JP2013108831A - センサー装置およびセンサー装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、不測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる第1の金属材料で構成された第1の電極3と、第1の電極3に対して離間して設けられ、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極4と、基板21と、基板21の一方の面側に設けられ、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する集積回路50とを含む機能素子5とを備え、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、集積回路50上に設けられている。
【選択図】図4
Description
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
また、このようなセンサー装置は、小型化および低コスト化を図ることが望ましい。
本発明のセンサー装置は、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
基板と、前記基板の一方の面側に設けられ、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する集積回路とを含む機能素子とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記集積回路上に設けられていることを特徴とする。
また、第1の電極の設置環境の塩化物イオン濃度変化に伴う不動態膜消失により第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極および第2の電極の設置環境の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを正確に検知することもできる。
また、第1の電極および第2の電極が機能素子の集積回路上に設けられているので、センサー装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
これにより、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、第1の電極および第2の電極の設置環境のpHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
鉄または鉄系合金(鉄系材料)は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることが可能であり、第1の金属材料を鉄筋と同一材料とすることにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
これにより、第2の電極の不動態膜の有無、あるいは不動態膜破壊によっても、第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する。この結果、第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する2点で、pHまたは塩化物イオン濃度が設定値以下か否か、より正確に検知することができる。
鉄または鉄系合金(鉄系材料)は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第2の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることが可能であり、第2の金属材料を鉄筋と同一材料とすることにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境が強アルカリ状態から中性状態へ変化するとき、その変化を1段階で高精度に検知することができる。
本発明のセンサー装置では、第3の金属材料で構成された電気抵抗体を備え、
前記集積回路は、前記電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をさらに有することが好ましい。
これにより、電気抵抗体の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入を検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体は、前記集積回路上に設けられていることが好ましい。
これにより、電気抵抗体を設けたセンサー装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
基板と、前記基板の一方の面側に設けられ、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する集積回路とを含む機能素子とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記集積回路上に設けられているセンサー装置の製造方法であって、
ウエハーの一方の面側に、前記集積回路を形成する第1の工程と、
前記集積回路上に前記第1の電極および前記第2の電極を形成する第2の工程とを有し、
前記第1の工程では、前記集積回路の他に、前記集積回路に電気的に接続されたメッキ用配線を形成し、
前記第2の工程では、前記メッキ用配線を用いて電気メッキにより前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極を形成することを特徴とする。
このようなセンサー装置の製造方法によれば、測定対象部位のpH変化または塩化物イオン濃度変化を高精度に測定し得る小型なセンサー装置を安価に製造することができる。
前記第1の工程では、前記メッキ用配線を前記スクライブライン領域内に形成することが好ましい。
これにより、スクライブライン領域を有効利用してメッキ用配線を形成することができる。また、第3の工程により、ダイシングと同時にメッキ用配線を除去するとともに、個片化された機能素子を得ることができる。
前記メッキ用配線は、前記第1の導体部に電気的に接続された第1の配線と、前記第2の導体部に電気的に接続された第2の配線とを有し、
前記第2の工程では、前記第1の配線を用いて電気メッキにより前記第1の導体部上に前記第1の電極を形成するとともに、前記第2の配線を用いて電気メッキにより前記第2の導体部上に前記第2の電極を形成することが好ましい。
これにより、マスキングを行うことなく、第1の電極および第2の電極をそれぞれ選択的に形成することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示すセンサー装置の平面図、図4は、図3中のA−A線断面図、図5は、図3中のB−B線断面図、図6は、図2に示す測定回路の差動増幅回路を示す回路図、図7は、図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の硬化前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
(本体)
本体2は、第1の電極3、第2の電極4、電気抵抗体8および機能素子5等を支持する機能を有する。
また、本体2は、機能素子5およびアンテナ61等を収納する機能を有する。
特に、本体2は、機能素子5およびアンテナ61を液密的に収納するように構成されている。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
第1の電極3および第2の電極4は、図4に示すように、それぞれ、後述する機能素子5の集積回路50上に設けられている。これにより、センサー装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。
また、第1の電極3および第2の電極4は、同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、薄膜状をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4の平面視形状は、それぞれ、四角形をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4は、平面視にて、互いの形状および面積が等しくなっている。
Feは、pHが9よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、FeAl(Al0.8%)系炭素鋼は、pHが4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
また、第2の金属材料は、前述した第1の金属材料と異なる金属材料であれば、不動態膜を形成するものであってもよいし、不動態膜を形成しないものであってもよい。
第2の金属材料が不動態膜を形成するものである場合、第2の金属材料として、上述の第1の金属材料として例示した金属を挙げることができる。
この場合、第1の金属材料は、3以上5以下のpH、または、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成するものであるのが好ましい。3以上5以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることができる。また、8以上10以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態に近付いていることを事前に知ることができる。
このような第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
電気抵抗体8は、図4および図5に示すように、後述する機能素子5の集積回路50上に設けられている。これにより、電気抵抗体8を設けたセンサー装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。
また、電気抵抗体8は、前述した第1の電極3および第2の電極4と同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3、第2の電極4および電気抵抗体8の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
この電気抵抗体8は、酸または塩化物イオンにより腐蝕するものである。そのため、電気抵抗体8は、酸または塩化物イオンの環境下で、腐蝕により横断面積が減少または切断される。
このような電気抵抗体8の構成材料としては、酸または塩化物イオンの存在下で腐蝕するものであれば、特に限定されないが、不動態膜を形成する金属材料を用いるのが好ましい。
中でも、電気抵抗体8を構成する金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)、ニッケルまたはこれらを含む合金であるのが好ましい。これらの材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、電気抵抗体8の構成材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐蝕環境状態を効果的に検知することができる。例えば、電気抵抗体8がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
このような連続空孔により電気抵抗体8の表面積を大きくすることができる。そのため、電気抵抗体8に付着する水分量や酸素の量を多くすることができる。
また、細孔による毛管凝縮効果により、より低い相対湿度で、電気抵抗体8上に水分を結露させることができる。そのため、電気抵抗体8上に安定して液体の水を存在させることができる。すなわち、仮に電気抵抗体8が緻密体で構成された場合に電気抵抗体8上に結露が生じないような低い相対湿度においても、電気抵抗体8上に結露させて液体の水を存在させることができる。
このように電気抵抗体8が多孔質体で形成されている場合、その空孔の平均径は、前述したように毛管凝縮効果を生じ得る範囲であれば、特に限定されないが、例えば、2nm以上50nm以下であるのが好ましい。すなわち、かかる空孔は、それぞれ、メソ孔であるのが好ましい。
このような電気抵抗体8は、特に限定されず、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。
また、電気抵抗体8の厚さは、特に限定されないが、腐食による電気抵抗の変化が大きく、コンクリート強度に影響を及ぼさないためには、10nm以上5mm以下であるのが好ましい。
機能素子5は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子5は、前述した本体2の基板21に対して第1の電極3、第2の電極4および電気抵抗体8とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子5は、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpHが設定値以下か否かを検知することができる。
さらに、機能素子5は、電気抵抗体8の抵抗値を測定する機能を有する。これにより、電気抵抗体8の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定することができる。
このような機能素子5は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子5は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、測定回路51と、A/D変換回路52と、CPU53と、通信回路54と、電源回路55とを有する。
基板21は、例えばSOI基板またはシリコン基板であり、CPU53およびA/D変換回路52等が形成されている。基板21としてSOI基板を用いることにより、トランジスタ511〜513をSOI型MOSFETとすることができる。
また、図6に示すように、トランジスタ511、512は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に応じた信号を出力する差動増幅回路の一部を構成する。また、トランジスタ513は、電気抵抗体8の抵抗値に応じた信号を出力する回路の一部を構成する。
また、トランジスタ512は、ソース電極561bと、ドレイン電極562bと、ゲート電極565bとを備える。
また、トランジスタ513は、ソース電極561cと、ドレイン電極562cと、ゲート電極565cとを備える。
そして、ソース電極561a、561b、561cおよびドレイン電極562a、562b、562cを覆うように、ゲート絶縁膜564が設けられている。
また、ゲート電極565aには、絶縁膜567を貫通する導体部568a(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。同様に、ゲート電極565bには、絶縁膜567を貫通する導体部568b(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。また、ゲート電極565cには、絶縁膜567を貫通する導体部568c(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。
絶縁膜567上には、導体部568a、568b、568c、569を覆うように、絶縁膜570が設けられている。
導体部568aには、絶縁膜570を貫通する導体部571a(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。同様に、導体部568bには、絶縁膜570を貫通する導体部571b(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。また、導体部568cには、絶縁膜570を貫通する導体部571c(導体ポストおよび配線)が電気的に接続されている。導体部571cは、導体部569に電気的に接続されている。
導体部571a上には、第1の電極3が設けられている。これにより、トランジスタ511のゲート電極565aと第1の電極3とが電気的に接続されている。そのため、第1の電極3の電位の変化に応じて、トランジスタ511のドレイン電流が変化する。
同様に、導体部571b上には、第2の電極4が設けられている。これにより、トランジスタ512のゲート電極565bと第2の電極4とが電気的に接続されている。そのため、第2の電極4の電位の変化に応じて、トランジスタ512のドレイン電流が変化する。
以上のように構成された測定回路51は、A/D変換回路52を介してCPU53に電気的に接続されている。
また、CPU53は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に関する情報(以下、単に「電位差情報」ともいう)と、機能素子5は、電気抵抗体8の抵抗値に関する情報(以下、単に「抵抗値情報」ともいう)と、測定部位のpHが設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信回路54に入力する。また、CPU53は、温度センサー63によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信回路54に入力する。
この通信回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
また、機能素子5は、発振器64からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
また、機能素子5は、温度センサー63の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定部位の状態をより正確に測定したり、測定部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
また、機能素子5は、電源回路55に電気的に接続された電源62からの通電により作動する。電源62は、機能素子5を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源であってもよい。
以上説明したように構成されたセンサー装置1は、測定対象物であるコンクリート構造物100内に埋設され、第1の電極3と第2の電極4との電位差、および、電気抵抗体8の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、図7(a)、(b)に示すように、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。すなわち、図7(a)に示すように、第1の電極3は、その表面に不動態膜31が形成され、第2の電極4は、その表面に不動態膜41が形成される。これにより、第1の電極3および第2の電極4の自然電位がそれぞれ上がっている(貴化している)。その結果、コンクリートの打設直後における第1の電極3と第2の電極4との電位差は小さくなる。
その後、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化していく。
そして、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、図7(b)に示すように、第2の電極4は、その不動態膜41が安定であり、自然電位の変化が少ないものの、第1の電極3は、その不動態膜が崩壊し始め、自然電位が下がる(卑化する)。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差が大きくなる。
このように、pHが9程度となるタイミングと、pHが4程度となるタイミングとの2つのタイミングで、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、測定部位のpHが9程度となったこと、および、測定部位のpHが4程度となったことをそれぞれ高精度に検知することができる。
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
また、本実施形態では、電気抵抗体8の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100のpH変化または塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化をも検知することができる。
次に、本発明のセンサー装置の製造方法について、図8ないし図10に基づいて、前述したセンサー装置1の製造方法の一例を説明する。
図8は、図1に示すセンサー装置の製造方法を説明するための図、図9は、図8に示すメッキ用配線を説明するための拡大図、図10は、図9中のC−C線断面図である。
センサー装置1の製造方法は、[A]ウエハー200の一方の面側に集積回路50を形成する第1の工程と、[B]集積回路50上に第1の電極3および第2の電極4を形成する第2の工程とを有する。
このようなセンサー装置1の製造方法によれば、測定対象部位のpH変化または塩化物イオン濃度変化を高精度に測定し得る小型なセンサー装置1を安価に製造することができる。
また、集積回路50の形成方法としては、公知の成膜方法を用いることができる。
[A]集積回路50およびメッキ用配線300の形成工程
まず、図8に示すように、ウエハー200上に、複数の集積回路50および複数のメッキ用配線300を形成する。
ここで、複数の集積回路50(機能素子5)は、行列状に配置されている。また、この複数の機能素子5は、後の工程において、図9に示すスクライブライン領域400に沿ってウエハー200がダイシングされることにより個片化される。
また、各メッキ用配線300は、2つの配線301、302で構成されている。
また、配線302は、絶縁膜570一体形成された層上に設けられ、第2の導体部である導体部571bに電気的に接続されている。
次に、配線301を用いて、電気メッキにより第1の導体部である導体部571a上に第1の電極3を形成する。また、配線302を用いて、電気メッキにより第2の導体部である導体部571b上に第2の電極4を形成する。また、ウエハー200へ通電して、電気メッキにより電気抵抗体8を形成する。
第2の電極4の形成に際しては、ウエハー200の縁部に、配線302に電気的に接続したメッキ用電極を設け、このメッキ用電極を通じて、配線302へ通電を行う。このとき、例えば、このメッキ用電極を陰極とし、Auメッキ液中で電気メッキを行う。
電気抵抗体8の形成に際しては、配線301、302を用いず、ウエハー200(接地電極563)を陰極とし、陽極に鉄対極または炭素対極を用い、硫酸第一鉄または塩化第一鉄等の鉄メッキ液中で電気メッキを行う。
以上のように第1の電極3、第2の電極4および電気抵抗体8を形成した後、スクライブライン領域400に沿ってウエハー200をダイシングして個片化する。その後、図示しないが、封止部24を形成し、センサー装置1を得る。
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明のセンサー装置の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極と第2の電極との電位差に関する情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
Claims (11)
- 測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
基板と、前記基板の一方の面側に設けられ、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する集積回路とを含む機能素子とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記集積回路上に設けられていることを特徴とするセンサー装置。 - 前記機能素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能を有する請求項1に記載のセンサー装置。
- 前記第1の金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項1または2に記載のセンサー装置。
- 前記第2の金属材料は、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第2の金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項4に記載のセンサー装置。
- 前記第2の金属材料は、不動態膜を形成しない請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
- 第3の金属材料で構成された電気抵抗体を備え、
前記集積回路は、前記電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をさらに有する請求項6に記載のセンサー装置。 - 前記電気抵抗体は、前記集積回路上に設けられている請求項7に記載のセンサー装置。
- 測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
基板と、前記基板の一方の面側に設けられ、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する集積回路とを含む機能素子とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記集積回路上に設けられているセンサー装置の製造方法であって、
ウエハーの一方の面側に、前記集積回路を形成する第1の工程と、
前記集積回路上に前記第1の電極および前記第2の電極を形成する第2の工程とを有し、
前記第1の工程では、前記集積回路の他に、前記集積回路に電気的に接続されたメッキ用配線を形成し、
前記第2の工程では、前記メッキ用配線を用いて電気メッキにより前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極を形成することを特徴とするセンサー装置の製造方法。 - 前記第2の工程の後に、前記ウエハーをスクライブライン領域に沿ってダイシングする第3の工程を有し、
前記第1の工程では、前記メッキ用配線を前記スクライブライン領域内に形成する請求項9に記載のセンサー装置の製造方法。 - 前記集積回路は、第1の導体部と、前記第1の導体部に対して離間した第2の導体部とを有し、
前記メッキ用配線は、前記第1の導体部に電気的に接続された第1の配線と、前記第2の導体部に電気的に接続された第2の配線とを有し、
前記第2の工程では、前記第1の配線を用いて電気メッキにより前記第1の導体部上に前記第1の電極を形成するとともに、前記第2の配線を用いて電気メッキにより前記第2の導体部上に前記第2の電極を形成する請求項9または10に記載のセンサー装置の製造方法。
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