JP5926085B2 - 電子写真機器用無端ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真機器用無端ベルトに関し、さらに詳しくは、電子写真機器における中間転写ベルトや紙転写搬送ベルトなどの電子写真機器用無端ベルトに関するものである。
電子写真技術を採用した複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器においては、トナー像の転写用、紙転写搬送用、感光体基体用等の用途に、中間転写ベルト等の無端ベルト(シームレスベルト)が用いられている。
この種の無端ベルトとしては、剛性に優れることから、ポリアミドイミド樹脂やポリイミド樹脂を用いて基層を形成したものが提案されている(特許文献1,2)。
特開2001−152013号公報 特開2001−354854号公報
しかしながら、ポリアミドイミド樹脂やポリイミド樹脂を用いて基層を形成した無端ベルトは、剛性に優れているものの、靱性に劣り、屈曲耐久性が十分でないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、剛性に優れるとともに、靭性および屈曲耐久性にも優れる電子写真機器用無端ベルトを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子写真機器用無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を主成分とする樹脂にカーボネート化合物が添加された樹脂組成物からなる基層を有することを要旨とするものである。
この場合、カーボネート化合物としては、エチレンカーボネートおよびジフェニルカーボネートから選択される1種または2種以上が好ましい。そして、カーボネート化合物の添加量は、樹脂100質量部に対して5〜150質量部の範囲内であることが好ましい。また、樹脂組成物には、さらにシリコーンオイルが分散されていることが好ましい。そして、シリコーンオイルの添加量は、樹脂100質量部に対して1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用無端ベルトによれば、基層材料のポリアミドイミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を主成分とする樹脂にカーボネート化合物が添加されたことから、靭性が向上し、屈曲耐久性に優れるものとされている。また、優れた剛性も確保されているため、剛性に優れるとともに、靭性および屈曲耐久性にも優れる。これは、カーボネート化合物が添加されたことにより樹脂組成物の結晶化度が小さくなって靭性が向上したためと推察される。
そして、カーボネート化合物の添加量が樹脂100質量部に対して5〜150質量部の範囲内であると、剛性と靭性のバランスに優れるため、製品使用時の耐久性に優れる。
また、樹脂組成物に、さらにシリコーンオイルが分散されていると、靭性および屈曲耐久性がさらに向上する。そして、シリコーンオイルの添加量が樹脂100質量部に対して1〜10質量部の範囲内であると、剛性と靭性のバランスに優れるため、製品使用時の耐久性に優れる。
本発明の一実施形態に係る電子写真機器用無端ベルトの模式図である。 図1に示す電子写真機器用無端ベルトのA−A断面図であり、図2(a)は単層構造のものであり、図2(b)は2層構造のものである。 ポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物のDSCチャートを示したグラフである。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る電子写真機器用無端ベルトの外観を示している。そして、図2には、電子写真機器用無端ベルトの層構成の例を示している。
図1に示すように、電子写真機器用無端ベルト(以下、無端ベルト10ということがある。)は、円筒状の外観をしている。無端ベルト10の構造としては、図2(a)に示すように、基層12のみからなる単層構造や、図2(b)に示すように、基層12の外周面に表層14が直接形成された2層構造や、図示されないが、基層12と表層14との間に1層以上の中間層が形成された3層以上の多層構造などが挙げられる。また、基層12のみからなる単層構造の基層12に表面改質処理が施されたものなどであっても良い。
無端ベルト10の基層12は、ポリアミドイミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を主成分とする樹脂にカーボネート化合物が添加された樹脂組成物によって構成されている。
ポリアミドイミド樹脂としては、脂肪族ポリアミドイミド樹脂や芳香族ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂は、脂肪族ポリアミドイミド樹脂のみで構成されていても良いし、芳香族ポリアミドイミド樹脂のみで構成されていても良いし、脂肪族ポリアミドイミド樹脂と芳香族ポリアミドイミド樹脂とが組み合わされて構成されていても良いが、機械特性に優れるなどの観点から、芳香族ポリアミドイミド樹脂が含まれることが好ましい。
ポリアミドイミド樹脂は、例えば、ポリカルボン酸あるいはその誘導体などの酸成分とジアミンまたはジイソシアネートとを極性溶剤中で反応させることにより製造することができる。好適な極性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やN,N′−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。上記反応は、所定温度(通常、60〜200℃程度)に加熱しながら撹拌することにより行うことができる。ポリアミドイミド樹脂は、基層12の形成を行いやすくするなどの観点から、極性溶剤の溶液として得られることが好ましい。
ポリアミドイミド樹脂の製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸塩化物の他、ピロメリット酸(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸),ビフェニルテトラカルボン酸,ビフェニルスルホンテトラカルボン酸,ベンゾフェノンテトラカルボン酸,ビフェニルエーテルテトラカルボン酸,エチレングリコールビストリメリテート,プロピレングリコールビストリメリテートなどのテトラカルボン酸およびこれらの酸無水物、酸塩化物や、シュウ酸,アジピン酸,マロン酸,セバチン酸,アゼライン酸,ドデカンジカルボン酸,ジカルボキシポリブタジエン,ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン),ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸,1,3−シクロヘキサンジカルボン酸,4,4′−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸,ダイマー酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸,イソフタル酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェニルエーテルジカルボン酸,ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、2種以上組み合わされて用いられても良い。これらのなかでは、反応性、耐熱性、溶解性などの観点から、トリメリット酸無水物が好適に用いられる。
ポリアミドイミド樹脂の製造に用いられるジアミンまたはジイソシアネートとしては、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンおよびこれらのジイソシアネートや、1,4−シクロヘキサンジアミン,1,3−シクロヘキサンジアミン,イソホロンジアミン,4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどの脂環族ジアミンおよびこれらのジイソシアネートや、m−フェニレンジアミン,p−フェニレンジアミン,4,4′−ジアミノジフェニルメタン,4,4′−ジアミノジフェニルエーテル,4,4′−ジアミノジフェニルスルホン,ベンジジン,o−トリジン,2,4−トリレンジアミン,2,6−トリレンジアミン,キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびこれらのジイソシアネートなどが挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、2種以上組み合わされて用いられても良い。これらのなかでは、耐熱性、機械特性、溶解性などの点から、4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびそのジイソシアネート、2,4−トリレンジアミンおよびそのジイソシアネート、o−トリジンおよびそのジイソシアネート、イソホロンジアミンおよびそのジイソシアネートが好適に用いられる。
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000〜100,000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは10,000〜50,000の範囲内である。ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(Mn)が5,000未満であると、耐久性が悪化し、逆にポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(Mn)が100,000を超えると、溶液粘度が高くなり加工性が悪化する傾向がみられるからである。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸あるいはその酸無水物などの酸成分とジアミンとを極性溶剤中で反応させることにより製造される。ポリイミド樹脂は、極性溶剤への溶解性が低いため、基層12の形成を行いやすくするなどの観点から、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液として基層12の形成に用いられることが好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリアミド酸を加熱してイミド化を進行させることにより得られる。
ポリアミド酸溶液は、例えば、テトラカルボン酸あるいはその酸無水物などの酸成分とジアミンとを、極性溶媒中で、イミド化しない程度の低温(約25℃以下)で攪拌しながら重縮合反応させることにより得ることができる。好適な極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やN,N′−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
酸成分としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPTA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸などが挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、2種以上組み合わされて用いられても良い。これらのなかでは、反応性、機械特性などの点から、ピロメリット酸二無水物(PMDA)が好適に用いられる。なお、ジアミンとしては、上記したポリアミドイミド樹脂の製造に用いられるジアミンなどが挙げられる。
ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000〜500,000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは10,000〜100,000の範囲内である。より好ましくは10,000〜50,000の範囲内である。ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)が1,000未満であると、耐久性が悪化し、逆にポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)が500,000を超えると、溶液粘度が高くなり加工性が悪化する傾向がみられるからである。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
カーボネート化合物としては、下記の一般式(1)(2)に示されるものが挙げられる。カーボネート化合物は、鎖状のものであっても良いし、環状のものであっても良い。これらは単独で用いられても良いし、2種以上組み合わされて用いられても良い。
Figure 0005926085
Figure 0005926085
一般式(1)において、Rは、主鎖が直鎖状アルキル基となる置換基、または、芳香族炭化水素基である。直鎖状アルキル基の炭素数としては1〜8の範囲内が好ましい。直鎖状アルキル基にはアルキル基などの側鎖が付加されていても良い。また、直鎖状アルキル基に対して官能基が付加されていても良い。官能基としては、ビニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン基などを挙げることができる。主鎖に付加される官能基は1つのみであっても良いし、2つ以上であっても良い。主鎖に付加される官能基が2つ以上の場合には、互いに同じ種類の官能基であっても良いし、互いに異なる種類の官能基であっても良い。芳香族炭化水素基は、無置換の芳香族炭化水素基であっても良いし、アルキル基などの置換基を有する芳香族炭化水素基であっても良い。
一般式(2)において、Rは、主鎖が直鎖状アルキル基となる置換基、または、芳香族炭化水素基である。主鎖の炭素数としては2〜6の範囲内が好ましい。主鎖にはアルキル基などの側鎖が付加されていても良い。また、主鎖に対して官能基が付加されていても良い。官能基としては、ビニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン基などを挙げることができる。主鎖に付加される官能基は1つのみであっても良いし、2つ以上であっても良い。主鎖に付加される官能基が2つ以上の場合には、互いに同じ種類の官能基であっても良いし、互いに異なる種類の官能基であっても良い。
一般式(1)に示すカーボネート化合物としては、具体的には、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。一般式(2)に示すカーボネート化合物としては、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。これらのなかでは、汎用性などの観点から、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートが好ましい。
カーボネート化合物の添加量は、樹脂100質量部に対して5〜150質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは5〜100質量部の範囲内である。カーボネート化合物の添加量が5質量部以上であると、樹脂組成物の靭性を高める効果に優れる。カーボネート化合物の添加量が150質量部以下であると、樹脂組成物の剛性を確保しつつ靭性を高める効果に優れる。
導電性ベルトの基層12を形成する上記樹脂組成物には、これらの他に、さらにシリコーンオイルが分散されていても良い。さらにシリコーンオイルが分散されていると、靭性を向上させる効果がある。
シリコーンオイルとしては、ポリシロキサン化合物からなるものが挙げられる。ポリシロキサン化合物としては、有機基として、メチル基,エチル基等のアルキル基や、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、エーテル基、ヒドロキシル基などを有するものが挙げられる。
シリコーンオイルの添加量は、樹脂100質量部に対して1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは3〜8質量部の範囲内である。シリコーンオイル化合物の添加量が1質量部以上であると、樹脂組成物の靭性を高める効果に優れる。シリコーンオイルの添加量が10質量部以下であると、樹脂組成物の剛性を確保しつつ靭性を高める効果に優れる。
導電性ベルトの基層12を形成する上記樹脂組成物には、これらの他に、導電性ベルトの基層12に用いられる添加剤が添加されていても良い。このような添加剤としては、導電剤、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤、分散剤などが挙げられる。導電剤としては、カーボンブラック、黒鉛、アルミニウム粉末、ステンレス粉末、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、導電性酸化鉄、導電性酸化錫などの電子導電剤、第四級アンモニウム塩、リン酸エステルなどのイオン導電剤が挙げられる。
導電性ベルトの基層12を形成する上記樹脂組成物は、基層12の形成を行いやすくするなどの観点から、基層12の形成の際には、極性溶剤の溶液あるいは懸濁にされていることが好ましい。この場合の極性溶剤としては、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸を製造するのに用いられる極性溶剤が好ましい。また、極性溶剤とともに他の溶剤を用いても良い。他の溶剤としては、DMF,DMAC,トルエン,アセトン,NMPなどが挙げられる。
カーボネート化合物は、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸を製造するのに用いられる極性溶剤と相溶性に優れる。また、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸とも相溶性に優れる。このため、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸(ポリイミド樹脂)への分散性を高める分散制御を行う必要がなく、安定した物性が得られる。一方、シリコーンオイルは、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸を製造するのに用いられる極性溶剤との相溶性が低い。また、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸に対しても相溶性が低い。したがって、分散性を考慮して、シリコーンオイルの添加量を低く抑えることが好ましい。この場合、シリコーンオイルの添加量は、上述するように、10質量部以下であることが好ましい。
カーボネート化合物は、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸(ポリイミド樹脂)と相溶することにより、ポリアミドイミド樹脂やポリアミド酸(ポリイミド樹脂)の結晶性を低下させていると推察される。そして、これにより、樹脂組成物の靭性が高められていると推察される。樹脂の結晶性が低下したことは、DSCによる相対比較を行うことで確認できる。結晶性(結晶化度)が低くなると、DSCのヒートフローが大きくなる。
樹脂組成物の弾性率は、1800MPa以上であることが好ましい。より好ましくは2000MPa以上である。樹脂組成物の弾性率は、JIS K7127に準拠して測定される。樹脂組成物の弾性率が1800MPa以上であると、導電性ベルトの基層12として用いたときの画像に色ずれなどの不具合が生じるのが抑えられやすい。樹脂組成物の弾性率の上限は特に限定されるものではないが、カーボネート化合物を添加したときに靭性が確保される範囲とされることが好ましい。樹脂組成物の弾性率は、樹脂の分子量や、カーボネート化合物、シリコーンオイル、その他の添加剤の配合などによって調整することができる。
導電性ベルトの基層12を形成する基層形成材料は、上記樹脂組成物を含むものであるが、次のようにして調製することができる。樹脂がポリアミドイミド樹脂である場合を例に挙げて説明すると、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、トリメリット酸無水物等の酸成分と、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートとを所定量配合し、NMP等の極性溶剤を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら所定時間(好ましくは、1〜3時間)かけて所定温度(好ましくは、130〜150℃)まで昇温する。つぎに、所定温度(好ましくは、130〜150℃)で所定時間(好ましくは、約3〜5時間)反応させた後、反応を停止することにより、ポリアミドイミド樹脂溶液が製造される。次に、製造されたポリアミドイミド樹脂溶液に、カーボネート化合物や必要に応じて添加されるシリコーンオイルを所定量添加し、常温(通常、25℃程度)下で、羽根撹拌で混合する。続いてこの溶液に、導電剤などの必要に応じて添加される各種添加剤を適宜配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散する。以上のようにして基層形成材料は調製される。
樹脂がポリイミド樹脂である場合を例に挙げて説明すると、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等の酸ジ無水物と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)等のジアミンとを所定量配合し、NMP等の極性溶剤を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、常温(通常、25℃程度)以下の温度で、所定時間(通常、3時間程度)反応させた後、反応を停止することにより、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液が製造される。この場合、常温を超える温度で反応を行うと、イミド化が進行し、NMP等の極性溶剤に不溶となる傾向がみられるため、常温以下の温度で反応を行うことが好ましい。次に、製造されたポリアミド酸溶液に、カーボネート化合物や必要に応じて添加されるシリコーンオイルを所定量添加し、常温(通常、25℃程度)下で、羽根撹拌で混合する。続いてこの溶液に、導電剤などの必要に応じて添加される各種添加剤を適宜配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散する。以上のようにして基層形成材料は調製される。
導電性ベルトの基層12は、調製された基層形成材料を用いて、例えば次のようにして作製することができる。まず、金型(円筒形基体)を準備し、調製した基層形成材料を金型(円筒形基体)の表面にスプレーコーティングなどのコーティング方法でコーティングする。ついで、これを所定の温度(好ましくは150〜300℃)に加熱して所定の時間(好ましくは3〜6時間)乾燥することにより、金型の表面に導電性ベルトの基層12が形成される。なお、導電性ベルトの基層12は、上記方法以外に、押出成形法、インフレーション法、ブロー成形法、ディッピング法、遠心成形法等により作製することも可能である。
導電性ベルトが表層14を有する場合の表層14の形成に用いられる主材料としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。表層形成材料の主材料には、樹脂成分の他に、架橋剤、導電剤、充填剤などの添加剤が添加されていても良い。架橋剤としては、イソシアネート樹脂,アミノ樹脂,フェノール樹脂,キシレン樹脂などの樹脂架橋剤や、光重合開始剤などが挙げられる。表層形成材料は、表層14の形成を行いやすくするなどの観点から、溶剤を用いて塗料とされていることが好ましい。表層形成材料に用いられる溶剤としては、NMP,DMF,トルエン,アセトン,MEKなどの有機溶剤が挙げられる。表層14は、調製された表層形成材料を用いて、金型(円筒形基体)上に形成された基層12の表面に塗工し、乾燥(硬化)することにより作製することができる。
作製された導電性ベルトは、金型(円筒形基体)上に形成された基層12と円筒形基体との間にエアーを吹き付けて円筒形基体を抜き取ることにより得ることができる。
無端ベルト10の各層の厚さは、用途に応じて適宜に設定されるが、基層12の厚さは、通常、30〜300μmの範囲内であり、好ましくは50〜200μmの範囲内である。また、表層14の厚さは、0.1〜10μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。無端ベルト10は、内周長が90〜3000mmで、幅が100〜500mm程度のものが好ましい。このような寸法の範囲内に設定すると、電子写真機器に組み込んで使用するのに適した大きさとなる。無端ベルト10の体積抵抗率としては、1×10〜1×1016Ω・cmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは1×10〜1×1013Ω・cmの範囲内である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例)
<ポリアミドイミド(1)溶液の合成>
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、トリメリット酸無水物(TMA)38質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、日本ポリウレタン社製「ミリオネートMT」)50質量部と、NMP(溶剤)200質量部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。ポリアミドイミド(1)の数平均分子量(Mn)は50,000であった。
<ポリアミドイミド(2)溶液の合成>
130℃で約2時間反応させた以外はポリアミドイミド(1)溶液の合成と同様に行った。ポリアミドイミド(2)の数平均分子量(Mn)は20,000であった。
<ポリアミド酸溶液の合成>
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)44質量部と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)40質量部と、NMP溶剤200質量部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、常温(25℃)以下の温度で、約3時間反応させた後、反応を停止することにより、ポリアミド酸−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
<物性評価用材料の調製>
合成したポリアミドイミド−NMP溶液またはポリアミド酸−NMP溶液に、表1に記載の配合割合で、ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製「SF8428」)、カーボネート化合物を添加し、常温(25℃)下、羽根撹拌で混合して、物性評価用材料を調製した。
・エチレンカーボネート:(三菱化学社製「エチレンカーボネート」)
・ジフェニルカーボネート:(試薬、東京化成工業社製)
<物性評価用試験片の作製>
物性評価用材料をポリイミドフィルムの表面にバーコートし、これを室温〜250℃まで2時間かけて昇温させた後、250℃で1時間加熱処理をして、塗膜を形成した。この際、塗膜の厚さが80μm程度になるように、溶剤(NMP)で固形分濃度を調整した。
<無端ベルト用の基層形成材料の調製>
合成したポリアミドイミド−NMP溶液またはポリアミド酸−NMP溶液に、表1に記載の配合割合で、ジメチルシリコーンオイル、カーボネート化合物を添加し、常温(25℃)下、羽根撹拌で混合した。つづいて、この溶液に、カーボンブラック(エボニックデグサジャパン社製「スペシャルブラック4」)4質量部を配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層形成材料を調製した。
<無端ベルトの作製>
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に基層形成材料をスプレーコーティングして常温〜250℃まで2時間かけて昇温させた後、250℃で1時間加熱処理をした。つぎに、この基層の表面に、下記の表層形成材料をディッピング法にてコーティングし、乾燥した後、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚さ80μm)の表面に表層(厚さ1μm)が形成されてなる2層構造の無端ベルトを作製した。
<表層形成材料>
アクリル系樹脂(根上工業株式会社製「パラクロンW−248E」)100質量部に、架橋剤(旭化成株式会社製「デュラネートTPA−B80E)30質量部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製「カーボンブラックMA−100」)10質量部、トルエン(溶剤)500質量部を配合し、撹拌羽根で混合して、表層形成材料を調製した。
作製した物性評価用試験片を用いて、弾性率を測定し、屈曲耐久性の試験を行った。また、作製した無端ベルトを用いて、製品使用時の耐久性と画像評価を行った。測定方法および評価方法を以下に示す。これらの結果表1に示す。
<弾性率>
JIS K7127に準拠して測定した。
<屈曲耐久性>
物性評価用試験片から所定の大きさに切り出したものを試料として用いて、JIS−P8115に準じて、東洋精機製作所製「Folding Endurancetester MIT−D」を用いて、荷重:9.8Nの条件下、MIT回数(耐屈曲性)を測定した。このMIT回数が多い程、耐屈曲性に優れていることを示す。
<製品耐久性>
作製した無端ベルトを、プリンター(リコー社製「イマジオMPC2500」)に中間転写ベルトとして組み込み、50000枚画出しをしたときのベルトの損傷状態を調べた。ベルトにクラックが発生している場合を「×」、クラックが発生していない場合を「○」とした。
<画像評価>
作製した無端ベルトを、プリンター(リコー社製「イマジオMPC2500」)に中間転写ベルトとして組み込み、フルカラー画像出力を行い、初期画出しを行った。色ずれ、色ムラ等の画像不良が全く発生しなかったものを「○」、色ずれ、色ムラ等の画像不良が多少発生したが、影響が少なかったものを「△」とした。
Figure 0005926085
カーボネート化合物が添加されている実施例と比較して、カーボネート化合物が添加されていない比較例のほうが、屈曲耐久性に劣っている。製品耐久性を比較すると、実施例ではクラックの発生は確認されず、製品耐久性が満足されているが、比較例ではクラックの発生が確認されたため、製品耐久性が満足されなかった。これから、実施例では、靭性および屈曲耐久性に優れるが、比較例ではこれらに劣るといえる。なお、実施例および比較例のいずれにおいても、画像評価は満足された。画像評価は、主に基層の弾性率に影響される。すなわち、基層の剛性が十分であると、画像評価は良好である。したがって、実施例から、本発明に係る導電性ベルトによれば、剛性に優れるとともに、靭性および屈曲耐久性にも優れることが確認された。
ここで、カーボネート化合物の添加による樹脂の影響を調べるため、DSC測定を行った。ポリアミドイミド(1)溶液の塗膜サンプルAと、ポリアミドイミド(1)溶液にエチレンカーボネートを添加した溶液の塗膜サンプルBと、ポリアミドイミド(1)溶液にジフェニルカーボネートを添加した溶液の塗膜サンプルCの3種類について測定を行った。測定結果のグラフを図3に示す。図3から、ポリアミドイミド(1)にカーボネート化合物を添加することによってヒートフローが上昇していることがわかる。この結果から、カーボネート化合物の添加によって、ポリアミドイミド(1)の結晶性(結晶化度)が低下しているといえる。
つまり、本発明においては、基層を形成する主材料であるポリアミドイミドやポリイミドに対して相溶できるカーボネート化合物を添加することによってこれらの樹脂の結晶性を制御して、樹脂の靭性を向上させているものと推察される。なお、DSC測定は、ポリアミドイミド(1)について行ったものを示しているが、ポリアミドイミド(2)、ポリイミドについても同様の結果が得られることは確認されている。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能なものである。
10 導電性ベルト
12 基層
14 表層

Claims (5)

  1. ポリアミドイミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を主成分とする樹脂にカーボネート化合物が添加された樹脂組成物からなる基層を有し、前記カーボネート化合物が、エチレンカーボネートおよびジフェニルカーボネートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする電子写真機器用無端ベルト。
  2. ポリアミドイミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を主成分とする樹脂にカーボネート化合物が添加された樹脂組成物からなる基層を有し、前記樹脂組成物には、さらにシリコーンオイルが分散されていることを特徴とする電子写真機器用無端ベルト。
  3. 前記カーボネート化合物の添加量が、樹脂100質量部に対して5〜150質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用無端ベルト。
  4. 前記樹脂組成物には、さらにシリコーンオイルが分散されていることを特徴とする請求項に記載の電子写真機器用無端ベルト。
  5. 前記シリコーンオイルの添加量が、樹脂100質量部に対して1〜10質量部の範囲内であることを特徴とする請求項2または4に記載の電子写真機器用無端ベルト。
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