JP6007500B2 - センサー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、センサー装置に関するものである。
センサー装置としては、例えば、コンクリート中の鉄筋の腐食状態を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
そこで、例えば、特許文献1に係るセンサー装置では、コンクリート構造物中の鉄筋と同種材料からなる細線をコンクリート構造物中に埋設し、腐食による細線の断線の有無を検知することにより、コンクリート中の鉄筋の腐食状況を予測する。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
特開平11−153568号公報
本発明の目的は、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができるセンサー装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサー装置は、第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差により生じた電荷を蓄積する蓄電部と、
前記蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を測定する測定部と、
前記蓄電部を前記第1の電極および前記第2の電極に電気的に接続する第1の状態と、前記蓄電部を前記測定部に電気的に接続する第2の状態とを切り換える切換部とを備え、
前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、それぞれ、測定対象部位の環境変化に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であり、
前記蓄電部は、不動態膜の有無による前記第1の電極または前記第2の電極の電位の変化に伴う前記第1の電極と前記第2の電極との電位差により生じた電荷を蓄積することを特徴とする。
このように構成されたセンサー装置によれば、第1の電極と第2の電極との電位差を測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度の変化に伴って変化させることができる。したがって、測定部で測定された電位差に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
特に、蓄電部を第1の電極と第2の電極との電位差に飽和させた状態で、蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部で測定することにより、第1の電極と第2の電極との電位差により生じる電荷が微小であっても、かかる電位差を測定することができる。また、第1の電極と第2の電極との電位差が外乱等により変動しても、測定部で測定される電位差を安定化することができる。
このようなことから、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを高精度に検知することができる。
特に、第1の金属材料および第2の金属材料が、測定対象部位の環境変化に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であることにより、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを高精度に検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記測定部は、前記切換部が前記第2の状態であるとき、前記蓄電部に蓄積された電荷の放出を促進させる抵抗器を有することが好ましい。
これにより、測定部で電位差を測定した後に、蓄電部を速やかに初期状態(蓄積された電荷の量がゼロまたはそれに近い状態)とすることができる。そのため、次回の蓄電部での蓄電のために測定部での測定後に第2の状態から第1の状態へ切り換えるまでの時間長さを短くしつつ、次回の測定部での測定も前回の測定部での測定と同様に高精度に行うことができる。
本発明のセンサー装置では、前記測定部は、前記蓄電部と前記抵抗器との間に設けられた開閉可能なスイッチを有することが好ましい。
これにより、測定部で電位差を測定する際に、蓄電部に蓄積された電荷が抵抗器で不本意に消費されるのを防止することができる。
本発明のセンサー装置では、前記測定部は、前記切換部が前記第2の状態であるとき、前記蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を増幅するオペアンプを有することが好ましい。
これにより、蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部で測定することができる。
本発明のセンサー装置では、前記切換部の切り換えを制御する機能を有する制御部を備えることが好ましい。
これにより、切換部の切り換えを所望のタイミングで行うことができる。
本発明のセンサー装置では、前記測定部の測定結果に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを判断する判断部を備えることが好ましい。
これにより、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料は、鉄または鉄系合金であることが好ましい。
鉄または鉄系合金(鉄系材料)は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることが可能であり、第1の金属材料を鉄筋と同一材料とすることにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料のいずれか一方は、隙間腐食または孔食を生じるように構成されていることが好ましい。
本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。 図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図である。 図1に示すセンサー装置の平面図である。 図3中のA−A線断面図である。 図2に示す蓄電部、測定部および切換部(第1の状態)を説明するための回路図である。 図2に示す蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図である。 図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。 (a)は、図5および図6に示す蓄電部に蓄積された電荷量の変遷を示す図、(b)は、図5および図6に示す切換部の切り換えタイミングを示す図である。 本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図である。 本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図である。 (a)は、図10に示す蓄電部に蓄積された電荷量の変遷を示す図、(b)は、図10に示す切換部の切り換えタイミングを示す図、(c)は、図10に示す測定部のスイッチの切り換えタイミングを示す図である。
以下、本発明のセンサー装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図1に示すセンサー装置の平面図、図4は、図3中のA−A線断面図、図5は、図2に示す蓄電部、測定部および切換部(第1の状態)を説明するための回路図、図6は、図2に示す蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図である。
なお、以下では、本発明のセンサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いる場合を例に説明する。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の状態を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の硬化前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2の表面に露出した第1の電極3および第2の電極4とを有する。本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、電極面がコンクリート構造物100の外表面に平行または略平行となるように設置されている。そして、第1の電極3および第2の電極4は、pHまたは塩化物イオン濃度の変化に伴って、これらの間の電位差が変化するように構成されている。なお、第1の電極3および第2の電極4については、後に詳述する。
また、センサー装置1は、図2に示すように、蓄電部51と、測定部52と、切換部53と、通信部54と、制御部55と、記憶部56と、時刻情報生成部57と、電源部58とを有し、これら(電気回路)が本体2内に収納されている。
以下、センサー装置1を構成する各部を順次説明する。
(本体)
本体2は、第1の電極3および第2の電極4等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図3および図4に示すように、第1の電極3および第2の電極4を支持する基板21を有する。なお、図示しないが、基板21は、蓄電部51、測定部52、切換部53、通信部54、制御部55、記憶部56、時刻情報生成部57および電源部58も支持する。
この基板21は、絶縁性を有する。基板21としては、特に限定されず、例えば、アルミナ基板、樹脂基板等を用いることができる。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている(図4参照)。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、第1の電極3および第2の電極4が実装されている。
図3に示すように、この基板21上には、後述する切換部53に電気的に接続された導体部61、62(電極パッド)が設けられている。
この導体部61は、第1の電極3に電気的に接続されている。また、導体部62は、第2の電極4に電気的に接続されている。
また、本体2は、蓄電部51、測定部52、切換部53、通信部54、制御部55、記憶部56、時刻情報生成部57および電源部58を収納する機能を有する。
特に、本体2は、蓄電部51、測定部52、切換部53、通信部54、制御部55、記憶部56、時刻情報生成部57および電源部58を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図3および図4に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、蓄電部51、測定部52、切換部53、通信部54、制御部55、記憶部56、時刻情報生成部57および電源部58を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、蓄電部51、測定部52、切換部53、通信部54、制御部55、記憶部56、時刻情報生成部57および電源部58の劣化を防止することができる。
ここで、封止部24は、開口部241を有し、この開口部241から第1の電極3および第2の電極4を露出させつつ、第1の電極3および第2の電極4以外の各部を覆うように設けられている(図3および図4参照)。これにより、封止部24が第1の電極3および第2の電極4以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1が測定を行うことができる。なお、開口部241は、第1の電極3および第2の電極4の少なくとも一部を露出するように形成されていればよい。
封止部24の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
(第1の電極、第2の電極)
第1の電極3および第2の電極4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上(より具体的には基板21上)に設けられている。特に、第1の電極3および第2の電極4は、同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
また、第1の電極3および第2の電極4は、互いに電位の影響を受けない程度(例えば数mm)に離間している。
本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、薄膜状をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4の平面視形状は、それぞれ、四角形をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4は、平面視にて、互いの形状および面積が等しくなっている。
このような第1の電極3は、不動態膜を形成する第1の金属材料(以下、単に「第1の金属材料」ともいう)で構成されている。このように構成された第1の電極3は、pHの変化によって不動態膜が形成されたり破壊されたりする。このような第1の電極3に不動態膜が形成された状態では不活性(貴)であり、自然電位が高くなる(貴化する)。一方、第1の電極3は、不動態膜が破壊された状態(消失された状態)では活性(卑)である。そのため、第1の電極3の電位は、pH変化に伴う不動態膜の有無により急峻に変化する。
第1の金属材料としては、不動態膜が形成される限り、特に限定されないが、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
Feは、pHが9よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、FeAl(Al0.8%)系炭素鋼は、pHが4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
中でも、第1の金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(炭素鋼、合金鋼)であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一材料とすることが可能であり、第1の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることにより、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、第1の電極3がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
一方、第2の電極4は、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料(以下、単に「第2の金属材料」とも言う)で構成されている。このように構成された第2の電極4は、前述したように不動態膜の有無により第1の電極3の電位が変化する際に、不導体膜の形成や破壊(消失)が無く、急激な電位の変化がない。そのため、前述したように不動態膜の有無により第1の電極3の電位が変化する際に、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境(本実施形態ではコンクリート101の鉄筋102付近)のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
第2の金属材料としては、第1の金属材料とは異なる金属材料であり、電極として機能し得るものであれば、特に限定されず、各種金属材料を用いることができる。
また、第2の金属材料は、前述した第1の金属材料と異なる金属材料であれば、不動態膜を形成するものであってもよいし、不動態膜を形成しないものであってもよい。
第2の金属材料が不動態膜を形成するものである場合、第2の金属材料として、上述の第1の金属材料として例示した金属を挙げることができる。
本発明の好ましい態様においては、第1の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第1のpH(第1の不動態化pH)とし、第2の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第2のpH(第2の不動態化pH)としたとき、第1のpHおよび第2のpHが互いに異なる。すなわち、第1の金属材料は、第1のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成し、第2の金属材料は、第1のpHとは異なる第2のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成する。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境のpHが第1のpH以下か否かおよび第2のpH以下か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
この場合、第1のpHが8以上10以下であり、かつ、第2のpHが7以下であるのが好ましい。これにより、第1のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が中性状態に近付いていることを事前に知ることができる。このようなことから、本実施形態にように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、鉄筋102の腐食防止の対策を事前に行うことができる。また、第2のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることもできる。
また、この場合、第2の金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第2の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることが可能であり、第2の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることにより、鉄筋102の腐食状態を効果的に検知することができる。
一方、第2の金属材料が不動態膜を形成しないものである場合、第2の金属材料として、Pt、Au等を挙げることができる。第2の金属材料が不動態膜を形成しないものである場合、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が強アルカリ状態から強酸性状態へ変化するとき、その変化を1段階で高精度に検知することができる。
この場合、第1の金属材料は、3以上5以下のpH、または、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成するものであるのが好ましい。3以上5以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることができる。また、8以上10以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態に近付いていることを事前に知ることができる。
また、第2の金属材料が不動態膜を形成するものである場合、第1の金属材料の不動態膜破壊が始まる塩化物イオン濃度下限値を第1の塩化物イオン濃度とし、第2の金属材料の不動態膜破壊が始まる塩化物イオン濃度下限値を第2の塩化物イオン濃度としたとき、第1の塩化物イオン濃度および第2の塩化物イオン濃度が互いに異なる。すなわち、第1の金属材料は、第1の塩化物イオン濃度よりも大きくなったときに不動態膜破壊が始まり、第2の金属材料は、第1の塩化物イオン濃度とは異なる第2の塩化物イオン濃度よりも大きくなったときに不動態膜の破壊が始まる。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境の塩化物イオン濃度が第1の塩化物イオン濃度以下か否かおよび第2の塩化物イオン濃度以下か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
この場合、第1の塩化物イオン濃度が1.0kg/m以上1.5kg/m以下(好ましくは1.2kg/m程度)であり、かつ、第2の塩化物イオン濃度が第1の塩化物イオン濃度より大きいことが好ましい。これにより、第1の塩化物イオン濃度以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境に塩化物イオンが侵入してきているかどうかを知ることができる。例えば、第1の金属材料に、第1の塩化物イオン濃度が約1.2kg/mの炭素鋼(SD345)を用い、第2の金属材料に第2の塩化物イオン濃度が約20kg/mであるSUS304を用いる。このように構成された第2の電極4は、塩化物イオン濃度が1.2kg/mを超えて不動態膜破壊が始まることにより第1の電極3の電位が変化する際に、不動態膜の破壊(消失)が無く、急激な電位の変化がない。そのため、不動態膜の有無により第1の電極3の電位が変化する際に、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境(本実施形態ではコンクリート101の鉄筋102付近)の塩化物イオン濃度が設定値1.2kg/mを超えているか否かを正確に検知することができる。第2の金属材料に耐性に優れたSUS316やSUS329J4Lを用いることもできる。
このようなことから、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、外部からコンクリート101内に侵入するCO(中性化)や塩素イオンをコンクリート構造物100中の鉄筋102に届く前に検知できる。従って、鉄筋102が腐食する前に腐食防止の対策を行うことができる。
このような第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
[蓄電部]
蓄電部51は、前述した第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じた電荷を蓄積する機能を有する。また、蓄電部51は、蓄電部51に蓄積した電荷を放出する機能を有する。
この蓄電部51は、後述する第1の状態の切換部53を介して、第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続される。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差に応じた電荷を蓄電部51に蓄積することができる。
また、蓄電部51は、後述する第2の状態の切換部53を介して、測定部52(測定部)に電気的に接続される。これにより、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することができる。
このような蓄電部51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じた電荷のような微小な電荷を蓄積・放出(充放電)できるものであれば、特に限定されず、各種コンデンサ(キャパシタ)を用いることができる。
本実施形態では、蓄電部51は、図5に示すように、コンデンサ511で構成されている。
また、蓄電部51に用いるコンデンサは、第1の電極3および第2の電極4の電極面の面積、測定部52での測定期間同士の間の時間間隔等に応じて、容量が設定される。例えば、第1の電極3および第2の電極4の電極面の面積が大きくなるほど、蓄電部51に用いるコンデンサの容量を大きくすることができる。また、測定部52での測定期間同士の間の時間間隔が長くなるほど、蓄電部51に用いるコンデンサの容量を大きくすることができる。
より具体的に説明すると、蓄電部51に用いるコンデンサの容量の設定に際しては、測定部52での測定期間同士の間の時間間隔(すなわち、後述する第1の状態の時間長さである第1の期間)をT1とし、蓄電部51が第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続されてから第1の電極3と第2の電極4との電位差に飽和するまでの時間長さをT2としたときに、T2/T1が、1以下であるのが好ましく、1/5以上4/5以下であるのがより好ましく、2/5以上3/5以下であるのがさらに好ましい。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差が微小であっても、蓄電部51に蓄積された電荷に基づいて、かかる電位差を測定部52で高精度に測定することができる。
これに対し、T2/T1が小さすぎると、スイッチ等の回路からのリーク電流の影響により、誤差が増大して、測定精度が低下する。一方、T2/T1が大きすぎると、蓄電部51を第1の電極3と第2の電極4との電位差に飽和させるのが難しくなる。
ここで、T1とT2との関係について具体例を挙げて説明すると、例えば、蓄電部51に用いるコンデンサの容量Cを5[μF]とし、測定時間間隔(第1の期間)T1を1日(86400sec)とし、第1の状態で第1の電極3および第2の電極4から蓄電部51へ流れる電流Iを0.1[nA]とし、第1の電極3と第2の電極4との間の電位差(後述するように第1の電極3のみが卑下した場合の電位差)Vを0.35[V]とし、切換部53に用いるスイッチのリーク電流Iを10[pA]とした場合、T2は、C×V/I=17500[sec]となる。
よって、かかる場合、T2/T1は、0.20である。
また、かかる場合、期間T1において、切換部53に用いるスイッチのリーク電流Iに起因して発生する誤差となる電圧Vleakは、Vleak=0.1728[V]となり、測定対象となる電位差Vの約1/2に抑えられる。よって、測定部52は、蓄電部51の電位差がV=0.35[V]に飽和しているか否かを判断することができる。
[測定部]
測定部52(測定回路)は、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定する機能を有する。
この測定部52は、後述する第2の状態の切換部53を介して、蓄電部51に電気的に接続される。これにより、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することができる。
本実施形態では、測定部52は、図5に示すように、オペアンプ521と、抵抗器522とを有する。
オペアンプ521は、後述するように切換部53が第2の状態であるとき、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を増幅する。これにより、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することができる。
また、抵抗器522は、後述するように切換部53が第2の状態であるとき、蓄電部51に蓄積された電荷の放出を促進させる。ここで、蓄電部51の容量をCとし、抵抗器522の抵抗値をRとしたとき、蓄電部51に蓄積された電荷が時定数CRで放出される。これにより、測定部52で電位差を測定した後に、蓄電部51を速やかに初期状態(蓄積された電荷の量がゼロまたはそれに近い状態)とすることができる。そのため、次回の蓄電部51での蓄電のために測定部52での測定後に第2の状態から第1の状態へ切り換えるまでの時間長さを短くしつつ、次回の測定部52での測定も前回の測定部52での測定と同様に高精度に行うことができる。
なお、測定部52の回路構成は、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定し得るものであれば、図示のものに限定されず、例えば、他の回路が付加されていてもよい。
[切換部]
切換部53は、蓄電部51を第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続する第1の状態(以下、単に「第1の状態」という)と、蓄電部51を測定部52に電気的に接続する第2の状態(以下、単に「第2の状態」という)とを切り換える機能を有する。
図5に示すように、切換部53が第1の状態であるとき、第1の電極3と第2の電極4との電位差に応じた電荷を蓄電部51に蓄積することができる。
一方、図6に示すように、切換部53が第2の状態であるとき、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することができる。
特に、蓄電部51を第1の電極3と第2の電極4との電位差に飽和させた状態で、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じる電荷が微小(例えば電位差が0.35V程度)であっても、かかる電位差を測定することができる。また、第1の電極3と第2の電極4との電位差が外乱等により変動しても、測定部52で測定される電位差を安定化することができる。
本実施形態では、切換部53は、図5に示すように、スイッチ531、532を有する。
スイッチ531は、蓄電部51(より具体的にはコンデンサ511の一方の電極)を第1の電極3に電気的に接続する状態と測定部52(より具体的にはオペアンプ521の一方の入力端子)に電気的に接続する状態とを切り換え可能に構成されている。
スイッチ532は、蓄電部51(より具体的にはコンデンサ511の他方の電極)を第2の電極4に電気的に接続する状態と測定部52(より具体的にはオペアンプ521の他方の入力端子)に電気的に接続する状態とを切り換え可能に構成されている。
そして、これらのスイッチ531、532の切り換えは、後述する制御部55により制御される。
このようなスイッチ531、532としては、それぞれ、上述したような切り換えが可能であれば、特に限定されず、各種スイッチを用いることができるが、オフリーク電流が小さいもの、例えば、CMOS−FET等を用いたアナログスイッチを用いるのが好ましい。これにより、スイッチ531、532のリーク電流により蓄電部51に蓄積される電荷量を、第1の電極3と第2の電極4との間の電位差に起因して蓄電部51に蓄積される電荷量よりも小さくすることができる。
[通信部]
通信部54は、無線通信機能を有する。
より具体的に説明すると、通信部54は、前述した第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づく測定情報を無線送信する機能を有する。この無線送信された測定情報は、図示しないホストで受信される。
また、通信部54は、図示しないホストから無線送信された指示情報を受信する機能をさらに有する。この受信した指示情報に基づいて、後述する制御部55がセンサー装置1の各部を制御することができる。
また、通信部54は、図示しないホストから無線送信された時刻情報を受信する機能をさらに有していてもよい。この場合、この受信した時刻情報は、後述する時刻情報生成部57の時刻の補正に用いることができる。これにより、時刻情報生成部57およびホストの時刻を合わせることにより、センサー装置1およびホストの動作を簡単かつ確実に同期させることができる。そのため、センサー装置1を無駄なく動作させ、センサー装置1の消費電力を抑えることができる。
このような通信部54は、アンテナ541と、通信回路542とを有する。
アンテナ541は、特に限定されないが、例えば、金属材料、カーボン等で構成され、巻線、薄膜等の形態をなす。なお、アンテナ541は、送信および受信に共通して1つのアンテナで構成されていてもよいし、送信および受信のそれぞれに対応して2つのアンテナで構成されていてもよい。
通信回路542は、例えば、電磁波を送信するための送信回路と、送信する信号を変調する機能を有する変調回路と、電磁波を受信するための受信回路と、受信する信号を復調する機能を有する復調回路とを有する。なお、通信回路542は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路等を有していてもよい。なお、これらの回路は、同一基板上に設けられていてもよいし、互いに異なる基板上に設けられていてもよい。
また、通信部54は、コンクリート構造物100内での無線通信が可能であれば、特に限定されないが、LF帯域(30kHz〜300kHz)の搬送波を用いるものが好ましい。これにより、センサー装置1の消費電力を抑えつつ、センサー装置1とホストとの通信可能な距離を大きくすることができる。
[制御部]
制御部55は、センサー装置1を構成する各部を制御する機能を有する。
より具体的に説明すると、制御部55は、前述した切換部53の切り換えを制御する機能を有する。これにより、切換部53の切り換えを所望のタイミングで行うことができる。
また、制御部55は、測定部52の測定結果に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを判断する機能を有する。すなわち、制御部55は、測定部52の測定結果に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを判断する判断部を構成する。これにより、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
この制御部55は、特に限定されないが、例えば、MPUで構成されている。
そして、制御部55は、例えば、後述する記憶部56に記憶されたプログラムに基づいて、センサー装置1を構成する各部を制御する。
[記憶部]
記憶部56は、センサー装置1の各部を制御するためのプログラムが予め記憶されている。
なお、記憶部56には、複数のプログラムが予め記憶され、制御部55が、図示しないホストからの指示情報に基づいて、複数のプログラムのうちの1つのプログラムを選択して実行してもよい。例えば、記憶部56には、切換部53の第1の状態の時間長さが異なる複数のプログラムが記憶されていてもよい。この場合、例えば、平常時には、切換部53の第1の状態の時間長さが長い(例えば1日〜1週間程度)のプログラムを用い、所望時(非常時)には、切換部53の第1の状態の時間長さが短い(例えば数時間程度)のプログラムを用いる。
また、記憶部56は、測定部52の測定情報を記憶する機能を有していてもよい。この場合、この記憶された情報は、前述した通信部54で無線送信される。これにより、通信部54が測定部52による測定を複数回行うごとに通信動作を行って、複数回の測定情報を一括して無線送信することができる。
このような記憶部56は、特に限定されず、不揮発性メモリ、揮発性メモリのいずれも用いることができるが、電力を供給しなくても情報を記憶した状態を保持することができ、省電力化を図ることができるという観点から、不揮発性メモリを用いるのが好ましく、特に、省電力で情報の読み書きができるという観点から、フラッシュメモリを用いるのが好ましい。
[時刻情報生成部]
時刻情報生成部57は、時刻情報(クロック信号)を生成する機能を有する。これにより、時刻情報生成部57の時刻情報に基づいて、制御部55がセンサー装置1の各部を制御することができる。
この時刻情報生成部57は、特に限定されないが、例えば、水晶振動子を利用した発振回路で構成されている。これにより、時刻情報生成部57は比較的省電力で時刻情報を生成することができる。
[電源部]
電源部58は、センサー装置1を構成する各部に電力を供給するものである。
このような電源部58としては、特に限定されないが、例えば、ボタン型電池のような電池を用いることができ、特に、電池動作寿命が比較的長いという観点から、リチウム電池を用いるのが好ましい。
以下、以上説明したように構成されたセンサー装置1の作用について、第1の電極3がFeで構成され、第2の電極4がFeAlで構成されている場合を一例として説明する。
図7は、図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図、図8(a)は、図5および図6に示す蓄電部に蓄積された電荷量の変遷を示す図、図8(b)は、図5および図6に示す切換部の切り換えタイミングを示す図である。
まず、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、コンクリート構造物100の測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設置値以下か否かの判断が可能なことを説明する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、図7(a)に示すように、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。すなわち、図7(a)に示すように、第1の電極3は、その表面に不動態膜31が形成され、第2の電極4は、その表面に不動態膜41が形成される。これにより、第1の電極3および第2の電極4の自然電位がそれぞれ上がっている(貴化している)。その結果、コンクリートの打設直後における第1の電極3と第2の電極4との電位差は小さくなる。
その後、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化していく。
そして、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、図7(b)に示すように、第2の電極4は、その不動態膜41が安定であり、自然電位の変化が少ないものの、第1の電極3は、その不動態膜が崩壊し始め、自然電位が下がる(卑化する)。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差が大きくなる。
また、コンクリート101のpHが4程度まで下がると、図7(c)に示すように、第2の電極4も、その不動態膜が崩壊し始め、自然電位が下がる。このとき、第1の電極3および第2の電極4は、ともに自然電位が下がっているので、第1の電極3と第2の電極4との電位差は、再び小さくなる。なお、このとき、第1の電極3および第2の電極4の腐食がそれぞれ進む。
このように、pHが9程度となるタイミングと、pHが4程度となるタイミングとの2つのタイミングで、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、測定部位のpHが9程度となったこと、および、測定部位のpHが4程度となったことをそれぞれ高精度に検知することができる。
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化をモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
以上説明したように、第1の電極3および第2の電極4の設置環境(すなわちコンクリート101)のpH変化に伴う不動態膜の有無により第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
また、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の第1の電極3および第2の電極4が埋設された部位のpHが設定値以下か否かを検知することができる。また、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の品質を測定することができる。これにより、コンクリート構造物100のpH変化に伴う状態変化を検知することができる。
また、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の塩化物イオン濃度変化に伴う不動態膜破壊(消失)により第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを正確に検知することができる。
次に、図8に基づいて、切換部53の切り換えについて説明する。
上述したような第1の電極3と第2の電極4との電位差は、微小であり、かつ、第1の電極3および第2の電極4の電極面積が小さいため、測定部52で直接的に測定することが難しい。
そこで、本発明に係るセンサー装置1では、第1の期間(測定部52での測定期間同士の間の時間間隔)では、切換部53を第1の状態(図5参照)とすることにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じた電荷が蓄電部51に蓄積される。
この第1の期間内に、図8(a)に示すように、第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じた電荷が蓄電部51に蓄積されていき、蓄電部51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に飽和する。
ここで、第1の期間は、特に限定されないが、例えば、平常時には1日〜1週間程度に設定される。
そして、この第1の期間後の第2の期間(測定部52での測定期間)では、切換部53を第2の状態(図6参照)とすることにより、蓄電部51に蓄積された電荷が測定部52に供給される。
この第2の期間内に、測定部52では、蓄電部51の電位差に応じた信号がオペアンプ521から出力される。このとき、図8(a)に示すように、蓄電部51に蓄積された電荷が抵抗器522にも放出・消費される。
ここで、第2の期間は、蓄電部51に蓄積された電荷がオペアンプ521および抵抗器522に放出・消費されてゼロまたはそれに近い状態となる期間(上述した時定数CRによる定まる期間)に設定され、具体的には、数秒間〜数分程度に設定される。
以上のような第1の期間および第2の期間を交互に繰り返すことにより、長期にわたり、コンクリート構造物100の状態を測定することができる。
以上説明したような第1実施形態に係るセンサー装置1によれば、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度の変化に伴って変化させることができる。したがって、測定部52で測定された電位差に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
特に、蓄電部51を第1の電極3と第2の電極4との電位差に飽和させた状態で、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52で測定することにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差により生じる電荷が微小であっても、かかる電位差を測定することができる。また、第1の電極3と第2の電極4との電位差が外乱等により変動しても、測定部52で測定される電位差を安定化することができる。
このようなことから、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを高精度に検知することができる。そのため、コンクリート構造物100の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のセンサー装置は、測定部の構成が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態のセンサー装置1Aは、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定する機能を有する測定部52Aを有する。
この測定部52Aは、第2の状態の切換部53を介して、蓄電部51に電気的に接続される。これにより、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52Aで測定することができる。
本実施形態では、測定部52Aは、オペアンプ521で構成されている。ここで、測定部52Aは、前述した第1実施形態の測定部52において、抵抗器522を省略したものである。
以上説明したような第2実施形態のセンサー装置1Aによっても、コンクリート構造物100の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の蓄電部、測定部および切換部(第2の状態)を説明するための回路図、図11(a)は、図10に示す蓄電部に蓄積された電荷量の変遷を示す図、図11(b)は、図10に示す切換部の切り換えタイミングを示す図、図11(c)は、図10に示す測定部のスイッチの切り換えタイミングを示す図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態のセンサー装置は、測定部の構成が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態のセンサー装置1Bは、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定する機能を有する測定部52Bと、測定部52Bを制御する制御部55Bとを有する。
この測定部52Bは、第2の状態の切換部53を介して、蓄電部51に電気的に接続される。これにより、蓄電部51に蓄積された電荷に応じた電位差を測定部52Bで測定することができる。
本実施形態では、測定部52Bは、オペアンプ521と、抵抗器522と、スイッチ523とを有する。
スイッチ523は、蓄電部51と抵抗器522との間に設けられた開閉可能なスイッチである。これにより、測定部52Bで電位差を測定する際に、蓄電部51に蓄積された電荷が抵抗器522で不本意に消費されるのを防止することができる。
このようなスイッチ523の切り換えは、制御部55Bにより制御される。ここで、制御部55Bは、スイッチ523の切り換えを制御する機能を有する以外は、前述した第1実施形態の制御部55と同様である。
具体的に説明すると、センサー装置1Bでは、第1の期間後の第2の期間(測定部52Bでの測定期間)では、切換部53を第2の状態とすることにより、蓄電部51に蓄積された電荷が測定部52Bに供給される。
この第2の期間内に、測定部52Bでは、まず、スイッチ523をOFFとした状態(図10に示す状態)で、蓄電部51の電位差に応じた信号がオペアンプ521から出力される。このとき、スイッチ523はOFF状態であるため、蓄電部51に蓄積された電荷が抵抗器522に放出・消費されずにオペアンプ521に供給される。これにより、測定部52Bでの測定を高精度に行うことができる。
その後(オペアンプ521からの出力完了後)、スイッチ523をONとすることにより、蓄電部51に蓄積された電荷が抵抗器522に放出・消費される。これにより、測定部52Bで電位差を測定した後に、蓄電部51を速やかに初期状態(蓄積された電荷の量がゼロまたはそれに近い状態)とすることができる。
以上説明したような第3実施形態のセンサー装置1Bによっても、コンクリート構造物100の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明のセンサー装置を用いた測定方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第1の電極および第2の電極は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ薄膜状をなす場合を例に説明したが、これに限定されず、第1の電極および第2の電極の形状は、それぞれ、例えば、ブロック状、線状等をなしていてもよい。また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面に沿って設けているが、第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面から突出させてもよい。また、第1の電極および第2の電極の設置位置、大きさ(大小関係)等についても、前述したような測定が可能であれば、前述した実施形態に限定されず、任意である。
また、前述した実施形態では、第1の電極および第2の電極が互いに異なる金属材料で構成されている場合を例に説明したが、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度の変化に応じて第1の電極と第2の電極との電位差が生じれば、第1の電極および第2の電極が互いに同一の金属材料で構成されていてもよい。例えば、第1の電極および第2の電極が互いに同一の金属材料で構成されていても、第1の電極および第2の電極のうちの一方の電極が隙間腐食または孔食を生じるように構成されていれば、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度の変化に応じて第1の電極と第2の電極との電位差を生じさせることができる。
また、前述した実施形態では第1の電極と第2の電極との電位差に関する情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
1‥‥センサー装置 1A‥‥センサー装置 1B‥‥センサー装置 2‥‥本体 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 21‥‥基板 23‥‥絶縁層 24‥‥封止部 31‥‥不動態膜 41‥‥不動態膜 51‥‥蓄電部 52‥‥測定部 52A‥‥測定部 52B‥‥測定部 53‥‥切換部 54‥‥通信部 55‥‥制御部 55B‥‥制御部 56‥‥記憶部 57‥‥時刻情報生成部 58‥‥電源部 61‥‥導体部 62‥‥導体部 100‥‥コンクリート構造物 101‥‥コンクリート 102‥‥鉄筋 241‥‥開口部 511‥‥コンデンサ 521‥‥オペアンプ 522‥‥抵抗器 523‥‥スイッチ 531‥‥スイッチ 532‥‥スイッチ 541‥‥アンテナ 542‥‥通信回路

Claims (8)

  1. 第1の金属材料で構成された第1の電極と、
    前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との電位差により生じた電荷を蓄積する蓄電部と、
    前記蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を測定する測定部と、
    前記蓄電部を前記第1の電極および前記第2の電極に電気的に接続する第1の状態と、前記蓄電部を前記測定部に電気的に接続する第2の状態とを切り換える切換部とを備え、
    前記第1の金属材料および前記第2の金属材料は、それぞれ、測定対象部位の環境変化に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であり、
    前記蓄電部は、不動態膜の有無による前記第1の電極または前記第2の電極の電位の変化に伴う前記第1の電極と前記第2の電極との電位差により生じた電荷を蓄積することを特徴とするセンサー装置。
  2. 前記測定部は、前記切換部が前記第2の状態であるとき、前記蓄電部に蓄積された電荷の放出を促進させる抵抗器を有する請求項1に記載のセンサー装置。
  3. 前記測定部は、前記蓄電部と前記抵抗器との間に設けられた開閉可能なスイッチを有する請求項2に記載のセンサー装置。
  4. 前記測定部は、前記切換部が前記第2の状態であるとき、前記蓄電部に蓄積された電荷に応じた電位差を増幅するオペアンプを有する請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
  5. 前記切換部の切り換えを制御する機能を有する制御部を備える請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。
  6. 前記測定部の測定結果に基づいて、測定対象部位のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを判断する判断部を備える請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサー装置。
  7. 前記第1の金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
  8. 前記第1の金属材料および前記第2の金属材料のいずれか一方は、隙間腐食または孔食を生じるように構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
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