JP5925610B2 - 発泡ゴム部材の製造方法および転写ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、光導電性を有する感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、前記表面に、形成画像に対応する静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。
次いで、前記トナー像を紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させることにより(定着工程)、前記紙の表面に画像が形成される。
さらに、転写が終了した感光体の表面に残留するトナーを除去する(クリーニング工程)ことにより、一連の画像形成が終了する。
前記転写ローラのローラ本体は、導電性付与剤、および発泡剤を配合した架橋性のゴム組成物を、押出機の口金を通して筒状に押出成形して、そのもとになる未発泡、未架橋の前駆体を作製する成形工程、および前記前駆体を、加硫缶内で、加圧水蒸気によって加圧、加熱して発泡させるとともに架橋させる発泡・架橋工程を経て製造される。
具体的には、前記前駆体を収容した加硫缶内に加圧水蒸気を導入して、当該加硫缶内の温度を、まず前記前駆体の発泡開始温度近傍の一定温度まで昇温させたのち、前記温度で一定時間保持して前記前駆体を発泡させるとともに架橋させる(第一段階)。
このあと室温まで冷却して、発泡、架橋された前記前駆体を加硫缶内から取り出し、必要に応じてその外周面を研磨等することにより、転写ローラのローラ本体が製造される。
すなわち加硫缶内の圧力が、目的とする温度における飽和水蒸気圧となるように、前記加硫缶内に導入する加圧水蒸気量を変化させることにより、当該加硫缶内の温度が、前記飽和水蒸気圧に見合う所定の温度に調整される。
すなわち外気温の変動に伴って、第一段階で加圧水蒸気の導入を開始する時点での温度が変動するため、前記加圧水蒸気の導入を開始してから所定の圧力に達するまでの昇圧速度と時間、ならびにそれに伴う昇温速度と時間にばらつきを生じる。そして、前記昇圧、昇温時に前駆体が受ける熱量が変化して架橋開始温度が変動し、結果として、前記工程を経て製造されるローラ本体の物性、特に硬さが、バッチごとにばらついてしまう。
本発明の目的は、外気温の変動等の外部要因による物性、特に硬さの、バッチごとのばらつきを抑制して、常に安定した物性を有する、前記ローラ本体等の発泡ゴム部材を製造するための製造方法を提供することにある。
前記加硫缶内の温度を、前記前駆体の発泡開始温度未満の一定温度まで昇温させたのち、前記温度で一定時間保持する第一段階、
前記加硫缶内の温度を、前記前駆体の発泡開始温度近傍の一定温度まで昇温させたのち、前記温度で一定時間保持して前記前駆体を発泡させるとともに架橋させる第二段階、および
前記発泡後、前記加硫缶内の温度を前記第二段階より高い一定温度までさらに昇温させたのち、前記温度で一定時間保持して前記前駆体をさらに架橋させる第三段階
を、前記加硫缶内で、前記第一段階における昇温時間を前記第二段階における昇温時間以上に設定して、連続して実施することを特徴とする。
これに対し本発明においては、前記第一段階における昇温時間を、前記第二段階における昇温時間以上に設定しているため、これらの問題が生じるのを確実に防止することもできる。
前記第一段階における保持時間が第二段階における保持時間を超える場合には、当該第一段階において架橋反応が先行してしまい、前駆体中で、発泡剤の発泡によって発生したガスによる気泡壁が十分に形成されなくなって、前記前駆体を所定の寸法まで十分に発泡できなかったり、所定の寸法まで発泡できたとしても、発泡ゴム部材が所定の硬さより硬くなったりするおそれがある。
本発明によれば、前記本発明の製造方法によって形成された、バッチごとに硬さ等の物性にばらつきのない、前記物性の安定したローラ本体を備えた転写ローラを製造することができる。
また本発明によれば、硬さ等の物性が安定したローラ本体を備えた転写ローラを製造するための製造方法を提供することができる。
本発明の発泡ゴム部材の製造方法は、従来同様に、未発泡、未架橋のゴム組成物から前記発泡ゴム部材の前駆体を成形する成形工程、および前記前駆体を、加硫缶内で加圧水蒸気によって加圧、加熱して発泡させるとともに架橋させる発泡・架橋工程を備えている。
〈成形工程〉
前記のうち成形工程では、発泡ゴム部材のもとになる未発泡、未架橋のゴム組成物を、従来同様に、押出成形法等の任意の成形法によって成形して、所定の発泡ゴム部材に対応した立体形状を有する前駆体を作製する。
図1は、前記本発明の発泡ゴム部材の製造方法のうち発泡・架橋工程における、加硫缶内の圧力および温度の変化を示すグラフである。
図1を参照して、かかる発泡・架橋工程では、加硫缶内で下記の三つの段階を連続して実施することにより、前記前駆体を発泡させるとともに架橋させて、発泡ゴム部材を製造する。
まず前記成形工程で成形した発泡ゴム部材の前駆体を、従来同様の加硫缶内に収容し、密閉した状態で、当該加硫缶内に加圧水蒸気を導入して、導入開始のt0の時点からt1の時点までの間に、その内部圧力をP0からP1まで上昇させる。そうすると加硫缶内の温度は、温度T0から、前記圧力(飽和水蒸気圧)P1に見合う温度T1まで上昇する。
前記温度T1は、前記前駆体の発泡開始温度未満の一定値に設定する。これにより、例えば季節の変化による外気温の変動等の外部要因の影響を極力排除して、次の第二段階での昇温開始時の条件、すなわち温度、圧力のばらつきを小さくすることができる。
例えば前駆体の発泡開始温度が138℃以上、141℃以下程度である場合、温度T1は、これに限定されないが、例えば80℃以上であるのが好ましく、110℃以下であるのが好ましい。
一方、温度T1が110℃を超える場合には、当該第一段階において架橋反応が進行してしまい、前駆体中で、発泡剤の発泡によって発生したガスによる気泡壁が十分に形成されなくなって、前記前駆体を所定の寸法まで十分に発泡できなかったり、所定の寸法まで発泡できたとしても、発泡ゴム部材が所定の硬さより硬くなったりするおそれがある。
保持時間t1−2が保持時間t3−4よりも長い、すなわちt1−2>t3−4では、第一段階において架橋反応が進行してしまい、前駆体中で、発泡剤の発泡によって発生したガスによる気泡壁が十分に形成されなくなって、前記前駆体を所定の寸法まで十分に発泡できなかったり、所定の寸法まで発泡できたとしても、発泡ゴム部材が所定の硬さより硬くなったりするおそれがある。また、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれもある。
保持時間t1−2が保持時間t3−4の0.5倍未満では、第一段階を設けることによる、外気温の変動等の外部要因の影響を排除して、第二段階での昇温開始時の条件、すなわち温度、圧力のばらつきを小さくする効果が十分に得られないおそれがある。
昇温時間t0−1が昇温時間t2−3よりも短い、すなわちt0−1<t2−3では、前記第一段階での昇温の温度勾配が大きくなりすぎて、急激な温度上昇により、第一段階において架橋反応が先行してしまい、前駆体中で、発泡剤の発泡によって発生したガスによる気泡壁が十分に形成されなくなって、前記前駆体を所定の寸法まで十分に発泡できなかったり、所定の寸法まで発泡できたとしても、発泡ゴム部材が所定の硬さより硬くなったりするおそれがある。
昇温時間t0−1が昇温時間t2−3の2倍を超える場合には、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれがある。
(第二段階)
次に、前記t2の時点で、加硫缶内に導入する加圧水蒸気量を調整して、その内部圧力をP1からP2まで上昇させる。そうすると加硫缶内の温度は、前記T1から、前記圧力(飽和水蒸気圧)P2に見合う温度T2まで上昇する。
前記温度T2は、前記前駆体の発泡開始温度近傍の一定値に設定する。そうすると、前駆体が発泡剤によって発泡するとともに架橋剤によって架橋される。
例えば前駆体の発泡開始温度が138℃以上、141℃以下程度である場合、温度T2は、これに限定されないが、例えば138℃以上、148℃以下の範囲内であるのが好ましい。
なお前記温度T2は、前記範囲内でも高いほど好ましく、特に143℃以上であるのが好ましい。温度T2がかかる範囲内であるとき、前駆体の発泡、および架橋の進行度合いのバランスをよりマッチさせて、発泡ゴム部材の物性、特に硬さの、バッチごとのばらつきをさらに小さくし、当該発泡ゴム部材の硬さ等の物性をより一層良好に安定させることが可能となる。
保持時間t3−4が前記範囲未満では、前駆体を十分に発泡させたり架橋させたりできないおそれがある。
さらに、加硫缶内の温度を前記温度T1から温度T2まで昇温する間のt2からt3までの間の昇温時間t2−3は、前記両温度間の温度差によっても異なるが、温度T1、T2がそれぞれ前述した好適な範囲内であるとき、例えば1分間以上、特に2分間以上であるのが好ましく、5分間以下、特に4分間以下であるのが好ましい。
また、昇温時間t2−3が前記範囲を超える場合には、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれがある。
(第三段階)
次に、発泡剤による発泡が終息した前記t4の時点で、加硫缶内に導入する加圧水蒸気量を調整して、その内部圧力をP2からP3まで上昇させる。そうすると加硫缶内の温度は、前記T2から、前記圧力(飽和水蒸気圧)P3に見合う温度T3まで上昇する。
前記温度T3は、温度T2以上の一定値に設定する。これにより、前駆体の架橋をほぼ完結できる。
例えば温度T2が前記のように138℃以上、148℃以下の範囲内であるとき、温度T3は、これに限定されないが、例えば155℃以上であるのが好ましく、165℃以下であるのが好ましい。
温度T3が前記範囲未満では、前駆体の架橋を完結させるのに長時間を要し、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれがある。
前記温度T3を維持するt5からt6までの間の保持時間t5−6は、これに限定されないが、例えば15分間以上、特に18分間以上であるのが好ましく、25分間以下、特に22分間以下であるのが好ましい。
また、保持時間t5−6が前記範囲を超える場合には、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれがある。
さらに、加硫缶内の温度を前記温度T2から温度T3まで昇温する間のt4からt5までの間の昇温時間t4−5は、前記両温度間の温度差によっても異なるが、温度T2、T3がそれぞれ前述した好適な範囲内であるとき、例えば1分間以上、特に2分間以上であるのが好ましく、5分間以下、特に4分間以下であるのが好ましい。
また、昇温時間t4−5が前記範囲を超える場合には、発泡・架橋工程に要するトータルの時間が長くなりすぎて、発泡ゴム部材の生産性が低下するおそれがある。
加硫缶内の温度を前記温度T3に維持してt6の時点に達したあとは、加硫缶内に導入する加圧水蒸気量を調整して、その内部圧力をP3から徐々に低下させ、加硫缶内の温度を低下させる。
前記冷却時のt6からt7までの間の降温時間t6−7、および加圧水蒸気の導入を停止する圧力P4等は任意に設定することができる。
前記本発明の製造方法によれば、特に硬さ等の物性が、バッチごとに厳密に安定していることが求められる、前記電子写真法を利用した画像形成装置の、転写ローラのローラ本体を、好適に製造することができる。
図2は、前記本発明の製造方法によって製造された発泡ゴム部材としてのローラ本体を備えた、転写ローラの一例を示す斜視図である。
図2を参照して、この例の転写ローラ1は、前記ローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを備えている。
前記ローラ本体2とシャフト4とは、例えば導電性を有する接着剤等によって電気的に接合されるとともに機械的に固定され、一体化されて転写ローラ1が構成される。
発泡ゴム部材としての前記ローラ本体2は、発泡性、架橋性を有する未発泡、未架橋の導電性ゴム組成物を調製し、当該導電性ゴム組成物を筒状に押出成形して前駆体を作製し、次いで前記前駆体の通孔3に架橋用の仮のシャフトを挿通した状態で加硫缶内にセットして、当該加硫缶内で、前記三段階の加熱を経て前記前駆体を発泡、および架橋させたのち、所定の長さにカットし、さらに必要に応じて外周面5を研磨する等して所定の外径および表面粗さに仕上げることによって製造される。
特に導電性付与剤として、ゴム分を兼ねるイオン導電性ゴムを用いてイオン導電性を付与した導電性ゴム組成物が好ましい。
《導電性ゴム組成物》
〈イオン導電性ゴム〉
ゴム分としては、前記イオン導電性ゴムと架橋性ゴムとを併用するのが好ましい。
かかる両共重合体においてエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、特に50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドは転写ローラ1のローラ抵抗値を下げる働きをする。しかしエチレンオキサイド含量が前記範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、転写ローラ1のローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、前記エチレンオキサイド含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、特に50モル%以下であるのが好ましい。
前記アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、転写ローラ1のローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかしアリルグリシジルエーテル含量が前記範囲未満では、かかる働きが得られないため、転写ローラ1のローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
GECOとしては、前記3種の単量体を共重合させた狭義の意味での共重合体のほかに、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られており、本発明ではいずれのGECOも使用可能である。
配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体2に良好なイオン導電性を付与できないおそれがある。
〈架橋性ゴム〉
架橋性ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等の1種または2種以上が挙げられる。これらのゴムは良好な架橋性を有する上、架橋後のローラ本体2に良好なゴム弾性や柔軟性を付与する働きをする。
(SBR)
SBRとしては、スチレンと1,3−ブタジエンとを乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のSBRがいずれも使用可能である。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。
これらSBRの1種または2種以上を使用することができる。
(NBR)
NBRとしては、アクリロニトリル含量によって分類される低ニトリルNBR、中ニトリルNBR、中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、および極高ニトリルNBRがいずれも使用可能である。これらNBRの1種または2種以上を使用することができる。
SBR、および/またはNBRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の40質量部以上、特に60質量部以上であるのが好ましく、90質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、SBR、および/またはNBRを用いることによる、先に説明した、導電性ゴム組成物に良好な架橋性を付与する効果や、架橋後のローラ本体2に良好なゴム弾性や柔軟性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。
なお前記配合割合は、SBRとして油展タイプのものを用いる場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分としてのSBR自体の配合割合である。またSBRとNBRを併用する場合は、その合計の配合割合である。
(EPDM)
EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量の第3成分(ジエン分)を加えることで主鎖中に二重結合を導入した種々のEPDMが、いずれも使用可能である。前記EPDMとしては、前記第3成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。重合触媒としてはチーグラー触媒を使用するのが一般的である。
配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体2に良好なオゾン耐性を付与できないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、相対的にSBR、および/またはNBRの配合割合が少なくなって、これらのゴムを配合することによる、前記導電性ゴム組成物からなるローラ本体2のもとになる前駆体に、良好な架橋性を付与する効果や、架橋後のローラ本体2に良好なゴム弾性や柔軟性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。また相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、ローラ本体に良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。
ゴム分として、さらにクロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム(ACM)等の極性ゴムを配合して、転写ローラ1のローラ抵抗値を微調整することもできる。
〈発泡剤〉
発泡剤としては、加熱により気体を発生して前駆体を発泡させることができる種々の発泡剤がいずれも使用可能である。
前記発泡剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、特に2質量部以上であるのが好ましく、8質量部以下、特に6質量部以下であるのが好ましい。
前記発泡剤の分解温度を低下させて、その発泡を補助する発泡助剤を配合してもよい。前記発泡助剤としては尿素が好適に使用される。
配合割合が前記範囲未満では、当該発泡助剤による、発泡剤の発泡を助ける効果が十分に得られず、前駆体を良好に発泡できないおそれがある。一方、前記範囲を超える場合には、発泡剤の発泡温度が低くなりすぎて、極めて短時間で発泡が進行するため、過剰に発泡して前駆体の外周面および内周面の断面形状がきれいな円形にならかったり、内径の寸法が不均一になったり、セルの分布が不均一で硬さや導電性にムラを生じたりするおそれがある。
導電性ゴム組成物には、ゴム分を架橋させるための架橋剤成分を配合する。前記架橋剤成分としては、架橋剤、促進剤等が挙げられる。
このうち架橋剤としては、例えば硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。中でも硫黄系架橋剤が好ましい。
硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
また促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、2種以上を併用するのが好ましい。併用する個々の促進剤の配合割合は任意に設定することができるが、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
促進助剤の配合割合は、ゴム分の種類および組み合わせや、架橋剤、促進剤の種類および組み合わせ等に応じて適宜設定することができる。
導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。前記添加剤としては、例えば受酸剤、可塑成分(可塑剤、加工助剤等)、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
前記受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
受酸剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、受酸剤を含有させることによる前記効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、架橋後のローラ本体の硬さが上昇するおそれがある。
これら可塑成分の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以下であるのが好ましい。例えば画像形成装置への装着時や運転時に感光体の汚染を生じたりするのを防止するためである。かかる目的に鑑みると、可塑成分としては極性ワックスを使用するのが特に好ましい。
このうち酸化防止剤は、転写ローラのローラ抵抗値の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗値の上昇を抑制する働きをする。前記酸化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NEC−P〕、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNBC〕等が挙げられる。
充填剤を配合することにより、ローラ本体の機械的強度等を向上できる。
また充填剤として導電性カーボンブラックを用いて、ローラ本体に電子導電性を付与することもできる。
スコーチ防止剤としては、例えばN−シクロへキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフエニルアミン、2,4−ジフエニル−4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上が挙げられる。特にN−シクロへキシルチオフタルイミドが好ましい。
共架橋剤とは、それ自体が架橋するとともにゴム分とも架橋反応して全体を高分子化する働きを有する成分を指す。
前記共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、ジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。
(a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
(b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、
(c) 前記(a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物、
(d) 前記(a)〜(c)の金属塩、
(e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、
(f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、
(g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの複素環を有するビニル化合物、
(h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン
等の1種または2種以上が挙げられる。
前記モノカルボン酸類のエステルとしては、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ぺンチル(メタ)アクリレート、i−ぺンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;
べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;
等の1種または2種以上が挙げられる。
〈導電性ゴム組成物の調製〉
ゴム分としてはNBR〔JSR(株)製のJSR N250SL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:20%〕71質量部、およびECO〔日本ゼオン(株)製のHYDRIN(登録商標)T3108〕23質量部を配合した。
発泡剤マスターバッチ:前記と同じNBR6質量部に、発泡剤としてのADCA系発泡剤〔永和化成工業(株)製の商品名ビニホールAC#3〕4質量部を配合し、混練したもの。
発泡助剤:尿素系発泡助剤〔永和化成工業(株)製の商品名セルペースト101〕
充填剤A:カーボンブラックHAF〔東海カーボン(株)製のSEAST(シースト、登録商標)3〕
充填剤B:重質炭酸カルシウム〔白石カルシウム(株)製のホワイトン(登録商標)BF−300〕
受酸剤:ハイロドタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A−2〕
架橋剤:200メッシュ5%油入硫黄
促進剤TS:テトラメチルチウラムジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)TS〕
促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM〕
促進助剤(1):ステアリン酸
促進助剤(2):酸化亜鉛2種
老化防止剤:ニッケル ジブチルジチオカーバメート〔川口化学工業(株)製のAntage(アンテーヂ、登録商標)NBC〕
〈ローラ本体の製造〉
前記導電性ゴム組成物をφ90の押出成形機に供給して外径約φ14.9mm、内径約φ4.7mmの円筒状に押出成形した後、約257mmに定寸カットして、ローラ本体のもとになる前駆体とし、その中心の通孔に外径φ3mmの架橋用の仮のシャフトを挿通して加硫缶内に収容した。
(第一段階)
昇温時間t0−1:5分間
保持時間t1−2:10分間
保持温度T1:100℃
(第二段階)
昇温時間t2−3:3分間
保持時間t3−4:10分間
保持温度T2:140℃
(第三段階)
昇温時間t4−5:3分間
保持時間t5−6:20分間
保持温度T3:160℃
降温時間t6−7:5分間
〈転写ローラの作製〉
発泡および架橋させた前駆体の中心の通孔に、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ8.0mmの金属(SUM−24L)製のシャフトを圧入し、熱風オーブン中で160℃×60分間加熱して前記熱硬化性接着剤を硬化(二次架橋)させることにより、前記前駆体とシャフトとを電気的に接合すると共に機械的に固定した。
《実施例2》
加硫缶内での三段階の加熱加圧条件を、下記のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてローラ本体を製造し、転写ローラを作製した。
昇温時間t0−1:5分間
保持時間t1−2:10分間
保持温度T1:80℃
(第二段階)
昇温時間t2−3:3分間
保持時間t3−4:10分間
保持温度T2:140℃
(第三段階)
昇温時間t4−5:3分間
保持時間t5−6:20分間
保持温度T3:160℃
降温時間t6−7:5分間
《実施例3》
加硫缶内での三段階の加熱加圧条件を、下記のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてローラ本体を製造し、転写ローラを作製した。
昇温時間t0−1:5分間
保持時間t1−2:10分間
保持温度T1:80℃
(第二段階)
昇温時間t2−3:3分間
保持時間t3−4:10分間
保持温度T2:145℃
(第三段階)
昇温時間t4−5:3分間
保持時間t5−6:20分間
保持温度T3:160℃
降温時間t6−7:5分間
《実施例4》
加硫缶内での三段階の加熱加圧条件を、下記のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてローラ本体を製造し、転写ローラを作製した。
昇温時間t0−1:5分間
保持時間t1−2:5分間
保持温度T1:100℃
(第二段階)
昇温時間t2−3:3分間
保持時間t3−4:10分間
保持温度T2:140℃
(第三段階)
昇温時間t4−5:3分間
保持時間t5−6:20分間
保持温度T3:160℃
降温時間t6−7:5分間
《比較例1》
加硫缶内で、前記第一段階を省略した、図3に示す従来の二段階の加熱加圧を実施したこと以外は実施例1と同様にしてローラ本体を製造し、転写ローラを作製した。加熱加圧条件は下記のとおりとした。
昇温時間t0−11:5分間
保持時間t11−12:10分間
保持温度T11:140℃
(第二段階)
昇温時間t12−13:3分間
保持時間t13−14:20分間
保持温度T12:160℃
降温時間t14−15:5分間
《硬さ測定》
前記実施例、比較例で作製した転写ローラの、ローラ本体のアスカーC型硬さを、当該ローラ本体の外周面の、幅方向の中央、および両端近傍の3箇所で、温度23℃、測定荷重500gの条件で測定して平均値を求めた。
以上の結果を表2に示す。
また実施例1〜4の結果より、前駆体の発泡開始温度が138℃以上、141℃以下であるこれらの実施例においては、前記硬さのばらつきをより一層小さくすることを考慮すると、第二段階の温度T2を138℃以上、148℃以下の範囲内とするのが好ましく、中でも143℃以上するのがさらに好ましいことが判った。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
Claims (3)
- 発泡ゴム部材の製造方法であって、未発泡、未架橋のゴム組成物から、前記発泡ゴム部材の前駆体を成形する成形工程、および前記前駆体を、加硫缶内で、加圧水蒸気によって加圧、加熱して発泡させるとともに架橋させる発泡・架橋工程を含み、前記発泡・架橋工程は、
前記加硫缶内の温度を、前記前駆体の発泡開始温度未満の一定温度まで昇温させたのち、前記温度で一定時間保持する第一段階、
前記加硫缶内の温度を、前記前駆体の発泡開始温度近傍の一定温度まで昇温させたのち、前記温度で一定時間保持して前記前駆体を発泡させるとともに架橋させる第二段階、および
前記発泡後、前記加硫缶内の温度を前記第二段階より高い一定温度までさらに昇温させたのち、前記温度で一定時間保持して前記前駆体をさらに架橋させる第三段階
を、前記加硫缶内で、前記第一段階における昇温時間を前記第二段階における昇温時間以上に設定して、連続して実施することを特徴とする発泡ゴム部材の製造方法。 - 前記第一段階における保持時間を、前記第二段階における保持時間以下に設定する請求項1に記載の発泡ゴム部材の製造方法。
- 前記請求項1または2に記載の製造方法によって、ローラ本体としての筒状で導電性の発泡ゴム部材を形成する工程を含むことを特徴とする転写ローラの製造方法。
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