JP5926432B1 - 単結晶製造装置および単結晶製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、溶融帯域の形成手段として誘導加熱が適切か否かについて検討を加えた。上述の通り、印加電力に係る最適な周波数が既知でない以上、溶融帯域の形成手段を他のものに変更することが考えられる。例えば、赤外線ランプによる集中加熱を用いた溶融帯域法を用いるということも考えられる(例えば特開昭63−274685号公報等)。
本発明の第1の態様は、
溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造装置において、
光の照射によって原料から前記溶融帯域を形成する加熱部と、
前記溶融帯域を非接触で支える支持部と、
を備える、単結晶製造装置である。
前記原料を把持する原料把持部と、
種結晶を把持する種結晶把持部と、
を更に備え、
天地方向の天の位置に前記種結晶把持部が配置されており、かつ、天地方向の地の位置に前記原料把持部が配置されている。
前記原料を把持する原料把持部と、
種結晶を把持する種結晶把持部と、
を更に備え、
天地方向の地の位置に前記種結晶把持部が配置されており、かつ、天地方向の天の位置に前記原料把持部が配置されている。
前記加熱部は、赤外線発生手段を有し、
前記赤外線発生手段は、前記溶融帯域よりも天地方向の天の方向に配置されている。
前記加熱部は、複数の赤外線発生手段を有し、かつ、反射手段として複数の回転楕円鏡を有し、当該回転楕円鏡は、前記溶融帯域において共通の焦点を有する。
前記加熱部は、複数の赤外線発生手段を有し、かつ、反射手段として複数の回転楕円鏡を有し、当該回転楕円鏡は共通の焦点を有しつつ、もう一方の焦点は当該共通の焦点から見て天地方向の天の方向に存在しており、前記赤外線発生手段は、当該もう一方の焦点に配置されている。
前記支持部は、前記溶融帯域を電磁誘導により支える。
溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造方法において、
光の照射によって原料から形成された前記溶融帯域を非接触で支える、単結晶製造方法である。
1.単結晶製造装置
1−A)単結晶製造装置の概要
1−B)原料把持部
1−C)種結晶把持部
1−D)加熱部
1−E)赤外線遮蔽部
1−F)支持部
2.単結晶製造方法
2−A)準備工程
2−B)加熱工程
2−C)単結晶成長工程
3.実施の形態による効果
4.変形例等
本実施形態では主に特開2015−081217号公報に記載の構成(例えば種結晶を天の方向に配置し、原料を地の方向に配置)を採用する例を挙げる。そのため、以下に記載が無い内容については、特開2015−081217号公報の内容が記載されているものとする。
また、特開2015−081218号公報に記載の構成(例えば種結晶を地の方向に配置し、原料を天の方向に配置、すなわち従来で言うところのFZ法を用いたもの)を採用する例については<4.変形例等>で挙げる。
1−A)単結晶製造装置の概要
本実施形態における単結晶製造装置1の基本的構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は、本実施形態における単結晶製造装置1の概略断面図である。図2は、本実施形態における単結晶製造装置1の内部の概略平面図である。
・天地方向に移動自在かつ天地方向を中心軸として回転自在な原料把持部2
・天地方向に移動自在かつ天地方向を中心軸として回転自在な種結晶把持部3
・光の照射によって、原料把持部2に把持された原料Mを加熱して原料Mを溶融させる加熱部4
・原料Mの溶融部分から天地方向の地の方向に向かって原料Mの温度勾配を緩和自在とする赤外線遮蔽部5
・溶融帯域Mlを非接触で支える支持部6
以下、上記で列挙した各構成について主に説明する。
本実施形態における原料把持部2は、固体の原料Mを把持自在な構成を有する。なお、本明細書における「原料を把持」は、その名の通り原料Mをしっかりと掴むことを意味し、るつぼに原料Mを単に収納することとは全く異なる。そのため、「原料把持部」という表現により、るつぼを用いないことは一義的に導き出される。
本実施形態における種結晶把持部3は、種結晶Sを把持自在な構成を有し、例えば種結晶ホルダー31と上部シャフト32とを有する。なお、種結晶把持部3は、公知の構成を採用しても構わない。ただ、本実施形態における特徴の一つは、天地方向の地の位置に原料把持部2が配置されていることに対応して、天地方向の天の位置に種結晶把持部3が配置されていることにある。こうすることにより、溶融帯域Mlからの垂れが種結晶Sに延びるおそれを完全に無くすることができる。
本実施形態における加熱部4は、後述の支持部6と合わせて、大きな特徴の一つである。本実施形態においては、2つの役割すなわち「光による原料の溶融」と「非接触手段による溶融帯域の支え」のうち、「光による原料の溶融」を担う。光により固体の原料を溶融することにより、誘導加熱コイルを使用する場合に比べ、必要なエネルギーの量を大幅に低減することができる。その結果、単結晶を効率良く製造することができる。
と、成長部分Mcが上方に移動したとしても、赤外線発生手段41が同じく上方にあるため、成長部分Mcはある程度加熱され続ける。そのため、単結晶の成長において温度勾配が緩くなる。その結果、原料Mにおける溶融帯域Mlを適切に維持できる。ひいては、良質な単結晶を製造することが可能となる。
15度以上ならば、溶融帯域Mlが上方に移動しつつ単結晶が成長する際に、溶融帯域Mlをある程度加熱し続けることが可能となり、温度勾配が緩くなる。その結果、結晶界面および小傾角粒界の発生が抑制され、結晶性が向上する。
45度以下ならば、溶融帯域Mlに対して適度に赤外線を集中することが可能となり、溶融帯域Mlを適切に形成および維持することが可能となる。
なお、30度〜45度上方の位置に赤外線発生手段41を配置するのが更に好ましい。30度以上ならば、結晶界面および小傾角粒界の発生をほぼ完全に押さえられるためである。
本実施形態においては、更に好適な構成として、原料把持部2に対して相対的に、天地方向へと移動可能な赤外線遮蔽部5を設けている。本実施形態における赤外線遮蔽部5は、原料把持部2にて把持される原料Mの少なくとも一部を水平方向に包囲自在な構成を有しており、赤外線発生手段41から発生して原料Mに照射される赤外線を遮蔽する円筒状の赤外線制御板51の上端に切り欠き53を設けたものである。こうすることにより、原料Mの溶融部分から天地方向の地の方向に向かって、原料Mの露出面積を段階的に減少させている。別の言い方をすると、原料Mに照射される赤外線を、段階的に遮蔽していく。これにより、原料Mの溶融部分から天地方向の地の方向に向かって、原料Mの温度勾配を緩和している。
本実施形態における支持部6は、上記の加熱部4とともに分担された役割を担うという点で、大きな特徴の一つである。すなわち、本実施形態における支持部6は、「非接触手段による溶融帯域の支え」という役割を担う。これにより、自重で崩れる可能性のある溶融帯域を支えることが可能となる。その結果、溶融帯域の形状が崩れず安定させることができ、単結晶を適切に製造でき、最終的に比較的良質な単結晶を製造できる。
次に、本実施形態における単結晶製造装置1の操作手順について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態における単結晶製造方法の手順を示したフローチャートである。なお、以下の工程の内容は、<1.単結晶製造装置1>にて説明した内容と重複する部分もある。そのため、以下に記載が無い内容については、<1.単結晶製造装置1>にて説明した通りである。また、以下に記載が無い内容については、公知の構成(例えば本出願人による特開2015−081217号公報に記載の構成)を適宜採用しても構わない。
まず、単結晶製造装置1に必要な各構成を、<1.単結晶製造装置1>にて説明したように配置する。また、下方に設けられた原料把持部2にペレット状の原料Mを係合させ、上方に設けられた種結晶把持部3に棒状の種結晶Sを把持させる。つまり、原料Mと種結晶Sは互いに対向した配置となっている。そして、原料把持部2と種結晶把持部3とを近接させることにより、原料把持部2に把持された原料Mと種結晶把持部3に把持された種結晶Sとを近接させる。
次に、本工程においては、赤外線発生手段41から発生させた赤外線を、原料Mに対して直接、および、回転楕円鏡42により反射した上で原料Mに照射する。そうして、直接光および回転楕円鏡42により集光された加熱光により、種結晶Sと対向する部分であってペレット状の原料Mの上端を溶融する。その溶融部分に、多少溶融した種結晶Sを接触させることで溶融帯域Mlが形成される。
本工程では、溶融帯域Mlから単結晶を成長させる。その際に、本実施形態の特徴の一つである「溶融帯域Mlの支持工程」を行う。具体的には、上記の支持部6における誘導コイルに対して電力を加える。これにより電磁場を発生させ、溶融帯域Mlに対して重力とは反対の方向に力を加える。こうして溶融帯域Mlが自重で崩れないように溶融帯域Mlを支える。なお、電力は2.5〜100kW、電力を加えるときの周波数は10kHz〜10MHzであるのが好ましい。この範囲ならば、必要なエネルギーを程よく低減することができるためである。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
特にSi−Geの場合、好適例である赤外線遮蔽部5を設けることにより、融点の低いGeだけが溶けてしまうということを抑制できる。そのため、Si−Geの単結晶を作製
する準備段階として、原料のうち必要な組成を必要な量だけ溶融させることができる。
また、Si−Geの単結晶を作製する際に、当初はSiが多く単結晶に入り込むものの、その分、Geが溶融帯域Ml中に残されるので、溶融帯域Mlの組成としてはGeが多くなる。本実施形態においては、単結晶を作製しながらも原料を溶融帯域Mlへと変化させていくので、最終的には、単結晶になるSiとGeの量のバランスが取れるようになる。その結果、Si−Geの単結晶の組成は均一となる。
(効果1)赤外線による溶融帯域法だと、単結晶の成長において、結晶成長部分の温度勾配を緩やかにすることができ、良質の結晶育成が可能となる。
(効果2)赤外線による溶融帯域法だと、集光領域が大きくなり、原料ひいては成長後の単結晶の直径を大きくすることが可能となる。
つまり、近年の要望である、単結晶に求められる品質のレベルを向上させるという要望、および、精密機器に求められる単結晶のサイズを大きくするという要望を、本実施形態により満たすことが可能となる。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や
改良を加えた形態も含む。
本発明の技術的思想は、単結晶の種類に限定されない。溶融帯域Mlを冷却して製造される単結晶ならば本発明の技術的思想を適用可能である。例えば、上記で挙げたように、融点の著しく異なる物質を含む多元素系の結晶や、偏析係数の小さい添加物を含む結晶など(例えばSi−GeやCe:LSO等)であっても構わないし、更に言うと結晶により構成される金属や合金であっても構わない。ただ、先にも述べたように、金属酸化物の場合、誘導加熱の際の最適な周波数が既知でないことを鑑みると、単結晶が酸化物である場合、本発明の技術的思想は従来に比べて更に格別な効果を奏する。
上記の実施形態では、加熱部4の光源として赤外線発生手段41を用いる場合について述べた。その一方、赤外線発生手段41以外のものを光源として用いても構わない。例えば、レーザー光の光源を加熱部4に用いても構わない。本発明の技術的思想は、加熱部4で原料を溶融させ、支持部6で溶融帯域Mlを支えるという役割分担に大きな特徴がある。先にも述べたように、加熱部4が誘電により構成されると、半導体材料や金属ならともかく金属酸化物の場合、原料の溶融に必要なエネルギーが膨大なものとなる。また、半導体材料や金属であっても、光を用いる場合に比べて必要なエネルギーが大きくなる。そのため、加熱部4としては光源を採用するならば光の種類は問わない。そのため、本実施形態における「光」は、赤外線から紫外線(波長が1nm〜1mm)までの光を指す。
上記の実施形態だと種結晶Sが天の位置、原料Mが地の位置に配置される関係上、赤外線発生手段41は溶融帯域Mlよりも天の方向に配置されるのが好ましい。ただ、これはあくまで好適例であり、赤外線発生手段41は溶融帯域Mlと水平の位置に配置されても構わないし、溶融帯域Mlよりも地の方向に配置されても構わない。
上記の実施形態では、支持部6として誘導コイルを使用する場合について述べた。その一方、先にも述べたように、誘導コイル以外のものを支持部6として用いても構わない。例えば、溶融帯域Mlに対して重力とは反対方向の力を与えられる手段であればよく、ガス圧、静電力、音圧などを与えられる手段を採用しても構わない。
上記の実施形態では、天地方向において、種結晶Sを地の位置、原料Mを天の位置へと配置した。その一方、特開2015−081218号公報に記載のように、天地方向の天の位置に原料把持部2が配置され、かつ、天地方向の地の位置に種結晶把持部3が配置されても構わない。この場合、特開2015−081218号公報に記載の冷却具合調節部7のもたらす効果が、上記の支持部6のもたらす効果と相乗する。以下、説明する。なお、以下に記載が無い内容については、特開2015−081218号公報の内容が記載されているものとし、少なくとも加熱部4に係る好適例は上記の実施形態の通りである。
結晶となり、溶融帯域が原料から切り離されても構わなくなり、マイルドな加熱および冷却を行うことの障害となっていた溶融帯域Mlの維持に固執する必要がなくなる。
例えば、種結晶を天の方向に配置し、原料を地の方向に配置する特開2015−081217号公報に記載の構成において、赤外線遮蔽部5に加え、赤外線遮蔽部5の上方に、溶融帯域Mlに対する冷却具合調節部7(図3の中の破線である遮蔽筒71)を更に設けておくのが、赤外線遮蔽部5および冷却具合調節部7による効果が得られて好ましいが、それとは逆に、赤外線遮蔽部5も冷却具合調節部7も設けなくとも、本実施形態の加熱部4および支持部6があれば本発明の効果を奏する。
なお、種結晶を地の方向に配置し、原料を天の方向に配置する特開2015−081218号公報に記載の構成において冷却具合調節部7を設けない構成や従来のFZ法を採用した構成であっても、本実施形態の加熱部4および支持部6があれば本発明の効果を奏する。
11……石英炉心管
12……下部シャフトフランジ
13……上部シャフトフランジ
14……雰囲気導入口
15……雰囲気排出口
2………原料把持部
21……原料ホルダー
22……下部シャフト
3………種結晶把持部
31……種結晶ホルダー
32……上部シャフト
4………加熱部
41……赤外線発生手段
42……反射手段(回転楕円鏡)
5………赤外線遮蔽部
51……赤外線制御板
52……フロア
53……切り欠き
6………支持部(誘導コイル)
7………冷却具合調節部
71……遮蔽筒
72……駆動機構
M………原料
Ms……固体部分
Ml……溶融帯域
Mc……成長部分(単結晶)
S………種結晶
Claims (7)
- 溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造装置において、
原料を把持する原料把持部と、
種結晶を把持する種結晶把持部と、
光の照射によって前記原料から前記溶融帯域を形成する加熱部と、
前記溶融帯域の周囲に配され、前記溶融帯域を非接触で支える誘導コイルと、
を備え、
天地方向の天の位置に前記種結晶把持部が配置されており、かつ、天地方向の地の位置に前記原料把持部が配置されており、
前記誘導コイルの径は、天地方向の天の方向から地の方向にかけて小さくなるように構成された、単結晶製造装置。 - 溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造装置において、
原料を把持する原料把持部と、
種結晶を把持する種結晶把持部と、
光の照射によって前記原料から前記溶融帯域を形成する加熱部と、
前記溶融帯域の周囲に配され、前記溶融帯域を非接触で支える誘導コイルと、
を備え、
天地方向の地の位置に前記種結晶把持部が配置されており、かつ、天地方向の天の位置に前記原料把持部が配置されており、
前記誘導コイルの径は、天地方向の天の方向から地の方向にかけて小さくなるように構成された、単結晶製造装置。 - 前記加熱部は、赤外線発生手段を有し、
前記赤外線発生手段は、前記溶融帯域よりも天地方向の天の方向に配置されている、請求項1または2に記載の単結晶製造装置。 - 前記加熱部は、複数の赤外線発生手段を有し、かつ、反射手段として複数の回転楕円鏡を有し、当該回転楕円鏡は、前記溶融帯域において共通の焦点を有する、請求項1または2に記載の単結晶製造装置。
- 前記加熱部は、複数の赤外線発生手段を有し、かつ、反射手段として複数の回転楕円鏡を有し、当該回転楕円鏡は共通の焦点を有しつつ、もう一方の焦点は当該共通の焦点から見て天地方向の天の方向に存在しており、前記赤外線発生手段は、当該もう一方の焦点に配置されている、請求項1または2に記載の単結晶製造装置。
- 溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造方法において、
天地方向の天の位置に種結晶を把持し、かつ、天地方向の地の位置に原料を把持した状態で、光の照射によって前記原料から形成された前記溶融帯域の周囲に、天地方向の天の方向から地の方向にかけて径が小さくなるように構成された誘導コイルを配し、前記誘導コイルによって前記溶融帯域を非接触で支える、単結晶製造方法。 - 溶融帯域を冷却することにより単結晶を製造する単結晶製造方法において、
天地方向の地の位置に種結晶を把持し、かつ、天地方向の天の位置に原料を把持した状態で、光の照射によって前記原料から形成された前記溶融帯域の周囲に、天地方向の天の方向から地の方向にかけて径が小さくなるように構成された誘導コイルを配し、前記誘導コイルによって前記溶融帯域を非接触で支える、単結晶製造方法。
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