JP5655106B2 - 導電性ゴム組成物、転写ローラ、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
まず、光導電性を有する感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、当該表面に、形成画像に対応する静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。
次いで、トナー像を紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させることにより(定着工程)、紙の表面に画像が形成される。
トナー像を、転写工程において感光体の表面から紙の表面に転写させたり、一次転写工程において感光体の表面から像担持体の表面に転写させたり、あるいは二次転写工程において像担持体の表面から紙の表面に転写させたりするためには、導電性ゴム組成物からなり、所定のローラ抵抗値を有する転写ローラが用いられる。
近時、特に新興国向けの汎用のレーザープリンタ等に用いる転写ローラとしては、できるだけ汎用の材料を使用して、なるべく構造が簡単で、しかもコスト安価に製造できるものが求められる傾向にある。
また多孔質構造の転写ローラを製造するためには、例えば下記の連続的な製造方法を採用するのが、生産性を向上して転写ローラの生産コストをさらに圧縮する上で好ましい。
かかる架橋性ゴムとしてはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が一般的であるが、先の要求に対応して、転写ローラの生産コストをより一層圧縮するためには、架橋性ゴムとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)と、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)とを併用するのがさらに好ましい。
すなわち、同じローラ抵抗値を有する転写ローラを形成するために必要で、なおかつ高価なイオン導電性ゴムの配合割合を少なくできる。しかもSBRは、NBRよりも汎用性が高くコスト安価であるため、材料コストをより一層低減できる。
EPDMは、それ自体が耐オゾン性に優れているだけでなく、SBRのオゾン劣化を抑制する働きもするため、転写ローラのオゾン耐性を向上できる。
発泡成分としては、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(H2NOCN=NCONH2、ADCA)に、発泡助剤としての尿素を組み合わせるのが一般的である。
また尿素は、やはりマイクロ波の照射による分子振動加熱により、分解残渣としてシアン酸類を生成する。
そしてこれら分解残渣が、イオン導電性ゴムによる導電性を阻害したり、ゴム分の架橋反応を阻害したり、感光体を汚染したりするおそれがある。
炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した水が存在すると、分解残渣を、マイクロ波の照射による分子振動加熱によって、先に説明した導電性や架橋反応を阻害したり、感光体を汚染したりしない成分に変化させることができる。
これらの成分は、転写ローラを製造する作業環境に影響を及ぼすおそれがある。特に先に説明したように、導電性ゴム組成物を連続的に押出成形したのち、連続的に発泡および架橋させる工程を採用する場合は、かかる工程でこれらの成分が多量に発生して、その処理が問題となる場合がある。
本発明の目的は、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置を用いて、アンモニアや一酸化炭素を発生させることなしに、効率よく、かつ十分に発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物、当該導電性ゴム組成物からなる転写ローラ、並びにかかる転写ローラを組み込んだ画像形成装置を提供することにある。
さらに本発明は、前記本発明の転写ローラを組み込んだことを特徴とする画像形成装置である。
架橋剤としての炭酸水素ナトリウムは、分解してもアンモニアや一酸化炭素を発生しないため、作業環境に及ぼす影響を大幅に低減できる。
これに対し本発明では、発泡助剤としてクエン酸を併用することで、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させ、筒状体の全体で良好に発泡させて、転写ローラの全体で、発泡セル径をできるだけ均一化させることができる。
クエン酸としては、無水物、一水和物のいずれを使用してもよい。
またゴム分としては、NBRに代えてSBRとEPDMとを、エピクロルヒドリンゴムと併用しているため、先に説明したように転写ローラの良好な耐オゾン性を確保しながら、さらに材料コストを抑制できる。
前記炭酸水素ナトリウムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下で、かつ前記クエン酸の配合割合は、無水物換算で、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下であるのが好ましい。
これに対し、炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、高温で放置した際の抵抗特性が悪化するのを抑制しながら、筒状体を十分に発泡させることができる。
また本発明の転写ローラは、本発明の導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、マイクロ波架橋装置と熱布架橋装置とを含む連続架橋装置によって連続的に発泡および架橋させる工程を経て形成されているのが好ましい。
これにより、先に説明したように生産性を向上して、転写ローラの生産コストをさらに圧縮できる。
本発明の導電性ゴム組成物は、SBR、EPDM、およびエピクロルヒドリンゴムを少なくとも含むゴム分、前記ゴム分を架橋させるための架橋成分、および前記ゴム分を発泡させるための発泡成分を含むとともに、前記発泡成分は、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム、および発泡助剤としてのクエン酸であることを特徴とする。
これに対し本発明によれば、かかるSBRを含む系であっても、炭酸水素ナトリウムとともにクエン酸を併用することで、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させ、筒状体の全体で良好に発泡させて、転写ローラの全体で、発泡セル径をできるだけ均一化させることができる。
SBRとしては、スチレンと1,3−ブタジエンとを乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のSBRがいずれも使用可能である。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。
これらSBRの1種または2種以上を使用することができる。
SBRの配合割合は、ゴム分がSBR、EPDM、およびエピクロルヒドリンゴムの3種のみで極性ゴムを含まない場合、当該ゴム分の総量100質量部中の40質量部以上、特に60質量部以上であるのが好ましく、90質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。また極性ゴムを含む場合は、当該極性ゴムの配合割合にもよるが、ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましい。
一方、範囲を超える場合には、相対的にEPDMの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれがある。また相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。
〈EPDM〉
EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量の第3成分(ジエン分)を加えることで主鎖中に二重結合を導入した種々のEPDMが、いずれも使用可能である。EPDMとしては、第3成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。重合触媒としてはチーグラー触媒を使用するのが一般的である。
配合割合がこの範囲未満では、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれがある。
一方、範囲を超える場合には、相対的にSBRの配合割合が少なくなって、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。また相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。
エピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
かかる両共重合体においてエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、特に50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドは転写ローラのローラ抵抗値を下げる働きをする。しかしエチレンオキサイド含量がこの範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、転写ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、特に50モル%以下であるのが好ましい。
アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、転写ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかしアリルグリシジルエーテル含量が先の範囲未満では、かかる働きが得られないため、転写ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
GECOとしては、上で説明した3種の単量体を共重合させた狭義の意味での共重合体のほかに、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られており、本発明ではいずれのGECOも使用可能である。
配合割合がこの範囲未満では、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれがある。
〈極性ゴム〉
極性ゴムを配合すると、先に説明したように転写ローラのローラ抵抗値を微調整することができる。また、発泡のムラがなくできるだけ均一な多孔質構造を形成することもできる。
このうちNBRとしては、アクリロニトリル含量によって分類される低ニトリルNBR、中ニトリルNBR、中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、および極高ニトリルNBRがいずれも使用可能である。
極性ゴムの配合割合は、目的とする転写ローラのローラ抵抗値に応じて任意に設定できるが、特にゴム分の総量100質量部中の5質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましい。
また範囲を超える場合には、相対的にSBRの配合割合が少なくなって、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。また相対的にEPDMの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれもある。さらに、相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。
発泡成分としては、先に説明したように発泡剤としての炭酸水素ナトリウムと、発泡助剤としてのクエン酸とを併用する。
このうち炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましい。
これに対し、炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、高温で放置した際の抵抗特性が悪化するのを抑制しながら、筒状体を十分に発泡させることができる。
クエン酸の配合割合がこの範囲未満では、当該クエン酸を配合することによる、先に説明した、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させて、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が十分に得られないおそれがある。一方、範囲を超える場合には、却って、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が得られないおそれがある。
〈架橋成分〉
ゴム分を架橋させるための架橋成分としては、架橋剤、促進剤等が挙げられる。
また硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。このうち有機含硫黄化合物等としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。特に粉末硫黄等の硫黄が好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、導電性ゴム組成物の全体での架橋速度が遅くなり、架橋に要する時間が長くなって転写ローラの生産性が低下するおそれがある。また範囲を超える場合には、架橋後の転写ローラの圧縮永久ひずみが大きくなったり、過剰の硫黄が転写ローラの外表面にブルームしたりするおそれがある。
また有機促進剤としては、例えばジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等のグアニジン系促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤;テトラメテルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系促進剤;チオウレア系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
また促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、2種以上を併用するのが好ましい。併用する個々の促進剤の配合割合は任意に設定することができるが、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
促進助剤の配合割合は、ゴム分の種類および組み合わせや、架橋剤、促進剤の種類および組み合わせ等に応じて適宜設定することができる。
導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば受酸剤、可塑成分(可塑剤、加工助剤等)、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
受酸剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、受酸剤を含有させることによる効果が十分に得られないおそれがある。また範囲を超える場合には、架橋後の転写ローラの硬さが上昇するおそれがある。
これら可塑成分の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以下であるのが好ましい。例えば画像形成装置への装着時や運転時に感光体の汚染を生じたりするのを防止するためである。かかる目的に鑑みると、可塑成分としては極性ワックスを使用するのが特に好ましい。
このうち酸化防止剤は、転写ローラのローラ抵抗値の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗値の上昇を抑制する働きをする。酸化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NEC−P〕、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNBC〕等が挙げられる。
充填剤を配合することにより、転写ローラの機械的強度等を向上できる。
また充填剤として導電性カーボンブラックを用いることで、導電性ゴム組成物の全体としてのマイクロ波の吸収効率を向上したり、転写ローラに電子導電性を付与したりすることができる。
導電性カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、25質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。
スコーチ防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に1質量部以下であるのが好ましい。
共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、ジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。
(a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
(b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、
(c) (a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物、
(d) (a)〜(c)の金属塩、
(e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族
共役ジエン、
(f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニ
ルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、
(g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの複
素環を有するビニル化合物、
(h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン
等の1種または2種以上が挙げられる。
モノカルボン酸類のエステルとしては、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ぺンチル(メタ)アクリレート、i−ぺンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;
べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;等の1種または2種以上が挙げられる。
図1は、本発明の転写ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の転写ローラ1は、本発明の導電性ゴム組成物により、単層構造の筒状に形成されるとともに、中心の通孔2にシャフト3が挿通されて固定されたものである。
シャフト3は、例えば導電性を有する接着剤を介して転写ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、あるいは通孔2の内径よりも外径の大きいものを通孔2に圧入することで、転写ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されて、一体に回転される。
図2は、連続架橋装置の一例の概略を説明するブロック図である。
図1および図2を参照して、この例の連続架橋装置5は、押出成形機6を用いて、本発明の導電性ゴム組成物を連続的に押出成形して得られた、転写ローラ1のもとになる長尺の筒状体7をカットせずに長尺のままで、図示しないコンベア等によって連続的に搬送する搬送途上に順に、マイクロ波架橋装置8、熱風架橋装置9、および筒状体7を一定の速度で引き取るための引取機10を配設したものである。
次いで、押出成形された筒状体7をコンベア、および引取機10によって一定の速度で連続的に搬送しながら、連続架橋装置5のうち、まずマイクロ波架橋装置8を通過させることでマイクロ波を照射して、筒状体7を形成する導電性ゴム組成物をある程度の架橋度まで架橋させる。またマイクロ波架橋装置8内を一定温度に加熱して、架橋とともに、発泡剤を分解させて導電性ゴム組成物を発泡させることもできる。
次いで、図示しない冷却水中等を通過させることで筒状体7を冷却することにより、当該筒状体7の発泡および架橋工程が完了する。
筒状体7の搬送速度、マイクロ波架橋装置8で照射するマイクロ波の線量、熱風架橋装置9の設定温度や長さ(それぞれ複数の部分にわけて段階的に変化させることもできる)等を設定することで、導電性ゴム組成物の架橋度、発泡度等が任意の一定値とされた筒状体7を連続的に得ることができる。
このあと、発泡、および架橋させた筒状体7を所定の長さにカットしたのち、通孔2にシャフト3を挿通して固定し、さらに必要に応じて外表面4を研磨する等して、多孔質構造を有する転写ローラ1が製造される。また発泡、および架橋させた筒状体7を、例えば図示しない巻取機に巻き取る等して一旦保管しておき、需要に応じて順次、カット以降の工程に送って転写ローラ1を製造するようにしてもよい。
〈ローラ抵抗値、およびそのムラ評価〉
転写ローラ1は、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下で測定される、印加電圧1000Vでのローラ抵抗値が1010Ω以下、特に109Ω以下であるのが好ましい。
図1、図3を参照して、本発明ではローラ抵抗値を、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム11を用意し、このアルミニウムドラム11の外周面12に、その上方から、ローラ抵抗値を測定する転写ローラ1の外表面4を当接させる。
次いでシャフト3の両端部にそれぞれ500gの荷重Fをかけて転写ローラ1をアルミニウムドラム11に圧接させた状態で、アルミニウムドラム11を回転(回転数:30rpm)させながら、両者間に、直流電源13から直流1000Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗14にかかる検出電圧Vを計測する。計測は4秒間で100回行う。
R=r×E/(V−r) (i′)
によって求められる。ただし式(i′)中の分母中の(−r)の項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
R=r×E/V (i)
によって求めた値でもって転写ローラ1のローラ抵抗値とすることとする。
〈硬さその他〉
転写ローラ1は、(社)日本ゴム協会標準規格SRIS 0101「膨張ゴムの物理試験方法」に規定された測定方法により、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、500gf(≒4.9N)の荷重を付加して測定されるアスカーC型硬さが40°以下であるのが好ましい。
また転写ローラ1は、所定の圧縮永久ひずみや誘電正接等を有するように調整できる。圧縮永久ひずみ、アスカーC型硬さ、ローラ抵抗値、並びに誘電正接等を調整するためには、例えばゴム組成物を構成する各成分の種類と量を調整すればよい。
本発明の画像形成装置は、本発明の転写ローラを組み込んだことを特徴とするものである。かかる本発明の画像形成装置としては、例えばレーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した種々の画像形成装置が挙げられる。
(導電性ゴム組成物の調製)
ゴム分としてはSBR〔住友化学(株)製の住友SBR1502〕70質量部、EPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM505A〕10質量部、およびECO〔日本ゼオン(株)製のHYDRIN(登録商標)T3108〕20質量部を配合した。
炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部とし、クエン酸の配合割合は、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部とした。
HAF:導電性カーボンブラック〔東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A−2〕
架橋剤:粉末硫黄
促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド〔Shandong Shanxian Chemical Co. Ltd.製の商品名SUNSINE MBTS〕
促進剤TS:テトラメテルチウラムモノスルフィド〔三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)TS〕
なお表1中の質量部は、ゴム分の総量100質量部あたりの質量部である。
調製した導電性ゴム組成物を押出成形機に供給して外径φ10mm、内径φ3.0mmの長尺の円筒状に押出成形し、押出成形した筒状体7をカットせずに長尺のままで連続的に送り出しながら、図2に示すマイクロ波架橋装置8と熱風架橋装置9とを含む連続架橋装置5内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させたのち、冷却水中を通過させることで連続的に冷却した。
発泡後の筒状体7の外径はおよそφ15mmであった。
次いで筒状体7を所定の長さにカットし、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ5mmのシャフト3に装着して、オーブン中で160℃×60分間加熱して熱硬化性接着剤を硬化させることにより、シャフト3と電気的に接合するとともに機械的に固定した。
〈実施例2、3〉
炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部(実施例2)、5質量部(実施例3)としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
クエン酸の配合割合を、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
〈実施例5〉
ゴム分として、さらに極性ゴムであるNBR〔JSR(株)製のJSR N250SL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:20%〕30質量部を加えるとともに、SBRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
ゴム分として、さらに極性ゴムであるCR〔昭和電工エラストマー(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕30質量部を加えるとともに、SBRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
発泡成分として、発泡剤としてのADCA〔永和化成(株)製の商品名ビニホールAC#3〕のみを単独で、ゴム分の総量100質量部あたり4質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
〈比較例2〉
発泡成分として、発泡剤としてのADCA、および炭酸水素ナトリウムを、それぞれゴム分の総量100質量部あたり2質量部ずつ併用したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
発泡成分として、発泡剤としての炭酸水素ナトリウムのみを単独で、ゴム分の総量100質量部あたり4質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
〈ガス発生の有無〉
各実施例、比較例において、導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、連続架橋装置5内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させた際に発生するガスを、理研計器(株)製のポータブル毒性ガスモニターSC−01を用いて測定して、アンモニア(NH3)、および一酸化炭素(CO)の濃度が0.5ppm以上であったものをガス発生あり、0.5ppm未満であったものをガス発生なしとして評価した。
各実施例、比較例で製造した転写ローラの、印加電圧1000Vでのローラ抵抗値を、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、先に説明した図3に示した測定方法によって測定した。ローラ抵抗値Rは、106.5 Ω以上、1010Ω以下であるとき良好(○)、それ以外のときを不良(×)と評価した。なお表2、表3ではローラ抵抗値RをlogR値で示している。
各実施例、比較例で製造した転写ローラ1のアスカーC型硬さを、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、先に説明した測定方法によって測定した。アスカーC型硬さは、40°以下のとき良好(○)、40°を超えるときを不良(×)と評価した。
〈発泡セル径〉
各実施例、比較例で製造した転写ローラ1を、シャフト3の軸方向と直交方向にカットし、外表面から径方向内方へ1mmの位置、および通孔2の内周面から径方向外方へ1mmの位置の発泡セルの発泡セル径を測定した。測定数はそれぞれ30個ずつとし、その平均値でもって外表面側の発泡セル径、および内周面側の発泡セル径とし、両者の差が50μm未満のものを発泡セル径が均一(○)、50μmを超えるものを発泡セル径に不均一あり(×)と評価した。
また比較例3の結果より、ADCAに代えて炭酸水素ナトリウムのみを単独で使用した場合には、アンモニア、および一酸化炭素が発生するのを防止できるものの、発泡セル径が不均一になることが判った。
また表2の実施例1〜4の結果より、炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましいこと、クエン酸の配合割合は、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下であるのが好ましいことが判った。
2 通孔
3 シャフト
4 外表面
5 連続架橋装置
6 押出成形機
7 筒状体
8 マイクロ波架橋装置
9 熱風架橋装置
10 引取機
11 アルミニウムドラム
12 外周面
13 直流電源
14 抵抗
15 計測回路
F 荷重
V 検出電圧
Claims (6)
- マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置によって発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物であって、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、およびエピクロルヒドリンゴムを少なくとも含むゴム分、前記ゴム分を架橋させるための架橋成分、および前記ゴム分を発泡させるための発泡成分を含むとともに、前記発泡成分は、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム、および発泡助剤としてのクエン酸であることを特徴とする導電性ゴム組成物。
- 前記炭酸水素ナトリウムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下、前記クエン酸の配合割合は、無水物換算で、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下である請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
- 前記ゴム分は、さらにアクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、およびアクリルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムを含んでいる請求項1または2に記載の導電性ゴム組成物。
- 前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電性ゴム組成物からなることを特徴とする転写ローラ。
- 前記導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、マイクロ波架橋装置と熱布架橋装置とを含む連続架橋装置によって連続的に発泡および架橋させる工程を経て製造される請求項4に記載の転写ローラ。
- 前記請求項4または5に記載の転写ローラを組み込んだことを特徴とする画像形成装置。
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