以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム100の概略構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置12、及び印刷装置60を備える。
情報処理装置12は、ホスト装置11、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)(以下、DFEと称する)30、及びインタフェースコントローラ(MIC:Mechanism I/F Contoroller)(以下、MICと称する場合がある)40を備える。印刷装置60は、プリンタ機50、後処理機75を備える。
これらの、ホスト装置11、DFE30、MIC40、及び印刷装置60は、互いにデータ授受可能に有線または無線の通信回線を介して接続されている。
ホスト装置11は、例えば、PC(Personal Computer)等で構成され、原稿データ生成部10、印刷データ生成部20、及び表示処理部15等の機能部を含む。なお、本実施の形態では、ホスト装置11は、原稿データ生成部10、印刷データ生成部20、及び表示処理部15の各機能部を含む構成であるとして説明するが、これらの原稿データ生成部10、印刷データ生成部20、及び表示処理部15の各機能部は、別体として構成(例えば、別のパーソナルコンピュータに搭載)されていてもよく、1つの装置に一体的に設けられた構成に限られない。
また、ホスト装置11は、インターネット等の通信回線に接続され、通信回線を介してDFE30にデータ授受可能に接続された構成であってもよい。
DFE30は、MIC40を介してプリンタ機50と通信を行い、プリンタ機50での画像の形成を制御する。また、DFE30には、PC(Personal Computer)等のホスト装置11が接続され、DFE30は、ホスト装置11から画像データを受信して、当該画像データを用いて、プリンタ機50がCMYKの各トナー及びクリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データを生成する。そして、DFE30は、生成した画像データを、MIC40を介してプリンタ機50に送信する。
プリンタ機50には、CMYKの各トナーとクリアトナーとが少なくとも搭載されており、各トナーに対して感光体、帯電器、現像器及び感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器及び定着機が各々搭載されている。
ここで、クリアトナーとは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
プリンタ機50は、MIC40を介してDFE30から送信された画像データに応じて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成して、これを記録媒体としての紙に転写しこれを定着機によって所定の範囲内の温度(通常温度)での加熱及び加圧で定着させる。これによって記録媒体に画像が形成される。なお、記録媒体としては、合成紙や、再生紙や、OHPシート、ビニール紙等がある。
図1の例では、後処理機75は、プリンタ機50に接続されるグロッサ70と、グロッサ70に接続される通常定着後処理装置80と、通常定着後処理装置80に接続される低温定着後処理装置90とを含んで構成される。
グロッサ70は、DFE30から指定されるオンオフ情報によりオン又はオフが制御され、オンにされた場合に、プリンタ機50により記録媒体に形成された画像を高温及び高圧で加圧し、その後、冷却して本体から画像が形成された記録媒体を剥離する。これにより記録媒体に形成された画像全体において所定以上のトナーが付着した各画素のトナーの総付着量は均一に圧縮される。
通常定着後処理装置80には、クリアトナー用の感光体、帯電器、現像器および感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、通常定着後処理装置80を用いるためにDFE30が生成した後述のクリアトナー版データが入力される。通常定着後処理装置80は、当該通常定着後処理装置80が用いるためのクリアトナー版データをDFE30が生成した場合にはこれを用いてクリアトナーによるトナー像を形成して、グロッサ70が加圧した記録媒体上に当該クリアトナー像を重ねて、定着機によって通常の加熱または加圧で記録媒体に定着させる。
低温定着後処理装置90には、クリアトナー用の感光体、帯電器、現像器および感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、低温定着後処理装置90を用いるためにDFE30が生成した後述のクリアトナー版データが入力される。低温定着後処理装置90は、当該低温定着後処理装置90が用いるためのクリアトナー版データをDFE30が生成した場合にはこれを用いてクリアトナーによるトナー像を形成して、記録媒体上に当該クリアトナー像を重ねて、定着機によって通常より低い加熱または加圧で記録媒体に定着させる。
図2には、ホスト装置11の具体的な構成の一例を示した。
図2に示すように、ホスト装置11は、入力部99A、操作部99B、出力部99C、表示部99D、及び制御部100を備える。
入力部99Aは、パーソナルコンピュータ等の外部装置から、有色版データを受け付ける。そして、受け付けた有色版データを、制御部100へ送信する。なお、有色版データは、制御部100で生成してもよい。有色版データは、有色の有色トナーを記録媒体に付着させるためのデータである。例えば、有色版データは、有色トナーを用いて印刷する有色画像を描画領域毎に示す画像データである。なお、有色版データの詳細は後述する。
なお、本実施の形態では、記録媒体とは、有色トナーやクリアトナー等を付着させる事で画像を形成する対象の媒体を示す。記録媒体には、例えば、紙、合成紙、ビニール紙等が挙げられるが、これらに限られない。
有色トナーとは、CMYK等の各色材を含むトナーである。本実施の形態では、例えば、有色トナーとして、CMYKの各々の色材を含む有色トナーを用いる場合を説明する。
クリアトナーとは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
操作部99Bは、各種操作指示を行うときにユーザによって操作される入力デバイスである。操作部99Bとしては、例えば、ボタン、リモコン受信部、および、ICカードなどから情報を読取るカードリーダなどが挙げられる。なお、操作部99Bがキーボードを備えるように構成してもよい。
出力部99Cは、DFE30との間で通信を行うためのインタフェース装置である。表示部99Dは、各種情報を表示する表示デバイスであり、公知の表示デバイスを用いる。
制御部100は、ホスト装置11全体を制御する手段であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータである。
本実施の形態では、図2に示すように、ホスト装置11は、制御部100の有する機能部として、上記原稿データ生成部10、印刷データ生成部20、及び表示処理部15等を有する。これらの機能部、及び各機能部に含まれる各機能は、制御部100のCPUがROM等に格納された各種プログラムをRAM上に展開して実行することにより実現される。また、これらの機能のうちの少なくとも一部を個別の回路(ハードウェア)で実現することも可能である。
原稿データ生成部10は、有色版データを受け付ける。そして、原稿データ生成部10は、有色版データと、光沢制御版データと、クリア版データと、を含む原稿データを生成し、印刷データ生成部20及び表示処理部15へ出力する。なお、原稿データ生成部10では、この有色版データを作成してもよい。
ここで、原稿データ生成部10が生成する、原稿データについて、詳細に説明する。
原稿データ生成部10では、予めインストールされた画像処理アプリケーション(後述する画像処理部120、版データ生成部122)により原稿データを生成する。このような画像処理アプリケーションでは、RGB版やCMYK版などの各色版における各色の濃度の値(濃度値という)を画素毎に規定した画像データに対して、特色版の画像データを取り扱うことが可能である。特色版とは、CMYKやRGBなどの基本的なカラーの他に、白、金、銀といった特殊なトナーやインクを付着させるための画像データであり、このような特殊なトナーやインクを搭載したプリンタ向けのデータである。特色版は色再現性を向上させるためにCMYKの基本カラーにRを追加することや、RGBの基本カラーにYを追加することもある。通常、クリアトナーも特色の1つとして取り扱われていた。
本実施の形態では、この特色としてのクリアトナーを、記録媒体に付与する視覚的または触覚的な効果である表面効果を形成するため、および、記録媒体に、上記表面効果以外のウォーターマーク等の透明画像を形成するために用いる。
このため、原稿データ生成部10の画像処理アプリケーションは、入力された画像データに対して、有色版データの他、特色版の画像データとして、ユーザの指定により、光沢制御版データおよび/またはクリア版データを生成する。
原稿データ生成部10は、有色版データ、クリア版データ、及び光沢制御版データを、例えば、PDF形式(Portable Document Format)で、頁単位で生成する。そして、原稿データ生成部10の画像処理アプリケーションでは、これらのクリア版データ、光沢制御版データ、及び有色版データを含む、原稿データを生成する。
なお、原稿データ生成部10が生成するクリア版データ、光沢制御版データ、及び有色版データのデータ形式は、PDFに限定されるものではなく、任意の形式を用いることができる。また、各クリア版データ、光沢制御版データ、及び有色版データにおいて、これらのデータによって特定される各描画領域(オブジェクトと称する場合がある)は、例えば、ベクター形式で表現されている。
詳細には、原稿データ生成部10は、オブジェクト毎に、RGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである有色版データを作成する。
図3は、有色版データの一例を示す説明図である。図3において、有色版データでは、「A」、「B」、「C」等のオブジェクト(描画領域)ごとに、ユーザが画像処理アプリケーションで指定した色に対応する濃度値が付与される。各描画領域の濃度値は、例えば、0〜100%の濃度値で示される(「0」〜「255」等で表してもよい)。
また、原稿データ生成部10は、記録媒体に付与する表面効果に応じたクリアトナーを付着させる制御を行うため、当該表面効果の与えられる領域としての第1領域、及び各第1領域に与える表面効果の種類、を特定した画像データである光沢制御版データを生成する。
表面効果とは、記録媒体に付与する視覚的または触覚的な効果である。この光沢領域は、透明現像剤を記録媒体に付与することによって実現される。
表面効果の種類としては、大別して、光沢の有無に関するものや、表面保護や、情報を埋め込んだ透かしなどがある。表面効果の種類は、大別して4種類である。図4は、表面効果の種類の一例を示す図である。図4に示す例では、表面効果の種類には、光沢の度合い(光沢度)の高い順に、鏡面光沢(PG:Premium Gloss)、ベタ光沢(G:Gloss)、網点マット(M:Matt)、及びつや消し(PM:Premium Matt)等がある。これ以降、鏡面光沢を「PG」、ベタ光沢を「G」、網点マットを「M」、つや消しを「PM」と称する場合がある。
鏡面光沢やベタ光沢は、光沢を与える度合いが高い。逆に、網点マットやつや消しは、光沢を抑えるためのものである。特に、つや消しは、通常の記録媒体の有する光沢度より低い光沢度を実現するものである。図4中において、鏡面光沢の光沢度(Gs)は80以上、べた光沢の光沢度(Gs)は一次色あるいは二次色のなすベタ光沢である。また、網点マットの光沢度(Gs)は、一次色、かつ網点30%の光沢度であり、つや消しの光沢度(Gs)は、光沢度10以下を表している。
また、これらの光沢度の偏差をΔGsで表し、上記4種類の表面効果の全ての光沢度について、10以下とした。本実施の形態では、このような表面効果の各種類に対して、光沢を与える度合いの高い表面効果ほど、より高い濃度値を対応付ける。また、光沢を抑える表面効果ほど、より低い濃度値を対応付ける。
このため、表面効果の種類は、濃度値によって特定される。濃度値と表面効果の種類との対応関係については後述する。原稿データ生成部10では、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定したオブジェクトに対する表面効果の種類を、表面効果の種類に対応する濃度値として設定し、ベクター形式の光沢制御版データを生成する。
この濃度値は、「0」〜「255」の範囲の濃度値で表され、この濃度値に、表面効果の種類が対応付けられる。濃度値は、16ビットや32ビット、または0〜100%で表してもよい。また、同一の表面効果を与えたい範囲には、同一の濃度値が設定される。このため、表面効果を与える第1領域の記録媒体上における位置や範囲を示すデータがなくとも、必要に応じて、光沢制御版データによって特定される濃度値から、光沢制御版データによって特定される第1領域の位置及び範囲が特定できる。即ち、光沢制御版データによって、表面効果の種類と、表面効果を与える第1領域と、が特定される。なお、光沢制御版データに、表面効果を与える各第1領域の位置及び範囲を示すデータを別途付与してもよい。
図5は、光沢制御版データの一例を示す説明図である。図5では、ユーザにより、オブジェクト「ABC」に表面効果「PG(鏡面光沢)」が付与され、オブジェクト「(長方形の図形)」に表面効果「G(ベタ光沢)」が付与され、オブジェクト「(円形の図形)」に表面効果「M(網点マット)」が付与された光沢制御版データの一例を示している。なお、各表面効果に設定された濃度値は、後述の濃度値選択テーブル(図10参照)で、表面効果の種類に対応して定められた濃度値である。
また、原稿データ生成部10は、記録媒体に形成する透明画像に応じたクリアトナーを付着させる制御を行うため、当該透明画像の描画領域としての第2領域、及び各第2領域の濃度値を特定した画像データであるクリア版データを生成する。この各第2領域の濃度値は、各第2領域に付与するクリアトナーの付与量に応じた値である。
図6は、クリア版データの一例を示す模式図である。図6の例では、クリア版データには、透明画像として、ウォーターマーク「Sale」が指定されている。
このように、特色版の画像データである、光沢制御版データおよびクリア版データは、原稿データ生成部10の画像処理アプリケーションにより、有色版データとは別のプレーンで生成される。
次に、このような有色版データ、クリア版データ、及び光沢制御版データを含む原稿データを生成する、原稿データ生成部10について詳細を説明する。図7は、原稿データ生成部10の機能的構成を示すブロック図である。
図7に示すように、原稿データ生成部10は、入力制御部124と、画像処理部120と、表示制御部121と、版データ生成部122と、記憶部123と、を備える。これらの各部の内、入力制御部124と表示制御部121は、原稿データ生成部10のCPUがROM等に格納されたオペレーティングシステムのプログラムを読み出してRAM上に展開して実行することにより実現される。
版データ生成部122は、例えば、画像処理アプリケーションにインストールされたプラグインの機能として提供される。なお、これらの各部のうちの少なくとも一部を個別の回路(ハードウェア)で実現することも可能である。
記憶部123は、各種のデータを記憶するハードディスクドライブ装置(HDD)やメモリ等の記憶媒体である。
入力制御部124は、操作部99B(図2参照)からの各種入力を受け付けて入力を制御する。例えばユーザは、操作部99Bを操作することにより、入力部99Aを介して、画像指定情報を入力する。画像指定情報は、外部装置から受け付けた有色版データの内、表面効果や透明画像を形成する対象の有色版データ(以下、「対象画像」と称する場合がある)を指定するための情報である。なお、ユーザは、予め、記憶部123に記憶された1または複数種類の有色版データの内、表面効果や透明画像を形成する対象の有色版データを指定する、画像指定情報を入力してもよい。入力制御部124では、これらの入力を制御する。なお、これに限らず、画像指定情報の入力方法は任意である。
画像処理部120は、表面効果や透明画像を形成する対象として指定された有色版データに対して、ユーザからの操作部99Bを介した指示に基づいて、各種画像処理を行う。
表示制御部121は、表示部99Dに対する各種情報の表示を制御する。本実施の形態では、表示制御部121は、入力制御部124で画像指定情報を受け付けた場合、その画像指定情報で指定された有色版データを記憶部123から読み出し、その読み出した有色版データの画像を画面上に表示するように表示部99Dを制御する。
ユーザは、表示部99Dに表示された有色版データの画像を確認しながら、操作部99Bを操作することにより、表面効果を与える第1領域および当該表面効果の種類や、透明画像を形成する第2領域及び該第2領域の濃度等を指定する指定情報を入力することができる。なお、指定情報の入力方法は、これに限られるものではなく、任意である。
より具体的には、表示制御部121は、例えば、図8に例示される画面を表示部99Dに表示させる。この図8は、Adobe System(R)社が販売しているIllustratorにプラグインを組み込んだ場合に表示される画面の例である。図8に示される画面では、処理対象である有色版データによって表される画像が表示される。そして、ユーザが操作部99Bを介してマーカー追加ボタン等を押下し、表面効果を与えたい第1領域や透明画像を形成する第2領域を指定する操作入力を行う。これにより、表面効果を与える第1領域や、透明画像を形成する第2領域が指定される。ユーザは、表面効果を与える全ての第1領域に対してこのような操作入力を行うことになる。また、ユーザは、形成対象の透明画像の形成領域である全ての第2領域に対して、このような操作入力を行うことになる。
そして、表示制御部121は、例えば、指定された第1領域毎に、図9に例示される画面を表示部99Dに表示させる。図9に示される画面では、表面効果を与えるものとして指定された各第1領域において当該第1領域の画像が表示される。そして、表示された当該画像に対して与えたい表面効果の種類を指定する操作入力が、ユーザによる操作指示によって操作部99Bを介して行われることで、当該領域に対して与える表面効果の種類が指定される。
表面効果の種類として、図4の鏡面光沢やベタ光沢は、図9では「インバースマスク」と表記されており、図4の鏡面光沢やべた光沢を除く他の効果は、図9では、ステンドグラスや万線パターンや網目パターンやモザイクスタイルと、ハーフトーンとして表記されている。すなわち、図9には、各々の種類の表面効果が指定可能であることが示されている。
図7に戻り、版データ生成部122は、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データをそれぞれ生成する。すなわち、版データ生成部122は、入力制御部124で、対象画像のオブジェクトに対するユーザによる色指定を受け付けた場合、当該色指定に従って、有色版データを生成する。
また、版データ生成部122は、入力制御部124で、透明画像の指定情報(透明画像を与える第2領域及び透明画像の濃度値(クリアトナーの付与量))を受け付けた場合、当該指定情報に従って、透明画像および透明画像を付与する記録媒体における第2領域、及びクリアトナーの付与量(濃度値)を特定するためのクリア版データを生成する。
また、版データ生成部122は、入力制御部124で表面効果の指定情報(表面効果を与える第1領域および当該表面効果の種類)を受け付けた場合、当該指定情報に基づいて、記録媒体において表面効果が与えられる第1領域および当該表面効果の種類を特定するための光沢制御版データを生成する。
詳細には、版データ生成部122は、濃度値に対応する種類の表面効果を付与する領域を、有色版データのオブジェクトの単位で指定した、光沢制御版データを生成する。
ここで、記憶部123には、表面効果の種類と、当該表面効果の種類に対応する濃度値とを記憶した濃度値選択テーブルが格納されている。図10は、濃度値選択テーブルの一例を示す図である。図10の例では、表面効果の種類「PG」(鏡面光沢)に対応する濃度値は「98%」である。また、表面効果の種類「G」(ベタ光沢)に対応する濃度値は「90%」である。また、表面効果の種類「M」(網点マット)に対応する濃度値は「16%」である。また、表面効果の種類「PM」(つや消し)に対応する濃度値は「6%」である。なお、表面効果の種類は、更に細分化して設定可能としてもよい。また、これらの各表面効果の種類に対応する濃度値は、一例であり、図10に示す値に限られない。
この濃度値選択テーブルは、DFE30で記憶している表面効果選択テーブル(後述)と同じデータであり、原稿データ生成部10が所定のタイミングで表面効果選択テーブルを取得して、取得した表面効果選択テーブルから生成して記憶部123に保存する。なお、原稿データ生成部10は、DFE30から取得した表面効果選択テーブルを、そのまま、濃度値選択テーブルとして記憶部123に記憶してもよい。
なお、インターネット等のネットワーク上のストレージサーバ(クラウド)に表面効果選択テーブルを保存しておいてもよい。この場合には、原稿データ生成部10は、当該サーバから表面効果選択テーブルを取得して、取得した表面効果選択テーブルから濃度値選択テーブルを生成するように構成してもよい。ただし、DFE30で記憶している表面効果選択テーブルと、記憶部123に保存されている表面効果選択テーブルとは同じデータである必要がある。
図7に戻り、版データ生成部122は、図10に示す濃度値選択テーブルを参照しながら、ユーザにより所定の表面効果が指定されたオブジェクトの濃度値を、当該表面効果の種類に応じた値に設定することで、光沢制御版データを生成する。
例えばユーザにより、図3に示した有色版データのうち、「ABC」と表示される領域に「PG」、長方形の領域に「G」、円形の領域に「M」を与えることが指定された場合を想定する。この場合、版データ生成部122は、ユーザにより「PG」が指定されたオブジェクト(「ABC」)の濃度値を「98%」に設定し、「G」が指定されたオブジェクト(「長方形」)の濃度値を「90%」に設定し、「M」が指定されたオブジェクト(「円形」)の濃度値を「16%」に設定することで、光沢制御版データを生成する。
版データ生成部122で生成された光沢制御版データは、点の座標と、それを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、および、塗り潰しや特殊効果などを示すオブジェクトの集合として表現されるベクター形式のデータである。図5は、この光沢制御版データをイメージとして示した図である。
図11は、図5の光沢制御版データにおいて、オブジェクト、座標、濃度値との対応関係を示す図である。
版データ生成部122は、光沢制御版データと、有色版データと、クリア版データと、を統合した原稿データを生成し、図2に示す、表示処理部15及び印刷データ生成部20へ渡す。
図2に戻り、次に、印刷データ生成部20について説明する。
印刷データ生成部20は、受け付けた原稿データに基づいて印刷データを生成する。印刷データは、原稿データと、プリンタに対して指定するジョブコマンドと、を含んで構成される。このジョブコマンドには、例えば、プリンタの設定、集約の設定、両面の設定などが挙げられる。なお、印刷データは、Post Scriptのようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE30が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
図12は、印刷データの構成例を概念的に示す模式図である。図12の例では、ジョブコマンドとして、JDF(Job Definition Format)が用いられているが、これに限られるものではない。図12に示すJDFは、集約の設定として「片面印刷・ステープル有り」を指定するコマンドである。また、印刷データは、Post Scriptのようなページ記述言語(PDL)に変換されたデータであってもよいし、DFE30が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
ここで、原稿データ生成部10で生成された、光沢制御版データによって特定される表面効果を与える第1領域と、クリア版データによって特定される透明画像の第2領域と、が重複して設定される場合がある。
図13(A)〜図13(C)は、表面効果を与える第1領域と、透明画像の第2領域と、が重複して設定された場合を示す模式図である。ここで、この重複領域について、透明画像の第2領域が、表面効果を与える第1領域より優先して記録媒体上に形成されることを、ユーザが所望する場合がある。また、逆に、この重複領域について、表面効果を与える第1領域が、透明画像の第2領域より優先して記録媒体上に形成されることをユーザが所望する場合がある。また、同一頁内に、表面効果の種類の異なる複数の第1領域を形成する場合に、表面効果の種類や表面効果の与えられるオブジェクト毎に、透明画像の第2領域に対して優先させて記録媒体上に形成することを、ユーザが所望する場合がある。
しかし、従来では、図13(A)〜図13(C)に示すような、表面効果を与える第1領域と、透明画像の第2領域と、が重複して設定された場合についての考慮はなされておらず、何れの領域を優先させて印刷するかや、何れのオブジェクトを優先させて印刷するか、等の設定に応じた印刷を行うことは出来なかった。
なお、詳細には、図13(A)は、同一頁内に、表面効果の種類の異なる複数の第1領域として、オブジェクト310E、オブジェクト310B、オブジェクト310D、及びオブジェクト310Cが設定され、これらのオブジェクトの内、透明画像310Aと重複するオブジェクトの内のオブジェクト310Bが透明画像310Aより優先し、オブジェクト310E及びオブジェクト310Cが透明画像310Bより非優先で、記録媒体P上に形成された状態を示す模式図である。
図13(B)は、透明画像310Aと重複するオブジェクト310B、オブジェクト310E、及びオブジェクト310Cが、透明画像310Aに対して非優先で、記録媒体P上に形成された状態を示す模式図である。
図13(C)は、透明画像310Aと重複するオブジェクト310B、オブジェクト310E、及びオブジェクト310Cが、透明画像310Aに対して優先で、記録媒体P上に形成された状態を示す模式図である。
上述したように、従来では、図13(A)〜図13(C)に示すような、クリアトナーを用いて形成する領域同士の重複領域についての考慮はなされていなかった。
図2に戻り、そこで、本実施の形態のホスト装置110では、上記重複領域についての優先情報を付与するために、表示処理部15を備えている。表示処理部15は、原稿データ生成部10から原稿データを受け付け、原稿データの印刷結果を推定したプレビュー画像を生成し表示部99Dに表示する。そして、表示処理部15は、光沢制御版データによって特定される、表面効果を付与する第1領域と、クリア版データによって特定される、透明画像を形成する第2領域と、の重複領域において、第1領域と第2領域の何れを優先するかを示す優先情報を、光沢制御版データに付与する。
なお、本実施の形態では、表示処理部15は、光沢制御版データに優先情報を付与する場合を説明するが、クリア版データ及び光沢制御版データの少なくとも一方に、指定された優先情報を付与すればよい。
そして、表示処理部15は、優先情報の付与された光沢制御版データを、原稿データ生成部10へ送信する。原稿データ生成部10では、表示処理部15から優先情報の付与された光沢制御版データを受け付けた場合には、優先情報の付与されていない光沢制御版データに替えて、優先情報の付与された光沢制御版データを含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する(詳細後述)。
具体的には、表示処理部15は、原稿データ受付部200A、解析部200L、分類画像データ生成部200F、分類画像データ記憶部200G、表示画像生成部200M、表示情報記憶部200P、表示制御部200J、受付部200K、及び優先情報付与部200Iを備える。
また、解析部200Lは、構造解析部200B、オブジェクト構造リスト記憶部200C、分類部200D、及び分類リスト記憶部200Eを備える。
図14は、表示処理部15における画像表示処理の手順を示すシーケンス図である。表示処理部15の備える各機能部について、図14のシーケンス図を用いて説明する。
原稿データ受付部200Aは、原稿データ生成部10(図2参照)から、原稿データを受け付ける。原稿データ受付部200Aでは、原稿データを、表示処理部15内で参照可能な状態とする。
具体的には、原稿データ受付部200Aは、プレビュー対象として指示された頁の原稿データのファイル拡張子、もしくはファイルヘッダーを参照するなどして、表示処理部15内で取扱い可能なファイル形式であるか否かを判断する。
そして、原稿データ受付部200Aは、ファイルロックを解除する等して取扱い可能な状態とする。そして、原稿データ受付部200Aは、該原稿データを、原稿データ受付部200Aに設けられた一次メモリ201Bに展開する(SEQ2)。
構造解析部200Bは、一次メモリ201Bに展開された原稿データのデータ構造を解析し、原稿データの各ページに含まれる描画領域を示すオブジェクト構造リストを作成する。
詳細には、構造解析部200Bは、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって表示対象の頁が選択されると(SEQ4)、該選択結果に対応する頁の原稿データを一次メモリ201Bから読み取り、解析する(SEQ3、SEQ5)。
そして構造解析部200Bは、解析結果であるオブジェクト構造リストを、オブジェクト構造リスト記憶部200Cに格納する(SEQ6)。
このオブジェクト構造リストとは、原稿データの各ページに含まれる描画領域の一覧を示す情報である。例えば、このオブジェクト構造リストは、原稿データの頁内に含まれるオブジェクトをツリー構造で示したものである。具体的には、構造解析部200Bは、原稿データの各有色版データ、光沢制御版データ、及びクリア版データの各々に含まれる、1または複数の描画領域であるオブジェクトを解析し、オブジェクト毎の描画情報(描画領域の位置、色空間、濃度等)を示す、オブジェクト構造リストを作成する。
分類部200Dは、オブジェクト構造リストに示される各オブジェクト(描画領域)を、有色版データによって特定される有色画像の描画領域群、クリア版データによって特定される透明画像の描画領域群、及び光沢制御版データによって特定される描画領域群に分類し、オブジェクト分類リストを生成する(SEQ7)。そして、分類部200Dは、生成したオブジェクト分類リストを、分類リスト記憶部200Eに記憶する(SEQ8)。
オブジェクト分類リストは、各オブジェクト群から、オブジェクト構造リスト記憶部200Cに格納されている対応するオブジェクトへのポインタのリストとなっており、実際の描画情報は、オブジェクト構造リスト記憶部200Cに格納されている。分類リスト記憶部200Eは、このオブジェクト分類リストを記憶する。
分類画像データ生成部200Fは、オブジェクト分類リストによって示される、有色画像の描画領域群を統合すると共にラスタライズを行い、第2有色版データを生成する。また、分類画像データ生成部200Fは、オブジェクト分類リストによって示される、透明画像の描画領域群を統合すると共にラスタライズを行い、第2クリア版データを生成する。さらに、分類画像データ生成部200Fは、光沢領域の描画領域群を統合すると共にラスタライズを行い、第2光沢制御版データを生成する。これによって、分類画像データ生成部200Fは、第2有色版データ、第2光沢制御版データ、及び第2クリア版データを生成する(SEQ9、SEQ10)。
第2有色版データは、有色版データを表示部99Dで表示可能な形式の表示用のイメージデータに変換したものであり、有色版データを、1画素あたり例えば8ビットで表現されたラスター形式の画像データに変換したものである。
第2クリア版データは、クリア版データを表示部99Dで表示可能な形式の表示用のイメージデータに変換したものであり、クリア版データを、1画素あたり例えば8ビットで表現されたラスター形式の画像データに変換したものである。
第2光沢制御版画像データは、光沢制御版データを表示部99Dで表示可能な形式の表示用のイメージデータに変換したものであり、光沢制御版データを、1画素あたり例えば8ビットで表現されたラスター形式の画像データに変換したものである。
分類画像データ記憶部200Gは、分類画像データ生成部200Fで生成された、表示用のイメージデータである、第2有色版データ、第2クリア版データ、及び、表面効果の種類毎の第2光沢制御版データを記憶する。
なお、分類画像データ生成部200Fは、各版の描画領域(オブジェクト)毎に、表示用のデータ(第2有色版データ、第2クリア版データ、及び、第2光沢制御版データ)を生成してもよい。
表示情報記憶部200Pは、管理テーブルを格納する。管理テーブルは、表面効果を付与する第1領域に対応する表示管理情報と、透明画像に対応する表示管理情報と、を格納する。
表示管理情報とは、光沢領域及び透明画像の各々を、表示部99Dに表示したときの表示色を示す情報である。これらの表示管理情報は、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって入力され、予め表示情報記憶部200Pに記憶されている。
例えば、透明画像の表示時の表示色を示す色情報として「水色」を示す情報が、透明画像を示す情報に対応づけて、表示管理情報として管理テーブルに格納される。また、例えば、表面効果を与える第1領域の表面効果の種類毎に、表示色の表示色を示す色情報として、「青色」や「黄色」等の互いに異なる色を示す情報が、各表面効果の種類を示す情報に対応づけて、表示管理情報として管理テーブルに格納される。
ここで、クリアトナーを用いて記録媒体上に印刷された後の表面効果を付与した第1領域や、透明画像を付与した第2領域の色は、無色透明である。このため、表示画像生成部200Mは、分類画像データ記憶部200Gに格納されている第2光沢制御版データの第1領域の色を、表示情報記憶部200Pに格納されている、該第1領域の表面効果の種類に対応する表示色情報の表示色に変換する(SEQ11、SEQ12)。
同様に、表示画像生成部200Mは、分類画像データ記憶部200Gに格納されている第2クリア版データの透明画像の第2領域の色を、表示情報記憶部200Pに格納されている透明画像に対応する表示色情報の表示色に変換する(SEQ11、SEQ12)。
合成画像生成部200Hは、表示画像生成部200Mで生成された、各々表示用の表示色に変換された第2クリア版データ及び第2光沢制御版データと、分類画像データ記憶部200Gに格納されている第2有色版データと、を合成し、原稿データの印刷結果を推定したプレビュー画像を示す、合成画像を生成する(SEQ13)。
表示制御部200Jは、合成画像生成部200Hで生成された合成画像や、表示画像生成部で生成された、表示用の表示色に変換された第2クリア版データ及び第2光沢制御版データを、表示部99Dに表示する(SEQ14)。
受付部200Kは、入力部99Aに優先情報付与のための入力画面を表示し、操作部99Bから、透明画像の第2領域と表面効果を付与する第1領域との重複領域について、第1領域と第2領域との何れを優先するかを示す優先情報を受け付ける(SEQ16)。この優先情報は、ユーザの操作部99Bによる操作指示によって行われる(SEQ15)。
このとき、合成画像生成部200Hも、優先情報を受け付けてもよい(SEQ17)。そして、優先情報を受け付けた場合には、合成画像生成部200Hは、優先する領域がより全面に表示されるように、合成画像を再生成し、表示部99Dに表示する。
優先情報付与部200Iは、受付部200Kで受け付けた優先情報を、光沢制御版データに付与する。具体的には、光沢制御版データによって特定される、表面効果を付与する第1領域と、クリア版データによって特定される、透明画像を形成する第2領域と、の重複領域において、第1領域と第2領域の何れを優先するかを示す優先情報を、光沢制御版データに付与する(SEQ18、19)。
図15は、優先情報の付与された光沢制御版データのデータ構造の一例を示す模式図である。図15に示すように、光沢制御版データは、オブジェクト毎に、重複する透明画像に対して優先であるか、非優先であるか、を示す優先情報の付与された状態となる。
図14に戻り、そして、優先情報付与部200Iは、優先情報を付与した光沢制御版データを、原稿データ生成部10へ送信する(SEQ20)。
優先情報の付与された光沢制御版データを受け付けた原稿データ生成部10は、優先情報の付与されていない光沢制御版データに替えて、優先情報の付与された光沢制御版データを含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する。このため、表示処理部15によって光沢制御版データに優先情報が付与された場合には、原稿データ生成部10は、優先情報の付与された光沢制御版データを、印刷データ生成部20へ送信することとなる。
なお、本実施の形態では、表示処理部15は、光沢制御版データに優先情報を付与する場合を説明するが、クリア版データ及び光沢制御版データの少なくとも一方に、指定された優先情報を付与すればよい。
印刷データ生成部20では、上述したように、受け付けた原稿データに基づいて印刷データを生成する。このため、受け付けた原稿データが、優先情報の付与された光沢制御版データを含む場合には、印刷データ生成部20は、優先情報の付与された光沢制御版データを含む原稿データに基づいて、印刷データを生成する。そして、印刷データ生成部20は、生成した印刷データを、出力部99Cを介してDFE30へ送信する。
次に、原稿データ生成部10が実行する、原稿データの生成処理を詳細に説明する。
図16は、本実施の形態の原稿データ生成部10による、原稿データの生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、クリア版データ及び光沢制御版データの双方を作成する場合を説明する。
まず、入力制御部124が、画像指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS11:YES)、表示制御部121は、受け付けた画像指定情報で指定された画像を表示するように表示部99Dを制御する(ステップS12)。次に、入力制御部124が表面効果の指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS13:YES)、版データ生成部122は、受け付けた指定情報に基づいて、光沢制御版データ(当初は空データ)に下記情報を順次登録し、光沢制御版データを生成する(ステップS14)。
ステップS14では、詳細には、版データ生成部122は、指定情報により対象画像に対して表面効果が付与されたオブジェクトとその座標を特定する。オブジェクトとその座標の特定は、例えば、画像処理部120が対象画像にオブジェクトを描画する際のオペレーティングシステム等で提供される描画コマンドおよび描画コマンドで設定された座標値等を用いて行われる。
次に、版データ生成部122は、記憶部123に保存されている濃度値選択テーブルを参照して、指定情報でユーザが付与した表面効果に対応する濃度値を決定する。そして、版データ生成部122は、光沢制御版データ(当初は空データ)に、指定されたオブジェクトと、表面効果に対応して決定された濃度値とを対応付けて登録する。これによって、版データ生成部122は、光沢制御版データを生成する。
次に、版データ生成部122は、生成した光沢制御版データを記憶部123に記憶する(ステップS15)。
次に、入力制御部124が透明画像の指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS16:YES)、版データ生成部122は、受け付けた指定情報に基づいて、クリア版データ(当初は空データ)に下記情報を順次登録し、クリア版データを生成する(ステップS17)。
ステップS17では、詳細には、版データ生成部122は、指定情報により、透明画像として指定されたオブジェクトとその座標を特定する。オブジェクトとその座標の特定は、例えば、画像処理部120が対象画像にオブジェクトを描画する際のオペレーティングシステム等で提供される描画コマンドおよび描画コマンドで設定された座標値等を用いて行われる。このとき、透明画像の指定情報として、透明画像として指定されたオブジェクトにおけるクリアトナーの付着量として、濃度値も入力されるようにしてもよい。また、透明画像のオブジェクトが指定された場合には、クリアトナーの付着量に相当する濃度値は、予め定めた値を設定するようにしてもよい。
次に、版データ生成部122は、クリア版データ(当初は空データ)に、指定されたオブジェクトと、指定された、または予め設定された透明画像の濃度値とを対応づけて登録する。これによって、版データ生成部122は、クリア版データを生成する。
次に、版データ生成部122は、生成したクリア版データを記憶部123に記憶する(ステップS18)。
なお、上記ステップS13〜ステップS15の処理と、ステップS16〜ステップS18の処理と、の処理順序は順不同である。
次に、原稿データ生成部10は、有色版データと、生成された光沢制御版データと、生成されたクリア版データと、を含む原稿データを、表示処理部15へ送信する(ステップS20)。
そして、原稿データ生成部10は、優先情報を付与された光沢制御版データを表示処理部15から受け付けたか否かを判断する(ステップS21)。ステップS21で肯定判断すると(ステップS21:Yes)、ステップS22へ進む。ステップS22では、原稿データ生成部10は、有色版データと、クリア版データと、表示処理部15から受け付けた、優先情報を付与された光沢制御版データと、を含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する(ステップS22)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS21で否定判断した場合には(ステップS21:No)、ステップS23へ進む。ステップS23では、原稿データ生成部10は、有色版データと、生成したクリア版データと、生成した光沢制御版データと、を含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する(ステップS23)。そして、本ルーチンを終了する。
次に、表示処理部15が実行する優先情報付与処理を説明する。図17は、表示処理部15が実行する優先情報付与処理の手順を示す、フローチャートである。
まず、原稿データ受付部200Aが、原稿データを受け付ける(ステップS400)。次いで、構造解析部200Bが、原稿データのデータ構造を解析し、原稿データの各ページに含まれるオブジェクトを示すオブジェクト構造リストを作成する(ステップS402)。そして、構造解析部200Bは、オブジェクト構造リストをオブジェクト構造リスト記憶部200Cに格納する(ステップS404)。
次いで、分類部200Dが原稿データの分類処理を実行し、オブジェクト分類リストを生成する(ステップS406)。
そして、分類画像データ生成部200Fが、表示用のイメージデータとして、第2有色版データ、第2光沢制御版データ、及び第2クリア版データを生成し、分類画像データ記憶部200Gに格納する(ステップS408、ステップS410)。
次に、表示画像生成部200Mが、第2光沢制御版データの第1領域の色、及び第2クリア版データの第2領域の色を、表示情報記憶部200Pに格納されている、対応する表示色情報の表示色に変換し、表示画像を生成する(ステップS412)。
次に、合成画像生成部200Hが、原稿データの印刷結果を推定したプレビュー画像を示す合成画像を生成する、合成画像生成処理を行う(ステップS414)。
次に、表示制御部200Jが、ステップS414で生成された合成画像や、ステップS408で生成された表示画像を、表示部99Dに表示する(ステップS416)。
次に、優先情報付与部200Iが、優先設定処理を実行し、光沢制御版データに優先情報を付与する(ステップS418)(詳細後述)。
次に、優先情報付与部200Iは、優先情報を付与した光沢制御版データを原稿データ生成部10へ送信し(ステップS420)、本ルーチンを終了する。
次に、上記ステップS418の優先設定処理について詳細に説明する。図18は、優先設定処理の手順を示すフローチャートである。
ここで、上述したように、光沢制御版データ、クリア版データは、頁単位で生成されたデータである。まず、優先情報付与部200Iは、優先情報の設定対象の、設定対象ページを設定する(ステップS450)。例えば、優先情報付与部200Iは、初期情報として、1頁目を設定する。そして、優先情報付与部200Iは、操作部99Bから受付部200Kを介して、設定対象ページの切替指示を受け付ける度に、1頁ずつ設定頁を繰り上げればよい。
次に、優先情報付与部200Iは、合成画像生成部200Hから受け付けた、合成画像(表示用の表示色に変換された第2クリア版データ及び第2光沢制御版データと、第2有色版データと、を合成し、原稿データの印刷結果を推定したプレビュー画像)を、表示部99Dに表示する(ステップS451)。
図19は、表示部99Dに表示された合成画像の一例を示す模式図である。
図19に示すように、ステップS451の処理によって、例えば、表示部99Dに、合成画像482を含む表示画面480が表示される。図19に示す例では、表示部99Dには、合成画像482は、表面効果の種類の異なる複数の第1領域である、オブジェクト310E、オブジェクト310B、オブジェクト310D、及びオブジェクト310Cと、が設定され、透明画像310Aと、を含む。なお、合成画像482は、有色版データによって特定される有色の描画領域については、表示してもよいし、表示しなくてもよい。
また、表示画面480には、操作部99Bの操作指示によって表示画面上でユーザが特定のオブジェクトを指示するためのポインタ490が表示されている。このポインタ490は、例えば、マウス等の操作部99Bの操作指示に応じて、表示画面上で動く。
また、表示画面480は、ポインタ490によって指示されたオブジェクトが、該オブジェクトに重なる他のオブジェクトに対して、優先であることを設定するための「優先」ボタン480や、優先設定のキャンセルを指示するための「キャンセル」ボタン486や、優先情報の決定を指示するための「決定」ボタン488を含む。
これらのボタンは、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって、ポインタ490が各ボタンの表示位置に移動されて、操作部99Bの操作指示等によって決定が指示されると、各ボタンに対応して、「優先」、「キャンセル」、「決定」を示す信号が受付部200Kを介して優先情報付与部200Iに入力される。
図18に戻り、次に、ステップS452において、優先情報付与部200Iは、光沢制御版データにおける、設定対象ページ内の全てのオブジェクトについて、優先情報の設定が完了したか否かを判断する(ステップS452)。ステップS452の判断は、例えば、設定対象ページ内の全てのオブジェクトを示す情報に、優先情報として、優先または非優先を示す情報が対応づけられているか否かを判別することによって行う。
次に、優先情報付与部200Iは、光沢制御版データにおける、設定対象ページ内のオブジェクトの内の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(ステップS454)。ステップS454の判断は、例えば、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって、ポインタ490を介して、表面効果の種類の異なる複数の第1領域である、オブジェクト310E、オブジェクト310B、オブジェクト310D、及びオブジェクト310Cの何れかが指示されたか否かを判別することで、行う。
ステップS454で肯定判断すると(ステップS454:Yes)、ステップS456へ進み、ステップS454で否定判断すると(ステップS454:No)、ステップS458へ進む。
ステップS456では、優先情報付与部200Iが、指定された、光沢制御版データにおける設定対象ページ内の、ステップS454で指定されたオブジェクトを示す情報を、優先情報付与部200Iの図示を省略するメモリに記憶する(ステップS456)。
次に、優先情報付与部200Iは、クリア版データにおける、設定対象ページ内のオブジェクトの内の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(ステップS458)。ステップS458の判断は、例えば、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって、ポインタ490を介して、透明画像の第2領域である、オブジェクト310Aが指示されたか否を判別することで行う。
ステップS458で肯定判断すると(ステップS458:Yes)、ステップS460へ進み、ステップS458で否定判断すると(ステップS458:No)、ステップS462へ進む。
ステップS460では、優先情報付与部200Iが、指定された、クリア版データにおける設定対象ページ内の、ステップS458で指定されたオブジェクトを示す情報を、優先情報付与部200Iの図示を省略するメモリに記憶する(ステップS460)。
次に、優先情報付与部200Iは、光沢制御版データ内のオブジェクトと、クリア版データ内のオブジェクトと、の双方が指定済であるか否かを判断する(ステップS462)。ステップS462の判断は、優先情報付与部200Iの図示を省略するメモリに、ステップS454及びステップS458の各々で指定されたオブジェクトが記憶されているか否かを判別することで行う。
上記ステップS462で否定判断すると、上記ステップS454へ戻り、上記ステップS462で肯定判断すると、ステップS464へ進む。
ステップS464では、上記ステップS454〜ステップS462の処理によって指定された、光沢制御版データのオブジェクト(第1領域)と、クリア版データのオブジェクト(第2領域)と、の重複領域について、何れの領域(オブジェクト)を優先させるかを示す優先情報の指定がなされたか否かを判断する(ステップS464)。
詳細には、優先情報付与部200Iは、表示部99Dに表示した、図19に示す表示画面480における、「優先」ボタン484の表示領域が、ユーザによる操作部99Bの操作指示によって指定された後に、「決定」ボタン488の表示領域が指定されたか否かを判別することで、ステップS464の判断を行えばよい。
なお、本実施の形態では、優先情報の設定は、表示部99Dに合成画像等のプレビュー画面を表示したときに行う場合を説明するが、クリア版データ及び光沢制御版データの生成時に、優先情報の設定を可能としてもよい。
この場合には、クリア版データや光沢制御版データの生成時に、表示部99Dに、優先情報を入力するための入力画面を表示すればよい。すなわち、表示制御部121が、例えば、図8に例示される画面を表示部99Dに表示させ、ユーザが操作部99Bを介してマーカー追加ボタン等を押下し、表面効果を与えたい第1領域や透明画像を形成する第2領域を指定する操作入力を行ったときに、さらに、さらに優先情報を入力するための入力画面を表示してもよい。
図20は、表示部99Dに表示された、優先情報を入力するための入力画面の一例を示す模式図である。
図20に示すように、例えば、光沢制御版データ及びクリア版データの各オブジェクトがユーザによって設定され、これらのオブジェクトに重複領域が生じる場合に、図20に示す入力画面492を更に表示部99Dに更に表示すればよい。
入力画面492は、光沢制御版属性として、選択した光沢制御版データのオブジェクトが、選択したクリア版データのオブジェクトに対して優先するか否かを示すチェックボックス494を含む。このチェックボックス494が、ユーザによる操作部99Bの操作指示によってチェックされた場合には、光沢制御版データの重複領域では、光沢制御版データのオブジェクトである第1領域を優先とする優先情報の付与された光沢制御版データを生成すればよい。
図18に戻り、ステップS464の判断において、優先情報付与部200Iでは、操作部99Bから受付部200Kを介して、第1領域を優先とする優先情報、または第1領域を非優先とする優先情報を受け付けたか否かを判別することで、ステップS464の判断を行えばよい。
優先情報付与部200Iは、ステップS464で肯定判断(ステップS464:Yes)するまで否定判断(ステップS464:No)を繰り返す。そして、ステップS464で肯定判断(ステップS464:Yes)すると、ステップS466へ進み、上記ステップS454で指定された、光沢制御版データのオブジェクト(第1領域)を示す情報と、ステップS458で指定された、クリア版データのオブジェクト(第2領域)を示す情報と、第1領域に対して第2領域が優先するか否か(非優先)を示す優先情報と、を図示を省略するメモリに記憶する(ステップS466)。そして、上記ステップS451へ戻る。
一方、上記ステップS452で肯定判断されると(ステップS452:Yes)、ステップS468へ進む。ステップS468では、優先情報付与部200Iが、光沢制御版に各オブジェクト(第1領域)の優先情報を付与する(ステップS468)。
ステップS468では、詳細には、優先情報付与部200Iは、上記ステップS466でメモリに格納された情報に基づいて、光沢制御版データにおける、設定対象ページの各オブジェクトを示す情報に、対応する優先情報(優先または非優先を示す優先情報)を付与する。これによって、設定対象ページの光沢制御版データは、オブジェクト毎に、重複する透明画像に対して優先であるか、非優先であるか、を示す優先情報の付与された状態となる(図15も参照)。
次に、優先情報付与部200Iは、光沢制御版データの全頁について、優先情報が付与されることで、全頁終了したか否かを判断する(ステップS470)。ステップS470で否定判断すると(ステップS470;No)、ステップS472へ進む。ステップS472では、優先情報を設定する対象のページを、前回とは異なるページに切替える(ステップS472)。そして、上記ステップS451へ戻る。一方、ステップS470で肯定判断すると(ステップS470:Yes)、本ルーチンを終了する。
ステップS450〜ステップS472の処理が実行されることによって、原稿データに含まれる各ページの光沢制御版データには、含まれるオブジェクト(第1領域)毎に、優先情報が付与された状態となる。
次に、DEF30について詳細に説明する。
DFE30は、ホスト装置11から印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて、CMYKの各トナーおよび無色(透明色)のクリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データを生成する。そして、その生成した画像データを、MIC40を介して印刷装置60へ送信する。
図21は、DFE30の機能的構成を示す模式図である。
DFE30は、図21に例示されるように、レンダリングエンジン101と、si1部102と、TRC(Tone Reproduction Curve)103と、si2部104と、ハーフトーンエンジン105と、クリアプロセッシング108と、si3部109と、表面効果選択テーブル(不図示)とを有する。
レンダリングエンジン101と、si1部102と、TRC103と、si2部104と、ハーフトーンエンジン105と、クリアプロセッシング108と、si3部109とは、DFE30の制御部が主記憶部や補助記憶部に記憶されている各種プログラムを実行することにより実現されるものである。si1部102、si2部104及びsi3部109はいずれも、画像データを分離する(separate)機能と、画像データを統合する(integrate)機能とを有するものである。表面効果選択テーブルは例えば補助記憶部に記憶されるものである。
レンダリングエンジン101には、ホスト装置11から送信された印刷データ(画像データ)が入力される。レンダリングエンジン101は、入力された画像データを言語解釈して、ベクター形式で表現される画像データをラスター形式に変換すると共に、RGB形式等で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの各8ビットの有色版データ、8ビットの光沢制御版データ、及び8ビットのクリア版データを出力する。
si1部102は、CMYKの各8ビットの有色版データをTRC103に出力し、8ビットの光沢制御版データ、及び8ビットのクリア版データを、クリアプロセッシング108に出力する。ここで、DFE30は、ホスト装置11から出力されたベクター形式の光沢制御版データをラスター形式に変換し、この結果、DFE30は、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定したオブジェクトに対する表面効果の種類を、画素を単位として濃度値として設定して、光沢制御版データを出力する。
TRC103には、si1部102を介してCMYKの各8ビットの有色版データが入力される。TRC103は、入力された8ビットの有色版データに対して、キャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブで、ガンマ補正を行う。画像処理としては、ガンマ補正の他にトナーの総量規制等がある。総量規制とは記録媒体上の1画素において、プリンタ機50でのせることが可能なトナー量に限界があるため、ガンマ補正後のCMYK各8ビットの有色版データを制限する処理である。ちなみに、総量規制を越えて印刷した場合、転写不良や定着不良により画質が劣化してしまう。当実施例では関連するガンマ補正のみを取り上げて説明している。
si2部104は、TRC103でガンマ補正されたCMYKの各8ビットの有色版データを、インバースマスク(後述する)を生成するためのデータとしてクリアプロセッシング108へ出力する。ハーフトーンエンジン105には、si2部104を介してガンマ補正後のCMYKの各8ビットの有色版データが入力される。ハーフトーンエンジン105は、入力された有色版データをプリンタ機50に出力するための、例えばCMYKの各2ビット等の有色版データのデータ形式に変換するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン処理後のCMYK各2ビット等の有色版データを出力する。なお、2ビットは一例であり、これに限定されるものではない。
クリアプロセッシング108には、レンダリングエンジン101で変換された8ビットの光沢制御版データ、及び8ビットのクリア版データが、si1部102を介して入力される。また、クリアプロセッシング108には、TRC103がガンマ補正を行ったCMYKの各8ビットの有色版データがsi2部104を介して入力される。
クリアプロセッシング108は、入力された光沢制御版データを用いて、後述の表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断して、当該判断に応じて、グロッサ70のオン又はオフを決定する。
また、クリアプロセッシング108は、クリアトナー版生成部108Aを備える。クリアトナー版生成部108Aは、8ビットの光沢制御版データの各画素の位置と、8ビットのクリア版データの各画素の位置と、が重複する場合には、これらの画素の内、優先情報に基づいて、優先と設定された一方の画素を画素単位で排他し、他方の画素の濃度値を、該画素位置の濃度値として用いる(詳細後述)。
この排他処理によって、クリアトナー版生成部108Aでは、透明画像の第2領域と表面効果を与える第1領域との重複領域に位置する画素について、光沢制御版データを優先することを示す優先情報が設定されている場合には、該位置の画素については、光沢制御版データの8ビットの画素データを、2ビットの画素データに変換する。一方、クリアトナー版生成部108Aは、重複する位置の画素について、光沢制御版データを非優先とすることを示す優先情報が設定されている場合には、該位置の画素については、クリア版データの8ビットの画素データを、2ビットの画素データに変換する。なお、この排他処理の詳細については後述する。
そして、クリアプロセッシング108のクリアトナー版生成部108Aは、8ビットのクリア版データと8ビットの光沢制御版データとを、上記排他処理を行うことによって統合した版データと、CMYKの各8ビットの有色版データとを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する。
そして、表面効果の判断の結果に応じて、クリアプロセッシング108は、プリンタ機50で用いるクリアトナー版データと、通常定着後処理装置80で用いるクリア版データと、低温定着後処理装置90で用いるクリア版データと、を適宜生成してこれらを出力すると共に、グロッサ70のオン又はオフを示すオンオフ情報を出力する。
ここで、インバースマスクとは、表面効果を与える対象の領域を構成する各画素上のCMYKのトナー及びクリアトナーを合わせた総付着量が均一になるようにするためのものである。具体的には、CMYK版の画像データにおいて当該対象の領域を構成する画素の表す濃度値を全て加算し、その加算値を所定値から差し引いた画像データがインバースマスクとなる。例えば、後述するインバースマスク1は以下の式1で表される。
Clr=100−(C+M+Y+K) 但し、Clr<0となる場合、Clr=0
・・・(式1)
式1において、Clr,C,M,Y,Kは、クリアトナー及びC,M,Y,Kの各トナーのそれぞれについて、各画素における濃度値から換算される濃度率を表すものである。即ち、式1によって、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量にクリアトナーの付着量を加えた総付着量を、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素について100%にする。なお、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%以上である場合には、クリアトナーは付着させずに、その濃度率は0%にする。これは、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%を超えている部分は定着処理により平滑化されるためである。このように、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素上の総付着量を100%以上にすることで、当該対象の領域においてトナーの総付着量の差による表面の凸凹がなくなり、この結果、光の正反射による光沢が生じるのである。但し、インバースマスクには、式1以外により求められるものがあり、インバースマスクの種類は複数有り得る。
例えば、インバースマスクは、各画素にクリアトナーを均一に付着させるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、ベタマスクともいい、以下の式2で表される。
Clr=100・・・(式2)
尚、表面効果を与える対象の画素の中でも、100%以外の濃度率が対応付けられるものがあるようにしても良く、ベタマスクのパターンは複数有り得る。
また、例えばインバースマスクは、各色の地肌露出率の乗算により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式3で表される。
Clr=100×{(100−C)/100}×{(100−M)/100}×{(100−Y)/100}×{(100−K)/100}・・・(式3)
上記式3において、(100−C)/100は、Cの地肌露出率を示し、(100−M)/100は、Mの地肌露出率を示し、(100−Y)/100は、Yの地肌露出率を示し、(100−K)/100はKの地肌露出率を示す。
また、例えばインバースマスクは、最大面積率の網点が平滑性を律すると仮定した方法により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式4で表される。
Clr=100−max(C,M,Y,K)・・・(式4)
上記式4において、max(C,M,Y,K)は、CMYKのうち最大の濃度値を示す色の濃度値が代表値となることを示す。
要するに、インバースマスクは、上記式1〜式4の何れかの式により表されるものであればよい。
表面効果選択テーブルは、表面効果を示す光沢制御値としての濃度値と当該表面効果の種類の対応関係を示すと共に、これらと、情報処理システムの構成に応じた後処理機に関する制御情報と、プリンタ機50で用いるクリアトナー版の画像データ及び後処理機で用いるクリアトナー版の画像データとの対応関係を示すテーブルである。情報処理システムの構成は、様々に異なり得る。
本実施の形態においては、プリンタ機50に後処理機として、グロッサ70、通常定着後処理装置80、及び低温定着後処理装置90が接続される構成である。このため、情報処理システムの構成に応じた後処理機に関する制御情報とは、グロッサ70のオン又はオフを示すオンオフ情報となる。また、後処理機で用いるクリアトナー版の画像データとしては、通常定着後処理装置80、及び低温定着後処理装置90、の各々で用いるクリアトナー版データがある。
図22は、表面効果選択テーブルのデータ構成を例示する図である。尚、表面効果選択テーブルは、異なる情報処理システムの構成毎に、後処理機に関する制御情報と、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1のクリアトナー版データ、通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版2のクリアトナー版データ、及び低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版3のクリアトナー版データと、濃度値及び表面効果の種類との対応関係を示すように構成され得る。
図22では、本実施の形態に係る情報処理システムの構成に応じたデータ構成を例示している。同図に示される表面効果の種類及び濃度値の対応関係においては、濃度値の範囲毎に表面効果の各種類が対応付けられている。また、その濃度値の範囲の代表となる値(代表値)から換算される濃度の割合(濃度率)に対して2%単位で表面効果の各種類が対応付けられている。具体的には、濃度率が84%以上となる濃度値の範囲(「212」〜「255」)に対して光沢を与える表面効果(鏡面効果及びベタ効果)が対応付けられており、濃度率が16%以下となる濃度値の範囲(「1」〜「43」)に対して光沢を抑える表面効果(網点マット及びつや消し)が対応付けられている。また、濃度率が20%〜80%となる濃度値の範囲には、テクスチャや地紋透かしなどの表面効果が対応付けられている。
より具体的には、例えば、「238」〜「255」の画素値に対しては表面効果として鏡面光沢(PM:Premium Gross)が対応付けられており、このうち、「238」〜「242」の画素値、「243」〜「247」の画素値及び「248」〜「255」の画素値の3つの範囲に対して各々異なるタイプの鏡面光沢が対応付けられている。
また、「212」〜「232」の画素値に対しては、ベタ光沢(G:Gross)が対応付けられており、このうち、「212」〜「216」の画素値、「217」〜「221」の画素値、「222」〜「227」の画素値及び「228」〜「232」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプのベタ光沢が対応付けられている。また、「23」〜「43」の画素値に対しては、網点マット(M:Matt)が対応付けられており、このうち、「23」〜「28」の画素値、「29」〜「33」の画素値、「34」〜「38」の画素値及び「39」〜「43」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプの網点マットが対応付けられている。
また、「1」〜「17」の画素値に対しては、つや消し(PM:Premium Matt)が対応付けられており、このうち、「1」〜「7」の画素値、「8」〜「12」の画素値及び「13」〜「17」の画素値の3つの範囲に対して各々異なるタイプのつや消しが対応付けられている。
これらの同一の表面効果の異なるタイプはプリンタ機50や低温定着機90で使用するクリアトナー版の画像データを求める式に違いがあり、プリンタ本体や後処理機の動作は同じである。尚、「0」の濃度値には、表面効果を与えないことが対応付けられている。
また、図22には、画素値及び表面効果に対応して、グロッサ70のオン又はオフを示すオンオフ情報と、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1の画像データ、通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版2のクリアトナー版データ、及び低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版3のクリアトナー版データと、が各々示されている。
例えば、表面効果が鏡面光沢である場合、グロッサ70をオンにすることが示されると共に、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1の画像データは、インバースマスクを表すものであり、通常定着後処理装置80及び低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版2及びクリアトナー版3のクリアトナー版データは、ないことが示されている。当該インバースマスクは、例えば上述した式1により求められるものである。
また、濃度値が「228」〜「232」であり表面効果がベタ光沢である場合、グロッサ70をオフにすることが示されていると共に、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1の画像データは、インバースマスク1であり、低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データは、ないことが示されている。
なお、当該インバースマスク1は、上記式1〜式4の何れかの式により表されるものであればよい。これはグロッサ70がオフなので平滑化されるトナーの総付着量が異なるため、鏡面光沢により表面の凹凸が増え、その結果、鏡面光沢により光沢度が低いベタ光沢が得られる。また、表面効果が網点マットである場合、グロッサ70をオフにすることが示されていると共に、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1の画像データは、ハーフトーン(網点)を表すものであり、通常定着後処理装置80及び低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版2及びクリアトナー版3のクリアトナー版データは、ないことが示されている。
また、表面効果がつや消しである場合、グロッサ70をオン又はオフのいずれにしても良いことが示されていると共に、プリンタ機50で用いるクリアトナー版1のクリアトナー版データ、及び通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版2のクリアトナー版データは無く、低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版3のクリアトナー版データは、ベタマスクを表すものであることが示されている。当該ベタマスクは、例えば上述の式2により求められるものである。
図21に戻り、クリアプロセッシング108は、上述した表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版によって示される各画素値に対応付けられている表面効果を判断すると共に、グロッサ70のオン又はオフを判断して、プリンタ機50、通常定着後処理装置80、及び低温定着後処理装置90でどのようなクリアトナー版データを用いるかを判断する。なお、クリアプロセッシング108は、グロッサ70のオン又はオフの判断を1ページ毎に行う。そして、上述したように、クリアプロセッシング108は、当該判断の結果に応じて、クリアトナー版データを適宜生成してこれを出力すると共に、グロッサ70に対するオンオフ情報を出力する。
si3部109は、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データと、クリアプロセッシング108が生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データを、MIC40に出力する。
なお、クリアプロセッシング108は、プリンタ機50で用いるクリアトナー版データ、通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版データ、及び低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版データの内、少なくとも1種を生成しない場合がある。このため、クリアプロセッシング108が生成した方のクリアトナー版データがsi3部109で統合され、クリアトナー版データをクリアプロセッシング108が生成していない場合には、si3部109からはCMYKの各2ビットの有色版データが統合された画像データが出力される。この結果、DFE30からは各々2ビットの4つ〜7つの画像データがMIC40へ送り出されることになる。
また、si3部109は、クリアプロセッシング108が出力したグロッサ70に対するオンオフ情報もMIC40に出力する。
MIC40は、DFE30とプリンタ機50とに接続される。MIC40は、後処理機75として搭載されている装置構成を示す装置構成情報をDEF30に出力する。また、MIC40は、有色版データ、クリアトナー版データをDFE30から受信して各画像データを対応する装置に振り分けるとともに、後処理機75の制御を行う。
より具体的には、MIC40は、図23に例示されるように、DFE30から出力された画像データのうちCMYKの有色版データをプリンタ機50に出力し、プリンタ機50で用いるクリアトナー版データがある場合にはこれもプリンタ機50に出力し、DFE30から出力されたオンオフ情報を用いて、グロッサ70をオン又はオフにする。また、MIC40は、通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版データがある場合にはこれを通常定着後処理装置80に出力する。また、MIC40は、低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版データがある場合にはこれを低温定着後処理装置90に出力する。
グロッサ70はオンオフ情報によって定着を行う経路と行わない経路とを切り替えても良い。通常定着後処理装置80及び低温定着後処理装置90は、クリアトナー版データの有無によってオン又はオフの切り替えやグロッサ70と同様の経路の切り替えをしても良い。
なお、プリンタ機50は、図23に示すように、電子写真方式の複数の感光体51B、感光体51B上に形成されたトナー像を転写される転写ベルト51C、転写ベルト51C上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置51D、及び記録媒体上のトナー像を該記録媒体に定着させる定着装置51Aを備える。また、通常定着後処理装置80は、電子写真方式の感光体80A及び感光体80Aから転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置80Bを備える。低温定着後処理装置90は、電子写真方式の感光体90A及び感光体90Aから転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置90Bを備える。記録媒体は、図示を省略する搬送部材によって搬送されることで、プリンタ機50、通常定着後処理装置80、低温定着後処理装置90の設けられている位置を、この順に搬送される。そして、これらの装置によって順次処理が行われることで、記録媒体には、画像形成及び表面効果の付与がなされる。
次に、本実施の形態に係るDFE30が行う処理の手順を説明する。
図24は、DFE30が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
まず、DFE30が、ホスト装置11から画像データを受信する(ステップS1)。次に、レンダリングエンジン101は、これを言語解釈して、ベクター形式で表現される画像データをラスター形式に変換すると共に、RGB形式で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの色版の各8ビットの有色版データ、8ビットの光沢制御版データ、及び8ビットのクリア版データを得る(ステップS2)。
ステップS2では、レンダリングエンジン101は、オブジェクトごとに表面効果を特定する濃度値が指定された光沢制御版データを、オブジェクトを構成する画素ごとに濃度値が指定された光沢制御版データに変換する。
ここで、光沢制御版データに、優先情報が付与されている場合には、レンダリングエンジン101は、オブジェクトごとに表面効果を特定する濃度値が指定された光沢制御版データを、オブジェクトを構成する画素ごとに、濃度値及び優先情報が指定された光沢制御版データに変換する。
図25は、優先情報の付与された光沢制御版データの、各画素データの一例を示す図である。各画素データは、各画素の位置座標と、各画素の濃度値と、優先情報と、を含む。なお、優先情報は、tagbitに含めた構成としてもよい。
ここで、簡単にtagbitを光沢制御版とクリア版を例に説明する。例えば光沢制御版の各画素8bitに対し、別途、各画素1bitの光沢制御版tagbitを持ち、光沢制御版がクリア版より優先する画素を“1”、それ以外を“0”に設定する。光沢制御版、クリア版及び光沢制御版tagbitの各画素を参照し、光沢制御版tagbitが“1”の場合、光沢制御版のデータを優先し、光沢制御版tagbitが“0”の場合、クリア版のデータを優先することで狙いの画像を得ることができる。
図24に戻り、次に、DFE30のTRC103は、CMYKの色版の各8ビットの有色版データに対してキャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブでガンマ補正を行い、ハーフトーンエンジン105はガンマ補正後の有色版データに対して、プリンタ機70に出力するためのCMYK各2ビットの有色版データのデータ形式に変換するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データを得る(ステップS3)。
次に、DFE30のクリアプロセッシング108は、8ビットの光沢制御版データを用いて、表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データによって示される各画素値に対して指定された表面効果を判断する。そして、クリアプロセッシング108は、光沢制御版データを構成する全ての画素について、このような判断を行う。
なお、光沢制御版データは、各表面効果を与える領域を構成する全ての画素について基本的に同一の範囲の濃度値を表す。このため、同一の表面効果であると判断した近傍の画素については、クリアプロセッシング108は、同一の表面効果を与える領域に含まれるものとして判断する。このようにして、クリアプロセッシング108は、表面効果を与える領域と、当該領域に対して与える表面効果の種類とを判断する。そして、クリアプロセッシング108は、当該判断に応じて、グロッサ70のオン又はオフを決定する(ステップS4)。
次に、DFE30のクリアプロセッシング108は、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する(ステップS5)(詳細後述)。
次に、DFE30のSi3部109は、ステップS3で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データと、ステップS5で生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データと、ステップS4で決定したグロッサ70のオン又はオフを示すオンオフ情報とをMIC40に対して出力する(ステップS6)。
そして、本ルーチンを終了する。
次に、上記ステップS5のクリアトナー版生成処理を説明する。
図26は、クリアトナー版生成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、クリアトナー版生成部108Aが、ページ単位でに、クリア版データと光沢制御版データが重なるか否かを、同じ画素位置の画素毎に判断する(ステップS500)。ステップS500では、クリアトナー版生成部108Aは、クリア版データの各画素と、光沢制御版データの対応する同じ位置の画素と、の双方に濃度値が設定されているか否かを判別することで、ステップS500の判断を行う。
次に、クリアトナー版生成部108Aは、ステップS500で肯定判断した画素位置の画素について、光沢制御版データがクリア版データに対して優先するか否かを判断する(ステップS502)。クリアトナー版生成部108Aは、光沢制御版データにおける、ステップS500で肯定判断した該画素位置の画素データに、優先情報として「優先」を示す情報が含まれるか否かを判別することで、ステップS502の判断を行う。
ステップS502で肯定判断すると(ステップS502:Yes)、ステップS504へ進む。ステップS504では、クリアトナー版生成部108Aは、ステップS500で肯定判断した画素位置の画素データとして、光沢制御版データにおける該画素位置の画素データを採用することで、排他処理を行う(ステップS504)。そして、後述するステップS510へ進む。
一方、上記ステップS502で否定判断すると(ステップS502:No)、ステップS506へ進む。ステップS506では、クリアトナー版生成部108Aは、ステップS500で肯定判断した画素位置の画素データとして、クリア版データにおける該画素位置の画素データを採用することで、排他処理を行う(ステップS506)。そして、後述するステップS510へ進む。
一方、上記ステップS500で否定判断した場合には(ステップS500:No)、ステップS500で否定判断した画素位置の画素データとして、光沢制御版データ及びクリア版データの内、画素データに濃度値(0を超える値の濃度値)が存在する方の画素データを採用する。そして、ステップS510へ進む。
ステップS510では、クリアトナー版生成部108Aが、上記ステップS500〜ステップS508の処理によって採用された各画素位置の画素データからなる、クリアトナーを付着させるための8ビットの画素データを、2ビットの画素データに変換することで、2ビットのクリアトナー用の版データを生成する(ステップS510)。
そして、クリアトナー版生成部108Aは、上記排他処理を行うことによって生成した版データと、CMYKの各8ビットの有色版データを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナーを生成する(ステップS512)。そして、本ルーチンを終了する。
MIC40は、DFE30から出力された画像データであるCMYKの色版の有色版データ、ベタ光沢が指定された領域に対してプリンタ機50で用いるクリアトナー版データおよび鏡面光沢が指定された領域に対してプリンタ機50で用いるクリアトナー版データをプリンタ機50に出力し、DFE30から出力されたオンオフ情報を用いて、グロッサ70をオフにする。また、MIC40は、DFE30から出力された画像データのうち、透かし文字、地紋パターン、触感パターン、及び網点マットが指定された領域に対して通常定着後処理装置80で用いるクリアトナー版データを通常定着後処理装置80に出力する。また、MIC40は、DFE30から出力された画像データのうち、つや消しが指定された領域に対して低温定着後処理装置90で用いるクリアトナー版データを低温定着後処理装置90に出力する。
プリンタ機50は、MIC40から出力されたCMYKの色版の有色版データ、鏡面光沢が指定された領域に対してプリンタ機50で用いるクリアトナー版データおよびベタ光沢が指定された領域に対してプリンタ機50で用いるクリアトナー版データを用いて、記録媒体に、CMYKのトナー及びクリアトナーを付着させた画像を形成する。
また、通常定着後処理装置80は、MIC40から出力された、透かし文字、地紋パターン、触感パターンの指定された領域に対するクリアトナー版データを用いて、これらの領域に対してクリアトナーによるトナー像を形成して、記録媒体上に当該クリアトナー像を重ねて、低温での加熱及び加圧により記録媒体に定着させる。
また、低温定着後処理装置90は、MIC60から出力された、つや消しが指定された領域に対するクリアトナー版データを用いて、つや消しの領域に対してクリアトナーによるトナー像を形成して、記録媒体上に当該クリアトナー像を重ねて、低温での加熱及び加圧により記録媒体に定着させる。
以上の結果、記録媒体に、有色トナー及びクリアトナーが付着され、画像が形成される。
以上説明したように、本実施の形態の情報処理装置12では、ホスト装置11に設けられた優先情報付与部200Iが、光沢制御版データによって特定される第1領域と、クリア版データによって特定される第2領域と、の重複する重複領域について、何れの領域を優先するかを示す優先情報を、光沢制御版データに付与する。そして、クリアトナー版生成部108Aは、重複領域については、優先情報によって優先とされた光沢制御版データまたはクリア版データの濃度値を用い、重複領域以外については、該領域に濃度値の設定されている光沢制御版データまたはクリア版データの濃度値を用いて、クリアトナー版データを生成する。
このため、本実施の形態では、クリアトナーを付与する領域が記録媒体上で重なる場合であっても、ユーザ所望の印刷画像の形成を容易に実現することができる。
(実施の形態2)
なお、実施の形態1では、表示処理部15をホスト装置11に設けた構成である場合を説明したが、表示処理部15を、DFE30に設けた構成であってもよい。
図27は、本実施の形態に係る情報処理システム100Aの概略構成例を示すブロック図である。図27に示すように、情報処理システム100Aは、情報処理装置12A、及び印刷装置60を備える。
情報処理装置12Aは、ホスト装置11A、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)(以下、DFEと称する)30A、及びMIC40を備える。MIC40及び印刷装置60は、実施の形態1と同様である。
ホスト装置11Aは、原稿データ生成部10及び印刷データ生成部20を備える。ホスト装置11Aは、表示処理部15を備えない構成である以外は、実施の形態1のホスト装置11と同じ構成である。
DFE30Aは、実施の形態1で説明した表示処理部15に対応する表示処理部15Aを備えた以外は、実施の形態1のDFE30と略同じである。
図28は、本実施の形態のDFE30Aの機能的構成を示す模式図である。
DFE30Aは、図28に例示されるように、表示処理部15Aと、UI部16Aと、レンダリングエンジン101と、si1部102と、TRC103と、si2部104と、ハーフトーンエンジン105と、クリアプロセッシング108と、si3部109と、表面効果選択テーブル(不図示)とを有する。
レンダリングエンジン101、si1部102、TRC103、si2部104、ハーフトーンエンジン105、クリアプロセッシング108、si3部109、及び表面効果選択テーブルは、実施の形態1と同じである。
図29は、表示処理部15Aと、UI部16Aと、を示す機能ブロック図である。
表示処理部15Aは、受付部200Aに替えて受付部2000Aを備え、表示部99Dに替えてUI部16Aを備え、優先情報付与部200Iに接続された送信部200Nを更に備えた以外は、実施の形態1の表示処理部15と同じ構成である。
UI部16Aは、各種情報を表示すると共に、各種情報を受け付ける。UI部16Aは、実施の形態1の操作部99Bと表示部99Dの双方の機能を有するものが挙げられる。
受付部2000Aは、ホスト装置11Aから、印刷データを受付け、印刷データに含まれる、光沢制御版データ、クリア版データ、及び有色版データを、解析部200Lへ出力する。送信部200Nは、優先情報付与部200Iで優先情報の付与された光沢制御版データと、受付部2000Aで受け付けた、光沢制御版データ以外の情報(クリア版データ、有色版データ、及びJDF等)と、をレンダリングエンジン101へ出力する。
なお、本実施の形態では、表示処理部15Aは、各種情報の表示及び各種情報の入力を、UI部16Aを介して行う。
このように、DFE35Aを、表示処理部15Aを備えた構成としてもよい。
このような構成とすることで、本実施の形態では、DFE30A側で、優先情報の設定を行うことができる。
また、ホスト装置11A及びDFE35Aの双方に、表示処理部15Aを備えた構成としてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、DFE30のクリアプロセッシングで、優先順位の設定情報を行う場合を説明する。
図30は、本実施の形態に係る情報処理システム100Bの概略構成例を示すブロック図である。図30に示すように、情報処理システム100Bは、情報処理装置12B、及び印刷装置60を備える。
情報処理装置12Bは、ホスト装置11A、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)(以下、DFEと称する)30B、及びMIC40を備える。MIC40及び印刷装置60は、実施の形態1と同様である。また、ホスト装置11Aは、実施の形態2と同じである。
図31は、本実施の形態のDFE30Bの機能的構成を示す模式図である。
DFE30Bは、図31に例示されるように、UI部6086と、レンダリングエンジン101と、si1部102と、TRC103と、si2部104と、ハーフトーンエンジン105と、クリアプロセッシング108Bと、si3部109と、表面効果選択テーブル(不図示)とを有する。UI部6086は、実施の形態2のUI部16Aと同様である。
DFE30Bは、クリアプロセッシング108に替えて、クリアプロセッシング108Bを設けた以外は、実施の形態1のDFE30と同じである。
クリアプロセッシング108Bは、光沢制御版データを用いて、表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断して、当該判断に応じて、グロッサ70のオン又はオフを決定する。
また、クリアプロセッシング108Bは、表示処理部6080、記憶部6084、及びクリアトナー版生成部6082を備える。クリアトナー版生成部6082は、表示処理部6080から受け付けた、優先情報の付与された光沢制御版データを用いる以外は、実施の形態1のクリアトナー版生成部108Aと同じである。
記憶部6084は、各種データを記憶する。表示処理部6080は、表示制御部6080A、受付部6080B、及び優先情報付与部6080Cを備える。
表示制御部6080Aは、表示画像生成部6082A、及び合成画像生成部6084Aを備える。表示画像生成部6082Aは、クリアプロセッシング108Bで受け付けた8ビットの光沢制御版データ、8ビットのクリア版データ、及び8ビットのクリア版データから、UI部6086で表示するための表示用画像を生成し、UI部6086に表示する。この表示画像生成部6082Aは、実施の形態1の表示画像生成部200Mと同様にして、クリアトナーを付与する領域を水色や青色等の表示色に変換した第2クリア版データ及び第2光沢制御版データを生成することで、表示用画像を生成する。
合成画像生成部6084Aは、実施の形態1の合成画像生成部200Hと同様にして、有色版データ、第2クリア版データ、及び第2有色版データを合成した合成画像を、UI部6086に表示する。
これによって、UI部6086には、実施の形態1と同様に、例えば、図19に示す合成画像が表示される。
優先情報付与部6080Cは、実施の形態1の優先情報付与部200Iと同様に、UI部6086を介して受付部6080Bで受け付けた優先情報を、光沢制御版データに付与する。具体的には、光沢制御版データの、各画素位置の画素データを、設定された優先情報を含む画素データに変換することで、優先情報を付与する。
これによって、優先情報を付与された光沢制御版データの、各画素データは、実施の形態1でも説明したように、図25に示すデータ構造となる。なお、優先情報は、tagbitに含めた構成としてもよい。
図31に戻り、そして、クリアプロセッシング108Bのクリアトナー版生成部6082は、表示処理部6080で画素毎に優先情報の付与された光沢制御版データと、si1部102やsi2部104から受け付けたクリア版データ及び有色版データと、から、クリアトナー版を生成する。
次に、表示処理部6080が実行する優先情報付与処理を説明する。図32は、表示処理部6080が実行する優先情報付与処理の手順を示す、フローチャートである。
まず、表示処理部6080が、si1部102から受け付けた、8ビットの光沢制御版データを読取る(ステップS600)。
次に、表示画像生成部6082Aは、読み取った8ビットの光沢制御版データについて、同じ濃度の画素毎に分類することで、光沢制御版データを、同じ表面効果の種類の設定されたオブジェクト毎に分類する(ステップS602)。
次に、表示処理部6080は、si1部102から受け付けた、8ビットのクリア版データを読取る(ステップS604)。
次に、表示画像生成部6082Aは、読み取った8ビットのクリア版データについて、同じ濃度の画素毎に分類することで、クリア版データを、同じ濃度の設定されたオブジェクト(透明画像)毎に分類する(ステップS606)。
次に、表示画像生成部6082Aは、実施の形態1の表示画像生成部200Mと同様にして、上記ステップS602及びステップS606で分類した領域(オブジェクト)毎に、各領域の色を、各濃度値に対応する表示色として予め設定した水色や青色等の表示色に変換した、第2クリア版データ及び第2光沢制御版データを生成することで、表示画像を生成する(ステップS610)。
次に、合成画像生成部6084Aは、実施の形態1の合成画像生成部200Hと同様にして、有色版データ、第2クリア版データ、及び第2有色版データを合成した合成画像を、UI部6086に表示する(ステップS612、ステップS614)。
次に、優先情報付与部6080Cが、光沢制御版データに優先情報を付与する、優先設定処理を実行する(ステップS616)。これによって、光沢制御版データを構成する各画素の画素データに優先情報が付与される(詳細後述)。
次に、優先情報付与部6080Cは、優先情報を付与した光沢制御版データをクリアトナー版生成部6082へ送信し(ステップS618)、本ルーチンを終了する。
次に、上記ステップS616の優先設定処理について詳細に説明する。図33は、優先設定処理の手順を示すフローチャートである。
優先情報付与部6080Cは、実施の形態1の優先情報付与部200Iと同様にして、優先設定処理を行う。
具体的には、優先情報付与部6080Cは、合成画像生成部6084Aから受け付けた、合成画像を、UI部6086に表示する(ステップS651)。
これによって、実施の形態1と同様に、図19に示す合成画像がUI部6086に表示される。
図33に戻り、次に、ステップS652において、優先情報付与部6080Cは、光沢制御版データにおける、設定対象ページ内の全てのオブジェクト(同じ濃度値として分類された各領域)について、優先情報の設定が完了したか否かを判断する(ステップS652)。
次に、優先情報付与部6080Cは、光沢制御版データにおける、設定対象ページ内のオブジェクトの内の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(ステップS654)。ステップS654で肯定判断すると(ステップS654:Yes)、ステップS656へ進み、ステップS654で否定判断すると(ステップS654:No)、ステップS658へ進む。
ステップS656では、優先情報付与部6080Cが、指定された、光沢制御版データにおける設定対象ページ内の、ステップS654で指定されたオブジェクトに対応する領域の画素位置を示す情報を、図示を省略するメモリに記憶する(ステップS656)。
次に、優先情報付与部6080Cは、クリア版データにおける、設定対象ページ内のオブジェクト(同じ濃度値として分類された各領域)の内の少なくとも1つが指定されたか否かを判断する(ステップS658)。
ステップS658で肯定判断すると(ステップS658:Yes)、ステップS660へ進み、ステップS658で否定判断すると(ステップS658:No)、ステップS662へ進む。
ステップS660では、優先情報付与部6080Cが、指定された、クリア版データにおける設定対象ページ内の、ステップS658で指定されたオブジェクトに対応する領域の画素位置を示す情報を、図示を省略するメモリに記憶する(ステップS660)。
次に、優先情報付与部6080Cは、光沢制御版データ内のオブジェクト(同じ濃度値として分類された各領域)と、クリア版データ内のオブジェクト(同じ濃度値として分類された各領域)と、の双方が指定済であるか否かを判断する(ステップS662)。
上記ステップS662で否定判断すると、上記ステップS654へ戻り、上記ステップS662で肯定判断すると、ステップS664へ進む。
ステップS664では、上記ステップS654〜ステップS662の処理によって指定された、光沢制御版データのオブジェクト(第1領域)と、クリア版データのオブジェクト(第2領域)と、の重複領域について、何れの領域(オブジェクト)を優先させるかを示す優先情報の指定がなされたか否かを判断する(ステップS664)。
優先情報付与部6080Cは、ステップS664で肯定判断(ステップS664:Yes)するまで否定判断(ステップS664:No)を繰り返す。そして、ステップS664で肯定判断(ステップS664:Yes)すると、ステップS666へ進み、上記ステップS654で指定された、光沢制御版データのオブジェクト(第1領域)を示す情報と、ステップS658で指定された、クリア版データのオブジェクト(第2領域)を示す情報と、第1領域に対して第2領域が優先するか否か(非優先)を示す優先情報と、を図示を省略するメモリに記憶する(ステップS666)。そして、上記ステップS651へ戻る。
一方、上記ステップS652で肯定判断されると(ステップS652:Yes)、ステップS668へ進む。ステップS668では、優先情報付与部6080Cが、光沢制御版データに、各オブジェクト(第1領域、同一濃度として分類された各領域)の優先情報を付与する(ステップS668)。
ステップS668では、詳細には、優先情報付与部6080Cは、上記ステップS666でメモリに格納された情報に基づいて、光沢制御版データにおける、設定対象ページの、同一濃度として分類された各領域(第1領域、オブジェクト)を構成する各画素の画素データに、例えば、tagbitとして、対応する優先情報(優先または非優先を示す優先情報)を付与する。これによって、設定対象ページの光沢制御版データは、各画素毎に、重複する透明画像に対して優先であるか、非優先であるか、を示す優先情報の付与された状態となる。
次に、優先情報付与部6080Cは、光沢制御版データの全頁について、優先情報が付与されることで、全頁終了したか否かを判断する(ステップS670)。ステップS670で否定判断すると(ステップS670;No)、ステップS672へ進む。ステップS672では、優先情報を設定する対象のページを、前回とは異なるページに切替える(ステップS672)。そして、上記ステップS651へ戻る。一方、ステップS670で肯定判断すると(ステップS670:Yes)、本ルーチンを終了する。
ステップS650〜ステップS672の処理が実行されることによって、光沢制御版データには、含まれるオブジェクト(第1領域)を構成する各画素毎に、優先情報が付与された状態となる。
次に、本実施の形態のクリアトナー版生成部6082が実行する、クリアトナー版生成処理を説明する。クリアトナー版生成部6082は、実施の形態1のクリアトナー版生成部108Aが実行する処理(図26参照)と同様の処理を行うことで、クリアトナー版を生成する。なお、異なる点は、本実施の形態では、クリアトナー版生成部6082は、表示処理部6080から受け付けた、優先情報の付与された光沢制御版データを用いて、クリアトナー版生成を行う点である。
図34は、本実施の形態のクリアトナー版生成部6082が実行する、クリアトナー版生成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、クリアトナー版生成部6082が、ページ単位で、クリア版データと光沢制御版データが重なるか否かを、上記ステップS500と同様にして、同じ画素位置の画素毎に判断する(ステップS700)。
次に、クリアトナー版生成部6082は、ステップS700で肯定判断した画素位置の画素について、光沢制御版データがクリア版データに対して優先するか否かを判断する(ステップS702)。クリアトナー版生成部6082は、光沢制御版データにおける、ステップS700で肯定判断した該画素位置の画素データに、優先情報として「優先」を示す情報が含まれるか否かを判別することで、ステップS702の判断を行う。
ステップS702で肯定判断すると(ステップS702:Yes)、ステップS704へ進む。ステップS704では、クリアトナー版生成部6082は、ステップS700で肯定判断した画素位置の画素データとして、光沢制御版データにおける該画素位置の画素データを採用することで、排他処理を行う(ステップS704)。そして、後述するステップS710へ進む。
一方、上記ステップS702で否定判断すると(ステップS702:No)、ステップS706へ進む。ステップS706では、クリアトナー版生成部6082は、ステップS700で肯定判断した画素位置の画素データとして、クリア版データにおける該画素位置の画素データを採用することで、排他処理を行う(ステップS706)。そして、後述するステップS710へ進む。
一方、上記ステップS700で否定判断した場合には(ステップS700:No)、ステップS700で否定判断した画素位置の画素データとして、光沢制御版データ及びクリア版データの内、画素データに濃度値(0を超える値の濃度値)が存在する方の画素データを採用する。そして、ステップS710へ進む。
ステップS710では、クリアトナー版生成部6082が、上記ステップS700〜ステップS708の処理によって採用された各画素位置の画素データからなる、クリアトナーを付着させるための8ビットの画素データを、2ビットの画素データに変換することで、2ビットのクリアトナー用の版データを生成する(ステップS710)。
そして、クリアトナー版生成部6082は、上記排他処理を行うことによって生成した版データと、CMYKの各8ビットの有色版データを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナーを生成する(ステップS712)。そして、本ルーチンを終了する。
そして、クリアプロセッシング108Bは、実施の形態1と同様にして、クリアトナー版生成部6082で生成された、プリンタ機50で用いるクリアトナー版データと、通常定着後処理装置80で用いるクリア版データと、低温定着後処理装置90で用いるクリア版データと、を適宜生成してこれらを出力すると共に、グロッサ70のオン又はオフを示すオンオフ情報を出力する。
以上説明したように、光沢制御版データへの優先情報の付与を、DFE30Bのクリアプロセッシング108Bで実行してもよい。
(実施の形態4)
実施の形態1〜実施の形態3では、ホスト装置11、ホスト装置11Bで原稿データを生成するように構成したが、これに限定されるものではない。
すなわち、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にしてもよい。
その一例として、本実施の形態に係る情報処理システムでは、ホスト装置の機能の一部を、ネットワーク上のサーバ装置上に実装している。
図35は、本実施の形態に係る情報処理システムの構成を例示する図である。図35に示すように、本実施の形態の情報処理システム100Dは、ホスト装置110と、DFE30と、MIC40と、印刷装置60と、を備えている。
本実施の形態では、ホスト装置110が、インターネット等のネットワークを介して、サーバ装置3060と接続された構成となっている。また、本実施の形態では、第1の実施の形態のホスト装置11における原稿データ生成部10の機能を、サーバ装置3060に設けた構成となっている。
ここで、ホスト装置110、DFE30、MIC40、及び印刷装置60の接続構成は、第1の実施の形態と同様である。
すなわち、具体的には、第4の実施の形態では、ホスト装置110がインターネット等のネットワーク(クラウド)を介して、単一のサーバ装置3060に接続し、サーバ装置3060は、第1の実施の形態の原稿データ生成部10の機能を設け、サーバ装置3060で、原稿データの生成処理を行うように構成している。
まず、サーバ装置3060について説明する。図36は、本実施の形態にかかるサーバ装置3060の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置3060は、記憶部3070と、原稿データ生成部3062と、記憶部3070と、通信部3065と、を主に備えている。
記憶部3070は、HDDやメモリ等の記憶媒体であり、濃度値選択テーブルや表面効果選択テーブルを記憶する。
通信部3065は、ホスト装置110との間で各種データや要求の送受信を行う。より具体的には、通信部3065は、ホスト装置110から、有色版データや、優先情報の付与された光沢制御版データ等を受信する。なお、有色版データや、優先情報の付与された光沢制御版データは、上記実施の形態と同様である。また、通信部3065は、生成された原稿データを、ホスト装置110へ送信する。
原稿データ生成部3062は、実施の形態1における原稿データ生成部10と同様の機能を有し、通信部3065を介して外部装置から受け付けた有色版データや、表面効果の指定情報、透明画像の指定情報、及び原稿データの生成要求や、優先情報の付与された光沢制御版データを、受け付ける。そして、受け付けた表面効果の指定情報、透明画像の指定情報から、クリア版データ及び光沢制御版データを生成する。これらのクリア版データ及び光沢制御版データの生成は、原稿データ生成部10と同様にして行う。そして、原稿データ生成部3062は、原稿データを生成する。また、さらに、ホスト装置11から、優先情報の付与された光沢制御版データを受け付けた場合には、原稿データ生成部3062は、クリア版優先情報の付与された光沢制御版データと、光沢制御版データ及び有色版データを含む原稿データを生成し、ホスト装置110へ送信する。
次に、ホスト装置110について説明する。
図37は、ホスト装置110を示す機能ブロック図である。ホスト装置110は、表示部99Dと、入力部99Aと、制御部3015と、I/F部3011と、を備える。制御部3015は、入力制御部124、画像処理部120、表示制御部121、記憶部123、及び表示処理部15を備える。これらの表示部99Dと、入力部99Aと、制御部3015と、I/F部3011と、を備える。制御部3015は、入力制御部124、画像処理部120、表示制御部121、記憶部123、及び表示処理部15は、実施の形態1と同様である。
I/F部3011は、DFE30と、サーバ装置3060と、各種データを送受信する。
図38は、ホスト装置110の制御部3015による、原稿データの生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、クリア版データ及び光沢制御版データの双方を作成する場合を説明する。
まず、入力制御部124が、画像指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS800:YES)、表示制御部121は、受け付けた画像指定情報で指定された画像を表示するように表示部99Dを制御する(ステップS802)。次に、入力制御部124が表面効果の指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS804:Yes)、記憶部123に記憶する(ステップS806)。
次に、入力制御部124が透明画像の指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS810:Yes)、版データ生成部122は、受け付けた指定情報を、記憶部123に記憶する(ステップS812)。
次に、制御部3015は、記憶部123に記憶された、透明画像の指定情報と、表面効果の指定情報と、原稿データの生成要求と、をサーバ装置3060へ送信する(ステップS814)。
次に、制御部3015では、サーバ装置3060から、原稿データを受け付ける(ステップS816)。そして、制御部3015は、サーバ装置3060から受け付けた原稿データを、記憶部123へ記憶する(ステップS818)。
次に、表示制御部121が、上記ステップS818で記憶部123に記憶された原稿データを、表示処理部15へ送信する(ステップS820)。表示処理部15では、実施の形態1と同様にして、優先順位の付与された光沢制御版データを生成する。
次に、制御部3015では、表示処理部15の処理によって、光沢制御版データに優先順位が付与されたか否かを判断する(ステップS822)。ステップS822で肯定されると(ステップS822:Yes)、ステップS824へ進む。
ステップS824では、制御部3015は、有色版データと、クリア版データと、表示処理部15で生成された、優先情報を付与された光沢制御版データと、を含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する(ステップS824)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS822で否定判断した場合には(ステップS822:No)、ステップS826へ進む。ステップS826では、制御部3015は、有色版データと、クリア版データと、優先情報の付与されていない光沢制御版データと、を含む原稿データを、印刷データ生成部20へ送信する(ステップS826)。そして、本ルーチンを終了する。
次に、サーバ装置4060の原稿データ生成部3062で実行する処理を説明する。
図39は、第4の実施の形態にかかるサーバ装置3060による原稿データの生成処理の手順を示すフローチャートである。通信部3065が、ホスト装置110から原稿データの生成要求と画像指定情報と指定情報とを受信したら(ステップS3401)、原稿データ生成部3062は、まず、画像指定情報に基づいて、有色版データを生成する(ステップS3402)。
次に、原稿データ生成部3062は、オペレーティングシステム等で提供される描画コマンドおよび描画コマンドで設定された座標値等を用いて、表面効果の指定情報により対象画像に対して表面効果が付与されたオブジェクトとその座標を特定する(ステップS3403)。
次に、原稿データ生成部3062は、記憶部3070に保存されている濃度値選択テーブルを参照して、指定情報でユーザが付与した表面効果に対応する濃度値を決定する(ステップS3404)。
そして、原稿データ生成部3062は、光沢制御版データ(当初は空データ)に、オブジェクトと、表面効果に対応して決定された濃度値とを対応付けて登録する(ステップS3405)。
次に、原稿データ生成部3062は、有色版データに存在する全てのオブジェクトに対して上記ステップS3402からS3404までの処理を完了したか否かを判断する(ステップS3406)。そして、まだ完了していない場合には(ステップS3406:No)、原稿データ生成部3062は、有色版画像データ中でまだ未処理の次のオブジェクトを選択して(ステップS3407)、ステップS3403からS3405までの処理を繰り返し実行する。
そして、ステップ3406において、有色版画像データの全てのオブジェクトに対してステップS3403からS3405までの処理を完了したと判断された場合には(ステップS3406:Yes)、光沢制御版データの生成を完了する。
次に、原稿データ生成部3062は、指定情報の中の透明画像の指定に基づいて、クリア版データを生成する(ステップS3408)。
そして、原稿データ生成部3062は、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データを統合した原稿データを生成する(ステップS3409)。そして、原稿データ生成部3062は、生成した原稿データを、ホスト装置110に送信する(ステップS3410)。そして、本ルーチンを終了する。
なお、その他の構成については、第1の実施の形態と同様に行われる。
このように本実施の形態では、原稿データの生成を、クラウド上のサーバ装置3060で行っているので、実施の形態1の効果の他、複数のホスト装置3010やホスト装置110が存在する場合でも、原稿データの生成を一括して行うことができ、管理者の便宜となる。
なお、本実施の形態では、クラウド上の単一のサーバ装置3060に、原稿データ生成部3062を設けた構成としたが、これに限定されるものではない。
例えば、クラウド上に2以上のサーバ装置を設け、上記各処理を、2以上のサーバ装置で分散させて実行するように構成してもよい。図41は、クラウド上に2つのサーバ(第1サーバ装置3860と第2サーバ装置3861)を設けたネットワーク構成図である。図41の例では、第1サーバ装置3860と第2サーバ装置3861とで、原稿データの生成を、分散して行うように構成する。
なお、各処理の各サーバ装置への分散の形態はこれに限定されるものではなく、任意に行うことができる。
すなわち、ホスト装置110に入力部99A、入力制御部124、画像処理部120、表示制御部121、表示部99B等の最低限の構成を設ければ、各処理の一部または全部をクラウド上の一つのサーバ装置に集中して設けたり、複数のサーバ装置に分散させて設けたりすることは任意に行うことができる。
言い換えると、上述の例のように、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にすることができる。
また、上記の「一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成」の場合、一の装置で行われた処理で発生したデータ(情報)を一の装置から他の装置に出力する処理、そのデータを他の装置が入力する処理等、一の装置と他の装置間、さらには、他の装置間同士で行われるデータの入出力処理を含むような構成となる。
つまり、他の装置が1つの場合では、一の装置と他の装置間で行われるデータの入出力処理を含むような構成となり、他の装置が2以上の場合では、一の装置と他の装置間、及び、第一の他の装置・第二の他の装置間のように他の装置間同士でデータの入出力処理を含むような構成となる。
また、本実施の形態では、サーバ装置3060、あるいは第1サーバ装置3860および第2サーバ装置3861などの複数のサーバ装置を、クラウド上に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、サーバ装置3060、あるいは第1サーバ装置3860および第2サーバ装置3861などの複数のサーバ装置を、イントラネット上に設ける等、あらゆるネットワーク上に設けた構成としてもよい。
次に、上述した実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861のハードウェア構成について説明する。図41は、ホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861のハードウェア構成図である。ホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPUなどの制御装置1010と、各種データや各種プログラムを記憶するROMやRAMなどの主記憶装置1020と、各種データや各種プログラムを記憶するHDDなどの補助記憶装置1030と、キーボードやマウス等の入力装置1050と、ディスプレイ装置等の表示装置1040とを主に備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
上記実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、上記実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861で実行される画像処理プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記実施の形態のホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
上述した実施の形態において、情報処理システムは、ホスト装置11、11A、11B、110、DFE30、30A、30B、MIC40、プリンタ機50、グロッサ70、通常定着後処理装置80、及び低温定着後処理装置90を備えるように構成したが、これに限らない。例えば、DFE30、30A、30B、MIC40、プリンタ機50を一体的に形成して1つの画像形成装置として構成するようにしても良いし、更に、グロッサ70、通常定着後処理装置80、及び低温定着後処理装置90の内の少なくとも1つを備えた画像形成装置として形成するようにしても良い。
上述した実施の形態の情報処理システムにおいては、CMYKの複数の色のトナーを用いて画像を形成するようにしたが、1色のトナーを用いて画像を形成するようにしても良い。
なお、上述した実施の形態のプリンタシステムは、MIC40を備えた構成としているが、これに限定されるものではない。上述したMIC40が行う処理、機能をDFE30等の他の装置にもたせて、MIC40を設けない構成としてもよい。