JP5924729B2 - 真空断熱パネルの製造方法 - Google Patents
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また、住宅用の断熱材としての適用検討も進められているが、現行の真空断熱パネルは、例えば図1の左図に示すように、グラスウール等の芯材をアルミラミネートフィルムでヒートシールした構造のものが一般的である。
このため、長期に亘って断熱性を維持できる真空断熱パネルの開発が望まれている。
そこで、例えば図1の右図に示すように、グラスウール等の芯材をステンレス鋼などの薄金属板で包み、真空引きした後、端部を溶接接合して真空断熱パネルを製造することが各種試みられている。そして、真空引き方法として各種方法が提案されている。
また特許文献2では、外周部が溶接接合された上下包材によって形成される略平板状の空間内に厚肉領域と薄肉領域を兼ね備えたスペーサー(断熱材)を挿入し、真空引き時は厚肉領域と薄肉領域で発生する段差を利用して上下包材の内面が接触することを防止するとともに、排気通路を確保しながら排気口より真空引きを行った後、排気口を封止し、排気口手前を溶接接合し、その後に溶接箇所の外側をカットして真空断熱パネルを製造している。
さらに、スペーサーを挿入する収納部では隙間を確保することができるが、それ以外の箇所では初期の真空引きにより上下の板が接触するため排気通路が塞がれ、パネル内部の空気を排気口まで誘導できなくなることがあり、この場合は真空引きできなくなる。
さらにまた、排気後に排気口を切除する必要があり、その分、手間がかかる。
また、無機質成形体からなるスペーサーに替えて、同物質の粉粒体からなるスペーサーを用いてもよい。
さらに、外包金属板としては、ステンレス鋼板を用いることが好ましい。
なお、前記無機質成形体として板状体を用いる場合、溶接ラインに向かう方向に幅広となる切り込みを設けたものを用いることが好ましい。
しかも、真空引きの際に、スペーサー挿入部を除いての包材外周縁部を溶接接合した後にスペーサー挿入部に形成された隙間を経由して真空ポンプにより大気圧下で真空引きが可能であるため、大型の真空チャンバーは不要であり、設備が簡素であるばかりでなく、効率良く真空断熱パネルを製造することが可能となる。
このような相乗的な効果により、高性能な真空断熱パネルが低コストで提供できる。
しかしながら、上下の包材間には僅かな隙間しか存在していないため真空引きが困難となる。このため、前記特許文献1,2等で見られるように各種の対策が考えられているが、それぞれ前記したような問題点がある。
以下に、その詳細を説明する。
まず、図3に基づいて、本発明方法を説明する。
本発明では、真空度を長期に亘って維持させるために、包材として金属板を用い、封止手段として溶接法を採用することとした。用いる金属板としては、アルミニウム合金板等でも良いが、耐変形性や長期に亘っての外観維持の観点から、強度及び耐食性に優れたステンレス鋼板を用いることが好ましい。また、採用する溶接手段としてはシーム溶接、TIG溶接、レーザー溶接、プラズマ溶接等の各種溶接法が適用できるが、溶接時に歪の発生が少ないレーザー溶接法が好ましい。
膨出部に芯材を収納し、上下2枚の外包金属板をその周縁部で重ね合わせる。この際、重ね合わされた上下2枚の外包金属板の四辺の周縁部の内のいずれか一辺に、予めスペーサーを挿入しておく。
その後、上下2枚の外包金属板周縁部を押えつけて前記スペーサー挿入部を除いて両者間に隙間がないような状態にした後、1回目のレーザー溶接で上下2枚の外包金属板周縁部を、前記スペーサー挿入箇所を除いて溶接接合する。
そして、スペーサー挿入箇所を除いて溶接接合された上下2枚の外包金属板の間の大気を、スペーサー挿入部の空隙を経由させて真空引きを行う。
その後、スペーサー挿入箇所の溶接ライン上の隙間をプレス法等で押し潰し、溶接ライン上で隙間がないような状態にして2回目のレーザー溶接で封止する。
ここで、スペーサーとして用いる各種形態及びその際の真空断熱パネル製造態様について詳述する。
スペーサーとしては、金属板、セラミックス板、ガラス板等の無機質成形体や、同物質の粉粒体を用いることができる。溶接ラインより内側のスペーサーは製品中に残ることになるため、ガスを発生するおそれがある有機物質は好ましくない。
上下外包金属板外周の周縁部間に溶接ラインを対称に溶接ライン上にかからないよう、奥側と手前側とで二枚一組となる金属板を配置する。この際、一方の金属板は外包金属板の周縁部端部まで達するように、もう一方の金属板は芯材収納部まで達するような配置とし、当該金属板と上下外包金属板により芯材収納部から周縁部端部まで繋がる隙間を確保する。この隙間を排気通路として利用しパネル内部を真空にした後、当該金属板挿入により発生した溶接ライン上の隙間を、プレス等の押圧手段により押し潰し、レーザー溶接により封止すれば真空断熱パネルが得られる。
なお、金属板挿入により発生した溶接ライン上の隙間を、潰して封止する手段としては、例えばシーム溶接用電極により隙間の押し潰しと溶接封止を一工程でおこなうこともできる。
また、奥側と手前側とでそれぞれ一枚ずつ並べた二枚で一組となる金属板であっても、それぞれの板に、通気し易いような工夫を施したものとすることが好ましい。例えば図5(b)や図5(c)に示すように、切り込みを形成したり、あるいは表面に溝を形成したり(図5(d))、表面に突起を形成したり(図5(e))、或いは板状体そのものを金網状のもの(図5(f))としてもよい。
なお、図6に示すように、粉粒体を上下外包金属板外周の周縁部間の溶接ラインを挟んで対称に溶接ライン上にかからない部位に配置して、上下外包金属板周縁部間に隙間を形成させてもよい。また、粉粒体の固定にはシリカやアルミナをベースにした無機系の接着剤を使用するのが好ましい。
そして、図7(a)に示すように、下側包材の膨出部に、180mm×180mm×5.0mmのグラスウール製芯材を収容して、下側包材と上側包材の周縁部の一辺の中央に、図7(b)に示す20mm×20mm×0.15mmのSUS304板に切り込みを入れた二枚の板材をスペーサーとして、3mmの間隔を空けて切り込み形成部が向かい合うように、かつ前記間隔が包板周縁端と平行になるように挟み込んだ状態で上下包材を重ね合わせた。
その後、スペーサー挿入部に形成された空隙を排気通路として、芯材を収容している下側包材と上側包材板の間に存在する空気を真空ポンプで吸引した後、スペーサー挿入部の二枚のスペーサー間の溶接ライン上の空隙を、短冊型の治具を用いて上下方向から押圧して潰した。
さらにその後、スペーサー挿入部の二枚のスペーサー間をレーザー溶接で封止した。
そして、余分な部分を切除した。
上記及び図8に示す操作で、ステンレス鋼板を包材とした真空断熱パネルを作製した。
Claims (3)
- 断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部で封止された真空断熱パネルを製造する方法であって、その少なくとも片方の中央に膨出部が設けられた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の一辺の外包金属板周縁部に、後段に行う溶接のラインを挟んで内側及び外側に無機質成形体からなるスペーサーを挿入した後に二枚の外包金属板周縁部のスペーサー挿入部以外の部位を溶接接合し、その後に前記スペーサー挿入部の隙間を経由して真空引きを行った後、スペーサー間の隙間を潰し、スペーサー間の外包金属板周縁部を溶接接合することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
- 断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部で封止された真空断熱パネルを製造する方法であって、その少なくとも片方の中央に膨出部が設けられた二枚の外包金属板の四辺の周縁部の内の一辺の外包金属板周縁部に、後段に行う溶接のラインを挟んで内側及び外側に無機質粉粒体からなるスペーサーを挿入した後に二枚の外包金属板周縁部のスペーサー挿入部以外の部位を溶接接合し、その後に前記スペーサー挿入部の隙間を経由して真空引きを行った後、スペーサー間の隙間を潰し、スペーサー間の外包金属板周縁部を溶接接合することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
- 外包金属板としてステンレス鋼板を用いる請求項1又は2に記載の真空断熱パネルの製造方法。
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