルミニウム等の金属で形成されている。この実施形態において、真空容器32はガラスで形成されている。なお、真空容器32を金属で形成する場合、真空容器32は、X線透過領域R1に対向した開口を有している。そして、真空容器32の開口は、X線を透過する材料としてのベリリウムで形成されたX線透過窓で気密に閉塞されている。真空外囲器31の一部は、高電圧絶縁部材50で形成されている。本実施形態において、高電圧絶縁部材50は、ガラスで形成されている。
X線管30は、陽極ターゲット35及び陰極36を有している。
陽極ターゲット35は、真空外囲器31内に設けられている。陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられた傘状のターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から照射される電子が衝突されることによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。
陽極ターゲット35の外側面や、陽極ターゲット35でのターゲット層35aとは反対側の表面には、黒色化処理が施されている。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転自在である。このため、陽極ターゲット35の軸線aは、管軸と平行である。
陰極36は、真空外囲器31内に設けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に照射する電子を放出する。陰極36には相対的に負の電圧が印加される。低膨張合金であるKOV部材55は、真空外囲器31内で高電圧供給端子54を覆っている。ここでは、高電圧供給端子54と高電圧絶縁部材50の間はガラス封着され、KOV部材55は高電圧絶縁部材50に摩擦ばめを利用して固定されている。KOV部材55には、陰極支持部材37が取付けられている。陰極36は、陰極支持部材37に取付けられている。
高電圧供給端子54は、陰極支持部材37の内部を通って陰極36に接続されている。高電圧供給端子54は、陰極36に相対的に負の電圧を印加するともに陰極36の図示しないフィラメント(電子放出源)にフィラメント電流を供給するものである。
X線管30は、固定軸1、回転体2、軸受け3及びロータ10を備えている。固定軸1は、円柱状に形成されている。固定軸1の外周の一部には突出部が形成され、突出部は、真空外囲器31に気密に取付けられている。固定軸1には、高電圧供給端子44が電気的に接続されている。固定軸1は回転体2を回転可能に支持する。回転体2は筒状に形成され、固定軸1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ10が取り付けられている。回転体2には、陽極ターゲット35が取付けられている。軸受け3は、固定軸1と回転体2の間に形成されている。回転体2は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。高電圧供給端子44は、固定軸1、軸受け3及び回転体2を介して陽極ターゲット35に相対的に正の電圧を印加する。この実施形態において、高電圧供給端子44及び高電圧供給端子54は、金属端子である。
固定部材90は、ハウジング20の内部に設けられている。固定部材90は、ハウジング20に対するX線管30の位置を固定している。固定部材90は、樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。固定部材90は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)91を利用しX線管30(真空外囲器31)を固定している。例えば、固定部材90は、3、4個所でゴム部材91とともにX線管30を固定している。ゴム部材91は、真空外囲器31に接触している。このため、固定部材90及びゴム部材91は、摩擦ばめを利用して真空外囲器31を固定している。
固定部材90自体は、ハウジング20に固定されている。固定部材90は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)92を利用しハウジング20に固定されている。例えば、固定部材90は、3、4個所でゴム部材92とともにハウジング20に固定されている。ゴム部材92は、ハウジング20に接触している。このため、固定部材90及びゴム部材92は、摩擦ばめを利用してハウジング20に固定されている。
固定部材90には、貫通孔90a、90bが形成されている。貫通孔90aは、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との接続空間として利用されている。貫通孔90bは、冷却液7の流路として利用されている。
また、軸線aに沿った方向にターゲット層35aと対向したハウジング20の一端側にX線遮蔽部510が設けられている。X線遮蔽部510は、ターゲット層35aから放射されるX線を遮蔽するものである。X線遮蔽部510は、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽部510は、第1遮蔽部511、第2遮蔽部512及び第3遮蔽部513を有している。
第1遮蔽部511は、軸線aに沿った方向にターゲット層35aと対向した側の蓋部20gに貼り付けられている。第1遮蔽部511は、蓋部20g全体を覆っている。第1遮蔽部511は、開口部20kと対向した個所が開口して形成され、開口部20kによる冷却液7の出入りを維持している。第2遮蔽部512は、第1遮蔽部511上に設けられている。第2遮蔽部512は、開口部20k付近からハウジング20の外部に出射する恐れのあるX線を遮蔽するものである。第3遮蔽部513は、第1遮蔽部511上に設けられ、筒状に形成されている。第3遮蔽部513の複数個所に、貫通孔が形成されている。上記貫通孔は、高電圧ケーブル71の通る通路や、冷却液7の流路に利用されている。
X線遮蔽部520は、軸線aに沿った方向にX線遮蔽部510と対向した固定部材90に貼り付けられている。X線遮蔽部520は、貫通孔90a、90bと対向した個所がそれぞれ開口して形成されている。X線遮蔽部510および520は、接地されている。
シールド構造体6は、軸線aに垂直な方向にて真空外囲器31の真空空間全体を取り囲んでいる。シールド構造体6は、X線を透過するX線透過領域R1と、X線を遮蔽しX線透過領域R1を囲んだX線遮蔽領域R2とを有している。シールド構造体6は、真空外囲器31との間に冷却液7を流す流路CCを形成している。X線管30、シールド構造体6、接続部材40及びステータコイル9は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。
シールド構造体6は、シェルとしての絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を有している。絶縁部材6aで形成される流路形成体は、真空外囲器31との間に冷却液7が流れる流路を形成する。
絶縁部材6aは、電気絶縁性材料で形成されている。絶縁部材6aは、軸線aに垂直な方向において、真空外囲器31に隙間を置いて設けられている。また、絶縁部材6aは、軸線aに垂直な方向において、真空外囲器31(真空外囲器31の真空空間全体)を取り囲んでいる。絶縁部材6aは、管状に形成されている。絶縁部材6aの形状は、X線管30の形状に対応している。絶縁部材6aは、軸線aに沿って直径が変化している。絶縁部材6aは、X線管30と、ハウジング20及びステータコイル9との間を電気的に絶縁するものである。
絶縁部材6aは、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている。条件次第では、絶縁部材6aは、防護体として機能する。
絶縁部材6a(シールド構造体6)は、接続部材40を介してX線管30に固定されている。絶縁部材6aと接続部材40は機械的に強固に接続されている。接続部材40は、真鍮などからなり、射出成型法を利用して絶縁部材6aと一体成形が可能である。絶縁部材6aには、冷却液7を取入れる複数の取入れ口INが形成されている。絶縁部材6aは、真空外囲器31との間に冷却液7を取出す取出し口OUTを形成している。
X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに固定されている。X線遮蔽体6bは、X線遮蔽領域R2に設けられ、X線を遮蔽している。X線遮蔽体6bは、接地されている。X線遮蔽体6bは、X線透過領域R1に重なった貫通孔6bhを含んでいる。貫通孔6bhは、例えば円形である。貫通孔6bhは、X線透過窓として機能する。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに対してX線管30の反対側に位置している。X線遮蔽体6bは円筒状に形成されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは絶縁部材6aに密接する形状を有している。X線遮蔽体6bは絶縁部材6aに貼り付けられている。
X線遮蔽体6bの一端部は、第3遮蔽部513やX線遮蔽部520に近接している。X線遮蔽部510、X線遮蔽部520、X線遮蔽体6bはX線透過領域R1外に放射されたX線を遮蔽することができるため、ハウジング20の外部へのX線の漏洩を防止することができる。
X線遮蔽体6bは、軸線aに沿って第3遮蔽部513から陽極ターゲット35(ターゲット層35aの表面の延長線上)を越える位置まで延出している。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、第3遮蔽部513からステータコイル9の手前まで延出している。
X線遮蔽体6bは、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽体6bの厚みは、1乃至5mm程度である。ここで、X線遮蔽体6bの厚みは、それぞれ内周面と外周面との最短距離であり、この実施形態では軸線aに垂直な方向における内周面と外周面との距離である。
X線遮蔽体6b、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520に利用するX線不透過材としては、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つを含む金属、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物を利用することができる。この実施形態において、X線遮蔽体6b、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520は鉛で構成されている。X線遮蔽体6b、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520の表面は、防食保護のため、錫、銀、銅、ニッケルなどの金属メッキや樹脂コーティングを形成しても良い。
シールド構造体6がある程度の強度と延性を有する場合、シールド構造体6は防護体として機能することができる。陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した陽極ターゲット35の破片は、ガラスで形成された真空容器32を破壊し、更にハウジング20の内面に向かう方向へと飛散する。シールド構造体6は、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。
シールド構造体6に陽極ターゲット35の破片が衝突しても、シールド構造体6は十分な変形を起こすことにより破片の運動エネルギを吸収することができる。シールド構造体6及びハウジング20は、隙間を置いて位置しているため、シールド構造体6に変形が生じてもハウジング20自体の変形を防止できる。これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を防止することができる。
ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。ステータコイル9は、シールド構造体6に対してX線管30の反対側に位置している。ステータコイル9は、ロータ10の外面に対向して真空外囲器31の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向でのシールド構造体6の位置を規制している。この実施形態において、ステータコイル9は、絶縁部材6aの外面に接触している。なお、X線管30にがたつきが生じないよう、ステータコイル9の一部と絶縁部材6aの外面とは接着剤により接着されている。
ステータコイル9は、ロータ10、回転体2及び陽極ターゲット35を回転させるものである。ステータコイル9に所定の電流が供給されることでロータ10に与える磁界を発生するため、陽極ターゲット35などが所定の速度で回転される。
X線管装置は、循環部23を備えている。循環部23は、ハウジング20内部に設けられ、流路CCに冷却液7の流れを形成する。循環部23は、チャンバ23aと、モータ23bと、フィン23cとを備えている。チャンバ23aは、X線遮蔽部520に固定されている。チャンバ23aは、冷却液7の取込み口及び吐出し口を有している。取込み口は、貫通孔90bに対向している。
モータ23bは、チャンバ23aの内壁に取付けられている。フィン23cは、チャンバ23a内にてモータ23bに取付けられている。モータ23bは、図示しない電源供給部から電力が与えられることにより、フィン23cを回転させる。循環部23は、貫通孔90bから取込んだ冷却液7を、貫通孔90bから外れたハウジング20の内部に吐出す。ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができるため、冷却液7をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCは冷却液7の流れを形成することができる。この実施形態において、冷却液は、高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流路CCを流れる。
冷却液7としては、水系冷却液や、絶縁性の冷却液としての絶縁油を利用することができる。ここでは、冷却液7は、絶縁油である。
X線管装置は、陽極用のリセプタクル300及び陰極用のリセプタクル400を有している。リセプタクル300は、ハウジング20の筒部20aの内部に位置し、筒部20aに取付けられている。リセプタクル400は、ハウジング20の筒部20cの内部に位置し、筒部20cに取付けられている。例えば、筒部20a及び筒部20cは、ハウジング本体20eと同一材料を利用して一体に形成されている。
リセプタクル300は、電気絶縁部材としてのハウジング301と、高電圧供給端子としての端子302とを有している。
ハウジング301は、筒部20a(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング301は、ほぼ軸対称なコップ形状であると言うことができる。また、ハウジング301のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口していると言うことができる。
ハウジング301の開口側の端部において、ハウジング301の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング301は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子302は、ハウジング301の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。
高電圧ケーブル61は、冷却液7に浸っている。高電圧ケーブル61は、一端部が高電圧供給端子44に電気的に接続され、他端部がハウジング20内の空間を通って端子302に電気的に接続されている。高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続には、溶接や半田付けの接続方式を利用することができる。又は、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44とを着脱可能に接続する摩擦ばめを利用した接続方式を利用することも可能である。
電気絶縁性部材64は、電気絶縁性樹脂で形成され、端子302と高電圧ケーブル61との電気的接続部を埋め尽くし、ハウジング301に直に接着されている。より詳しくは、電気絶縁性部材64はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材64を利用することにより、端子302と高電圧ケーブル61との電気的接続部と、ハウジング20との電気絶縁性を向上することができる。
なお、筒部20aの段差部と、ハウジング301の突出部との間にはOリングが介在されている。筒部20aの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット310は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット310は、筒部20aの段差部に締め付けられ、ハウジング301を押圧している。これにより、Oリングは、筒部20aの段差部と、ハウジング301の突出部とにより加圧される。リセプタクル300は筒部20aに液密に取付けられるため、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
リセプタクル300及びリセプタクル300に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル300に連結した状態で、プラグから端子302に高電圧(例えば、+70〜+80kV)が供給される。
リセプタクル400は、リセプタクル300と同様に形成されている。
リセプタクル400は、電気絶縁部材としてのハウジング401と、高電圧供給端子としての端子402とを有している。
ハウジング401は、筒部20c(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング401は、ほぼ軸対称なコップ形状であると言うことができる。また、ハウジング401のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口していると言うことができる。
ハウジング401の開口側の端部において、ハウジング401の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング401は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子402は、ハウジング401の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。
高電圧ケーブル71は、冷却液7に浸っている。高電圧ケーブル71は、一端部が高電圧供給端子54に電気的に接続され、他端部がハウジング20内の空間を通って端子402に電気的に接続されている。高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54との接続には、溶接や半田付けの接続方式を利用することができる。又は、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54とを着脱可能に接続する摩擦ばめを利用した接続方式を利用することも可能である。
電気絶縁性部材74は、電気絶縁性樹脂で形成され、端子402と高電圧ケーブル71との電気的接続部を埋め尽くし、ハウジング401に直に接着されている。より詳しくは、電気絶縁性部材74はモールド材で形成されている。電気絶縁性部材74を利用することにより、端子402と高電圧ケーブル71との電気的接続部と、ハウジング20との電気絶縁性を向上することができる。
なお、筒部20cの段差部と、ハウジング401の突出部との間にはOリングが介在されている。筒部20cの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット410は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット410は、筒部20cの段差部に締め付けられ、ハウジング401を押圧している。これにより、Oリングは、筒部20cの段差部と、ハウジング401の突出部とにより加圧される。リセプタクル400は筒部20cに液密に取付けられるため、ハウジング20外部への冷却液7の漏洩を防止することができる。
リセプタクル400及びリセプタクル400に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル400に連結した状態で、プラグから端子402に高電圧(例えば、−70〜−80kV)が供給される。
上記のように本実施形態に係るX線管装置が形成されている。
このように構成されたX線管装置では、ステータコイル9に所定の電流を印加することでロータ10が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、リセプタクル300、400に所定の高電圧を印加する。
リセプタクル300に印加された高電圧は、高電圧ケーブル61、高電圧供給端子44、固定軸1、軸受け930及び回転体2を介して陽極ターゲット35に供給される。リセプタクル400に印加された高電圧は、高電圧ケーブル71及び高電圧供給端子54を介して陰極36に供給される。
これにより、陰極36から放出された電子は陽極ターゲット35のターゲット層35aに衝突し、陽極ターゲット35からX線が放射される。X線は、貫通孔6bh及びX線放射窓20w通ってハウジング20の外部へ放射される。
次いで、X線管装置のX線管30を新品のX線管30に交換する手法について説明する。
X線管30の交換が開始されると、まず、ハウジング20の内部から冷却液7を取り出す。なお、ハウジング20は冷却液7を取り出すための開口部を有していてもよい。開口部としてX線放射窓20Wを利用することができる。上記開口部は、通常は液密に閉塞されている。
次いで、ハウジング本体20eから蓋部20f、20g、20hを取り外す。続いて、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続状態を解除し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54との接続状態を解除する。その後、ハウジング本体20eから、固定部材90を取り外した後、ステータコイル9の固定金具をハウジング20に固定しているネジを外し、X線管ユニット5を取り外す。この際、リセプタクル300、400は、必要に応じ、ハウジング20から取り外せばよい。
次に、新品のX線管ユニット5を用意する。
その後、ハウジング本体20e内に、新品のX線管ユニット5を、ステータコイル9の固定金具をハウジング20にネジで固定することにより、取り付けた後、固定部材90を押し込み、取付ける。この際、リセプタクル300、400は、必要に応じ、ハウジング20に取付ければよい。次いで、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44とを接続し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54とを接続する。
続いて、ハウジング本体20eに蓋部20f、20g、20hを取り付け、空状態のX線管装置を形成する。その後、ハウジング20内に冷却液7を充填する。これにより、X線管装置が完成し、X線管30の交換が終了する。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。シールド構造体6は、軸線aに垂直な方向にて真空外囲器31の真空空間全体を取り囲んでいる。シールド構造体6は、X線を透過するX線透過領域R1と、X線を遮蔽しX線透過領域R1を囲んだX線遮蔽領域R2とを有している。シールド構造体6は、真空外囲器31との間に冷却液7を流す流路CCを形成している。流路CCが無い場合と比べてX線管30の局所過熱が生じ難いため、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができる。
シールド構造体6は、貫通孔6bhから外れた方向へのX線を遮蔽することができる。例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、人体への不要な放射(被曝)を防止することができる。
そして、X線管ユニット5単体で、貫通孔6bh以外のシールド構造体6からのX線漏洩がないことの確認試験を行うことができる。この実施形態において、シールド構造体6は絶縁部材6aを有しているため、X線管ユニット5単体で、電圧耐久性の確認試験を行うこともできる。X線管装置に組み立てることなく、上記のように、X線管ユニット5単体で信頼性試験を実施することができる。X線管装置単位ではなく、X線管ユニット5単体で輸送可能になるため、輸送コストの低減を図ることができる。
なお、絶縁部材6aは、X線管30の周りを取り囲んでいるため、電圧耐久性の向上を図ることができる。
シールド構造体6は、真空外囲器31との間に流路CCを形成している。X線管装置は循環部23を有している。このため、陽極ターゲットから輻射される熱量の放散を向上させることができる。また、真空外囲器31の過熱を低減することができ、X線管30での放電の発生を低減することができる。
一般に、ハウジングの外部への不所望なX線の放出を防止するため、鉛板がハウジング本体の内面に貼り付けられている。ハウジング本体の内面は、多くの曲面から構成されている。鉛板をハウジング本体の内面に隙間無く貼り付けてゆく作業は非常に熟練を要するため、製造コストの低減、ひいては製品価格の低減を図る上での大きなネックとなっている。また、回転陽極型X線管装置の寿命が尽きた後などに行う、ハウジング本体と鉛板との分別が非常に困難である。このため、上記分別を専門業者が行っている。分別ができない場合は、資源有効活用の面で望ましくないが、一般産業廃棄物扱いとなっている。
そこで、本実施形態において、X線管装置は、シールド構造体6を備えている。シールド構造体6は、ハウジング20の外部で形成された後、ハウジング20内部に組み込まれている。本実施形態において、ハウジング20に鉛板を内貼りしなくともよく、上記鉛板を貼り付ける場合に比べて簡単に筒状のシールド構造体6を製造することができる。これにより、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。また、シールド構造体6からの鉛の分別が容易になるため、一層、資源の有効活用に寄与することができる。
さらに、X線遮蔽体6bのサイズ(直径)を小さくすることができるため、材料(鉛)の使用量を減らすことができ、軽量化を図ることができる。またさらに、X線の遮蔽精度を高めることができる。ハウジング20に鉛板を内貼りする場合、鉛板間の隙間からX線が漏洩し得るためである。
絶縁部材6aは、冷却液7より絶縁特性に優れている。絶縁部材6aを設けることにより、絶縁部材6aを設けない場合に比べてX線管30と、ハウジング20との間の絶縁パスを短くすることができる。これにより、X線管装置の小型化を図ることができる。そして、X線管装置の小型化と、電圧耐久性の向上との両立を図ることができる。また、上記したようにX線管ユニット5単体で電圧耐久性の確認試験を行い、X線管ユニット5をハウジング20内に組み込んだ状態での電圧耐久性の確認試験を省略することも可能となる。
シールド構造体6がある程度の強度と延性を有する場合、シールド構造体6は防護体として機能することができる。シールド構造体6は、陽極ターゲット35が高速回転中に破損した場合、高い運動エネルギを有した状態で飛散する陽極ターゲット35の破片のハウジング20への衝突を防護する。シールド構造体6に陽極ターゲット35の破片が衝突しても、シールド構造体6は十分な変形を起こすことにより運動エネルギを吸収することができる。
これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を防止することができる。例えば、X線管装置を医療診断機器に搭載した場合、被検査体(例えば人体)に高温の冷却液7がかかってしまう危険性を排除することができる。
また、シールド構造体6が防護体として機能する場合、この実施形態のようにハウジング20を樹脂材料で形成することができる。樹脂材料は金属に比べて機械的強度が劣るが、安価であるため、ハウジング20の製造コストの低減と、軽量化とを図ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図4は、第2の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、大まかに上記第1の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されているが、循環部23の位置が異なっている。本実施形態において、循環部23は、高電圧供給端子54側ではなく、高電圧供給端子44側に設けられている。
X線管装置は、さらに電気絶縁材料から成る空洞部24を備えている。空洞部24は、筒状の内周壁と、筒状の外周壁と、内周壁及び外周壁の一端を液密に閉塞する環状の一端壁と、内周壁及び外周壁の他端を液密に閉塞する環状の他端壁と、を有している。この実施形態において、他端壁は、接続部材40及び絶縁部材6aで形成され、複数の取入れ口INを有している。外周壁の一部に形成された開口は、チャンバ23aの吐出し口と液密に連通している。空洞部24は、チャンバ23aの吐出し口と、取入れ口INとを繋ぐ流路として機能する。このため、冷却液は、高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流路CCを流れる。
この実施形態において、循環部23及び空洞部24は一体に形成され、X線管ユニット5に着脱可能に設けられている。
X線遮蔽部510は、第3遮蔽部513無しに形成されている。
固定部材90は、第1遮蔽部511側に突出した筒状の突出部を有している。上記突出部は、第1遮蔽部511との間に隙間を形成している。上記隙間は、高電圧ケーブル71の通る通路や、冷却液7の流路に利用されている。X線遮蔽部520は、上記突出部も含め、第1遮蔽部511と対向した側の固定部材90の表面全体に形成されている。X線遮蔽部510とX線遮蔽部520はX線透過領域R1外に放射されたX線を遮蔽することができるため、ハウジング20の外部へのX線の漏洩を防止することができる。
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。循環部23は、上記第1の実施形態では流路CCから冷却液7を取込むように形成されていたが、本実施形態では流路CCに冷却液7を吐出すように形成されている。この場合も、上記第1の実施形態と同様に、流路CCに冷却液7を流すことができる。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は、第3の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係るX線管装置は、大まかに上記第1の実施形態に係るX線管装置と同様に形成されているが、循環部23の機能が異なっている。チャンバ23aにおいて、取込み口ではなく、吐出し口が貫通孔90bに対向している。循環部23は、ハウジング20の内部から取込んだ冷却液7を、貫通孔90bに吐出す。このため、冷却液は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。本実施形態に係る循環部23は、流路CCに冷却液7を流す点で、上記第1及び第2の実施形態の循環部23と共通している。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第1乃至第3の実施形態の変形例)
次に、第1乃至第3の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニット5の変形例について説明する。
図6は、第1乃至第3の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例を示す断面図である。図6に示すように、絶縁部材6aは、厚みを異ならせて形成されていてもよい。X線透過領域R1の絶縁部材6aは、X線遮蔽領域R2の絶縁部材6aより薄い。これにより、絶縁部材6a(シールド構造体6)によるX線透過率の向上を図ることができる。
図7は、第1乃至第3の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例を示す断面図である。図7に示すように、絶縁部材6aは、X線透過領域R1に重なった貫通孔6ahを有している。貫通孔6ahは、例えば円形であり、貫通孔6bhに重なっている。
シールド構造体6は、板厚が絶縁部材6aよりも薄く、X線を透過させ易い仕切板6cを備えている。仕切板6cは、X線透過性の材料として、例えば樹脂やベリリウムなどで形成することが好ましい。仕切板6cは、例えば円板状に形成されている。仕切板6cは、貫通孔6ah、6bhに対向し、絶縁部材6a及びX線遮蔽体6b間に挟持されている。仕切板6cは、貫通孔6ah、6bhを液密に塞いでいる。これにより、流路CCにおける冷却液7の流れを阻害することなく、シールド構造体6によるX線透過率の向上を図ることができる。
(第1及び第2の実施形態の変形例)
次に、第1及び第2の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例について説明する。
図8は、第1及び第2の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図8に示すように、絶縁部材6aは、上記貫通孔6ahを有している。これにより、シールド構造体6によるX線透過率の向上を図ることができるとともに、図6及び図7に示したシールド構造体6より容易に製造することができる。図8に示したシールド構造体6の構成は、冷却液が、流路CCを高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流れる場合に適用可能であり、流路CCに冷却液の流れを形成することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第3の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は、第4の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図10は、上記第4の実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図であり、図9の断面図とは切断面が90°ずれている。
図9及び図10に示すように、X線管装置は、高電圧絶縁部材としてのホルダ8をさらに備えている。ホルダ8は、接続部材40とステータコイル9とに固定されている。ホルダ8は、X線管30とステータコイル9との相対的な位置を保持している。ホルダ8は、X線管30に対するシールド構造体6の位置を規制している。
ホルダ8は、円環部と、円環部の外周部から延出した複数のアーム部とが一体となって形成されている。円環部の内周部と接続部材40は機械的に強固に接続されている。複数のアーム部は、円環部の外周に沿った方向に等間隔に位置している。複数のアーム部は、ステータコイル9に接続されている。この実施形態において、ホルダ8は、3個のアーム部を有している。なお、アーム部の個数は4個以上でもよい。ホルダ8がX線管30とステータコイル9との相対的な位置を保持できるのであれば、アーム部の個数は2個以下でもよい。
ホルダ8及び接続部材40は、絶縁部材6a(シールド構造体6)に接続されていない。ホルダ8(円環部)は、円環状の溝部を有している。上記溝部の形状は、高電圧供給端子44側の絶縁部材6aの筒状の端部の形状に対応している。溝部には、絶縁部材6aの上記端部が隙間を置いて挿入されている。ホルダ8と絶縁部材6aとの間の隙間は、流路CCから冷却液7を取出す取出し口OUTを形成している。
X線管30、シールド構造体6、接続部材40、ホルダ8及びステータコイル9は、X線管ユニット5を形成している。
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管ユニット5は、ホルダ8を備えている。シールド構造体6を接続部材40又はホルダ8に接続すること無しに、X線管30とシールド構造体6との位置を規制することができる。
また、上記のように、シールド構造体6を接続部材40又はホルダ8に接続しなくともよいことから、本実施形態に係るX線管ユニット5の構成部品の組合せ精度は、上記第3の実施形態に係るX線管ユニット5の構成部品の組合せ精度より低くともよい。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5を上記第3の実施形態に係るX線管ユニット5より容易に製造することが可能となる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第4の実施形態の変形例)
次に、第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例について説明する。 図11は、第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例を示す断面図である。一般に、冷却液7に熱が伝達されると、冷却液7の温度が上昇するが、重力方向に沿って冷却液7の温度にばらつきが生じる。重力方向に沿って冷却液7の温度は、次第に低下することになる。このため、重力方向に沿った冷却液7の温度分布をより均一にすることが望ましい。
そこで、図11に示すように、X線管ユニット5は、セパレータ15をさらに備えている。セパレータ15は、真空容器32(真空外囲器31)と、絶縁部材6a(シールド構造体6)との間に位置している。セパレータ15は螺旋状に形成されている。セパレータ15は、流路CCの一部を螺旋状に形成している。セパレータ15は、電気絶縁材料として、例えばゴムで形成されている。
セパレータ15は、真空容器32の外周に巻き付けられ、絶縁部材6aの内周に接触している。このため、摩擦ばめを利用し、X線管30及びシールド構造体6を固定することができる。但し、セパレータ15は、絶縁部材6aの内周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
なお、作り難くなるが、セパレータ15は、絶縁部材6aの内周に巻き付けられ、真空容器32の外周に接触していてもよい。この場合も、セパレータ15は、真空容器32の外周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
図11に示した例では、セパレータ15は、ロータ10や、真空容器32の径小部と対向した位置に設けられている。
これにより、ハウジング20内での冷却液7の温度分布の均一化を図ることができる。
図12は、上記第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図12に示すように、セパレータ15は、陽極ターゲット35や、真空容器32の径大部まで延出して形成されていてもよい。但し、セパレータ15は、X線透過領域R1から外れて位置している。これにより、真空容器32の径大部付近の流路CCも螺旋状に形成することができる。
図13は、上記第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図13に示すように、X線管ユニット5は、セパレータ16をさらに備えていてもよい。セパレータ16は、X線遮蔽体6b(シールド構造体6)と、ハウジング20との間に位置している。セパレータ16は螺旋状に形成されている。セパレータ16は、X線管ユニット5とハウジング20との間の流路の一部を螺旋状に形成している。セパレータ16は、電気絶縁材料として、例えばゴムで形成されている。
セパレータ16は、X線遮蔽体6bの外周に巻き付けられ、ハウジング20の内周に接触している。このため、摩擦ばめを利用し、ハウジング20にX線管ユニット5を固定することができる。但し、セパレータ16は、ハウジング20の内周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
なお、作り難くなるが、セパレータ16は、ハウジング20の内周に巻き付けられ、X線遮蔽体6bの外周に接触していてもよい。この場合も、セパレータ16は、X線遮蔽体6bの外周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
上記の変形例では、セパレータ15を用いることで流路CCの一部を螺旋状に形成しているが、上記以外の手法で流路CCを螺旋状に形成してもよい。例えば、セパレータ15などの部材を付加すること無しに、流路CCを螺旋状に形成してもよい。
図14は、上記第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図14に示すように、絶縁部材6aは、絶縁部材6aの内周面に形成された螺旋状の突起6pを有していてもよい。突起6pは、弾性をもっていないため、真空容器32の外周に隙間を置いて形成されている。この場合も、真空容器32の径小部付近の流路CCを螺旋状に形成することができる。
図15は、上記第4の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図15に示すように、絶縁部材6aは、絶縁部材6aの内周面に形成された螺旋状の溝部6rを有していてもよい。この場合も、真空容器32の径小部付近の流路CCを螺旋状に形成することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第4の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図16は、第5の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。なお、図16において、X線遮蔽領域R2の図示は省略しているが、X線遮蔽領域R2は。上記第4の実施形態と同一である。
図16に示すように、X線管装置は、循環部23無しに形成されている。X線管装置は、循環部としての循環ポンプ25と、導管11、12、13とをさらに備えている。導管11、12、13は、冷却液7を送ることができればよく、例えばホースで形成されている。循環ポンプ25は、ハウジング本体20e(ハウジング20)の外面に取付けられている。
導管11の一端部は、循環ポンプ25の吐出し口に液密に接続されている。導管11の他端部は、ハウジング本体20eに形成された図示しない開口と、第3遮蔽部513に形成された貫通孔とを通って、ハウジング20の内部に位置している。導管11の通るハウジング本体20eの開口は、液密に閉塞されている。
導管12は、固定部材90に固定されている。導管12は、貫通孔90bを貫通している。導管12の一端部は、導管11の他端部に連通されている。導管12の他端部は、X線管30に対向し、取入れ口INに繋がっている。
導管13の一端部は、固定部材90と、蓋部20gとの間のハウジング20の内部空間に位置している。導管13の他端部は、第3遮蔽部513に形成された貫通孔と、ハウジング本体20eに形成された図示しない開口とを通って、循環ポンプ25の取入れ口に液密に接続されている。導管13の通るハウジング本体20eの開口は、液密に閉塞されている。
循環ポンプ25は、導管13から取り入れた冷却液7を導管11に吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。このため、冷却液7をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCには冷却液7の流れを形成することができる。
上記のように構成された第5の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、循環ポンプ25を備えている。循環ポンプ25をハウジング20の外側に配置することができ、循環ポンプ25に大きなポンプを利用することができるため、上述した循環部23より高い圧力レベルで冷却液7を送出すことができる。冷却液7をハウジング20の内部において一層循環させることができ、ハウジング20内での冷却液7の温度分布の均一化を図ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第4の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図17は、第6の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図18は、第6の実施形態に係るX線管ユニットを示す断面図であり、図17の断面図とは、切断面が90°ずれている。
図17及び図18に示すように、シールド構造体6は、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、仕切板6cと、金属部材6dと、を有している。X線遮蔽体6bは、上記第4の実施形態のX線遮蔽体6bと同様に形成されている。絶縁部材6a及び金属部材6dは、シェルとして機能している。絶縁部材6a及び金属部材6dで形成される流路形成体は、真空外囲器31との間に冷却液7が流れる流路を形成する。
金属部材6dは、軸線aに垂直な方向において、真空外囲器31の径大部を取り囲んでいる。金属部材6dは、円筒状に形成されている。この実施形態において、金属部材6dはX線遮蔽体6bに密接する形状を有している。金属部材6dにはX線遮蔽体6bが貼り付けられている。金属部材6dは、X線遮蔽領域R2に設けられ、X線遮蔽体6bに重なっている。金属部材6dは、X線透過領域R1に重なった貫通孔6dhを含んでいる。貫通孔6dhは、例えば円形であり、貫通孔6bhに重なっている。貫通孔6dhは、X線透過窓として機能する。金属部材6dは、X線遮蔽体6bとX線管30との間に位置している。
金属部材6dは、陽極ターゲット35の破片の運動エネルギを吸収することができる程度の強度と延性を有する金属材料で形成されている。上記金属材料としては、例えば、アンチモンなどを鉛に添加した硬質鉛、又はステンレス鋼などを利用することができる。金属部材6dを硬質鉛で作製した場合や、金属部材6dの厚みを十分大きくした場合には、X線遮蔽体6bを省略することも可能である。金属部材6dは防護体として機能することができる。シールド構造体6及びハウジング20は、隙間を置いて位置しているため、金属部材6d(シールド構造体6)に変形が生じてもハウジング20自体の変形を防止できる。これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を防止することができる。
仕切板6cは、X線透過性の材料として、例えば樹脂やベリリウムなどで形成することが好ましい。仕切板6cは、例えば円板状に形成されている。仕切板6cは、貫通孔6bh、6dhに対向し、金属部材6d及びX線遮蔽体6b間に挟持されている。仕切板6cは、貫通孔6bh、6dhを液密に塞いでいる。これにより、流路CCにおける冷却液7の流れを阻害することなく、シールド構造体6によるX線透過率の向上を図ることができる。
絶縁部材6aは、上記第4の実施形態に係る絶縁部材6aより短く、一端部が円錐形をした管状に形成されている。絶縁部材6aの一端部は、金属部材6dの端部に接着されている。絶縁部材6aは、軸線aに垂直な方向において、真空外囲器31の径小部を取り囲んでいる。
上記のように構成された第6の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
シールド構造体6は、陽極ターゲット35と対向した金属部材6dを備えている。このため、シールド構造体6は、上記第4の実施形態に係るシールド構造体6に比べ、陽極ターゲット35の破片の運動エネルギの吸収力を強くすることができる。これにより、ハウジング20に生じる恐れのあった亀裂の発生を一層防止することができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図19は、第7の実施形態に係るX線管装置を示す概略図であり、リセプタクル側からX線管装置を見た図である。図20は、図19の線XX−XXに沿った断面図である。詳しくは、図20は、図19での、線A1−A2に沿った断面図と、線B1−B2に沿った断面図とを合成した図である。
図19及び図20に示すように、ハウジング本体20eの一部には、管軸に垂直な方向に突出した突出部が形成されている。なお、突出部は、比較的形成し易いものである。ハウジング本体20eの突出部と、X線遮蔽体6b(シールド構造体6)とは、高電圧ケーブル71が通る通路(隘路)を形成している。なお、上記通路(高電圧ケーブル71)がハウジング20のX線放射窓20wと対向した位置から外れて位置していることは言うまでもない。
ハウジング20は、側部20nを有している。側部20nは、蓋部20fとともにハウジング本体20eの端部を閉塞している。開口20a1及び開口20c1は、側部20nに形成されている。
リセプタクル300、400は、側部20nに取付けられている。リセプタクル300、400は、管軸方向に沿って延在している。なお、ハウジング20の長手方向は管軸方向と平行である。ハウジング301は、管軸方向に直交した方向におけるX線管30とハウジング本体20eとの間の空間まで、開口20a1から延在している。ハウジング401は、管軸方向に直交した方向におけるX線管30とハウジング本体20eとの間の空間まで、開口20c1から延在している。
上記のように構成された第7の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
リセプタクル300、400は、X線管装置の管軸に直交した方向において、X線管30と、ハウジング本体20eとの間に位置している。管軸に沿った方向において、X線管30と、ハウジング20(蓋部)との間にリセプタクルを設ける従来構造を採っていない。このため、本実施形態は、従来構造と比べてX線管装置の小型化を図ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図21は、第8の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図21に示すように、ハウジング20は、蓋部20f、20g、20h及び筒部20a、20c無しに閉塞して形成されている。ハウジング20は、図示しない蓋部を有している。X線管装置は、リセプタクル300、400無しに形成されている。
絶縁部材6aの内周面は、固定部材90に接触している。又は、絶縁部材6aの内周面は、固定部材90に僅かな隙間を置いて対向している。このため、取出し口OUTは、真空外囲器31と固定部材90との間に形成されている。固定部材90は、貫通孔90bを有していない。このため、貫通孔90aは、冷却液7の流路を兼ねている。
X線遮蔽部530は、X線管30と対向した固定部材90の表面に貼り付けられている。X線遮蔽部530の端部は、管軸に垂直な方向にX線遮蔽体6bに対向している。X線遮蔽部530は、貫通孔90aと対向した個所が開口して形成されている。
X線遮蔽部540は、固定部材90の反対側の表面に貼り付けられている。X線遮蔽部540の端部は、管軸に沿った方向にX線遮蔽体6bに近接している。X線遮蔽部540は、貫通孔90aと対向した個所が開口して形成されている。
X線遮蔽部550は、環部551と、筒部552と、板部553とを備えている。環部551はX線遮蔽部540上に形成され、環部551の開口は貫通孔90aと対向している。板部553は、例えば円板であり、環部551に間隔を置いて対向している。筒部552は、環部551と板部553との間に位置し、環部551と板部553とを接合している。筒部552には、複数の貫通孔が形成されている。上記複数の貫通孔は、高電圧ケーブル71の通る通路や、冷却液7の流路に利用されている。X線遮蔽部550は、貫通孔90aからのX線の漏洩を防止している。
X線管装置は、高電圧ユニットとしての高電圧発生器80をさらに備えている。高電圧発生器80は、X線管ユニット5などとともにハウジング20内に収容され、冷却液7に浸っている。このようなX線管装置はモノブロックまたはモノタンク等と呼ばれている。高電圧発生器80は、X線管30に高電圧を与える。高電圧発生器80の一次電圧供給端子81は、ハウジング20の開口20pを通ってハウジング20の外側まで延出している。なお、開口20pは液密に閉塞されている。高電圧ケーブル61は高電圧発生器80の陽極用の出力端子に接続され、高電圧ケーブル71は高電圧発生器80の陰極用の出力端子に接続されている。
上記のように構成された第8の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図22は、第9の実施形態に係るX線管装置を示す概略図であり、リセプタクル側からX線管装置を見た図である。図23は、図22の線XXIII−XXIIIに沿った断面図である。
図24は、図22の線XXIV−XXIVに沿った断面図である。詳しくは、図24は、図22での、線C1−C2に沿った断面図と、線D1−D2に沿った断面図とを合成した図である。図25は、図22の線XXV−XXVに沿った断面図である。詳しくは、図25は、図22での、線C1−C2に沿った断面図と、線E1−E2に沿った断面図とを合成した図である。
図22、図23、図24及び図25に示すように、ハウジング20は、凹部20dを有している。凹部20dは、リセプタクル300とリセプタクル400との間に位置し、管軸に沿った方向に延在している。管軸に垂直な方向において、凹部20dの開口側は閉塞部材100で覆われている。凹部20dは、閉塞部材100とともにダクトを形成している。
X線管装置は、空冷ラジエータ110を備えている。空冷ラジエータ110は、蓋部111と、複数のヒートパイプ112と、複数のフィン113と、チャンバ114とを備えている。空冷ラジエータ110は、ハウジング20の内部及び外部(上記ダクトの内部)に位置している。空冷ラジエータ110は、ハウジング20に液密に取付けられ、冷却液7の熱をハウジング20の外部に放出する。
蓋部111は、ハウジング20の開口に設けられ、図示しない締め具によりハウジング20に締め付けられている。ハウジング20には、蓋部111に対向した枠状の溝部が形成されている。ハウジング20と蓋部111との間の隙間は、上記溝部に設けられたOリングにより液密にシールされている。上記Oリングは、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
複数のヒートパイプ112は、蓋部111に液密に取付けられ、ハウジング20の内部及び外部にそれぞれ延在している。複数のフィン113は、ハウジング20の外部に位置し、複数のヒートパイプ112に接続されている。
チャンバ114は、ハウジング20の内部に位置し、蓋部111に取付けられている。チャンバ114は、複数のヒートパイプ112を覆っている。チャンバ114は、チャンバ114は、冷却液7の流入口及び流出口を有している。なお、チャンバ23aの取込み口は、チャンバ114の流出口に近接している。この実施形態において、チャンバ23aの取込み口は、チャンバ114の流出口に連通している。
X線管装置は、送風部としてのファン120を備えている。ファン120は、空冷ラジエータ110とともに熱交換器を形成している。ファン120は、ハウジング20の外部(上記ダクトの内部)に位置した空冷ラジエータ110に送風するものである。空冷ラジエータ110はダクト内に位置しているため、空冷ラジエータ110に効率良く空気を吹き付けることができる。空冷ラジエータ110は、ヒートパイプ方式及び空冷式により放熱することができる。このため、冷却された冷却液7を流路CCに流すことができる。
上記のように構成された第9の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、空冷ラジエータ110及びファン120を備えている。このため、陽極ターゲット35から輻射される熱量の放散を一層向上させることができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第5の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図26は、第10の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。なお、図26において、X線遮蔽領域R2の図示は省略しているが、X線遮蔽領域R2は。上記第5の実施形態(第4の実施形態)と同一である。
図26に示すように、X線管装置は、筐体130、空冷ラジエータ140及び送風部としてのファン150をさらに備えている。空冷ラジエータ140及びファン150は、熱交換器を形成している。また、X線管装置は、導管11に替えて導管11a及び導管11bを備えている。導管11a、11bは、冷却液7を送ることができればよく、例えばホースで形成されている。
筐体130は、ハウジング本体20e(ハウジング20)の外面に取付けられている。循環ポンプ25、空冷ラジエータ140及びファン150は、筐体130内に設けられている。
導管11aの一端部は、循環ポンプ25の吐出し口に液密に接続されている。導管11aの他端部は、空冷ラジエータ140に液密に接続されている。導管11bの一端部は、空冷ラジエータ140に液密に接続されている。導管11bの他端部は、ハウジング本体20eに形成された図示しない開口と、第3遮蔽部513に形成された貫通孔とを通って、ハウジング20の内部に位置している。導管11bの通るハウジング本体20eの開口は、液密に閉塞されている。
循環ポンプ25は、導管13から取り入れた冷却液7を導管11aに吐出し、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。空冷ラジエータ140は、ファン150により空気が吹き付けられることにより、冷却液7の熱を外部へ放出させることができる。これにより、冷却液7は冷却される。上記のことから、流路CCに冷却された冷却液7を流すことができる。
上記のように構成された第10の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、空冷ラジエータ110及びファン120を備えている。このため、陽極ターゲット35から輻射される熱の外部への放散を一層促進することができる。
上記のことから、X線漏洩試験を単独で行うことができ、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管装置においては、さらに、ハウジング20の製造コストの低減を図ることができる。
次に、上述した第1乃至第10の実施形態に係るX線管装置の比較例のX線管装置について説明する。なお、比較例のX線管装置は、後述する実施形態に係るX線管装置の比較例にもなり得る。図27は、比較例のX線管装置を示す断面図である。
図27に示すように、比較例のX線管装置は、シールド構造体6を備えていない。X線管装置は、固定軸1を固定した高電圧絶縁部材4を有している。高電圧絶縁部材4は、一端が円錐形をし、他端が閉塞した管状に形成されている。高電圧絶縁部材4は、固定軸1と、ハウジング20及びステータコイル9との間を電気的に絶縁するものである。
ハウジング20の外部への不所望なX線の放出を防止するため、鉛板200がハウジング本体20eの内面に貼り付けられている。しかしながら、製造コストの低減、ひいては製品価格の低減を図る上での大きなネックとなってしまう。また、ハウジング本体20eと鉛板200との分別が非常に困難であるため、資源有効活用の面で望ましくない。
また、鉛板200付のハウジング20内に冷却液7とともにX線管30を収納した状態で、X線放射窓20w以外からのX線漏洩がないことの確認試験などを、高価で大掛かりで特殊な専用設備を使用して実施する必要がある。このため、X線管装置単位での輸送が必要になってしまう。
ハウジング20内の冷却液7に強制対流は生じない。陽極ターゲット35やロータ10から輻射される熱は冷却液7の自然対流によって放熱され、やがてハウジングへと伝熱される。ハウジング内壁には広範囲に亙って鉛板が貼り付けられている。ハウジング内壁と鉛板との間は、部分的に接着されているが、ほとんどの部分は絶縁油が流れ難い非常に狭い隙間が形成され、隙間には絶縁油が滞在している。このため鉛板に伝熱された熱はハウジングに伝熱され難い。その結果、陽極ターゲット35やロータ10から輻射される熱の放散が低下してしまい、陽極ターゲット35付近や、ロータ10付近の冷却液7は過熱され易い。これにより、X線管30の放電発生頻度が高くなってしまう。
次に、上述した第1乃至第10の実施形態及びこれらの変形例に関する事項を、以下の(S1)乃至(S17)に示す。
(S1)電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の真空空間全体を取り囲み、X線を透過するX線透過領域と、X線を遮蔽し前記X線透過領域を囲んだX線遮蔽領域とを有し、前記真空外囲器との間に冷却液を流す流路を形成するシールド構造体と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
(S2)前記シールド構造体は、
前記真空外囲器の真空空間全体を取り囲んだ電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に固定され、前記X線遮蔽領域に設けられ、X線を遮蔽し、前記X線透過領域に重なった貫通孔を含んだX線遮蔽体と、を有している(S1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S3)前記X線遮蔽体は、前記電気絶縁部材に対して回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記電気絶縁部材に密接する形状を有している(S2)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S4)前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている(S3)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S5)前記シールド構造体は、
前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲んだ金属部材と、
前記金属部材に固定され、前記X線遮蔽領域に設けられ、X線を遮蔽し、前記X線透過領域に重なった貫通孔を含んだX線遮蔽体と、を有している(S1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S6)前記金属部材は、前記X線透過領域に重なった貫通孔を含んでいる(S5)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S7)前記シールド構造体は、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、前記X線透過領域に重なった貫通孔を含んでいる(S1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S8)前記シールド構造体は、前記貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板を備えている(S6)又は(S7)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S9)前記シールド構造体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記軸線に垂直な方向での前記シールド構造体の位置を規制し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている(S1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(S10)回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納したハウジングと、
前記回転陽極型X線管ユニットと前記ハウジングとの間の空間に充填された冷却液と、
循環部と、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の真空空間全体を取り囲み、X線を透過するX線透過領域と、X線を遮蔽し前記X線透過領域を囲んだX線遮蔽領域とを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却液を流す流路を形成するシールド構造体と、を備え、
前記循環部は、前記流路に前記冷却液の流れを形成する回転陽極型X線管装置。
(S11)前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている(S10)に記載の回転陽極型X線管装置。
(S12)前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる(S11)に記載の回転陽極型X線管装置。
(S13)前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している(S10)に記載の回転陽極型X線管装置。
(S14)前記遮蔽層は、金属で形成されている(S13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(S15)前記冷却液は、絶縁油である(S10)乃至(S14)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(S16)前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている(S15)に記載の回転陽極型X線管装置。
(S17)前記ハウジングの内部及び外部に位置し、前記ハウジングに液密に取付けられ、前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置した前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器さらに備えている(S10)乃至(S16)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第4の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図28は、第11の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図28に示すように、ハウジング本体20eは、アルミニウム等の金属材料で形成されている。金属材料で形成されているハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されているハウジング本体に比べて冷却液7の熱が伝わり易く、外部に放熱し易い。
複数のゴム部材(電気絶縁部材)91は、X線管30(真空外囲器31)の径大部と絶縁部材6aとに接触している。複数のゴム部材(電気絶縁部材)93は、X線管30(真空外囲器31)の径小部と絶縁部材6aとに接触している。ゴム部材91、93は、それぞれ3、4個利用している。絶縁部材6a及びゴム部材91、93は、摩擦ばめを利用して真空外囲器31を固定している。このため、X線管30及びシールド構造体6は一体に形成されている。
X線遮蔽部510は、第1遮蔽部511及び第2遮蔽部512を有している。
X線遮蔽部520は、硬鉛で形成されている。ここで、硬鉛とは、JIS H5601に規定されているアンチモン(Sb)を3wt%含有する鉛合金である。硬鉛は、剛性を有する材料である。このため、固定部材90無しにX線管装置を形成することができる。また、鋳造法で作製した部品にねじ加工を施すことができ、部品同士をねじ締結することができる。
X線遮蔽部520は、第1貫通孔及び第2貫通孔を有する板部(円板)と、板部の外縁を囲むように取付けられた第1筒部と、板部に取付けられ第1貫通孔を取り囲みX線遮蔽部510側に突出した第2筒部と、板部に取付けられ第2貫通孔を取り囲みX線遮蔽部510側に突出した第3筒部と、を有している。
X線遮蔽部520の第1筒部にはねじ孔が形成され、X線遮蔽部520及びX線遮蔽体6bは、ねじ18bを利用してねじ締結されている。このため、X線遮蔽部520は、X線遮蔽体6bの開口を塞ぐX線遮蔽蓋として機能している。
また、X線遮蔽部520自体は、ハウジング20に固定されている。X線遮蔽部520の第1筒部は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)92を利用しハウジング20に固定されている。例えば、X線遮蔽部520の第1筒部は、3、4個所でゴム部材92とともにハウジング20に固定されている。ゴム部材92は、ハウジング20に接触している。このため、X線遮蔽部520及びゴム部材92は、摩擦ばめを利用してハウジング20に固定されている。
循環部23は、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520で囲まれた空間に設けられている。チャンバ23aは、X線遮蔽部520に固定されている。チャンバ23aは、冷却液7の取込み口及び吐出し口を有している。吐出し口は、X線遮蔽部520の板部の第1貫通孔に対向している。循環部23は、取込み口から取込んだ冷却液7を、吐出し口から吐出す。この実施形態において、冷却液は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。なお、X線遮蔽部520の板部の第2貫通孔及び第3筒部は、高電圧ケーブル71の通る通路に利用されている。
X線管30及びシールド構造体6は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。シールド構造体6は、シェルとしての絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を有している。X線遮蔽体6bは、硬鉛で形成されている。
ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。このため、ここでは、ステータコイル9を支持する複数の固定金具はハウジング20にねじ18aを利用してねじ締結されている。ステータコイル9は、図3に示したロータ10の外面に対向して真空外囲器31の径小部の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向に、絶縁部材6aに間隔を置いて位置している。ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、配線(接地線)17及びステータコイル9の固定金具を介してハウジング20に電気的に接続されている。
このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。X線遮蔽体6bが電気的にフローディング状態にある場合でのX線管30の放電の誘発を抑制することができる。本実施形態のように、X線遮蔽体6bとハウジング20との導通が容易に得られない場合には、X線遮蔽体6bをハウジング20に導通させることが好ましく、配線17等を利用することが有効である。
次いで、X線管装置のX線管30を新品のX線管30に交換する手法について説明する。
X線管30の交換が開始されると、まず、ハウジング20の内部から冷却液7を取り出す。なお、ハウジング20は冷却液7を取り出すための開口部を有していてもよい。上記開口部は、通常は液密に閉塞されている。
次いで、ハウジング本体20eから蓋部20f、20g、20hを取り外す。続いて、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続状態を解除し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54との接続状態を解除する。その後、配線17とステータコイル9の固定金具との接続状態を解除し、X線管30と接続部材40との接続状態を解除する。
次いで、ハウジング本体20eから、X線管ユニット5等(X線管30、シールド構造体6、X線遮蔽部520)を取り外す。この際、リセプタクル300、400は、必要に応じ、ハウジング20から取り外せばよい。その後、ねじ18bを外し、シールド構造体6からX線管30を取り出す。
次に、新品のX線管ユニット5を用意する。
その後、ハウジング本体20e内に、新品のX線管ユニット5等(X線管30、シールド構造体6、X線遮蔽部520)を押し込み、取付ける。この際、リセプタクル300、400は、必要に応じ、ハウジング20に取付ければよい。次いで、配線17とステータコイル9の固定金具との接続状態を回復させ、X線管30と接続部材40との接続状態を回復させ、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44とを接続し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54とを接続する。
続いて、ハウジング本体20eに蓋部20f、20g、20hを取り付け、空状態のX線管装置を形成する。その後、ハウジング20内に冷却液7を充填する。これにより、X線管装置が完成し、X線管30の交換が終了する。
上記のように構成された第11の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、配線(接地線)17及びステータコイル9の固定金具を介してハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第11の実施形態の変形例)
次に、第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例について説明する。図29は、第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの変形例を示す断面図である。
図29に示すように、X線管ユニット5は、セパレータ15をさらに備えている。セパレータ15は、真空容器32(真空外囲器31)の径小部と、絶縁部材6a(シールド構造体6)との間に位置している。摩擦ばめを利用し、X線管30及びシールド構造体6を固定することができるため、X線管ユニット5をゴム部材93無しに形成することができる。但し、セパレータ15は、絶縁部材6aの内周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。この場合、X線管ユニット5はゴム部材93を利用することができる。
なお、作り難くなるが、セパレータ15は、絶縁部材6aの内周に巻き付けられ、真空容器32の外周に接触していてもよい。この場合も、セパレータ15は、真空容器32の外周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
図30は、上記第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図30に示すように、セパレータ15は、陽極ターゲット35や、真空容器32の径大部まで延出して形成されていてもよい。但し、セパレータ15は、X線透過領域R1から外れて位置している。この場合、X線管ユニット5をゴム部材93無しに形成することができ得る。
図31は、上記第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図31に示すように、X線管ユニット5は、セパレータ16をさらに備えていてもよい。セパレータ16は、X線遮蔽体6b(シールド構造体6)と、ハウジング20との間に位置している。このため、摩擦ばめを利用し、ハウジング20にX線管ユニット5を固定することができる。但し、セパレータ16は、ハウジング20の内周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
なお、作り難くなるが、セパレータ16は、ハウジング20の内周に巻き付けられ、X線遮蔽体6bの外周に接触していてもよい。この場合も、セパレータ16は、X線遮蔽体6bの外周に接触させず、隙間を置いて形成されていてもよい。
上記の変形例では、セパレータ15を用いることで流路CCの一部を螺旋状に形成しているが、上記以外の手法で流路CCを螺旋状に形成してもよい。例えば、セパレータ15などの部材を付加すること無しに、流路CCを螺旋状に形成してもよい。
図32は、上記第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図32に示すように、絶縁部材6aは、絶縁部材6aの内周面に形成された螺旋状の突起6pを有していてもよい。突起6pは、弾性をもっていないため、真空容器32の外周に隙間を置いて形成されている。この場合も、真空容器32の径小部付近の流路CCを螺旋状に形成することができる。
図33は、上記第11の実施形態に係るX線管装置のX線管ユニットの他の変形例を示す断面図である。図33に示すように、絶縁部材6aは、絶縁部材6aの内周面に形成された螺旋状の溝部6rを有していてもよい。この場合も、真空容器32の径小部付近の流路CCを螺旋状に形成することができる。
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第11の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図34は、第12の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図35は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。
図34及び図35に示すように、X線管30、絶縁部材6a(シェル、流路形成体)、X線遮蔽体6b、接続部材40及びステータコイル9は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。ハウジング20からX線管ユニット5の取り出し、及びハウジング20へのX線管ユニット5の導入は、X線管ユニット5をひねることにより可能となる。ねじ18aの締結部(ハウジング本体20eと、ステータコイル9の固定金具)が対向しなくなるためである。
絶縁部材6aは、接続部材40を介してX線管30に固定されている。このため、回転陽極型のX線管ユニット5は、ゴム部材93無しに形成されている。
ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向での絶縁部材6aの位置を規制している。この実施形態において、ステータコイル9は、絶縁部材6aの外面に接触している。なお、X線管30にがたつきが生じないよう、ステータコイル9の一部と絶縁部材6aの外面とは接着剤により接着されている。
ステータコイル9には、金属で形成された複数の支持部材9aが取付けられている。支持部材9aは、それぞれX線遮蔽体6bに接続されている。このため、支持部材9aは、X線遮蔽体6bを支持している。また、支持部材9aは、X線遮蔽体6bをハウジング20に電気的に接続させ、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。本実施形態においては、上記配線17等を利用しなくとも、X線遮蔽体6bとハウジング20との導通を容易に得ることができる。
X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに貼り付けられていない。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに近接する形状を有している。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aとの間に隙間を形成することがあり得る。このため、本実施形態では、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けること無しに用いることが可能である。
上記のように構成された第12の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第11の実施形態と同様の効果を得ることができる。
但し、ステータコイル9は絶縁部材6aに接着させているため、ステータコイル9もX線管ユニット5を形成している。また、X線遮蔽体6bは支持部材9a等を介してハウジング20に電気的に接続されているため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第13の実施形態)
次に、第13の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第8の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図36は、第13の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図36に示すように、ハウジング20は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
ホルダ8は、接続部材40とハウジング20とに固定されている。ホルダ8とハウジング20は、ねじ18cを利用しねじ締結されている。この実施形態において、ホルダ8は、ステータコイルホルダではなく、X線管ホルダである。ホルダ8は、X線管30とハウジング20との相対的な位置を保持している。
ホルダ8及び接続部材40は、絶縁部材6a(シールド構造体6)に接続されていない。ホルダ8(円環部)は、円環状の溝部を有している。上記溝部の形状は、高電圧供給端子44側の絶縁部材6aの筒状の端部の形状に対応している。溝部には、絶縁部材6aの上記端部が隙間を置いて挿入されている。ホルダ8と絶縁部材6aとの間の隙間は、流路CCから冷却液7を取出す取出し口OUTを形成している。
複数のゴム部材(電気絶縁部材)91は、X線管30(真空外囲器31)の径大部と絶縁部材6aとに接触している。複数のゴム部材(電気絶縁部材)93は、X線管30(真空外囲器31)の径小部と絶縁部材6aとに接触している。ゴム部材91、93は、それぞれ3、4個利用している。絶縁部材6a及びゴム部材91、93は、摩擦ばめを利用して真空外囲器31を固定している。このため、X線管30及びシールド構造体6は一体に形成されている。
X線遮蔽部520は、硬鉛で形成されている。このため、固定部材90無しにX線管装置を形成することができる。X線遮蔽部520は、貫通孔を有する板部(円板)と、板部の外縁を囲むように取付けられた筒部と、を有している。X線遮蔽部520の筒部にはねじ孔が形成され、X線遮蔽部520及びX線遮蔽体6bは、ねじ18bを利用してねじ締結されている。このため、X線遮蔽部520は、X線遮蔽体6bの開口を塞ぐX線遮蔽蓋として機能している。
X線遮蔽部550は、筒部552と、板部553とを備えている。板部553は、X線遮蔽部520に間隔を置いて対向している。筒部552は、X線遮蔽部520と板部553との間に位置し、X線遮蔽部520と板部553とを接合している。筒部552には、複数の貫通孔が形成されている。上記複数の貫通孔は、冷却液7の流路に利用されている。X線遮蔽部550は、X線遮蔽部520の貫通孔からのX線の漏洩を防止している。
循環部23は、X線遮蔽部520及びX線遮蔽部550で囲まれた空間に設けられている。チャンバ23aは、X線遮蔽部520に固定されている。チャンバ23aは、冷却液7の取込み口及び吐出し口を有している。吐出し口は、X線遮蔽部520の板部の貫通孔に対向している。循環部23は、取込み口から取込んだ冷却液7を、吐出し口から吐出す。この実施形態において、冷却液は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。
X線管30及びシールド構造体6は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。シールド構造体6は、シェルとしての絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を有している。X線遮蔽体6bは、硬鉛で形成されている。また、X線遮蔽体6bには高電圧ケーブル71の通る通路に利用される貫通孔が形成されている。
ステータコイル9は、図3に示したロータ10の外面に対向して真空外囲器31の径小部の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向に、絶縁部材6aに間隔を置いて位置している。ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
第1押さえ金具19aは、ステータコイル9を押さえつけた状態で、ハウジング20に固定されている。ここでは、第1押さえ金具19aとハウジング20のフランジ部とは、ねじ締結されている。これにより、ハウジング20に対するステータコイル9の位置を固定することができる。そして、ステータコイル9の外面とハウジング20とを同電位に設定することができる。
一方、第2押さえ金具19bは、X線遮蔽体6b(シールド構造体6)を押さえつけた状態で、ハウジング20に固定されている。ここでは、第2押さえ金具19bとハウジング20のフランジ部とは、ねじ締結されている。これにより、ハウジング20に対するX線遮蔽体6b(X線管ユニット5)の位置を固定することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、第2押さえ金具19bを介してハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。X線遮蔽体6bが電気的にフローディング状態にある場合でのX線管30の放電の誘発を抑制することができる。
次いで、X線管装置のX線管30を新品のX線管30に交換する手法について説明する。
X線管30の交換が開始されると、まず、ハウジング20の内部から冷却液7を取り出す。なお、ハウジング20は冷却液7を取り出すための開口部を有していてもよい。上記開口部は、通常は液密に閉塞されている。
次いで、ハウジング20の蓋部を取り外す。続いて、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44との接続状態を解除し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54との接続状態を解除する。その後、X線管30と接続部材40との接続状態を解除し、ハウジング20から第2押さえ金具19bを取り外す。次いで、X線管ユニット5等(X線管30、シールド構造体6、X線遮蔽部520、X線遮蔽部550)を取り外す。その後、ねじ18bを外し、シールド構造体6からX線管30を取り出す。
次に、新品のX線管ユニット5を用意する。
その後、ハウジング20内に、新品のX線管ユニット5等(X線管30、シールド構造体6)を導入し、第2押さえ金具19bをハウジング20に取付ける。次いで、X線管30と接続部材40との接続状態を回復させ、高電圧ケーブル61と高電圧供給端子44とを接続し、高電圧ケーブル71と高電圧供給端子54とを接続する。その後、シールド構造体6にX線遮蔽部520、X線遮蔽部550を取付ける。
続いて、ハウジング20の蓋部を取り付け、空状態のX線管装置を形成する。その後、ハウジング20内に冷却液7を充填する。これにより、X線管装置が完成し、X線管30の交換が終了する。
上記のように構成された第13の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、第2押さえ金具19bを介してハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第14の実施形態)
次に、第14の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第13の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図37は、第14の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図37に示すように、少なくともX線管30、及び絶縁部材6a(シェル、流路形成体)は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。
X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに貼り付けられていない。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに近接する形状を有している。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aとの間に隙間を形成することがあり得る。このため、本実施形態では、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けること無しに用いることが可能である。
固定部材90は、ハウジング20の内部に設けられている。固定部材90は、ハウジング20に対する絶縁部材6a(X線管ユニット5)の位置を固定している。固定部材90は、樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。固定部材90は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)94を利用し絶縁部材6aを固定している。例えば、固定部材90は、3、4個所でゴム部材94とともに絶縁部材6aを固定している。ゴム部材94は、絶縁部材6aに接触している。このため、固定部材90及びゴム部材94は、摩擦ばめを利用して絶縁部材6aを固定している。
固定部材90自体は、ねじ18dを利用してX線遮蔽部520と、ねじ締結されている。固定部材90には、貫通孔90a、90bが形成されている。貫通孔90aは、高電圧ケーブル71の通路として利用されている。貫通孔90bは、冷却液7の流路として利用されている。
上記のように構成された第14の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第13の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、電気絶縁材料で形成された固定部材90を有しているため、X線管30とX線遮蔽部520との間の絶縁性を向上させることができる。
また、X線遮蔽体6bは絶縁部材6aに貼り付けられていないため、X線管30の振動をハウジング20に伝わり難くすることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。
(第15の実施形態)
次に、第15の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第14の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図38は、第15の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図38に示すように、ホルダ8は、ハウジング20に直接固定されていなくともよい。ホルダ8は、接続部材40とステータコイル9とに固定されている。この実施形態において、ホルダ8は、ステータコイルホルダである。ステータコイル9が第1押さえ金具19aで押さえつけられることで、ステータコイル9が固定され、ホルダ8等も固定される。
上記のように構成された第15の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第14の実施形態と同様の効果を得ることができる。
ホルダ8を単独でハウジング20に固定しなくともよいため、ホルダ8等の固定や、X線管装置の組み立てを一層容易なものにすることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第16の実施形態)
次に、第16の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第9の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図39は、第16の実施形態に係るX線管装置を示す概略図であり、リセプタクル側からX線管装置を見た図である。図40は、図39の線XL−XLに沿った断面図である。
図41は、図39の線XLI−XLIに沿った断面図である。詳しくは、図41は、図39での、線F1−F2に沿った断面図と、線G1−G2に沿った断面図とを合成した図である。図42は、図39の線XLII−XLIIに沿った断面図である。詳しくは、図42は、図39での、線F1−F2に沿った断面図と、線H1−H2に沿った断面図とを合成した図である。
図39、図40、図41及び図42に示すように、ハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されている。樹脂材料で形成されているハウジング本体20eは、金属で形成されているハウジング本体に比べて冷却液7の熱が伝わり難く、外部に放熱し難い。
そこで、本実施形態において、X線管装置は、空冷ラジエータ110を備えている。空冷ラジエータ110の作用により、冷却液7の熱をハウジング20の外部に放出することができる。空冷ラジエータ110は、冷却液7に浸る金属ブロック、並びにファン120からの送風を受ける複数のヒートパイプ及び複数のフィン等を備えている。
複数のゴム部材(電気絶縁部材)91は、X線管30(真空外囲器31)の径大部と絶縁部材6aとに接触している。複数のゴム部材(電気絶縁部材)93は、X線管30(真空外囲器31)の径小部と絶縁部材6aとに接触している。ゴム部材91、93は、それぞれ3、4個利用している。絶縁部材6a及びゴム部材91、93は、摩擦ばめを利用して真空外囲器31を固定している。このため、X線管30及び絶縁部材6aは一体に形成されている。
X線遮蔽部520は、硬鉛で形成されている。X線遮蔽部520は、第1貫通孔及び第2貫通孔を有する板部(円板)と、板部の外縁を囲むように取付けられた第1筒部と、板部に取付けられ第1貫通孔を取り囲みX線遮蔽部510側に突出した第2筒部と、板部に取付けられ第2貫通孔を取り囲みX線遮蔽部510側に突出した第3筒部と、を有している。
X線遮蔽部520の第1筒部にはねじ孔が形成され、X線遮蔽部520及びX線遮蔽体6bは、ねじ18bを利用してねじ締結されている。このため、X線遮蔽部520は、X線遮蔽体6bの開口を塞ぐX線遮蔽蓋として機能している。
また、X線遮蔽部520自体は、ハウジング20に固定されている。X線遮蔽部520の第1筒部は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)92を利用しハウジング20に固定されている。例えば、X線遮蔽部520の第1筒部は、3、4個所でゴム部材92とともにハウジング20に固定されている。ゴム部材92は、ハウジング20に接触している。このため、X線遮蔽部520及びゴム部材92は、摩擦ばめを利用してハウジング20に固定されている。
循環部23は、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520で囲まれた空間に設けられている。チャンバ23aは、X線遮蔽部520に固定されている。チャンバ23aは、冷却液7の取込み口及び吐出し口を有している。吐出し口は、X線遮蔽部520の板部の第1貫通孔に対向している。循環部23は、取込み口から取込んだ冷却液7を、吐出し口から吐出す。この実施形態において、冷却液は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。なお、X線遮蔽部520の板部の第2貫通孔及び第3筒部は、高電圧ケーブル71の通る通路に利用されている。
ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。このため、ここでは、ステータコイル9を支持する複数の固定金具はハウジング20にねじ18aを利用してねじ締結されている。ステータコイル9は、図3に示したロータ10の外面に対向して真空外囲器31の径小部の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向に、絶縁部材6aに間隔を置いて位置している。ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
少なくともX線管30及び絶縁部材6a(シェル、流路形成体)は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。
X線遮蔽体6bは、硬鉛で形成されている。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに貼り付けられていない。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに近接する形状を有している。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aとの間に隙間を形成することがあり得る。このため、本実施形態では、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けること無しに用いることが可能である。
ステータコイル9には、金属で形成された複数の支持部材9aが取付けられている。支持部材9aは、それぞれX線遮蔽体6bに接続されている。このため、支持部材9aは、X線遮蔽体6bを支持している。また、支持部材9aは、X線遮蔽体6bをハウジング20に電気的に接続させ、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のように構成された第16の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。また、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けなくともよいため、X線遮蔽体6bを除いてX線管ユニット5を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、支持部材9a等を介してハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第17の実施形態)
次に、第17の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第10の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図43は、第17の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図43に示すように、ハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されている。樹脂材料で形成されているハウジング本体20eは、金属で形成されているハウジング本体に比べて冷却液7の熱が伝わり難く、外部に放熱し難い。
そこで、本実施形態において、X線管装置は、筐体130、空冷ラジエータ140及びファン150をさらに備えている。これにより、冷却液7の熱をハウジング20の外部に放出することができる。
複数のゴム部材(電気絶縁部材)91は、X線管30(真空外囲器31)の径大部と絶縁部材6aとに接触している。複数のゴム部材(電気絶縁部材)93は、X線管30(真空外囲器31)の径小部と絶縁部材6aとに接触している。ゴム部材91、93は、それぞれ3、4個利用している。絶縁部材6a及びゴム部材91、93は、摩擦ばめを利用して真空外囲器31を固定している。このため、X線管30及び絶縁部材6aは一体に形成されている。
X線遮蔽部520は、硬鉛で形成されている。X線遮蔽部520は、第1貫通孔及び第2貫通孔を有する板部(円板)と、板部の外縁を囲むように取付けられた第1筒部と、板部に取付けられ第2貫通孔を取り囲みX線遮蔽部510側に突出した第2筒部と、を有している。
X線遮蔽部520の第1筒部にはねじ孔が形成され、X線遮蔽部520及びX線遮蔽体6bは、ねじ18bを利用してねじ締結されている。このため、X線遮蔽部520は、X線遮蔽体6bの開口を塞ぐX線遮蔽蓋として機能している。
また、X線遮蔽部520自体は、ハウジング20に固定されている。X線遮蔽部520の第1筒部は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)92を利用しハウジング20に固定されている。例えば、X線遮蔽部520の第1筒部は、3、4個所でゴム部材92とともにハウジング20に固定されている。ゴム部材92は、ハウジング20に接触している。このため、X線遮蔽部520及びゴム部材92は、摩擦ばめを利用してハウジング20に固定されている。
導管12の他端部は、X線遮蔽部520の板部の第1貫通孔を通り、X線管30に対向している。この実施形態において、冷却液7は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。なお、X線遮蔽部520の板部の第2貫通孔及び第2筒部は、高電圧ケーブル71の通る通路に利用されている。
ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。このため、ここでは、ステータコイル9を支持する複数の固定金具はハウジング20にねじ18aを利用してねじ締結されている。ステータコイル9は、図3に示したロータ10の外面に対向して真空外囲器31の径小部の外側を囲んでいる。ステータコイル9は、軸線aに垂直な方向に、絶縁部材6aに間隔を置いて位置している。ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。
少なくともX線管30及び絶縁部材6a(シェル、流路形成体)は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。
X線遮蔽体6bは、硬鉛で形成されている。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに貼り付けられていない。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに近接する形状を有している。X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aとの間に隙間を形成することがあり得る。このため、本実施形態では、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けること無しに用いることが可能である。
ステータコイル9には、金属で形成された複数の支持部材9aが取付けられている。支持部材9aは、それぞれX線遮蔽体6bに接続されている。このため、支持部材9aは、X線遮蔽体6bを支持している。また、支持部材9aは、X線遮蔽体6bをハウジング20に電気的に接続させ、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
ホルダ8は、接続部材40とハウジング20とに固定されている。ホルダ8とハウジング20は、例えば、ねじ締結されている。この実施形態において、ホルダ8は、ステータコイルホルダではなく、X線管ホルダである。ホルダ8は、X線管30とハウジング20との相対的な位置を保持している。
上記のように構成された第17の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第10の実施形態と同様の効果を得ることができる。
ステータコイル9を絶縁部材6aに接着させなくともよいため、ステータコイル9を除いてX線管ユニット5を形成することができる。また、X線遮蔽体6bを絶縁部材6aに貼り付けなくともよいため、X線遮蔽体6bを除いてX線管ユニット5を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、支持部材9a等を介してハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
上記第11乃至第17の実施形態及びこれらの変形例に関する技術を、上述した第1乃至第10の実施形態に係るX線管装置に適宜適用可能である。
次に、上述した第11乃至第17の実施形態及びこれらの変形例に関する事項を、以下の(T1)乃至(T24)に示す。
(T1)電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
(T2)前記冷却媒体は、冷却液である(T1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T3)前記シェルは、電気絶縁部材である(T1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T4)前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている(T3)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T5)前記シェルは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、X線を透過させる貫通孔を含んでいる(T3)又は(T4)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T6)前記シェルは、前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲み、X線を透過させる貫通孔を含んでいる金属部材を有している(T1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T7)前記シェルの貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板をさらに備えている(T5)又は(T6)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T8)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(T1)乃至(T7)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T9)前記X線遮蔽体は、前記シェルに密接又は近接する形状を有している(T8)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T10)前記X線遮蔽体は、前記シェルに固定され、前記シェルとともにシールド構造体を形成する(T9)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T11)前記流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている(T1)乃至(T10)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T12)前記回転駆動部は、前記シェルの外面に固定されている(T11)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(T13)回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納し、前記回転陽極型X線管ユニットとの間に冷却媒体が流れる空間を形成するハウジングと、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備える回転陽極型X線管装置。
(T14)前記冷却媒体は、冷却液である(T13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T15)前記流路及び空間に前記冷却液の流れを形成する循環部をさらに備えている(T14)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T16)前記冷却液は、絶縁油である(T14)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T17)前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている(T14)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T18)前記ハウジングの内部及び外部に位置し、前記ハウジングに液密に取付けられ、前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置した前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器さらに備えている(T14)乃至(T17)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(T19)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(T13)乃至(T18)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(T20)前記X線遮蔽体は、前記ハウジングに電気的に接続されている(T19)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T21)前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている(T13)乃至(T20)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(T22)前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる(T21)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T23)前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している(T21)又は(T22)に記載の回転陽極型X線管装置。
(T24)前記遮蔽層は、金属で形成されている(T23)に記載の回転陽極型X線管装置。
(第18の実施形態)
次に、第18の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第12の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図44は、第18の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図44に示すように、ハウジング20内に冷却液7は充填されていない。X線管30の負荷が高くなく、X線管装置が冷却液7を利用しなくともよい場合がある。この場合、X線管装置は、冷却媒体としての空気を利用することができる。
また、X線管装置は、蓋部20g及びゴムベローズ21無しに形成することができる。X線遮蔽部510は第1遮蔽部511を有している。第1遮蔽部511は蓋部20hに貼り付けられている。蓋部20hに通気孔20mは形成されていない。
ハウジング20は、空気(外気)を取込む吸気口20sと、空気を吐出す排気口20tと、を有している。吸気口20sはハウジング本体20eに形成された貫通孔である。吸気口20sの位置は蓋部20fに比較的近い。排気口20tは蓋部20fに形成された貫通孔である。
蓋部20fには空気の流れを規制するガイド20qが取り付けられている。ガイド20qは樹脂材料で形成されている。この実施形態において、蓋部20fも樹脂材料で形成されている。ガイド20qは、筒状に形成され、排気口20tを取り囲んでいる。ガイド20qは絶縁部材6aに対向している。ガイド20qには貫通孔20rが形成されている。貫通孔20rは、高電圧ケーブル71の通る通路である。
絶縁部材6aと対向したガイド20qの内周面側には円環状の溝部が形成されている。ガイド20q及び絶縁部材6aの間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、ガイド20q及び絶縁部材6a間の隙間の通気を防止する機能を有している。
固定部材90は、ハウジング20の内部に設けられている。固定部材90は、ハウジング20に対する絶縁部材6a(X線管ユニット5)の位置を固定している。固定部材90は、樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。固定部材90は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)94を利用し絶縁部材6aを固定している。例えば、固定部材90は、3、4個所でゴム部材94とともに絶縁部材6aを固定している。ゴム部材94は、絶縁部材6aに接触している。このため、固定部材90及びゴム部材94は、摩擦ばめを利用して絶縁部材6aを固定している。
固定部材90自体は、ねじ18dを利用してX線遮蔽部520と、ねじ締結されている。固定部材90には、貫通孔90a、90bが形成されている。貫通孔90aは、高電圧ケーブル71の通路として利用されている。貫通孔90bは、空気の流路として利用されている。
循環部23は、取込んだ空気を、貫通孔90b側に吐出す。ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができるため、空気をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCは空気の流れを形成することができる。この実施形態において、空気は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。
上記のように構成された第18の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第12の実施形態と同様の効果を得ることができる。
冷却液7無しにX線管装置を形成することができるため、X線管装置の軽量化を図ることができる。また、X線管30は、それぞれ電気絶縁性を有する、絶縁部材6a、固定部材90、ガイド20q及び蓋部20fで囲まれている。このため、ハウジング20内に冷却液7(絶縁油)が存在しない場合であっても、X線管30の耐電圧性能を高めることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第19の実施形態)
次に、第19の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第15の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図45は、第19の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図45に示すように、ハウジング20内に冷却液7は充填されていない。X線管装置は、冷却媒体としての空気を利用している。ハウジング20は、絶縁部材20uとダクト20vとを有している。
絶縁部材20uは、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆っている。絶縁部材20uは、桶状に形成され、上記電気的接続部に間隔を置いて位置している。絶縁部材20uには高電圧ケーブル61の通る通路に利用される貫通孔が形成されている。
ダクト20vは、電気絶縁性を有している。ダクト20vは、筒部552の貫通孔に繋がっている。この実施形態において、筒部552に形成された貫通孔は、上記貫通孔の1個のみである。ダクト20vは、空気の流れを規制するものである。
ハウジング20は、空気(外気)を取込む吸気口20sと、空気を吐出す排気口20tと、を有している。吸気口20sはハウジング20に形成された貫通孔である。吸気口20sは、ダクト20vに形成されている。排気口20tは蓋部20fに形成されている。
循環部23は、貫通孔90b側から取込んだ空気をダクト20v側に吐出す。ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができるため、空気をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCは空気の流れを形成することができる。この実施形態において、空気は、高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流路CCを流れる。
上記のように構成された第19の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第15の実施形態と同様の効果を得ることができる。
冷却液7無しにX線管装置を形成することができるため、X線管装置の軽量化を図ることができる。また、X線管30は、それぞれ電気絶縁性を有する、絶縁部材6a、固定部材90及びホルダ8で囲まれている。高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部は、絶縁部材20uで覆われている。このため、ハウジング20内に冷却液7(絶縁油)が存在しない場合であっても、X線管30の耐電圧性能を高めることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第20の実施形態)
次に、第20の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第19の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図46は、第20の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図46に示すように、ハウジング20はダクト20v無しに形成されている。筒部552には貫通孔が形成されていない。このため、筒部552はダクトとしても機能している。板部553には貫通孔が形成されている。
排気口20tはハウジング20に形成された貫通孔である。排気口20tは板部553に対向している。板部553の貫通孔と対向した領域において、ハウジング20の内面にはX線遮蔽部(板部)560が貼り付けられている。ハウジング20は、内面側に排気口20tを取り囲んだ筒部20xを有している。筒部20xは、アルミニウム等の金属材料で形成されている。筒部20xの内周面にはX線遮蔽部(筒部)570が貼り付けられている。X線遮蔽部560、570も、外部へ放射される恐れのある散乱X線の遮蔽に寄与している。
循環部23はハウジング20の外側に位置している。この実施形態において、循環部23はハウジング20の外面に取り付けられている。循環部23は、排気口20t側から空気を取込む。ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができるため、空気をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCは空気の流れを形成することができる。この実施形態において、空気は、高電圧供給端子44側から高電圧供給端子54側に流路CCを流れる。
上記のように構成された第20の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第19の実施形態と同様の効果を得ることができる。循環部23はハウジング20の外面に取り付けられていてもよい。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第21の実施形態)
次に、第21の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第20の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図47は、第21の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図47に示すように、筒部552には通気孔として機能する複数の貫通孔が形成されている。なお、板部553には貫通孔が形成されていない。散乱X線の遮蔽のためであり、空気の流れを規制するためである。
ハウジング20は筒部20xを有していない。X線管装置は、X線遮蔽部560、570を備えていない。
ホルダ8は、図示しない取出し口を有している。取出し口は、流路CC等を通った空気を取出す機能を有している。ホルダ8は、筒部8bを有している。筒部8bは、ホルダ8の取出し口を取り囲んでいる。筒部8bは、高電圧供給端子44と高電圧ケーブル61との電気的接続部を覆っている。筒部8bには高電圧ケーブル61の通る通路に利用される貫通孔が形成されている。
絶縁部材20uは、板状に形成され、筒部8bに間隔を置いて位置している。絶縁部材20uには排気口20tが形成されている。
絶縁部材20uには空気の流れを規制するガイド20qが取り付けられている。ガイド20qは樹脂材料で形成されている。この実施形態において、絶縁部材20uも樹脂材料で形成されている。ガイド20qは、筒状に形成され、排気口20tを取り囲んでいる。ガイド20qは筒部8bに対向している。
筒部8bと対向したガイド20qの内周面側には円環状の溝部が形成されている。ガイド20q及び筒部8bの間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、ガイド20q及び筒部8b間の隙間の通気を防止する機能を有している。
循環部23はハウジング20の外側に位置し、絶縁部材20u(ハウジング20の外面)に取り付けられている。循環部23は、排気口20t側から空気を取込む。ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができるため、空気をハウジング20の内部において循環させることができる。また、流路CCは空気の流れを形成することができる。この実施形態において、空気は、高電圧供給端子54側から高電圧供給端子44側に流路CCを流れる。
上記のように構成された第21の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第20の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
上記第18乃至第21の実施形態に関する技術を、上述した第1乃至第17の実施形態に係るX線管装置に適宜適用可能である。
次に、上述した第18乃至第21の実施形態及びこれらの変形例に関する事項を、以下の(U1)乃至(U21)に示す。
(U1)電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
(U2)前記冷却媒体は、空気である(U1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U3)前記シェルは、電気絶縁部材である(U1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U4)前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている(U3)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U5)前記シェルは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、X線を透過させる貫通孔を含んでいる(U3)又は(U4)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U6)前記シェルは、前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲み、X線を透過させる貫通孔を含んでいる金属部材を有している(U1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U7)前記シェルの貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板をさらに備えている(U5)又は(U6)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U8)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(U1)乃至(U7)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U9)前記X線遮蔽体は、前記シェルに密接又は近接する形状を有している(U8)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U10)前記X線遮蔽体は、前記シェルに固定され、前記シェルとともにシールド構造体を形成する(U9)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U11)前記流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記軸線に垂直な方向での前記流路形成体の位置を規制し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている(U1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U12)前記回転駆動部は、前記シェルの外面に固定されている(U11)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(U13)回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納し、前記回転陽極型X線管ユニットとの間に冷却媒体が流れる空間を形成するハウジングと、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備える回転陽極型X線管装置。
(U14)前記冷却媒体は、空気であり、
前記ハウジングは、空気を取込む吸気口と、空気を吐出す排気口と、を有している(U13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(U15)前記流路及び空間に空気の流れを形成する循環部をさらに備えている(U14)に記載の回転陽極型X線管装置。
(U16)前記ハウジングの内部に設けられ、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備え、
前記冷却媒体は、絶縁油である(U13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(U17)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(U13)乃至(U16)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(U18)前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている(U13)乃至(U17)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(U19)前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる(U18)に記載の回転陽極型X線管装置。
(U20)前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している(U18)又は(U19)に記載の回転陽極型X線管装置。
(U21)前記遮蔽層は、金属で形成されている(U20)に記載の回転陽極型X線管装置。
(第22の実施形態)
次に、第22の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第11の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図48は、第22の実施形態に係るX線管装置を示す断面図(縦断面図)である。なお、上記図28を本実施形態に係るX線管装置を示す横断面図とみなすことができる。図49は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。
図48及び図49に示すように、X線管装置は、第1X線遮蔽部材としてのX線遮蔽部材6eと、第2X線遮蔽部材としてのX線遮蔽部材580と、を備えている。なお、X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えていればよい。
X線遮蔽部材6eは枠状(筒状)に形成されている。X線遮蔽部材6eは、X線遮蔽体6bに取付けられX線遮蔽体6bの貫通孔6bhを取り囲んでいる。X線遮蔽部材6eはハウジング20側に突出している。
X線遮蔽部材580は枠状(筒状)に形成されている。X線遮蔽部材580は、ハウジング本体20eに取付けられ、ハウジング本体20eの開口(X線放射窓20w)を取り囲んでいる。X線遮蔽部材580はX線遮蔽体6b側に突出している。
X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580は、例えば硬鉛を材料として鋳造法で作製することが可能である。この場合、X線遮蔽部材580をハウジング本体20eにねじ締結により固定することができる。X線遮蔽部材6eをX線遮蔽体6bに半田付けにより固定することができる。
X線遮蔽部材6eの外径は、X線遮蔽部材580の内径よりも小さい。X線遮蔽部材580はX線遮蔽部材6eを取り囲むように配置されている。X線放射窓20w及び貫通孔6bhが対向する方向に垂直な方向において、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580は重なっている。
上記のように構成された第22の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、シールド構造体6と、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第11の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えている。このため、X線遮蔽体6bの貫通孔6bhの近傍における不所望なX線(散乱X線)の漏洩を防止することができる。本実施形態において、X線管装置はX線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の両方を備えているため、上記効果を一層高めることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第23の実施形態)
次に、第23の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第12の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図50は、第23の実施形態に係るX線管装置を示す断面図(縦断面図)である。なお、上記図34を本実施形態に係るX線管装置を示す横断面図とみなすことができる。図51は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。
図50及び図51に示すように、X線管装置は、上記第22の実施形態で示したX線遮蔽部材6eと、X線遮蔽部材580と、を備えている。なお、X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えていればよい。
上記のように構成された第23の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第12の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えている。このため、X線遮蔽体6bの貫通孔6bhの近傍における不所望なX線(散乱X線)の漏洩を防止することができる。本実施形態において、X線管装置はX線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の両方を備えているため、上記効果を一層高めることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第24の実施形態)
次に、第24の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第15の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図52は、第24の実施形態に係るX線管装置を示す断面図(縦断面図)である。なお、上記図38を本実施形態に係るX線管装置を示す横断面図とみなすことができる。
図52に示すように、X線管装置は、上記第22の実施形態で示したX線遮蔽部材6eと、X線遮蔽部材580と、を備えている。なお、X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えていればよい。
ハウジング20は、大まかに、ハウジング本体と蓋部とに分割されている。ハウジング本体は、開口端の外縁側に枠部(フランジ)20yを有している。蓋部は、開口端の外縁側に枠部(フランジ)20zを有している。枠部20y(ハウジング本体)には、枠部20zに対向した側に形成された枠状の溝部が形成されている。枠部20y及び枠部20zが対向した状態で、ハウジング本体と蓋部は、接触され、ねじ締結により固定されている。Oリングは、枠部20yに形成された溝部に設けられ、ハウジング20外部への冷却液7の漏れを防止する。
上記のように構成された第24の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第15の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、X線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の少なくとも1つを備えている。このため、X線遮蔽体6bの貫通孔6bhの近傍における不所望なX線(散乱X線)の漏洩を防止することができる。本実施形態において、X線管装置はX線遮蔽部材6e及びX線遮蔽部材580の両方を備えているため、上記効果を一層高めることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
上記第22乃至第24の実施形態に関する技術を、上述した第1乃至第21の実施形態に係るX線管装置に適宜適用可能である。
次に、上述した第22乃至第24の実施形態及びこれらの変形例に関する事項を、以下の(V1)乃至(V24)に示す。
(V1)電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
(V2)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体と、
前記X線遮蔽体に取付けられ前記X線遮蔽体の貫通孔を取り囲み前記X線遮蔽体に対して前記シェルの反対側に突出した枠状のX線遮蔽部材と、をさらに備えている(V1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V3)前記X線遮蔽体は、前記シェルに密接又は近接する形状を有している(V2)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V4)前記X線遮蔽体は、前記シェルに固定され、前記シェルとともにシールド構造体を形成する(V3)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V5)前記冷却媒体は、冷却液である(V1)乃至(V4)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V6)前記シェルは、電気絶縁部材である(V1)乃至(V5)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V7)前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている(V6)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V8)前記シェルは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、X線を透過させる貫通孔を含んでいる(V6)又は(V7)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V9)前記シェルは、前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲み、X線を透過させる貫通孔を含んでいる金属部材を有している(V1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V10)前記シェルの貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板をさらに備えている(V8)又は(V9)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V11)前記流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている(V1)乃至(V10)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V12)前記回転駆動部は、前記シェルの外面に固定されている(V11)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(V13)回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納し、前記回転陽極型X線管ユニットとの間に冷却媒体が流れる空間を形成するハウジングと、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備える回転陽極型X線管装置。
(V14)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体と、
X線を透過し、前記X線遮蔽体の貫通孔と対向した前記ハウジングの開口を閉塞するX線放射窓と、
枠状のX線遮蔽部材と、をさらに備え、
前記X線遮蔽部材は、
前記X線遮蔽体に取付けられ前記X線遮蔽体の貫通孔を取り囲み前記ハウジング側に突出し、又は前記ハウジングに取付けられ前記ハウジングの開口を取り囲み前記X線遮蔽体側に突出している(V13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V15)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体と、
X線を透過し、前記X線遮蔽体の貫通孔と対向した前記ハウジングの開口を閉塞するX線放射窓と、
前記X線遮蔽体に取付けられ前記X線遮蔽体の貫通孔を取り囲み前記ハウジング側に突出した枠状の第1X線遮蔽部材と、
前記ハウジングに取付けられ前記ハウジングの開口を取り囲み前記X線遮蔽体側に突出した枠状の第2X線遮蔽部材と、をさらに備えている(V13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V16)前記冷却媒体は、冷却液である(V13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V17)前記流路及び空間に前記冷却液の流れを形成する循環部をさらに備えている(V16)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V18)前記冷却液は、絶縁油である(V13)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V19)前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている(V18)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V20)前記ハウジングの内部及び外部に位置し、前記ハウジングに液密に取付けられ、前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置した前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器さらに備えている(V16)乃至(V19)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(V21)前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている(V13)乃至(V20)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(V22)前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる(V21)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V23)前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している(V21)又は(V22)に記載の回転陽極型X線管装置。
(V24)前記遮蔽層は、金属で形成されている(V23)に記載の回転陽極型X線管装置。
(第25の実施形態)
次に、第25の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図53は、第25の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図54は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを分解して示す断面図である。
図53及び図54に示すように、ハウジング本体20eは、アルミニウム等の金属材料で形成されている。金属材料で形成されているハウジング本体20eは、樹脂材料で形成されているハウジング本体に比べて冷却液7の熱が伝わり易く、外部に放熱し易い。
真空外囲器31は、軸線aに垂直な方向にて陽極ターゲット35と対向する径大部と、軸線aに垂直な方向にてロータ10と対向する径小部と、径大部及び径小部を繋ぐ中継部と、を有している。
X線遮蔽体6bは、筒状に形成されている。なお、X線遮蔽体6bは、鉛で形成されている。X線遮蔽体6bの外径はハウジング本体20eの内径より僅かに小さく、X線遮蔽体6bはハウジング本体20e内に導入可能である。X線遮蔽体6bは、真空外囲器31の径大部及び中継部を取り囲んでいる。
絶縁部材6aは、筒状に形成されている。この実施形態において、絶縁部材6aは電気絶縁性材料で形成されている。絶縁部材6aは、X線遮蔽体6bと独立して設けられている。絶縁部材6aの外径はX線遮蔽体6bの内径より僅かに小さく、絶縁部材6aはX線遮蔽体6b内に導入可能である。絶縁部材6aは、少なくとも真空外囲器31の径大部を取り囲んでいる。この実施形態において、絶縁部材6aは、真空外囲器31の径大部及び中継部を取り囲んでいる。
なお、絶縁部材6aは、X線遮蔽体6bと一体に設けられていてもよい。また、絶縁部材6aを金属部材に入れ替えることも可能である。
絶縁部材6a及びX線遮蔽体6bの軸線aに沿った方向の位置は他の手段により固定されている。絶縁部材6aは、真空外囲器31との間に冷却液7が流れる流路を形成する流路形成体として機能している。本実施形態において、X線管装置は循環部を備えていないが、ハウジング20内の冷却液7に自然対流が生じるためである。
環部70は、環状に形成され、X線管30(真空外囲器31)の径大部の周りに間隔を置いて設けられている。環部70は、樹脂などの電気絶縁材料を利用して形成されている。複数のゴム部材(電気絶縁部材)91は、環部70の内周面側に取り付けられ、X線管30(真空外囲器31)の径大部に接触している。複数のゴム部材(電気絶縁部材)95は、環部70の外周面側に取り付けられ、X線遮蔽体6bに接触している。このため、環部70及びゴム部材91、95は、摩擦ばめを利用してX線管30をハウジング20に固定している。
ゴム部材95は、X線遮蔽体6bを押圧し、X線遮蔽体6bをハウジング本体20eに押し当てている。これにより、X線遮蔽体6bは、変形し、ハウジング本体20eに接触し、ハウジング本体20eに電気的に接続される。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。X線遮蔽体6bが電気的にフローディング状態にある場合でのX線管30の放電の誘発を抑制することができる。X線遮蔽体6bとハウジング本体2eの内壁との間は、ゴム部材95によりX線遮蔽体6bが押圧される付近を除いて、冷却液7の自然対流による流れが生じるための十分な隙間(約0.2mm以上)が空いている。そのようにするため、場合によっては、X線遮蔽体6bの外径を、ゴム部材95を境に軸線aに沿って両側で変化させても良い。
X線遮蔽部材590は、環状に形成されている。X線遮蔽部材590は、ステータコイル9に取り付けられ、ハウジング20と同電位に設定されている。軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽部材590は、X線遮蔽体6bで取り囲まれている。X線遮蔽部材590は、散乱X線の遮蔽に寄与している。
X線管装置は高電圧絶縁部材4を有している。高電圧絶縁部材4は、接続部材40を介してX線管30に固定されている。高電圧絶縁部材4と接続部材40は機械的に強固に接続されている。高電圧絶縁部材4は、一端が円錐形をし、他端が閉塞した管状に形成されている。高電圧絶縁部材4は、軸線aに垂直な方向にて真空外囲器31の径小部及び中継部を取り囲んでいる。高電圧絶縁部材4は、固定軸1と、ハウジング20及びステータコイル9との間を電気的に絶縁するものである。
高電圧絶縁部材4は、接続部材40の近傍に冷却液7の出入り口が形成されている。高電圧絶縁部材4は、真空外囲器31との間に冷却液7が流れる流路を形成する流路形成体として機能している。ハウジング20内の冷却液7に自然対流が生じるためである。
また、本実施形態において、絶縁部材6a及び高電圧絶縁部材4は、独立して形成され、間隔を置いて設けられている。絶縁部材6aと真空外囲器31との間の流路CC1と、高電圧絶縁部材4と真空外囲器31との間の流路CC2とが分離するため、冷却液7に自然対流を生じ易くすることができる。
ステータコイル9は、高電圧絶縁部材4に接着されている。
固定部材90は、ハウジング20の内部に設けられている。固定部材90は、陰極36に対して陽極ターゲット35の反対側においてX線管30の外側に位置している。固定部材90は、電気絶縁部材であり、樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。
固定部材90には、X線遮蔽体600が取付けられている。X線遮蔽体600は硬鉛で形成されている。X線遮蔽体600は枠状に形成されている。軸線aに垂直な方向において、X線遮蔽体600は、X線遮蔽体6bに重なる端部を有している。X線遮蔽体600の端部の外径は、X線遮蔽体6bの内径より僅かに小さい。X線遮蔽体600は、不所望なX線(散乱X線等)の遮蔽に寄与している。
固定部材90は、複数のゴム部材(電気絶縁部材)92を利用しハウジング本体20eに固定されている。例えば、固定部材90は、3、4個所でゴム部材92で固定されている。ゴム部材92は、ハウジング本体20eに接触している。このため、固定部材90及びゴム部材92は、摩擦ばめを利用してハウジング本体20eに固定されている。
固定部材90に形成された貫通孔90aは、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との接続空間、高電圧ケーブル71の通路、冷却液7の流路、として利用されている。固定部材90は、高電圧供給端子54と高電圧ケーブル71との接続部や、高電圧ケーブル71の絶縁性を維持できる形状で配置されている。
また、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部520は、固定部材90に取り付けられている。上記のように、陰極36側において、鉛と絶縁材とが複合的に使用されている。これにより、鉛の使用量を低減することができる。また、高電圧ケーブル71と、X線遮蔽体600及びX線遮蔽部520との絶縁性を確保することができる。
少なくとも、X線管30、絶縁部材6a及びX線遮蔽体6bは、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。この実施形態において、X線管ユニット5は、X線管30、絶縁部材6a、X線遮蔽体6b、環部70、固定部材90、X線遮蔽体600、X線遮蔽部520、及びゴム部材91、92、95で形成されている。
上記のように構成された第25の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管ユニット5は冷却液7に自然対流が生じ易いように形成されているため、循環部無しに、X線管30の局所過熱が生じ難いX線管装置を形成することができる。
X線遮蔽体6bは、ハウジング20に電気的に接続されている。この実施形態において、X線遮蔽体6bは、ゴム部材95で押圧され、ハウジング20に接触し、ハウジング20に電気的に接続されている。このため、X線遮蔽体6bの電位を安定させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第26の実施形態)
次に、第26の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第25の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図55は、第26の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。
図55に示すように、X線管装置は、循環部23を備えていてもよい。循環部23はハウジング本体20e(ハウジング20)の外面に取付けられている。X線管装置は、さらに空洞部24及び導管23d、23eを備えている。導管23d、23eは、冷却液7を送ることができればよく、例えばホースで形成されている。
空洞部24は、筒状の内周壁と、筒状の外周壁と、内周壁及び外周壁の一端を液密に閉塞する環状の一端壁と、内周壁及び外周壁の他端を液密に閉塞する環状の他端壁と、を有している。この実施形態において、他端壁は、接続部材40及び高電圧絶縁部材4で形成され、複数の取入れ口INを有している。外周壁の一部に形成された開口は、管部23dを介してチャンバ23aの吐出し口と液密に連通している。
管部23dは、ハウジング本体20eに形成された開口に液密に取り付けられている。空洞部24は、チャンバ23aの吐出し口と、取入れ口INとを繋ぐ流路として機能する。このため、冷却液7は、真空外囲器31の径小部側から中継部側に流路CC2を流れる。チャンバ23aの取込み口は、管部23eを介してハウジング本体20eに形成された開口に液密に取り付けられている。
循環部23は、貫通孔90aを通過した冷却液7を取込む。このため、冷却液7は、真空外囲器31の中継部側から径小部側に流路CC1を流れる。
上記のように構成された第26の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第25の実施形態と同様の効果を得ることができる。
X線管装置は、循環部23を備えているため、ハウジング20の内部に強制対流を生じさせることができる。冷却液7をハウジング20の内部において循環させることができる。これにより、ハウジング20内での冷却液7の温度分布の均一化を図ることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
(第27の実施形態)
次に、第27の実施形態に係る回転陽極型のX線管装置について説明する。この実施形態において、上記第26の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図56は、第27の実施形態に係るX線管装置を示す断面図である。図57は、本実施形態に係る回転陽極型X線管ユニットを示す断面図である。
図56及び図57に示すように、循環部23は、ハウジング20の内部に設けられている。X線遮蔽体6bは硬鉛を利用して形成されている。X線遮蔽体6bはハウジング本体20eに間隔を置いて形成されている。
X線遮蔽体6bは、絶縁部材6aに固定され、絶縁部材6aとともにシールド構造体6を形成している。
少なくとも、X線管30及びシールド構造体6は、回転陽極型のX線管ユニット5を形成している。この実施形態において、X線管ユニット5は、X線管30、シールド構造体6、環部70、固定部材90、X線遮蔽体600、X線遮蔽部520、及びゴム部材91、92、95で形成されている。
なお、図58に示すように、
X線管ユニット5は、X線管30、シールド構造体6、環部70、固定部材90、X線遮蔽体600、X線遮蔽部520、及びゴム部材91、92、95に、接続部材40、高電圧絶縁部材4、ステータコイル9、及びX線遮蔽部材590を加えて形成されていてもよい。
上記のように構成された第27の実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置によれば、X線管ユニット5は、X線管30と、絶縁部材6aと、X線遮蔽体6bと、を備えている。このため、本実施形態に係るX線管ユニット5及びX線管装置は、上記第26の実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態において、接地電位であるハウジング20と、X線遮蔽体6bとの導通が得難い。このため、上述した配線17等を利用することにより、X線遮蔽体6bをハウジング20に導通させることができる。
上記のことから、陽極ターゲット35の放熱の向上を図ることができるX線管ユニット5及びX線管装置を得ることができる。X線遮蔽体6bを備えたX線管ユニット5においては、さらにX線漏洩試験を単独で行うことができる。
上記第25乃至第27の実施形態及びこれらの変形例に関する技術を、上述した第1乃至第24の実施形態に係るX線管装置に適宜適用可能である。
次に、上述した第25乃至第27の実施形態及びこれらの変形例に関する事項を、以下の(W1)乃至(W31)に示す。
(W1)電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
(W2)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(W1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W3)前記X線遮蔽体は、前記シェルに密接又は近接する形状を有している(W2)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W4)前記X線遮蔽体は、前記シェルに固定され、前記シェルとともにシールド構造体を形成する(W3)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W5)前記陰極に対して前記陽極ターゲットの反対側において前記回転陽極型X線管の外側に位置した電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に取付けられ、前記X線遮蔽体に重なる端部を有した他のX線遮蔽体と、をさらに備えている(W2)乃至(W4)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W6)前記陰極に対して前記陽極ターゲットの反対側において前記回転陽極型X線管の外側に位置した電気絶縁部材をさらに備えている(W1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W7)前記冷却媒体は、冷却液である(W1)乃至(W6)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W8)前記シェルは、電気絶縁部材である(W1)乃至(W7)の何れか1に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W9)前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている(W8)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W10)前記シェルは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、X線を透過させる貫通孔を含んでいる(W8)又は(W9)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W11)前記シェルは、前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲み、X線を透過させる貫通孔を含んでいる金属部材を有している(W1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W12)前記シェルの貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板をさらに備えている(W10)又は(W11)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W13)前記真空外囲器は、前記軸線に垂直な方向にて前記陽極ターゲットと対向する径大部と、径小部と、前記径大部及び径小部を繋ぐ中継部と、を有し、
前記シェルは、前記真空外囲器の径大部を少なくとも取り囲んでいる(W1)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W14)前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の径小部及び中継部を取り囲む電気絶縁部材を有し、前記真空外囲器の径小部及び中継部との間に前記冷却媒体が流れ前記流路と分離した他の流路を形成する他の流路形成体をさらに備えている(W13)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W15)前記他の流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている(W14)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W16)前記回転駆動部は、前記電気絶縁部材の外面に固定されている(W15)に記載の回転陽極型X線管ユニット。
(W17)回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納し、前記回転陽極型X線管ユニットとの間に冷却媒体が流れる空間を形成するハウジングと、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、を備える回転陽極型X線管装置。
(W18)前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体をさらに備えている(W17)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W19)前記陰極に対して前記陽極ターゲットの反対側において前記回転陽極型X線管の外側に位置した電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に取付けられ、前記X線遮蔽体に重なる端部を有した他のX線遮蔽体と、をさらに備えている(W18)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W20)前記冷却媒体は、冷却液である(W17)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W21)前記流路及び空間に前記冷却液の流れを形成する循環部をさらに備えている(W20)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W22)前記冷却液は、水系冷却液である(W20)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W23)前記冷却液は、絶縁油である(W20)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W24)前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている(W23)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W25)前記ハウジングの内部及び外部に位置し、前記ハウジングに液密に取付けられ、前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置した前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器さらに備えている(W20)乃至(W24)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(W26)前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている(W17)乃至(W25)の何れか1に記載の回転陽極型X線管装置。
(W27)前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる(W26)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W28)前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している(W26)又は(W27)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W29)前記遮蔽層は、金属で形成されている(W28)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W30)前記真空外囲器は、前記軸線に垂直な方向にて前記陽極ターゲットと対向する径大部と、径小部と、前記径大部及び径小部を繋ぐ中継部と、を有し、
前記シェルは、前記真空外囲器の径大部を少なくとも取り囲んでいる(W17)に記載の回転陽極型X線管装置。
(W31)前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の径小部及び中継部を取り囲む電気絶縁部材を有し、前記真空外囲器の径小部及び中継部との間に前記冷却媒体が流れ前記流路と分離した他の流路を形成する他の流路形成体をさらに備えている(W30)に記載の回転陽極型X線管装置。
なお、この発明の実施形態は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
ハウジング20は、樹脂以外の材料で形成されていてもよい。例えば、アルミやアルミ合金、マグネシウム合金、ステンレス、真鍮などの金属材料を選択することもできる。
シールド構造体6の絶縁部材6aは、樹脂が混合材料としてX線不透過性物質を含有していてもよい。例えば、絶縁部材6aは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成されていてもよい。この場合、絶縁部材6aは、X線不透過性を示すため、X線透過領域R1に重なった貫通孔を含んでいる。
上記ハウジング20や絶縁部材6aの電気的絶縁材は、機械的強度を増すために、更に、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等の補強繊維を含有させても良い。
ハウジング20は、ハウジング20の内面及び外面の少なくとも一部を形成し、ハウジング20の外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有していてもよい。上記遮蔽層は、電磁気ノイズの漏洩を防止する金属で形成することができる。上記遮蔽層は、接地されている。
X線管装置の管軸に直交した方向にロータ10に対向する真空容器32が金属で構成されている場合には、シールド構造体6を構成する材料をすべて金属とすることもできる。
図23に示した空冷ラジエータは複数のヒートパイプを利用したが、複数のヒートパイプに替えて、銅などの高熱伝導性の金属からなる複数の金属棒や単一の金属ブロックなどを利用することもできる。
冷却媒体に冷却液7を利用した場合、X線管装置は、循環部無しに形成されていてもよい。ハウジング20内部の空間や、絶縁部材6a等の流路形成体が形成する流路を通じて自然対流が発生するためである。これにより、上記流路を形成しない場合に比べてX線管30の局所過熱を生じ難くすることができる。
ファン120又はファン150を使用するX線管装置は、上記ファン120又はファン150を備えていた方が冷却液7の冷却効率に優れているため望ましい。但し、上記X線管装置は、ファン120無に又はファン150無しに形成されていてもよい。
上述したように、X線管ユニット5がX線遮蔽手段を備えていることにより、X線管ユニット5単独でX線漏洩試験を行うことができる。さらに、X線遮蔽手段のほとんどを、ハウジング20ではなくX線管ユニット5に設けることができる場合があり得る。
X線管装置は、陽極ターゲット35及び陰極36にそれぞれ高電圧を印加する中性点接地型に限定されるものではなく、陽極接地型や、陰極接地型を採っていてもよい。
この発明の実施形態は、上記した医療分野等で行うX線撮影に使用されるX線管ユニット及びX線管装置に限らず、各種のX線管ユニット及びX線管装置に適用することができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、
前記X線の漏洩を防止するX線遮蔽手段と、を備えている回転陽極型X線管ユニット。
[2]前記X線遮蔽手段は、前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体を有している[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[3]前記X線遮蔽体は、前記シェルに密接又は近接する形状を有している[2]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[4]前記X線遮蔽体は、前記シェルに固定され、前記シェルとともにシールド構造体を形成する[3]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[5]前記陰極に対して前記陽極ターゲットの反対側において前記回転陽極型X線管の外側に位置した電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に取付けられ、前記X線遮蔽体に重なる端部を有した他のX線遮蔽体と、をさらに備えている[2]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[6]前記シェルは、電気絶縁部材である[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[7]前記電気絶縁部材は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含む樹脂材料で形成されている[6]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[8]前記シェルは、タングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つである金属微粒子、並びにタングステン、タンタル、モリブデン、バリウム、ビスマス、希土類金属及び鉛の少なくとも1つの化合物微粒子の少なくとも1つを混合材料として含有している電気絶縁性材料で形成され、X線を透過させる貫通孔を含んでいる[6]又は[7]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[9]前記シェルは、前記真空外囲器の少なくとも一部を取り囲み、X線を透過させる貫通孔を含んでいる金属部材を有している[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[10]前記シェルの貫通孔を塞ぎ、X線透過性の材料で形成された仕切板をさらに備えている[8]又は[9]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[11]前記真空外囲器は、前記軸線に垂直な方向にて前記陽極ターゲットと対向する径大部と、径小部と、前記径大部及び径小部を繋ぐ中継部と、を有し、
前記シェルは、前記真空外囲器の径大部を少なくとも取り囲んでいる[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[12]前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の径小部及び中継部を取り囲む電気絶縁部材を有し、前記真空外囲器の径小部及び中継部との間に前記冷却媒体が流れ前記流路と分離した他の流路を形成する他の流路形成体をさらに備えている[11]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[13]前記他の流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている[12]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[14]前記回転駆動部は、前記電気絶縁部材の外面に固定されている[13]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[15]前記流路形成体に対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、前記陽極ターゲットを回転させる回転駆動部をさらに備えている[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[16]前記X線遮蔽手段は、
前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体と、
前記X線遮蔽体に取付けられ前記X線遮蔽体の貫通孔を取り囲み前記X線遮蔽体に対して前記シェルの反対側に突出した枠状のX線遮蔽部材と、を有している[1]に記載の回転陽極型X線管ユニット。
[17]回転陽極型X線管ユニットと、
前記回転陽極型X線管ユニットを収納し、前記回転陽極型X線管ユニットとの間に冷却媒体が流れる空間を形成するハウジングと、を備え、
前記回転陽極型X線管ユニットは、
電子を放出する陰極と、X線を放出する回転自在な陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器と、を有する回転陽極型X線管と、
前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器を取り囲むシェルを有し、前記真空外囲器との間に前記冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成体と、
前記X線の漏洩を防止するX線遮蔽手段と、を備えている回転陽極型X線管装置。
[18]前記X線遮蔽手段は、前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体を有している[17]に記載の回転陽極型X線管装置。
[19]前記陰極に対して前記陽極ターゲットの反対側において前記回転陽極型X線管の外側に位置した電気絶縁部材と、
前記電気絶縁部材に取付けられ、前記X線遮蔽手段を形成し、前記X線遮蔽体に重なる端部を有した他のX線遮蔽体と、をさらに備えている[18]に記載の回転陽極型X線管装置。
[20]前記X線遮蔽体は、前記ハウジングに電気的に接続されている[18]に記載の回転陽極型X線管装置。
[21]前記冷却媒体は、冷却液である[17]に記載の回転陽極型X線管装置。
[22]前記流路及び空間に前記冷却液の流れを形成する循環部をさらに備えている[21]に記載の回転陽極型X線管装置。
[23]前記冷却液は、水系冷却液である[21]に記載の回転陽極型X線管装置。
[24]前記冷却液は、絶縁油である[21]に記載の回転陽極型X線管装置。
[25]前記ハウジングの内部に設けられ、前記冷却液に浸り、前記回転陽極型X線管に高電圧を与える高電圧ユニットをさらに備えている[24]に記載の回転陽極型X線管装置。
[26]前記ハウジングの内部及び外部に位置し、前記ハウジングに液密に取付けられ、前記冷却液の熱を前記ハウジングの外部に放出する空冷ラジエータと、前記ハウジングの外部に位置した前記空冷ラジエータに送風する送風部と、を有した熱交換器さらに備えている[21]に記載の回転陽極型X線管装置。
[27]前記冷却媒体は、空気であり、
前記ハウジングは、空気を取込む吸気口と、空気を吐出す排気口と、を有している[17]に記載の回転陽極型X線管装置。
[28]前記流路及び空間に空気の流れを形成する循環部をさらに備えている[27]に記載の回転陽極型X線管装置。
[29]前記ハウジングは、樹脂材料で形成されている[17]に記載の回転陽極型X線管装置。
[30]前記ハウジングを形成する樹脂材料は、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー及びメチルペンテンポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる[29]に記載の回転陽極型X線管装置。
[31]前記ハウジングは、前記ハウジングの内面及び外面の少なくとも一部を形成し、前記ハウジングの外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する遮蔽層を有している[29]に記載の回転陽極型X線管装置。
[32]前記遮蔽層は、金属で形成されている[31]に記載の回転陽極型X線管装置。
[33]前記真空外囲器は、前記軸線に垂直な方向にて前記陽極ターゲットと対向する径大部と、径小部と、前記径大部及び径小部を繋ぐ中継部と、を有し、
前記シェルは、前記真空外囲器の径大部を少なくとも取り囲んでいる[17]に記載の回転陽極型X線管装置。
[34]前記陽極ターゲットの軸線に垂直な方向にて前記真空外囲器の径小部及び中継部を取り囲む電気絶縁部材を有し、前記真空外囲器の径小部及び中継部との間に前記冷却媒体が流れ前記流路と分離した他の流路を形成する他の流路形成体をさらに備えている[33]に記載の回転陽極型X線管装置。
[35]前記シェルに対して前記回転陽極型X線管の反対側に位置し、X線を透過させる貫通孔を有するX線遮蔽体と、
X線を透過し、前記X線遮蔽体の貫通孔と対向した前記ハウジングの開口を閉塞するX線放射窓と、
枠状のX線遮蔽部材と、をさらに備え、
前記X線遮蔽部材は、
前記X線遮蔽体に取付けられ前記X線遮蔽手段を形成し前記X線遮蔽体の貫通孔を取り囲み前記ハウジング側に突出し、又は前記ハウジングに取付けられ前記ハウジングの開口を取り囲み前記X線遮蔽体側に突出している[17]に記載の回転陽極型X線管装置。