JP5929760B2 - 安定化酵素組成物及びその製造方法 - Google Patents

安定化酵素組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化により酵素活性が低下する酵素の活性低下を抑制することにより得られる安定化酵素組成物、及びその製造方法に関するものである。
酵素には長期保存すると酵素活性の低下がみられるものが多い。例えばトランスグルタミナーゼ(以下TGと略すことがある)は長期保存により、主として空気中の酸素による酸化により活性が甚だしく低下する。日本特許第3758187号には、TGの活性低下抑制、保存性改善のために脱酸素剤を使用し、酸素不透過性素材で包装する方法が開示されている。また、日本特許第3281368号には、TGの活性低下抑制のため、TGとグルタチオン、システイン、塩化マグネシウム、塩化カルシウム又はクエン酸ナトリウムとを水に懸濁後凍結乾燥する方法が開示されている。しかしながら、日本特許第3281368号実施例2のTG製剤の場合、凍結乾燥品であるため水分活性が極めて低く、TG製剤の流通過程やTG製剤を食品工場等で使用する際に吸湿固結しやすいという課題があった。また、凍結乾燥は製造コストが高いという課題もあった。
一方、Process Biochemistry 41(2006)1427−1431には、グルタチオンの還元力を活用してTGの保存性を高める方法が開示されているが、グルタチオン単独での抗酸化効果は認められておらず、マルトデキストリンとの併用が必須である。
また、日本特許第3651003号には、TGとタンパク質分解物を混合後に減圧乾燥させることでTGの抗酸化性を高める方法が開示されている。タンパク質として大豆、卵白、小麦、乳タンパク質が用いられており、何れもアレルゲン性が報告されているため、本方法を用いて抗酸化性を付与したTGの食品加工への活用は用途が限定されることとなる。WO2009−130181には、塩化ナトリウムによる一価の塩と糖、あるいはアミノ酸、あるいは緩衝能を有する塩の少なくともいずれかの組み合わせによって、TGと類似の酵素特性を有するFactorXIII酵素粉末の安定化方法が開示されている。但し、WO2009−130181の方法において、カルシウム塩は使用可能な塩から除外されることが明記されている。一方、特開2005−73628号公報には、塩化ナトリウムや塩化カリウムを用いて微生物由来TGを工業的に結晶化する方法が開示されているが、抗酸化性付与に関する記載は一切なく、噴霧乾燥時に使用した場合の効果を想起させる内容ではない。また結晶化中のTGの安定化に寄与する物質としてグルタミンペプチド、ペプチーノなどの蛋白質部分分解物、トレハロース、システイン、グルタチオン、亜硫酸水素ナトリウム、クエン酸塩及びリン酸塩から選ばれた1種又は2種以上が報告されているが、本発明記載の抗酸化性付与効果が見出された素材に関する記述は無い。
塩化カルシウムによる酵素の安定化に関してはProcess Biochemistry 42(2007)1357−1361の報告がある。本文献でYarrowia lipolytica由来のリパーゼに塩化カルシウムを添加して調製した粉末酵素の安定性が報告されている。しかしながら、Innovative Food Science and Emerging Technologies 6(2005)107−114)の記載より、酵素の安定性に関しては噴霧乾燥の賦形剤として添加したマルトデキストリンとアラビアガムの効果と考えられる。またリパーゼの失活要因は酸素による酸化ではないため、本発明とは効果発現の機構は全く異なると考えられる。
特開2008−306979号公報には、酸素によって失活しやすいヒドロゲナーゼを酸素雰囲気下に曝露することにより電子伝達サイトを脱離させ、耐酸素性が高い改変型ヒドロゲナーゼを得る方法が開示されている。
酵素とは異なるが、TGと同様に酸化され易い素材の抗酸化性付与素材に関しては、S−アデノシルメチオニン(SAM)の安定化技術が開発されている。例えばメタリン酸、リン酸、ピロリン酸及びポリリン酸などのリン酸化合物を有効成分として含有するSAM安定化剤(特開2007−197346号公報)や、フィチン酸および環状デキストリンの組み合わせによるSAM安定化剤(特開2010−18596号公報)が報告されているが、本発明で抗酸化性付与効果が確認された素材に関する記述はない。同様に糖質との共存下、噴霧乾燥した粉末で油脂やフレーバー成分、酵素活性が保持される報告(Journal of Pharmaceutical Science Vol.88,No.3,March 1999 p351−359、Journal of Food Engineering 87(2008)34−39、Biosci.Biotechnol.Biochem.,64(8),1608−1623,2000、Journal of Food Engineering 87(2008)34−39、Pharmaceutical Research Vol.24,No.10,October 2007 p1883−1890、International Journal of Food Science and Technology 44,641−645(2009)、Biosci.Biotechnol.Biochem.,66(9),1829−1834,2002、J.Agric.Food Chem.,2004,52(5),1269−1276)は多いが、本発明記載の抗酸化性付与素材に関する報告はない。
本発明の目的は、トランスグルタミナーゼ等、酸化により酵素活性が低下する酵素において、脱酸素剤や真空包装などを必要せずとも、固結・潮解しにくく、酵素活性の低下が抑制され、長期間保存可能な酵素組成物を提供することであり、また、その製造方法を提供することである。具体的には、24℃12ケ月または44℃3ケ月保存後においても、酵素活性が70%以上、好ましくは80%以上残存する酵素組成物を提供することであり、また、その製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、トランスグルタミナーゼ等、酸化により酵素活性が低下する酵素と特定の物質(安定化素材)とを含む溶液を噴霧乾燥することにより、酸化による酵素活性低下が抑制され、かつ、長期間保存した後でも固結あるいは潮解が発生しないことを見いだし、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)酸化により酵素活性が低下する酵素と、寒天、フェニルアラニン、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、グルタチオン、グルタミン酸カルシウム、アデノシン一リン酸、コーン澱粉、トレハロース、β−シクロデキストリン及び小麦澱粉からなる群より選択される1又は2種以上の安定化素材とを含有する溶液を噴霧乾燥することを特徴とする酵素組成物の製造方法。
(2)酸化により酵素活性が低下する酵素がトランスグルタミナーゼである(1)記載の方法。
(3)安定化素材が塩化カルシウムであり、塩化カルシウムの量がトランスグルタミナーゼ1Uあたり0.0005〜0.5mgである(2)記載の方法。
(4)(2)又は(3)記載の方法により得られる酵素組成物。
(5)(4)記載の酸素組成物が、酸素透過度100ml/m・atm・24hr以下の材質の容器に密封収容されていることを特徴とする包装製品。
本発明において、酸化により酵素活性が低下する酵素として、トランスグルタミナーゼ、ヒドロゲナーゼ、ニトロゲナーゼ、2−ケトイソ吉草酸フェレドキシン酸化還元酵素等が挙げられるが、中でも食品の製造に広く用いられているトランスグルタミナーゼが本発明において重要である。
トランスグルタミナーゼは、トランスグルタミナーゼ活性を有する酵素である限り、その起源は特には問わない。例えば、モルモットなどの哺乳動物由来のもの(特公平1−50382号公報参照)、ストレプトベルチシリウム属などの微生物由来のもの(例えば、特開昭64−27471号公報参照)バイオテクノロジーを利用した遺伝子組換え法により得られるもの(特開平1−300889号、特公平5−199883号及び特公平6−225775号)、等を用いることができる。また、トランスグルタミナーゼの純度についても、特別の制限はない。即ち、粗製物であれ、精製して得られる高純度品であれ、いずれも用いることができる。
本発明の安定化素材とは、トランスグルタミナーゼ等の酸化により酵素活性が低下する酵素において、酸化による酵素活性低下を抑制する素材を意味し、脱酸素剤を用いずとも、あるいは真空包装や窒素、二酸化炭素等不活性ガスを充填包装せずとも、長期間保存可能な酵素組成物を得るために用いられる素材を意味する。本発明の安定化素材として、寒天、フェニルアラニン、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、コーン澱粉、ステアリン酸カルシウム、グルタチオン、グルタミン酸カルシウム、トレハロース、β−シクロデキストリン、アデノシン一リン酸、小麦澱粉が挙げられるが、酵素の安定化効果の点で、寒天、フェニルアラニン、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、グルタチオン、グルタミン酸カルシウム、アデノシン一リン酸が好ましく、寒天、フェニルアラニン、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウムがより好ましい。これらの安定化素材は、単独で用いてもよいし、塩化カルシウムと、グルタチオンあるいはアデノシン一リン酸との併用等、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、トランスグルタミナーゼ等酸化により酵素活性が低下する酵素と安定化素材とを含有する溶液を噴霧乾燥する。酵素と安定化剤とを含む溶液の調製法は特に問わないが、例えば、発酵工程、合成工程、抽出工程、分離精製工程等酵素の製造工程中に産生される酵素含有溶液(発酵母液、反応溶液、抽出液、濃縮液、分離精製前の酵素含有溶液等)中に安定化素材を添加する方法や、酵素と安定化素材とを水、市水、蒸留水、イオン交換水、緩衝液、エタノール等の溶媒へ溶解又は分散混合する方法などが挙げられる。前者の場合、トランスグルタミナーゼの例では、特開昭64−27471号公報に開示されている製造工程において、トランスグルタミナーゼ生産菌の培養終了後に除菌して得られる酵素含有溶液に直ちに、あるいは、この溶液を濃縮する過程で安定化素材を添加すればよい。
酵素と安定化素材とを含有する溶液中の酵素、安定化素材の量は、それぞれが溶解あるいは均一に分散される量であれば特に問わない。トランスグルタミナーゼの場合、溶液100mlあたり0.1〜100000Uが好ましく、1〜30000Uがより好ましく、10〜20000Uがさらに好ましい。
安定化素剤の量は、溶液100mlあたり0.00001〜100gが好ましく、0.001〜50gがより好ましい。各安定化素材の溶液100mlあたりの適正量は以下のとおりである。寒天、グルコン酸カルシウムの場合、0.001〜20gが好ましく、0.1〜10gがより好ましい。フェニルアラニンの場合、0.001〜20gが好ましく、0.2〜10gがより好ましい。クエン酸カルシウム、グルタチオン、アデノシン一リン酸の場合、0.0001〜2gが好ましく、0.01〜0.5gがより好ましい。塩化カルシウムの場合、0.0003〜6gが好ましく、0.003〜2gがより好ましく、0.01〜0.95がさらに好ましく、0.3〜0.95gがことさら好ましい。コーン澱粉、小麦澱粉の場合、0.001〜20gが好ましく、0.1〜10gがより好ましい。ステアリン酸カルシウムの場合、0.0001〜0.1gが好ましく、0.0005〜0.05gがより好ましい。グルタミン酸カルシウムの場合、0.001〜5gが好ましく、0.05〜2.5gがより好ましい。トレハロースの場合、0.5〜100gが好ましく、1〜50gがより好ましい。β−シクロデキストリンの場合、0.05〜40gが好ましく、0.1〜10gがより好ましい。
本発明において、酵素と安定化素材とを含有する溶液を噴霧乾燥するが、乾燥温度等噴霧乾燥条件は、乾燥時の酵素活性の低下を極力抑制するよう適宜設定すればよい。尚、一般に乾燥方法として、凍結乾燥法、減圧乾燥法、真空乾燥法、棚段乾燥法、ドラム乾燥法、真空ドラム乾燥法等が知られているが、乾燥時の酵素活性低下抑制の点、乾燥後の乾燥酵素組成物の物性(潮解・固結しにくい等)の点で、噴霧乾燥が適している。
尚、本発明の酵素組成物及びその製造方法において、酵素がトランスグルタミナーゼである場合、各安定化素材のトランスグルタミナーゼ1Uあたりの適正量は以下のとおりである。寒天、グルコン酸カルシウムの場合、0.002〜2mgが好ましく、0.02〜1mgがより好ましい。フェニルアラニンの場合、0.004〜4mgが好ましく、0.04〜2mgがより好ましい。クエン酸カルシウム、グルタチオン、アデノシン一リン酸の場合、0.0002〜0.2mgが好ましく、0.002〜0.1mgがより好ましい。塩化カルシウムの場合、0.0002〜2mgが好ましく、0.0005〜0.5mgがより好ましく、0.002〜0.4mgがさらに好ましく、0.06〜0.19mgがことさら好ましい。コーン澱粉、小麦澱粉の場合、0.003〜3mgが好ましく、0.03〜1.5mgがより好ましい。ステアリン酸カルシウムの場合、0.0001〜0.1mgが好ましく、0.0005〜0.05mgがより好ましい。グルタミン酸カルシウムの場合、0.001〜1mgが好ましく、0.01〜0.5mgがより好ましい。トレハロースの場合、0.1〜100mgが好ましく、1〜50mgがより好ましい。β−シクロデキストリンの場合、0.01〜10mgが好ましく、0.1〜5mgがより好ましい。
このようにして得られた、酸化による酵素活性低下が抑制され、脱酸素剤を用いずとも長期間保存可能な酵素組成物(安定化酵素組成物)は、これをそのまま使用、もしくは流通においてもよい。あるいは、このようにして得られた安定化された酵素組成物に他の素材を添加して酵素製剤の形で使用、もしくは流通におくこともできる。添加する素材は、酵素製剤の用途にもよるが、酵素製剤に一般に使用されている素材、例えばトランスグルタミナーゼ製剤に用いられている添加剤から適宜選ぶことができる。このような添加剤として、例えば、粉乳、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウムなどの乳タンパク質、小麦タンパク、大豆タンパク、等の各種タンパク質を用いることができる。また、乳糖、ポリリン酸ナトリウム、ポリフェノール、クエン酸塩などの有機酸塩、請求の範囲に記載されていないあらゆる無機塩等も配合することができる。更に、塩、こしょう、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどの調味料、香辛料、レシチン、モノグリセリドなどの乳化剤、油脂、アミノ酸等も配合することができる。
尚、噴霧乾燥して得られる本発明の安定化されたトランスグルタミナーゼ組成物100g中のトランスグルタミナーゼ含量は、1〜50000Uが好ましい。1Uより低いと酵素製剤の使用量をかなり増加しても酵素としての機能が発揮されず、一方、50000Uより高いと、食品への酵素組成物の添加量が微量となるために使いづらくなる。
本発明の安定化されたトランスグルタミナーゼ組成物又はそれを含有する酵素製剤は、各種の用途、例えば、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、ハム、ソーセージ、かまぼこなどの、畜肉若しくは水産練り製品、牛、豚、鳥などの各種肉類の改質及び接着、パンなどの小麦焼成品、うどん、スパゲティーなどの麺類、炊飯米等の米飯改質、豆腐などの大豆製品等に幅広く有効に使用できる。これは、これらの製品の原料に含まれるタンパク質やペプチドがトランスグルタミナーゼ作用により分子内又は分子間の架橋結合を形成して改質されることによるものである。
本発明により得られる安定化された酵素組成物又はそれを含有する酵素製剤は、先に説明したように経時的失活の度合いが小さく、実用上、酸素に対する安定性が高いが、これらを酵素透過度の低い酸素不透過性容器に入れて保管し又は流通に置くことにより、その経時的失活の度合いを更に小さくすることができる。そのような容器は、材質の酸素透過度が100ml/m2・atm・24hr以下、好ましくは30ml/m2・atm・24hr以下であるようなものであることが好ましい。例えば、上記基準を満たす容器としてはアルミ箔、アルミ蒸着フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等を材質とする袋状、ビン状、その他の形状の容器を挙げることができる。このような酸素不透過性の容器に収容する他に、これに加えて脱酸素剤を添加したり、又は真空包装若しくは窒素充填包装、二酸化炭素充填包装を施したりすることでも、尚一層の安定性を与え得ることは明白である。
トランスグルタミナーゼの活性については、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後525nmの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め活性を算出する。37℃、pH6.0で1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義した(特開昭64−27471号公報参照)。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、この実施例により何ら限定されない。
トランスグルタミナーゼ(味の素社製「アクティバ」TG、1000U/g)5gと表1に示した素材とを市水100mlに溶解又は分散混合し、酵素溶液を調製した。噴霧乾燥機(大川原精機社製 L−12型)を用いて、入口温度150℃、出口温度65〜70℃、流量100ml/分、アトマイザー20,000rpmの条件で、各溶液を噴霧乾燥して、酵素組成物を調製した。各乾燥酵素組成物は、水分活性(Aw)が0.44に安定するまで、湿度44%温度44℃の調湿庫内に1週間保管された。Awが0.44となった各乾燥酵素組成物3gをアルミ箔パウチ(12×17cm)に入れ、脱酸素剤を入れずに、ヒートシールにより密封した。密封された各酵素組成物を恒温恒湿庫内で44℃で3ヶ月間保存した。尚、表1に示した素材を添加しないこと以外は同じ条件で調製、保存したものをコントロールとした。
噴霧乾燥直後と3ヶ月保存後のトランスグルタミナーゼ活性を測定し、3ヶ月保存後の酵素活性値(U/g)を噴霧乾燥直後の酵素活性値(U/g)で除した値を活性維持率(%)として算出し、表1に示した。保存時のトランスグルタミナーゼの安定性を示す活性維持率により、表1の各素材のトランスグルタミナーゼ活性低下抑制効果を評価した。
Figure 0005929760
表1に示したとおり、寒天、フェニルアラニン、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウムを用いた場合、活性維持率は80%以上となり、日本特許第3651003号において、24℃1年保存後の残存活性が96%と記載されている小麦グルテン部分加水分解物と同等以上の活性維持率となることが確認された。すなわち、これらの安定化素材を用いることにより、酸化によるトランスグルタミナーゼ活性低下が抑制され、脱酸素剤を用いずとも、長期間保存可能となることが示唆された。また、コーン澱粉、ステアリン酸カルシウム、グルタチオン、グルタミン酸カルシウム、トレハロース、β−シクロデキストリン、アデノシン一リン酸、小麦澱粉を用いた場合、活性維持率は70%以上となり、脱酸素剤を用いずとも、長期間保存できる可能が示唆された。
トランスグルタミナーゼ(味の素社製「アクティバ」TG、1000U/g)5gと表2に示した素材とを市水100mlに溶解又は分散混合し、酵素溶液を調製した。実施例1に記載した方法でこれを噴霧乾燥した。比較のため、同じ酵素溶液を凍結乾燥器(共和真空技術製 RLE−206)を用いて、1週間真空凍結乾燥した。得られた乾燥酵素組成物のAwは、噴霧乾燥品では0.2〜0.3であったが、凍結乾燥品では、0.02から0.03であった。各乾燥酵素組成物は、3gをガラス製秤量ビンに入れ、蓋をせずに1週間室温に放置して、乾燥酵素組成物の固結性について、外観を目視することにより評価した。
表2に示したとおり、日本特許3281368号実施例2記載の方法と同様である凍結乾燥によりより得られた酵素組成物は全て固結・潮解が生じた。一方、本発明の噴霧乾燥品では、塩化カルシウムの量がトランスグルタミナーゼ1Uあたり0.002〜0.14mgの場合、得られた酵素組成物には固結・潮解は見られず、優れた粉体特性を有していることが明らかとなった。以上より、噴霧乾燥法により抗酸化性付与だけでなく、粉体物性も著しく改善できることが明らかとなった。
Figure 0005929760
トランスグルタミナーゼ(味の素社製「アクティバ」TG、1000U/g)5gと表3に示した量の塩化カルシウム、グルタチオン(GSHと略すことがある)、アデノシン一リン酸(AMPと略すことがある)、それらの混合物とを市水100mlに溶解し、酵素溶液を調製した。実施例1に記載した方法でこれを噴霧乾燥した。実施例1同様の方法で、Aw0.44に調製後、恒温恒湿庫内で44℃3ヶ月保存し、活性維持率より、各素材のトランスグルタミナーゼ活性低下抑制効果を評価した。
表3に示したとおり、塩化カルシウムと、グルタチオンあるいはアデノシン一リン酸とを併用することで、トランスグルタミナーゼの酸化失活が効果的に抑制できることが明らかとなった。
Figure 0005929760
トランスグルタミナーゼ(味の素社製「アクティバ」TG、1000U/g)5gと表4に示した各添加量の塩化カルシウムを市水100mlに溶解又は分散混合し、酵素溶液を調製し、実施例1に記載した方法でこれを噴霧乾燥した。各乾燥酵素組成物は、水分活性(Aw)が0.44に安定するまで、湿度44%温度24℃の調湿庫内に1週間保管した。Awが0.44となった各乾燥酵素組成物3gをアルミ箔パウチ(12×17cm)に入れ、脱酸素剤を入れずに、ヒートシールにより密封した。密封された各酵素組成物を恒温恒湿庫内で24℃で12ヶ月間保存した。尚、塩化カルシウムを添加しないこと以外は同じ条件で調製、保存したものをコントロールとした。また塩化カルシウムの代わりに日本特許第3651003号記載の、トランスグルタミナーゼ1重量部当たり小麦グルテン部分加水分解物1重量部を添加して調製したサンプル(抗酸化TG)をポジティブコントロールとした。
噴霧乾燥直後と12ヶ月保存後のトランスグルタミナーゼ活性を測定し、12ヶ月保存後の酵素活性値(U/g)を噴霧乾燥直後の酵素活性値(U/g)で除した値を活性維持率(%)として算出し、表4に示した。保存時のトランスグルタミナーゼの安定性を示す活性維持率により、表4の各添加量の塩化カルシウムのトランスグルタミナーゼ活性低下抑制効果を評価した。
表4に示したとおり、塩化カルシウムを0.06〜0.19mg/TG1U添加した場合、日本特許第3651003号において、24℃1年保存後の残存活性が96%と記載されている小麦グルテン部分加水分解物と同等以上の活性維持率となることが確認された。本実施例の結果では小麦グルテン部分加水分解物含有抗酸化TGの活性維持率が82.5%と、日本特許第3651003号に比べて低かったが、これは本実施例では高いAw値条件下で行われたためと考察している。なお、実施例2では塩化カルシウムの添加量が0.180mg/TG1Uを超えると固結が生じていたが、本実施例では保存状態が開放系でないため、いずれの試験区においても固結・潮解は発生していなかった。また、添加率0.002〜0.02mg/TG1Uの場合も、70%以上の高い活性維持率を示した。
Figure 0005929760
トランスグルタミナーゼ(味の素社製「アクティバ」TG、1000U/g)5gと表5に示した各素材とを市水100mlに溶解又は分散混合し、酵素溶液を調製し、実施例1に記載した方法でこれを噴霧乾燥した。各乾燥酵素組成物は、水分活性(Aw)が0.44に安定するまで、湿度44%温度24℃の調湿庫内に1週間保管された。Awが0.44となった各乾燥酵素組成物3gをアルミ箔パウチ(12×17cm)に入れ、脱酸素剤を入れずに、ヒートシールにより密封した。密封された各酵素組成物を恒温恒湿庫内で24℃で12ヶ月間保存した。尚、表5に示した素材を添加しないこと以外は同じ条件で調製、保存したものをコントロールとした。また、塩化カルシウムの代わりに日本特許第3651003号記載の、トランスグルタミナーゼ1重量部当たり小麦グルテン部分加水分解物1重量部を添加して調製したサンプル(抗酸化TG)をポジティブコントロールとした。
噴霧乾燥直後と12ヶ月保存後のトランスグルタミナーゼ活性を測定し、12ヶ月保存後の酵素活性値(U/g)を噴霧乾燥直後の酵素活性値(U/g)で除した値を活性維持率(%)として算出し、表5に示した。保存時のトランスグルタミナーゼの安定性を示す活性維持率により、表5の各素材のトランスグルタミナーゼ活性低下抑制効果を評価した。
表5に示したとおり、いずれの素材においても24℃1年保存後の活性維持率は70%以上であり、長期間保存可能であることが確認された。特に、グルコン酸カルシウム、アデノシン1リン酸、クエン酸カルシウム、フェニルアラニン、グルタミン酸カルシウム、グルタチオン、ステアリン酸カルシウム、寒天を用いた場合、80%以上の活性維持率であり、その内、寒天を除き、日本特許第3651003号において、24℃1年保存後の残存活性が96%と記載されている小麦グルテン部分加水分解物と同等以上の活性維持率となることが確認された。また、いずれの試験区においても固結・潮解は発生していなかった。
Figure 0005929760
本発明によると脱酸素剤や真空包装、あるいはアレルゲン性を有するペプチド素材を使用することなく、保存安定性の優れた酵素組成物を得ることができるので、産業上、特に食品分野において極めて有用である。

Claims (1)

  1. トランスグルタミナーゼ、塩化カルシウム、及びグルタチオンを含有する溶液を噴霧乾燥することを特徴とする酵素組成物の製造方法であって、塩化カルシウムの量がトランスグルタミナーゼ1Uあたり0.0005〜0.5mgであり、グルタチオンの量がトランスグルタミナーゼ1Uあたり0.0002〜0.2mgである方法。
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