JP5927736B2 - 交差部支持金具 - Google Patents
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Description
(1)重ね合わせた円盤部材どうしは「ボルト」によって緊締されるが、ボルトは円盤部材のボルト孔に形成された「バーリング(タップ)」部分に螺合するようになっているため、一般的なボルトとナットの締結に比べて信頼性に欠ける。
(2)吊りボルト振れ止め交差金具の両サイドに配置される円盤部材は、同一形状をしているため、生産性に優れているが、円盤部材の緊締のためにボルト締めをする場合に、吊りボルト振れ止め交差金具の両サイドから作業をしなくてはならず、作業性に難がある。
(3)円盤部材の回転可能な範囲が狭く、あらゆる棒状体等の交差角度X(0度<X<90度)に対応できるものではない。
(4)棒状体どうしが吊りボルト振れ止め交差金具により離れて交差しているので、棒状体が撓んだ状態になり応力(外力)に対する抵抗力が弱くなる(より撓みやすくなる)。
(5)棒状体等を吊りボルト振れ止め交差金具に係合する手段がない。
第2の発明は、垂下された吊部材又は鋼材に設けられる振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材とを交差状に連結するために、一方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第1円盤部材と、他方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第2円盤部材と、を重ね合わせて緊締する交差部支持金具であって、第1円盤部材には、1又は2以上のボルトを当該ボルトのネジ部が内側へ突起するように固着(溶接)して備え、第2円盤部材には、第1円盤部材のボルトを挿通させてナットと螺合させるとともに、第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にさせる1又は2以上の穿孔を備えた、ことを特徴とするものである。
第3の発明は、第2円盤部材の穿孔が、振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材との交差角度Xが0度≦X≦180度(又は、0度<X<180度、又は、0度≦X≦90度、又は、0度<X<90度)になるように第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にする形状に形成されたことを特徴とする同交差部支持金具である。
第4の発明は、第1円盤部材又は/及び第2円盤部材の溝部に、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を係合する係合手段を備えたことを特徴とする同交差部支持金具である。
第5の発明は、第1円盤部材と第2円盤部材の当接する当接面に相互に係合する放射状の凹凸部を形成したことを特徴とする同交差部支持金具である。
「円盤部材」は、円形状のものに限らず、多角形状のものであってもよい。
「ボルト・ナット」には、本願発明の趣旨に反しない限り、締結具として公知のボルト・ナットが含まれる。
「穿孔」の形状は、本願発明の趣旨に反しない限り、とくに限定されるものではない(例えば、円形・多角形状のものであってもよいし、長孔のように延伸しているものであってもよい)。
(1)本願発明は、第1円盤部材にボルト孔の外側に固着(溶接)されたナットを備えることで、一般的に使用されている信頼性のあるボルト・ナットでトルクをかけることができるので、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を強固に保持できる。
(2)同様に、第1円盤部材に1又は2以上のボルトを当該ボルトのネジ部が内側へ突起するように固着(溶接)して備えることで、円盤部材どうしを緊締するための一般的に使用されている信頼性のあるボルト・ナットでトルクをかけることができるので、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を強固に保持できる。
(3)また、本願発明は、第2円盤部材側(交差部支持金具の片側)からボルト又はナットの締め付け作業が行えるので、施工性に優れている(交差部支持金具の両側から作業をする必要がない)。
(4)振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材とが直接接して交差している(最小限度の撓みで交差している)ので、剛性を強め一体となって応力(外力)に対する抵抗力が増す。
(5)第2円盤部材の穿孔が、振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材との交差角度が0度〜180度(或いは0度〜90度)の範囲になるように第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にする形状に形成されることで、取り付け角度(交差角度)を選ばずに使用できる。
(6)第1円盤部材及び第2円盤部材の溝部に、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材と係合する係合手段を備えることで、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材の食いつきを良くし、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を強固に保持できる。
(7)第1円盤部材と第2円盤部材の当接する当接面に相互に係合する放射状の凹凸部を形成することで、取り付け角度(交差角度)を確実に固定(確保)できる。その結果として、地震等の揺れによっても交差角度が変わらず、剛性を保持できる。
図1に示すように、交差部支持金具10は、第1円盤部材20と第2円盤部材30とを備える。
第1円盤部材20と第2円盤部材30には、それぞれ振止部材(図示省略)を配設する溝部21、溝部31を設けている。
また、第2円盤部材30には、第1円盤部材20のボルト孔22,23を介してナット24,25に螺合するボルト40,41を挿通させるとともに、第2円盤部材30を第1円盤部材20に対して回動可能にさせる穿孔32,33を備える。なお、符号42,43は、ワッシャーである。
図3に示すように、交差部支持金具10は、振止部材50と振止部材51とを交差状に連結している。このとき、穿孔32,33は、振止部材50と振止部材51の交差角度が0度〜90度になるように第2円盤部材30を第1円盤部材20に対して回動可能にする形状に形成されている。これにより、振止部材50と振止部材51の取り付け角度(交差角度)を選ばずに使用できる(交差角度の最大角度が90度を超えた場合には、交差部支持金具10を90度回転させれば同じことである)。
図4に示すように、第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、第1円盤部材20にナット24,25ではなく、ボルト26,27を固着し、第1円盤部材20と第2円盤部材30とを緊締するためにナット44,45を用いた点である(図示するダブルナットの使用は本実施形態に限らず他の実施形態でもよい)。このような構造にすることで、第1実施形態と同様にナット44,45に十分なトルクをかけて締め付けることができ、振止部材(図示省略)を強固に保持できる。なお、ナット44,45として蝶ナット仕様のものを使用することで、仮止めを簡易に行うことができる(締め付けには、蝶ナット締付工具を使用する)。また、ナット44,45を第2円盤部材30の穿孔32,22から脱落しないような構造(非脱落構造:例えば、図4(c)に示すような構造)にしてもよい。その他の構造・作用・効果については、第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
第3実施形態は、第1円盤部材20又は/及び第2円盤部材30に対する振止部材(図示省略)の食いつきを良くし、振止部材(図示省略)を強固に保持するため、第1円盤部材20又は/及び第2円盤部材30の溝部21,31に備えられた係合手段である(図面上、溝部21で説明するが、溝部31でも同じである)。
図5(a)は、第1円盤部材20の溝部21の内面をねじ形状21aに切ったものである。こうすることで、振止部材(図示省略)の食いつきを良くできる。また、ねじ形状になっていなくても、振止部材が少しでも係合される形状であればよい(例えば、ローレット状等)。
図5(b)は、第1円盤部材20の溝部21の内面に1個以上の突起物(エンボス状等)21bを形成したものである。こうすることで、振止部材(図示省略)の食いつきを良くできる。
図5(c)は、第1円盤部材20の溝部21の長手方向両端(又は内側部分の1又は2箇所以上)を振止部材(図示省略)側へ折り曲げるものであり、図示した例は切り欠きをして引っ掛け部21cを形成したものある。こうすることで、振止部材(図示省略)の食いつきを良くできる。なお、切り欠きの形状は図示するコ字形のものに限定されず、その他の形状(例えば、三角形状など)であってもよい。また、切り欠きの方向も図示する溝部長手方向に限定されず、その他の方向(例えば、溝部短手方向など)であってもよい。なお、図示省略するが、溝部21の長手方向両端を押圧等によって変形させて係合手段としてもよい。
第4実施形態は、ボルト40,41に関するものである。
図6(a)は、第1円盤部材20と第2円盤部材30とを緊締するためにボルトとして、先端が細くなっている棒先ボルト40a,41aを使用したものである。この棒先ボルト40a,41aを使用することで、第1円盤部材20のボルト孔22,23へ挿通するときに、当たりを付けやすくなり、施工性がさらに向上する(図6(c)参照)。
図6(b)は、第1円盤部材20と第2円盤部材30とを緊締するためのボルトとして、ネジ部の根元を細く形成したボルト40b,41bを使用したものである。このボルト40b,41bを使用することで、ボルト40b,41bの細く形成された根元部分が第2円盤部材の穿孔32,33の縁部分に引っ掛かるために、ボルトの抜け落ち防止効果があり、施工性がさらに向上する(図6(d)参照)。
なお、第4実施形態ではワッシャーを使用していないが、ワッシャー・スプリングワッシャー等を使用してもよい(他の実施形態においても同じ)。
第5実施形態は、第1円盤部材20と第2円盤部材30とを緊締するためのボルト及びナットの着脱を不要とする構造(ボルト及びナットを着脱しなくても第1円盤部材20と第2円盤部材30とを組み立てることのできる構造)である。
図7(a)に示すように、第1円盤部材20の溝部21と第2円盤部材30の溝部31とが平行した状態(=交差角度0度の状態)において、ナット24,25に螺合されたボルト40,41のボルト頭を貫通可能とする拡孔部34,35を穿孔32,33にそれぞれ形成する(ワッシャー付きの場合には、ボルト及びワッシャーを貫通可能にする拡径部を穿孔に形成する)。
そして、図7(c)に示すように、振止部材(図示省略)どうしの交差角度に合わせて第2円盤部材30を第1円盤部材20に対して矢印の方向へ回動させて緊締する。回動後にボルト40,41は拡孔部34,35以外の穿孔32,33にあるので、ボルト40,41及びナット24,25による第2円盤部材30と第1円盤部材20との緊締状態は維持される。
なお、回動後にボルト40,41が拡孔部34,35に位置することはあり得ないので(振止部材の交差角度が0度になることはないから)、ボルト40,41が第1円盤部材20から外れてしまうことはなく、実際の使用に支障はない。
A)ナット固着:ボルトフリー(第5実施形態:図7)…A1
ボルト非脱落構造(第4実施形態:図6(d))…A2
B)ボルト固着:ナットフリー…B1
ナット非脱落構造(第2実施形態:図4(c))…B2
C)ナット・ボルトフリー
D)打痕等:ボルトのネジ山部分の一部機能を無くして、ボルト・ナットの分離(脱落)をできなくしたもの(上記A〜Cに係るもの)
第6実施形態は、振止部材の取り付け角度(交差角度)を確実に固定(確保)する手段の一例である。
図8に示すように、第1円盤部材20と第2円盤部材30の当接する当接面28,38に相互に係合する放射状の凹凸部29,39を形成する(全面又は一部)。これによって、第1円盤部材20と第2円盤部材30とが当接面28,38において係合し、振止部材(図示省略)の取り付け角度(交差角度)を確実に固定(確保)できる。その結果として、地震等の揺れによっても交差角度が変わらず、剛性を保持できる。なお、当接面28,38の凹凸部29,39は、第1円盤部材20と第2円盤部材30自体(全体又は一部分)を波形形状にすることで形成されたものでもよい。
なお、放射状の凹凸部で決められる角度と交差する振止部材の角度に些少な相違がある場合でも、交差部支持金具と振止部材の双方若しくは片方の変形を伴い、組み付けが可能となる。
20 第1円盤部材
21 溝部(21a〜21cは「係止手段」)
22 ボルト孔
23 ボルト孔
24 ナット(固着)
25 ナット(固着)
26 ボルト(固着)
27 ボルト(固着)
28 当接面
29 凹凸部
30 第2円盤部材
31 溝部
32 穿孔
33 穿孔
34 拡孔部
35 拡孔部
38 当接面
39 凹凸部
40 ボルト(40a,40bは変形例)
41 ボルト(41a,41bは変形例)
42 ワッシャー
43 ワッシャー
44 ナット
45 ナット
50 振止部材
51 振止部材
Claims (4)
- 垂下された吊部材又は鋼材に設けられる振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材とを交差状に連結するために、一方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第1円盤部材と、他方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第2円盤部材と、を重ね合わせて緊締する交差部支持金具であって、
第1円盤部材には、2以上のボルト孔及び当該ボルト孔の外側に固着されたナットを備え、
第2円盤部材には、第1円盤部材のボルト孔を介して第1円盤部材のナットに螺合するボルトを挿通させるとともに、第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にさせる2以上の穿孔を備え、
第2円盤部材の穿孔は、振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材との交差角度Xが0度≦X≦180度になるように第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にする長孔形状に形成されたことを特徴とする交差部支持金具。 - 垂下された吊部材又は鋼材に設けられる振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材とを交差状に連結するために、一方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第1円盤部材と、他方の振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を配設する溝部を設けた円盤状の第2円盤部材と、を重ね合わせて緊締する交差部支持金具であって、
第1円盤部材には、2以上のボルトを当該ボルトのネジ部が内側へ突起するように固着して備え、
第2円盤部材には、第1円盤部材のボルトを挿通させてナットと螺合させるとともに、第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にさせる2以上の穿孔を備え、
第2円盤部材の穿孔は、振止部材どうしあるいは垂下された吊部材又は鋼材と振止部材との交差角度Xが0度≦X≦180度になるように第2円盤部材を第1円盤部材に対して回動可能にする長孔形状に形成されたことを特徴とする交差部支持金具。 - 第1円盤部材又は/及び第2円盤部材の溝部に、振止部材あるいは垂下された吊部材又は鋼材を係合する係合手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の交差部支持金具。
- 第1円盤部材と第2円盤部材の当接する当接面に相互に係合する放射状の凹凸部を形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の交差部支持金具。
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