JP2017150548A - 真空断熱パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外包材表面およびシール部からの水分透過による性能劣化がなく、シーム溶接による溶接不良や熱ひずみによる歩留まりの低下を招くことなく、安定してステンレス製の真空断熱パネルを提供する。【解決手段】断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の外包金属板からなり、前記芯材を内包する前記二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板周縁部がシーム溶接により接合され、溶接部全長が固相拡散接合により接合された真空断熱パネルであって、前記溶接部の板厚減少率が10%以下であることを特徴とする真空断熱パネル。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば冷蔵庫や保冷庫、或いは保温庫や住宅等の断熱壁等に好適に用いられる真空断熱パネルに関するものである。
昨今、電力不足などの影響によりあらゆる産業で省エネ製品や省エネ技術の開発が進められている。真空断熱パネルも省エネ対策の1つとして開発された商品であり、現在では薄くて高性能な断熱材として冷蔵庫や自動販売機用の断熱材として広く採用されている。
また、住宅用の断熱材としての適用検討も進められているが、現行の真空断熱パネルは、例えば図1の左図に示すように、グラスウール等の芯材をアルミラミネートフィルムでヒートシールした構造のものが一般的である。
アルミラミネートフィルムでヒートシールした構造の真空断熱パネルでは、ヒートシール部から水分が透過し断熱性能が劣化することが一般的に知られており、その対策として活性炭やゼオライト等のガス吸着剤を芯材と一緒に入れて封止する方法が採用されているが、それでも7〜8年で断熱性能が半減するという問題がある。
このため、長期に亘って断熱性能を維持できる真空断熱パネルの開発が望まれている。
そこで、例えば図1の右図に示すように、グラスウール等の芯材をガスバリヤ製の高い金属製の外包材で包み込み、真空引きした後、端部を溶接接合した真空断熱パネルが各種提案されている。
特許文献1の方法では、芯材を包む金属製外包材の一方にパネル内部の空気を排出するための溝を設け、溝に接続された排気口により真空引き行い溶接により封止する方法が提案されている。この方法では、予め真空引きを行う前にシーム溶接やプラズマ溶接などで溝及び排気口周辺の予備封止を行い、予備封止後に溝部を通して排気口より真空引きを行い、真空引き完了後、溝部周辺をプレスなどにより平らにした後に先と同じ溶接方法により平らになった溝部上を溶接し、真空断熱パネルを製造している。
また特許文献2の方法では、外周部が溶接接合された上下金属製外包材によって形成される略平板状の空間内に厚肉領域と薄肉領域を兼ね備えた芯材を挿入し、真空引き時は厚肉領域と薄肉領域で発生する段差を利用して上下包材の内面が接触することを防止するとともに、排気通路を確保しながら排気口より真空引きを行い、排気口を封止した後に排気口手前を溶接することで真空断熱パネルを製造している。
特許文献1および2は、いずれも金属製外包材を使用し、溶接により接合することでシール部からの水分の透過を防ぎ、長期に亘り断熱性能が維持可能な真空断熱パネルを提案している。また、金属製外包材としてステンレス鋼板を用い、溶接にシーム溶接を使用することも開示されている。
特開2009‐228803号公報 特開2001‐311497号公報
特許文献1および2では、金属製外包材としてガスバリヤ性の高いステンレス鋼板を用い、シーム溶接によりステンレス製の真空断熱パネルを製造する方法が提案されている。シーム溶接は2枚の金属材料を電極で加圧し、そこに電流を流すことにより金属材料間を溶融させて接合する方法である。金属材料間に隙間があっても、電極で加圧し隙間を潰しながら溶接することが可能なため、隙間がある箇所の溶接に適した溶接方法であると考えられる。ステンレス製の真空断熱パネルで使用される外包材の少なくともどちらか一方には芯材を収納するための膨出部の加工が必要であり、生産性の良いプレス加工により生産されるケースが多い。ステンレス鋼板で特に薄板を材料としたプレス加工ではフランジ部にしわが発生しやすく、電極の加圧によりこのしわの凹凸を潰しながら溶接することが可能なシーム溶接は、ステンレス製の真空断熱パネルの製造に適した溶接方法の一つであると考えられる。
しかしながら、シーム溶接により真空断熱パネルを製造する場合には問題点もある。先述したように外包材の少なくともどちらか一方には、芯材を収納するための膨出部の加工が必要であり、プレス加工により角筒状に加工されるケースが多い。角筒状にプレス加工された包材を使用した場合、特に加工部のコーナーRが小さい場合には、この1回のシーム溶接で周縁部全周を溶接することは困難なため、図2(a)に見られるように複数の溶接に分けて溶接ラインが交差するように溶接する方法を取る必要がある。この方法では必ず溶接ラインが交差しラップ部が生じることとなる。通常の交差していない溶接ラインの断面は、図2(b)に示すように、ナゲットが規則正しく安定して形成されている。一方、ラップ部の断面は同じ箇所を2回溶接することになるため先の溶接の影響を受けて、図2(c)、(d)に示すように、2本のラインの交差点でナゲットが過剰に成長し、交差点近傍にはナゲット未形成部位が生じたり、ブローホールや溶着部が生じたりと溶接不良品の発生頻度が高くなり生産性が低下する。また、溶接熱の影響で素材金属板が歪み、図2(e)に示すように、フランジ部が波打ち2枚の金属製外包材間には隙間が発生するため、電極の加圧により材料の隙間を潰しながら溶接を行うシーム溶接であっても、電極と外包材との接触面積が低下する現象は避けきれず、電流密度の増加に伴い溶接時にスパッターが発生し、内部に挿入した芯材がスパッターにより損傷し、断熱性能が低下するといった問題も発生する。これらの現象は板厚が薄く、溶接線長が長くなるほど顕著となる。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、溶接熱歪やスパッターの発生を抑え、長期に亘って性能変化の無い高性能な真空断熱パネルを安定して提供することを目的とする。
本発明の真空断熱パネルは、その目的を達成するため、断熱性を有する芯材と、その周囲を覆う二枚の外包金属板からなり、前記芯材を覆う二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板の周縁部が溶接により接合された真空断熱パネルであって、溶接による接合部は全長が固相接合であって、かつ接合部の板厚減少率が10%以下であることを特徴とする真空断熱パネルである。
また、二枚の外包金属板は、フェライト相、マルテンサイト相またはオーステナイト相のうち2種以上からなる複相組織を有する複相系ステンレス鋼板であることを特徴とする真空断熱パネルである。
さらに、本発明の真空断熱パネルの製造方法は、二枚の外包金属板の内部を圧力1Pa以下とし、パルス通電によるシーム溶接により外包金属板の周縁部を接合することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法である。
本発明であれば、固相接合により二枚の外包金属板を溶接するので、ナゲットが形成されない低い入熱条件での溶接を行うことになる。そのため、従来技術のようにシーム溶接を用いて連続的にステンレス製の真空断熱パネルを製造しても、先述した溶接ラップ部での溶接不良の発生や熱ひずみによる変形、スパッターによる芯材へのダメージを防止することが可能となり、長期にわたって性能劣化の無い高性能な真空断熱パネルを安定して提供できる。
真空断熱パネルの構造を説明する概略図 シーム溶接で真空断熱パネルを製造する際の問題点を説明する図 真空断熱パネルの分解図 溶融接合と固相接合の違いを説明する図 本発明方法におけるシーム溶接時のパルス通電形態を説明する パルス通電条件による間欠的なナゲット形成状況を説明する図 実施例での真空断熱パネルの作製に使用した装置の概略構造を示す図 実施例での接合形態を説明する図
以下、真空断熱パネルの製造方法の実施形態について説明する。この実施形態に係る製造方法によって製造される真空断熱パネルは、例えば図3に示すように、芯材1をステンレス鋼板製の外包材2で包み込み、その芯材1を包み込んだ外包材2の内部空間3を真空状態としたものである。
芯材1は、製造後真空断熱パネル10の外包材2が大気圧によって圧潰しないように、内側から外包材2を支持するものである。この芯材1には無機繊維が使用される。無機繊維としては、グラスウール、セラミックファイバー等が例示される。この芯材1には、バインダーを一切含まないものを使用することが望ましい。バインダーを含む芯材を使用すれば、経時的に芯材からアウトガスが発生し、断熱性能が経時的に悪化するおそれがあるからである。また、芯材は事前に加熱処理し水分を除去した物を用いる方が良い。これは、製造後に芯材に付着した水分がガス化し性能劣化の一因となるためである。
外包材2は、2枚の外包板2A,2Bで構成されている。これらの外包板2A,2Bには、表面粗さRaが0.2μm以下のステンレス鋼板を使用する。ステンレス鋼板の表面には水分が吸着しており、この表面粗さRaが低いほど外包材の内部空間に持ち込まれる水分量が減少し、真空断熱パネル製造後の水分のガス化による断熱性能の劣化を防止できるからである。また、後述説明する溶接工程においてステンレス鋼板を固相接合する際には表面の凹凸いわゆるRaが小さいほど固相接合性が向上するためである。2枚の外包板2A,2Bは、周縁部の形状およびサイズが一致している。少なくとも一方の外包板2Bに膨出部4が形成されており、2枚の外包板2A,2Bの周縁部を揃えて重ね合わせることで、一方の外包板2Bの膨出部4の凹側面と、もう一方の外包板2Aとの間に内部空間3が形成される。この内部空間3に芯材1が収容される。図面に例示する2枚の外包板2A,2Bは、厚さ方向から視て矩形状のものとなっている。
次に先述した外包材と芯材を用いて真空断熱パネルを製造する方法について説明する。本発明の真空断熱パネルは、真空中で真空引きを行い、図2(a)に示すように真空引き後に外包材の周縁部4辺をシーム溶接で接合することにより製造される。しかしながら、先述したように通常のナゲットが連続して形成されるようなシーム溶接条件では、溶接ラインが交差するラップ部で溶接不良を回避することは難しく、又溶接熱ひずみによる変形やスパッターの発生による芯材へのダメージを回避することは難しい。さらには、真空中でシーム溶接を行うと溶接で発生した熱を外に排出できず熱が蓄積され、結果的に製造装置の機能低下につながり、長時間の連続操業を行うことができなくなってしまう可能性もある。このため、通常のナゲットが形成されるようなシーム溶接条件では、長期にわたって断熱性能を維持可能な真空断熱パネルを安定して製造することは難しい。
そこで、本発明者らは、真空中でシーム溶接を使って固相接合により接合することが可能であれば、低入熱での溶接となるため先述したような溶接不良や各種問題も回避できると考え、シーム溶接を使って固相接合する方法について鋭意検討する過程で、本発明に到達した。
シーム溶接法は、接合しようとする金属材料を加圧保持した状態で電流を流し抵抗発熱させ、その熱で接合するものである。一般的なシーム溶接条件では図4(a)に示すようにナゲットが連続的に形成されており、加圧により溶接部表面に窪みが大きく発生している。このような条件の場合、1度の溶接では特に問題なく溶接が可能であるが、ラップ部のように2度の溶接を行なう箇所では、先述したナゲットや窪みの影響により溶接電流が分流したり局部的に流れたりすることにより溶接不良が発生すると考えられる。そこで、図4(b)に示すようにナゲットが形成されず板表面の窪みの発生が小さくなるような低入熱の接合条件(固相接合)であれば、先述したような問題の発生もなく、安定して真空断熱パネルが製造可能と考えた。そこで、通常のナゲットが形成される溶融接合条件と同等程度の強度と気密性が得られる固相接合条件があるか調査した。
各種予備実験を繰り返した結果、シーム溶接により固相接合された真空断熱パネルであっても、十分固相接合されていれば溶融接合と同等程度の強度を有しており、気密性を維持できることを確認した。以下にその詳細を説明する。
本発明者は先ず、1Pa以下の真空中でシーム溶接テストを行い、連続通電で溶接速度を一定とし、加圧力・電極形状および溶接電流などの溶接条件を変更して、溶接部の窪み発生による溶接前に対する板厚減少率を算出し、ナゲットの形成状態の相関関係について調査した。その結果、何れの条件でも板厚減少率とナゲットの形成には相関性があり、窪み量が大きく板厚減少率が溶接前の総板厚の10%を超えるような条件では、溶接時に材料板間が融点以上に加熱され溶接全長に亘ってナゲットが形成されており通常の溶融接合状態であること、更には窪み量が小さく板厚減少率が10%以下の条件では、溶接前半が固相接合で溶接後半になると溶融接合になっている条件があることが判明した。この固相接合部と溶融接合部の比率は、溶接速度や溶接電流の大きさや溶接部の長さに影響を受け、例えば溶接電流が高いほど、溶接全長が長くなるほど溶融接合の比率が高くなり、連続通電ではいずれの条件に変更しても溶接部全長を固相接合とすることは難しいことが判明した。この原因として連続通電では例え溶接開始直後で固相拡散接合されている条件であっても、溶接後半になるに従って先に行った溶接による予熱効果で材料の温度が上昇し入熱量も増加するため、溶接部全長を融点以下の温度で均一に加熱することは難しいためと考えられる。
なお、板厚減少率は、図8を参照して、次の式により求めるものである。
板厚減少率(%)= (溶接前板厚―溶接後板厚)/溶接前板厚 × 100
溶接前板厚、溶接後板厚は、いずれもマイクロメーターを用いて測定した。溶接前板厚は、二枚の外包金属材の溶接前におけるフランジ部の板厚の合計である。また、溶接後板厚は、図8(c)にその一例を示すように、溶接ラインAと溶接ラインDが交差するラップ部をはさんだD1からD2の位置において、窪みが発生したことにより板厚が最も薄くなった箇所の板厚を求めた。この最も薄くなった箇所の板厚を、ラップ部4箇所について求め、それらの平均値を溶接後板厚とした。
そこで、連続通電で溶接するのではなく、間欠的に電流を流すパルス通電条件(図5)で溶接することにより溶接部全長を固相接合することが可能な条件があるか調査した。その結果、先ほどの連続通電では板厚減少率が10%を超えると完全にナゲットが連続的に形成される溶融接合であったのに対し、今回のパルス通電条件では板厚減少率が15%を超えないとナゲットが連続的に形成されないことが判明した。また、板厚減少率が11〜15%の間では図6に示したように溶融接合と固相接合が一定の間隔で混在し形成されていることが判明した。更には板厚減少率が10%以下となる条件では、いずれの条件でもナゲットが未形成であったが、これらの条件について溶接部の剥離試験を実施したところ、ある一定の電流範囲おいてはナゲットが未形成なのにもかかわらず母材破断し、十分な強度を有した固相接合された領域があることが確認できた。
次に、真空度が固相接合へ及ぼす影響を調査するため、真空度を100〜0.001Paの間で変更して同様の実験を行った結果、1Paを越える条件においては接合状態にバラツキが見られたものの、真空度1Pa以下の条件においては一定の電流範囲で固相拡散接合可能な領域があることが判明した。また、真空度は高ければ高い程固相拡散接合条件の電流範囲が広がる傾向にあることが確認されたが、高真空にするためには排気時間が長くなり生産性が低下することから、真空度は実用上0.1〜1Paの範囲が好ましいと考えられる。
以上の結果より、1Pa以下の高真空中で溶接速度を一定とし、溶接後の板厚減少率が溶接前の総板厚の10%以下に納まるように溶接電流を間欠的に流し調整することにより、溶接部全長を固相接合できることが判明した。
本発明の採用により、真空中でシーム溶接を用いて連続的にステンレス製の真空断熱パネルを製造しても、ナゲットが形成されない低い入熱条件での溶接となるため、たとえ2本の溶接ラインが交差する部位においても、1回目のシーム溶接時にナゲットが形成されておらず窪みも少ないため、2回目のシーム溶接を行っても溶接電流が分流することもなく溶接不良も発生しない。更に、真空中で連続溶接を行っても、溶接熱歪みによるフランジ部の平坦性の悪化や熱が蓄積されることによる製造装置の機能低下も起こらない。このため、高性能で性能変化のないステンレス製の真空断熱パネルを安定して提供することが可能となる。
芯材を覆う上下の外包金属板には、表1に示した成分のフェライト+オーステナイト相の2相系組織となるステンレス鋼板で表面粗さが0.05μmの物を使用した。上下外包金属板の寸法は、220mm×220mm×板厚0.1mmで外形寸法が一致する。また、一方の外包金属板には芯材収容用に190mm×190mm×5.0mmの膨出部をプレス成形により設けた。芯材は、約1200g/mの目付のグラスウールを用い、本芯材は事前に大気雰囲気の炉で温度400℃の条件で3時間加熱処理した物を用いた。そして、一方の外包金属板の膨出部の内面側に前記芯材をすき間なく充填し、もう片方の外包金属板と重ね合わせた。この重ね合わせた外包金属板の周縁部は接合されていないため、上下外包金属板の間には全周に亘り隙間が空いており、後述説明する真空チャンバー内での真空引きの際の開口部となる。
Figure 2017150548
真空断熱パネルの製造は、図7に示した真空チャンバー内にシーム溶接機を設置した装置を用いて行った。本装置には、チャンバー内にワークを固定するためのワーク用テーブルが備えられており、ワーク(被溶接材)を360°回転させることと位置調整が可能な構造となっている。このワーク用テーブルに先述した芯材を内装した上下の外包金属板を固定し、チャンバー内の真空度が1Pa以下になるまで真空引きを行った。この際、真空引きは外包金属板端部にある4辺すべての開口部を通して真空引きが行われるため、パネル内部の空気が強制的に且つ効率的に排気され、真空チャンバー内の真空度とほぼ同一となっていると推定される。目標とする真空度到達後、外包金属板をシーム溶接により一辺ずつ4辺とも溶接して封止することによりステンレス製の真空断熱パネルが完成した。
この時に使用したシーム溶接機は、単相交流式で上側電極が円盤状、下側電極が棒状で上側電極が下電極の上を回転移動しながら溶接するタイプの装置を使用した。上下電極には、先端形状は同一として幅4mmで40Rの曲率を付いた電極を使用し、溶接条件は加圧力:150N、溶接速度:1m/min、通電時間on/off:2/1msとし、溶接電流を変更して溶接部の板厚減少率、接合状態(未接合or溶融接合or固相接合・強度・スパッター発生有無)について調査した。板厚減少率については、先述したようにマイクロメーターで溶接前後の総板厚を測定し算出した。接合状態についてはシーム溶接したラップ部の一部からサンプルを切り出して断面観察とピール試験により接合状態の判定を実施した。以下に実験結果について説明する。
表2に実験結果を示す。本発明品に該当する板厚減少率が10%以下となる溶接電流が0.6kAと0.8kAの条件では、ナゲットが未形成にも係わらず母材破断する十分な強度を有しており、固相接合されていることが確認できた。また、スパッターの発生もなく芯材へのダメージも見られなかった。一方、本発明品に該当しない板厚減少率が10%を超える条件となる溶接電流が1.0kA以上の条件では、いずれも強度は十分であるがナゲットが形成されており溶融接合していることが確認された。また、内部にスパッターが発生しており、スパッターが発生した付近では芯材にダメージを受けた痕跡が見られた。
Figure 2017150548
続いて、溶接電流が0.6 kA、0.8 kA、1.0kAの条件で試作した真空断熱パネルについて性能評価を実施した。真空断熱パネルの性能は、英弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−074/200を用い、真空断熱パネルの中央部の平均温度が25℃となる条件で熱伝導率を測定し評価した。この結果、本発明品に該当する板厚減少率が10%以下となる条件(溶接電流:0.6 kA、0.8kA)は、いずれも熱伝導率が2.5mW/m・Kであった。また、比較として性能評価した板厚減少率が10%を超える条件(溶接電流:1.0kA)は、熱伝導率が3.3mW/m・Kであり、芯材がダメージを受けたことによりやや性能がやや悪化したものと推測される。
以上、説明したように本発明品であれば、溶接全長が固相接合で接合されるためスパッターの発生もなく、性能も良好な物が得られることが確認できた。

Claims (3)

  1. 断熱性を有する芯材と、
    その周囲を覆う二枚の外包金属板からなり、
    前記芯材を覆う二枚の外包金属板の内部が真空状態とされて前記外包金属板の周縁部が溶接により接合された真空断熱パネルであって、
    溶接による接合部は全長が固相接合であって、かつ接合部の板厚減少率が10%以下であることを特徴とする真空断熱パネル。
  2. 前記外包金属板の金属組織がフェライト相、マルテンサイト相またはオーステナイト相のうち2種以上からなる複相組織を有する複相系ステンレス鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱パネル。
  3. 請求項1または2に記載の真空断熱パネルの製造方法であって、
    二枚の外包金属板の内部を圧力1Pa以下とし、
    パルス通電によるシーム溶接により二枚の外包金属板の周縁部を接合することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。




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