JP5925584B2 - 導電性ローラの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置において、転写ローラ等として好適に用いることができる導電性ローラの製造方法に関するものである。
例えばレーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置においては、概略下記の工程を経て、紙(OHPフィルム等のプラスチックフィルムを含む。以下同様。)の表面に画像が形成される。
まず、光導電性を有する感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、前記表面に、形成画像に対応する静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。
次いで、微小な着色粒子であるトナーを所定の電位に帯電させた状態で、前記感光体の表面に接触させる。そうするとトナーが、静電潜像の電位パターンに応じて感光体の表面に選択的に付着されて、前記静電潜像がトナー像に現像される(現像工程)。
次いで、前記トナー像を紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させることにより(定着工程)、前記紙の表面に画像が形成される。
また前記転写工程では、感光体の表面に形成したトナー像を、紙の表面に直接に転写させる場合だけでなく、像担持体の表面に一旦転写(一次転写工程)させたのち紙の表面に再転写させる(二次転写工程)場合もある。
さらに、転写が終了した感光体の表面に残留するトナーを除去する(クリーニング工程)ことにより、一連の画像形成が完了する。
前記各工程のうち感光体の帯電工程、現像工程、転写工程、およびクリーニング工程には、それぞれの用途に応じたローラ抵抗を有する導電性ローラが広く利用されている。
例えば前記感光体または像担持体と、転写ローラとしての導電性ローラとの間に所定の電圧を印加した状態で両者間に紙を通紙させることにより、前記感光体または像担持体の表面に形成されたトナー像を、転写ローラとの間の静電気力によって紙の表面に転写させることができる。
前記導電性ローラとしては、それ自体がイオン導電性を有するゴムを少なくともゴム分として含む導電性ゴム組成物の架橋物からなり、導電性を有するローラ本体を備えたもの等が挙げられる。前記イオン導電性を有するゴムとしては、エピクロルヒドリンゴム等が一般的に用いられる。
しかし近年、環境問題等を考慮して、画像形成装置を構成する各部についても、非ハロゲン系であることが求められるようになってきている。
導電性ローラのローラ本体を非ハロゲン系とするためには、当該ローラ本体を、前記エピクロルヒドリンゴムに代えて、非ハロゲン系で、かつイオン導電性を有するゴムを用いて形成すればよい。
かかる非ハロゲン系でイオン導電性のゴムとしては、例えばエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム(以下「EO−PO−AGE共重合ゴム」と略記することがある)等の、繰り返し単位としてエチレンオキサイドを含み、非ハロゲン系で、かつイオン導電性を有するゴム(以下「EO系イオン導電性ゴム」と記載することがある)が知られている。
また前記EO系イオン導電性ゴムに、リチウム等の陽イオンと、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとの塩(以下「イオン塩」と略記することがある)を添加すると、両者の相互作用によって、導電性ローラのローラ抵抗を、エピクロルヒドリンゴム等からなるものと同等程度の範囲に調整することができる。
すなわち前記イオン塩においては、フルオロ基およびスルホニル基がともに電子吸引性を有するため陰イオンが安定化される結果、リチウム等の陽イオンが高い解離度を示す。またEO系イオン導電性ゴムの分子中に含まれるエチレンオキサイド(EO)単位やプロピレンオキサイド(PO)単位、特にEO単位の機能によって、前記イオン塩由来の解離した陽イオンを安定化させることができる。
そのため前記両者を併用することで、ローラ本体のイオン導電性をさらに向上して、当該ローラ本体を備えた導電性ローラのローラ抵抗を、エピクロルヒドリンゴム等からなるものと同等程度の範囲に調整することが可能となる。
前記EO系イオン導電性ゴムを含むゴム分やイオン塩に、さらにゴム分を架橋させるための架橋剤成分(架橋剤、促進剤、助剤等)等の添加剤を配合し、混練することで導電性ゴム組成物が調製される。また、前記導電性ゴム組成物を筒状に押出成形等するとともにゴム分を架橋させることで、導電性ローラのローラ本体が形成される。
ただし、イオン塩の多くは吸湿性や潮解性が大きいため、吸湿による質量変化や潮解による性状変化、さらには吸収した水分の影響等を極力排除して、導電性ゴム組成物を安定的に製造するとともに、ローラ本体の導電性等を安定化させることが求められる。
そのため前記イオン塩を、架橋前のEO系イオン導電性ゴムの少なくとも一部によってあらかじめマスターバッチ化した状態で、前記導電性ゴム組成物の調製に使用することが考えられている(例えば特許文献1等参照)。
特許第4149242号公報
ところが発明者の検討によると、EO系イオン導電性ゴムとして現在入手可能なものは分子量が大きく、通常は粉末状で供給されており、前記EO系イオン導電性ゴムによってイオン塩をマスターバッチ化するために、例えばニーダ等の混練機を用いて両者を混練したのち冷却すると、製造されたマスターバッチは樹脂板のように硬くなって、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生しやすくなる。しかも滑りの発生度合いは、前記マスターバッチを用いて導電性ゴム組成物を調製するバッチごとに異なる。
そのため前記バッチごとに、導電性ゴム組成物中でのイオン塩の分布にばらつきを生じて、前記導電性ゴム組成物を用いて形成されるローラ本体を備えた導電性ローラのローラ抵抗にも、バッチごとのばらつきを生じるという問題がある。
前記EO系イオン導電性ゴムは粉末状のままとし、同じく粉末状としたイオン塩をまぶした混合物が、マスターバッチの代わりに使用できるものとして提供されているが、かかる混合物では、イオン塩が粉末状という表面積の大きい状態で外気に曝されることになるため、マスターバッチと違ってイオン塩の吸湿や潮解を防止する効果は得られない。
そして、バッチごとに気候条件(特に湿度)等の影響でイオン塩の吸湿量にばらつきを生じて、当該混合物を用いて調製される導電性ゴム組成物や、当該導電性ゴム組成物を用いて形成されるローラ本体を備えた導電性ローラのローラ抵抗が、バッチごとにばらつきやすくなるという問題がある。
本発明の目的は、イオン塩を、当該イオン塩の吸湿や潮解を防止すべくマスターバッチ化しても、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生し難いため、バッチごとのローラ抵抗のばらつきを小さくできる導電性ローラの製造方法を提供することにある。
本発明は、
(1) エチレンオキサイドを含む非ハロゲン系のイオン導電性ゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムを少なくとも含むゴム分、
(2) 前記ゴム分を架橋させるための架橋剤成分、および
(3) 陽イオンと、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとの塩、
を含む導電性ゴム組成物の架橋物からなるローラ本体を備えた導電性ローラの製造方法であって
記(1)のゴム分のうち前記イオン導電性ゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムの2種のゴムの総量に占める前記アクリロニトリルブタジエンゴムの配合割合が50質量%以下である前記2種のゴムによって、前記(3)の塩をあらかじめマスターバッチ化する工程、
前記マスターバッチを、前記導電性ゴム組成物を構成する残りの成分と配合し、混練して導電性ゴム組成物を調製する工程、および
前記導電性ゴム組成物を筒状に押出成形するとともに、前記(1)のゴム分を架橋させてローラ本体を形成する工程
を含むことを特徴とする。
前記NBRは、それ自体が非ハロゲン系のゴムであり、様々な性状を有するものが提供されている。その中から、例えばムーニー粘度の小さいNBRを選択して用いることにより、当該NBRと、EO系イオン導電性ゴムと、イオン塩とからなるマスターバッチをできるだけ軟らかくすることができる。そして、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生するのを防止して、バッチごとのローラ抵抗のばらつきが小さい導電性ローラを形成することが可能となる。
ただし前記EO系イオン導電性ゴム、およびNBRの2種のゴムの総量に占める前記NBRの配合割合が50質量%を超える場合には粘着性が高くなって、いわゆるタックを生じやすくなり、前記タックが生じると、前記各成分を混練して調製したマスターバッチを混練機から取り出す作業が容易でなくなったり、前記マスターバッチを、導電性ゴム組成物を構成する他の成分と混練するのが容易でなくなったり、そのために導電性ローラのローラ抵抗が高くなったりするという問題を生じる。
これに対し、NBRの配合割合が前記範囲内であれば、前記タックが生じるのを防止しながら、当該NBRを配合することによる前記の効果を有効に発現させて、バッチごとのローラ抵抗のばらつきが小さい導電性ローラを形成することができる。
前記マスターバッチは、前記イオン塩、および当該イオン塩1質量部あたりの合計量が10質量部以上、30質量部以下の前記2種のゴムからなるのが好ましい。これにより、できるだけ少量のゴムで、イオン塩を効率よくマスターバッチ化することができる。
前記(1)のゴム分は、前記EO系イオン導電性ゴム、およびNBRに加えて、さらに耐オゾン性、耐候性、耐久性等に優れたエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を含む3種であるのが好ましい。これにより、導電性ローラの耐オゾン性、耐候性、耐久性等を向上することができる。
また前記EO系イオン導電性ゴム、NBR、およびEPDMは、それぞれ互いに良好な相溶性、親和性を有さず、導電性ゴム組成物を調製するために混練しても相分離を生じやすい。また(3)のイオン塩は、前記EO系イオン導電性ゴムに対しては良好な相溶性、親和性を有するものの、かかる相溶性、親和性がEO系イオン導電性ゴム>NBR>EPDMの順に低くなる傾向がある。
そのため、当該3種のゴム分とイオン塩とを含む導電性ゴム組成物を用いて形成されるローラ本体は、前記3種のゴム分の配合割合を調整することにより、例えば特許文献1に記載されているように、NBRからなる連続相中に、EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相と、EPDMからなる第2非連続相とが分散するとともに、前記第1非連続相中に集中的にイオン塩が分布した海−島構造を呈することができる。
かかる海−島構造とすると、イオン塩を、前記EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相中に封じ込めて、当該イオン塩がローラ本体2の外周面5にブリードしたり、ブリードしたイオン塩が感光体や像担持体の表面を汚染したりするのをさらに確実に抑制することができる
また本発明の製造方法によれば、電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで使用される、バッチごとの抵抗のばらつきが小さく、転写性能に優れた転写ローラを製造することができる。
本発明によれば、イオン塩を、当該イオン塩の吸湿や潮解を防止すべくマスターバッチ化しても、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生し難いため、バッチごとのローラ抵抗のばらつきを小さくできる導電性ローラの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によって製造される導電性ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。 前記導電性ローラの電気抵抗値を測定する方法を説明する図である。
《導電性ゴム組成物》
本発明の製造方法によって製造される導電性ローラのローラ本体を形成する導電性ゴム組成物は、
(1) EO系イオン導電性ゴム、およびNBRを少なくとも含むゴム分、
(2) 前記ゴム分を架橋させるための架橋剤成分、および
(3) イオン塩、
を含んでいる。
〈ゴム分〉
(EO系イオン導電性ゴム)
前記(1)のゴム分のうちEO系イオン導電性ゴムとしては、繰り返し単位としてエチレンオキサイドを含み、かつ非ハロゲン系である種々のイオン導電性ゴムが使用可能である。
前記EO系イオン導電性ゴムとしては、先に説明したEO−PO−AGE共重合ゴム、およびエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合ゴム(以下「EO−PO共重合ゴム」と略記する場合がある)からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
このうちEO−PO共重合ゴムは、EO単位の含有率が55モル%以上、95モル%以下、特に65モル%以上、92モル%以下であるのが好ましい。
EO単位の含有率が前記範囲未満では、先に説明した、EO単位の機能によってイオン塩由来の陽イオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。また含有率が前記範囲を超える場合にはEO単位が結晶化して、やはりイオン塩由来の陽イオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。
前記EO−PO共重合ゴムとしては、これに限定されないが、例えば日本ゼオン(株)製のゼオスパン(登録商標)8100等が挙げられる。
またEO−PO−AGE共重合ゴムは、EO単位の含有率が55モル%以上、95モル%以下、特に65モル%以上、92モル%以下であるのが好ましい。
EO単位の含有率が前記範囲未満では、先に説明した、EO単位の機能によってイオン塩由来の陽イオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。また含有率が前記範囲を超える場合にはEO単位が結晶化して、やはりイオン塩由来の陽イオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。
またAGE単位の含有率は1モル%以上、10モル%以下であるのが好ましい。
AGE単位の含有率が前記範囲未満では、EO−PO−AGE共重合ゴムがイオン塩とともにローラ本体の外周面にブリードしたり、ブリードしたイオン塩が感光体や像担持体の表面を汚染したりするおそれがある。また含有率が前記範囲を超える場合には、EO−PO−AGE共重合ゴムの引張強さや疲労特性、耐屈曲性等が低下して、ローラ本体の耐久性等に影響を及ぼすおそれがある。
前記EO−PO−AGE共重合ゴムとしては、これに限定されないが、例えば日本ゼオン(株)製のゼオスパン(登録商標)8010、8030等が挙げられる。
前記EO系イオン導電性ゴムの配合割合は、(1)のゴム分の総量100質量部中の5質量部以上、特に10質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に40質量部以下あるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、EO系イオン導電性ゴムを配合することによる、導電性ローラのローラ本体に良好なイオン導電性を付与する効果が得られないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、相対的にNBRの配合割合が少なくなるため、当該NBRを配合することによる、先に説明したマスターバッチを軟らかくして、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生するのを防止する効果や、架橋後のローラ本体の硬度を低くして柔軟性を向上する効果が得られないおそれがある。
また、ゴム分としてさらにEPDMを配合する場合に、NBRの配合割合が少ないと、先に説明した、NBRの連続相中に、EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相と、EPDMからなる第2非連続相とが分散された海−島構造を構成して、イオン塩のブリードを抑制する効果が得られないおそれもある。
また、相対的に当該EPDMの配合割合が少なくなるため、かかるEPDMを配合することによる、導電性ローラの耐オゾン性、耐候性、耐久性等を向上する効果が得られないおそれがある。
(NBR)
NBRは、先に説明したようにマスターバッチを軟らかくしたり、架橋後のローラ本体の硬度を低くして柔軟性を向上したりするために配合される。
前記NBRとしては、アクリロニトリル含量が24%以下である低ニトリルNBR、25%以上、30%以下である中ニトリルNBR、31%以上、35%以下である中高ニトリルNBR、36%以上、42%以下である高ニトリルNBR、および43%以上である極高ニトリルNBRのいずれを用いてもよい。
特にNBRとしては、先に説明したようにマスターバッチをできるだけ軟らかくしたり、架橋後のローラ本体の硬度をできるだけ低くして柔軟性をさらに向上したりすることを考慮すると、ムーニー粘度の小さいNBRを選択して用いるのが好ましい。特にムーニー粘度ML1+4(100℃)が50以下、特に45以下であるNBRが好ましい。
かかるムーニー粘度の小さいNBRとしては、これに限定されないが、例えばJSR(株)製のJSR(登録商標)N250SL〔アクリロニトリル含量:20%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):43〕、N640〔アクリロニトリル含量:25%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):50〕、N239SV〔アクリロニトリル含量:34%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):30〕、N231L〔アクリロニトリル含量:34%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45〕、N230SV〔アクリロニトリル含量:35%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):32〕、N230SL〔アクリロニトリル含量:35%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):42〕、N222L〔アクリロニトリル含量:43%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45〕、N215SL〔アクリロニトリル含量:48%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45〕等の1種または2種以上が挙げられる。
前記NBRの配合割合は、(1)のゴム分の総量100質量部中の50質量部以上、特に60質量部以上であるのが好ましく、90質量部以下、特に85質量部以下あるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、NBRを配合することによる、先に説明したマスターバッチを軟らかくして、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生するのを防止する効果や、架橋後のローラ本体の硬度を低くして柔軟性を向上する効果が得られないおそれがある。
また、ゴム分としてさらにEPDMを配合する場合に、NBRの配合割合が少ないと、先に説明した、NBRの連続相中に、EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相と、EPDMからなる第2非連続相とが分散された海−島構造を構成して、イオン塩のブリードを抑制する効果が得られないおそれもある。
一方、前記範囲を超える場合には、相対的にEO系イオン導電性ゴムの配合割合が少なくなるため、当該EO系イオン導電性ゴムを配合することによる、導電性ローラのローラ本体に良好なイオン導電性を付与する効果が得られないおそれがある。
またEPDMを配合する場合は、相対的に当該EPDMの配合割合が少なくなるため、かかるEPDMを配合することによる、導電性ローラの耐オゾン性、耐候性、耐久性等を向上する効果が得られないおそれがある。
(EPDM)
前記(1)のゴム分として、さらにEPDMを配合すると、導電性ローラの耐オゾン性、耐候性、耐久性等を向上することができる。
前記EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量の第3成分(ジエン分)を加えることで主鎖中に二重結合を導入した種々のEPDMが、いずれも使用可能である。前記EPDMとしては、前記第3成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。重合触媒としてはチーグラー触媒を使用するのが一般的である。
またEPDMとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。ただし油展タイプのものは伸展油がローラ本体の外周面にブリードしたり、ブリードした伸展油が感光体や像担持体の表面を汚染したりするおそれがあるため、非油展タイプのEPDMを用いるのが好ましい。
また、特にEPDMとしては、マスターバッチとの混練を容易にすることを考慮すると、ムーニー粘度の小さいEPDMを選択して用いるのが好ましい。特にムーニー粘度ML1+4(100℃)が60以下、特に50以下であるEPDMが好ましい。
前記EPDMとしては、いずれも非油展タイプである、住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM301A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):44〕、501A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):44〕、505A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):47〕、301〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):55〕、305〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):60〕等の1種または2種以上が挙げられる。
前記EPDMの配合割合は、(1)のゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、特に15質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下、特に30質量部以下あるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、EPDMを配合することによる、導電性ローラの耐オゾン性、耐候性、耐久性等を向上する効果が得られないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、相対的にEO系イオン導電性ゴムの配合割合が少なくなるため、当該EO系イオン導電性ゴムを配合することによる、導電性ローラのローラ本体に良好なイオン導電性を付与する効果が得られないおそれがある。
またNBRを配合することによる、先に説明したマスターバッチを軟らかくして、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生するのを防止する効果や、架橋後のローラ本体の硬度を低くして柔軟性を向上する効果が得られないおそれがある。
またNBRの連続相中に、EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相と、EPDMからなる第2非連続相とが分散された海−島構造を構成して、イオン塩のブリードを抑制する効果が得られないおそれもある。
〈イオン塩〉
前記(3)のイオン塩を構成する、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとしては、例えばフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちフルオロアルキルスルホン酸イオンとしては、例えばCFSO 、CSO 等の1種または2種以上が挙げられる。
またビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオンとしては、例えば(CFSO)、(CSO)、(CSO)(CFSO)N、(FSO)(CFSO)N、(C17SO)(CFSO)N、(CFCHOSO)、(CFCFCHOSO)、(HCFCFCHOSO)、[(CF)CHOSO]等の1種または2種以上が挙げられる。
さらにトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオンとしては、例えば(CFSO)、(CFCHOSO)等の1種または2種以上が挙げられる。
また、前記陰イオンとともに(3)のイオン塩を構成する陽イオンとしては、例えばナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素のイオン、遷移元素のイオン、両性元素の陽イオン、第4級アンモニウムイオン、イミダゾリウム陽イオン等の1種または2種以上が挙げられる。
イオン塩としては、特に陽イオンとしてリチウムイオンを用いたリチウム塩が好ましい。
中でも、導電性ゴム組成物のイオン導電性を向上して導電性ローラのローラ抵抗を低下させる効果の点で、(CFSO)NLi〔リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〕が好ましい。
前記イオン塩の配合割合は、前記(1)のゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、イオン塩を配合することによる、先に説明した、ローラ本体のイオン導電性を向上して、当該ローラ本体を備えた導電性ローラのローラ抵抗を、エピクロルヒドリンゴム等からなるものと同等程度の範囲に調整する効果が得られないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、過剰のイオン塩がローラ本体の外周面にブリードしたり、ブリードしたイオン塩が感光体や像担持体の表面を汚染したりするおそれがある。
〈マスターバッチの調製〉
本発明では、前記(1)〜(3)の各成分を配合して導電性ゴム組成物を調製するのに先立って、(3)のイオン塩を、EO系イオン導電性ゴム、およびNBRの2種のゴムによってあらかじめマスターバッチ化する。
具体的には、例えば十分に乾燥させた前記3種の成分を所定の割合で配合し、配合物をできるだけ速やかに混練機に送り込んで混練したのち冷却して、例えばベール状のマスターバッチを得る。混練機としては、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等が挙げられる。
前記マスターバッチに用いるEO系イオン導電性ゴム、およびNBRの2種のゴムの配合割合は、両ゴムの総量に占めるNBRの配合割合で表して50質量%以下である必要がある。
NBRの配合割合が前記範囲を超える場合には、マスターバッチの粘着性が高くなって、いわゆるタックを生じやすくなり、前記タックが生じると、前記各成分を混練して調製したマスターバッチを混練機から取り出す作業が容易でなくなったり、前記マスターバッチを、導電性ゴム組成物を構成する他の成分と混練するのが容易でなくなったり、そのために導電性ローラのローラ抵抗が高くなったりするという問題を生じる。
これに対し、NBRの配合割合が前記範囲内であれば、前記タックが生じるのを防止しながら、マスターバッチをできるだけ軟らかくして、次工程で残りの成分と混練して導電性ゴム組成物を調製するために小さくカットしたり、あるいは混練機を用いて混練したりする際に滑りが発生するのを防止して、バッチごとのローラ抵抗のばらつきが小さい導電性ローラを形成することができる。
なお前記2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合は、前記範囲内でも10質量%以上であるのが好ましい。
NBRの配合割合が前記範囲未満では、当該NBRを配合することによる前記の効果を有効に発現させることができず、バッチごとのローラ抵抗のばらつきが小さい導電性ローラを形成できないおそれがある。
また前記マスターバッチは、前記イオン塩、および当該イオン塩1質量部あたりの合計量が10質量部以上、30質量部以下の前記2種のゴムからなるのが好ましい。これにより、できるだけ少量のゴムで、イオン塩を効率よくマスターバッチ化することができる。
なお、先に説明した吸湿や潮解を防止すること等を考慮すると、イオン塩の全量をマスターバッチ化するのが好ましいことは言うまでもない。ただし、ごく少量であれば、イオン塩の一部をマスターバッチ化せずに直接に、次に説明する導電性ゴム組成物の調製に使用してもよい。
《導電性ゴム組成物の調製》
導電性ゴム組成物は、前記マスターバッチに、EPDMや前記(2)の架橋剤成分、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合し、混練して調製することができる。またマスターバッチに使用した分だけではEO系イオン導電性ゴムやNBRの配合割合が不足する場合は、不足分のこれらゴムを、前記各成分とともに配合する。
具体的には、まず前記マスターバッチと残りのゴム分とを所定の割合で配合して素練りし、次いで架橋剤成分以外の添加剤を加えて混練したのち、最後に架橋剤成分を加えて混練することで導電性ゴム組成物が得られる。
また、ローラ本体を多孔質構造とするために発泡剤成分を配合する場合は、前記マスターバッチと残りのゴム分とを所定の割合で配合して素練りし、次いで発泡剤成分と架橋剤成分以外の添加剤を加えて混練したのち、最後に発泡剤成分と架橋剤成分を加えて混練することで導電性ゴム組成物が得られる。
マスターバッチが前記ベール状等である場合は、残りの成分との混練を容易にするために小さくカットして使用する。
混練には、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等を用いることができる。
〈架橋剤成分〉
架橋剤成分としては、架橋剤、促進剤等が挙げられる。
このうち架橋剤としては、例えば硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。中でも硫黄系架橋剤が好ましい。
また硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。このうち有機含硫黄化合物等としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。特に粉末硫黄等の硫黄が好ましい。
硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、導電性ゴム組成物の全体での架橋速度が遅くなり、架橋に要する時間が長くなってローラ本体の生産性が低下するおそれがある。また前記範囲を超える場合には、架橋後のローラ本体の圧縮永久ひずみが大きくなったり、過剰の硫黄がローラ本体の外周面にブルームしたりするおそれがある。
促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機促進剤としては、例えばジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等のグアニジン系促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤;テトラメテルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系促進剤;チオウレア系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
促進剤としては、前記種々の促進剤の中から、組み合わせる架橋剤の種類に応じて、最適な促進剤の1種または2種以上を選択して使用すればよい。例えば架橋剤として硫黄を使用する場合は、促進剤としてチウラム系促進剤、および/またはチアゾール系促進剤を選択して使用するのが好ましい。
また促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、2種以上を併用するのが好ましい。併用する個々の促進剤の配合割合は任意に設定することができるが、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
架橋剤成分としては、さらに架橋助剤を配合してもよい。
架橋助剤としては、例えば亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋助剤の配合割合は、ゴム分の種類および組み合わせや、架橋剤、促進剤の種類および組み合わせ等に応じて適宜設定することができる。
〈その他の添加剤〉
導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。前記添加剤としては、例えば発泡剤成分、受酸剤、可塑成分(可塑剤、加工助剤等)、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
(発泡剤成分)
発泡剤成分としては、発泡剤、発泡助剤等が挙げられる。
このうち発泡剤は、導電性ゴム組成物を筒状に押出成形するとともにゴム分を架橋させるのと同時に、あるいは前後して発泡させることでローラ本体を多孔質構造として、当該ローラ本体を軽量化したり、柔軟性をさらに高めたりするために機能する。
前記発泡剤としては、加熱によりガスを発生して導電性ゴム組成物を発泡させることができる種々の発泡剤がいずれも使用可能である。
かかる発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド(HNOCN=NCONH、ADCA)、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等の1種または2種以上が挙げられる。
前記発泡剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、特に2質量部以上であるのが好ましく、8質量部以下、特に6質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体を良好に発泡させることができないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、過剰に内在する気体と発泡圧によってローラ本体の外周面および内周面の断面形状がきれいな円形にならかったり、内径の寸法が不均一になったり、セルの分布が不均一で硬さや導電性にムラを生じたりするおそれがある。
前記発泡剤とともに、前記発泡助剤を配合してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度を低下させて、その発泡を補助する機能をする。前記発泡助剤としては、尿素が好適に使用される。
発泡助剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、特に2質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、当該発泡助剤による、発泡剤の発泡を助ける効果が十分に得られず、ローラ本体を良好に発泡させることができないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、発泡剤の発泡温度が低くなりすぎて、極めて短時間で発泡が進行するため、過剰に内在する気体と発泡圧によってローラ本体の外周面および内周面の断面形状がきれいな円形にならかったり、内径の寸法が不均一になったり、セルの分布が不均一で硬さや導電性にムラを生じたりするおそれがある。
(その他)
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。また加工助剤としてはステアリン酸等の脂肪酸などが挙げられる。
これら可塑成分の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以下であるのが好ましい。例えば画像形成装置への装着時や運転時に感光体の汚染を生じたりするのを防止するためである。かかる目的に鑑みると、可塑成分としては極性ワックスを使用するのが特に好ましい。
劣化防止剤としては、各種の老化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。
このうち酸化防止剤は、導電性ローラのローラ抵抗の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗の上昇を抑制する働きをする。前記酸化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NEC−P〕、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNBC〕等が挙げられる。
充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤を配合することにより、ローラ本体の機械的強度等を向上できる。
また充填剤として導電性カーボンブラックを用いて、ローラ本体に電子導電性を付与することもできる。
充填剤の配合割合は、個別に、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。
スコーチ防止剤としては、例えばN−シクロへキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフエニルアミン、2,4−ジフエニル−4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上が挙げられる。特にN−シクロへキシルチオフタルイミドが好ましい。
スコーチ防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に1質量部以下であるのが好ましい。
共架橋剤とは、それ自体が架橋するとともにゴム分とも架橋反応して全体を高分子化する働きを有する成分を指す。
前記共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、ジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちエチレン性不飽和単量体としては、例えば
(a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
(b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、
(c) 前記(a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物、
(d) 前記(a)〜(c)の金属塩、
(e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、
(f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、
(g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの複素環を有するビニル化合物、
(h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン
等の1種または2種以上が挙げられる。
また前記(c)の不飽和カルボン酸類のエステルとしては、モノカルボン酸類のエステルが好ましい。
前記モノカルボン酸類のエステルとしては、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ぺンチル(メタ)アクリレート、i−ぺンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;
べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;
等の1種または2種以上が挙げられる。
《導電性ローラ、および転写ローラ》
図1は、本発明の製造方法によって製造される導電性ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の導電性ローラ1は、単層構造を有する筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを備えている。
前記シャフト4は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。ローラ本体2とシャフト4とは、例えば導電性を有する接着剤等によって電気的に接合されるとともに機械的に固定されて一体に回転される。
ローラ本体2は非多孔質構造としてもよいし、先に説明したように発泡剤成分を発泡させて多孔質構造としてもよい。
またローラ本体2は、外周面5側の外層とシャフト4側の内層の2層構造としてもよい。ただしローラ本体2は、導電性ローラ1の構造を簡略化して、できるだけ生産性良く、低コストで製造するため、基本的には、図に示すように単層構造とするのが好ましい。
前記単層構造のローラ本体2は、前記導電性ゴム組成物を、先に説明したように押出成形機を用いて筒状に押出成形するとともに架橋および必要に応じて発泡させたのち所定の長さにカットし、さらに必要に応じて外周面5を研磨する等して製造される。
先に説明したように、(1)のゴム分としてのEO系イオン導電性ゴム、NBR、およびEPDMは、それぞれ互いに良好な相溶性、親和性を有さず、導電性ゴム組成物を調製するために混練しても相分離を生じやすい。また(3)のイオン塩は、前記EO系イオン導電性ゴムに対しては良好な相溶性、親和性を有するものの、かかる相溶性、親和性がEO系イオン導電性ゴム>NBR>EPDMの順に低くなる傾向がある。
そのため、当該3種のゴム分とイオン塩とを含む前記導電性ゴム組成物を用いて、前記工程を経て形成されるローラ本体2は、前記3種のゴム分の配合割合を調整することにより、NBRからなる連続相中に、EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相と、EPDMからなる第2非連続相とが分散するとともに、前記第1非連続相中に集中的にイオン塩が分布した海−島構造を呈することができる。
かかる海−島構造とすると、イオン塩を、前記EO系イオン導電性ゴムからなる第1非連続相中に封じ込めて、当該イオン塩がローラ本体2の外周面5にブリードしたり、ブリードしたイオン塩が感光体や像担持体の表面を汚染したりするのをさらに確実に抑制することができる。
前記ローラ本体2の外周面5には、図中に拡大して示すように酸化膜6を設けてもよい。酸化膜6を形成すると、当該酸化膜6が誘電層として機能して導電性ローラ1の誘電正接を低減することができる。
前記酸化膜6は、ローラ本体2の外周面5に紫外線を照射して形成するのが、当該酸化膜6を簡単で効率よく形成できるため好ましい。すなわち、ローラ本体2の外周面5に所定波長の紫外線を所定時間照射することにより、前記外周面5に、所定の厚みを有する酸化膜6を形成することができる。
しかも酸化膜6は、ローラ本体2の外周面5を構成する導電性ゴム組成物それ自体が、紫外線の照射によって酸化されて形成されるため、当該酸化膜6を形成することで、前記外周面5の表面粗さ等が変化したりするおそれもない。
照射する紫外線の波長は、前記SBR等のゴム分を効率よく酸化させて、前記機能に優れた酸化膜6を形成することを考慮すると100nm以上であるのが好ましく、400nm以下、特に300nm以下であるのが好ましい。また照射の時間は30秒間以上、特に1分間以上であるのが好ましく、30分間以下、特に15分間以下であるのが好ましい。
ただし酸化膜6は、他の方法で形成してもよいし、場合によっては省略してもよい。
紫外線の照射によって酸化膜6を形成する場合は、先に説明した各種添加剤のうち紫外線吸収剤、酸化防止剤を配合しないか、あるいはその配合割合を極力少なくするのが好ましい。
記導電性ローラは、例えばレーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで用いることができる。
すなわち、先に説明した画像形成工程うち感光体の帯電工程に用いる帯電ローラ、現像工程に用いる現像ローラ、転写工程に用いる転写ローラ、およびクリーニング工程に用いるクリーニングローラとして、画像形成装置に組み込むことができる。特に転写ローラとして用いることが好ましい。これにより、画像形成装置の性能を、これまでよりも安定させることができる。
〈ローラ抵抗〉
前記ローラ本体2を備えた導電性ローラ1を、例えば転写ローラとして使用する場合、当該導電性ローラ1の、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下で測定される、印加電圧1000Vでのローラ抵抗が10Ω以下であるのが好ましい。
図2は、導電性ローラ1のローラ抵抗を測定する方法を説明する図である。
図1、図2を参照して、本発明では前記ローラ抵抗を、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム7を用意し、前記アルミニウムドラム7の外周面8に、その上方から、ローラ抵抗を測定する導電性ローラ1の、ローラ本体2の外周面5を当接させる。
また前記導電性ローラ1のシャフト4とアルミニウムドラム7との間に直流電源9、および抵抗10を直列に接続して計測回路11を構成する。直流電源9は、(−)側をシャフト4、(+)側を抵抗10接続する。抵抗10の抵抗値rは100Ωとする。
次いでシャフト4の両端部にそれぞれ500gの荷重Fをかけてローラ本体2をアルミニウムドラム7に圧接させた状態で、前記アルミニウムドラム7を回転(回転数:30rpm)させながら、前記両者間に、直流電源9から直流1000Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗10にかかる検出電圧Vを計測する。
前記検出電圧Vと印加電圧E(=1000V)とから、導電性ローラ1のローラ抵抗Rは、基本的に式(i′):
R=r×E/(V−r) (i′)
によって求められる。ただし式(i′)中の分母中の(−r)の項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
R=r×E/V (i)
によって求めた値でもって導電性ローラ1のローラ抵抗とすることとする。
〈実施例1〉
(マスターバッチの調製)
前記(3)のイオン塩としての(CFSO)NLi〔リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、TFSI〕1質量部、EO系イオン導電性ゴムとしてのEO−PO−AGE共重合ゴム〔日本ゼオン(株)製のゼオスパン(登録商標)8030〕9質量部、およびNBR〔JSR(株)製のJSR(登録商標)N250SL、アクリロニトリル含量:20%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):43〕1質量部を配合後、直ちにニーダに送り込んで70℃で5分間混練したのち冷却して、ベール状のマスターバッチを得た。
前記マスターバッチにおける、前記2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合は10質量%であった。
(導電性ゴム組成物の調製)
前記マスターバッチを小さくカットしたもの11質量部に、不足分のEO−PO−AGE共重合ゴム〔前出のゼオスパン8030〕1質量部、およびNBR〔前出のJSR N250SL〕62質量部と、EPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM 505A、ムーニー粘度ML1+4(100℃):47〕27質量部と、下記表1に示す各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて90℃で10分間混練して導電性ゴム組成物を調製した。
前記導電性ゴム組成物における、前記3種のゴムの総量100質量部中の、各ゴムの配合割合は、EO−PO−AGE共重合ゴムが10質量部、NBRが63質量部、EPDMが27質量部であった。
Figure 0005925584
表1中の各成分の質量部は、前記3種のゴムの総量100質量部あたりの質量部である。また表1中の各成分は下記のとおり。
充填剤a:カーボンブラックHAF〔東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕
充填剤b:重質炭酸カルシウム〔白石カルシウム(株)製のBF−300〕
架橋助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
発泡剤:OBSH系〔永和化成工業(株)製のネオセルボン(登録商標)N#1000SW〕
架橋剤:粉末硫黄〔鶴見化学工業(株)製〕
促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)DM〕
促進剤TS:テトラメテルチウラムモノスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーTS〕
(導電性ローラの作製)
前記導電性ゴム組成物をφ60の押出機に供給して外径φ13.0mm、内径φ5.5mmの筒状に押出成形した後、外径φ3mmの架橋用の仮のシャフトを挿通して加硫缶内で160℃×30分間架橋させた。
次いで、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ6mmの金属製のシャフトを圧入してオーブン中で150℃×60分間加熱して接着したのち両端をカットし、広幅研磨機を用いて外径がφ12.5mmになるまで外周面を研磨した。
次いで研磨後の外周面をアルコール拭きしたのち、UVランプから前記外周面までの距離が50mmとなるように設定して紫外線照射機にセットし、シャフトを中心として30rpmで回転させながら紫外線を15分間照射することで前記外周面に酸化膜を形成して導電性ローラを作製した。
〈実施例2〉
イオン塩としてのTFSI1質量部に対する2種のゴムの配合割合をEO−PO−AGE共重合ゴム5質量部、NBR5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてベール状のマスターバッチを調製した。
前記マスターバッチにおける、前記2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合は50質量%であった。
そして、前記マスターバッチを小さくカットしたもの11質量部を使用するとともに、不足分としてのEO−PO−AGE共重合ゴムの配合割合を5質量部、NBRの配合割合を58質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、導電性ローラを作製した。
前記導電性ゴム組成物における、前記3種のゴムの総量100質量部中の、各ゴムの配合割合は、EO−PO−AGE共重合ゴムが10質量部、NBRが63質量部、EPDMが27質量部であった。
〈比較例1〉
マスターバッチに代えて、粉末状のEO−PO−AGE共重合ゴム〔前出のゼオスパン8030〕10質量部に、粉末状のイオン塩〔前出のTFSI〕をまぶした混合物〔三光化学工業(株)製のサンコノール(登録商標)SRI2010〕11質量部を使用するとともに、不足分としてEO−PO−AGE共重合ゴムを配合せず、かつNBRの配合割合を63質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、導電性ローラを作製した。
前記導電性ゴム組成物における、前記3種のゴムの総量100質量部中の、各ゴムの配合割合は、EO−PO−AGE共重合ゴムが10質量部、NBRが63質量部、EPDMが27質量部であった。
〈比較例2〉
前記粉末状のEO−PO−AGE共重合ゴム10質量部と粉末状のイオン塩1質量部の混合物〔前出のサンコノールSRI2010〕を、ニーダを用いて混練したのち冷却して、ベール状のマスターバッチを得た。
前記マスターバッチにおける、前記2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合は0質量%であった。
そして、前記マスターバッチを小さくカットしたもの11質量部を使用するとともに、不足分としてEO−PO−AGE共重合ゴムを配合せず、かつNBRの配合割合を63質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、導電性ローラを作製した。
前記導電性ゴム組成物における、前記3種のゴムの総量100質量部中の、各ゴムの配合割合は、EO−PO−AGE共重合ゴムが10質量部、NBRが63質量部、EPDMが27質量部であった。
〈比較例3〉
イオン塩としてのTFSI1質量部に対する2種のゴムの配合割合をEO−PO−AGE共重合ゴム4質量部、NBR6質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてベール状のマスターバッチを調製した。
前記マスターバッチにおける、前記2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合は60質量%であった。
そして、前記マスターバッチを小さくカットしたもの11質量部を使用するとともに、不足分としてのEO−PO−AGE共重合ゴムの配合割合を6質量部、NBRの配合割合を57質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、導電性ローラを作製した。
前記導電性ゴム組成物における、前記3種のゴムの総量100質量部中の、各ゴムの配合割合は、EO−PO−AGE共重合ゴムが10質量部、NBRが63質量部、EPDMが27質量部であった。
〈タックの有無〉
前記比較例1を除く各実施例、比較例において、各成分を混練してマスターバッチを調製した際に、EO−PO−AGE共重合ゴムとNBRの2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合を、50質量%を超える60質量%とした比較例3において調製したマスターバッチはタックを生じており、ニーダから取り出す作業が困難であった。
これに対し、前記NBRの配合割合を50質量%以下とした実施例1、2、比較例2において調製したマスターバッチはタックを生じておらず、ニーダから容易に取り出すことができた。
〈吸湿による質量変化の有無〉
前記各実施例、比較例において導電性ゴム組成物のもとになる各成分を秤量した際に、比較例1で用いた混合物は吸湿によって大きな質量変化を生じた。
これに対し、実施例1、2、比較例2、3で用いたマスターバッチは吸湿による質量変化を殆ど生じなかった。
〈混練時の滑りの有無〉
前記各実施例、比較例において導電性ゴム組成物を調整するために各成分を混練した際に、NBRを含まない硬いマスターバッチを使用した比較例2では滑りが発生した。
これに対し、NBRを含む柔軟なマスターバッチを使用した実施例1、2、比較例3、および混合物を使用した比較例1では滑りを生じなかった。
〈ローラ抵抗の測定〉
実施例、比較例で作製した導電性ローラのローラ抵抗を、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下で、先に説明した測定方法によって測定したところ、前記のようにタックを生じたマスターバッチを使用した比較例3では、当該マスターバッチを他の成分と混練するのが容易でなく、導電性ローラのローラ抵抗が10Ωを超える高い値となった。
これに対し、タックを生じていないマスターバッチを使用した実施例1、2、比較例2、および混合物を使用した比較例1では、導電性ローラのローラ抵抗を10Ω以下とすることができた。
なお後述の表2ではローラ抵抗をlogR値で示している。
〈バッチによるローラ抵抗のばらつきの有無〉
実施例、比較例における導電性ゴム組成物の調製を5バッチ実施し、各バッチで調製した導電性ゴム組成物を用いて作製した導電性ローラのローラ抵抗を測定した。
そしてローラ抵抗の最大値と最小値との差を求めたところ、混合物を使用した比較例1では、吸湿による質量変化がバッチごとに異なるため、前記差が、logR値で表して0.6と大きくなった。
また、NBRを含まないため硬く滑りやすいマッスターバッチを使用した比較例2では、前記滑りやすさがバッチごとに異なるためイオン塩の分布にばらつきを生じて、前記差が、logR値で表して0.6と大きくなった。
これに対し、吸湿による質量変化がごく僅かである上、NBRを含むため軟らかく滑りにくいマッスターバッチを使用した実施例1、2、比較例3では、前記差を、logR値で表して0.3と小さくして、バッチごとのローラ抵抗のばらつきを極力小さくすることができた。
以上の結果を表2にまとめた。なお表2中、状態の欄の「MB」はマスターバッチを示す。
Figure 0005925584
表2の結果より、イオン塩を、EO−PO−AGE共重合ゴムとNBRの2種のゴムの総量に占めるNBRの配合割合が50質量%以下である前記2種のゴムでマスターバッチ化することにより、バッチごとのローラ抵抗のばらつきが小さい導電性ローラが得られることが判った。
1 導電性ローラ
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 酸化膜
7 アルミニウムドラム
8 外周面
9 直流電源
10 抵抗
11 計測回路
F 荷重
V 検出電圧

Claims (4)

  1. (1) エチレンオキサイドを含む非ハロゲン系のイオン導電性ゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムを少なくとも含むゴム分、
    (2) 前記ゴム分を架橋させるための架橋剤成分、および
    (3) 陽イオンと、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとの塩、
    を含む導電性ゴム組成物の架橋物からなるローラ本体を備えた導電性ローラの製造方法であって
    記(1)のゴム分のうち前記イオン導電性ゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムの2種のゴムの総量に占める前記アクリロニトリルブタジエンゴムの配合割合が50質量%以下である前記2種のゴムによって、前記(3)の塩をあらかじめマスターバッチ化する工程、
    前記マスターバッチを、前記導電性ゴム組成物を構成する残りの成分と配合し、混練して導電性ゴム組成物を調製する工程、および
    前記導電性ゴム組成物を筒状に押出成形するとともに、前記(1)のゴム分を架橋させてローラ本体を形成する工程
    を含むことを特徴とする導電性ローラの製造方法
  2. 前記マスターバッチは、前記(3)の塩、および当該塩1質量部あたりの合計量が10質量部以上、30質量部以下の前記2種のゴムからなる請求項1に記載の導電性ローラの製造方法
  3. 前記(1)のゴム分は、前記イオン導電性ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、およびエチレンプロピレンジエンゴムの3種である請求項1または2に記載の導電性ローラの製造方法
  4. 電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで使用される転写ローラを製造する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電性ローラの製造方法。
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