JP5632594B2 - 転写ローラ - Google Patents
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Description
かかる中間転写ベルトまたは転写ベルト(以下両者を「転写ベルト」と総称する場合がある)を用いた転写工程は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色のトナーからなるトナー像を重ねてフルカラー画像を形成するフルカラー対応の電子写真装置や、あるいはA4サイズの媒体の表面に毎分50枚以上といった高速で画像形成する高速対応の電子写真装置、もしくは液体を媒体としたトナーを用いる電子写真装置等において広く普及している。
前記転写ベルトを用いた転写工程においては、感光体の表面に形成したトナー像を転写ベルトの表面や前記表面に保持した媒体の表面に転写させるために、例えば導電性ないし半導電性を有するゴム組成物によって形成した転写ローラを用いる場合がある。
このうちイオン導電性を有するゴムとしては、例えばエピクロルヒドリンゴムがよく知られている(例えば特許文献1参照)。
かかる大径の転写ローラは、前記架橋・発泡時に、例えば外径が30mm以上となるように大きく発泡させたのち、その外周を研磨して前記25mm以上の所定の外径に仕上げて製造するのが一般的であるが、前記のように大きく発泡した際に割れが生じやすいのである。
そのため、特に前記のように発泡倍率と径の大きい転写ローラを製造するのに必要な量の発泡剤を配合して、前記発泡倍率の範囲を満足するまで発泡させようとした際に、転写ローラが内部の圧力に耐え切れずに割れてしまうのである。
すなわちフルオロ基およびスルホニル基がともに電子吸引性を有するため陰イオンが安定化されて、前記陰イオンとともにFS塩を構成するリチウム等の陽イオンがより高い解離度を示す。そのため前記FS塩を配合することで、エピクロルヒドリンゴムによるイオン導電性をさらに向上できる。
本発明の目的は、電気抵抗値が105.5Ω以下、発泡倍率(体積%)が150体積%以上で、かつ外径が25mm以上であって、しかも従来に比べて製造時に割れを生じにくい転写ローラを提供することにある。
エピクロルヒドリンゴム、および
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリエーテルゴム
と、発泡剤と、発泡助剤と、導電塩としての、前記ゴム分100質量部あたり0.1質量部以上、9.0質量部以下の、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンの塩とを含むゴム組成物からなることを特徴とするものである。
また前記ゴム組成物に、発泡剤の熱分解を促進してゴム組成物の発泡を補助する機能を有するものの、それ自体はガスを発生しない発泡助剤を配合することで、同じ発泡倍率の転写ローラを形成するのに必要な発泡剤の量を抑制できる。そのため、発泡剤の熱分解によって発生するガスの量を抑制できる。
なおFS塩の配合割合がゴム分100質量部あたり0.1質量部未満では、前記FS塩を配合することによる、先に説明した転写ローラの電気抵抗値を小さくする効果、およびゴム分の架橋速度を小さくする効果がともに得られない。
エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、当該エピクロルヒドリンゴムとポリエーテルゴムの総量の50質量%以上、90質量%以下であるのが好ましい。
FS塩としては、転写ローラの電気抵抗値を小さくする機能と、ゴム分の架橋速度を小さくする機能の両方に優れたビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムが好ましい。
このうちエピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エビクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
エチレンオキサイドは体積固有抵抗値を下げる働きがあるが、エチレンオキサイド含量が30モル%未満であるとその体積固有抵抗値の低減効果が小さい。一方、エチレンオキサイド含量が95モル%を超えると、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗値が上昇する傾向があるとともに、架橋後の転写ローラの硬度が上昇したり、架橋前のゴム組成物の粘度が上昇したりするといった問題が生じやすい。
またエピクロルヒドリンゴムとしては、エピク口ルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)共重合体を用いることもできる。前記共重合体におけるEO:EPの含有比率はEO:EP=30〜80モル%:20〜70モル%、特にEO:EP=50〜80モル%:20〜50モル%であるのが好ましい。
またゴム分としては、前記エピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルゴム、およびFS塩によるイオン導電性に基づく電気抵抗値の低減効果を阻害しない範囲で、転写ローラのゴム弾性等を調整するために他のゴムを配合してもよい。
エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、エピクロルヒドリンゴムとポリエーテルゴムの総量中の50質量%以上、90質量%以下、特に60質量%以上、80質量%以下であるのが好ましい。
他のゴムの配合割合が前記範囲未満では、前記他のゴムを配合することによる、転写ローラのゴム弾性等を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルゴムの配合割合が少なくなるため、転写ローラに良好な導電性ないし半導電性を付与できないおそれがある。
前記FS塩を構成するフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとしては、例えばフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等が挙げられる。
リチウム塩としては、例えばCF3SO3Li、C4F9SO3Li、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLi、(C4F9SO2)(CF3SO2)NLi、(FSO2C6F4)(CF3SO2)NLi、(C8F17SO2)(CF3SO2)NLi、(CF3CH2OSO2)2NLi、(CF3CF2CH2OSO2)2NLi、(HCF2CF2CH2OSO2)2NLi、〔(CF3)2CHOSO2〕2NLi、(CF3SO2)3CLi、(CF3CH2OSO2)3CLi等の1種または2種以上が挙げられる。
前記ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムは、転写ローラの電気抵抗値を小さくする機能と、ゴム分の架橋速度を小さくする機能の両方に優れている。
FS塩の配合割合が前記範囲未満では、前記FS塩を含有させることによる、先に説明した転写ローラの電気抵抗値を小さくする効果、およびゴム分の架橋速度を小さくする効果がともに得られない。一方、前記範囲を超える場合にはゴム分の架橋速度が小さくなりすぎて、相対的に発泡剤の熱分解によるガスの発生の方が先に進行する。そのため、表層が未架橋の生ゴムの状態であるうちに大部分のガスが外部に逃げてしまって、発泡倍率(体積%)が150体積%以上で、かつ外径が25mm以上といった発泡倍率が高い大径の転写ローラを製造することができない。
発泡剤としては、ゴム組成物中に良好に分散させることができ、しかもゴム分を架橋する際の加熱によって分解してガスを発生して前記ゴム組成物を発泡させることができる種々の発泡剤がいずれも使用可能である。
発泡剤の配合割合は、製造する転写ローラの発泡倍率、および径に応じて任意に設定できるが、ゴム分100質量部あたり1質量部以上、12質量部以下、中でも2質量部以上、10質量部以下、特に4質量部以上、8質量部以下であるのが好ましい。
例えば発泡剤がADCAである場合は、前記ADCAの発泡開始温度を低下させることができるという理由により尿素(H2NCONH2)が、発泡助剤として好ましい。
発泡助剤の配合割合が前記範囲未満では、前記発泡助剤を配合することによる、発泡剤の量を少なくして転写ローラの割れを防止する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、発泡助剤が架橋を阻害してゴム分の架橋が不十分になり強度が不足するおそれがある。
架橋剤(加硫剤)としては、例えば硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマ一等の1種または2種以上が挙げられる。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄や、あるいはテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(CnH2n+1NH)2C=S〔式中nは1〜10の整数を表す。〕で示されるチオウレア等が挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
本発明においては、前記加硫剤として硫黄とチオウレア類と併用するのが好ましい。
前記併用系において硫黄の配合割合は、ゴム分100質量部あたり0.1質量部以上、5.0質量部以下、特に0.2質量部以上、2質量部以下であるのが好ましい。配合割合が前記範囲未満ではゴム組成物全体の加硫速度が遅くなって生産性が低下するおそれがある。―方、前記範囲を超えると転写ローラの圧縮永久ひずみが大きくなったり、硫黄や加硫促進剤がブルームしたりするおそれがある。
ゴム組成物には、架橋剤(加硫剤)の種類に応じて、加硫促進剤や加硫促進助剤を配合してもよい。
有機促進剤としては、例えばジ−オルト−トリルグア二ジン、1,3−ジフェ二ルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系;2−メル力プト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフエンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等の1種または2種以上が挙げられる。
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸もしくは綿実脂肪酸等の脂肪酸;その他従来公知の加硫促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
本発明の転写ローラは、分子中に塩素原子を有するエピクロルヒドリンゴムを含むため、受酸剤を配合するのが好ましい。受酸剤を配合することにより、ゴム分の架橋時に発生する塩素系ガスの残留および感光体汚染を防止できる。
受酸剤の配合割合は、ゴム分100質量部あたり1質量部以上、10質量部以下、特に1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましい。配合割合が前記範囲未満では、受酸剤による架橋阻害および感光体汚染を防止する効果を有効に発揮できないおそれがある。一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、転写ローラが硬くなりすぎるおそれがある。
このうち可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤やワックスが挙げられ、加工助剤としてはステアリン酸等の脂肪酸等が挙げられる。
劣化防止剤としては、例えば各種老化防止剤や酸化防止剤が挙げられる。このうち酸化防止剤は、転写ローラの抵抗値の環境依存性および連続通電時の抵抗上昇を低減する働きをする。前記酸化防止剤としてはNEC、NBC等が挙げられる。
充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたは水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。充填剤を配合することにより、転写ローラの機械的強度等を向上できる。また、カーボンブラックとして導電性カーボンブラックを用いて転写ローラに電子導電性を付与することもできる。
スコーチ防止剤としては、例えばN−シクロヘキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上が挙げられる。中でもN−シクロへキシルチオフタルイミドが好ましい。スコーチ防止剤の配合割合は、ゴム分100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下、特に0.1質量部以上、1質量部以下であるのが好ましい。
前記共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマー類、ジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。
(a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
(b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、
(c) 前記(a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物、
(d) 前記(a)〜(c)の金属塩、
(e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、
(f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、
(g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの複素環を有するビニル化合物、
(h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン
等の1種または2種以上が挙げられる。
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;
べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロへキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;
エチレングリコ一ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;
等の1種または2種以上が挙げられる。
図1は、本発明の転写ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の転写ローラ1は、前記ゴム組成物からなる円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを含んでいる。
前記転写ローラ1は、例えば以下の手順で製造される。すなわち前記ゴム組成物を、押出成形機を用いて混練しながら加熱して溶融させた状態で、前記ローラ本体2の断面形状、すなわち円環状に対応するダイを通して長尺の円筒状に押出成形し、冷却して固化させたのち所定の長さにカットし、通孔3に架橋用の仮のシャフトを挿通した状態で、加硫缶内に、前記シャフトを介して吊り下げる等して収容する。
次いで、外周面に導電性の接着剤を塗布したシャフト4に装着しなおして、前記接着剤が熱硬化性接着剤である場合は加熱により硬化させてローラ本体2とシャフト4とを電気的に接合するとともに機械的に固定する。そして必要に応じてさらにその外周面を所定の外径および表面粗さになるように研磨することで、図1に示す転写ローラ1が製造される。
転写ローラ1の電気抵抗値が前記範囲を超える場合には導電性が不十分で、感光体の表面に形成されたトナー像を、前記転写ローラ1との間の静電気力、もしくは転写ローラ1を介して電圧が印加された導電性の転写ベルトとの間の静電気力によって、転写ベルトの表面または媒体の表面に良好に転写させることができない。
電気抵抗値の下限は特に限定されず、先に説明したエピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルゴム、FS塩等の機能に基づいて達成可能な限界まで低減させることができる。ただし、転写ローラ1として求められる導電性の範囲や、前記転写ローラ1の生産性、製造コスト等を考慮すると、転写ローラ1の電気抵抗値は104Ω以上であるのが好ましい。
すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム6を用意し、前記アルミニウムドラム6の外周面7に、その上方から、電気抵抗値を測定する転写ローラ1のローラ本体2の外周面5を当接させる。
次いで、シャフト4の両端部にそれぞれ500gの荷重Fをかけてローラ本体2をアルミニウムドラム6に圧接させた状態で、転写ローラ1とアルミニウムドラム6とをそれぞれ反対方向に回転(アルミニウムドラム6の回転数:30rpm)させながら、前記両者間に、直流電源8から直流100Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗9にかかる検出電圧Vを計測する。
R=r×E/(V−r) (1’)
によって求められる。ただし式(1’)の分母中の(−r)の項は微小とみなすことができるため、本発明では式(1):
R=r×E/V (1)
によって求めた値でもって転写ローラ1の電気抵抗値とすることとする。測定の条件は、温度23±1℃、相対湿度55±1%とする。
発泡倍率が前記範囲未満ではローラ本体2の柔軟性が低下して、転写ベルトを感光体に圧接させるニップ幅を十分に大きくとることができない。また外径が前記範囲未満でも、前記ニップ幅を十分に大きくとることができない。そのため感光体の表面に形成したトナー像を、前記転写ベルトの表面、または媒体の表面に良好に転写させることができない。
かかる効果は、前記転写ローラ1を、特に積層構造を有する厚み100μm以上の転写ベルトと組み合わせて使用する際に顕著である。したがって本発明の転写ローラ1は、前記厚み100μm以上の転写ベルトと組み合わせて、電子写真装置の転写部分に組み込んで用いるのが好ましい。
ただし発泡倍率(体積%)は300体積%以下、特に290体積%以下であるのが好ましい。発泡倍率が前記範囲を超える場合には、ローラ本体2が軟らかくなりすぎて、却って転写ベルトを感光体に圧接させるニップ幅を十分に大きくとることができず、感光体の表面に形成したトナー像を、前記転写ベルトの表面、または媒体の表面に良好に転写させることができないおそれがある。
シャフト4の外径は15mm以上、25mm以下、特に20mm前後であるのが好ましい。
外径が前記範囲未満では、ローラ本体2の厚みが大きくなりすぎるため、転写ローラ1の電気抵抗値が前記範囲を超えたり、ローラ本体2が軟らかくなりすぎたりするおそれがある。また前記範囲を超える場合には、ローラ本体2の厚みが小さくなりすぎるため、ローラ本体2の軟らかさが不足するおそれがある。
ゴム分としては、エピクロルヒドリンゴム〔ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)ON301〕と、ポリエーテルゴムとしてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体〔日本ゼオン(株)製のゼオスパン(登録商標)8030〕とを用いた。
また、ポリエーテルゴムとしてのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体におけるエチレンオキサイド含量は90モル%、プロピレンオキサイド含量は4モル%、アリルグリシジルエーテル含量は6モル%であった。
加硫剤としては粉末硫黄とチオウレア系加硫剤〔川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S〕とを用い、加硫促進助剤としては酸化亜鉛2種品〔三井金属鉱業(株)製〕を用いた。また加硫促進剤としては下記の3種を用いた。
チウラム系加硫促進剤〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーTS〕
グアニジン系加硫促進剤〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーDT〕
導電性カーボンブラックとしては電気化学工業(株)製のデンカ ブラック(登録商標)を用い、受酸剤としてはハイドロタルサイト〔協和化学工業(株)製のDHT−4A−2〕を用いた。
次いで前記加硫缶内で160℃×60分間加熱して、発泡剤の熱分解によって発生したガスによってゴム組成物を発泡させるとともに、架橋剤によってゴム分を架橋させてローラ本体を得た。発泡後のローラ本体の外径は約φ35mmであった。
ゴム分のうちエピクロルヒドリンゴムの配合割合を100質量部としてポリエーテルゴムを配合せず、かつFS塩を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして転写ローラを作製した。
〈比較例2〉
FS塩を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして転写ローラを作製した。
ゴム分100質量部あたりのFS塩の配合割合を0.3質量部(実施例2)、0.5質量部(実施例3)、3質量部(実施例4)、5質量部(実施例5)、9質量部(実施例6)、および12質量部(比較例3)としたこと以外は実施例1と同様にして転写ローラを作製した。
ゴム分のうちエピクロルヒドリンゴムの配合割合を50質量部、ポリエーテルゴムの配合割合を50質量部としたこと以外は実施例1と同様にして転写ローラを作製した。
〈比較例4〉
FS塩を配合しなかったこと以外は実施例7と同様にして転写ローラを作製した。
以下の各試験を、いずれも温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下で行なった。
(発泡倍率)
前記各実施例、比較例で作製途中の、押出成形後、架橋および発泡させる前の、仮のシャフトを装着した状態の円筒体の、長さ方向の4点で計測した外径の平均値と長さとから発泡前の体積を求めた。また前記円筒体を先の手順で架橋および発泡させた後、仮のシャフトを抜き取る前の、長さ方向の4点で計測した外径の平均値と長さとから発泡後の体積を求めた。そして(発泡後の体積)/(発泡前の体積)×100によりローラ本体の発泡倍率(体積%)を求めた。発泡倍率(体積%)は、前記のように150体積%以上であるとき良好、150体積%未満であるとき不良と評価した。
前記各実施例、比較例に使用したのと同じそれぞれのゴム組成物を用いて、日本工業規格JIS K6300−2:2001「第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」所載のディスク加硫試験法によって求めた50%加硫時間tc(50)[分]を架橋速度として記録した。架橋速度は10分以上であるとき良好、10分未満であるとき不良と評価した。
前記各実施例、比較例で作製途中の、架橋および発泡させた後、仮のシャフトを抜き取る前の状態の円筒体の外観を観察し、下記の基準で割れの有無を評価した。
○:割れは全く見られなかった。
×:割れが見られた。
(電気抵抗値)
前記各実施例、比較例で作製した転写ローラの電気抵抗値Rを、先に説明した方法で測定した。電気抵抗値は、前記のように105.5Ω以下であるとき良好、105.5Ωを超えるとき不良と評価した。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 アルミニウムドラム
7 外周面
8 直流電源
9 抵抗
10 計測回路
F 荷重
V 検出電圧
Claims (4)
- 感光体の表面に形成したトナー像を転写ベルトの表面、または前記転写ベルトの表面に保持した媒体の表面に転写させるために用いる、電気抵抗値が105.5Ω以下、発泡倍率(体積%)が150体積%以上で、かつ外径が25mm以上の転写ローラであって、ゴム分としての
エピクロルヒドリンゴム、および
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリエーテルゴム
と、発泡剤と、発泡助剤と、導電塩としての、前記ゴム分100質量部あたり0.1質量部以上、9.0質量部以下の、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンの塩とを含むゴム組成物からなることを特徴とする転写ローラ。 - エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、当該エピクロルヒドリンゴムとポリエーテルゴムの総量の50質量%以上、90質量%以下である請求項1に記載の転写ローラ。
- 導電塩が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムである請求項1または2に記載の転写ローラ。
- 感光体の表面に形成したトナー像を、厚み100μm以上の中間転写ベルトの表面に保持した媒体の表面に転写させるために用いる請求項1ないし3のいずれか1つに記載の転写ローラ。
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