JP5929094B2 - センサー装置および構造物 - Google Patents
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Description
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
本発明のセンサー装置は、金属材料で構成された電気抵抗体と、
前記電気抵抗体の抵抗値を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記電気抵抗体は、表面の少なくとも一部に引っ張り応力を生じさせた状態で保持されたことを特徴とする。
このように構成されたセンサー装置によれば、電気抵抗体の表面の少なくとも一部に引っ張り応力を生じさせているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体を腐食させることができる。
このようなことから、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
これにより、電気抵抗体の表面の引っ張り応力を生じさせていない部分(カソード領域)の面積を大きくし、電気抵抗体の表面の引っ張り応力を生じさせている部分(アノード領域)の腐食を促進させることができる。
前記長尺部は、長手方向での少なくとも一部に前記引っ張り応力を生じさせた状態で保持されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で電気抵抗体の一部に引っ張り応力を生じさせるとともに、腐食により電気抵抗体の途中を切断しやすくすることができる。
これにより、比較的簡単な構成で、電気抵抗体の一部に引っ張り応力を生じさせることができる。
本発明のセンサー装置では、前記長尺部の途中を屈曲または湾曲させた状態で前記電気抵抗体を保持する保持部材を有することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、電気抵抗体の一部に引っ張り応力を生じさせることができる。
これにより、比較的簡単な構成で、電気抵抗体の一部に引っ張り応力を生じさせることができる。
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体の前記引っ張り応力を生じさせた部分の表面との間に隙間を形成して設けられた隙間形成体を有することが好ましい。
これにより、塩化物イオンによる電気抵抗体の腐食を促進させることができる。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体の表面に不動態膜が形成される。
このようなことから、電気抵抗体の抵抗値に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことを高精度に検知することができる。
これらの金属は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、電気抵抗体をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
これにより、測定対象物のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置では、アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有することが好ましい。
これにより、無線により測定対象物の外部へ測定結果を送信することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す電気抵抗体を説明するための斜視図、図4は、図2に示す電気抵抗体の製造方法を説明するための図である。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されてなる。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋102に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
また、センサー装置1は、図2に示すように、電気抵抗体3および電気抵抗体4に電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
(本体)
本体2は、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図3および図4に示すように、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3および図4では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51が実装されている。
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
封止部の構成材料(封止樹脂)としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
電気抵抗体3および電気抵抗体4は、図3に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上に設けられている。特に、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、同一平面上に設けられている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
この電気抵抗低3、4は、それぞれ、酸または塩化物イオンにより腐食するものである。そのため、電気抵抗体3、4は、酸または塩化物イオンの環境下で、腐食により切断される。
特に、電気抵抗体3は、その表面の一部に引っ張り応力を生じさせた状態で保持されている。これにより、電気抵抗体3の腐蝕速度を高めることができる。これは、電気抵抗体3の表面の引っ張り応力が生じた部分は原子間または分子間の結合が弱くなるため、電気抵抗体3の表面に不導体膜が形成されていても、その不導体膜が酸または塩化物イオンにより破壊されやすくなるからである。
より具体的に説明すると、電気抵抗体3は、長尺状をなす長尺部34と、長尺部34を支持する支持部35とを有し、長尺部34の長手方向での少なくとも一部に引っ張り応力を生じさせている。これにより、比較的簡単な構成で電気抵抗体3の一部に引っ張り応力を生じさせるとともに、腐蝕により電気抵抗体3の途中を切断しやすくすることができる。
この2つの柱部35a、35bは、互いに接近する方向に弾性変形した状態で、長尺部34に固着している。すなわち、支持部35は、長尺部34の長手方向に引っ張り応力を生じさせた状態で弾性変形しつつ電気抵抗体3を支持している。これにより、比較的簡単な構成で、電気抵抗体3の一部に引っ張り応力を生じさせることができる。
このような長尺部34は、図4(a)に示すように、接合前の導体34a、34bを互いに離間した状態で柱体35a、35bに固着させ、その後、柱体35a、35bを弾性変形させつつ導体34a、34bを互いに接近する方向に移動させた状態で、例えば溶接により導体34aと導体34bとを接合する。これにより、図4(b)に示すように、柱体35a、35bを弾性変形させつつ導体34a、34bに引っ張り応力を生じさせた状態で、導体34aと導体34bとを接合する接合部34cを形成することができる。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体3の表面に不動態膜が形成される。
このような不動態膜(第1の不動態膜)を形成する金属材料(第1の金属材料)としては、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
中でも、電気抵抗体3を構成する金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)、ニッケルまたはこれらを含む合金であるのが好ましい。これらの材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、電気抵抗体3の構成材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、電気抵抗体3が炭素鋼で構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
一方、電気抵抗体4は、引っ張り応力を生じさせない状態で、本体2に固定されている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4が同一環境に設置されていても、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の開始タイミングを、電気抵抗体3の塩化物イオンによる腐食の開始タイミングよりも大きく遅らせることができる。
また、電気抵抗体4の構成材料は、前述した電気抵抗体3の構成材料と同じであっても異なっていてもよい。
このようなことから、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
また、電気抵抗体4は、金属材料で構成された緻密質体で構成されていてもよいし、金属材料で構成された多孔質体で構成されていてもよい。
このようなことから、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の速度を遅くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の影響を避け、均一腐食である中性化の測定を長期にわたり行うことができる。
このようなことから、電気抵抗体3の腐食の速度よりも遅いものの、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の速度を速くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を2段階で中期にわたり行うことができる。
また、電気抵抗体3の長尺部34の直径、および、電気抵抗体4の直径は、それぞれ、特に限定されないが、腐食による電気抵抗の変化が大きく、かつ、コンクリート強度に影響を及ぼさないためには、10nm以上5mm以下であるのが好ましい。
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。
この機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する。これにより、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、測定回路514とを有する。
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定対象部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定対象部位の状態をより正確に測定したり、測定対象部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、電気抵抗体3、4の抵抗値に関する情報(以下、単に「抵抗値情報」ともいう)と、測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、電気抵抗体3および電気抵抗体4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。
コンクリート101のpHが9程度にまで下がる前に、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、その塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度(約1.2kg/m3)に達するまでの間、電気抵抗体4に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下においても、腐食せず、電気抵抗体4の抵抗値がほとんど変化せず低い状態に維持される。
そして、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達すると、電気抵抗体4も腐食し、電気抵抗体4の抵抗値が大きくなる。
また、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入していなくても、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、電気抵抗体3、4がともに腐食し、電気抵抗体3、4の抵抗値がともに大きくなる。
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化をモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1によれば、電気抵抗体3の表面の一部に引っ張り応力が生じているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体3を腐食させることができる。
また、本実施形態では、引っ張り応力を生じさせていない電気抵抗体4が電気抵抗体3とは別体として設けられているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す部分斜視図、図6は、図5に示す電気抵抗体を説明するための図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のセンサー装置1Aは、図5に示すように、本体2Aと、その本体2A上に設けられた電気抵抗体3Aおよび電気抵抗体4Aとを有する。
絶縁体36aは、四角柱状をなしている。すなわち、絶縁体36aの横断面は、四角形をなしている。これにより、絶縁体36aに巻回された導体36dは、絶縁体36aの角部に対応する部分に生じる引っ張り応力を大きくすることができる。
この導体36b、36cの構成材料としては、導電性を有するもの(電気抵抗体)であれば、特に限定されないが、導体36dの構成材料と同様のものを用いるのが好ましい。
導体36dは、長尺状をなし、絶縁体36aの外周に巻回されており、一端部が導体36bに半田等により固定され、他端部が導体36cに半田等により固定されている。これにより、導体36dにその長手方向に沿って引っ張り応力を生じさせることができる。
一方、電気抵抗体4Aは、引っ張り応力を生じさせない状態で、本体2A上に固定されている。
また、電気抵抗体4Aは、シート状または板状をなしている。電気的抵抗体4Aは、導体(長尺部)36dと同じ構造と同じ材料で、応力の無い導体でもよい。
以上説明したような第2実施形態に係るセンサー装置1Aによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係るセンサー装置を示す部分斜視図、図8は、図7に示す電気抵抗体を説明するための図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のセンサー装置1Bは、図7に示すように、本体2Bと、その本体2B上に設けられた電気抵抗体3Bおよび電気抵抗体4とを有する。
保持部材37は、本体2Bに固定されている。また、図8に示すように、保持部材37には、電気抵抗体3Bが挿通される2つの貫通孔38a、38bが形成されている。これにより、電気抵抗体3Bを屈曲または湾曲させた状態で保持することができる。
このような保持部材37の構成材料としては、前述したように電気抵抗体3Bを保持するとともに測定対象物内で比較的安定して存在し得る絶縁性材料であれば、特に限定されないが、例えば、SiO2、Si3N4等の絶縁性セラミックス材料、PSF(ポリサルフォン)、PAI(プリアミドイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の樹脂材料等を用いることができる。
以上説明したような第3実施形態に係るセンサー装置1Bによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図10は、図9に示す電気抵抗体を説明するための平面図、図11は、図9に示す電気抵抗体を説明するための側面図である。
第4実施形態のセンサー装置は、電気抵抗体の構成および数が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。また、第4実施形態のセンサー装置は、電気抵抗体を1つ追加した以外は、第3実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
電気抵抗体7は、前述した第3実施形態の電気抵抗体3Bと同様、長尺状をなし、その途中が屈曲または湾曲して弾性変形した状態で、保持部材77に保持されている。
その上、電気抵抗体7の屈曲または湾曲した部分には、隙間形成体8が取り付けられている。
絶縁体81、82は、それぞれ、板状をなし、電気抵抗体7の屈曲または湾曲した部分を介して互いに対向して配置されている。
そして、この絶縁体81、82は、電気抵抗体7に対して固定部材83、84により固定されている。
このような隙間形成体8は、電気抵抗体7の表面の一部との間に隙間を形成して配置されている。この隙間は、電気抵抗体7の表面に対して局所的に形成されている。
このような隙間を形成することより、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体7を隙間腐食により腐食させ、塩化物イオンによる電気抵抗体7の腐食を促進させることができる。しかも、かかる隙間は、電気抵抗体7の屈曲または湾曲した部分(すなわち引っ張り応力を生じさせた部分)と隙間形成体8との間に形成されているので、電気抵抗体3Bに比し、電気抵抗体7の腐蝕を生じさせ易くすることとができる。
このような絶縁体81、82および固定部材83、84の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、SiO2、Si3N4等の絶縁性セラミックス材料、PSF(ポリサルフォン)、PAI(プリアミドイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の樹脂材料等が挙げられ、中でも、強アルカリ液に耐え得るものが好ましい。このように隙間形成体8が絶縁性材料で構成されていることにより、隙間形成体8が電気抵抗体7の一部として機能してしまうのを防止することができる。そのため、電気抵抗体7および隙間形成体8の設計が容易となる。
以上説明したような第4実施形態に係るセンサー装置1Cによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係るセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図13(a)は、図12に示す電気抵抗体を説明するための側面図、図13(b)は、図12に示す電気抵抗体を説明するための平面図である。
第5実施形態のセンサー装置は、電気抵抗体を1つ追加した以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
電気抵抗体7Dは、長尺部74の形状が異なるとともに隙間形成体8Dが取り付けられている以外は、前述した第1実施形態の電気抵抗体3と同様に構成されている。
電気抵抗体7Dは、図13(a)、(b)に示すように、長尺状をなす長尺部74と、長尺部74を支持する支持部75とを有する。
この2つの柱部75a、75bは、互いに接近する方向に弾性変形した状態で、長尺部74に固着している。これにより、長尺部74に引っ張り応力を生じさせることができる。
このような長尺部74には、隙間形成体8Dが取り付けられている。
長尺部74および隙間形成体8Dは、それぞれ、板状またはシート状をなし、互いに重ねて配置されている。これにより、電気抵抗体7Dの腐食を生じさせ得る隙間を長尺部74と隙間形成体8Dとの間に簡単かつ確実に形成することができる。これにより、塩化物イオンによる電気抵抗体7Dの腐食を促進させることができる。
固定部材86は、例えばボルトおよびナットで構成されている。
具体的には、長尺部74および隙間形成体8Dは、互いに重ねられた状態にて、双方を貫通する貫通孔が形成されており、その貫通孔に一方側からボルトを挿通し、他方側からボルトにナットを螺合させることにより、隙間形成体8Dが電気抵抗体7Dに対して固定部材86により固定されている。
この隙間における電気抵抗体7Dと隙間形成体8Dとの間の距離は、固定部材86のボルトおよびナットの締付トルクに応じて調整することができる。なお、かかる距離は、電気抵抗体3Dの腐食を生じ得る大きさに設定すればよい。
固定部材86の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、絶縁性材料を用いるのが好ましい。
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では電気抵抗体がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、電気抵抗体は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および測定回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを電気抵抗体3および電気抵抗体4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
Claims (16)
- 金属材料で構成され、前記金属材料が引っ張られることで表面に引っ張り応力を生じさせた状態で保持された第1の電気抵抗体と、
金属材料で構成され、表面に引っ張り応力を生じさせない状態で保持された第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とするセンサー装置。 - 前記第1の電気抵抗体は、一部に局所的に前記引っ張り応力を生じさせた状態で保持されている請求項1に記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体は、長尺状をなす長尺部を有し、
前記長尺部は、長手方向での少なくとも一部に前記引っ張り応力を生じさせた状態で保持されている請求項2に記載のセンサー装置。 - 前記長尺部の長手方向に前記引っ張り応力を生じさせた状態で弾性変形して前記第1の電気抵抗体を支持する支持部を有する請求項3に記載のセンサー装置。
- 前記長尺部の途中を屈曲または湾曲させた状態で前記第1の電気抵抗体を保持する保持部材を有する請求項3に記載のセンサー装置。
- 前記長尺部が巻回される外周面を備える絶縁体を有する請求項3に記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体の前記引っ張り応力を生じさせた部分の表面との間に隙間を形成して設けられた隙間形成体を有する請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体を構成する前記金属材料は、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料である請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第2の電気抵抗体を構成する前記金属材料は、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料である請求項1ないし8のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体を構成する前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金である請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体と前記第2の電気抵抗体とは、同種の材料で構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体と前記第2の電気抵抗体とは、異なる材料で構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記機能素子は、前記第1の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1ないし12のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記機能素子は、前記第1の電気抵抗体と前記第2の電気抵抗体との抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度を測定可能であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のセンサー装置。
- アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有する請求項1ないし14のいずれかに記載のセンサー装置。 - 請求項1ないし15に記載のセンサー装置を備える構造物。
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