JP5929599B2 - 第13族窒化物基板及びその製造方法 - Google Patents
第13族窒化物基板及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5929599B2 JP5929599B2 JP2012170197A JP2012170197A JP5929599B2 JP 5929599 B2 JP5929599 B2 JP 5929599B2 JP 2012170197 A JP2012170197 A JP 2012170197A JP 2012170197 A JP2012170197 A JP 2012170197A JP 5929599 B2 JP5929599 B2 JP 5929599B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- comparative example
- gan substrate
- plane
- aqueous solution
- koh aqueous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
特許文献2には、(20−21)を主面とする矩形の窒化物結晶を、120℃の47%KOH水溶液に10分間浸漬させてエッチングする旨の記載がある。
特許文献3には、{20−21}面を主面(A2面)とする窒化物結晶に関する記載がある。また、当該文献には、N面を主面とする窒化物結晶を、120℃の47%KOH水溶液に浸漬させてエッチングする旨の記載がある。
特許文献4には、(10−12)面を主面とする窒化物結晶に関する記載がある。また、当該文献には、(11−2−2)面を主面とする窒化物結晶を、100℃以上に加熱した50%KOH溶液に浸漬させてエッチングする旨の記載がある。
また、上記特許文献2及び特許文献3には、KOHエッチングにおいて120℃のKOH水溶液を用いることしか記載されていない。また、上記特許文献4には、KOHエッチングに使用されるKOH水溶液の条件として、100℃以上という極めて幅広い温度条件が記載されている。後述する実施例において示すように、本発明者の検討で半極性面又は非極性面を主面とする第13族窒化物結晶のKOHエッチングにおいて120℃のKOH水溶液を用いた場合、処理時間が長いほどOF端面が荒れるという問題があることが明らかとなった。このことより、半極性又は非極性面を主面とし、KOHエッチングされやすい面をOF端面として有する第13族窒化物結晶において、KOHエッチングの好適な条件を見出す必要があるとの新たな課題に至った。
本発明者は、鋭意努力の結果、KOHエッチング条件を調節してOFの表面粗度を所定の範囲内とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、以下に示す本発明を完成させた。
(2)1,000倍以上の倍率で観察したとき、前記オリエンテーションフラットの端面において2以上のファセット面が観察されることを特徴とする、(1)に記載の第13族窒化物基板。
(3)前記主面は、{10−1−1}面、{20−2−1}面、{30−3−1}面、又は{60−6−1}面であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の第13族窒化物基板。
(4)前記オリエンテーションフラットの端面は、{−202−7}面、{−101−7}面、{−101−10}面、又は{−101−21}面に位置することを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の第13族窒化物基板。
(6)前記KOH水溶液の濃度は、45質量%以上65質量%未満であることを特徴とする、(5)に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
本発明の第13族窒化物基板は、主面と、オリエンテーションフラットとを有する第13族窒化物基板であって、前記主面は{1−100}面から<0001>方向に0°以上30°以下の範囲で傾斜した面であり、前記オリエンテーションフラットは、前記主面の[000−1]方向側にあって当該主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線を成し、前記オリエンテーションフラットの端面の表面粗度Raは0.5μm以上3.0μm以下であることを特徴とする。
GaxAlyIn1−x−yN 組成式(1)
(上記組成式(1)中、0≦x≦1、且つ0≦y≦1である。)
本発明に係る第13族窒化物基板は、具体的には窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、窒化インジウム基板、又は、混晶基板である窒化アルミニウムガリウム基板、窒化インジウムガリウム基板等が挙げられる。好ましくは少なくともガリウムを含む窒化物基板であり、より好ましくは窒化ガリウム基板である。
本発明においては、加工途中のものは第13族窒化物基板と称さず、第13族窒化物結晶と称する。また、以下、第13族窒化物基板を単に基板と称し、第13族窒化物結晶を単に結晶と称する場合がある。
また、本明細書において第13族窒化物基板又は第13族窒化物結晶の主面とは、半導体素子構造の形成のためにエピタキシャル成長用の基板として使用する際に、実際にエピタキシャル成長を実施する面のことであり、これを「おもて面」とすると、その裏側に当たる面を基板又は結晶の「裏面」と称する。
また、本発明においては、特定の指数面を小カッコ()で括って表し、等価の面を含む指数面を中カッコ{}で括って示す。例えば、{1−100}面とは、(1−100)面、(−1100)面、(10−10)面、(−1010)面、(01−10)面、及び(0−110)面を含む指数面を示す。
また、本発明においては、特定の結晶軸を大カッコ[]で括って表し、互いに等価な結晶軸をまとめて<>で括って表す。例えば、[000−1]方向とは、主面において、c軸を投影した際に−c軸方向に相当する方向を指す。また、[0001]方向とは、主面において、c軸を投影した際に+c軸方向に相当する方向を指す。また、<0001>方向とは、[000−1]方向及び[0001]方向のいずれも含む。
一方、上記特許文献1〜特許文献4に開示されたような、半極性面や非極性面を主面とする第13族窒化物半導体基板については、実際に市場に出回っている製品は少ない。これら極性面以外の面を主面とする第13族窒化物半導体基板は、その特徴的な物性から、近年ようやく脚光が当たり始めた技術である。
ところで、第13族窒化物基板にOFを作製する場合には、ある程度大きい結晶でなければ、作製コストや歩留まりの観点からあまり意味がない。しかしながら、半極性面や非極性面を主面とする大口径の第13族窒化物結晶は、c軸方向に厚膜成長を行って得られる極性面を主面とする第13族窒化物のインゴットからは、従来は製造が難しかった。これは、半極性面や非極性面を主面とする第13族窒化物結晶を得るためには、c軸に平行な方向、又はc軸に対し斜めの方向にインゴットをスライスしなければならないが、大口径の半極性面や非極性面を確保できるほどの厚膜成長は従来は容易ではなく、半極性面や非極性面を主面とする十分な大きさの結晶の作製が従来は難しかったためである。
以上より、半極性面や非極性面を主面とする第13族窒化物基板にOFをつけた状態でエッチングに供されること自体が、従来あまり行われなかったことであるため、「エッチングされやすい面に形成されたOF端面の荒れを抑えるためのKOHエッチング条件が必要とされる」という新たな課題を、本発明者が見出すに至ったのである。
本発明者は、更なる鋭意努力の結果、温度が100℃以上110℃以下KOH水溶液に、第13族窒化物結晶を20分以上浸漬させるという溶液処理条件を採用することにより、従来のKOHエッチングよりも、主面の加工残渣を効率よく除去できると共に、OF端面の荒れを極めて小さい範囲内に抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明における主面は、本発明の効果が顕著であることから{1−100}面から<0001>方向に1°以上29°以下の範囲で傾斜していることが好ましく、5°以上28°以下の範囲で傾斜していることがより好ましい。よって、主面は半極性面であることが好ましく、具体的には、{10−1−1}面、{20−2−1}面、{30−3−1}面、又は{60−6−1}面であることが好ましい。{10−1−1}面、{20−2−1}面、{30−3−1}面、及び{60−6−1}面は、それぞれ、{1−100}面から<0001>方向に、28°、15°、10°、又は5°傾斜した面である。
加工残渣の確認方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope;以下、SEMと称する。)による観察が挙げられる。SEM観察条件としては、例えば、加速電圧1〜10kV、電流50〜200pAにおいて、500〜5,000倍の倍率で観察する条件が挙げられる。特に、金蒸着等を施さずに基板をSEM観察した場合、加工残渣部分がチャージアップして黒く観察されるため、主面のSEM画像において黒い領域が少なければ少ないほど好ましい。これは、金蒸着等を施さずに基板をSEM観察した場合、通常であれば基板本体がSEMのホルダーに接触することにより導電する結果、チャージアップすることなく基板の主面が観察できるのに対し、加工残渣(剥離しかかった結晶片)は基板との接触面が少ないためにチャージアップする結果、当該加工残渣部分が黒く見えることによる。
マクロに観察した際の、OFの<11−20>方向からのブレは、±3°であることが好ましく、±1°であることがより好ましく、±0.1°であることがさらに好ましい。
本発明におけるOFは、上述した主面の[000−1]方向側にある。これは円形の主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線としては、[000−1]方向側及び[0001]方向側の、対向する2箇所が存在する。本発明者の検討においては、[000−1]方向側にOFを形成した場合には、KOHエッチングによるOF端面の荒れが顕著であるのに対して、[0001]方向側にOFを形成した場合には、KOHエッチングをおこなってもOF端面が荒れないことが見出されている。このことより、本発明の効果が顕著に見られるのは、主面の[000−1]方向側にOFが形成されている場合である。ここで、主面の[000−1]方向側とは、必ずしもc軸上に存在するのではなく、c軸を第13族窒化物基板の主面に投影した場合に、主面の中心を挟んで−c軸方向と一致する側をいう。
測定長さ:1〜5mm
測定速度:0.3〜0.6mm/秒
カットオフ値:0.25〜2.5mm
本発明におけるOFの表面粗度Raは、0.5μm以上2.9μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上2.8μm以下であることがさらに好ましい。
第13族窒化物基板の製造方法の1つとして、KOH水溶液によるエッチング処理を施した後に、基板にOFを作製するという製造方法も考えられる。しかし、そのような製造方法においては、エッチング処理後に表裏のダメージ差により基板に反りが発生する。そのため、その後のOF加工装置のステージ上での全面吸着時に反りが矯正されることにより基板に割れが生じるおそれがある。したがって、OFを作製した後にKOH水溶液によってエッチング処理をした方がより効率よく基板が製造できる。KOH水溶液によるエッチング処理により、製造される基板のOF端面においてファセット面が発生する。すなわち、OF端面における2以上のファセット面は、当該エッチング処理による痕跡の存在を表す。
SEM観察条件としては、例えば、加速電圧1〜10kV、電流50〜200pAにおいて、1,000〜10,000倍の倍率で観察する条件が挙げられる。また、光学顕微鏡により1,000〜10,000倍の倍率で観察してもよい。
これらの中でも、本発明に係る基板は、円形から1又は2以上の弓形を切り取った形状であることが好ましい。
図1に示すように、本第1の典型例は、主面1及びOF2を備える。主面1は、円形状から弓形を1つ切り取られた残りの形状を有する。主面1は、{1−100}面から<0001>方向に0°以上30°以下の範囲で傾斜した面であり、好適には{10−1−1}面、{20−2−1}面、{30−3−1}面、又は{60−6−1}面である。
一方、OF2は当該弓形に切り取られた部分の弦に相当する。OF2は、主面の[000−1]方向側にあって当該主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線をなし、好適には、マクロに観察したときに{−202−7}面、{−101−7}面、{−101−10}面、又は{−101−21}面に位置する。
図2に示すように、本第2の典型例は、主面1、OF2、及び他のOF3を備える。主面1は、円形状から弓形を2つ切り取られた残りの形状を有する。主面1の面指数は、上述した第1の典型例と同様である。また、OF2及び他のOF3は、主面1において交わることがなく、OFを延長した場合に互いに90°の角度を成す。
OF2及び他のOF3は、当該弓形に切り取られた部分のそれぞれの弦に相当する。OF2の面指数は、上述した第1の典型例と同様である。また、他のOF3については、特に限定はない。基板の表裏の区別を容易にするため、OF2とOF3は長さが10%以上異なることが好ましい。
なお、上述した第1の典型例及び第2の典型例は、本発明のあくまで例に過ぎず、本発明がこれらの典型例のみに限定されることはない。
本発明の第13族窒化物基板の製造方法は、第13族窒化物結晶にオリエンテーションフラットを作製するオリエンテーションフラット作製工程、及び当該オリエンテーションフラット作製工程後の溶液処理工程を含む第13族窒化物基板の製造方法であって、前記第13族窒化物結晶の主面は{1−100}面から<0001>方向に0°以上30°以下の範囲で傾斜した面であり、前記オリエンテーションフラットは、前記主面の[000−1]方向側にあって当該主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線を成し、前記溶液処理工程は、温度が100℃以上110℃以下のKOH水溶液に、前記第13族窒化物結晶を20分以上浸漬することを特徴とする。
外径加工は、第13族窒化物結晶のインゴットの外周の結晶異常成長部除去(いわゆる多結晶除去)をその目的とする。外径加工の方法は特に限定されず、人の手による研削によってもよいし、シングルワイヤーソーによるものであってもよい。
なお、上述したスライスから裏面研削までの工程は一例であり、必ずしもこれらの処理を全て行った結晶に対して、本発明の溶液処理工程を施さなければならないものではない。
KOH水溶液の温度が100℃未満である場合や、溶液処理工程の時間が20分未満である場合には、後述する図7及び図11に示すように、第13族窒化物結晶の裏面の加工残渣が多く残るおそれがある。また、KOH水溶液の温度が110℃を超える場合には、後述する図6及び図10に示すように、OF端面の荒れが酷くなりすぎるおそれがある。
溶液処理工程の時間は、25分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。
CMPは公知の方法を採用して実施することが可能であり、例えば、第13族窒化物結晶の研磨対象となる表面と、研磨定盤に貼られた研磨パッドとの間にコロイダルシリカ等を含むポリシングスラリーを添加した後、所定の圧力で当該結晶を保持しつつ、ポリッシュ機により当該表面を研磨する方法が挙げられる。研磨パッドの材質は公知のものでよく、ポリウレタン製等が例示できる。
1−1.(20−2−1)面を主面とするGaN基板の製造
[実施例1]
GaN結晶を準備し、440μmの厚みにスライスして、(20−2−1)面を主面とするGaN結晶(以下、(20−2−1)結晶と称する場合がある。)を得た。次に、当該(20−2−1)結晶の外周をダイヤモンド砥石(#1000)により研削して形状を整え、さらに主面の[000−1]方向側(−c軸方向側)に、当該主面上において<11−20>方向に平行に伸びる直線を成すようにオリエンテーションフラット(OF)を作製した(OF作製工程)。次に、(20−2−1)結晶をキャリア(ホルダー)にセットし、濃度48質量%、温度100℃のKOH水溶液に20分間浸漬した(溶液処理工程)。溶液処理工程後の(20−2−1)結晶を、純水により洗浄し、スピン乾燥機で乾燥させることにより、実施例1のGaN基板を製造した。
触針式表面粗度計:触針式粗さ試験機(東京精密社製、型番:SURFCOM130A)及びピックアップ(東京精密社製、型番:E−DT−SE19A)
測定長さ:3mm
測定速度:0.3mm/秒
カットオフ値:0.8mm
実施例1のGaN基板のOF端面の表面粗度は、Ra=2.7μmであった。
SEM:日本電子データム株式会社製、型番:JSM−7000F
加速電圧:3kV
電流:100pA
観察倍率:1,000倍
図3(a)は、実施例1のGaN基板の裏面のSEM画像であり、図3(b)は、実施例1に用いた溶液処理工程前のGaN結晶の裏面のSEM画像である。図3(b)においては、黒い部分が多く観察される。これに対し、図3(a)においては、黒い部分はほぼ観察されない。したがって、実施例1に用いた溶液処理工程前のGaN結晶の裏面と比較して、実施例1のGaN基板の裏面においては、加工残渣が低減していることが確認された。これらの結果について、以下の評価に基づき評価結果を表1にまとめた。なお、以降の実施例、比較例、及び参考例についても同様に表1又は表2にまとめた。
<裏面の加工残渣>
◎:加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっている。
○:加工残渣がほぼ除去されており、安定な面となっている。
×:加工残渣が残っており、不安定な面となっている。
実施例1の溶液処理工程において、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例2のGaN基板を製造した。
実施例2のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.9μmであった。
実施例2のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を60分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例3のGaN基板を製造した。
実施例3のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.7μmであった。
実施例3のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を110℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例4のGaN基板を製造した。
実施例4のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.1μmであった。
実施例4のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を110℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例5のGaN基板を製造した。
実施例5のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.6μmであった。
実施例5のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を45質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例6のGaN基板を製造した。
実施例6のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.5μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例1のGaN基板を製造した。
比較例1のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.1μmであった。
比較例1のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例2のGaN基板を製造した。
比較例2のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.8μmであった。また、比較例2のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.5μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.4μmであった。
比較例2のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例3のGaN基板を製造した。
比較例3のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=4.2μmであった。また、比較例3のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.6μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.5μmであった。
比較例3のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例4のGaN基板を製造した。
比較例4のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.2μmであった。また、比較例4のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.6μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.3μmであった。
比較例4のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例5のGaN基板を製造した。
比較例5のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.9μmであった。
比較例5のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例6のGaN基板を製造した。
比較例6のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.3μmであった。
比較例6のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例7のGaN基板を製造した。
比較例7のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.7μmであった。
比較例7のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例8のGaN基板を製造した。
比較例8のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.8μmであった。
比較例8のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例9のGaN基板を製造した。
比較例9のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.3μmであった。
比較例9のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例10のGaN基板を製造した。
比較例10のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.6μmであった。
比較例10のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例11のGaN基板を製造した。
比較例11のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.6μmであった。
比較例11のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例12のGaN基板を製造した。
比較例12のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.0μmであった。
比較例12のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例13のGaN基板を製造した。
比較例13のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.8μmであった。
比較例13のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例14のGaN基板を製造した。
比較例14のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.4μmであった。
比較例14のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図7に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例1と同様に、OF作製工程を行った。OF作製工程後の(20−2−1)結晶を、純水により洗浄し、スピン乾燥機で乾燥させることにより、参考例1のGaN基板を製造した。すなわち、参考例1においては、溶液処理工程を行わなかった。
参考例1のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.2μmであった。また、参考例1のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.4μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.2μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を43質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例2のGaN基板を製造した。
参考例2のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=3.9μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を40質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例3のGaN基板を製造した。
参考例3のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=3.6μmであった。
参考例3のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を30質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例4のGaN基板を製造した。
参考例4のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=5.1μmであった。
参考例4のGaN基板の裏面((20−21)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣が十分に除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を27質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例5のGaN基板を製造した。
参考例5のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.9μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を24質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例6のGaN基板を製造した。
参考例6のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=5.4μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を20質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例7のGaN基板を製造した。
参考例7のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=5.4μmであった。
実施例1の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を10質量%に変更し、且つ、(20−2−1)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例8のGaN基板を製造した。
参考例8のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=3.9μmであった。
[実施例7]
GaN結晶を準備し、440μmの厚みにスライスして、(10−10)面を主面とするGaN結晶(以下、(10−10)結晶と称する場合がある。)を得た。次に、当該(10−10)結晶の外周をダイヤモンド砥石(#1000)により研削して形状を整え、さらに主面の[000−1]方向側(−c軸方向側)に、当該主面上において<11−20>方向に平行に伸びる直線を成すようにOFを作製した(OF作製工程)。次に、(10−10)結晶をキャリア(ホルダー)にセットし、濃度48質量%、温度100℃のKOH水溶液に20分間浸漬した(溶液処理工程)。溶液処理工程後の(10−10)結晶を、純水により洗浄し、スピン乾燥機で乾燥させることにより、実施例7のGaN基板を製造した。
実施例7のGaN基板の裏面((−1010)面)、及び、実施例7に用いた溶液処理工程前のGaN結晶の裏面について、実施例1と同様にSEM観察を行った。図4(a)は、実施例7のGaN基板の裏面のSEM画像であり、図4(b)は、実施例7に用いた溶液処理工程前のGaN結晶の裏面のSEM画像である。図4(b)においては、黒い部分が多く観察される。一方、図4(a)においては、図4(b)と比較して黒い部分が減っている。したがって、実施例7のGaN基板の裏面においては、実施例7に用いた溶液処理工程前のGaN結晶の裏面と比較して、加工残渣が低減していることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例8のGaN基板を製造した。
実施例8のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.4μmであった。
実施例8のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。加工残渣は実施例7と同程度に低減しており、一部残っているものについてはより厳しい条件でエッチングしたとしても除去が困難である安定した状態であることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を110℃に変更したこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例9のGaN基板を製造した。
実施例9のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.3μmであった。
実施例9のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面の加工残渣は実施例7と同程度に低減しており、一部残っているものについてはより厳しい条件でエッチングしたとしても除去が困難である安定した状態であることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を110℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例10のGaN基板を製造した。
実施例10のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.4μmであった。
実施例10のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面の加工残渣は実施例7と同程度に低減しており、一部残っているものについてはより厳しい条件でエッチングしたとしても除去が困難である安定した状態であることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を45質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、実施例11のGaN基板を製造した。
実施例11のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=2.5μmであった。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例15のGaN基板を製造した。
比較例15のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.0μmであった。
比較例15のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例16のGaN基板を製造した。
比較例16のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.6μmであった。また、比較例16のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.5μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.6μmであった。
比較例16のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更したこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例17のGaN基板を製造した。
比較例17のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=3.4μmであった。また、比較例17のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.6μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.4μmであった。
比較例17のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣がほぼ除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を120℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例18のGaN基板を製造した。
比較例18のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=5.4μmであった。
比較例18のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣がほぼ除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例19のGaN基板を製造した。
比較例19のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.5μmであった。
比較例19のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例20のGaN基板を製造した。
比較例20のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.9μmであった。
比較例20のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例21のGaN基板を製造した。
比較例21のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.6μmであった。
比較例21のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例22のGaN基板を製造した。
比較例22のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.3μmであった。
比較例22のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更したこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例23のGaN基板を製造した。
比較例23のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.8μmであった。
比較例23のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を90℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例24のGaN基板を製造した。
比較例24のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を5分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例25のGaN基板を製造した。
比較例25のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.7μmであった。
比較例25のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を10分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例26のGaN基板を製造した。
比較例26のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.8μmであった。
比較例26のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更したこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例27のGaN基板を製造した。
比較例27のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=1.0μmであった。
比較例27のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の温度を80℃に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、比較例28のGaN基板を製造した。
比較例28のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.9μmであった。
比較例28のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面のSEM画像を図11に示す。当該裏面においては、加工残渣が残っており、不安定な面となっていることが確認された。
実施例7と同様に、OF作製工程を行った。OF作製工程後の(10−10)結晶を、純水により洗浄し、スピン乾燥機で乾燥させることにより、参考例9のGaN基板を製造した。すなわち、参考例9においては、溶液処理工程を行わなかった。
参考例9のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=0.3μmであった。また、参考例9のGaN基板のc軸に平行な端面、及び、a軸に平行であり且つ+C側の端面について、それぞれ実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、c軸に平行な端面の表面粗度はRa=0.4μmであり、a軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度はRa=0.2μmであった。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を43質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例10のGaN基板を製造した。
参考例10のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=4.0μmであった。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を40質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例11のGaN基板を製造した。
参考例11のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=3.5μmであった。
参考例11のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣がほぼ除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を30質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例12のGaN基板を製造した。
参考例12のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.7μmであった。
参考例12のGaN基板の裏面((−1010)面)について、実施例1と同様にSEM観察を行った。当該裏面においては、加工残渣がほぼ除去されており、安定な面となっていることが確認された。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を27質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例13のGaN基板を製造した。
参考例13のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.3μmであった。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を20質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例14のGaN基板を製造した。
参考例14のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.5μmであった。
実施例7の溶液処理工程において、KOH水溶液の濃度を10質量%に変更し、且つ、(10−10)結晶のKOH水溶液への浸漬時間を30分間としたこと以外は、実施例7と同様にOF作製工程、溶液処理工程、洗浄、及び乾燥を行うことにより、参考例15のGaN基板を製造した。
参考例15のGaN基板のOF端面について、実施例1と同様に触針式表面粗度計により測定し、表面粗度Raを算出したところ、Ra=7.6μmであった。
2−1.(20−2−1)面を主面とするGaN基板に関する考察
図13は、溶液処理工程におけるKOH水溶液の温度を120℃とし且つ濃度を48質量%として作製したGaN基板(比較例1−比較例4)について、処理時間の違いによる端面の粗度を比較したグラフである。図13は、縦軸に粗度Ra(μm)を、横軸に溶液処理工程の処理時間(分)をそれぞれとったグラフであり、白丸のプロットはc軸に平行な端面の表面粗度のデータを、X印のプロットはa軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度のデータを、及び、黒丸のプロットはa軸に平行であり且つ−C側の端面(すなわちOF端面)のデータを、それぞれ表す。処理時間5分間、10分間、20分間、及び30分間のプロットは、比較例1、比較例2、比較例3、及び比較例4の表面粗度のデータをそれぞれ表す。また、処理時間0分間のプロットは、溶液処理工程を行わなかった参考例1のデータを参考までに表したものである。
図13から分かるように、処理温度を120℃とした場合には、溶液処理工程の処理時間が長いほど、OF端面の粗度が高くなる。一方、a軸に平行であり且つ+C側の端面及びc軸に平行な端面においては、いずれも、溶液処理工程の処理時間による違いは見られない。また、従来の溶液処理条件である120℃の温度条件では、10分以上でOF端面において3μm以上の荒れが生じることが分かる。
図5から分かるように、処理温度を100℃とした場合には、溶液処理工程の処理時間が20分までは表面粗度は上昇し続けるものの、当該処理時間が20分以上となると、表面粗度の上昇はみられなくなる。よって、溶液処理工程の処理温度が100℃の条件においては、20分以上処理しても表面粗度が3.0μm未満で安定することが分かる。
図6から分かるように、処理温度が110℃までは、表面粗度はRa=3.0μm以下に抑えられており、また、処理時間による表面粗度の差は見られない。しかし、処理温度が120℃においては、表面粗度は4μmを超えており、且つ、処理時間を30分間とした比較例4の表面粗度(Ra=7.2μm)は、処理時間を20分間とした比較例3の表面粗度(Ra=4.2μm)の1.7倍である。よって、溶液処理工程において、処理時間によらずに表面粗度をRa=3μm以下に安定に保持できるのは、KOH水溶液の温度が110℃以下の場合であることが分かる。
図7から分かるように、溶液処理工程の処理時間が10分以下と短い場合(比較例1−比較例2、比較例5−比較例8、及び比較例11−比較例12)や、KOH水溶液の温度が90℃以下と低い場合(比較例7−比較例14)のSEM画像には、加工残渣部分が黒く観察される。したがって、溶液処理工程の処理時間が10分以下と短い場合及び/又はKOH水溶液の温度が90℃以下と低い場合には、KOH処理による加工残渣除去が十分進行せず、不安定な状態の加工残渣が存在し、これらが剥離して汚染の原因となるおそれがあることが分かる。
一方、図7から分かるように、溶液処理工程の処理時間が20分以上且つKOH水溶液の温度が100℃以上の場合(実施例1−実施例2及び比較例3−比較例4)のSEM画像には、加工残渣部分はほとんど観察されない。しかし、これらのうちKOH水溶液の温度が120℃以上の場合(比較例3−比較例4)には、図6に示したように、KOH処理によるOF端面の荒れが酷く、且つ処理時間が長いほどOF端面の表面粗度が大きくなるという問題がある。
図8から分かるように、KOH水溶液の濃度が27質量%の場合(参考例5)に表面粗度が最大となり、当該濃度が30質量%を超えると表面粗度が次第に小さくなり、KOH水溶液の濃度が45質量%以上の場合(実施例2及び実施例6)に表面粗度が3.0μm未満となる。よって、溶液処理工程において、30分を超える長時間処理で、十分なエッチング効果を享受しつつ表面粗度をRa=3.0μm以下に安定に保持できるのは、KOH水溶液の濃度が45質量%以上の場合が好ましいと分かる。
図14は、溶液処理工程におけるKOH水溶液の温度を120℃とし且つ濃度を48質量%として作製したGaN基板(比較例15−比較例18)について、処理時間の違いによる端面の粗度を比較したグラフである。図14は、縦軸に粗度Ra(μm)を、横軸に溶液処理工程の処理時間(分)をそれぞれとったグラフであり、白丸のプロットはc軸に平行な端面の表面粗度のデータを、X印のプロットはa軸に平行であり且つ+C側の端面の表面粗度のデータを、及び、黒丸のプロットはa軸に平行であり且つ−C側の端面(すなわちOF端面)のデータを、それぞれ表す。処理時間5分間、10分間、20分間、及び30分間のプロットは、比較例15、比較例16、比較例17、及び比較例18の表面粗度のデータをそれぞれ表す。また、処理時間0分間のプロットは、溶液処理工程を行わなかった参考例9のデータを参考までに表したものである。
図14から分かるように、処理温度を120℃とした場合には、溶液処理工程の処理時間が長いほど、OF端面の粗度が高くなる。一方、a軸に平行であり且つ+C側の端面及びc軸に平行な端面においては、いずれも、溶液処理工程の処理時間による違いは見られない。また、従来の溶液処理条件である120℃の温度条件では、20分以上でOF端面において3.0μmを超える荒れが生じることが分かる。
図9から分かるように、処理温度を100℃とした場合には、溶液処理工程の処理時間が20分までは表面粗度は上昇し続けるものの、当該処理時間が20分以上となると、表面粗度の上昇はみられなくなる。よって、溶液処理工程の処理温度が100℃の条件においては、20分以上処理しても表面粗度が3.0μm未満で安定することが分かる。
図10から分かるように、処理温度が110℃までは、表面粗度はRa=3.0μm未満に抑えられており、また、処理時間による表面粗度の差は見られない。しかし、処理温度が120℃においては、表面粗度は3.0μmを超えており、且つ、処理時間を30分間とした比較例18の表面粗度(Ra=5.4μm)は、処理時間を20分間とした比較例17の表面粗度(Ra=3.4μm)の1.6倍である。よって、溶液処理工程において、処理時間によらずに表面粗度をRa=3.0μm以下に安定に保持できるのは、KOH水溶液の温度が110℃以下の場合であることが分かる。
図11から分かるように、溶液処理工程の処理時間が10分以下と短い場合(比較例15−比較例16、比較例19−比較例22、及び比較例25−比較例26)や、KOH水溶液の温度が90℃以下と低い場合(比較例21−比較例28)のSEM画像には、加工残渣部分が黒く観察される。したがって、溶液処理工程の処理時間が10分以下と短い場合及び/又はKOH水溶液の温度が90℃以下と低い場合には、KOH処理による加工残渣除去が十分進行せず、不安定な状態の加工残渣が存在し、これらが剥離して汚染の原因となるおそれがあることが分かる。
一方、図11から分かるように、溶液処理工程の処理時間が20分以上且つKOH水溶液の温度が100℃以上の場合(実施例7−実施例8及び比較例17−比較例18)のSEM画像には、加工残渣部分が溶液処理前(例えば、図4(b)のSEM画像)と比較して少なく観察される。しかし、これらのうちKOH水溶液の温度が120℃以上の場合(比較例17−比較例18)には、図10に示したように、KOH処理によるOF端面の荒れが酷く、且つ処理時間が長いほどOF端面の表面粗度が大きくなるという問題がある。
図12から分かるように、KOH水溶液の濃度が10〜30質量%の場合(参考例12−参考例15)に表面粗度が7μmを超えるが、当該濃度が30質量%を超えると表面粗度が次第に小さくなり、KOH水溶液の濃度が45質量%以上の場合(実施例8及び実施例11)に表面粗度が3.0μm以下となる。よって、溶液処理工程において、30分を超える長時間処理で、十分なエッチング効果を享受しつつ表面粗度をRa=3.0μm以下に安定に保持できるのは、KOH水溶液の濃度が45質量%以上の場合が好ましいことが分かる。
2 オリエンテーションフラット
3 他のオリエンテーションフラット
100 第13族窒化物基板
Claims (6)
- 主面と、オリエンテーションフラットとを有する第13族窒化物基板であって、
前記主面は{1−100}面から<0001>方向に0°以上30°以下の範囲で傾斜した面であり、
前記オリエンテーションフラットは、前記主面の[000−1]方向側にあって当該主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線を成し、
前記オリエンテーションフラットの端面の表面粗度Raは0.5μm以上3.0μm以下であることを特徴とする、第13族窒化物基板。 - 1,000倍以上の倍率で観察したとき、前記オリエンテーションフラットの端面において2以上のファセット面が観察されることを特徴とする、請求項1に記載の第13族窒化物基板。
- 前記主面は、{10−1−1}面、{20−2−1}面、{30−3−1}面、又は{60−6−1}面であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の第13族窒化物基板。
- 前記オリエンテーションフラットの端面は、{−202−7}面、{−101−7}面、{−1 0 1 −10}面、又は{−1 0 1 −21}面に位置することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の第13族窒化物基板。
- 第13族窒化物結晶にオリエンテーションフラットを作製するオリエンテーションフラット作製工程、及び当該オリエンテーションフラット作製工程後の溶液処理工程を含む第13族窒化物基板の製造方法であって、
前記第13族窒化物結晶の主面は{1−100}面から<0001>方向に0°以上30°以下の範囲で傾斜した面であり、
前記オリエンテーションフラットは、前記主面の[000−1]方向側にあって当該主面上において<11−20>±5°方向に平行に伸びる直線を成し、
前記溶液処理工程は、温度が100℃以上110℃以下のKOH水溶液に、前記第13族窒化物結晶を20分以上浸漬することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。 - 前記KOH水溶液の濃度は、45質量%以上65質量%未満であることを特徴とする、請求項5に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012170197A JP5929599B2 (ja) | 2012-07-31 | 2012-07-31 | 第13族窒化物基板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012170197A JP5929599B2 (ja) | 2012-07-31 | 2012-07-31 | 第13族窒化物基板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014028723A JP2014028723A (ja) | 2014-02-13 |
JP5929599B2 true JP5929599B2 (ja) | 2016-06-08 |
Family
ID=50201605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012170197A Active JP5929599B2 (ja) | 2012-07-31 | 2012-07-31 | 第13族窒化物基板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5929599B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7116985B2 (ja) * | 2018-03-02 | 2022-08-12 | 国立大学法人三重大学 | 半導体基板の製造方法 |
JP6701417B1 (ja) | 2019-07-26 | 2020-05-27 | Jx金属株式会社 | リン化インジウム基板、及びリン化インジウム基板の製造方法 |
JP6701418B1 (ja) * | 2019-07-26 | 2020-05-27 | Jx金属株式会社 | リン化インジウム基板、及びリン化インジウム基板の製造方法 |
JP6906079B2 (ja) * | 2019-07-26 | 2021-07-21 | Jx金属株式会社 | リン化インジウム基板 |
JP6906080B2 (ja) * | 2019-07-26 | 2021-07-21 | Jx金属株式会社 | リン化インジウム基板 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006290697A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-10-26 | Hitachi Cable Ltd | 窒化物半導体基板及びその製造方法 |
JP2010092975A (ja) * | 2008-10-06 | 2010-04-22 | Hitachi Cable Ltd | 窒化物半導体基板 |
US8598685B2 (en) * | 2009-09-04 | 2013-12-03 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | GaN single crystal substrate and method of manufacturing thereof and GaN-based semiconductor device and method of manufacturing thereof |
JP5549157B2 (ja) * | 2009-09-04 | 2014-07-16 | 住友電気工業株式会社 | GaN単結晶基板およびその製造方法、ならびにGaN系半導体デバイスおよびその製造方法 |
JP5233936B2 (ja) * | 2009-09-24 | 2013-07-10 | 住友電気工業株式会社 | 窒化物半導体基板 |
JP2011077325A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Iii族窒化物半導体基板の製造方法 |
JP2012049448A (ja) * | 2010-08-30 | 2012-03-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | 窒化物半導体基板の製造方法 |
JP5830973B2 (ja) * | 2010-12-01 | 2015-12-09 | 三菱化学株式会社 | GaN自立基板および半導体発光デバイスの製造方法 |
-
2012
- 2012-07-31 JP JP2012170197A patent/JP5929599B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014028723A (ja) | 2014-02-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4333820B1 (ja) | 化合物半導体基板 | |
JP6626583B2 (ja) | 半導体ウエハ及び半導体ウエハの研磨方法 | |
JP5896002B2 (ja) | Iii族窒化物半導体基板およびその洗浄方法 | |
JP5929599B2 (ja) | 第13族窒化物基板及びその製造方法 | |
US20060029832A1 (en) | High surface quality GaN wafer and method of fabricating same | |
JP6144347B2 (ja) | Iii族窒化物ウエハおよびその生産方法 | |
KR20120013270A (ko) | 질화물 결정 기판, 에피택셜층 부착 질화물 결정 기판 및 반도체 장치 | |
US9431489B2 (en) | β-Ga2O3-based single crystal substrate | |
JP6298057B2 (ja) | ベース基板の前処理方法、および該前処理を行ったベース基板を用いた積層体の製造方法 | |
JP2006179898A (ja) | 窒化ガリウム半導体及びその製造方法 | |
JP4486435B2 (ja) | Iii族窒化物結晶基板の製造方法、それに用いるエッチング液 | |
JP5575372B2 (ja) | 窒化ガリウム基板 | |
JP5287187B2 (ja) | Iii族窒化物半導体基板の製造方法、及びiii族窒化物半導体基板 | |
JP6013410B2 (ja) | Ga2O3系単結晶基板 | |
JP2014028720A (ja) | 第13族窒化物基板 | |
JP7166323B2 (ja) | リン化インジウム基板、リン化インジウム基板の製造方法及び半導体エピタキシャルウエハ | |
JP6547552B2 (ja) | C面GaNウエハおよびC面GaNウエハ製造方法 | |
JP2022098504A (ja) | リン化インジウム基板、リン化インジウム基板の製造方法及び半導体エピタキシャルウエハ | |
JP4921761B2 (ja) | 酸化亜鉛単結晶基板の製造方法 | |
JP2013211315A (ja) | 窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板 | |
JP5004885B2 (ja) | 半導体構造の加工方法 | |
JP5887908B2 (ja) | 周期表第13族金属窒化物半導体基板の製造方法 | |
JP2016074553A (ja) | Iii族窒化物半導体単結晶基板の製造方法 | |
JP2014152076A (ja) | 第13族窒化物結晶基板 | |
JP2016069205A (ja) | 窒化物半導体基板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20151027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20151104 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160405 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160418 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5929599 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |