JP5929713B2 - ヒンジ機構の製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、ヒンジ機構の製造方法に関する。詳しくは、樹脂製のベース部材と、ベース部材に回転可能に枢着された支持具と、を有するヒンジ機構の製造方法に関する。

従来、車両用のカップホルダとして、樹脂製のベース部材に支持具が回転可能に枢着されており、ベース部材に空けられた丸孔に飲料容器が差し込まれることで、支持具が下方側に押し動かされて展開し、飲料容器を下方側から支えた状態となるものが知られている（特許文献１）。上記支持具は、樹脂製のベース部材に一体的に設けられたヒンジ部材に嵌合されて組み付けられており、ベース部材に対してコンパクトに重ねられた格納状態と、上記展開した使用状態と、の間で回転できるように支えられた状態とされている。

特開２０１０−１６２９２８号公報

しかし、樹脂製のベース部材にヒンジ部材を簡便かつ見栄えの良い状態に組み付ける方法として、例えば、ヒンジ部材をベース部材の射出成形時にインサートする方法があるが、ベース部材を射出成形以外の方法で成形する場合にも、同様の状態に組み付けられると好ましい。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、樹脂製のベース部材にヒンジ部材を簡便かつ見栄えの良い状態に組み付けることにある。

上記課題を解決するために、本発明のヒンジ機構の製造方法は次の手段をとる。
第１の発明は、樹脂製のベース部材と、ベース部材に回転可能に枢着された支持具と、を有するヒンジ機構の製造方法である。ベース部材は、ブロー成形により中身が中空の形状に形成されている。ベース部材には、支持具を回転可能に枢着させるためのヒンジ部材が一体的に設けられている。ヒンジ部材は、ベース部材のブロー成形時に型締めの成形型内にセットされてベース部材に一体成形されている。

この第１の発明によれば、ベース部材をブロー成形する際に、ヒンジ部材を型締めの成形型内にセットして一体成形することにより、ヒンジ部材を中空形状のベース部材に対して簡便かつ一体感のある見栄えの良い状態に組み付けることができる。

第２の発明は、上述した第１の発明において、ベース部材が車両用シートに付設されるテーブルとして構成され、支持具がテーブルから開き方向に回転することでテーブルとの間で飲料容器を支えるカップホルダとして機能する構成とされているものである。

この第２の発明によれば、車両用シートに付設されるテーブルがブロー成形により軽量化されて形成されると共に、テーブルから開いてカップホルダとして機能する支持具を枢着するためのヒンジ部材を、テーブルに対して簡便かつ一体感のある見栄えの良い状態に組み付けることができる。

第３の発明は、上述した第１又は第２の発明において、ベース部材のブロー成形時にベース部材の形状内に埋め込まれるヒンジ部材の底部に、埋め込み方向とは垂直な方向に形状を広げるフランジ部が形成されているものである。

この第３の発明によれば、ヒンジ部材の底部にフランジ部が形成されていることにより、ベース部材のブロー成形時に、パリソンが型締めによってフランジ部に掛かるように（フランジ部を外側から覆うように）成形される。これにより、ヒンジ部材を、ベース部材に対して抜けにくいように強固に一体化させた状態に成形することができる。

実施例１のヒンジ機構が適用されたテーブルの概略構成を示す斜視図である。 テーブルが折り畳まれた状態を示す斜視図である。 テーブルを下方側から見たカップホルダの分解斜視図である。 テーブルの平面図である。 テーブルの底面図である。 図３のVI-VI線断面図である。

以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。

始めに、実施例１のヒンジ機構Ｈｉの構成について、図１〜図６を用いて説明する。本実施例のヒンジ機構Ｈｉは、図１に示すように、車両用シート１の車両内側（図示向かって右側）の側部に付設された折り畳み式のテーブル１０において、同テーブル１０に備え付けられた２個のカップホルダ１１の支え具をテーブル１０の底部にそれぞれ回転可能に枢着するための機構として構成されている。ここで、車両用シート１は、３列シートを備えた車両の運転席シート後ろ側の２列目の座席用シートとして構成されており、着座乗員の背凭れとなるシートバック２と、着座部となるシートクッション３と、を備えて構成されている。

上記シートバック２は、その左右両サイドの下端部が、シートクッション３の左右両サイドの後端部に対して、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置４を間に介して連結された状態とされている。これにより、シートバック２は、シートクッション３に対して、その背凭れ角度を前後方向に自由に調整することができる状態に連結された状態とされている。なお、各リクライニング装置４の基本構造については、特開２０１１−１１６３０３号公報等の文献に開示されたものと同じ公知の構成となっているため、詳細な説明を省略することとする。

上記シートクッション３の左右両側部には、同側部を両外側から覆い隠した状態となって保護する樹脂製のシールド５が被せ付けられている。これらシールド５は、シートクッション３の左右両サイドの側面部の他、上述した各リクライニング装置４を介して連結されたシートクッション３の左右両サイドの後端部とシートバック２の左右両サイドの下端部との各連結部もそれぞれ外側から覆うように被せ付けられた状態として設けられている。

そして、上記シートクッション３の車両内側となる図示向かって右側の側部には、着座者が飲料容器をセットしておくことのできる２個のカップホルダ１１や小物を置いて使用することのできる凹状の小物置き１２を備えた折り畳み式のテーブル１０が付設されている。上記テーブル１０は、前後方向に長尺な板形状に形成されており、上記シートクッション３の車両内側の側部に、図示しないブラケットを介して起倒回動可能にヒンジ連結された状態として設けられている。これにより、テーブル１０は、図１に示すように、シートクッション３の車両内側の側部に対して、同側部から水平方向に向けられて展開された状態（使用状態）と、図２に示すように、シートクッション３の車両内側の側部に畳み込まれるように垂下方向に向けられた格納状態と、に切り替え可能に設けられた状態とされている。

上記テーブル１０を上記使用状態と格納状態とに切り替える操作は、テーブル１０の前部に張り出して設けられた操作レバー１０Ａを、着座者がテーブル１０を回転させたい方向に回すことによってそれぞれ行えるようになっている。上記操作レバー１０Ａは、上記テーブル１０とシートクッション３の側部とを連結する図示しないリンク機構の回転軸部分に繋がれた状態として設けられており、着座者が上記操作レバー１０Ａをテーブル１０を回転させたい方向に捩るように操作することにより、上記不図示のリンク機構を屈伸運動させる態様でリンク運動させて、テーブル１０を上記使用状態と格納状態との間で回転運動させる構成となっている。

上記不図示のリンク機構は、その伸長方向へのリンク運動により、テーブル１０を使用位置に展開させた状態では、伸長方向にリンク運動した各リンク部材が、伸長位置を超えたターンオーバー位置まで回転して係止された状態となることで、テーブル１０に上方側からの負荷がかけられても、テーブル１０が使用位置から下方側に押し下げられないようにテーブル１０を下方側から支持した状態となるストッパ機能を備えた構成とされている。

カップホルダ１１は、上記テーブル１０の前後方向の前寄りの領域に前後方向に２個並んだ状態で設けられている。これらカップホルダ１１は、図１に示すように、それぞれ、上記テーブル１０に板厚方向に貫通して空けられた丸孔１１Ａと、テーブル１０の底部に設けられたヒンジ部材１１Ｂに回転可能に枢着された支持具１１Ｃと、によって構成されている。各丸孔１１Ａは、飲料容器を上方側から差し込むことで飲料容器の外周部を囲い込んだ状態となって保持することのできる差込み口として機能するものとなっており、各支持具１１Ｃは、上述した各丸孔１１Ａ内に飲料容器が差し込まれることにより、それぞれ下方側に押し開かれるように回転して、飲料容器を下方側から支えた状態となって係止される座として機能するものとなっている。ここで、上記テーブル１０の底部に各支持具１１Ｃが回転可能に枢着されて構成された各機構が、それぞれ、ヒンジ機構Ｈｉとなっている。

上記各支持具１１Ｃは、図３に示すように、それぞれ板状の形に形成されており、それらの上記テーブル１０の底部に連結される側の各縁部上に、前後方向を向く軸ピン１１Ｃ１がそれぞれ２本ずつ、同軸上の位置に並んで一体的に設けられた構成とされている。各支持具１１Ｃは、それらの各軸ピン１１Ｃ１が、上述したテーブル１０の底部の、各丸孔１１Ａが空けられた周縁部位に設けられた前後方向に２個ずつ並ぶ各ヒンジ部材１１Ｂのフック部１１Ｂ１にそれぞれ嵌め込まれることにより、各ヒンジ部材１１Ｂに対して回転可能に軸支された状態に組み付けられた状態とされている。これらの組み付けにより、各支持具１１Ｃが、上述したテーブル１０の底部に対して、各丸孔１１Ａに蓋をするように畳み込まれた状態（図２参照）と、テーブル１０の底部から開く形で各丸孔１１Ａから遠ざかった状態（図１参照）と、の間で回転することができる状態に連結された状態とされている。

上記各支持具１１Ｃは、上述した各軸ピン１１Ｃ１と各ヒンジ部材１１Ｂとのヒンジ連結部に巻装された図示しないトーションバネの附勢力により、常時は、テーブル１０の底部に畳み込まれる方向に回転附勢された状態とされている。これにより、各支持具１１Ｃは、図４〜図５に示すように、それらの自由状態時には、上述したテーブル１０の底部に折り重なるように畳み込まれた状態として保持されるようになっている。したがって、各支持具１１Ｃは、図２に示すように、上記テーブル１０がシートクッション３の車両内側の側部に畳み込まれた格納状態とされる時には、テーブル１０とシートクッション３の側部との間に位置してこれらの間にコンパクトに畳み込まれた状態として保持されるようになっている。

各支持具１１Ｃは、図１に示すように、上述したテーブル１０が水平位置に展開された使用状態において、どちらかの丸孔１１Ａ内に飲料容器が上方側から差し込まれることにより、その差し込まれた側に位置する支持具１１Ｃが、飲料容器によって押し動かされる形で所定の斜め角度位置まで下方側に展開回転して、飲料容器を下方側から支えた状態となって係止されるようになっている。

ここで、図３に示すように、各支持具１１Ｃには、半円状の形に開口した受入れ孔１１Ｃ２がそれぞれ形成されている。これら受入れ孔１１Ｃ２は、飲料容器が上述したテーブル１０の各丸孔１１Ａ内に差し込まれることにより、それらの半円状の形に開口した孔内に飲料容器の底側の角部を受け入れた状態となって、飲料容器が下方側に差し込まれていく移動に伴って、各受入れ孔１１Ｃ２の底部１１Ｃ３に飲料容器の底部が底付きした状態となって、各受入れ孔１１Ｃ２の底部１１Ｃ３が飲料容器の底部によって下方側に押し出される格好で各支持具１１Ｃが下方側に展開回転するようになっている。

各支持具１１Ｃの下方側への展開移動は、各支持具１１Ｃの軸ピン１１Ｃ１の近傍部位に形成された図示しない突起片がテーブル１０の底面に当たることで、所定の斜め角度位置に係止されるようになっている。また、各支持具１１Ｃは、飲料容器が各丸孔１１Ａから外されることにより、上述した図示しないトーションバネの附勢力によって、再びテーブル１０の底部に畳み込まれた状態となって保持されるようになっている。

上述したテーブル１０の各丸孔１１Ａが空けられた領域間の上面部には、各丸孔１１Ａ同士を繋ぐようにテーブル１０の一般面よりも窪んで形成された凹部１１Ｄが形成されている。この凹部１１Ｄにより、各丸孔１１Ａが一対の構成のように繋がれてグループ化されたデザインとされており、凹部１１Ｄによって繋がれた２つのカップホルダ１１の領域が、他の領域と区画された１つの領域として表現されている。

ところで、上述したテーブル１０は、樹脂のブロー成形により中身が中空となる軽量化された形に形成されている。また、上述したテーブル１０の底部に設けられた各ヒンジ部材１１Ｂは、上記テーブル１０のブロー成形時に、型締めの成形型内にセットされることで、その底部がテーブル１０の底部に埋設された状態として、テーブル１０の底部に一体成形されて設けられた状態とされている。以下、上述した各ヒンジ部材１１Ｂの構成について詳しく説明する。

各ヒンジ部材１１Ｂは、図６に示すように、樹脂のインジェクション成形により形成されており、上述した各支持具１１Ｃの軸ピン１１Ｃ１を嵌合させて回転可能に軸連結させるフック部１１Ｂ１と、上述したテーブル１０のブロー成形時にテーブル１０の底部に埋め込まれて一体成形されるフランジ部１１Ｂ２と、を一体的に有する形に形成されている。各フランジ部１１Ｂ２は、各ヒンジ部材１１Ｂのテーブル１０の底部に埋め込まれる底部の周縁部に、埋め込み方向とは垂直な方向となる３方向に形状を広げた形となって形成されている。

上述したフランジ部１１Ｂ２が形成された各支持具１１Ｃは、テーブル１０のブロー成形時に、パリソンを型締めする成形型にそれらの頭側となるフック部１１Ｂ１を挟持させた状態にセットされることにより、パリソンの型締め処理により、パリソンが各フランジ部１１Ｂ２に掛かるように（各フランジ部１１Ｂ２を外側から覆うように）一体的に成形される。これにより、各ヒンジ部材１１Ｂは、それらのフランジ部１１Ｂ２がテーブル１０の底部に埋設された状態となって、テーブル１０に対して抜けにくいように強固に一体化されて成形された状態とされている。

このように、テーブル１０をブロー成形する際に、ヒンジ部材１１Ｂを型締めの成形型内にセットして一体成形することにより、ヒンジ部材１１Ｂを中空形状のテーブル１０に対して、簡便かつ一体感のある見栄えの良い状態に組み付けることができる。

以上、本発明の実施形態を１つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の「ヒンジ機構」は、上記実施例で示したようなカップホルダ１１の支持具１１Ｃをテーブル１０に対して回転可能に枢着する機構（ヒンジ機構Ｈｉ）への適用に限定されず、「樹脂製のベース部材と、ベース部材に回転可能に枢着された支持具と、を有するヒンジ機構」として構成されるものであれば、種々の形態への適用が可能な構成となっている。

また、本発明の「ヒンジ機構」が、カップホルダの支持具をテーブル等のベース部材に対して回転可能に枢着する機構として適用される場合において、支持具がテーブル等のベース部材から上方側に開いて、支持具に形成された丸孔内に飲料容器を通すことで、支持具が飲料容器の外周部を囲い込んだ状態に保持し、ベース部材が飲料容器の底部を下方側から支持する構成となっているものであってもよい。

また、上記実施例では、本発明の「ヒンジ部材」に相当するものとして、支持具１１Ｃに設けられた軸ピン１１Ｃ１を嵌め込むことで軸ピン１１Ｃ１を回転可能に軸支した状態となるフック部１１Ｂ１を備えたヒンジ部材１１Ｂを例示したが、本発明の「ヒンジ部材」は、支持具に設けられたフック部を嵌め込むことでフック部を回転可能に軸支した状態となる軸ピンであってもよい。

また、本発明の「ヒンジ部材」は、そのベース部材のブロー成形時にベース部材の形状内に埋め込まれる底部が、フランジ部のない寸胴な形に形成されたものであってもよい。または、フランジ部に代えて、ヒンジ部材の底部の外周部に、パリソンを径方向の内方側に入り込ませられるような凹部を形成して、ヒンジ部材の外周部とパリソンとを強固に結合させられるように構成してもよい。または、フランジ部に代えて、ヒンジ部材の外周部を、底部側から頭部側に向かって、先細り状となっていく形に形成して、ヒンジ部材がベース部材から抜けにくくなるように形成してもよい。

また、本発明の「ヒンジ部材」は、金属材から成るものであってもよい。

１ 車両用シート
２ シートバック
３ シートクッション
４ リクライニング装置
５ シールド
１０ テーブル
１０Ａ 操作レバー
１１ カップホルダ
１１Ａ 丸孔
１１Ｂ ヒンジ部材
１１Ｂ１ フック部
１１Ｂ２ フランジ部
１１Ｃ 支持具
１１Ｃ１ 軸ピン
１１Ｃ２ 受入れ孔
１１Ｃ３ 底部
１１Ｄ 凹部
１２ 小物置き
Ｈｉ ヒンジ機構

Claims (3)

1. 樹脂製のベース部材と、該ベース部材に回転可能に枢着された支持具と、を有するヒンジ機構の製造方法であって、
   前記ベース部材は、ブロー成形により中身が中空の形状に形成されており、
   前記ベース部材には、前記支持具を回転可能に枢着させるためのヒンジ部材が一体的に設けられており、
   前記ヒンジ部材は、前記ベース部材のブロー成形時に型締めの成形型内にセットされて前記ベース部材に一体成形されていることを特徴とするヒンジ機構の製造方法。
2. 請求項１に記載のヒンジ機構の製造方法であって、
   前記ベース部材が車両用シートに付設されるテーブルとして構成され、前記支持具が前記テーブルから開き方向に回転することで前記テーブルとの間で飲料容器を支えるカップホルダとして機能する構成とされていることを特徴とするヒンジ機構の製造方法。
3. 請求項１又は請求項２に記載のヒンジ機構の製造方法であって、
   前記ヒンジ部材は、その前記ベース部材のブロー成形時に前記ベース部材の形状内に埋め込まれる底部に、埋め込み方向とは垂直な方向に形状を広げるフランジ部が形成されていることを特徴とするヒンジ機構の製造方法。

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